レビュー・感想

野島ファンの管理人の個人的な感想です。


♪ 最終話「ついに最終決着!すべての謎が明らかになる」感想 (7/3up)
他のコンテンツを優先してたら遅くなりました。
というわけで最終話の個人的な感想。

最終話の脚本は野島さん、ということで野島ファンとしてかなり楽しみに見ました。
第1話が90分SPだったので、きっと最終話も当初は90分とかの延長枠だったはず。
それが低視聴率の影響で(?)60分になったせいで、かなり詰め込んだ内容だったと思います。

冒頭での芯也と宮西のやり取り&銃殺シーンを見せられた時は、本当に宮西が犯人だったのか……と騙されたけど、宮西犯人はやっぱりひっかけ。

そして遺体の冷凍保存に死者復活、神と悪魔の融合による世界平和…と、行き着くところまでいってしまったという感じ。
とても1話の段階で想像できる世界観ではないですね。
現実離れしているせいで、次にどういう展開になるのか予想がつかなかったという意味では面白かったですけど。譜三彦が生き返ってもおかしくなかったし(笑)。

そして炎に包まれる教会での、鍵二(岡本健一)のセリフとか演技はすごく良かったし、
「グロリア〜Appassionata〜」を弾くシーンは、全11話の中でも一番の名シーンだと思った。

鍵二と譜三彦の関係とか、奏太郎と千世のすれ違いとか、そこらへんの謎はスッキリと解決。
充実した最終回だなぁと思いつつ、でもラスト10分の展開に驚愕(笑)。

学長の椅子に座る芯也のシーンから、何か嫌な予感が…。
そして断崖のシーン……犯人は芯也!!!?
うーん、予想外。まさか芯也とは…。
芯也のキャラクターは物語が進むにつれて愛着を感じていただけに、裏切られた!という感じで、ちょっと受け入れ難い。

しかも、ラストシーンは自殺を暗示させるものだった。
鍵二が弾く感動のグロリアから一転して、絶望的なバッドエンド(笑)で終わってしまったなぁ、というのが見終わった直後の印象。

○野島ドラマとバッドエンド

野島ドラマって「ハッピーエンドが少ない」とよく言われたりするけど、
内容が悲惨でも最後に救いがあったりするんですよね。
たとえば「人間・失格」(1994)とか「聖者の行進」(1998)とかはハッピーエンドですね。

見る人によってバッドエンドに感じるのは「高校教師」(1993)とか「この世の果て」(1994)とか?
でもこれらもよく見てみると、二人は愛に至っているのでハッピーエンド。

だから野島ドラマでここまで悲劇的に感じたのって、個人的には今までにない気がします。
といっても野島さんはハッピーエンドのつもりで書いてるはずだけど、結局どういうことなのかよくわからなかった。

ラストシーン、私が何に悲劇的なものを感じたかというと、

1. 全編を通して、主人公(芯也)はヒロイン(葉音)を騙し続ける悪魔だったことが明らかに
もう一度見直すにしても、こんな善良なフリして人殺してる悪魔なんだなぁ、、と思うとやるせない。

2. 自殺を暗示させるラストシーン
葉音の願いも虚しく自殺してしまう(?)芯也。
(解釈は色々ありえるけど、銃声がしてたし…)
よって残された葉音が可哀想。
葉音が一緒に死んであげるにしても、葉音に罪はないので救いがない。

どうも納得できないモヤモヤ感があるので、個人的に納得できるように解釈してみると…。

○ラストシーンの意味は?

悪魔的な犯罪者であり、騙され、裏切られていたにもかかわらず、
それでもなお、愛そうとする葉音。
そこに究極的な無償の愛がある。
どんなに悪人であっても、犯罪者であっても、人殺しであっても、人は人を愛せるのか?
そんな悪魔であっても「愛」をもって救うことはできるのか?
自分が殺されかけても、憎まずに愛すことができるのか?
という究極的な問題設定。

ほとんどの人間にはそれは無理な話。
自分を守るためには悪人に嫌悪感を持ち、責め、排除する方が安全だから。
でも葉音は愛を与えようとする。

そうして愛を与えても、(おそらく葉音は一緒に死んだように)自滅的な結末しか待っていない。
誰かを愛する態度は自己保身とは逆。だから究極的には自滅を意味する。
ただ、あるのは愛のみ。
二人の肉体は消滅した。残ったのは、葉音の愛。
自分を守ることをせず、悪魔に愛を捧げた天使…。

無理にテーマを見出すとすれば、私はこんな感じです。
正直なところよくわからなかったし、もう一度初めから見るとまた新たな発見があるかも。
現実的に見ると殺人の連続はおぞましいので、悪魔と天使という視点で見直したら面白い気がします。葉音はやっぱり天使だと思いますし。

まあ、ラストシーはが色々な意味で衝撃的すぎたけど、
それを別にすれば毎回ピアノバトルや視聴者を驚かせる点に凝っていたし、素直に面白いと思えるドラマでした。

最近の野島ドラマと比べても1月期の「プライド」より圧倒的に面白く、1年前の「高校教師(2003)」より面白かったかも?
終盤の方には深みもあったし、またこういうドラマが見たいですね。

○個人的に好きな話BEST3
1. 5話「女子刑務所ピアノバトル」
2. 9話「人間嫌いの野良犬」
3. 最終話「すべての謎が明らかになる」





♪ 10話「衝撃のラスト」感想 (6/20up)
10話はタイトル通り「衝撃のラスト」でしたね〜。
最後、葉音誘拐(?)の証拠画像が拡大されていく中で、
チラっと見えかけた画像が「宮西か?」と、嫌な感じがしたけど、
本当に宮西だったのがかなりショック(笑)。やられた!という感じ。
さすがに宮西が犯人候補になるのは予想外だった。

宮西は陰惨なドラマにあって唯一、清涼剤的な役割かと思っていたけど、
最終回を前にして「もう誰も信じられない」という状況になってきてますね。
もはや誰が犯人であってもおかしくない(笑)。
それが制作サイドの狙い?
でも最終回を前にしてここまでの高揚感があるのは、90年代の野島ドラマを彷彿とさせるようですごく面白い。

ただ冷静に考えてみたら宮西は犯人じゃないでしょうね。
8話の小暮強襲の時はトンネルにいたアリバイがあるし、葉音にあれだけ優しかった宮西が犯人だとしたら、
このドラマの訴えたいメッセージは何なんだ?という感じだし…。
ということで10話のラストはひっかけ。周囲が危険すぎるから葉音を保護しようとしたんじゃないかなぁ。

じゃあ犯人は?
ストーリーの謎に一覧表でアリバイを整理してみたけど、
一番怪しいのが譜三彦ですね。一番「心」がなさそうだし…。
唱吾も怪しいけど、18年前の事件を考えると幼すぎるし(当時7歳?)。
あと意外性を狙うなら、女医の片岡とか精神科医の今井とか。

でも犯人には今での殺害の理由を含めて何らかのテーマ性が込められると思うので、
脇役である片岡とか今井が、新事実と共に急に犯人と言われても、
今までの水無月兄弟のやり取りは何だったんだ?という感じもするし。

よって、譜三彦と鍵二の真相が明らかになりつつ、譜三彦(鍵二との多重人格かも?)が犯人であると私は予想。
譜三彦が犯人だとしたら、もう1度1話から見直しても「ああここで芯也とこういう会話してたのか」っていう楽しみ方もできるし。
3話で二人がスカッシュをしてたシーンを見直してみたら、他の兄弟とは手を組むなと警告してたし、
7話では他の兄弟が芯也が犯人だと言う一方、譜三彦だけが芯也を擁護していた。
それは芯也が10話ラストで語っていたように、二人には長い付き合いがあったから?

まあ犯人探しとかは別にしても、最終回が単純に楽しみです。



♪ 9話「人間嫌いの野良犬」感想 (6/14up)
話が一気に動いてきましたね。
今までの謎が解明する一方、衝撃の事実も飛び出してきて…緊張感のある9話でした。

葉音が律子と鍵二の娘ですか…。
何か出生の秘密を抱えていそうではあったけど、これは意外だった。
野島ドラマの近親相姦ネタは「高校教師(93)」以来ですね。
律子と葉音、二人の関係が丸く収まるとは考えにくいので、律子が死んでしまいそうな予感。

今回のピアノバトルは5話以来に良かったかな。
映像が美しかったし、命を賭けた戦いに「スリルとサスペンス」を感じた(笑)。
飽きて捨てられ、人間を憎む野犬たち…。
それが9話の葉音自身とリンクしているみたいで。
葉音は悪魔ではないだろうけど、愛すればこそ芯也を憎んでしまう。

鍵二を殺したのは奏太郎の意図で、バイクに細工をしたのは芯也ということだけど、
何かを背負っていそうな芯也のトラウマはそれで決まり?
でも次々と覆されていくし、今の時点ではよくわからない。

器一が死んでしまったから、犯人は唱吾か譜三彦か?と思ったけど、器一は上空を指していましたね。
ということは水無月兄弟ではない??
最初の頃の殺害が「音楽への冒涜」がキーワードだとしたら、それに当てはまるのは鍵二か多重人格の芯也になるけど、
葉音のストラップを見たことで思い留まるとしたら、千世になるしなぁ。
あまり一貫性を感じないけど、どう解決するのか?



♪ 8話「トンネルで見た幽霊は?」感想 (6/7up)
今回は映像的にはピアノバトルが少し地味だったけど、内容的には深みがあったと思う。
人は運命に逆らえるのか、それとも運命の前に屈するのか、というちょっと哲学的なテーマがあったと思うので、
結局どういうことだったのか解釈してみます。

(葉音)
> 私は運命を信じない
> 信じたら生きていけない
> 私は生まれつき目が見えない
> それが運命なら、悲しんで、ずっと自分の殻に閉じこもったまま生活していかなければいけない
> 諦めて過ごしていかなければいけない

運命を認めてしまえば、運命だから仕方ないと諦めてしまえば、
それは突き詰めると運命に支配されているだけであり、自分の主体性はどうでもよくなってしまう。
運命を認めた時点で、何をやっても結局は同じ、ということ。

> 私とワルツ、私とあなたの出会いも運命じゃない
> それは私が望んだことだから
> 心の中で、諦めずに望んだことだから
> 夢や希望は、運命には負けない…

葉音は運命に流されることのない主体性を持っている。
運命だから仕方がないと諦めることはしないし、運命が与えてくれたとありがたがることもない。
なぜならすべては運命ではなく、自らが望んだからだと。100%の主体性。

(芯也)
> 僕ももう少し若かったらそんな風に思えたかもしれない
> 運命に逆らうほど、強い人間じゃない
> 僕はもっと弱虫で…

葉音とは違って、芯也には運命に逆らう強さがない。

(奏太郎)
> あの日もしも、急に雨が降り出さなかったら
> 道路が渋滞して、オートバイが迂回せずに済んだのなら
> 対向するトラックが、早めにクラクションを鳴らしていたなら
> 鍵二は死ななかったかもしれない
> (中略)
> ”かもしれない…”
> その積み重ねが運命を導く

「あの時ああしていれば…ああなっていれば…」
という仮定を一切寄せつけないのが運命。
「あの時ああしていれば……ああなっていれば…」
という後悔に支配され、それでも何も変わらない残酷さこそが運命。

(葉音)
> 自分がもし消え失せても、あの人が私の前からいなくなったとしても
> 絶望的な寂しさや哀しみが訪れるのだとしても
> 今現在、精一杯愛そうとしているのです
> そしてそう思うと、不思議な力が沸いてくるのです

残酷な運命に逆らうためには、今を精一杯生きるしかないという結論。
その時々が最善の選択であれば、後から悔やむことはないはず。

> 仮にもし運命が、幸福とは別の方向に私たちを運ぼうとしても、私は負けません
> 私は運命には、負けません…
-
> 運命は変えられるわ

運命の仕業として片付けるズルさを拒否し、運命に流されることを拒み、主体的に生きようとする強い意志。

と解釈しました。葉音は強いな〜。
「運命」と言っても鍵二の事故のような不条理な出来事とか、ツイてないこととか、そういったマイナス面での運命でしょうね。
「運命の相手」といったテーマとは少し違うような。

とすると、鍵二が本当に事故死しているとして、それでもなお過去にこだわり続ける奏太郎は、
まさに運命の牢獄に捕らわれているわけで、今後否定されることになるのかも。
それともそれが奏太郎なりの運命への抗いなのかなぁ、、よくわからない。



♪ 7話「心」感想 (5/31up)
今回はまたさらに非現実的な設定ですね。
あのスーパーコンピュータはちょっとありえない。
さらに天使、悪魔、神…という神話的なモチーフが、ここにきて重要なキーワードに。
1話の頃の印象とはだいぶ違う方向に突き進んでる気が(笑)。
それでも「人間の心」というテーマは面白かったけど。

気になるのは、幸子の母親は殺されたのかどうか。
そうだとしたらやけにあっさり逝ってしまいましたねえ…。
それとも、幸子の心を読んだことで凶悪化した=幸子は母親を憎んでいた、という意味があったりするのかも?

そしてスーパーコンピュータであるマザーは、人間の醜さを知って自殺してしまいます。
不純さに耐えられないということは、マザーはコンピュータでありながら純粋な心を持っているということ。
これも、純粋な葉音の心を読み取った影響?

千世は「グロリア」に脅えていたかと思ったら、自分で弾いてましたねぇ。
ここらへんは全然わからないけど、千世の記憶もそのうち戻るんでしょう。

犯人は先週は器一が怪しかったけど、今週それに唱吾も加わった感じ。
2〜3話で賄賂を誰が用意したのか?を考えると唱吾が一番怪しい。

そして鍵二は譜三彦みたいだけど、問題は何の目的なのか?ということですね。
でも譜三彦はスリルとサスペンスを求めているわけだから、小暮に嘘ついて楽しんでるだけかもないけど。1話でも拳銃を見て喜んでたし(笑)。
それに本当に鍵二なら天才ピアニストなわけだし、よく18年もピアノから離れられていたなぁと。

あとはやはり、天使、悪魔、神が果たして誰なのか?が気になりますね。
天使は葉音、悪魔は何人かありえるけど、「神」と言えるほどの器が見当たらない。
すべてを司る存在が神であれば、奏太郎っていう可能性もあるなぁ。

うーん、話は面白いんだけど、謎解きぐらいしか語ることがない。

6話に続き長い名セリフ、マザー&芯也の語りは、見返りがなければ何もできないってことかなぁ。
孤児の芯也は愛されることがなかったせいで、素直に人を愛すことができない。

> 報われなくてもいい、そう思えるほど私は素晴らしい人間ではなかった
> 認められなくてもいい、そう思えるほど私は美しい人間ではなかった
-
> 誰かの役に立ちたいなど、すべて偽善や欺瞞であり
> むしろ評価されないことに対しての、打ちのめされるような怒りや屈辱を覚えていた

誰かに認めてもらわなければ自分の存在意義がわからないけど、
一方で誰かに認めてもらいたいという努力は、見返りを得るための偽善的・欺瞞的なものに過ぎないというアンビバレンスな感情。
それを乗り越えるためには見返りを求めず自分が満足するために努力するしかないけど、
誰かに認めてもらわなければ自分の存在意義がわからなくなる(繰り返し)

どうでもいいけど、毎回のありえないピアノバトルを、真面目に威厳をもって解説する奏太郎がけっこう好き(笑)



♪ 6話「花」感想 (5/23up)
5話に引き続きテンションを保っていて面白かった。
1度見ただけでは理解できないぐらい毎回内容が濃いですね。これこそ野島ドラマだなぁと思う。
それにしても中盤の葉音のセリフがやたら長いですね。(名セリフ参照)
一般視聴者は果たして付いていってるんだろうか?って気がしないでもない。
それでやはり「葉音は芯也を信じ抜けるかどうか?」がこのドラマの主題のようですね。
それでもラストで、二人が別々の部屋でグロリアを弾くのは微妙な距離感を示してるのかなと思った。

それにしても4話の頃から気になっていたけど、二人はどの程度の感情で愛しあっているんでしょうか?
ほとんど葉音の片思い?
芯也は葉音をピアニストとして育てたい(?)という野望の方が強いみたいだし。
恋愛関係を突き詰めるドラマでもないと思うので、いまいちよくわからない関係かなぁと。

あとは舞子の活躍が目立ってましたね。かなり怪しかったけどいい人だったんだ、という感じ。
真相を暴くために秘書になって水無月家に入りこんだわけで、文通相手を18年間も想い続けられるのもすごいけど。来週から見れないのは残念。
犯人は相変わらず兄弟の全員が怪しい。ここにきて器一の重要度が増してるけど。
そして予告によるとやっぱり譜三彦は鍵二だった?のか分からないけど、容姿が似ているのは確かみたいですね。
伏線はきちんと消化されていくみたいなので、そうしたら1話で特別室に入ろうとしていた唱吾の行動も気になる。
あと、殺人の動機が「音楽の冒涜」というキーワードから外れた気がしないでもないです。
なぜ舞子は殺されたのか?

覆面ピアニスト・幸子も謎。なぜ最初、弾かなかったのか意味がよく分からなかったけど、葉音に共鳴してるってこと?
あと体格がいい気がするんだけど、ホントに女性なのか?

6話で気づいた過去野島ドラマとの類似
・葉音がクローゼットに隠れて帰りを待つ …「高校教師('03)」で雛が同じことをしていた。
・ボロアパート住まいの小暮刑事…「世紀末の詩」4話ゲスト出演の谷啓さんの役どころと同じ。しかも演出も同じ(大谷太郎さん)
・「僕は殺される」という最後の手紙…「人間・失格」誠の手紙



♪ 5話感想 (5/16up)
5話面白かった〜〜〜(><)
特にラスト10分のテンションの高さ!
野島ドラマ見ててこんなにゾクゾクしたのは「リップスティック」(1999)以来かも…。それぐらい脚本・演出・演技が完璧だった。
後半もこのままのテンションでいったら傑作になるかも。

そしてストーリーはかつての野島ドラマのモチーフ↓

・[鍵二] 指から血を流しながらピアノを弾き終える…「世紀末の詩」6話・馨
・[聖香] 胸に手術痕があり、心臓病のせいでセックスできない…「未成年」萌香
・[アツミ&芯也(?)] 嘘の涙も簡単に流せる。感情が欠落した涙は透明で美しい …「世紀末の詩」5話・星野

を散りばめながら、芸術家の狂おしい生き様とか天使と悪魔の対立とか、サスペンスでありながら物語に崇高さが出てきたなーと思う。
アツミ役の人、存在感あるな〜。
脚本も野島さんが書いてるのか?と思えた。特に「リアルに言えば――」というくだりとか。

とにかく5話は文句なく良かったし、今までの回で一番面白かった。

=犯人予想=

5話は小暮の推理が3つあったけど(ストーリーの謎参照)、
特に「犯行は相続争いのためじゃないかもしれない」(5-I)というやつが気になります。
相続争いを勝ち残るためじゃなかったら、何のための殺人?

それで気づいたのが、殺された3人に共通しているのは、音楽を冒涜(侮辱)しているということです。
2話と3話のテストを仕切った調律師(松野)と人形師(フミヨ)は賄賂を受け取り、不正を働いた。
正確に能力を測ろうとしなかったので、音楽を冒涜したと言えます。
4話の空間コーディネーター(池田)は、芸術(音楽)なんて金持ちの道楽に過ぎないと冒涜した。
その結果、池田の死体は音楽の女神像の元に捧げられることに…。

1話で芯也が、人生で一番大切なのは何か?と聞かれて答えたのが「音楽」。
4話で池田から話を聞いたのは芯也だし、5話でも、自分と葉音を不正に排除しようとした者に対して、
音楽の神を冒涜している!と、面会に来た舞子に言っていた。

普通に考えると2・3話で裏金を渡していたのが華子で、不正を許せず殺していたのが多重人格の芯也?
とすると、奏太郎はなぜ殺人犯をかばおうとしたのか?
実は芯也=鍵二で、事故をきっかけに記憶を失い凡人になってしまったため、奏太郎は覚醒を待っているとか。
そうだとしても、兄弟は芯也を養子として認識している以上、矛盾が多いけど。
それに譜三彦も鍵二に似てるんですよねぇ(2話の調律師によると)
譜三彦=鍵二で、譜三彦が多重人格の可能性も!?

でも5話の段階で予測がつくのはちょっと単純すぎるかも。
一番怪しい人物が犯人だと匂わせておきながら、実は犯人は他の人物っていうのは、
ミステリーものの「家なき子2」でも確かそうだったし。

たぶんこのドラマのテーマのひとつに「人は人を信じられるか?」というのがあると思うので、
とことん怪しい芯也を、葉音は信じきれるのかどうか、という展開になっていくのかも。
愛があれば信じられる(疑わない)っていうのは、野島ドラマでよくあるテーマだし。
というわけで、私は芯也は犯人ではないと予想。



♪ 4話感想 (5/9up)
4話も面白かったけど、毎回犯人の印象が異なるなぁ。
今回は奏太郎と器一が怪しかった。まあ全員を怪しく見せるのがドラマだけど。
連続殺人犯の犯人予想は私は今のところ唱吾かなぁ。
2・3・4話と兄弟たちが千世の病院に行って自分語りをしてるけど、
母さんと暮らしたいっていう唱吾のやつが一番嘘っぽいし(笑)、経理で金も用意できそうだから。

というわけでミステリーも面白いけど、それ以外では何かあるかなー。
暗闇と光…ってリップスティックでもあったような気が。
芯也が葉音をかくまっているようでいて、精神的にかくまわれてるっていうのが野島ドラマっぽい。弱い男たち。
でもなんか、個人的には葉音と芯也にあまり感情移入できない。セリフはいいと思うんだけど、なんでだろう?
登場人物が多くて物語もミステリーとかピアノバトルとか複雑だから、話が散漫になってるっていうのがあるのかも。
まあ豪華だし、単純に面白いドラマではあるけど、
シリアスドラマというよりエンターテイメントドラマですね、今のところ。
だから個人的にはもうちょっとシリアスなストーリーの方がいいな。葉音と芯也の関係がちょっと生ぬるい気がするけど、それは愛を突き詰めるのが今作の主題ではないから?
葉音と芯也のシーンは、ドロドロした相続争いに対する清涼剤なのかな。
まあ今でも十分面白いし、家族で楽しめる物語なのに、視聴率が低いっていうのもかなり謎。

あとは空間コーディネーターの池田が芸術を否定してたけど、あれ「この世の果て」で神矢も言ってたなーと思った。
随所に野島さんらしさが感じられるのがファンとしては嬉しいところです。
5話予告は囚人?に囲まれてる絵がすごかったので期待。



♪ 3話感想 (5/2up)
このドラマって、サスペンスとピアノバトルと葉音と芯也のロマンス(?)の、3つの大きな柱がありますね。
それぞれがバランスよくストーリーに組み合わさってるっていうのが結構すごいかも。
さらにパートナーと生徒のエピソードも加わっていて、3話は唱吾と歌乃がクローズアップされていたけど、2話の譜三彦&宝生光のように、1話づつみたいですね。(4話はノッティー?)

サスペンスは予想以上に凝っていて複雑ですねー。こんなに伏線を盛り込んで大丈夫なのかなぁっていうぐらい。
人形師のフミヨが冒頭で言ってた言葉が気になります(名セリフ参照)。
あれが芯也と葉音のことだとしたら、芯也は葉音以上に人間不信で、殺人犯っていうこと?
まあ3話を見ると芯也が犯人っぽく見せられていたけど、3話で匂わすのはちょっと速いし、わざとらしい演出だった気が。
でも芯也が何かを抱えているのは確かみたいだけど。
あと3話から谷啓&袴田の刑事コンビが登場していたけど、この二人は「人間・失格」の刑事コンビを思い出しました。

あとラストシーンで明らかになってたけど、葉音は芯也に恋をしてたんですね。
ピアノとワルツ以外は誰も信じてなかったのでは?っていう気がしないでもないけど、芯也の優しさが葉音の心の壁を壊したっていうこと?

ピアノバトルは華子&知樹の親子が分かりやすくて面白いなぁ。今後も不正で勝ち残っていく?
あのエンドレスで流れる狩りの歌の、病的な感じも良かった。
3話も豪華な内容で面白かったです。



♪ 2話感想 (4/25up)
放送前からこのドラマは毎回ピアノバトルがあるって言われていたけど、それって「フードファイト」みたいに1対1で演奏の腕前を競うのかと思っていたら、2話のような異色ピアノバトルが繰り広げられるってことなんですね。
確かに真面目なピアノ対決だとクラシックに興味ない人には退屈かも。
音感を試すテストがマンガチックだな〜と思いつつ、でも面白かった。

3話も一風変わったテストみたいだし、様々な試験を勝ち残っていけばOKだと。
でも奏太郎が、試験に脱落した者のパートナーは人生の終わりを意味するって言ってたけど、これってどういうこと?(笑)
学長になれなくても別に人生終わらないと思うけど、水無月家の人間でいられなくなるとか殺されるとか??

ストーリー的には、一気にミステリー色が濃くなってきましたねー。
譜三彦のバイクに鍵二が乗っていたらしいけど、この二人の容姿が似ているor双子なら、二人が入れ替わってる可能性もあるなー。
そうではなくても鍵二はどこかで生きてるような気がする。他にも舞子は何か怪しい。
逆に器一と律子は誰かに利用されそうだけど、律子って単純で悪意が感じられないから、何か応援したくなるかも。
結局、葉音も相続争いに加わることになったし、芯也もただのいい人では終わらなそう。
そしてマネキンは一体何の意味が?? 不気味すぎー。

中盤の葉音のセリフで、(芯也に)好意的なことを言われたくない…。
なるほどー。野島さんらしいセリフですね。
葉音はピアノと子犬以外は誰も信じないということだけど、それは人に期待しないってことでもありますね。
誰かに甘い言葉をかけられても、素直に信用することができない。いつか心が変わってしまうのを恐れているから。
永遠vs刹那の対立というか、刹那的なものよりも永遠を求めるところに野島ワールドを感じました。

人は人を信じられるか?のテーマがあり、ミステリーあり、異色ピアノバトルありで、企画ドラマとしては今のところ予想以上に面白い!です。



♪ 1話感想 (4/17up)
1話面白かったです。
冒頭の奏太郎のセリフ(芸術家うんぬん)から野島さんらしさがあったし、脚本も良かったと思います。
このドラマは登場人物が多いので1話はその説明が多かったけど、でもそれぞれが何かを抱えているようで、見ていて緊張感がありました。
ところどころ演出が気になったけど、時間が経つのが速かったし、まあ見ていて面白かったです。
ペットショップの前でおもちゃのピアノを弾くシーンが良かったなー。
安倍なつみさんのドラマは初めて見たけど、薄幸な感じが出ていたし、演技も上手いですね。

そして皆ひとくせありそうな水無月家一族と葉音のライバルたちは、90年代の野島ドラマを彷彿とさせるものを感じました。
まだ芯也には魅力が感じられなかったけど(普通の人?)、他の兄弟たちの活躍にも期待したいです。

そして1話のストーリーはシンデレラを意識した作りなのかな。
虐げられていたシンデレラ(葉音)に、王子様(芯也)が迎えに来るという。靴探しのエピソードはちょっとやりすぎかなと思ったけど、今作はリアリティを追求しない寓話ってことなんでしょうね。

唯一嫌だったのが、つんく作曲の主題歌ですね。メルヘンチックなタイトルバックに対して違和感あったし、クラシックの世界観にも合ってない。つんくはやめて欲しかったなー…。



♪ 1話放送前の雑感 (4/14up)
1月期の「プライド」から連投できるということは、だいぶ前から温められていた企画?
野島さんが「企画」という立場でどれぐらいまでストーリーにかかわるのか気になるけど、あらすじを読む限りは面白そうです。

○期待できそうなところ
ピアノと音楽家がモチーフ
「フードファイト」の早食い対決や「ゴールデンボウル」のボーリング対決のモチーフよりも、個人的には「ピアノ対決」や「偉大な音楽家の逸話」の方が惹かれるので期待したいです。音楽も千住明さんですし。企画担当の割に豪華なモチーフだなぁという印象。

シリアスドラマ?
これは見てみなければわからないけど、番宣CMを見る限りは本格的なシリアスドラマっぽさを感じます。
「高校教師('03)」は中途半端なところがあったので、そうなると1999年「美しい人」以来のシリアスドラマと言えるのかも?

NTVドラマ
1月期の「プライド」が大多P×キムタク主演だったから余計にそう感じるのかもしれないけど、
NTVならドラマ作りの自由度が高い感じがします。野島脚本の傑作「世紀末の詩」(1998)は、異色作であるがゆえに他の局では相手にされなかったみたいですし。

○不安なところ
企画担当
見た目が野島ワールドでも、野島さんが脚本じゃないっていうのはやっぱり不安ですね〜。これは1話を見てみなければわからないです。
原案担当の「新・星の金貨」(2001)は個人的につまらなかったので、あれの二の舞はやめて欲しいです。


♪ 過去の野島作品との類似について考えてみました (3月up)
「毎話、偉大な音楽家たちのエピソードが物語に組み込まれる」(1話はショパン、2話はドビュッシー)
「美しい人」も毎回ハーブが物語に組み込まれていた(ミント、ローズマリー、グリーンアローなど10種類)。
「高校教師('93)」「高校教師('03)」でも全話ではないが、それぞれ生物学・数学の話が盛り込まれていた。

「盲目の少女」
「この世の果て」のなな、「聖者の行進」の鈴、「世紀末の詩」2話の鏡子、「ひとつ屋根の下2」の奈美など頻出。盲目のハンディキャップに負けず心が純粋であるのが特徴(世紀末の詩の鏡子を除く)。

「子犬が友達」
「家なき子1&2」のすずとリュウの関係。

「ピアニストを巡る物語」
「世紀末の詩」6話。天才ピアニストの苦悩。最後にピアノ対決(ベートーヴェン:熱情×ショパン:スケルツォ第2番)。

「偉大な音楽家たちのエピソード」
小説「スワンレイク」ではチャイコフスキーの白鳥の湖がモチーフになり、マーラーの苦悩が描かれていた。また「101回目のプロポーズ」ではショパンの「別れの曲」がテーマ曲。


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