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リップスティック 名セリフ


―― 有明のナレーション
―― 有明
―― 藍
―― 葛西
―― 千尋
―― 牧村
―― 沢村
―― 安奈
―― 小鳩
―― 小泉



[1話]
(有明) 例えば背中に翼を持っていても
僕たちはきっと、空を飛ぶことはできない
長い間試してみなかったせいで
僕らは皆、臆病になっているんだ
その翼を試したら、死んでしまうのかもしれない
そして僕もまた、決して飛ぶことはなかっただろう
翼折れてなお飛ぼうとする、君に出会うまでは…

[2話]
本当に…本当に淋しい時には、誰かに特別扱いされたい
本当に…本当に哀しい時は、誰かに話を聞いて欲しい
そして、大切にその人を想いたい
偽物じゃないって、祈りながら…

[3話]
そんな遠いことなんか、関係ない
大事な事なら、今すぐ知りたい
大事な人なら、今すぐ会いたい
君はいつか、そう言ったね…

[4話]
誰にでも優しくなんかしないんだ
八方美人になりたくない
誰にでも優しい人は信用しない
浮気とかって、しそうだから
何考えてるかわからないって、人は言ったりするけれど
ホントはすっごく、わかりやすい…

[4話]
(葛西) 僕も…登校拒否をしていた
学校や勉強がそれほど嫌いだったわけじゃない
それなのに…ある日、とても熱い日に蝉が鳴いていた
僕は少し遅刻しそうで急いでたんだけど
その蝉が止まっている電信柱を、立ち止まって見上げたんだ
とてもとても熱い日で、僕の苦手なプールの授業がある日だった
1分…2分…どのくらいそこにいたのかわからない
突然、蝉がジジッと小さく声を上げて飛んでいった
その時、その蝉のやつ、僕の顔におしっこひっかけたんだ
僕はなんだかとっても悲しくなって、そのまま学校には行かず、家に戻ってしまった
そして、そのままずーっと…
僕はだんだん行かないことに慣れていった
心の中は息苦しかったけど、体はなんだかすっかり慣れてしまったんだ
僕は本当に一日を家の中だけで過ごした
TVゲームのように、家では王様になってた
臆病で、ずる賢い王様に
他人とはほとんど口を聞かない
そして大人になった僕は、相変わらず、臆病で卑怯なままなんだ
けど、それは今になってなぜか良く分かる
僕はもう…もうきっと遅いんだろうけど
蝉を…僕におしっこをかけた蝉に腹が立たなかったからだ
追いかけてやっつけてやろうと思わなかったからだ
いや、少なくとも、思うだけはすべきだったのに
僕は、戦おうとはせず、逃げ出したんだ…
僕が教官になったのもまた卑怯な理由だ
ここには、僕を侮蔑したうるさい蝉たちがたくさん入ってくる
そのうるさい蝉たちを、安全な中で制圧できるからだ
しかし、誰も僕に屈服はしない…
僕は…僕はこんな奴になりたくなかった…
こんな奴になりたくなかった…

[4話]
(有明) 7年前、兄さんが事故で死んだその通夜で、父親も母親も、取り乱すように泣いていた
もちろん婚約者の彼女も、棺に顔を埋めて
僕は泣かなかった
その時はショックが大くて、その事実をまだ感じる事ができないんだと思っていた
けど本当は違う…
いつも圧倒的に比べられて、プレッシャーの中で生きて来た僕は
内心はホッとしてたんだよ
もしかしたら、ずっと胸に秘めていた彼女すら手に入るかもしれないって
…嬉しかったんだ

[4話]
(藍) もし…もし先生がいいって言うんだったら
ここにいる一ヵ月、その間だけ
その後は、空に消えるジャボン玉みたいに、跡形もなく忘れるから…
好きでいていい?
あぁ…

それをきっと、恋とは呼ばないよ
それをきっと、愛とも呼ばないね
それなら、二人だけの言葉を作ろう
誰も、使うことのない…

[5話]
あんな不意に告白しちゃった次の日は
大人な感じで会いたいけれど
不意に顔を見ると、うわっと凍りついたりしちゃう
そして、心から湧き出る優しい気持ちは
いきなり前世なんかも、信じちゃったり…

[5話]
(牧村) 僕に会えないと安奈は死を選びます
(沢村) そう洗脳したというの?
彼女はとても素直でした
およそ心に濁りがない
僕の話す言葉が宇宙のモラルとなりえた
決して封印は解かれないと?
無理ですね
そんな事をしたらアイデンティティを失い立っていられなくなる
いずれにしても死を選ぶと?
肉体はさほど意味を持ちません
悲しむべきことでもありません
なぜ、彼女をそんな目に…

[5話]
僕の描く絵に、足りないものは…
想像すること
僕はただ、目に見えるものだけを描写していた
本当に大切なのは、こうして想像すること
もっともっと、ディテールまで鮮やかに
イメージし、それを焼き付けること
また絵を描く?
さぁ、それはどうかな
口にするのはたやすいけど
僕にはきっと、飛ぶことはできない…
飛びたい?
まぁね…
私が手伝ってあげる
手を繋いで、連れてってあげる…

[6話]
(小泉) 宿命だよ
ある種、アーティストのね
彼はとても才能があった
しかし彼の才能は無限に湧き出る泉ではなかった
それを使い果たしてしまった後には、身悶えするような苦しみが待っていたんだ
もはや想像力も枯れていた
才能には2種類あるんだ
使っても使っても、後から補充される天性の才能と
環境や、ナルシズムによって培われている才能
残念ながら、君の兄さんは後者だった
芯から湧き出る創作意欲が失われてしまうと、後は生きる屍になるしかない…

[6話]
まっすぐなその黒い瞳に見つめられて
壊れそうに過ごす夜を想像した
もしも本当に壊れてしまったら、もう誰にも治せない
刹那の君を、いとしく感じた
刹那の君を…

[7話]
100%の安心感はいらないけれど
100万人に確かめたいんだ
聞いてよ聞いてよ
それってきっと…

[7話]
(千尋) 前に一度あなたが言ってたわね
飛びたかったと
私がもし飛ぶことができたら、彼と飛ぶことができたら…
彼の羽根が痛んでも、墜落させずにすんだのかもしれない
彼のためにそうしてあげたかったって言うんじゃないのよ
あたしも…
ねぇ…どんな感じだろう
二人で飛べるって
ほとんどの人が経験できない恋愛の高さよ
雲の上で愛し合う人などいないもの
他には誰も代わりうる相手もいないから、なんの不安も諦めもないの
いつか落ちる時も一緒
なんか、怖い恋愛だな、それは
えぇ、恋とは呼ばないでしょうね
きっと愛とも…

[7話]
君は僕のポケットを、見つめていた
あたしの持ってる寂しさに比べて
ダメだよ…ダメだよそんなんじゃ
あんまりチッポケで、あなたの服を破いてしまう

[8話]
自分だけが好きでいれば
不安も何もないけれど
すぐにちょっぴり、だんだんすっごく、怖くなるのは何故?
誰か、背中のぜんまいを止めて
もうきっと、後ろには戻れないから…

[8話]
恋愛より永遠の方が大切だよ
永遠があれば、何だって自由なの
離れていても変わらない
恋愛と永遠は混じり合わないの?
時刻表が違うんじゃないかな、きっと
恋愛は、みんなが乗ってる楽しそうなバスなの
歌を歌ったり、手をつないだり
いつか降ろされちゃうのに…
それなら永遠というバスは?
そう、すっごい空いてるの
みんな、なぜそっちに乗らないの?
目には見えないから
想像しないと?
うん…でも一人じゃだめ、二人とも見えてないと
君には…君にはそのバスが見えるの?
見えるよ、オンボロだけどね
すっごく優しいの
羽が生えてるから…空も飛べる

[8話]
(安奈) 痛い思いしてなんでお礼言うの?
(葛西) いや…初めてだなぁと思って、人を感動させることができたの
いつも、他人が作った映画やスポーツとかも、どっか皮肉笑いで見てたと思うんだ
感動したくなくて?
あぁ、感動すると負け、みたいな
小さい
そう、小さいんだ
自分は決して他人を感動させることができないと思っていたから
他人のエネルギーを侮辱していた
無記名で中傷記事を書いて、雑誌社に送ったりもした
悪意と嫉妬に満ちた惨めな自分を、無記名で…
ホントは主役になりたかった
あぁ…けど、自分は脇役にしかなりえないことも知ってた
いや、脇役ならまだいい
セリフもない、エキストラで終わってしまうのに耐えられずに
何にも属さないことで、僕の世界の中では主役になれていたから
寂しいね…
だからお礼言ってるんだ
僕なんかに感動してくれてありがとう

[8話]
(沢村) あなたを気の毒に思うわ
好きな人を洗脳することでしか繋ぎ止めておけなかったんだから
(牧村) 他にどんな方法があると言うんですか
人は忘れる生きものなのに
永遠を信じてないのね
まさかあなたは信じている?
信じたいとは思うわ

[8話]
やっぱり…先生にバスは見えないんだね
そんな妄想は沢山だ、そんなものありゃしないよ
君は…どうかしてるよ
…でも、これで良かったんだよ
だって私は、いっぱいいっぱい先生のこと好きになっちゃうから
そしたら、先生を壊しちゃうから
私も壊れちゃうから…

痛みも感じないほど傷ついて
いつか心はダイヤのように研ぎ澄まされた
キラキラ キラキラ
君の心が揺れていた
もしも誰かが連れ去るならば
僕は君を見つけることはできないだろう
そう…きっと、永遠に…

[9話]
誰もがみんな、生まれた時になくしちゃった心のパズルを探してるんだ
パチンとはめて、笑いたいよね
会いたかった…会いたかったよ
探したんだ…探したんだよ
なのにまた、引き剥がされちゃうの?
二人重なる、心のパズル…

[9話]
私は…たとえば、先生が誰かにひどい事しちゃったとしても
そのひどい事を先生がどうしてしたかなんて、そんな理由全然分かんなかったとしても
私はいつも先生の味方になる
たとえば…世界中の人が先生のことを悪く言ったとしても
たとえば…先生がほんとに悪い人だったとしても、私は先生の味方になる
だから、千尋の目をそうしたのが私だったとしても、私への気持は変わっちゃいけないんだよ
私がそうなんだから、先生だってそうじゃなきゃいけないでしょ

[9話]
熱い熱いお日様が、僕に向かって駆けて来るよ
いつの間にかずるい大人になってしまったこの僕を
焼けつくように、焦がしておくれ 跡形もなく、この僕を…

[10話]
寂しいからって、他の誰かを好きになるような
心の弱さは見苦しいね
たとえば、宇宙の果てに取り残されても
あなたをずっと待っていよう
体はいつか消えちゃっても
そこに確かに、あなたを思う
あたしが残れるように…

[10話]
安奈、まだ僕を憶えてるんだね
それならまだ間に合うかもしれない
この世に住む貧しい者達
他人を羨み、否定し、そして搾取する何者でもない貧しい者達から解放される
僕だけを信じて
君だけを信じて
怖いかい?
雨の夜に星は見えない
だからこそ僕たちの流れを、貧しい者達に見つからぬように
次の雨の夜に…

[10話]
僕は左脳人間なんです
あらゆる物事を論理的に解析してしまう
だから悲観的になってしまうんですね
常に最悪を想定して、そして想定したからにはそれを見てみたいという誘惑にも駆られる
だから僕にとって、あらゆる結末は悲劇的なものになるんです
その点、芸術家は右脳人間であるらしい
極めて楽観主義で、おおざっぱな人種です
そうかな、芸術家も悲劇的な結末を迎えた人は多い
僕の兄は絵描きだった
だった?
あぁ、自殺した
真の芸術家は自殺などしないと思いますが
ゴッホも?
死に至った理由は本人にしかわからない
神によって、強制的にその使命を終わらせられることもある
神…?あなたは神を信じている?
いや
でしょうね、神とはこの空の抽象化に過ぎない
人間は自分より上と下の狭間で安定することを望む
無限にブランコに乗ってると、おかしくなってしまうかもしれないからね

僕に才能はない
そうですか?
少なくとも僕は見てみたいな
あなたは開放された画家ではなく、むしろ正反対にこの閉塞された職場を選んだ
意識的に選んだんじゃありませんか
なぜそう思うんだい?
あなた自身が檻の中にいる錯覚を受けられる
僕が檻の中に居たいとでも?
何かの罰を受けるために
僕に何の罪があるって言うんだ
言葉遊びですよ

僕たち、友達になれたかもしれないのに
友達?
まるで正反対の人間だからです
僕は突き詰め、やがて消えゆく哲学者だと思っています
消えゆく?
そしてあなたは…
芸術家だと?
ええ

[10話]
火星人の話をしようか
もういいよ
どうして?
私、どうかしてた
答えて欲しかったんじゃないの?
21世紀には科学が進歩して、人の美的価値観は近づいていく
そして、みんな同じ顔になってしまった時
どうやって僕を探したらいいのかって、君はそう言ったね
うん
とっても簡単だよ
君は探す必要などない
一番近くにいるのが僕だからさ
君が楽しい時も、そして悲しい時も、いつも一番近くにいるのが僕だからさ
先生…
僕だからさ…
どうして先生が泣くの?
君を…愛してるからさ…
そんなの…わかってる

もしも許されるなら、君と子供の頃に出会いたかったね
泥んこに大はしゃぎして、パチッと写真に撮られようよ
どこかくすぐったくて、懐かしい
懐かしい君の思い出に、いつまでも残れるように…

[11話]
カチカチカチ
あなたとあたしの時を刻むよ
カチカチカチ
もうわがまま言って困らせないよ
でも大切なことはまだ伝えられない
だからもう少しだけ時間を戻して
カチカチカチ
あなたのそばにもう少しだけ
カチカチカチカチ…

[11話]
ほんと、僕らにはよく分かんないよな
今の子たちはどうしてそんな簡単に死のうとするのか
簡単じゃないですよ
僕もね、昔イジメられて死のうと思ったことがあるんですよ
今でもその時の気持ちを思い出すと吐き気がするほどです
大人は今の先輩みたいに死への恐怖感や価値観がなくなってきたと言いますが
死ぬことはいつだって怖いんです
けど、それしか方法はないと思い詰めちゃうんです
純粋だから、汚されてまで生きられないんです

[11話]
私が不治の病にかかってるの
それで毎日毎日痛くて苦しいの
それでもう限界で、先生に頼んだらどうする?
私を楽にしてって
そんな気の弱いこと言っちゃダメだって励ますよ
どのみち助からないのに、そんな気休め言ってどうするの?
どうするって…
それは、私のためって言いながら、実は自分のためなんじゃないの?
私がいなくなると自分が寂しいからって
それは…じゃあ逆だったら?僕がそう頼んだら
そうしてあげる
それで、ずっとずっと先生のことを好きでいる
おばあちゃんになってからも
寂しくない?
きっと時々は寂しいだろうけど、寂しいからって他の人を好きになったりしない
私だけの先生だったんなら、私も先生だけの私なの
二人ぼっちになれるよ

[11話]
残念ながら僕は愛だけを求めました
性的欲求を排除することだけが、互いに精神で繋がれる唯一の方法だと
心で繋がりたいと思った時、肉体は邪魔だ
しかし君の精神性に三池安奈はついて来れない
だから洗脳した
なぜ待てなかったんだい?
君のレベルに、パズルのようにはまる女性がいずれ現れたかもしれないのに
そんな女性はいません
確かに…いや、僕は知ってるよ
君のように、震えるように相手を探している女の子を

あなたは、その…僕のように追い詰めてしまう彼女を受け入れられますか?
あぁ…
良かった

[11話]
(葛西) 僕が、そばに付いていれば…
君を施設なんかじゃなくて、家に帰してあげられたのに…
ごめんよ…僕が…
(ポッポ) 先生のせいじゃないよ
私は、まだ家に帰っちゃいけないの
パパやママに優しくできないから
みんなに優しくできないから
誰かが蝉におしっこかけられてても、代わりに怒ってあげられないから…

[11話]
君の絵が完成したよ 描いててね、ちょっと不思議な気がしてきた
もちろん君を外から描いてるんだけど、なんかだんだん内側から描いてるような気がしてきた
そう…まるで僕が君のお腹にいて、母親である君を描いてるような…
先生があたしの赤ちゃん?
あぁ、不思議だね
先生があたしの赤ちゃんなら、あたしと離れるのは寂しいはずだよ
寂しいよ
悲しいはずだよ
悲しいよ
苦しいはずだよ
とても苦しいよ
だったらその前に楽にしてあげよっか?
君が看取ってくれるなら
冗談で言ってるんじゃないんだよ
僕の顔をごらん
君ももう、脅えることはなくなる
僕は、君だけのものだから
おかしいよ…赤ちゃんがママ抱きしめて…
あぁ…

僕の心の暗闇が
君の燃えるような愛に溶けたよ
その優しいみかん色の夕日を、奇跡と呼ぼう
やがて死が二人を引き裂いても
僕は消えずに君を守ろう…

[最終話]
残り少ない君との時間に
僕は何もかも伝えよう
そしてまた、君も…
人は皆生きていく上で、時には嘘も必要だという
知らなくていいことは、伝えるべきでもないと
だけど二人に、もはや嘘や隠し事など無意味なんだ
僕たちは二度と、会うことはないから…

[最終話]
中学2年の時です
僕ら男子の数人は、ある日の放課後ふざけてトイレでマスターベーションしました
顕微鏡で自分たちの精子を見物しようと
その時気付きました
自分が無精子病、つまり子供ができない体であるということを
ショック、だったでしょうね
ショック?
僕は子孫繁栄という動物が持つサイクルに取り残された者なんです
僕の種は僕で終わる
それを知ったのがまだ14の時なんだ
…それがあなたの全てなのね
しかし衝撃が心を支配しないように、僕は徹底的に論理武装を始めました
肉体は無意味なものだと?
人間は動物とは違う
人間は、万物の霊長たる人間ならば、性より遠いところで結ばれるべきだと
だけど、そんな人間はいなかった
この世界は、心などなくてもたやすく引かれあうオスとメスで溢れかえっている
僕は孤独でした
だから三池安奈を洗脳した?
しょせんは無意味でしたけどね
安奈もきっと、最終的には僕に抱かれることを夢想して従ったに過ぎないんです

[最終話]
完全な人間は怖いと思ってた
人を見下すしかないから
あなたがそうじゃなくて良かった
誰でも欠落した部分はあります
多くは心の中でしょうが
最悪なのは、鈍感で感受性の薄い人たちです
彼らは、わからないものは否定する、排除すると言ってもいいですね
…まだ二十歳の時にね、乳ガンで摘出したの
その時には恋人がいて、私は手術の痕を彼に見せた
隠さずに
その後も、好きな人ができると必ず見せるの
それで嫌われても、目に見えるものを恐れたら、しょせんは年老いたら愛されない
女である前に、人間だから
万物の霊長たる
それに、かえって選別ができるとさえ思うから
いつか本当の人が、それでも好きだと言ってくれると
本当の人?
えぇ、あなたにもきっと
もしそんな人がいなかったら?
それでも、この星のどこかにはいたんだと

[最終話]
ひまわりは、いつでも君たちのそばに咲いている
君たち自身がまた、ひまわりのように咲くことができれば
やり直しのきかない人生などない
例えば老人になったとしてもだ
僕は知っている
この鑑別所の中でも、君たちのすぐそばで咲いているひまわりの花を
そして、君たちもまたひまわりになれるということを
ひまわりは日差しを欲しがる
しかし、争うようにはしない
みないたわり合うように、太陽の出る東の空を向いている
ここは君たちを裁く場所ではない
君たちが、自分を見つめ直す場所だ
人の分の日差しまで欲しがらなかったか
いじけて、咲くことをやめなかったか
僕は知っている
君たちは、友達というひまわりを求め
そして君たちもまた、ひまわりになれることを
ひまわりの花言葉を知ってるかい
いつも、そばにいる
そしてもう一つある
あなたは、素晴らしい
そばにいる人に言ってあげられるかい
そうしたら、君も言ってもらえるよ
あなたは、素晴らしいと

[最終話]
一緒に、おいで
もう、苦しむことはない
彼を救うんだ
そして、君も救われる

[最終話]
君に愛してると言えないこの口は、無意味なんだ
君の声を聞けないこの耳も必要ない
君が映らないなら、この目もまた…

本当の人に会いたいね
この宇宙でただ一人の相手と、巡り会いたい
何万年も前から、ずっと変わらぬ唯一の人へ
ごらん、この世は青と白と緑だけ
ただそこにある単純さは、子供の描いた絵のようで
あきれるくらいに、美しい…



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