世界の中心で、愛をさけぶ
第9話ストーリー・あらすじ

復習用&見逃した人向けです。できるだけ詳しく書いています。

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8/27 OnAir "#09" STORY.

第9話「最期の選択」

2004年。
写真を撮るため写真館を訪れたサク(緒形直人)たち。
そこで明希(桜井幸子)は、壁にかかっていた17年前の結婚写真を見つける。
そこには幸せそうなサクとアキが写っていた。

幸せな思い出にはならず、なぜ17年も引きずっているのか疑問に思った明希は、二人の別れについて尋ねることに…。

僕は話し始めた。
アキと僕の最期の日々について。
幸せな日々の終焉。
暖かな世界の崩壊。
むせ返るような死の匂い。
僕たちの、僕の、最期の選択…。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

1987年。
婚姻届を片手にアキにプロポーズしたサク(山田孝之)。
早速用紙に記入するが、男は18歳にならなければ結婚できないと、アキ(綾瀬はるか)に指摘される。
それでもサクは適当にごまかして申請しようとするが…。

アキの主治医は、抗がん剤がうまく効いていないと両親に説明。より強い薬に切り替える必要があった。
それが効かない時は覚悟して欲しいと両親に告げる…。


サクは婚姻届の保証人の記入を、担任の谷田部(松下由樹)に頼むが、私文書偽造と言われてしまい、正式な婚姻は諦めることに。
それでも二人の結婚写真だけでも撮りたいと、サクはアキに提案。
病状が悪化しつつあるアキだが、それでもサクは前向きだった。

なんか、サクちゃん変わったね。
もうさ、先のこと考えるのやめたんだ。
どうしても、俺もアキもよくないことばかり考える。
でも結局、人生って毎日の積み重ねだしさ。
だったら今二人にできることを、思いっきりやろうって思ってさ。



一方、娘がもう長くはないことを覚悟した真(三浦友和)は、今までのアキへの厳しい態度を改める。

亜紀があのくらいの頃、ひらひらのワンピースみたいなやつ、買ってくれってダダこねたことがあったろ。
こんなのどうするんだって言って、その代わりに「ぐりとぐら」買ってやったんだよな。
間違ってなかったと思うけど。
亜紀ちゃんの夢は、絵本の編集者になることなんだから。
両方買ってやれば良かった。
もっと甘やかしてやれば良かった…。


そして、サクの父・潤一郎に、形だけの結婚写真を撮影して欲しいと頼むことに。

ものすごく身勝手なお願いだということは、わかっています。
うちの娘は、もう長くはないかもしれません。
もしも、私が朔太郎君の親だったら、そんな写真は撮るなと言います。
残された時に、つらくなる事の方が多い気がします。
そうですかね。
きっと、こんな風に幸せになりたいって、思うんじゃないですかね。
人間は、欲の深い生き物ですから。


潤一郎はそう答え、結婚写真の撮影を快諾。

結婚写真用のウェディングドレスは、アキの母が貸してくれることに。
結婚式が現実のものとなり、喜ぶサクとアキはビニール越しにキスを…。


結婚式前夜。
アキは病室に真を呼び、メッセージを録音したウォークマンを手渡す。
聞いてみると、アキの声が…。

お父さん。明日私、結婚写真撮るよ。
私のウェディングドレスとか、興味ないかもしれないけど、
私、頑張ってしゃんとするから。
髪の毛にも、踏ん張るように指令出したぞよ。
今の私には、もうこんなことしか頑張れないけど、お父さんに見て欲しい。


娘の儚い幸せに真は涙を流す…。


結婚式当日。
写真館で皆を待っていたサクは、椅子でうたたねをしていた。

僕は夢を見ていた。
夢の中では、アキはピンピンしていて。
代わりに、僕が病気になっていた。
だけど夢を見ながら、頭の隅でこれは夢だと分かっていて。
だけど…だから、目覚めたくない夢で。
僕は、いつまでもこのまま…


「サクちゃん」という声がして起きると、そこには純白のウェディングドレス姿のアキが…。
サクは幸せのあまり涙が溢れる。

両家の両親や、大木・智世・ボウズらも写真館に集まった。

いよいよ、二人の結婚写真が撮影された。
次に、家族や友人を含めた集合写真が撮られた。皆、笑顔だった。

(モノローグ)
みんながいて、アキがいて、僕は幸せで…。
まるで、夢の中のように幸せで。


写真館の表に出たアキは、青空を見上げていた。
病室からは見れない、久しぶりの青空。それがアキの心を潤す…。


結婚式以来、アキのために空の写真を撮り始めたサク。
現像した写真を届けに行くと、アキの容態は悪化し、また面会謝絶になっていた。
綾子は代わりに録音したテープとウォークマンを手渡す。

サクちゃん、いつも空の写真、ありがとう。
今度の薬はキツいけど、これだけキツいんだから、効いてるはず。
ここで頑張れば、絶対、悪い細胞をやっつけられる。
だから心配しないでね、サクちゃん。


(モノローグ)
それからの僕は、テープでしかアキの声を聞くことができなくなった。

ある日のアキのテープの声。

サクちゃん、いつも空の写真、ありがとう。
毎日、朝も、昼も、夜も。
ちゃんと学校は行ってる?
私は最近、やっとアボリジニの本を読み終えました。
アボリジニの世界では、この世にあるすべてのものに、理由が存在するの。
災害や、争いや、死。
私たちの世界では、マイナスと考えられることにも。
私の病気にも理由があるはずよ。
それを悲しいとか、苦しいとか、寂しいとか思うのは、きっと、理解が足りないせいなんだよね。
そうだよね、サクちゃん…。

サクちゃん…。
生きてるって、どういうことかな。
死ぬって、どういうことかな。
たまに、生きてるのか死んでるのか、わからなくなる。
サクちゃん。サクちゃん…。
私の声、聞こえてるよね……。


明らかにアキの容態は悪化していた。
心配したサクは、面会謝絶もかまわずアキの病室へ。

綾子の了解を得て久しぶりに病室に通されると、そこには副作用でスキンへッドになってしまったアキが、悲しそうな笑顔を浮かべていた。

面倒くさいから、剃っちゃった…。
びっくりした?
すごい…すごいびっくりした。
なんで、泣くの?
アキが…泣かないからだよ。
サクちゃん、キスでも…キスでもしませんか?

二人は泣きながら、ビニール越しにキスを…。
そしてアキからテープが手渡される。


病院を出たサクと真の会話。

アキは、もうダメなんですか。
体力の限界でね。
明日から当分、投与は見合わせるそうだ。
そのあとは…。
特効薬ができるかもしれないし。
そうですね…。

真はすでに、覚悟を決めた様子だった…。

お見舞いの帰り道。
サクが自転車に乗りながらテープを聞いている。
それはアキの最後の願いだった。

サクちゃん、昨日、夢を見たよ。
電話が鳴っていて、そっちの方に、歩いていくと…
真っ青な、空があるの。
あれはきっと、ウルルの空だよ。
サクちゃん…空が見たい。
一度しかない、最後なら…。
私…世界で一番、青い空が見たい。


絶望感に襲われたサクは、自転車から転げ落ち、アスファルトに横たわる。

何を希望と言うのだろう。
何を絶望と呼ぶのだろう。
何を生きると言うのだろう。
何を死ぬと言うのだろう。
何を正気と、何を狂気と言うのか。
もう何も、僕には何もわからなくなった。

だけどアキが望むなら、僕は空を見せてやろう。
アキを眠らせてやろう。
世界で一番、青い空を見せて…


2004年。

世界で一番、幸せに眠らせてやろう。
そう思ったんだ…。


そう明希に語り終えたサク。

俺は、アキが死ぬと知っていて、連れ出したんだ。
もしあのまま病院にいたら、アキはもう1年は、生き延びたかもしれない。
4年、5年生き延びれば、骨髄移植を受けられたかもしれない。
そんな未来も、あったかもしれない…。
…もう、聞かないね。
だけど、松本君が話したくなったら、私いくらでも聞くからね。


(モノローグ)
僕の心が軽くなった分は、きっとこの小さな肩に乗っている。
僕はこんな優しさを知らなかった。
失いたくないと、大切にしなければいけないと思った…。



明希と一樹は先に東京に帰ることになった。
サクはフェリー乗り場まで見送る。
サクも早く東京に戻ってきて欲しいと、一樹は寂しそうに言う。

二人と別れ、家へと帰るサク。ある覚悟を決めていた。

僕はアキを、撒かなければいけないと思った。
それは忘れるためではなく…


その時、「サク! やっぱり一緒に…」という声と共に、一樹が道路を横切って走ってくる。
そこに、一台のバイクが…。

一樹を助けようとサクと明希は道路に飛び出すが、
その瞬間、アキの骨が入った小瓶が落ち、割れて骨が飛び出してしまう…。

9話終わり。





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