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過去ログNo1
真島青年  Name:がりや
 第7話に真島という、病院の患者の青年がいる。。
 亜紀にとってその出会いは希望であり、そして絶望でもあった。彼女は、病院の庭園で画を描く後ろ姿に声をかける。「廣瀬です」と自己紹介した亜紀は、「真島です」と照れくさそうに会釈する真島を清々しく見上げている。その姿はとても自然に見えた。
 朔はその光景を目撃し、瞬時に何かを感じ取り嫉妬する。亜紀はその意をくみ、まるで朔をなだめるように「彼氏です」と紹介し、真島もさわやかな笑みで朔に返事をする。朔に比べれば、亜紀も真島もずっと大人のようである。

 亜紀は、その後真島の病室を訪れた。彼女にとって真島との出会いは重要であった。彼女は真島から、謎であった詩の由来、そして、彼女自身の本当の病名まで知らされる契機となるからである。真島は、淡々とした中にも強い意志をもち、寛容で穏やかな青年のようであるが、医学事典に落書きされた、「バカヤロー」の文字が、そこまでの葛藤の激しさを表しているようで痛々しい。

 真島との出会いは、亜紀の短い人生の中で、彼女自身の夢を凝縮させたかたちで実現する瞬間でもある。
 絵本の編集者になりたいという彼女の希望。世界を旅していろんな民話などを取材したい彼女は、アボリジニの詩と真島という画家に出会い、「ソラノウタ」を完成させる。亜紀が企画し、いわば真島の協力で作成された絵本は、必ずしも彼女自身が意図した形ではなかったかも知れないが、17年後の最愛の愛読者、朔の魂をも救うことになる。絵本の価値はわからないが、それが誰かを突き動かすほどの感動を与えるすばらしい作品であることを考えると、彼女の夢は、模擬的ではあったが、真島との協力でひとつを実現したのである。

 また、こうも考える。初恋とは儚い夢のようなもので、大人になる経緯にいつしか失ってしまうものである。亜紀が病魔に倒れることがなかったら、朔とのことも、自然、思い出として消滅する運命にあっただろう。亜紀と朔に特別の思い入れがある人には受け入れがたいかも知れないが、物の道理を優先する大人の視線ではこのような終結を無数に見聞きしてきた。
 おそらく、亜紀は、大学に進学しやがて社会人となり、いろんな新しい出会いをもち、朔のことは過去のことになるだろう。思えば、亜紀は真島に関しては積極的であり、自分の方から声をかけ、そして好きな詩をも提供している。その姿が、あまりに自然で当然のような光景に映るのは、おそらく亜紀は、まだ見ぬ将来、この真島青年のような人物と出会いをして結ばれる別の運命の予感があったのではないか、ふと思わずにはいられない。真島青年との短い出会いは、彼女の遠い将来の、もう一つの希望体験としてあったのではないだろうか。もちろん、そのときの亜紀には、無意識であることは間違いないのだが。
 しかし運命のいたずらは、亜紀に別の最悪のシナリオで、彼女の命を奪い取ってしまう。
 亜紀の生きた17年間がこんな形で終わらせたくないという亜紀の願いは、真島という青年との短い出会いにより、瞬時ながら、果たせなかった亜紀の人生の夢の実現をかいま見せてくれたひとときでもあった。

 朔に愛され続けて、朔に看取られ、朔の犠牲的な愛を受ける。それは彼女の不幸でもあり、幸せでもあった。
...2005/01/28(Fri) 18:00 ID:kkZ/Na8Q    

             Re: 真島青年  Name:momo
 真島との出会いは、亜紀の短い人生の中で、彼女自身の夢を凝縮させたかたちで実現する瞬間でもある、というあなたの考察はとても感銘しました。
 私もこの物語で真島青年の存在が気になっていました。亜紀も元気だったら、別の生き方もあり、そしていつか元気な真島青年に出会うこともあったでしょう。そのときは、サクは…w
...2005/01/28(Fri) 19:09 ID:PL/ZYCBk    

             Re: 真島青年  Name:hiro
真島青年を「男性」と見る見方もあるのですね。
第6話最後での様子は、「木の絵」に興味を持ち、近づき、次に点滴の薬が自分と同じであることに気付き、話しかけます。
私は、真島青年を映画での川野青年とダブらせて、真島青年が「白血病」であることを前提に観ていました。
以降、病気や死生観について先を進んでいると思われる先輩のような感じで接していたのではないかと思いますし、実際、亜紀がアボリジニの死生観に関わるきっかけをつくっています。
ただ、結果として、生物の先生に教えてもらった(弔辞で詠んだ)詩はアボリジニではなくネイティブ・アメリカンのものです。
もし、真島青年がもう少し長く生きていれば、同じ病気の戦友とか病気に対するアドバイザー的な存在として大きくなっていったかもしれません。

また、絵本「ソラノウタ」は真島青年の絵とサクの空の写真と弔辞で詠んだ詩を亜紀が編集と加筆したものなので、サクも作者の一人です。

もし亜紀が白血病にならなかったら・・・
大学進学のため、東京に出るであろう亜紀と一緒にいるためにサクが2年の夏休み以降、勉強をがんばって東京の大学に進むという未来もあるでしょうし、
今までどおりの生活で、サクは地元に就職し、心が離れていく・・・という未来もあるかもしれませんが、
それは誰にもわからないですね。

それと真島青年の行為で賛否あるかも?と思われるのが、亜紀に自分の医学辞書をみせるところです。
もし亜紀が本当に「再生不良性貧血」であれば、心に大きな不安を抱えて病気と戦うことになります。
「再生不良性貧血」であっても2,3ヶ月で退院できるものではありません。
真島青年に亜紀が「白血病」であるという確信がない限り、あの(「再生不良性貧血」に×をし、「白血病」に○をして)医学辞書は、どうかと、個人的には思います。
...2005/01/28(Fri) 21:32 ID:AOHWjJ1U    

             Re: 真島青年  Name:momo
サクの家で朝ご飯を食べるのが夢だと言い出して、亜紀の夢がしぼんでいく姿はあまりに哀れでした。
そして、何もすることのなく何かスケールを感じさせないサクと、やっと等身大になってサクと亜紀の釣り合いがとれたように見えるのも情けなく泣けてしまいます。。

 病院で亜紀が真島を自然に受け入れている姿は、この物語のテーマからはそれるのですが、あれれ、と感じるところがあります。亜紀が真島に男性として意識するというのではなく、同志のような、あるいは旧知のような、まるで家族のようない受け入れ方です。事情を知らない人が見ればまさにお似合いだという自然さを思います。今さら言っても始まらないけど、亜紀は将来、真島のような風貌と性格の人と出会ってあるいは結婚するのかもしれないとさえ思いました。真島青年は大人亜紀の将来の男性像の象徴のように思われました。いつかは、ご指摘のようにサクとのことは夢のような淡い思い出になってしまうのでしょう。そう考えると、死という重いテーマを突きつけられ純愛を貫くこの物語とは、別のストーリーが次々思い起こされ、何かほっとするものがあります。
 
 真島青年は大人です。そして患者としての痛みも周知の人です。亜紀の率直さに、真島はあえて下手な嘘は吐かず、事実の受け入れを認めるよう勧めます。あっけないくらい率直に。そのことを軽率のそしりと受け取る人もいますが、しかし真島は、隠されて不安に時間をつぶすよりも、自分のあり方を早く探ることの方が患者の立場から正しいのだと考えているのだと思います。避けて通れない亜紀の痛切な運命の受け入れに風穴を通した結果からも、真島青年は間違ってはいなかったと思います。
...2005/01/29(Sat) 00:05 ID:QAcUbqRY    

             Re: 真島青年  Name:hiro
その「真実」=「白血病」が彼にはわかっていたのが不思議なのです。
亜紀が自分の病気と真島青年の病気が同じなのではないかと思ったのは点滴の種類とマスクをしなければならないというところからです。
しかし、点滴は「ソリタ−T3号」と院内製剤でした。
これで「白血病」だと思うのは短絡過ぎます。

亜紀が自分が真島青年と同じ病気(=白血病)だと考えることは彼にもわかっていたと思うので、あの辞典では「再生不良性貧血」についてもきちんとした知識を持たせる必要があると思います。
別スレにも書きましたが、「再生不良性貧血」が軽くみられているような気がします。
「再生不良性貧血」もその10年前ほどは不治の病とも言われています。この病気だったとしても大変なことなのです。
もし、彼の見込み違いで、亜紀が本当に「再生不良性貧血」だったとしたら、その後、彼女がどんな不安を持って治療を受けるか、そして場合によっては、誰も信じられなくなるか・・・というところを、大人であれば考えて欲しいと思うのです。

もちろん、真島青年にそれなりの「根拠」があって、彼女にメッセージをしたのであれば、話は別です。

ただ、この時期に亜紀が白血病だと気付かなければ、この作品が成り立たないので、私自身は受け入れいますが・・・実話だったらエライことかなと思っています。
...2005/01/29(Sat) 00:31 ID:afavQqiw    

             Re: 真島青年  Name:ペーター
亜紀にとっての真島青年の人物像、そして、「もしも」の場合の将来については、あえて触れませんが、hiroさんが疑問を呈した「医学辞典」のシーン、亜紀が見せて欲しいと頼んだとき、真島青年はどう応えるのか、オンエアを見ながら特に注目した記憶があります。
「再生不良性貧血」の項目に大きなバッテンと「ばかやろう」のなぐり書き、そして、その対向ページに「白血病」の項目。そういった「仕掛け」が仮になかったとしても、医学辞典を見れば亜紀は自分の症状と白血病の因果を突きとめたかもしれない。ただ、もし突きとめられないとしても、あの状況で、真島青年に亜紀の頼みを断る、合理的な説得力のある理由はなにひとつ無かったのではないかと僕は思ったわけです。
あのシーンを見ながら僕は、真島青年は亜紀の申し出を断るのではないかと一瞬思いました。しかし、何と言って、どういう理由で断るのか、が分からなかった。そして、彼は何も言わずに医学辞典を差し出した。
仮になんらかの、こじつけめいた理由をつけて真島青年が亜紀の申し出を断ったとする。それは恐らく、説得力に欠けたものになるでしょう。そうなれれば、直感力に優れた亜紀はきっと「なぜ見せられないのか」「見せられない本当の理由があるのではないか」と考える。その時点で、自分が真島と同じ白血病だと考えるかもしれないし、あるいはその後、あらゆる手を尽くして医学辞典を手に入れ、自分の病気に気づくかもしれない。
ある種、達観した感のある真島青年はそういうこともすべて見越した上で、医学辞典を手渡しのではないか。
あの状況で、患者である真島青年が持っていた医学辞典を、同じく患者である亜紀に見せられない理由、亜紀が納得できる理由があったとは思えないのです。
真島青年は積極的に医学辞典を見せたわけではない。それは亜紀の要求であり、その申し出に対して断る理由を真島青年は見つけられなかった、ということだったのではないかと、僕はあのシーンを解釈した次第です。
...2005/01/29(Sat) 01:35 ID:gwCo5S6o    

             Re: 真島青年  Name:にわかマニア
 真島が亜紀とサクとでどういうやりとりがあったかを知っていたかどうかは判りませんが,その前段に,サクは亜紀に頼まれた医学辞典を見せたくなかったので「貸出中」とウソをつくというシーンがあります。ひょっとしたら,亜紀は,その時点でその不自然さから,自分の病気について,本人には伏せなければならない何かがあると感づいたのかもしれません。
 同じ病気の患者は映画にも登場しますが,ドラマの場合は,死生観という手品以上のものを教わったという意味で,存在感が大きく扱われています。

 同じ薬を打っている患者を見かけて声をかけたことがきっかけで自分の病気を知るというストーリー展開なのに,実際に画面に登場するのは,一般的な電解質の補充用の「ソリタ」のため,ここから白血病を特定するには無理があるというのは,hiroさんご指摘のとおりです。これは,視聴者の中にその病気の人がいるかもしれないという制作上の配慮というよりは,実際に患者同士の情報交換から伏せてある病名がもれないようにという治療側の配慮でしょう。つまり,病状に応じた薬剤は予め電解液の中に混ぜた上で点滴している訳で,だから朝の入院病棟は「取り違え」のないように患者毎に点滴を用意するのにてんてこ舞いなのです。
...2005/01/29(Sat) 07:19 ID:4iMWbhu.    

             Re: 真島青年  Name:momo
 真島から医学事典を借りようしたときの真島の言動にそんなに問題があったのでしょうか。
真島も亜紀の治療法をみれば自分と同じ症状であることを容易に感じとります。
医学事典を見せて欲しいと言われたとき、一瞬、ためらいがあります。しかし、不用意に断ることのほうがこの場合、不自然だと感じ、そして、「どうぞ」と亜紀に差し出します。そして亜紀は、初めて白血病の可能性を知ります。真島が医療を施す側であれば、その行動は医療倫理に反し、そしりを受けるのかも知れません。しかし真島は亜紀と同じ、医療を受ける側の人間です。そして、負けず嫌いなんだから、と言われ、それが解る君もね、と同志的な会話ができるほどに接近感が芽生えています。
真島は、亜紀のことを白血病だとは言っていません。しかし否定もできないのだから、その後のことは自分で立ち向かうを決めるしかないと言っているように思えます。じつに、白血病で絶望的な治療に苦しんできた患者ならでは、真摯な答えであると、わたしはむしろ感銘を覚えます。その可能性について最も苦しむのは、本人自身なのだから、事実を求めるは、廣瀬さんが自分で決まることなのだ、と医療をする側からの模範解答ではないかも知れないけど、シナリオ的にも道理のあった納得のいく回答でだと考えます。

 この後、亜紀は、サクについて言を弄し、つまりひっかけて事実を引き出します。聡明な娘ですから、誰から聞き出せばいいのかと選択したに違いありません。
 そのとき私は、なぜ、サクだったのか、ということを考えます。サクこそ、その相手に相応しいと考えた亜紀の心根が嫌いです。このことでサクが永く傷つくこともわかり、そしてサクをくみやすい相手だとも思っていた、そのことが許せません。いかにせっぱ詰まった事情があるにしても、私は愛情ある相手にはこんなスティングを仕掛けることは絶対にしません。
 それに反して、真島青年の亡くなった後の、亜紀の反応は異常でした。白血病なら死ななければならないのか、とつっこみたくなるほど、亜紀は入水自殺まで図ります。しかし、サクの犠牲的な説得に動かされ、俺を裏切るな、という叫びについに、はい、と返事をするのですが。このシーンは果たして必要だったのかと思います。シナリオ的にも、病気で苦しむ人に失礼だという人もいるはずですので、その危険をあえて踏み込んだ趣旨に理解を苦しみます。あえて、深層的に、真島を失った喪失感が彼女を襲い、衝動的に自殺に突き進んだのだと、理解しています。

 映画ではわずかでしか扱われなかった同病の患者が、ドラマでは真島という名前で登場し、物語の中心に関わっていることを注目せずにはいられません。
 真島青年と亜紀。二人の人生が、あまりにも駆け足で過ぎていく速さを思ったとき、この二人にもっと別の人生があればと、ついつい思いをはせてしまいました。
...2005/01/29(Sat) 20:45 ID:QAcUbqRY    

             Re: 真島青年  Name:ダメ人間
亜紀が何故病状を聞きだす相手をサクにしたか、ですが、
確かにサクには残酷な事ですが、亜紀のその時の心情を思えば止むを得ない、かな?とも思うのですがどうでしょう。

病状が分からないこの時こそ恐らく一番亜紀が不安だった頃であろうと思います。
その状況では相手の立場を考えられずに、サクの性格を利用してしまった事を亜紀が非難されてしまうのはちょっときついかな、と。

10話ではサクの今後を心配してタクシーから突き飛ばしていますし、両親にもサクを責めないで欲しいとお願いしています。
この時はもう自分の運命を見定めているし、絵本も完成後だったので死生観についてもほぼ亜紀の中では完成しています(のちに天国についてのやりとりはありますが)。
この時の方が精神的には安定していたのでサクのことを思いやる余裕もあったんでしょう。
自分の病状に疑問を持ち、しかもそれがとてつもなく死に近い予感がある状態では
なかなか周りの人間、サクを思いやる余裕は無かったと想像しますが、どうでしょう。

このドラマに思い入れが強いために無理に擁護をしてはいないかを気をつけて考えてみたつもりです。

私は白血病になったことも同じような病気になった経験も有りません。
そんな人間が白血病患者の気持ちを推理するなんて不遜なんじゃないか、という気もしますが、それじゃ何のドラマの感想も述べられない、という事で聞いていただけたらと思います。
...2005/01/29(Sat) 21:34 ID:6aInctgg    

             Re: 真島青年  Name:どんき
 これはまたたいへん良いスレッドが立ち上がったものですね。がりやさんの提起以降の皆さんの議論を読んでみると、確かに真島青年の存在はたいへん大きいことに気づかされます。

 momoさんの書き込み、
>  映画ではわずかでしか扱われなかった同病の患者が、ドラマでは真島という名前で登場し、物語の中心に関わっていることを注目せずにはいられません。

で、気づきましたが、真島という名前の由来は夢島だと思いました。亜紀は夢島という異界で絵本編集者になるという夢を語り、現実世界の病院で自分の真の病名を悟らされ、彼の描いた絵を素材にして絵本「ソラノウタ」を編集し儚くも夢を実現する。
 いままで真島なんてちょっと変わった苗字だなぁと漠然と思っていただけでしたが、ちゃんと意味のある名前づけだったのですね。
...2005/01/29(Sat) 23:22 ID:ppFgDmhM    

             Re: 真島青年  Name:ひとみ
momoさんへ
hiroさんのおっしゃりたいのは、この物語ではいいけど、実際にやっちゃダメよ。ってことだと思います。
にわかマニアさんもおっしゃるように、薬ではわからないと思うし、マスクをしていたらそうだということではないでしょう。
本当に再生不良性貧血の人に、あの医学辞典を見せたら、自分が白血病だって思うかもしれないですよね。

サクちゃんから聞き出したのも、ただただ不安なだけで、医学辞典にこう書いてあったからっていうのでは無かったからでは無いでしょうか?
アキちゃんのことですから、根拠があれば佐藤先生に聞くと思います。

でも私もアキちゃんの心を風のように駆け抜けた真島くんはとても素敵に思いました。

momoさん、hiroさん、感じたまま書き込みましたが、嫌な思いをされたら申し訳ないです<(_ _)>
...2005/01/30(Sun) 03:37 ID:ZwAOMnZM    

             Re: 真島青年  Name:はちはちまる
この時代なら白血病のような大きな病気の場合都会の病院に転院する方が自然だと思います。小説の舞台である宇和島なら南予地区の中心地であり地元で入院もありえるでしょうが宮浦はどう見てもそんなところには見えませんでしたし。
だとすれば稲代総合病院はそういった難病専門の病院だったと考えられ入院している人がみながんや白血病、といった状況ならアキが自分もそうでは、と思う方が自然でしょう。
アキの立場からするとサクも「おとうさんたちとぐるになって私をだましている」わけですからサクを引っ掛けて口を割らせよう(少々えげつない表現だな)とするのは当然だということになるでしょう。
仮にサクが引っかからなかった場合「逆ギレ」で問い詰めようとするのではないでしょうか。

治る見込みのない人の見舞いに行くのはつらいものです。ましてや病名を伝えるなと言われていればなおさらでしょう。なのに毎日見舞いにいくサクの精神力はすごいものですがサク父に言われるまでもなく「疲れたー」という顔をしていたでしょう。
それだけに日々のサクの態度からアキも何かしら隠しているな、と想像したのではないでしょうか。
...2005/01/30(Sun) 20:01 ID:L1AZigEE <URL>   

             Re: 真島青年  Name:やたべ
真島青年のことが話題になっています。興味深く、拝聴いたしました。
もし真島青年の立場であれば、私は、教えてあげられるほど、亜紀さんへ優しい気持ちを持ちたいと思います。彼のように率直に亜紀に知り得る情報を可能性として教えてあげることは、同じ入院生活を患者としてあるべき姿だと痛感いたしました。
医療側と患者との齟齬は、私自身も、深刻な症状で入院生活を送った些細な経験からも、感じたことであります。医療側から、家族に箝口令を敷かれ、病名を伏せられまま情報を制限され、不安と不信感でおののいた数ヶ月間は記憶から消し去りたいほと辛い体験でした。
患者は事実を知りたい。知る権利もある。何故なら、せっかく生を受け精一杯生きてきた自分が、何故倒れ、何で死ぬのかは、医者でも家族でもない、私自身の問題として、しっかりうけとめたいという人間としての当然の欲求からです。事実を知っただけで立ち直れない患者をたくさん診てきましたから、と若い医者に本当の病名を聞き出したとき彼をそう言いました。私はそれは違うと、叫びたいのをかろうじて抑えました。
本当の病魔との戦いは、患者が知りうるすべての情報を持ったときに始まります。人生経験も未熟な若い医師に、生命をゆだね、それを知ったからと言って何ができるのだ、とはねつけんばかりの高慢な医療機関側の態度は、生命の危機を脱出した今も不快であり、屈辱だったのです。結果として、医療治療は成功し、スタッフに感謝をせねばならないのですが、治療する側だけの一方向的な情報の中で入院生活はもう二度とご免で思い出したくもない経験でした。真島青年の行為を非難されておられる方のご意見は、まさにその時感じた怒りにも似て、思わず、解ってないと叫んでしまいました。あの時叫びたかったことは、患者にも人間の尊厳があるんだ、そう知らしめたかったです。医療機関の側の立場にもいろいろありますが、どうしても書きたくなりました。貴重な板を汚してごめんなさい。
...2005/01/30(Sun) 21:56 ID:DxmCzn/E    

             Re: 真島青年  Name:hiro
えー、何度も誤解無きよう説明しているつもりですが・・・
私は告知することの是非を説いているわけではありません。
パジャマを着てマスクをし、「何で貧血でこんなに長く入院しなければいけないの?」と思っている人を見て、「再生不良貧血」ではなく「白血病」だとは判断できるのかな?
と私は思ったわけです。
つまり、その人は「再生不良性貧血」の患者さんかもしれないぞ。と。

そして「再生不良性貧血」の人に、「再生不良性貧血」に×、「白血病」に○の医学辞典を見せて、「自分で決めなさい」と言っているとすれば、
辞典の内容から判断できるのであればいいのですが、その後の彼女の様子では、ただ、不安になっている様子だったので、どうかな?と思ったわけです。

実際の物語は、亜紀は「白血病」(答えがわかっている)ですが、本当に「再生不良性貧血」だったらどうだっただろうか?という疑問を投げた訳です。

くどいようですが、
「再生不良性貧血」の人に
「白血病かも?辞典見せてあげるから、それはあなたが決めなさい!」
だったら、いかがでしょうか?ということです。

レスの前提の殆どが「亜紀に白血病だと教えてあげる」になっていたのですが、その前提が違うのです。
それと真島青年の行ったことが「間違っている」とも思いません。「もう少し配慮が欲しい」ということです。情報が無いものにとっては非常に影響力のある貴重な情報提供者な訳ですから。

ちょっと熱く(&くどく)なって申し訳ありません。
...2005/01/30(Sun) 23:10 ID:DxmCzn/E    

             Re: 真島青年  Name:hiro
ひとみさま
 そうです。「再生不良性貧血」の人に・・・なのです。
 何か私の言いたい事をシンプルにまとめられているようで恐れ入ります。ありがとうございます。
 私の場合、誤解を避けようとして、却ってややこしくして、誤解されたかもしれません(反省)。
...2005/01/30(Sun) 23:16 ID:DxmCzn/E    

             Re: 真島青年  Name:やたべ
hiro様
後で読み返せば恥ずかしいような文面で、赤面しています。
真島青年が、医学辞書を見せたのは、○と×で差し出されたものだったのですか。一度しか観ていませんでしたので、そうとは知らずまったく、別の深読みで観てしまいました。
私は、それが×ではなく、書き殴った苦悩の形跡で、病名が否定されたことで「ばかやろう」とか、書いてあるんだろうと勝手に解釈いたしました。外見からもまじめな好青年に思えましたから。そして偶然開かれた頁こそが、亜紀の知りたい情報で、そのことに亜紀自身が驚いているのだと思っていました。青年の言う、そう病名だって確かにあるわけだから、自分でも調べてみるべきだ、というような意味の言葉は、同じ病院の患者同志の会話として、あるいは親身になる先輩として当然あるべき姿で、必ず通過しなければならない道だなと、勝手な読み込みをしていました。ご指摘のような○か×かを突きつけるような専横な行為だったとは正直思いにくいので、そう考える余裕がもなく、筋違いなことを書いてしまったことをお詫びします。
...2005/01/31(Mon) 00:21 ID:p/qCtA/Q    

             Re: 真島青年  Name:hiro
やたべさま
DVDで確認しました。
「再生不良性貧血」の頁は、×と「ばかやろう」の書き込み
「白血病」の頁は、○ではなく、赤のアンダーラインでした。

私は真島青年の行為が間違っているとは思いません。
突然、詩の意味をたずねて部屋に来たのは亜紀ですし、その時、医学辞典が目に入って、見せて欲しいといわれて渡したわけです。
その時、書き込みがあるからでしょう。少し考えています。
また、書き込みに関しては、当初「再生不良性貧血」といわれ、実際、「白血病」だった彼の辞典ですからありうることです。

ただ、その辞典を読めば、自分に「白血病」の可能性があると亜紀が思うのもわかりきったことです。
であれば、例えば、彼の持っている知識・情報などを提供してあげないと、今後、彼女は眠れない日々を送ることになります。
自分で調べる方法を彼女は持っていないのですから。

もし、彼女が本当に「再生不良性貧血」だったら、サクが信じられない、先生が信じられない、などなりはしなかったかな?
では、どうするべきだったか?
難しいですね。皆さんどう思われますか?
・・・と思って出した議題だったのですが、
自分の予想しない反応が多いので、正直とまどっています。

何かデリケートなエリアに足を突っ込みそうなので、この議題は引っ込めようかな。
と思っています。
...2005/01/31(Mon) 03:22 ID:p/qCtA/Q    

             Re: 真島青年  Name:みち
がりや様
真島クンは亜紀の持参したアボリジニの詩をずっと読み続けるうちに、その死生観に影響を受け、治療拒否、そして死につながったわけですね。真島クンを喪ってからの亜紀の狂乱ぶり、特に海への入水敢行は、物語の流れからみても、亜紀の気性からも何か無理矢理作ったような自然さを感じていました。でも亜紀の救いようのない突然の喪失感が、亜紀の激情を揺さぶったのだと考えれば、つまり亜紀にとって、真島クンとは何だったのか、を思い知ることにより、それを納得できるたようになりました。亜紀が真島クンと同じ視線にたち、自らの死に方を自分で選択する意思を固めたのは、ここが出発点だったのです。真島クンと亜紀の関係は、亜紀自身は気づかないうちにも、死をも共有する深い関係であり、朔とは別の、悲運により適わなかった成人亜紀の心密かな夢だったのですね。「ソラノウタ」がそのひとつであったように。
忘れてしまいそうなほどひっそりとした真島クンことだけど、そっと思いをはせると、その人となりを通して複層的に別の人生がみえることがある。もっと幸せだったら、もっと元気だったら、と負けず嫌いなあの人のことを思、ってすこし光明が見えたような気分にして頂きました。
...2005/02/03(Thu) 10:55 ID:ylpbV5EU    

             Re: 真島青年  Name:にわかマニア
 亜紀に「何かを失うことは何かを得ること」ということに気付かせ,アボリジニの世界観へと導いたという意味で,真島のことを「死をも共有する」存在としてとらえるのは重要な視点だとは思います。
 ただ,前段の「真島クンは亜紀の持参したアボリジニの詩をずっと読み続けるうちに、その死生観に影響を受け、治療拒否、そして死」という点ですが,
@あの詩を見て「アボリジニかも」と言った(結果的には間違いでしたが)のは真島の方でしたし,
A病気であることをあうがままに受け入れ,そういう姿勢を教えたのも真島の方ですから,
Bあそこで改めて真島が自らの死生観に何らかの影響を受けたと言えるのかということと,
C真島の母の口ぶりですと,治療拒否は前からあったような感じでしたから,
ちょっと,このように言い切るには,根拠が弱いかなという感じがします。
 いずれにしても,真島が急にいなくなったことが亜紀に「救いようのない喪失感」をもたらし,発作的に入水を思い立ったというのは,おっしゃるとおりでしょう。
 もっとも,「亜紀も真島も元気なまま大人になっていたとしたら,また別の展開があったのではないか」という点に関しては,真島が真島であったのは,難病に襲われながらもそれと真摯に向き合ったからこそであったことを考えれば,そうかもしれないけど,そうだと即断することもできないのではないでしょうか。
...2005/02/04(Fri) 04:18 ID:V77YYWNw    

             Re: 真島青年  Name:うてきなぷりぱ
こんばんわ。真島青年の存在には私は2つの意味合いがあると思います。一つは、ドラマの流れで亜紀がいつどういう形で自分が白血病だと認識するのかです。両親らの意向もあって病名は伏せられました。いずれは亜紀の父が話す予定だったのでしょうか。貧血でなぜ入院しなければいけないのかと疑問に思った亜紀は、医学辞典を借りるように朔太郎に依頼してますね。結果的に自分が白血病じゃないかということを真島との会話で感じることとなりましたね。目の前に実際白血病と戦っている人を目の当たりにすることになります。真島青年は亜紀が自分の置かれている状況をしることとなるそのきっかけを演出したのだと思います。
 亜紀は朔太郎をだますようなかたちで真実を知りますが、でも結果的にこれでよかったような気がします。おそらく真実は朔太郎の口から聞きたかったと思うし、うそがいつばれるかなと不安に思いながらも見舞いをかかさず、うそにあわせてくれた、朔太郎の気持ちも感じることができたし。
 真島の死を自分の死へと結び付けてしまい、気丈な亜紀も、母親が言う、悲観的な部分が出てしまい、発作的に夜の海に入っていく。朔太郎もこの時ばかりは、病気の重大さを認識せざるを得なかったと思います。
 もうひとつはあの絵です。亜紀の夢は絵本の編集者になることでした。ドラマを見る限り断定できませんでしたが、絵を描くのは得意なほうではなかったと思います。私は、亜紀は真島青年はもとより、絵のほうにも惹かれたのではないかと思います。あの時病室を訪ねたのは、亜紀が感動したと思われるあの絵に、あの詩をのせてみたいと考えたのではないかと思います。その後真島青年の遺品として受け取った絵を自分のプロデュースで絵本として完成させたいと思うようになっていったんじゃないかと思うのですが。
...2005/04/07(Thu) 22:55 ID:RFGyF9LQ    

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