仔犬のワルツ・謎のラストシーン(結末)について










以下はすべて最終話を見終わった人向けの内容で、ネタバレを含みます。ご注意ください。










[6/28設置]
謎につつまれた衝撃のラストシーン、二人はどうなったの?を考えてみます。

伊藤響Pのコメント
一連の事件の真相は徐々に明かされますが、葉音が危険に晒される事件も起きます。
葉音の姿から、視聴者が何かしらのメッセージを感じ取れるラストにしたいですね。
(月刊ザ・テレビジョン7月号より)

まず、二人は生きたのか?死んだのか?よりも、ラストシーンでの葉音のセリフが、
制作サイドの伝えたかったメッセージなのでしょうね。

最終話ラストシーンより (→詳しく見る:最終話名セリフ)
(葉音) あなたがどこに居ても、決して心は離れない
ねえわかって、他人の不幸の上に、決して幸せなど訪れないの
―中略―
(葉音) 愛してるわ、あなたを愛してる
(芯也) 愛などいらない
(葉音) あなたに一番必要なものは、愛されること
(芯也) そんなものはいらない
(葉音) いらないものは、他のものよ

警察すらも欺いた芯也ですが、目の見えない葉音だけが、芯也の心の闇と犯行に気づきました。
そしてラストシーンにあったのは、すべてを包み込む葉音の深い愛。
葉音は騙され、裏切られていたにもかかわらず、芯也を許し、愛そうとします。
憎むよりも、愛することを…。
葉音のその無償の愛によって、芯也は救済されたのでしょう。



そして問題のラストシーンへ…

最終話ラストシーン:文章にするとこんな感じ
(芯也が愛してると言った後に)
芯也が涙を流しながら、葉音に背を向ける。
”さようなら”と芯也がつぶやく。(*1)
太陽のアップ。光が眩しく照りつけている。
「愛してる」という二人の言葉が重なる。
一発の銃声が鳴り響く…。
(この物語はフィクションです、というテロップが出て終わり)
*1 ”さようなら”以外の可能性もあり(「ありがとう」「神様」など)

最終話ラストシーン:副音声を文字化
(芯也が愛してると言った後に)
芯也、だらりと拳銃を下げる
岩に砕け散る波
まぶしい太陽
車の中で狂ったように鳴くワルツ
断崖の淵に向かい合って立つ、葉音と芯也
芯也の目から涙がこぼれる
静かな顔の葉音
葉音に背を向ける芯也
芯也の頬を伝う涙
(愛してる)
まぶしい太陽
(銃声)
その光に包まれる――

鳴り響いたのは一発の銃声。
それが何を意味するのかはハッキリとわかりません。
考えられるのは…

1.芯也が自分を撃って自殺
2.二人で心中した
3.太陽に向かって撃った(空砲)
(4.芯也が葉音を撃った)

救済された芯也に4の選択はありえないと思うので除外。
1〜3について検討してみます。



1.芯也が自分を撃って自殺

5話:死刑囚・アツミのセリフ

天使にはわかるのよ、悪魔の存在が
悪魔には感情がないの
喜びも哀しみも怒りも、すべてまやかし
たとえばウソの涙も簡単に流せる
”ありがとう”なんて思わないの、悪魔は
ひとひねりで殺す
どんな殺し方でもできる
―中略―
心の扉は決して開かない
ただし天使にはその場所を見つけられてしまう、腹立たしいことに

5話でアツミが言っていたように、芯也は本物の悪魔だった。
そしてその心の闇に気づき、救うことができたのは天使の葉音だけ。
自らの罪の大きさを知った芯也は、贖罪のために自殺。
この場合、「愛」というより芯也の「罪と罰」といったテーマになるでしょうね。
残された葉音が可哀想でもあります…。



2.二人で心中した

心中の場合は、芯也が自殺した後に葉音がその後を追った、と考えられますが、
心中説については伏線があります。

3話:人形師・フミヨのセリフ

私は愛を疑い
誰も信じられなくなった
孤独という名の毒薬に身体を侵され
人を見れば敵と思い
ついに、罪なき人を殺めてしまった
遠い、遠い少年時代
あの無邪気な日々に帰れたなら…
二人はやがて心中する……

フミヨが言っていたのは結局、芯也のことなんですね。
愛を疑い、誰も信じなくなり、感情を無くし、それが罪へと繋がっていった。
葉音はその対極で、ラストシーンに限って言えば芯也は悪魔、葉音は天使でしょう。
そしてフミヨの「二人はやがて心中する」は、芯也と葉音の未来を予言したと言えます。



3.太陽に向かって撃った(空砲)

ラスト、二人で「愛してる」と言いました。
二人の愛が重なった今、死という絶望へ向かう必要はありません。
他の野島作品でも、基本的に「愛」とは根源的な救済です。
ラストシーンの太陽のアップは、愛し合う二人にそそがれる「希望の光」であり、
よって、二人の未来に向かって撃たれた祝砲、と考えることもできるでしょう。



結局のところ…

ラストシーンは人それぞれの解釈でいいんでしょうね。どれもが正解だと言えると思います。
野島作品にはこういった視聴者に委ねる曖昧なシーンが多いです。
有名なのは「高校教師(1993)」のラストシーンで、心中したのか生きているのかわからず、電車の中で寄り添う二人、というものでした。
そして「仔犬のワルツ」の結末も「高校教師(93)」の曖昧なラストシーンを彷彿とさせるものに。
ちなみにその「高校教師」放送時に、脚本の野島氏はこう言っています。

「高校教師」の結末について野島伸司氏のコメント (*1993年当時)
見る人の判断にゆだねたい。
死んだか生きているかは、その人の想いに任せます。
ただひとつ言えることは、ラストシーン(列車のシートで二人が寄り添う)はハッピーエンドであったということ。
二人の生死の決定はもはや作家の圏外で、視聴者が決めればいいと思っている。

作品が違うのであれですが、「仔犬のワルツ」も同じように考えていいんじゃないでしょうか?
葉音と芯也の結末は、映像としては色々な解釈ができるように見せた以上、視聴者の判断にまかせるということだと思います。



個人的な解釈・感想

人それぞれでしかないという結論に至ったので、私(管理人)の個人的な解釈を書いておきます。

銃声は一発だったので、はじめは芯也の自殺だと思いました。
ただそれだとテーマが「愛」に繋がらない気がします。
葉音の「愛」によって救済されたのに、なぜ更生せずに死んでしまったのか?
葉音に見抜かれて初めて、罪深い自分に気づき、死をもって贖罪したということなら、テーマは「罪と罰」になるんですよね。
私はテーマは「愛」だと思うので、これは個人的にあまりしっくりこないです。
葉音の願いは「警察に行って」ということだったわけだし、残された葉音のことを考えると残酷な結末。

ということで「愛」を主題に考えた場合、心中、もしくは二人とも生きていた、このどちらかになると思いますが、
心中だった場合、愛に至った二人は肉体を越えて魂で結ばれたということでしょう。(野島作品によくあるテーゼ)
でも理想としては生きていて欲しいという感じです。

ちなみにラスト10分(断崖のシーン)がなければ、このドラマはけっこうキレイにまとまってましたね。
鍵二と唱吾が犯人だったということで、芯也の完全犯罪が成立したわけで。
それでもあえてラストにあの後味の悪いシーンを描いたということは、
真実を見つめることのいびつさと、上手くいかない現実の不条理、
つまり平凡な人生に逆行する芸術家の狂気と悲劇という世界観を、最後のシーンに集約させたかったのかなと私は思いました。 1話冒頭の奏太郎のセリフが、ラストシーンに繋がっている気がします。
最後の最後まで(平凡に終わることなく…)意外な展開だったという意味では、私は評価したいです。



みなさんの解釈・感想

ラストは色々な解釈ができる!ということで、
当サイトBBSの投稿から抜粋させてもらいました。

銃声がした後、空の太陽が揺れるのですが、
それが芯也か葉音の目線で、銃で撃たれて倒れた(よろけた)カンジを出してるのではないか…と考えました。

葉音の愛情で芯也は自分の未熟さに気づいて自殺したのかな。
でも、何で葉音と結婚したんだろう。ほんとに愛してたのか。
もうちょい殺す理由とか、真実を書いてほしかった。

終始ドロドロしていたので、最後くらいはスッキリして終わってほしかった、というのが率直な感想です。 野島氏の脚本にそれを求めるのは無理なのはわかっていたのですが…。

芯也は結局このストーリー内でほとんど何も変わってない(成長してない?)という気がするんですよね。 結局最後まで拳銃持ってた訳だし。成長したと言えなくもないのが最後の場面。
でも、もし本当に成長したのなら自殺なんてしない気がするんですが…。

葉音は(芯也が犯人だと)解っていて、それでも信じようとしていたわけで、
芯也は犯罪を起こした冷酷な自分と、葉音を愛し愛される自分のギャップに苦しんで自殺したのでは? 資格がないとでも思ったのかも…。
葉音はそれを解ってて「愛してる」と言わせることで、思いとどまって欲しかったのかも…。

葉音は芯也と結ばれて幸せの絶頂にいながら、
それにもかかわらず芯也に厳しい現実を突きつけ、
最終的に自分と一緒に死に追いやって消滅してしまった。
悲しくも美しいデビルっていう結末だったんじゃないかなー?

太陽に向かって撃ったんや。きっと今頃二人で海外にでも脱出してるな。
だって生きてかなくちゃ。

幼い頃に愛を得られなかった(少なくとも本人はそう思っている)芯也は、
結局、最後に葉音に言った「愛している」という言葉も信じられないで、
ハートの無いままに死んでいったのではないだろうか。

ラストシーンですが、あれは人形師の予言のように、心中だと思います。
葉音が芯也にせがんだのは、最後に偽りでも「愛してる」といって欲しかったのではないでしょうか。
口調を合わせて最期に「愛してる」と2人で言ったのは、お別れの言葉でしょうか。

芯也は生きている。
自殺しようとして銃を発射したが、葉音に体当たりされて弾はそれた。
葉音の説得を受け入れ自首。

芯也が葉音に背を向けた時点で罪と罰がテーマだったわけだし、
犯した罪に伴って愛する人とも結ばれず、野望も打ち砕かれる、
ひとの不幸の上に幸せは築かれない、というように芯也は罰を受けて自殺したんだと思います。

学長の言った通り、芯也は純粋すぎたために、18年前に鍵二を殺した罪に耐え切れずにおかしくなってしまったんだと思う。
でも最後は葉音に愛情を教えて貰って、人を傷つけるよりも自分を傷つける事を選び、
葉音を殺さず、罪の意識から自殺したんじゃないかな。

わたしが思うに芯也は葉音と一緒に心中したんだと思う。
だって葉音か芯也どっちかが死んだら、生き残った方は悲しいし、そんなのハッピーエンドじゃない。結局コレが一番いいハッピーエンドなんだと思う。

芯也は葉音と一緒になる予定だったのに、犯行を気づかれていたことを知って、驚いた。
そして口封じをしようとしたが、葉音の「離れない」「愛してる」の言葉を聞いて、芯也の心が揺れ動いた。
10話でも、葉音を命がけで助けたように潜在的に葉音を愛していた。
しかし、芯也は愛を知らない。
最後の最後に芯也は愛に気づいた。同時に罪の重さにも。
だから私的にはハッピーエンドでした。
どんな形でも二人は愛を手に入れたといえるから。

〜希望の光〜を作ったのが芯也だとしたら、心が無いが故に本物の心を求めた現れですよね。
だから希望を捨てず運命に負けない心を持った葉音を結局愛してしまった。
このドラマのテーマは、ドフトエフスキーの「罪と罰」的なものがあるのでしょう。
つまり葉音を愛した結果心を取り戻した芯也は、今までの罪を悔い自殺した、という流れの方が合ってそうです。
心中という線もありますが、生への希望を捨てない葉音がヒロインですし、テーマソングもそうだし(笑)。

心の無いはずの自分が葉音の愛、葉音への愛に気づく。
いままでの贖罪のために自殺、僕はそう考えます。
愛する葉音を殺すわけもなく、死ぬことをも望まないでしょう。
葉音は愛を胸にワルツや仲間とともに生きたのでは。

最後の銃声は、一発でしたが。
葉音の「待ってる」の言葉を信じ、二人はスワンレイクへ行ったのでしょう。
先に旅立ったのは、葉音。
たとえ芯也が行かなくても、ずっと待ち続けるのでしょう。
二人が死ぬことは、バットエンドではないのです。

ラストは個人個人の好みで解釈してもらおうということでしょう。
高校教師もその続編もこういう終わり方だったし。
俺は個人個人の好みで想像できるこのラスト賛成派なんだけど。あくまでもラストだけね。

(ラストは)見ている視聴者それぞれの最終回があるってことで、この謎は消えませんね。

結局のところ、事件や犯人なんて野島さんにはどうでもよかったのかもしれない。
ただ、愛や希望の大切さを伝えたかったのかな、と私は解釈しました。

ラストですが、野島さんは多分、言語と理性でばかり物事を理解しようとする僕らに、
感性で認識させようと、はっきりしないラスト、理性で理解できないストーリーをつくったのかもしれません。
結局、すべてを完璧に言葉でまとめようとすることが無意味なのかもしれません。
音楽も言語を介するものではないですしね。

私は、ものすごく都合のいいように解釈しているのですが、
最後の銃声は、芯也の「心のない悪魔」部分を撃ち殺したのだと信じています。
そしてそれは、死刑囚アツミが予言した「運命」に、二人が打ち勝った瞬間なのかもしれません。
あの最後の銃声から、もう一度、「ふたりの」ストーリーが始まるのだと思っています。


上記の内容への指摘や、ラストシーンの解釈・感想などがありましたら仔犬のワルツBBSこちらのスレッドに書いてください。


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