優しい時間

優しい時間 第2話「拓郎」あらすじ・ストーリー

#02 STORY.
第2話「拓郎」あらすじ

勇吉(寺尾聰)が、「森の時計」常連客でコーヒー業者の安西(田中圭)と、川で渓流釣りをしている。
勇吉が釣りの師匠として慕う安西はまだ若く、髪を茶色に染めていた。
14、15歳頃に染めて、その時父親にひどく怒られたと話す安西。

勇吉は妻が交通事故によって倒れた3年前の日のことを思い出していた。
自宅に駆けつけた時、めぐみはすでに死去。息子・拓郎(二宮和也)は髪を茶色に染め、チンピラ風の格好をしていた…。

* * * * * * * *

勇吉の誕生日パーティーを欠席して、拓郎が修行中の皆空窯を訪れた梓(長澤まさみ)は、作り損ねた廃棄皿を15枚もらうことに成功。

翌日、これで皿を割った埋め合わせができると意気揚々として「森の時計」に持っていくが、同僚のミミから「この皿はカレーに合わない」と言われてしまう。
マスターである勇吉もミミの意見に同意。やさぐれた梓は皿をすべて割り、職場を飛び出してしまう。

どこへ行くでもなく車を走らせていた梓だが、道端に車を止め、昨日拓郎に会った時のことを思い出してた。
陶芸の修行のせいで、拓郎が爪に土を詰まらせていたことを思い出す。
梓は再び車を走らせると、スーパーで爪ブラシを買い、拓郎のいる美瑛へと向かう…。


森の時計。若い男女のカップルが、走って店内へと駆け込んでくる。
ケンカをしているらしく、女は男から逃げ続け、対話を拒否。
男が諦めてその場を立ち去ると、残された女・秀子(田畑智子)は、店内でしくしくと泣き始めてしまう。

その時「森の時計」を訪れた朋子(余貴美子)は、就業員のミミ、リリと共に話を聞くことに。 新婚旅行で富良野を訪れたという秀子は、「昨夜夫に襲われた、レプされました」と泣きながら話し始める…。

秀子は結婚するまで男性との経験がないと話し、夫との初体験に抵抗を感じている様子だった。 さらに「スカートをめくられて、足の指をペロペロ舐められました…警察に言いに行きます」と言う。

あっけに取られながらも放っておけないと感じた朋子は、秀子を「北時計」に連れて行ってゆっくり話し合うことに。 勇吉はそんな女性たちをただ見守ることしかできなかった。


皆空窯に辿り着いた梓。 拓郎は少し驚きながらも梓を歓迎し、梓はお礼にと爪ブラシを手渡す。 陶芸のことをよく知らない梓に、土から空気を抜く土こねという作業を見せたり、ろくろを使ってみせる拓郎。

そこに拓郎の師匠である六介が現れると、若い女性がいることに驚いたのか、逃げるように退散。 妻の洋子に「朋子さんから預かっているのに、もしも若い娘に変なことしたら大変だ」と話すなど動揺する。


皆空窯を後にした梓が富良野へと車を走らせていると、携帯電話が鳴る。拓郎からだった。 六介が昨日の廃棄皿が必要になったと言い始め、悪いけど返して欲しいと頼まれる。

焦る梓は皿をすべて割ってしまったことを告白。だが六介は破片を素材に使いたいらしく、割った破片でかまわないと言う。 梓に廃棄皿をあげたことを六介に隠していた拓郎は、急いで破片を持ってきて欲しいと頼む。


「森の時計」へと車を飛ばす梓。 ゴミ集積所で皿の破片を見つけると、無造作に助手席へと投げ入れ、再び皆空窯へと急ぐ。 ハンドルを握る梓の手からは、破片で切ったのか血が流れていた。

皆空窯へと向かう道で豪雨に襲われた梓。 視界が悪い中を走っていると、雨で車がスリップ。 雨水が溜まった窪地に落ち込み、身動きできなくなってしまう。

心配して近くまで様子を見に来ていた拓郎は、梓の車を発見し、駆けつける。 車は一旦そこに残したまま、皿の破片を持って脱出…。


何とか破片を届けることができた梓。
濡れた服を乾かすために、拓郎の部屋でシャワーを浴びていた。

(梓) 男の人の部屋に入ったの初めて
(拓郎) ここは師匠の昔の家なんだ
お姉ちゃんに知られたら怒鳴られちゃう
服が乾く頃には水も引くだろう。そしたら車取りに行こうぜ。
遅くなるね
まぁちょっとかかるな
電話しとかなきゃ

そう話していたら雨は上がり、鮮やかな夕陽が姿を見せる。

梓が着替えている間、家の外で待っていた拓郎。 すると梓が「森の時計」に帰りが遅くなる旨を電話する声が聞こえてくる。 梓は父の喫茶店の従業員だった…。父との意外な繋がりを知った拓郎は愕然とする。


森の時計。今日も一日の営業が終わろうとしていた頃、昼間の新婚カップルの夫・健(中村俊太)が、妻の居場所を尋ねに再び訪れる。
ミミに促されて健と話を始める勇吉。

(勇吉) 奥さんの話、おおよそのことは聞きましたよ。
(健) なんて言ってました。
プされたって言ってたそうですよ、あなたに。
無茶苦茶だ。
私もそう思います。
けどね、人間、いろんな成長の仕方があるでしょう。
今は世の中進みすぎて、若い人たちが誰でも彼でも変な知識持ってるって、そう思ってるかもしれませんがね。
意外に全然なんにも知らない、取り残されたような人もいるんですよ。
だからね、初めて他人と結ばれる時には、それなりの優しさと、礼儀を持たんとね。
……
女って、一見強そうに見えて、実際は脆く弱いものなんですよ。
いや、弱く見えて、実際は強いもんなんですけどね。
分かりにくいですね、私の話…

あなたは女性はいっぱい知ってる?
いえ…初めてですけど
まったく初めて?
はい
そんじゃあこれからだ
これから全部始まるんだ
いやぁ、かわいいですよ、女ってもんは
優しく優しくしてやんなくっちゃ…

不器用ならがらもそう言って新郎を諭す勇吉。
すると「北時計」で朋子と話し込んでいた秀子が帰ってくる。
二人は仲直りをし、「森の時計」を後にしていく…。


その夜、一人になった勇吉の前に、亡き妻・めぐみ(大竹しのぶ)が現れる。

(めぐみ) なに考えてるんですか? マスターさん
拓郎のことを考えてたんだ
さっき若い人に、ものを教えようとしててね
俺がいかに、あの世代にものを教えることが下手かってことを痛感したよ
考えてみれば、俺はあいつに何も教えてなかったような気がする
話をした記憶もあんまりないんだ
あいつは礼儀なんて知ってるんだろうか
意外と知ってるわよ
暴走族に入ったりしてもか
私、けっこう厳しく躾けたもん
やってることはちゃらんぽらんだったけど、言葉使いは丁寧だったわ
お前にきちんと挨拶したか
したわ
近所の人とか、周りに対してもか
してたわ、ちゃんと
そうか…
何も知らないんだな、俺は
わが子だっていうのに、あいつのこと
ずっと仕事が忙しかったんだもん
これからはいくらでもチャンスがあるわ
昔みたいに何事もなく、あいつと付き合うことができるようになればな…
メグ
ん?
そういう日が、俺たちに来ると思うか
あなたの心がちゃんと解ければ
俺の心がか…
あなたの心がほんとに解けて、あなたがまた、あの子を愛してやれれば
あいつ今、誰かに愛されてるかな…
誰か…あいつを愛してくれてるかな
きっと…誰かに愛されてるわ


その頃、拓郎の部屋で梓がめぐみの写真を見つける。

ねえ、この写真の女の人だれ?
おふくろだよ
今どこにいらっしゃるの?
…死んだよ

拓郎は梓が「森の時計」で働いていることがずっと気にかかっていた。
そこには母の事故以来、仲が断絶してしまった父がいる…。

第2話終わり。



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