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人間・失格 名セリフ+解釈


[2003/05 update] 以前の名セリフコーナーに注釈をつけてみました

―― 誠のナレーション
―― 誠
―― 衛
―― 千尋
―― 新見
―― 夏美
―― 武藤
―― 松野

※このグレー色の部分は以下すべてFumiによる独断のセリフ解釈です
(制作サイドの意図とはだいぶ違う可能性があるので参考程度に見て下さい)



[1話]
人間は生まれながらにして自由だが、一方で鉄の鎖に繋がれている
ルソーの社会契約論にそうある
人間が家畜化してるらしいよ
家畜?
自然界では例えば、狼の群れがナワバリ争いをしても、殺したりはしない
種の保存にかかわるから
けど家畜の犬同士は、時に殺し合ってしまう
攻撃抑制が効かないらしい
人間も、人工的な世界に囲まれた家畜なんだって
ウサギの事ですか?
いや、人間同士のイジメのこと

ルソーに倣ったこの物語のイジメの定義。
イジメは自然状態にはない行為であって、本能的なものなのではないと。
無駄に繰り広げられる人間社会の競争や欲望、それらが陰湿なイジメを喚起する。
そのストレスは歯止めが効かない。
そんな残酷なイジメ問題を、競争社会の象徴ともいえる名門中学を舞台に描かれていく。

誠は何よりも大事な俺の息子や
万が一お前に何かあったら、俺のこの命くれてやってもいいぐらいに思ってる
それだけは信じてくれ

後半の復讐に対する伏線。
しかし、衛は誠の生前にその苦しみに気づくことができなかった。

[2話]
ある大金持の主婦に盗癖がある
医学的に調べると、新陳代謝率が高く副腎の活動が異常に活発になるらしい
これは生殖腺と密接に関係があって、生理の出血の度に大量のアドレナリンが分泌されるんだ
彼女は鎮静剤と腺の除去によって、ピタリと盗癖が収まった
つまり、身体的な理由によるものなんだ

生得的なものならば、意志とは別の身体的なものならば…
一体何が善で何が悪なのだろうか。新見の万引きは果たして悪なのか。

[3話]
何かが僕を殺そうとしている
それはきっと、人間じゃない
けど心配いらないよ
僕はいざとなれば助けてもらえるんだ
僕を愛し、信じて、包んでくれる
あの優しくて大きな、大きな波に…

[5話]
お父さん、僕行くわ
学校行く
店すぐに畳んだら、また借金残るやろ
お父さん現役の時よく言ってたやん
デットボールの後こそ内角を待つんやって
僕も逃げんと行くわ
お父さんの息子やから
学校行くわ

僕はとても嬉しかったんだ
もう一度キャッチボールができたから
ほら…昔よりもずっと強いボールが投げられるって、誰よりも知って欲しかったから…

父親との繋がり…それがイジメの渦中における誠にとって、唯一信じられるものだった。
最後に残ったものが親と子。そのどうしようもなく根源的な絆に涙が溢れる。

[6話]
手術の後を見たんや
体中、包帯だらけで
血がいっぱい付いてて
痛いんや
あいつは苦しいんや
あいつが生まれた時もそうやった
五体満足やったらそれで良かったのに
俺はあいつを、殴ってまで学校なんかに…
最低や、最低の父親や…

失うことでようやく気づく自らの過ち。しかし失われた命はもう戻らない。
救いようのない喪失感。あるのは自責の念と、ただ後悔だけか。

[6話]
先生…15歳の時ってどうでした?
私は夢いっぱいでした
もちろん、不安もあったけど
これから起こるだろう色々な事を考えて
どんな仕事を持つんだろう
どんな素敵な人に出会えるんだろう
そんな色々な事を考えて、胸いっぱいになってたりしたんです
それなのに…大場君は…

15歳なら誰もが持つような、人生に対する漠然とした希望。
それを失い、命を絶った誠。
すべての可能性を絶たれる若い者の死…それはあまりにも哀しい。

[7話]
大場さんは、寂しいんだと思います
そりゃあ、一人息子が亡くなったわけだから
いえ、それだけじゃなくて…
さっき、あそこに立ってみたんです
活けられた花は、そのままもうみんなが忘れさったみたいに枯れてしまっていて
まるで何事もなかったように、時間はどんどん動いているんです
そういう中であそこに立つと、取り残されたような気持ちで
とても寂しく感じられたんだと思います
息子さんの死に対して、無力の自分をとても寂しく…

絶望の中でも時は何事もなく移ろいでゆく。
その哀しみすらも失われていくものなのか。
一人の命の儚さ、そして人間の無力を当事者たちは実感する。

[7話]
イジメですか?
ありませんよそんなもの
例えあったとしてもそれが何だって言うんです
僕は入学した時からずっとイジメられてきたんだ
ずっとずっとイジメられて耐えてきたんだ
お金だっていつも巻き上げられて
その話を先生にしても取り合ってくれないし
話したことでまた余計イジメられて
親にだって言えなかったんだ
ずっと一人で耐えてきたんだ
大場がイジメで死んだからって僕は同情なんかしない
誰が死んだって同情なんかしないんだ

かつてのイジメ被害者であり人間の残酷さを熟知している武藤は、もはや人を信じることができない。
愛されたことのない人間は、愛を与えるこができない。だから簡単にイジメの加害者にもなれてしまう。
イジメられた人間はイジメ返す、そんなイジメの連鎖現象。

[8話]
狼たちには良心の痛みなどない
集団だから、罪悪感は薄れていくんだ
あぁ…僕に鉄の体があれば、彼らと戦うことができるのに
鋭い牙も決して通すことのない、鉄の体と強い意思が…

集団になると、一人一人の責任意識は希薄になる。
一人では無力で臆病でも、集団になると暴走を始めてしまう。
集団の中の誰もがその重大さを感じられない。罪悪の意識がない。個人としての主体性もない。

[10話]
やめてください!
誠君はそんなこと望んでません
…その子にも親がいるんです
大場さん、あなたと同じように悲しむ親がいるんです
裁判をしましょう
担任として、イジメや体罰があった事実を証明しますから…

僕には誇りがあるんだ
そう…父さんの息子だという誇りがね
泣いている人がいたら助けてあげる
どんな人にも平等に優しくしてあげるんだ
父さん…お父さん…
僕は大人になったら、あなたのようになりたいんだ

復讐をしても、また衛と同じように苦しむ親がいる。法社会では衛の復讐は許されない。
だがそれならば、イジメで殺されたという悲惨な事実をも甘受しなければならないのか。
そのジレンマに苦しむ。一体どこに息子を失った救いがあるのか。

[11話]
学校は退職してもらう、暗にそういう風に言われました
けど私は真実を知った今、諦めるわけにはいきません
自分の責任が問われても投げ出すわけにはいかないんです
イジメや体罰が私の知らないところであったんです
大場君は…
知らなかったじゃ済まないんです
自分の責任ははっきりさせたいんです
それが教師…いえ、人間としての義務だと思います

教師の前に人間…そんな当たり前の正義感でしか、秩序や正義を保つことができない。
それを失えば、目に見えない社会悪がまかりとおってしまう。
そうして不当に虐げられる人間は増えていく。そのような人間を救えるのは正義感だけか。

[最終話]
たとえば僕が死んだら、どうかこの事を忘れないで欲しい
人を痛めつけ、傷つけても、決して君自信は救われはしないんだということを
そこにはさらに無限の暗闇が広がり
差し伸べる手も、ついには見えなくなってしまうんだ

[最終話]
大場さんの復讐は、人間として許されないことかもしれない
けど、考えてみて
あなたがもしも大場くんと同じような目に合った時
あなたのお父さんが、大場さんと同じことをしたとしたら
あなたは自分のお父さんを非難する気持ちになるかしら
あなたを愛するあまり、人を殺めてしまったお父さんを責める気持ちになるかしら

傍観者は被害者の気持ちを汲むことができない。
だから一方的に悪だと断罪して非難する。
でももし自分だったら、という想像力を働かせていくしかない。

[最終話]
僕はイジメグループの一人でした…
すいません、許して下さい…
あたしに謝ってもらっても仕方ないわ
裁判の時に全部きちんと証言して
あなた達のしたこと全部話して
せめて…せめて誠君のために殺人犯にまでなったあの人の罪を、少しでも軽くしてあげて
それはできません…
なにを言ってるの?
許して下さい…許して…
許さないわ、そんなの許さないわ!
自分は泣いて謝るだけ?
他の生徒よりは謝ったからいくらかましなんだって
親に知られるのが嫌なの?
退学になるのが怖いの?
誠君はね、もっとずっと寂しくて、怖い思いしたのよ…

イジメのターゲットにされることで初めて、イジメの悲惨さを知った松野。
過去の過ちを過ちとして認める勇気が必要。

[最終話]
俺の中に、もう一人の俺がおったんや
誠は何しても、生き返って来えへん
学校であったことは、警察や先生にまかせて裁判で明らかにしたらええ
そう頭で分かってる俺と、抑えの効かん人間がな
いや、人間やない
確かに俺は人間やなくなってた
その時俺は、ためらいや心の痛みなんか、一切感じんかったんや
俺の息子を苦しめた…俺の息子を苦しめたあいつらに、何のためらいも感じんで復讐できた
どっかそうすることで、人間の心を失うことで
誠の気持ち理解してやれんかった自分を、一時忘れられたんや

被害者から加害者に転じた衛は、社会的には悪だ。
しかしそういった客観的な善悪としては測れない、親子の絆、親子愛というものがその家族にはある。
そしてまた、イジメの残酷な実態がある。その親の復讐も決して痛快なものではなく、同様に悲惨だ。
イジメに苦しむ少年。そしてその少年の死に苦しむ親。その親の復讐によって苦しむイジメっ子の親。
そんな簡単に善悪を規定できない関係を通して、人が人を傷つけてしまうことの悲惨さと、普段忘れかけている家族の絆の重要性をこの物語は描き出した。

[最終話]
大場誠君を殺したのはここにいるみんなです
私を含めて、直接イジメにかかわった人
からかうようにたきつけた人
見て見ぬふりをした人
知らなかった人
ここにいるすべての人が大場君を殺したんです
あなた達には実感がないんです
生きてる実感がきっとないんです
何か大きなものに流されて、自分がなんなのか分からないでいるんです
人間なのか
自分の体の中に何色の血液が流れているのか
傷つけると痛みを感じるのか
それが分からないあなた達は
友達の体から赤い血が流れて
苦痛に顔を歪めて
孤独や絶望で表情を失っていくのを見てほっとするんです
友達を傷つけることで、生きてる実感を感じようとするんです
勘違いしないでください
友達にいくら赤い血が流れていても、涙が溢れていても、それはあなた達自身じゃない
あなた達は、人間だとは言えません
みんなが…みんなが生まれたことだけで、もうとても素晴らしいことなの
生きていることだけで、素晴らしいことなの
自分自身の存在に、早く自分自身で気づいて
素晴らしい自分の命と同じように、友達の命も素晴らしいことに気づいて
自分を愛するように、友達も愛して
ごめんなさい大場君…
あたしは…あたしはなんにもできない、あなたの死を…

純真な正義感とトップの成績を疎んじられ敵視された誠は、イジメられ、死んだ。
一度失われた相手はもう戻らない。
相手を自分と同じ人間として尊重できなければイジメはなくならない。

[最終話]
君は僕の友達だ
いつも僕は君を守ってあげるよ
君がそうしてくれるように
君が涙する時は、日が暮れるまで僕もそばで一緒に泣くだろう
君がそうしてくれるように
さぁ、笑ってごらん
これからの長い人生を、僕たちは互いに助け合っていくんだ
時々けんかをしても、すぐに仲直りをするんだ

やがて僕たちが大人になり、それぞれ父親になった時
僕らの子供たちもきっと、素敵な…そう、かけがえのない友達になるだろう

親子…それは友達という野島さんの定義。
対立し合うものではなく、互いに支え合う友達。


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