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過去ログNo1
遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:mterada
絵本「ソラノウタ」は、亜紀が意図していたより17年遅れて朔太郎の手元に届くわけですけれど、これはどう考えるのがいいのでしょうね。
(1)17年前の段階で朔太郎に届いたとすると、朔太郎はそれを受け止めきれなかったかもしれない(後追いしちゃったかも)
(2)17年遅れて届いたことは、朔太郎自身が出した結論とちょうど見合う形になってよかった(おまえの中にいる)
(3)17年間の遅れは、亜紀が朔太郎とそれだけの時間を共有できたということだからよかったのだ
(4)17年前に届いていれば、朔太郎はもっと違った人生を選び取る事だってできたのに。遅すぎた。
…なんだか現国の選択肢みたくなっちゃいましたが、僕は今でもわからないのです。
...2005/01/05(Wed) 00:44 ID:64KmX8wk    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:にわかマニア
 この問題については,いろいろな解釈があり,このサイトでもかなり議論してきたところです。もっとも,今では,その多くが過去ログ入りしてしまいましたが・・・
 既にご覧になっていらっしゃるかもしれませんが,本サイトのこの掲示板に入る前のメニューに「セカチューの謎」というコーナーがありますので,その中の15番と11番が参考になると思います。
...2005/01/05(Wed) 08:32 ID:UywRGn5k    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:mterada
>>1
ご教示ありがとうございます。さっそく読んでまいりました。それを参考にもうちょっと論点をはっきりさせると(論点ってなんだ?)、「ソラノウタ」を17年間渡さなかった真のやりかたはひどすぎじゃないか、ということですかね。
でもそうじゃない、と考えるなら(1)から(3)の考え方も可能だなあ、と思ったのでした。
しかし、オーストラリアに散骨に三人が出かけた時点では「ソラノウタ」は真の手元にあったわけで、それが朔太郎宛のものであることもわかっていたはず。
でも、真さんはそれほど悪い人にも見えないですよね。
うーん、もっとこう何かアクシデントで(誰のせいでもなく)「ソラノウタ」が朔太郎に渡るのを遅らせることはできなかったのかなと。
(ああしかしこうしたコメントも概出なんでしょうね)
...2005/01/06(Thu) 02:06 ID:Z0db7Lig    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:にわかマニア
 廣瀬・父は,「まず挨拶をしろ」とか「先にやることがあるだろう」とか,コトバはどぎついですが,根っからの意地悪って訳ではなさそうですよね。
 そこで,17年間もなぜってことになるのですが,もちろん,早晩渡すつもりではいた筈です。ただ,その具体的な時期というのは,時計やカレンダーで測るのではなく,サクが自分を取り戻したらということで考えていた筈です。ちょうど,「1週間で退院」というのではなく,「熱が引いたら退院」というように・・・
 そこで,問題は,普通なら,49日とか100箇日とか,それなりの期間を経て営む法事で区切りをつけることになるのですが,サクの場合,17年間もひきずってしまったということなのです。誤算といえば誤算なのですが,何というスケールの大きな誤算!
 その上で,選択肢1〜4について考えると,(3)は,その後の17年間を,サクが「引きこもった世界」の中であれ,亜紀と共有していた時間ととらえるか,現実にいない亜紀と心の中の亜紀の整理がつかないまま,両者の狭間の中でもがいてきた時間ととらえるかがポイントでしょう。(4)は,(1)の対極に位置するものですが,サクのダメージの深さをどう考えるかでしょう。
...2005/01/06(Thu) 02:52 ID:uDlfHfJY    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:mterada
なんか交換日記状態になってますが,おつき合いいただきありがとうございます.

いろいろ考えてみましたけれど,わたしの考えは
真さんはやっぱりすぐに「ソラノウタ」を渡してやるべきだった,
というものです--つまり,最初に書いた(4).

「ソラノウタ」の冒頭の「生きていくあなたへ」の「あなた」はやはり朔太郎のことですよね.この文章は朔太郎に向けて書かれている.

そのときの(亜紀を失った直後の)朔太郎をなんとか励まそうとしている.

とすると,死を覚悟した亜紀の最後のねがいは,朔太郎が「亜紀のいない世界」を生きぬいていくこと(それはつまり朔太郎の中にいる亜紀自身が生きていくこと)だとおもうんです.

なのに,真さんはそれをかなえてやらなかった.
(死んだ人間のねがいひとつかなえてやれないのか,と潤一郎さんなら叱るところですよねえ.)

娘の最後のねがいがわからなかったのだろうか?
それとも朔太郎を許していなかったのだろうか?

わからない…
...2005/01/06(Thu) 23:07 ID:Lvu/lr92    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:にわかマニア
 特定の論者の「交換日記」にならないよう,皆さんもお気付きの点を書き込んで頂ければと思います。
 さて,
>娘の最後のねがいがわからなかったのだろうか?
についてですが,第10話で亜紀が病院を抜け出した際のシーンで見られるように,取り乱す母を制して事態を冷静に受け止めようとしていることからも,娘が何を願っているか判らないということはないでしょう。
 問題は,メッセージが「届く」というにも2段階あって,@相手の支配下にある空間に物理的に届くのと,A相手の心に届く(相手がそれをメッセージとして受け止める)のとは別物なのです。そこが判っているから,今「物理的に」届けても,封印されるだけで心にまでは届かないだろうと判断したのでしょう。むしろ,娘とその恋人の両方の気持ちが判っているからの判断だと思います。
 また,
>それとも朔太郎を許していなかったのだろうか?
ですが,父親にとって娘をさらっていく存在を「許す」までには様々な葛藤があるのは事実ですが,「許す」ところまでには至らなくても,そういう存在として「認める」あるいは「受け入れる」ということはあるでしょう。
...2005/01/06(Thu) 23:25 ID:uDlfHfJY    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:zen
はじめましてmteradaさん
にわかマニアさんとお付き合いされているようですが三角関係になってもいいですか?(笑)

はじめてソラノウタを見た時、感動しまくりながらも微妙に違和感を覚えたことがありました。それはサクの名前が出てこないことです。たとえ本文ではないとしても表紙にしろどこにせよどこかにサクの名前が出てくるのではないかと感じられたのです。

そこで、あの内容だと初めて読んだ両親にとっては亜紀からの遺言、生き返ったメッセージとしてのインパクトが強くて(多分私たちもソラノウタに亜紀を感じたように)両親もソラノウタに亜紀自身を強く感じてしまって、実はその時は誰宛かは気がつかなかったという事はないでしょうか?

誰宛かに気がついた時には、もう自分達にとっても亜紀そのものになっています。そこまで気持ちが乗り移れば...後は「娘が欲しくばちゃんと挨拶に来い!」といったところでしょうか?
...2005/01/07(Fri) 00:26 ID:o.SDC12E    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:慎太郎
 某テレビ雑誌には「亜紀のいなくなった現実を受け止めきれないサク。それは17年たった現在でも変わることがなかった。だが二人で過ごした最後の日に亜紀がくれた誕生日プレゼント。それを再び目にした朔太郎は、そこにこめられた亜紀のメッセージを感じ取る。」と書いてありました。 
 真が朔太郎にもっと早く絵本を渡していれば、朔太郎が17年も苦しむことは無かったという意見が多数ありました。公式サイトでも批判されていました。でもこれを読むと早く渡していても朔太郎の悲しみは癒されず、長い間苦しんだことが分かります。
 最終話の台本の完成が遅れたのはこのシーンを含めどうするのか、かなり悩んだようですね。
...2005/01/07(Fri) 12:04 ID:PL3aAZT6    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:ボブ
仮にすぐに受け取っていたら、朔の気持ちは楽になったでしょうか。
むしろ、理解できなかったのではないでしょうか。

17年の歳月が、朔に考える時間を与えてくれたから、亜紀の気持ちを受け止めることができたのだとおもいます。
...2005/01/07(Fri) 14:43 ID:3rJmcSak    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:mterada
いろいろな方から意見をいただけてどうもです。

「ソラノウタ」が誕生日プレゼントだ、というのは有名なことだったのですね。婚姻届のところで、生年月日欄を見てからスケッチブックを見るシーンで遅ればせながら気づきました。そう思ってみると、おそらくはお見舞いの包装紙の再利用とおもわれるラッピングが痛々しい…

本題の(って何が本題だか)、17年の遅れですけれど、朔太郎が受け入れられるかどうかは朔太郎(と亜紀)の問題であって、真さんが決めることではないような気がします。このへんは、入院直後にカセットテープを渡そうとしなかったのに通じる感じ。まあもちろんそういう性格設定だからでしょうけれど。

僕は、最近は、朔太郎がどうかよりも、亜紀のねがいがただちには届かなかったことが悲しいなあと思うのです。なんか当初の論点とずれてきてますね。へへ。
...2005/01/08(Sat) 12:38 ID:hPTz1UuA    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:にわかマニア
>朔太郎が受け入れられるかどうかは朔太郎(と亜紀)の問題であって、真さんが決めることではない。

 他の条件一切を捨象して,この部分だけを取り上げて一般論的に言えば,その通りでしょう。
 ただ,問題は,あの時のサクは,(よく裁判で被告の責任能力を争う時のように)専門家の鑑定を仰ぐまでもなく,メンタルな部分に変調をきたしていることは,誰の目にも明らかでした。そうした状態で,「遺品」とか「遺書」と言ってもいい重要な物件を渡すのは,誰だって躊躇するのではないでしょうか。むしろ,届けるからには確実に届ける責任があるのであって,ああいう状態の下で届けるのは,かえって無責任の謗りを免れないかもしれません。
...2005/01/08(Sat) 20:55 ID:Jvgk2YLQ    

             Re: 遅れて届いた「ソラノウタ」  Name:mterada
なんとかして亜紀のメッセージだけでも、別離直後の朔太郎に渡してやりたかった、というのが僕の結論になりましょうか。本物の「ソラノウタ」でなくてもいいし、見せるだけでもよかったかもしれない。そのことで朔太郎がどれだけ勇気づけられたか、と思うものであります。

あるいは朔太郎は遺骨の代わりに「ソラノウタ」を抱いたまま同じ17年を過ごしてしまうことになるのかも知れません。でも、それはそれでいいのではないかと思います。

にわかマニアさま、みなさま、おつきあいいただきありがとうございました。

また別の話題で書かせていただくかもしれませんがその節はどうぞよろしく。
...2005/01/10(Mon) 17:23 ID:8UV84m.A    

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