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過去ログNo1
アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 初めまして。グーテンベルクです。みんなを見習いオリジナルストーリーを書くことにいたしました。もし読んでいただけたら幸いです。どうかよろしくお願いいたします。



世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
   
T.朔と亜紀の乗っている電車は雨の中空港へ向か って走り続けていた。
朔の横には白血病によりすっかりやつれ果ててしまった亜紀が座っている。
 朔は迷っていた。このまま空港へ行き、ウルルへ向かえば亜紀はまず生きて日本に帰ってくることはできないであろう。もしここから病院に引き返したら、可能性はかなり低いのだが亜紀は助かるかもしれない・・・。しかし、亜紀はどうしてもウルルの空が見たいと言っていた。たとえそれが亜紀自身の死をまねいても。亜紀には一日でも長く生き続けていてほしいのだが、亜紀の最後の願いも叶えたい。それが朔の願いだった。
 迷っている間にも電車は空港に到着し、朔は亜紀をロビーの長いすに残して二人分の搭乗手続きをおこなっていた。その頃、長いすに座った亜紀にあの電話のような耳鳴りが襲い掛かっていた。次第に目
がかすんでゆく・・・。亜紀は床に倒れてしまった。あわてて駆け寄り、病院へ戻ろうと言う朔。しかしそれでも亜紀はウルル行きをやめようとしなかった。搭乗手続きを終え、搭乗ゲートへ向かう二人。だが・・・、ここまでだった・・・。
倒れこむ亜紀。亜紀を後ろから抱きしめる朔。亜紀「やっぱり、あの世なんて・・・ない。天国なんて・・・ない。ここ・・・天国だもん」朔の腕の中で、亜紀は視線の定まらない目で朔を見つめた。
 亜紀「すきよ・・・・・朔ちゃん・・・・・」
そして亜紀は意識を失った。
 朔はただひたすら祈り続けた。「たすけてください・・・亜紀を・・・僕たちを・・・・たすけてください・・・・」 もう・・・そうすることしかできなかったのだ。  
    
 病院に担ぎこまれ眠り続ける亜紀。飛行機に乗る前で、空港に常駐していた医師の応急処置が適切だったため、亜紀の命のともし火はかろうじで消えずにすんだのだった。ただ、当時の医療技術では治療法はほとんどなく、現状維持が精一杯なのも現実だった。
    
 意識を取り戻した亜紀は「ごめんね・・・・朔ちゃん。わたしのために・・・・・そんなにボロボロにさせてしまって・・・。みんなにも・・・迷惑かけちゃったね・・・こんなわたしだけど・・・どうか・・・嫌いにならないでね・・・・。」
 朔は目にうっすらと涙を浮かべながら「亜紀は・・・ありのままでいいんだよ。頑固で、負けず嫌いで・・・そういうところも全部すき・・・」とだけ言った。心に秘めた思いはたくさんあったが、不器用だったためそれ以上言葉にできなかったのだ。
そんな朔に亜紀は「ありがとう・・・朔ちゃん」とうれしそうな顔でそういった。
 亜紀の母も「もう・・・心配かけないでね。」と涙をながしながら言った。
 亜紀の父は黙って亜紀を見つめていた。    
    
 このときは一命をとりとめたが再び白血病との闘いがはじまったのだ。そして朔は亜紀を助けたいために医師になることを決めた。


                                           続く
    
...2004/11/14(Sun) 09:54 ID:Vxs0wUnU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様、はじめまして。

アナザー・ワールド、期待しています。
どのような展開になるのか判りませんが、私が望むのは朔と亜紀の幸せな姿です。 幸せの形、色々あると思いますが、できればハッピーな展開で楽しませてください。
...2004/11/14(Sun) 23:28 ID:3opqgPmI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様。早速読んでいただいてありがとうございます。期待にそえるように頑張ります。これからもよろしくおねがいします。
...2004/11/15(Mon) 06:58 ID:w4BIQMUE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
続きです 
世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜

U.亜紀はなんとか一命をとりとめた。だが、予断は許さない状況だった。体力もほとんど残ってない状況なので病気の進行を抑えこむ抗がん剤を使用することは当分は無理であった。そのため再び面会謝絶となっていた。
 一方、朔は亜紀が助かるというわずかな可能性を信じ医師になるため日々勉強に打ち込んだ。難易度の高い国立大学医学部。そこに入るため苦手だった数学や化学もしっかり勉強した。
 谷田部先生もクラスメイトもそんな朔を見守り続けた。
 そして半年がすぎた。
 医学部をめざし日々努力していた朔の成績は校内でトップクラスとなった。
ボウズ「あいつ、たくましくなったな。」
龍之介「ああ、あいつなら廣瀬を救えそうなきがするな。」
智世 「いいなぁー。私もそんな風に愛してもらいたいなぁー。ねぇスケちゃん。」
龍之介のことが好きな智世はなにかを期待するかのように龍之介を見た。
龍之介「そういうことを言ってるからおまえはダメなんだよ。」
智世 「なによ、冷たいなぁー。」
ボウズ「おまえらなぁー。俺たちもあいつを見習って頑張ろうや。」
龍之介「ああ、そうだな。」
智世 「そうよね、亜紀も病魔と闘い続けているんだしね。」
谷田部先生「あ、あんたたち、さっき廣瀬のご両親から電話あったんだけど、廣瀬の面会謝絶が解けたそうよ。今度の土曜日にでもお見舞いに行ったらいいよ。」
 
龍之介「そうだ、土曜といわずこれからお見舞いにいかねーか。」
智世 「うん、賛成!!ずっと亜紀と会えなかったし。」
ボウズ「でも、午後の授業はどうするんだよ。」
龍之介「そんなものさぼっちまおうぜ。」
ボウズ「まったく・・・でも俺も行く。」
龍之介「おーい、朔、おまえさんも一緒にいこうぜ。ま、おまえは今までも特別に廣瀬に会うことができたただろうけど、今日は全員集合といきますか。」
朔  「あ、ああ・・・」
 そして朔、龍之介、智世、ボウズの4人は学校を抜け出した。
 だが、そうなることを読んでいた谷田部先生は正門で待ち構えていたのだった。
龍之介「ん!?や、やべぇ!!にげろっ!!」
谷田部「こらー!!あんたたち!!授業にでなさーい!! まぁ・・・いいか。今日のところは。勘弁するか」
谷田部先生はわずかに微笑ながら4人を見送った。こうして脱出?に成功したした4人は亜紀のいる病院へと向かった。
 病院の待合室には亜紀の両親がいた。そして駆け寄る朔たち4人。
 龍之介「おじさん、おばさん、こんにちは。あの、亜紀ちゃんに会いに来ました。」
アキ母「まあ、みなさん今日は亜紀に会いに来てくれたの?」
智世 「はい。亜紀の、アキちゃんの面会謝絶が解けたと聞きまして。」
アキ父「今日はうちの娘のためにわざわざ来ていただいてありがとうございます。娘に、アキに会ってやってください。」
ボウズ「こちらこそ、ありがとうございます。」
 その直後、4人はアキの病室に向かって駆け出したのだった。そしてそれを見送るアキ父とアキ母。
アキ父「亜紀は、幸せ者だな。後は病気が治るのを待とう。」
アキ母「ええ。あなた。もう一度花嫁姿が見れるわよ。」
アキ父「ああ。おまえのカニクリームコロッケも、亜紀と食えるな。」
アキ母「フフフ。その時は朔君も一緒ね。」
アキ父「ああ、そうなることを願おう。」
 アキ父はまるで何かに祈るように、待合室から見える青空を見つめていた。

 4人は途中で看護師からマスクを受け取り、アキの病室にノックをして入った。
 突然の来客、しかも智世、龍之介、ボウズとは約半年ぶりの再会なのでアキは驚いていた。
アキ 「みんな、来てくれたの。」
智世は泣きながらアキのベットのまわりのビニール幕の近くまで駆け寄った。
智世 「アキ!アキー!!会いたかったよ!どうして、どうしてあんな無茶したのよ。
もう、会えないかと思ったじゃないの。」
アキ 「智世、心配かけて・・・ごめんね。」
ボウズ「俺のお経が聞きたいのなら、もっともっと長生きしてくれよ。」
ボウズの目にも涙が浮かんでる。
龍之介「アキちゃん、すこしは具合はよくなったかい。」
龍之介も平静を装っているが涙を隠しきれていない。
アキ 「みんな・・・ごめんね。さすがにまだ元気とは言えないけど・・・・今日は幾分体調もいいみたい。ねえ、朔ちゃん・・・今日、平日だけど学校は?」
朔  「今日は・・・午前中で終わり・・・。」
アキ 「もう、バレバレの嘘じゃない。顔にかいてあるわよ」
龍之介「あっはっはっは!さすがの朔もアキちゃんには敵わないか。将来結婚したら絶対尻に敷かれるな。なぁ、朔ちゃん。」
智世 「間違いない。ねぇ、アキ。」
アキ 「なんか・・はずかしいよ。」
ボウズ「顔が赤いぞ、朔。」
まだ涙は乾いていないが、みんなこうして久しぶりの再会を喜びあったのだった。
 数時間後、(といってもみんなにとってはあっという間なのだが・・・)面会時間の終わりがやってきた。
 智世「また、近いうちに来るからね。早く病気、なおしてね。」
ボウズ「ちゃんと仏様に祈っているからな。頑張れよ、廣瀬」
龍之介「また、くるよ。」
朔  「明日また来るよ。」
アキ 「今日は本当にありがとう。とっても楽しかった。また、きてね。」
アキ母「今日はありがとう。また来てあげてくださいね。」
みんな「はい」
こうして一同は帰宅した。

 ちょうどそのころアキ父はアキの担当医と今後の治療について話していた。
アキ父「また、抗がん剤の投与ですか?」
佐藤先生「はい、投与の中断からもう半年たちました、体力も回復してきておりますので、そろそろ投薬しないとさらに病気は進行してしまいますからね。ただ、この半年間で薬も進歩しておりまして、前の薬より副作用は軽いはずです。
アキ父「でも、いつまで続くのでしょうか。」
佐藤先生「私の知り合いの医師が血液難病の研究をしておりまして、そう遠くない未来に新しい治療法ができるかもしれないんです。だからそれまでアキさんの病気の進行を防ごうと思います。」
アキ父「そうですか。先生。どうか娘を、アキを助けてください。」
佐藤先生「はい、全力をつくします。」
こうして再びアキの辛い治療がはじまった。
          
                 続く

                   
                                
...2004/11/15(Mon) 19:06 ID:21h1ot/Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
やっと第2話を書き上げることができました。北のおじさん様、そしてこのストーリーを読んでくれた方たちに感謝いたしております。このアナザー・ワールドのストーリーは大きく三つのパートに分ける予定です。
@白血病の克服編、A幸せとは・・編Bその後、編 (大まかな流れしか出来上がっておりませんが)もしよろしければこれからも読んでいただければ幸いです。 
...2004/11/15(Mon) 22:07 ID:21h1ot/Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:clice
グーテンベルグさん、読ませていただきました。あの運命の分岐点からまた違った亜紀の時間が進んでいくのを感じます。それが朔と周りの人々の人生をどう変えていくのか楽しみです。亜紀の闘病はきちんと書けば決して楽しい話ばかりではありませんが、亜紀や家族の背負っていくもの、受け止める朔の気持ち、それらをできれば亜紀の苦しみや心の葛藤とともにリアルに書いていただければいいなと思います。
素敵な物語になりますよう楽しみにしています。
...2004/11/16(Tue) 11:41 ID:Eo3TdiGE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
clice様へ
初めまして。ご感想をいただきまして本当にありがとうございます。それと、お礼が遅れましたことをお詫びもうしあげます。文章の作成が苦手な私ですが、できるかぎりご要望とご期待に沿いながら作成して行こうと思います。どうかよろしくお願いします。

アナザー・ワールドの読者の皆様へ
 今後は、目標として週に三話以上作成する予定です。(仕事により達成できない事もあるかもしれませんが、その時はご了承ください。)
 運命の分岐点〜1987年10月23日〜から始まったアナザー・ワールドをお楽しみいただけたら幸いです。
...2004/11/17(Wed) 18:53 ID:B4fEdI.Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
グーテンベルク様、読ませていただきました。私なんかと違って、テーマ性もしっかりいるようなので、これから楽しみです。期待してます。
...2004/11/17(Wed) 19:19 ID:ktinRzzQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
たー坊様へ
読んで頂いたのですね。嬉しい限りです。それと早速書き込みして頂きましてありがとうございます。たー坊様のアナザーストーリーほどいい作品はできないかもしれませんが、お互いに頑張りましょう。
 
...2004/11/17(Wed) 19:39 ID:B4fEdI.Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
第三話ができあがりました。今日のテーマは「僅かに降り注ぐ希望の光」です。もしよかったら読んでみてください。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜


V.1988年5月、アキの抗がん剤治療が再開された。ただ、今回から使われた新しい薬は以前よりも副作用が弱いものだった。ただ、弱いと言ってもやはりそれなりに副作用はある。だが、わずかな希望の光がアキを照らしはじめていた。

 投薬直後、アキは激しい動悸に見舞われた。そして食欲も日に日に落ちてゆく
しかし今回は、アキは前向きに治療に望み続けた。だが、治療の辛さから不安になることもあった。そして朔は受験勉強をしながらもアキに会うことを欠かさなかった。

朔  「アキ、具合はどう?」
アキ 「私は・・大丈夫だよ。朔ちゃん。それより、ちゃんと勉強してる?来年受験なんでしょ?治療はあと何年もかかるんだよ。多分」
アキはまだ朔が医学部を目指していることを知らないのだ。
朔  「うん。ちゃんと勉強しているよ、アキ。」
アキ 「朔ちゃん・・・もし、大学に行っていろんな人に出会っても・・・私のこと、嫌いになったりしないよね?朔ちゃん・・・。」
どこか不安そうなアキ。
朔  「ああ、ならないよ。なんなら、これ、もう一回書いてみる?」
朔がポケットから出したのはまたしても婚姻届だった。
アキ 「もう、本当にワンパターンなんだから。でもまだ出せないじゃない。まだ17歳なんだし。忘れたの?」
朔  「今書いて5ヵ月後に出せばいいよ。俺、今度の10月で18歳だし。」
アキ 「親の同意は?」
その時朔の背後にはアキの父親がきていた。あの時と同じように。
朔  「今度は絶対貰えそうじゃない?同意。今回こそロックンロールな感じ?」
朔が後ろからの気配に気づいて振り向いたら、そこにはアキの父親がいた。
アキ父「前にも言ったと思うが、先にやることをやってからにしなさい。」
朔  「あ、あの・・・亜紀を、いえ、亜紀さんを僕にください。」
アキ父「そうじゃなくて・・・自分の進路を決めてからにしなさい。」
そのやりとりにアキの顔に笑顔が戻る。
アキ 「アッハッハッハ。朔ちゃん、相変わらずなんだから。でも・・・ありがとう。何か安心した。」
アキ父「それから、もうすぐ面会時間も終わるぞ。朔君。また来なさい。アキもそれまで我慢しなさい。」
アキ 「はーい。また来てね。おやすみ。朔ちゃん。」
朔  「うん。また来るよ。おやすみ。 お父さん、失礼します。」
帰っていく朔の後姿にアキの父は「ありがとう」とつぶやいていた。誰にも聞こえない声で・・・。
アキ父「アキ、今は辛いだろうが、頑張るんだぞ。」
アキ 「うん、ありがとう。お父さん。」
その後も朔は学校の帰りに欠かさず亜紀に会いにきたのだった。

 だがある日の朝、食事を終えた亜紀にまたもやあの電話音のような耳鳴りが聞こえ始めた。今まで、この耳鳴りは何かよくない事が起こる時の前触れだったのだ。夢島で倒れる前。容態が急変し始めたとき。そして空港で意識を失う直前。
それはまるで死の世界へ誘う電話のようにも聞こえた。
今回の耳鳴りはすぐに治まったが、亜紀は不安を隠せない。
そんな様子に気付いたアキの母
アキ母「亜紀、どうしたの?」
アキ 「お母さん・・・私・・・やっぱり・・・助からないのかな・・・」
アキの母は無菌室の中のアキに思わず抱き締めたい気持ちで「アキ、何言っているの。アキをあの世に行かせたり・・・しないわよ。 お母さん、それに、お父さんも、そして朔君もね。」
アキ「でも・・・・・、私・・・、こわいよ・・・・・。」
不安に押しつぶされそうなアキ。
心細くそう言った時、ちょうど担当医である佐藤先生がやってきた。
佐藤先生「大丈夫かな?アキちゃん。」
アキ「先生・・・私・・・助かる可能性・・・あるのでしょうか・・・」
アキは不安げに、そして悲しそうな顔で佐藤先生を見上げる。
佐藤先生「アキちゃん、覚えておきなさい、この世に病気は数え切れないほどあるけど、死亡率100%の病気は存在しないのだよ。希望を捨てるのはまだ早すぎるよ。」
アキ 「ごめんなさい。でも、どうしても不安になってしまうんです。やっぱり」
佐藤先生「無理もないよ、だが、私の大学の同級生、今は大学教授で血液難病の研究をしているのだけどね。今白血病の新しい治療法が見つかりそうな段階でね、もしかしたらあと1年もしないうちに完成するかもしれないんだ。だから、希望を捨てたらだめだよ。」
アキ  「それ、本当なんですか。」
佐藤先生「ああ、本当だよ。今は辛いだろうけど、頑張りなさい。」
アキ  「はい。佐藤先生・・・」
アキ母 「アキ、もう少し、がんばるのよ。」
アキ  「うん。」
暗闇の世界にまだ僅かだが差し込んだ希望の光。
少しだが安心したアキ。

さらにこの後、アキはもう一つの希望があることを知ることとなるのだった。

                                    続く
...2004/11/17(Wed) 20:18 ID:B4fEdI.Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:clice
グーテンベルグさんへ
丁寧なご返事ありがとうございます。第3話読みました。朔と真の会話では思わずぷっと吹出してしまいました。上手いです。ドラマがそうだったように、何気ない会話がほっとしたり可笑しかったりするのも、そこに必ず陰の部分が存在するからだと思います。明と暗このコントラストが有ってこそ、より楽しさや面白さが強調され、悲しみや苦しみをも感じ取れる短くとも感動させる文章になると思います。
会話だけで進むシナリオ形式もいいですが、行間に登場人物の気持ちや状況を書きこんでいく小説形式にされれば、グーテンベルグさんの文章により深みと感動がでるように感じました。言葉にできない心のつぶやきに感動があるように思います。
でもグーテンベルグさんの書くこの物語、素敵な作品になる予感がします。
...2004/11/17(Wed) 22:22 ID:OxJ5p81w    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
clice様
 アドバイスとご感想、ありがとうございます。私にとって最大の賛辞です。今後の参考にさせていただこうかと思います。期待を裏切らないように頑張ります。
 それからclice様も新スレット立ち上げたみたいですね。あとで早速読ませていただきます。
お互いにすばらしい作品になるといいですね。
...2004/11/18(Thu) 18:59 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
第4話が完成いたしました。今回のテーマは「消えてゆく絶望」です。読んでいただけましたら幸いです。

世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜


W.長く辛い闘病生活。そして白血病という名の絶望の闇。だが、わずかだが希望の光も差し込み始めたことを実感したアキ。そして、アキの心を照らそうとするもう一つの希望の光があった。

その日の午後。落ち着きを取り戻したアキのもとへ親友の智世と谷田部先生がやってきた。
谷田部先生「廣瀬。お見舞いに来たわよ。」
アキ 「先生、こんにちわ。」
智世 「アキー。会いに来たよー。」
2人ともあいかわらず元気そうだ。
アキ 「智世。会いたかった・・。私、助かるかもしれない。新しい治療法ができるかもしれないって佐藤先生が言ってた。」
アキは嬉しそうな顔で2人にそう告げた。
智世 「やったね、アキ。アキー。」
谷田部先生「廣瀬もよく頑張っているもんね、絶対治るよ。」
智世も先生もアキを照らす希望の光に心から喜んでいた。
智世 「それに朔も頑張っているからね。アキのために。」
谷田部「そうね。」
アキ 「朔ちゃんがどうかしたの?」
智世 「勉強に決まっているじゃない。」
アキ 「??? 朔ちゃんが?勉強を???」
アキはびっくりした様子だった。朔はどちらかというとあまり勉強をしていない方だったからだ。
谷田部「やはり知らなかったか。松本、医者になってアキを助けようと猛勉強よ。」
智世 「もう成績も校内トップなんだよ。このまま頑張れば、医学部合格ほぼ確実なんだって。」
アキの心の中では驚きよりも嬉しさが勝っていた。
アキ 「私、知らなかった。朔ちゃんがそこまで努力してたなんて。」
嬉しそうに涙を流すアキ。アキの心にとってもう一つの希望の光となった。
智世 「朔は普段ぼーっとしてるのにアキの事になるとまるで別人だよ。」
谷田部「あと、廣瀬が復学したとき困らないように、ちゃんと廣瀬の分のノートとっているのよ。松本は。」
 アキは思い返していた。朔は今までも、私を影から支えてきてくれた。そのために私の見えないところで努力をしていたに違いない。苦悩もあったに違いない。言葉には出さないが。  不治の病に冒された私を見捨てたりしなかった。決して諦めなかった。絶望し夜の海で死のうとした私を助けたのも・・・朔だった。

 白血病の告知以来、アキの心の中に存在し続けた「絶望」が消えていく・・・。

アキ 「私・・・今朝・・・自分はもう助からないと思ってた。あきらめかけてた・・・みんなが、そして朔ちゃんが・・・頑張ってくれているのに。私・・・白血病を治して見せます。・・・負けません。」
アキは涙で濡れた顔のまま智世と先生に笑顔をみせてくれた。
智世 「アキの負けないってセリフ、久しぶりに聞いた。私も次の陸上の試合、負けないよ。アキの負けず嫌いなところ、私も見習うよ。」
 智世はボロボロになりながらも白血病という名の絶望と戦うアキの姿に心を打たれていた。そんな彼女は今薬剤師を目指している。薬の副作用の恐ろしさをこの目でみて、自分が副作用の少ない薬を作れたらと思ったからだ。
 それからアキと智世の会話は15分ほど続いた。それを嬉しそうに見つめる谷田部だったが、ふと時計を見て2人の会話をさえぎった。
谷田部「あ、そろそろ来るころじゃない?松本」
智世 「あ、そうだ。今日私、先生とタクシーで来たんだけど、来る途中。朔が自転車に乗ってすごいスピードでここに向かってたよ。だからもうすぐ着くはずだから。」
谷田部「そしたら私たちはおじゃまだから帰るわね。」
智世 「またくるから。バイバイ、アキ。」
アキ  「もっとゆっくりすればいいのに。」
谷田部「遠慮しないの。廣瀬。またくるから。」
2人は慌しく帰って行った。2人とも、アキにとって一番居心地がいい安らぎの時とは朔と一緒にいる時であることをよく知っていたためである。

 それから十分ほど経過して2人の言ったとおり朔がやってきた。

                                        続く
...2004/11/18(Thu) 22:00 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

毎回欠かさず読ませて頂いています。
アキの「??? 朔ちゃんが?勉強を???」の下り、夢島での「サクちゃん、私と結婚するの???」を場面を思わず思い出しました。
皆様の書かれている「アナザー・ワールド」や「アナザーストーリー」を読んでいると、ドラマの場面が思い起こされ、懐かしい感じがします。
これからも色々な場面を思い出せるようなすばらしい作品をお願いします。
...2004/11/18(Thu) 22:16 ID:PNKNTR7Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
谷田部先生や介・智世・ボウズが勢ぞろいすると心温まりますね。あ、もちろん、朔もですよ。

今晩は。はじめまして。話の続きを楽しみにしております。

ついでに私どものスレッドにも遊びに来て下さい。私どものセカチューワールドでは智世の娘のアキたちが大活躍中です。
...2004/11/18(Thu) 22:50 ID:HYn4VfNI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様へ
 いつも読んでいただきましてありがとうございます。これからも物語の所々にドラマを思い出せるような場面をのせていこうかと思います。

SATO様へ
 はじめまして。こんばんは。読んでいただきましてありがとうございます。この先、全員集合の場面が出てくる予定です。楽しみにしていただければ幸いです。世界の中心で愛をさけぶ2、あとで読ませていただきます。これからもよろしくお願いします。

読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。このアナザー・ワールドは、今のところ朔と亜紀を中心に書いておりますが。物語の節目に特別編として他の登場人物を中心にした短編を執筆する予定です。皆様の心に残る作品となるように頑張ります。よろしくお願いします。
...2004/11/19(Fri) 21:12 ID:yey.tm.k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たか
はじめまして、たかですw

素晴しい作品ですね、非常にお上手です。いやぁ、私の作品の2,3倍上手ですね。

SATOさんもおっしゃってるように、是非、「世界の中心で、愛をさけぶ2」ご覧になってください。続きを期待しておりますwでは、
...2004/11/19(Fri) 21:20 ID:R6bZP8a2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
たか様へ。
はじめまして。グーテンベルクです。お褒めの言葉をいただきましてありがとうございます。嬉しい限りです。なお、第五話は、明日の夜アップいたします。楽しみにしていただけたら幸いです。期待を裏切らないように頑張ります。それと、早速「世界の中心で愛をさけぶ2」をよませていただきます。これからもよろしくお願いします。
...2004/11/19(Fri) 22:50 ID:yey.tm.k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
読者のみなさまのおかげで第五話が出来上がりました。テーマは「朔と亜紀〜病院にて〜」です。読んでいただけたら嬉しい限りです。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

X.親友の智世によりもう一つの希望の光の存在を知ったアキ。アキの心の中に存在し続けてきた絶望はもはや消えていた。


朔  「アキ、今日は具合はどう?」
いつものようにアキを心配をする朔。
アキ 「そんなことより、私に何か隠してない?朔ちゃん。」
その何かをアキ自身は知っているのだが直接朔から聞きたいのだ。
朔  「何も、隠してないつもりだけど。」
亜紀 「智代と谷田部先生に聞いたよ。朔ちゃん、医学部目指してるて。成績、上がったって。」
次第に涙がこぼれ始めるアキ。
突然泣き出したアキに驚いた朔。
朔  「悲しませた?教えなかったこと。」
アキ 「違う・・・嬉しいの・・・。朔ちゃん、いつも・・・私のために、・・・私の見えないところで・・・頑張ってくれてたんだね・・・。いつも・・・無理ばかりして・・・ありがとう・・・朔ちゃん・・・。ありがとう・・・。」
アキを思う朔の気持ち・・・それは、今までの長い闘病生活で度々襲い掛かる不安を消し去ってきた。そして今回は白血病に負けないという強い意志力を生み出す糧となっていた。
 涙を流しているアキに、朔は自分の心に秘められた思いを語りはじめた。
朔  「俺、二度とあんな後悔をしたくない。あの日・・・去年の10月23日。アキが空港で倒れたとき。俺はただ祈ることしかできなかった。アキに何もしてあげられなかった。あの日運良く近くに医者がいて、その人のおかげでアキは助かった。もしあの時、あの医者がいなかったら・・・アキは・・もう、この世にいなかった・・・。だから俺、医師になろうと決めた。絶対にアキを失いたくない。もし・・・また、あんな事になったら・・・俺がアキを助ける。アキが幸せになれるなら・・・神様にだって立ち向かってやる・・・。好きだから・・・。俺は、アキが・・・廣瀬アキが大好きだから。」
 朔にとってアキに直接「好き」と言ったのは は初めてだった。前回、形だけの結婚式の数日前に「好き」と言ったのはカセットテープを通じてだったからだ。
 アキにとってはその一言が嬉しくて仕方がないのだ。
アキ  「朔ちゃん・・・。ありがとう・・・。こんな私に・・・好きと言ってくれて。私・・・今、
とても幸せだよ・・・。好きよ・・・。朔ちゃん。大好きだよ・・・。」
アキは今すぐにでも無菌室のビニールから飛び出して朔に抱きつきたかった。
そして朔もまた、アキを抱き締めてあげたかった。しかし、体を触れ合うことは、免疫力を失っているアキにとっては命取りになる危険性すらあるためそれはできなかった。それでも今ここに朔がいてアキがいる。それが一番の幸せだということを2人はよくわかっていた。
 そしてアキは新しい治療法ができるかもしれないというこを朔に伝えた。
アキ「あのね、朔ちゃん。今朝、佐藤先生から聞いたんだけど、そう遠くない未来に治療方ができるかもしれないんだって。それに万が一それで治らなくても、朔ちゃんがお医者さんになって私を治してくれるかね。私、絶対白血病なんかには負けないよ。」
 嬉しそうに語るアキ。生きる希望に満ち溢れたアキの顔。それはアキの美しさをより一層引き立てた。

このアキの美しい笑顔。そして「朔ちゃん」と呼ぶアキの声。そのためならどんな試練でも乗り越えてみせる。朔はそう思った。

 
 その日の夕方、アキとの面会の後、待合室でアキの父親に出会った。
アキ父「朔君、車で家まで送ってやる。そのかわり少し私の話を聞いてくれないか。」
朔は突然の展開に驚いていた。そして一言「はい」とだけ言った。
こうして朔は真(アキの父親)に連れられて港にやってきた。車を降りた2人は車止めブロックの上に腰掛けた。
 そして真はゆっくりと話し始めた。朔にはそんな真がどこか寂しげにみえた。
                                
                     続く
 
...2004/11/20(Sat) 20:54 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:clice
第五話読ませていただきました。亜紀に朔がどこで「好き」と言わせるのかは、一つの物語に一回だけのスペシャルアイテムですがここで来たかという感じですね。
そして上げておいて真の不安げな話の展開へどんと落とす、上手いですね。朔と同じく私も不安。 
早く続きを・・・という感じです。
...2004/11/20(Sat) 21:30 ID:gQyBq8jo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
朔ちゃん、やっと亜紀に「好き」って言えましたね。
亜紀の喜びは言葉では表せない程のものと思います。
読んでいるこちらまで嬉しくなります。
これからもガンバって下さい。
...2004/11/20(Sat) 22:12 ID:UxAareB2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 clice様、北のおじさん様へ
 今日も読んでいただきましてありがとうございます。この「好き」というスペシャルアイテム、どこで使おうか本当に迷いました。そして亜紀に救いが必要なこの時期を選びました。できることなら明日にでも続きをアップしたいのですか。明日は宿直勤務で家に帰れないため明後日までお待ちください。なお、それに伴いまして返事を書くのも遅くなりますがご了承ください。いつもご感想ありがとうございます。
            
                グーテンベルク
...2004/11/20(Sat) 22:38 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
読者の皆様へ
 おはようございます。なんとか第五話を書き上げることができました。読者のみなさまのおかげです。この場を借りて感謝いたします。
 なお、本日は仕事の都合で世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜はお休みさせていただきます。ご了承ください。明日夜続きをアップする予定です。楽しみにしていただければ幸いです。

おまけのコーナーです。

今日は模擬試験の結果が返ってきた。
亜紀  「第一志望大学・・・C判定か。もっと頑張らないと・・・。」
するとどこかからか聞こえてくる声
グーテンベルク「ヤバいぞ。アキちゃん。」
亜紀  「誰? 誰でもいいけど私は絶対に合格するから。負けないから。」
グーテンベルク「頑張れ!!アキちゃん!」
亜紀  「また聞こえた。言われなくても頑張るから。」
 再びペンを握り机に向かう亜紀だった。
...2004/11/21(Sun) 07:28 ID:hoz7O3nI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 第六話が完成いたしまいた。今回のテーマは「親の心。」です。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜


Y.次第に大きくなる希望の光。朔と亜紀のいる世界。アキへの面会の後、朔は亜紀の父、真と港へ行く。そして真は朔にどこか寂しげに話し始めたのだった。


真  「朔君。毎日娘に、アキに会いに来てくれているそうだな。感謝しているよ。今日、智世ちゃんと谷田部先生と会ってな、君のこと聞かせてもらったよ。医者をめざしているそうじゃないか。」
朔  「はい。私にどこまでできるかはわかりませんが。できるかぎりのことは必ずやります。」
真の目を真剣に見つめる朔。
真  「ありがとうな、朔君。それとな、今日佐藤先生から聞いたのだが、病気の治療に必要なものはいくつかあるそうなんだが、そのうちのひとつが希望だそうだ。今日、病室の前の廊下に座っていたとき君とアキとの会話が聞こえてきてね・・・アキにとっての希望は、間違いなく君だ。 私ではない・・・。亜紀の心を救ってやれるのは・・・もう、君しかいない。娘を・・・亜紀を・・・お願いします。」
 真の顔は、寂しそうだった・・・。 
真は不器用でうまく愛情表現はできないのだが、アキに対する愛情は強かった。だが、アキに必要なのは、父親よりも恋人である。その現実を真は認めざる負えなかった。だが・・・、アキは何よりも大切な娘である。その気持ちだけは誰にも負けないでいよう。真はそう思っていた。
 一方、朔は真からの意外な言葉に驚いていた。朔にとって今までの真は厳しい父親の代名詞的存在であり、苦手意識を持っていた。そんな相手から「娘をお願いします」という言葉がでたので無理もない。
 西の空には宵の明星が輝き、東の空からは円にちかい形の月が現れていた。
朔は真に「必ず、アキにとっての希望になります。」と力強く答えた。そして、その瞳は一段と輝いてみえた。

 真は朔を家まで車で送ってくれた。そして別れ際、真は朔の後姿に向かって「勉強しすぎて体を壊すんじゃないぞ。それと、君のお父さんとお母さんに、よろしく言っといてくれ。今日はありがとうな。」と言った。
立ち止まって振り向く朔。朔はどこか嬉しそうに「はい。」とだけ答えた。真は厳しいけれども、それだけ優しい人でもある。朔はそう実感しながら玄関に入っていった。

朔  「ただいま。遅くなってごめん。」
家ではすでに父・潤一郎、母・富子、妹・芙美子が食卓に集まっていた。
富子 「おかえり、今日も遅かったわね。朔太郎。」
潤一郎「遅いから、先に食べようと思っていたぞ。朔太郎も早く手を洗って座りなさい。」
帰りが遅くなった理由は一つしかないことを両親はよく知ってるのであえて聞いてこないのだが。妹は興味深々な様子でそれを聞いてくるのだ。
芙美子「ねえ。今日、アキ姉ちゃんとどんなお話したの?ガム太郎お兄ちゃん。」
ちなみに、「ガム太郎」とは、朔がいつもアキと一緒にいたため、近所の人たちがこう呼び始めたらしい。ガムのように引っ張っても切れない仲と言う意味だとか・・・。
妹のしつこいくらいの追及に少し困りながら
朔  「学校での出来事とか・・・進路のこととか・・・、そういう話だよ。」
しかし芙美子はさらに追求する。
芙美子「なーんか怪しい。アキ、好きだー。とか言ってるんじゃないの?」
少し当たっている。さすがに鋭い・・・。こういったところは兄妹であっても朔とは正反対である。
そして少し困っている様子の朔に、富子が問いかけた。
富子 「そんなことより、アキちゃんの様子はどうなんだい。朔太郎。」
その問いかけに芙美子も真面目な顔に戻った。そして朔も・・・。
朔  「もしかしたら、近い未来にあたらしい治療法が完成するかもしれないって佐藤先生が言ってた。そしたら、アキは助かる可能性が高いらしい。」
それを聞いて驚く家族たち。
富子 「本当かい?私、うれしいよ。アキちゃん助かるんだったら。やったじゃないの。朔太郎。」
嬉しいという感情を丸出しにする母、富子。
芙美子「お兄ちゃん、よかったね。これでお兄ちゃんも少しは元気になるね。」
アキが倒れて以来、妹、芙美子は奈美子なりに朔やアキの事を心配していたのだ。
潤一郎「よかったじゃないか。朔太郎。アキちゃん元気になったらアキちゃんさそってみんなで食事でもしようか。」
父、潤一郎も嬉しさを隠せない様子だ。
今や、朔と亜紀を応援する人たちはたくさんいるのだ。そう実感する朔。
そして食事を終えた朔はすぐに自分の部屋に戻り勉強を始めた。絶対に医学部に合格する。そして、亜紀を助けたい。この一心で猛然と勉強する朔。

 どこからか「頑張って、朔ちゃん。」と言う亜紀の声が聞こえたような気がした。

                   
                                      続く
...2004/11/22(Mon) 18:23 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様。いつも読んでいただきましてありがとうございます。 
読者の皆様の応援のおかげで第六話が完成いたしました。この場を借りて感謝いたします。

第四話の後半部から第六話までを割いて、ある一日の出来事を書きました。今回は龍之介とボウズが登場しませんでしたが、次回、智世と共に登場する予定です。(いわゆる全員集合。)テーマは「ある晴れた秋の一日」です。楽しみにしていただければ幸いです。
         グーテンベルク
...2004/11/22(Mon) 18:43 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:不二子
〜グーテンベルク様〜
はじめまして。
私も密かな読者であります。
「生きている」朔と亜紀の言葉が聞けて、毎回楽しみです。
どうぞ、お身体大切に頑張って下さい。
...2004/11/22(Mon) 19:36 ID:WOEl1D0U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
不二子様へ
はじめまして。グーテンベルクです。楽しみにしていただきまして本当にありがとうございます。これからも頑張って執筆いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。それと、私の健康面までお気を使っていただきましてありがとうございます。これから寒い季節となりますので、不二子様もお身体にお気を付けください。
...2004/11/22(Mon) 20:01 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ。

ただいま執筆しております世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜白血病の克服編ですが、おおまかな流れが決まりました。すると、なんと第15話まで続く予定となりました。幸せとは・・編は白血病克服編終了後執筆予定です。今後もどうかよろしくお願いします。
...2004/11/22(Mon) 22:57 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

長編になりそうですね。 ますます楽しみが増えました。
グーテンベルク様の書く「アナザー・ワールド」、たー坊様の書く「アナザーストーリー」共に亜紀がとても生き生きとして、心の中が暖かくなります。
これから益々寒くなりますが、体調に気をつけ楽しませて下さい。

今日、仕事で北の大地を最北端の近くまで行きましたが、道中天気が良くまるで亜紀が見たがっていた「ウルルの青い空」を見ているような気分でした。
日本の空も捨てたものではありませんよ。
少しだけ幸せな気分になれたのは気のせいでしょうか? 
...2004/11/22(Mon) 23:57 ID:wEQfsBEo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様
いつも読んでいただいている上に感想まで書いていただきましてありがとうございます。いつも物語執筆の大きな励みになっています。
 日本の空。本当にきれいな空ですね。おそらく・・・ウルルの空にも負けないくらいですよ。
私は2年前まで理学部の学生で、気象学や地球環境学を専攻していた関係もあって空を見ることが大好きです。私もいつも空を見ては幸せな気分になっております。そして私の見ている九州の空と北のおじさん様の見ているきれいな空、それとウルルの空。これらはつながっていると思うと嬉しくなります。
 北のおじさん様もどうか体調に気をつけてください。いつもありがとうございます。
...2004/11/23(Tue) 18:24 ID:kmfU.nq.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
 本日アップする予定のアナザー・ワールドの第七話「ある晴れた秋の一日」は前編と後編に分かれております。朔たちの高校生活最後の大イベントです。今日は朔、亜紀、龍之介、ボウズ、智世が登場します。なお後編は明日アップする予定です。お楽しみにしていただけたら幸いです。
...2004/11/23(Tue) 20:49 ID:ItP6JVMM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 お待たせいたしました。第七話が完成しました。テーマは「ある晴れた秋の一日」前編です。
楽しく読んでいただけましたらなによりです。

世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

Z.1988年秋。亜紀は病状も特に悪化せずに白血病と闘い続けていた。薬の進歩だけでなく、朔の存在が亜紀の心に白血病に負けない意志力を与えていたことが大きかった。そして・・・


1988年9月、朔達の高校生活も残り約半年。今月は高校生活で最後の大イベント、学園祭がある。生徒たちは打ち合わせや準備で大忙しだ。だが、学園祭に気乗りしない生徒達がいた。朔、龍之介、ボウズ、智世の4人だ。理由は一つ。亜紀が来ることができないからである。彼らは放課後たこ焼きパパさんに集まっていた。
 智世「せっかくの学園祭だから、外出許可貰えたらいいのに。亜紀がいないと面白くないよー。」
龍之介「だけど、亜紀ちゃんを連れ出したらそれこそ一大事じゃないか。」
ボウズ「何かいい方法ないのかよ。高校生活最後の楽しみなんだし。」
朔   「亜紀を無菌状態に保てればいいのだが、無理だよ。」
智世 「そうよね。取り返しのつかないことになったら大変だし。」
意気消沈の4人だった。
そういえば、おととしの学園祭、亜紀はとても楽しかったそうだ。そして翌年の学園祭を楽しみにしていたのだ。その時の様子は亜紀の親友の智世と、そのころから亜紀に好意を持っていたボウズが見ていた。ところが昨年、白血病で入院し、楽しみにしていた学園祭に行けなくなってしまったのだった。。

4人がいろいろと考えていると、たこ焼きパパさんの店主がたこ焼きをもって来てくれた。
パパさん「押してだめなら、引いてみろって言葉があるだろう。みなさん。」
パパさんが微笑みながらそう言った直後、ボウズが突然立ち上がった。
ボウズ「そうだ、そうだよ。」
びっくりする朔たち。
智世 「びっくりしたなー。なんなのよ。いきなり。」
龍之介「なにか思いついたのか。」
ボウズ「廣瀬がこれないのなら、俺達が行けばいいんだよ。廣瀬のところに。」
いつになく頭が冴えているボウズ。
龍之介「ナイスアイデア!ボウズ。それに決定だな。そういえば有名ホテルとかの宴会だって出張宴会とかあるしな。名づけて宮浦高校出張学園祭。」
朔  「サンキュー、ボウズ。」
嬉しそうにする朔たち、だが智世はあまり喜んでないようだ。
龍之介「おい、おまえ。嬉しくないのか?」
智世 「みんな忘れてない?私と朔とボウズは模擬店でお好み焼き焼かないといけないんだよ。龍之介。」
再び意気消沈。龍之介を除いて。しかし龍之介からの返答ははやかった。
龍之介「そんなことなら大丈夫だ。心配するな。俺にまかせておけ。」
自身満々な龍之介。そんな龍之介に朔がつっこむ。
朔  「スケちゃんが俺にまかせとけ、とか大丈夫だとか言ったときって・・・ぜんぜん大丈夫じゃなっかったりするじゃないか。昔っから。」
龍之介「今度こそ大丈夫!!絶対に。」
こうして4人は龍之介の言葉を信じて、八日後にせまる学園祭当日は学校をサボり、亜紀の入院している病院へ行くことにしたのだった。

それから一週間後、亜紀はいつもの朔との面会が終わって、母綾子と話していた。
亜紀 「明日・・・学園祭らしいね。うちの学校。私もいきたかったな・・。」
つまらなさそうな亜紀。高校最後のイベントだから無理もない。
綾子 「亜紀、これから学園祭よりも楽しいことっていっぱいあるのよ。だから今は我慢しなさい。」
優しく言って聞かせる綾子。
亜紀は少し残念そうに「はーい。」とだけ答えた。

そして、学園祭当日がやってきた。4人の待ち合わせ場所は港だった。
待ち合わせ時刻の前にこの場所にやってきた朔、少しして智世とボウズがやってきた。だが、学園祭の模擬店の件で龍之介は少し遅れてやってきた。
龍之介「またせてごめんよ。さあ、タクシーに乗るぞ。」
そういって龍之介はタクシーを捜していた。

ちょうどそのころ学校では(今年も)担任の谷田部先生が各部屋や模擬店を回り出席を取っていた。最後にお好み焼きの模擬店にいってみると・・・
そこには誰もいない店と一枚の札が下がっている。よく見てみると、「本日は定休日です。ご了承ください」と書いてあったのだ。
谷田部「あいつらー。こうなるかとは思っていたけど。」
行き先が読めた谷田部もまた病院へ向かう。

 一方朔たちは・・・タクシーに乗って病院へ向かっていた。
智世 「ねえ、龍之介。そういえば模擬店の方はどうしたの?」
それは朔もボウズも気になっていた。
龍之介「本日は定休日です。の札を下げてきたから完璧さ。」
それを聞いて驚く3人
智世 「なによ、それ。メチャクチャじゃないの。」
ボウズ「まったくだよ。年に一度の出店日が定休日だなんて聞いたことねえよ。」
朔  「だから言ったろう。スケちゃんの大丈夫とまかせとけ、には気をつけろって。」
タクシーの中がにわかに賑やかになった。
智世 「あーあ、帰ったら先生に怒られるよ。絶対に。」
龍之介「まあ、せいぜいプリント課題20枚くらい出される程度だろ。」
ボウズ「まいったよ。おまえには。」
  だが、4人とも幸せな気分だった。もしかしたら今日の出張学園祭が白血病と闘っている亜紀の励みになるかもしれないと思っていたからだった。そうこうしているうちに4人を乗せたタクシーは病院に到着した。
                                     

                                        続く
...2004/11/23(Tue) 21:18 ID:ItP6JVMM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
介ちゃん、ナイスです。
谷田部先生も鋭いですね。

高校時代を思い出させます。 
私の担任も、「先生ちょっと」の一言で「帰るのか〜」の返事をもらえました。(かなり良い生徒でした(^_^;))
元々ドラマ版を見ていた頃から懐かしさを感じていたのですが、私にとって一番楽しかった頃を思い起こさせる物語、是非最後まで頑張って下さい。
...2004/11/23(Tue) 21:44 ID:6bPgYd46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 北のおじさん様へ
早速コメントしていただきましてありがとうございます。最後までがんばって執筆していきますのでよろしくお願いします。
...2004/11/23(Tue) 22:44 ID:ItP6JVMM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
読者の皆様へ。
いつもみてくれてありがとうございます。本日アップする予定の「ある晴れた秋の一日」後編は現在執筆途中でございます。アップが遅くなりますことをお詫びいたします。もうしばらくお待ちください。
...2004/11/24(Wed) 21:58 ID:4yBzgBlY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者のみなさま。こんばんわ。続きが完成いたしました。テーマは「ある晴れた秋の一日」後編です。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

Z.1988年9月。学園祭当日朔たちは学校へ行かず、亜紀のいる病院へと向かった。宮浦高校出張学園際が間もなく始まろうとしていた。

病院へ入る朔たち4人。ここでボウズがあることに気付いた。
ボウズ「そういえば、病院の許可とらないと、つまみ出されるんじゃないか?」
心配そうなボウズや智世、朔だが、龍之介はすぐに返答する。
龍之介「大丈夫。もう病院に許可は取っているからな。」
こういう時の龍之介はよく気が利くのだ。

 −そういえば、去年、朔と亜紀の形だけの結婚式、朔は亜紀のウエディングドレスの調達に走り回り、朔自身のタキシードが必要なことをすっかり忘れていた。前日の夜、ドレスの調達と亜紀との面会を終えて家に帰ると龍之介は朔のタキシードを用意してくれていたのだ―

そして4人は亜紀のいる病室の前についた。朔が扉をノックすると亜紀の母綾子がドアを開けた。その後ろのベッドでは、亜紀がびっくりした様子でこちらを見ている。
綾子 「あら、みなさん。今日はこんなに早くからどうしたの。それに今日は確か・・」
亜紀 「みんなどうして?今日は学園祭の日じゃないの?確か。」
学校にいるはずの朔たちが今自分の目の前にいるのだから2人が驚くのも無理なかった。
智世 「今日は学園祭だけど、私達はここでやることにしたの。名づけて!」
智世はボウズにマイクを差し出すふりをする。
ボウズ「名づけて、宮浦出張・・・高校・・・あれ?なんだったっけ?」
早速とちったボウズ。すかさず龍之介がフォローする。
龍之介「名づけて宮浦高校出張学園祭!!」
亜紀 「みんな、学校に行かなくていいの?怒られるよ。きっと。」
智世 「そんな事言ったって、亜紀がいないと楽しくないんだもん。第一、亜紀だけ楽しめない学園祭なんて不公平じゃない。」
そして朔は亜紀にやさしく話しかける。
朔 「亜紀。みんなこの日を楽しみにしていたんだからな。それにスケちゃんが佐藤先生に許可をとってくれたから、心配いらないよ。」
その言葉に安心した亜紀はみんなに「ありがとう。まさか学園祭に参加できるとは思わなかったから。嬉しいな。」
亜紀の顔はすっかり笑顔にかわっていた。
こうして朔と亜紀、智世、龍之介、ボウズの五人だけの学園祭がはじまった。
ちょうどそのころ谷田部先生が病院へとたどり着いていた。

 4人は亜紀に演劇を披露し始めた。内容は・・・去年亜紀にみせた「どすこいジュリエット」の続編なるものだった。ちなみに「どすこいジュリエット」とは朔が考え付いた喜劇で、主人公を相撲取りにして、男同士の恋愛を描いた物語だ。そして今回の続編はさらにおもしろおかしいものだった。

 劇の途中。ついに谷田部先生が病室にやってきた。
谷田部「あんたたち。やっぱりここにいたのか。」
朔  「や、やばい。ばれた。」
こんなに早く居所がばれるとは思わなかったため、病室の中はパニックになった。
しかし、こうなることを内心予想していた谷田部は「学校に戻れ」とは言わなかった。
谷田部「あんたたちの決めたことだし、今日は楽しみなさい。見逃してあげるから。」
安堵の表情の朔達。
ボウズ「そしたら、今回は、お咎めなしなんですね。よかったー。」
谷田部「でも、宿題プリント30枚追加ね。一言相談しなかった罰よ」
朔たち「そ、そんなー。」
そんなやり取りがおかしかったため亜紀が明るい声で笑い出す。
「みんな、変わらないね。見ていると嬉しくなる。」
亜紀はとても楽しそうだ。屈託のない笑顔だ。
そして再び「どすこいジュリエット」続編を再開。病室には亜紀の笑い声で満たされていた。

楽しい時間はあっと言う間に経過していく・・・・。

そして夕方前、病室での学園祭は幕を閉じようとしていた。
龍之介「それでは・・・名残惜しいけど。宮浦高校出張学園祭はもうすぐ終わりです。最後にいつも頑張っている亜紀ちゃんに俺達から豪華プレゼントがあります。」
そう言うと龍之介、ボウズ、智世が朔の腕を捕まえた。
こうなることを知らない朔はおどろくばかりだった。
智世 「今日面会時間終了まで、朔ちゃんをさしあげまーす。」
悪戯っぽく笑う智世。
ボウズ「うらやましいぞ。朔。まあいつも一緒だからプレゼントにならないか。」
そして亜紀は・・・「そしたら、面会時間終了まで帰ったらだめだからね。」ととても嬉しそうな様子だった。そして・・朔もどこか嬉しそうだ。

 こうして秋晴れの一日。病院での学園祭は幕を閉じた。

                                 続く
...2004/11/24(Wed) 22:42 ID:4yBzgBlY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 第八話が完成いたしました。今回のテーマは「試練の時」です。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

[.最後の学園祭が終わり、朔たちは大学入試に向けての勉強に追われていた。そして、亜紀も病室で白血病と闘い続けていた。今のところ病気の進行は食い止められているが、闘いが終わる見通しは未だに立っていない。

 1988年12月。朔は放課後、真っ直ぐに帰宅していた。龍之介、ボウズ、智世とともに。
最近、山から吹き降ろす風も冷たくなり、冬の訪れを感じさせていた。
龍之介「なー。おまえさん達。今日返ってきた模試の結果どうだったよ。俺、最悪。もっと勉強しないとな。」
漁師の息子でいつも親と海へ出ていた。そのため海の魅力に取り付かれたのか、水産学部と理学部を志望するようになっていた。今回の模試は第一志望校の判定がC判定(合格率は五分五分)だった。
智世「私はB(合格率七割くらい)判定。もう少し努力しないといけない。頑張らなくっちゃ。」
智世の志望学部は薬学部だ。白血病の亜紀をさらに心身共に苦しめたのは、抗がん剤による副作用だった。その様子を見てきた智世の将来の夢は副作用の少ない薬を開発することなのだ。
ボウズ「俺は大学受験ないけど、ちゃんと勉強していたからすこし成績上がっていたぞ。」
ボウズが目指しているのは僧侶だ。以前は僧侶になるのを嫌がっていたボウズだったが、亜紀が死の淵をさまよっていたあの日を境に僧侶になることを決めた。
ボウズ「でも、朔はすげえよな。今回も学年トップじゃないか。確か去年までは俺の方が成績よかったのに。」
朔 「絶対に、○○大の医学部に行きたいからな。もっと頑張らないと。」
朔が○○大学医学部を目指している理由はただ一つ。血液難病の研究をしている研究室があるからだ。亜紀を助けたい。いや、絶対に助けてやる。朔の意思は非常に固く、成績は学年トップになっていた。模試の結果はA判定(合格率8割以上)だが、絶対に合格したい朔にとっては安心できるような成績ではなかったのだ。
智世 「そうよね、あんたは亜紀の希望なんだから、絶対に受かってよね。」
昔は頼りなさげな亜紀の恋人がいまでは立派に見える。智世はそんな朔を影から応援していた。もちろん龍之介やボウズも朔を応援していた。

朔は帰宅後、亜紀のいる病院へと向かった。自転車をめいっぱいにこいで。いつものように。
そして病院にて・・・
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。いつも来てくれるのはありがたいけど、勉強は大丈夫なの?無理して来なくてもいいんだよ。」
朔とオセロであそぶ亜紀。もっとも無菌室のビニールカーテンに囲まれている亜紀は、置く場所を朔に言って置いてもらうのだが。
朔  「無理じゃないよ。亜紀に会った方が集中できるし。けじめをつけて勉強した方がいいよ。それに、俺が来なかったら寂しくない?」
すると亜紀は少し寂しそうに 「やっぱり、寂しい・・・。」と言った。
朔の前で無理をしなくなった亜紀。それは朔にとっては嬉しいことだった。
朔  「絶対に合格するから。だから、俺の前では無理しないで。」
優しく亜紀に話す朔。
ちょうどその時オセロの勝負がついた。
亜紀 「朔ちゃん、あいかわらず弱いね。オセロ。」
朔  「あー、やっぱ亜紀には敵わないか。俺。」
残念なふりをしつつどこか嬉しそうな朔。
亜紀 「10年早い!!朔ちゃん。」
悪戯っぽく笑う亜紀。これは心が元気な証拠であった。
亜紀の元気そうな様子を見ていた亜紀の両親の真と綾子、それと担当医の佐藤先生が静かに微笑んでいた。

それからも、朔はほとんど毎日亜紀との面会をかかさなかった。

 そして、年が明けた1989年1月中旬。受験生にとって最初の関門である共通一次試験(現在のセンター試験)の日がやってきた。朔はこの試験で好成績を修めないと医学部への道が閉ざされてしまう。
朔は前日の夜、亜紀からもらった必勝読本を見てみた。たった1ページの本だが、こう書かれていた。
  
  受験会場では、周りの人たちみんなが成績優秀な人たちに見えるけど、周りの人から見ると、きっと朔ちゃんもそのように見えるんだよ。試験中は、周りの人達の顔はみなジャガイモと思うといいよ。リラックスして努力の成果を120パーセント出せるようにがんばってね。わらわはしっかり応援しているぞよ。

  がんばれ!!朔ちゃん。

 
 亜紀が書いてくれた必勝読本のおかげだろうか、朔は落ち着いて共通一次試験に臨むことができた。そして結果は○○大学医学部を受験してもよい成績だった。だが、まだ、安心はできない。2月下旬には○○大学の二次試験があるのだ。合否を決めるのは共通一次試験の点数と各大学で実施する二次試験の点数の合計点だからだ。

 そして二次試験の前日、朔は亜紀からカセットテープを受け取った。

                                         続く
...2004/11/25(Thu) 19:29 ID:tuneEm2Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。第8話完成いたしました。
世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜は、世界の中心で愛をさけぶ2とアナザーストーリを読んだ私が、自分もみんなの心に残るような作品を作ってみたいと思い、11月14日に誕生いたしました。そして生まれて11日がたち、第8話まで作成することができました。読んでくれている皆様に本当に感謝しております。これからもよろしくお願いします。

あと、もしアナザー・ワールドの読者の方で、世界の中心で愛をさけぶ2、アナザーストリー、もう一つの結末(再会編)、続・サイドを見ていない方がいらっしゃいましたら(多分いないと思いますが・・)ぜひ、これらの名作を読まれることをおすすめします。いいストーリーばかりですよ。
...2004/11/25(Thu) 20:42 ID:tuneEm2Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。たー坊です。速いペースでUPされておられるので、構想がよほどお上手なのだと思います。実際、すごくナレーション?と会話部分のバランスが良いと思いますよ。参考にさせていただきたいくらいです。お互いに頑張りましょう。
...2004/11/25(Thu) 21:56 ID:MulOIMWQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
お褒めの言葉、ありがとうございます。とても嬉しい気分です。ナレーションにつきましては第3話の後、clice様からのアドバイスがあってから導入いたしました。少しでもいい作品になるようにと。お互い健康に気を付けながら頑張っていきましょう。
           グーテンベルク
...2004/11/25(Thu) 22:38 ID:1FBoYe1.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
朔の『好き』の一言といい、亜紀の『がんばれ!朔ちゃん』の一言といい、実に良いタイミングで使われていますね。
テープの内容は何なのでしょうか? 気になります。
続きが楽しみです。

『がんばれ!グーテンベルクさん』
...2004/11/25(Thu) 22:41 ID:HeMuIELo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様。
今回も読んでいただきましてありがとうございます。いつも執筆の励みになっています。
 これからも頑張ります。次の話もぜひ読んでください。
     グーテンベルク
 
...2004/11/26(Fri) 06:41 ID:Ya5q060Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ。
 いつもありがとうございます。この物語、かなり長くなることが予想されますが、これからも応援していただければ幸いです。これから先、仕事の関係でアップするペースが今より遅くなるかもしれませんが、その時はご了承ください。できるかぎり読者の皆様をお待たせしないように頑張ります。
 さて、本日は宿直勤務のため執筆活動をお休みさせていただきます。また、その間に書き込みしていただいた方には、明日夕方くらいには返事を書かせていただきます。お待たせいたしますがどうかご了承ください。
       グーテンベルク
...2004/11/26(Fri) 06:51 ID:Ya5q060Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルクさん
私も宿直のある仕事をしているので、大変さはよくわかりますよ。
頑張ってくださいね。
...2004/11/27(Sat) 00:43 ID:ZaF3A5rU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 朔五郎様へ
ありがとうございます。おたがいに仕事もセカチューも頑張りましょう。
          グーテンベルク
...2004/11/27(Sat) 19:02 ID:4.g15nO2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
第九話完成いたしました。今回のテーマは「未来を信じて・・・」です。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

\.高校生活も残りあと僅か。医師を目指す朔にとって最初の試練、大学入試が始まった。共通一次試験で好成績を修め、二次試験を明日に望む2月のある日。朔は亜紀からカセットテープを受け取った。

 二次試験前日、明日の試験に備えて最後のチェックを済ませた朔は亜紀から受け取ったカセットテープをウォークマンに入れて再生してみた。

 亜紀の声:
『朔ちゃんへ。カセットテープでの会話、久しぶりだよね。一年ぶりになるのかな・・・。私が白血病と闘っている間に、朔ちゃんは立派になったと思うよ。私が白血病と闘い続けることができるのも、きっと朔ちゃんのおかげだと思うの。そういえば以前、私がカセットテープに「もう来ないで、さよなら、朔ちゃん」と入れたことがあったよね。覚えてる?あの時、私は朔ちゃんの将来を思って別れを告げたのだと、自分に言い聞かせていたけど、本当は違ったの。
 それより以前、まだ私が病院内を歩き回ることができた頃、待合室の椅子に腰掛けている時、偶然近くで電話をしている男の人の会話を聞いてしまったの。
たしか・・「あの女と付き合ってても、金はかかるし、遊びにもいけねえし、もう他の女と付き合うことにするよ。」とか言ってた。その時はひどい男だとしか思っていなかった。でも、私の病状が悪化したときその言葉を思い出したら・・・怖くなったの。もしかして、私・・・朔ちゃんから捨てられるかもしれないって思ったの。
それで、捨てられる絶望を味わうくらいなら・・・その前に別れようって思ったの。
 でも、朔ちゃんはそんな私を見捨てたりしなかったよね。髪の毛なくて、外はおろか、室内も歩くことすらできないボロボロの私を・・・。もう、一年以上も・・・毎日のように会いに来てくれて。だから、明日の試験の結果がどうなっても・・・私は・・・幸せだよ。
でも・・・欲張りかもしれないけど・・・試験合格してくれたら・・・嬉しいな。
朔ちゃん。明日の試験がんばってね。わらわはしっかり応援しておるぞよ。』


亜紀のテープを聞き終わった朔は布団の上に仰向けになった。
朔 「亜紀、俺は・・・亜紀を絶対に救い出してみせるから、それまで、頑張って。」
朔は窓から見える凍てつくような冬の星空を見つめながら、そうつぶやいていた。

そして翌日、二次試験本番の朔は共通一次試験の時と同様に亜紀特製の必勝読本を読んで気分を落ち着かせて試験に臨んだ。絶対に合格してみせる。朔は全力で解答用紙に答案を書いていった。試験科目は英語、数学、物理、化学。試験時間は一科目2時間だった。だが、その時間も朔にとってはあっという間だった。

その日の夕方、試験を終えた朔は、まっすぐに亜紀のいる病院へ向かった。

病院にて・・・
亜紀 「朔ちゃん。お疲れ様。この一年、本当によく頑張ったね。ありがとう。ほとんど私のためなんだよね。なんか、朔ちゃんに無理ばかりかけて。ごめんね。」
うつむく亜紀。だが、そんな亜紀に朔はやさしく話しかけた。
朔  「亜紀も、よく頑張ったな。今まで。それと、俺は亜紀のことを負担に感じたことは一度もないよ。だから、亜紀は気にしないで治療に臨んで。亜紀がいてくれるだけで、俺は十分幸せだから。」
本音だった。朔自身がここまで頑張ってこれたのも、亜紀のおかげであった。
自分の可能性に挑戦し努力する。亜紀が必死に白血病と戦う姿は朔に大きなものを与えていたのだ。

そして朔と亜紀が病室で会話をしている頃、亜紀の両親、真と綾子は、亜紀の担当医である佐藤先生から病状の説明を受けていた。

佐藤 「以前、白血病の新しい治療法ができるかもしれないと説明いたしました。その治療法とは骨髄移植治療法です。」
真  「骨髄を・・・ですか。」
佐藤 「ただし、骨髄といっても型が合わないかぎり・・・移植はできないのです。」
綾子 「でも・・・型が合う可能性はどれくらいなんでしょうか。」
佐藤先生は落ち着いた口調でかつ、どこか悲しげな顔をして話し始めた。
佐藤 「白血球の組織適合抗原、通称HLAが一致することが必要なのですが、一致する確立は・・・・兄弟で約4分の1、他人ですと・・・500〜数万人に1人です。ドナーとなる人を集まって、型の合う方が見つかることを祈りましょう。」
 その希望とはほど遠い確立に愕然となる亜紀の両親。
真  「でも、どれくらい・・・どれくらい待たなければならないんですか。」
佐藤 「今の段階では何ともいえませんが・・・希望はあります。今使用しております新しい抗がん剤により、病気の進行を食い止めることに成功しております。もっとも朔太郎君の存在が大きいことも確かですが・・・。そしてあと2,3年で骨髄バンクが設立される予定です。そうなれば、骨髄の合うドナーが見つかる可能性も高くなります。亜紀さんもこのままうまくいけば病状もほとんど進行しないと思われます。」
綾子 「本当なんですか。先生」
佐藤 「おそらく、まちがいない思います。今回の薬は昨年5月から10ヶ月にわたって使用しておりますが、その間病状はまったく悪化しておりませんし、むしろ除々によくなっている傾向すらありますから。我々も全力を尽くします。どうか・・・あきらめないでください。」
佐藤先生の口調は真剣だった。
真  「綾子、いつまででも待とう。それに、今は朔君もいる。ドナーが見つかるまで、待ち続けよう。」
綾子 「ええ、あの娘が助かるように私達もできることからはじめましょう。」
2人も亜紀にしてあげられることをもう一度考え始めていた。

そして、二週間が過ぎた。凍てつくように冷たかった北風も次第に弱くなり、あちこちで春の訪れを感じることができるようになったある日のこと、朔は○○大学の合格発表が行われる会場にいた。間もなく合格者の受験番号が張り出せされる。朔は緊張しながらその時を待っていた。
                           
                                     続く
...2004/11/27(Sat) 19:14 ID:4.g15nO2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

亜紀と朔のお互いを思う心がよく判ります。
いよいよ骨髄移植の話も出てきましたね。
これからも楽しみにしています。

北の大地もいよいよ白くなってきました。
寒くなってきていますので風邪などひかぬようご注意下さい。(私は2週間程前にひいた風邪がまだ治っていません)
...2004/11/28(Sun) 20:34 ID:R.FPyQDQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様
こんばんは。風邪の方は大丈夫でしょうか?風邪が治らないと辛いですからね。早く治るといいですね。私の住んでいる九州地方でも、もうそろそろ山沿いでは初雪が降る頃です。お互いに体には気をつけましょう。
 アナザー・ワールドの方は現在第十話を執筆しております。次回は高校を卒業する朔たちの物語です。(今日中にアップできるように頑張ります)
楽しみにしていただけたら幸いです。それではお大事に。
     グーテンベルク

 
...2004/11/28(Sun) 20:57 ID:FdxTHqUs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 おまけのコーナーです。
冬になり風邪をひく人が増えてきている。夜空を見上げる亜紀。そして・・・
亜紀 「こんばんは。廣瀬亜紀です。風邪がはやっているみたいなので、風邪をひかないように気をつけてください。そして、今風邪をひいている方達へ、早く元気になるといいですね。早く元気になれるように、わらわはしっかり祈っておるぞよ。」
 冬の夜空に向かって祈る亜紀だった。
...2004/11/28(Sun) 21:10 ID:FdxTHqUs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へお詫びいたします。
本日アップする予定でしたアナザー・ワールド第10話(テーマ「医師への・・希望への道」)ですが、今日中に執筆を完了させることができませんでした。そのためアップを明日に延期させていただくことにいたしました。皆様をお待たせいたしますことをお詫び申し上げます。
        グーテンベルク
...2004/11/28(Sun) 22:42 ID:FdxTHqUs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たか

いえいえ、マイペースで構いませんよw

気長に待ってるぞよwしかしグーテンベルクさんの作品は素晴しいですね。期待しておりますw
...2004/11/28(Sun) 22:50 ID:sBp3izh.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
はじめまして!けんといいます。アナザーストーリー同様このグーテンベルクさんのアナザーワールドもとても素敵な作品で素晴らしいですね。9話分一気に読ませていただきました。特に朔が亜紀の病気を治すために医学部をめざして勉強する姿は、私は、感動するとともに感心させられました。
 これからも期待していますので、体に気をつけて頑張って下さい。
...2004/11/29(Mon) 00:17 ID:wE8vy4tk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たか様へ
期待していただきまして光栄です。そして褒めていただきましてありがとうございます。執筆して本当によかったと思う瞬間です。いい作品を作れるように今後もがんばります。
 
 けん様へ
はじめまして。グーテンベルクです。読んでいただいて本当にありがとうございます。これからも期待を裏切ったりしないように努力しますので。よろしくお願いします。
...2004/11/29(Mon) 21:33 ID:qsmnKd46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たいへんお待たせしました。第十話が完成いたしました。今回のテーマは「医師への・・希望への道」です。読んでいただけたら幸いです。


世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜


].1989年3月上旬のある日、朔は○○大学の総合掲示版のところにいた。今日は○○大学医学部入試の合格発表だ。ここまでの努力の結果は・・・・

 ついに合格者の受験番号が張り出された。緊張を隠せない様子で自分の番号を探す朔。
朔  「M−702・・・・702は・・・・・。あ・・・・あった!あった! 受かった!合格だー!」
これまでの努力が実った瞬間であった。医師への道が開かれた。
その時、後ろから朔を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとそこには智世とボウズがいた。
智世 「朔。どうだった?」
朔  「受かった。受かったよ。」
嬉しそうにそう語る朔に2人の顔がみるみる明るくなってゆく。
ボウズ「やったー!!やったな!朔。智世も薬学部合格したし。最高だー。」
跳び上がって喜ぶボウズ。そんなボウズも来月からは僧侶になるための修行が始まる。
智世 「朔、おめでとう!亜紀も絶対に喜ぶよ。本当に、本当によく頑張ったね。朔。」
智世は嬉しくて泣き出してしまった。智世も朔と同じように亜紀の力になれるかもしれないと薬学部を目指し、努力の甲斐もあって○○大学薬学部への合格を手にしていた。
朔  「智世も、合格おめでとう。智世もよく頑張ったと思うよ。ボウズも応援してくれてありがとう。それと俺の合格をここまで喜んでくれて、本当にありがとう。」
ボウズ「おまえたちに廣瀬の未来もかかっているからな。さっそく病院にいこうぜ。」
早く亜紀に知らせたい・・・。駅に向かって歩き出したとき、背後から声がした。
真  「どうやら、合格したみたいだな。おめでとう。」
今この場所に真が来ているとは知らなかった朔たちが驚く。
智世 「おじさん、こんにちは。」
ボウズ「こんにちは。」
朔  「あの・・・どうしてここに。」
真  「こんにちは。それと朔君。前にも言ったが、人に会ったら挨拶しなさい。」
朔  「あ・・・すみません。こんにちは。」
真に会うと緊張して挨拶ができないところは以前とかわっていないようだ。
真  「亜紀に頼まれてな。見てきてほしいとな。それで・・・これは私からのお願いなんだが・・・もしよかったらみなさん、今から亜紀に会ってやってくれないか。」
「はい」という返事が三人同時だった。こうして3人は真の車で亜紀が待っている病院へと向かった。車が病院へと向かう長い上り坂に差し掛かったとき、前方に自転車をこぐ龍之介の姿があった。真は車を止めて龍之介に乗るように言った。龍之介の自転車をトランクに入れ、車は再び急な上り坂を病院を目指して駆け出した。
 車内にて・・・・
龍之介「なあ、朔。結果は・・・どうだった?」
龍之介の問いかけに3人の顔が嬉しそうになった。
朔   合格した。みんなのおかげで。」
龍之介「やったぞー!!!おめでとう!!!」
車の中で大声をあげて喜ぶ龍之介。それを沈めるようにボウズが語りかけた。
ボウズ「それはいいけど、おまえはどうだったんだよ。」
龍之介「合格した。まあ、俺はこう見えても天才だからな。」
満足げな龍之介だった。
智世  あんたはすぐに調子にのる!」
智世がすかさず龍之介につっかかる。でも、もちろん彼の合格を祝福していた。
龍之介が合格したのは△△大学水産学部だ。第一志望校だった大学だ。
車内は若い歓声で大騒ぎだ。そしてバックミラーに映った真の顔もどこか嬉しそうだった。

 病院では、亜紀は朔の結果が気になってしかたないのか、落ち着かない様子で母の綾子と会話していた。
亜紀 「朔ちゃん、どうなったかな。受かっているかな。早く知らせがこないかな。ねえ、お母さん、電車が宮浦に着くの何時くらいかな。」
綾子 「亜紀、そんなにそわそわしなくても、今日中には来るわよ。11時過ぎの特急に間に合っていれば、病院に着くのは1時半くらいになるわね。」
亜紀 「あと、1時間か・・・早くこないかな。朔ちゃん。」
その時病室の入り口のドアが開いた。亜紀が顔を上げると、真が笑顔で立っていた。笑顔ということは・・・朔は・・・
亜紀 「あ、お父さん。朔ちゃんは合格していた?」
真  「亜紀、その前に一言おかえりなさいとか言いなさい。」
真は少し複雑な気分だった。
亜紀 「ごめん。おかえりなさい。」
真  「結果は本人達から聞きなさい。みんな、入ってくれ。」
亜紀 「え???」
びっくりする亜紀。その直後、入り口から朔達が入ってきた。
亜紀 「朔ちゃん、智世、中川君。大木君。」
亜紀の顔が明るくなってゆく。
朔  「亜紀、俺、合格したよ。医学部。それに智世も薬学部に、スケちゃんも△△大に合格したよ。」
亜紀は精一杯の笑顔で喜ぶ。
亜紀 「やった!!みんな、本当におめでとう。みんな頑張ったんだね。」
亜紀は笑顔でみんなを祝福してくれた。
みんな将来への進路が決まった。あとは・・・亜紀の病気が治ってくれて亜紀自身の進路が決まれば・・・。本当の幸せがくるのだろう。早く、早くその時がきてほしい。
朔はそう願っていた。

一方亜紀の父親の真は、朔たちを病室まで送ってくれた後、病室を出て松本写真館へと車を走らせていた。松本写真館までは車で10分くらいだ。
松本写真館にて・・・
真  「いつも娘がお世話になっております。今日はお父様、お母様におねがいがあって参りました。」
潤一郎「私どもにできることがありましたら、何でもおっしゃってください。」
真  「実は今日朔太郎君に会いまして、○○大学医学部に合格したと聞きました。そして今後なんですが。もしよろしければ、ご自宅から通学していただきたいと思いまして・・・。無理なお願いだとはわかっておりますが・・・。」
朔の家から○○大学までは宮浦駅から普通列車にのり、途中から特急列車に乗り換えても一時間半から二時間はかかるのだ。
真はさらに続ける
真  「もちろん・・・特急料金も含めまして交通費はお支払いさせていただきます。 今、娘の病気の進行は止まっております。それは新薬だけでなく朔太郎君のおかげなのです。」
潤一郎「うちの息子が・・・ですか?」
真  「はい。うちの娘の担当医の佐藤先生からお聞きしまして、病気の治療には心も健康になることが大切なんだそうです。そして・・・娘にとって今、そしてこれからも必要なものが、朔太郎君と一緒に過ごす時間なのです。私とではなく・・・。」
どこか寂しげに話す真。亜紀が必要としているのは・・・
真  「どうか、お願いいたします。」
深々と頭を下げる真。治療費を稼ぐ以外に、亜紀にしてあげられることはこれしかない。そのためならどんな事でもやる。真はそう思っていた。
すると、朔の父、潤一郎が穏やかに話し始めた。
潤一郎「廣瀬さん。どうか、頭を上げてください。うちの息子はこの一年間で大きく成長しました。いろいろな意味でです。それは、間違いなく亜紀さんのおかげです。こちらこそ・・お礼をしなければなりません。うちの息子にも伝えておきます。」
朔の父、潤一郎は快く承知してくれた。

その日の夕方。ボウズ、龍之介、智世が帰宅した後、朔と亜紀が病室内で会話をしていた。

亜紀 「朔ちゃん。合格、おめでとう。それと、ありがとう。朔ちゃんも医者の卵になるんだね。なんか以前の朔ちゃんからは考えられないね。フフフッ」
無邪気な顔で笑う亜紀。亜紀も以前と比べて笑顔がふえてきた。
朔  「確かに。亜紀が倒れるまで勉強なんてろくにやらなかったからな。亜紀も応援してくれてありがとう。」
朔も亜紀にいい結果を見せることができて嬉しそうだ。

だが、突然亜紀の表情が変わった。
亜紀 「そういえば、○○大学って、特急列車使っても二時間はかかるよね、ここからじゃ、通えないよね・・・。」
亜紀の顔からはすっかり笑顔が消えてしまっていた。
朔  「ここから通うよ、俺。だから心配しないで。」
亜紀 「交通費、すごく高いよ。特急乗ったりすると。だから無理だよね。」
拗ねたような様子の亜紀。それだけ朔との時間を必要としていたのだ。
朔  「何とかしてでもここから通うさ。俺は亜紀の側にいたいから。」
朔も、亜紀をこの町に残していくことは気が気でない。
すると、病室の入り口から真の声が聞こえてきた。真が写真館から帰ってきたのだ。
真  「それならよかった。朔君。ぜひ自宅から通ってくれないか?」
笑顔で病室に入ってくる真。
亜紀 「お父さん、おかえりなさい。でも、ここから大学までは・・・」
亜紀が言い終わるより早く真からの返事がきた。
真  「交通費は特急料金も含めて私が全額支払わせて頂くことになった。必要なら送迎もさせていただく。朔君、君さえよければぜひ自宅から通ってくれないか。このとおりだ。」
頭を下げる真。朔は喜んでそれを受け入れた。そして離ればなれにならずにすんだ亜紀も大喜びだった。


そして・・・・

1989年4月上旬のある日の早朝、ひと月ほど前に高校を卒業した朔は宮浦駅にいた。今日から医師になるための勉強がはじまる。ポケットの中のパスケースの中には宮浦〜○○大前と記入された定期券と、朔と亜紀が写った写真が入っていた。

    続く
...2004/11/29(Mon) 21:43 ID:qsmnKd46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。今回のお話はとても心温まるお話でしたね。朔・智世・龍之介・ボウズそれぞれの進路が決まりましたね。特に今回のお話は、亜紀の父真の行動にとても感動させられました。例えば、亜紀のかわりに朔の合格発表を見にいってあげてその帰りに朔達を送ってあげたり、朔と亜紀が離れ場馴れにならないよう朔の家に行って、朔の父に自宅から通えるようにお願いしたり、本当に亜紀の事を思えばこその行動だなーと感動させられました。まるで、ドラマの三浦友和さんがお願いしている情景が想像できます。そういう情景が思い浮かべる文章が書けるグーテンベルクさんは、すごいとおもいます。
 次回からいよいよ大学編ですか?とても楽しみにしておりますので、無理なさらずに自分のペースで頑張って下さい。
...2004/11/30(Tue) 00:48 ID:UeY2I84.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
けん様へ
早速読んでいただきましてありがとうございます。ちなみに、私も情景を思い浮かべながら楽しんで書かせていただいております。いい作品になるように頑張ります。今後も応援していただければ幸いです。これからもよろしくおねがいします。

読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。さて、この物語は一つの節目を迎えました。
読者の皆様、コメントや感想を書いてくれた方々に感謝しております。
 朔もいよいよ医学の世界へ足を踏み入れました。亜紀が白血病に勝利する日を信じて。なお、大学編の前に特別編をいくつかアップするかもしれません。それらもふくめて、次回も楽しみにしていただけたら何よりです。
 なお、本日は宿直勤務のため執筆活動をお休みさせていただきます。ご了承ください。
     グーテンベルク
...2004/11/30(Tue) 06:44 ID:YMzFiIgQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Marc
グーテンベルク 様

いつも楽しみにさせて頂いてます、未来が開けて行くこと
は、はたから見ていても心が温かくなって来ます。

宿直がんばって下さいね。
...2004/11/30(Tue) 08:08 ID:1zL0X6aw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
グーテンベルク様、初めまして。

すばると申します。毎回楽しく読ませていただいております。たー坊さんとグーテンベルクさん、まさにサイドストーリーの双頭の龍ですね。登場人物の感情を豊かに表現していらっしゃるのが素晴らしいです。

どうぞお体に気をつけて、執筆をお続けください。これからも楽しみにしております(^O^)/
...2004/12/01(Wed) 00:06 ID:kvKyohLM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
Marc様、すばる様へ
初めまして。グーテンベルクです。アナザー・ワールドを楽しみにしていただいてありがとうございます。私が執筆を続けられれるのも、読者の方達のおかげです。本当に感謝しております。これからもよろしくお願いします。最近風邪がはやっておりますので体調管理にはお気を付けてください。
      グーテンベルク
...2004/12/01(Wed) 20:11 ID:5LAtYwnI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ。
皆様のおかげで第十話まで執筆することができました。この場を借りて感謝いたします。さて、アナザー・ワールド 白血病克服編 は1つの節目を迎えました。現在第11話を執筆中です。そして同時に特別編『智世の決意』も作成中です。
また今後『宮浦高校卒業の日』、『海原の英雄』、『たこ焼きケンちゃん誕生』、『????』(秘密です)など作成する予定です。(変更する可能性もあります)完成次第順次アップする予定です。


おまけのコーナーです。

○○大学医学部を受験した朔、受験票をみてみると・・・M-702
亜紀 「ねえ、この受験番号ってもしかして・・・。」
朔  「何かおかしい?縁起がいいとか?」
亜紀 「702番。私の誕生日よ。」
ちなみに亜紀の誕生日は7月2日である。
亜紀 「朔ちゃん、絶対合格だね。」
朔  「ああ。俺にとって一番縁起がいい番号だな。亜紀」
ほほえみあう朔と亜紀だった。
...2004/12/01(Wed) 22:23 ID:5LAtYwnI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様、初めまして。

Nettaと申します。いつも最新話を楽しみにしております。アナザー・ワールド深く味っています。登場人物のイメージを崩さずに10話も執筆できるなんてすごいと思います。

11話以降楽しみに待っております。
...2004/12/02(Thu) 13:52 ID:EgFUWfp6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ
初めまして。グーテンベルクです。アナザー・ワールドを読んでいただいてありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しい気分です。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。
これからもどうぞよろしくおねがいします。
   グーテンベルク
 
...2004/12/02(Thu) 18:35 ID:POHUijLI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 第11話が完成しました。テーマは『朔の授業』です。今日も読んでくれたら幸いです。


世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

       第11話
 
 1990年6月。大学2年生になった朔は毎日自宅からおよそ2時間かけて大学へ通っていた。自宅から通うことで朔と亜紀は離ればなれにならずに済んだのだ。もちろん、亜紀の両親、朔の両親の協力があってこそ実現できたことだ。医学部は講義や実験科目が多く、帰宅時間はいつも遅くなる。以前ほど亜紀と会うことができなくなったものの、時間を見つけては亜紀に会いに行っていた。

ある梅雨晴れの日曜日。朔は朝から病院へと向かった。休日は亜紀と長時間過ごせる貴重な一日なのだ。自転車のペダルを力強く漕いでゆく朔だった。
 病院にて・・・
亜紀 「おはよう朔ちゃん。朔ちゃんが会いに来てくれるの待ってたんだよ。」
うれしそうな亜紀。
朔  「うん、俺もこの一週間、亜紀と会えるのをずっと待っていた。今日は夜まで一緒にいよう。」
以前に比べて一緒に過ごせる時間は減ってしまったが、だからこそ一緒にいる時間を大切にしようと考える2人だった。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。大学の授業ってどんなのがあるの?おもしろい授業とか。」
朔  「今は一般教養科目もいくつかあって、うーん。地球科学とかはどう?天文学とか気象学。亜紀、好きそうな気がする。」
地球科学とは気象や大地、海洋及び天文などの自然の神秘を学ぶ学問だ。朔が撮ってきた空の写真の影響もあって、空のことに興味のある亜紀には楽しい話であろう。
亜紀 「うん。その話、聞きたいぞよ。教えて、教えて。」
興味津々の亜紀。そして朔はまず天文について説明しはじめた。
朔  「俺達に寿命があるように星にも寿命があるらしいんだ。そして死んだ星のカケラが我々や動物の体の中にもあるんだってさ。」
亜紀 「それ、本当なの?なんか、信じられない。その星のカケラってどこにあるのかな?」
朔  「宇宙空間には水素やヘリウムは比較的多く存在しているらしんだ。それが寄り集まって核融合反応を始め、自ら光や熱を放出する太陽みたいな恒星になるんだけど、その過程でニッケルや鉄までつくることができるらしい。ところがカルシウムみたいな物質はその核融合反応ではできないらしい。ところが太陽よりも数倍以上大きな恒星は寿命を終えると大爆発を起こし、その時に初めてカルシウム原子ができるんだってさ。つまり俺や亜紀の骨を作っているカルシウム原子はそうやって生まれたらしい。」
亜紀はびっくりした様子で朔の話を聞いていた。
つまりとてつもなく巨大な星が失われ、その時に生まれた原子が我々生物の体の一部として存在しているのだ。驚くのも無理はない。
亜紀 「びっくりしたな。まさか、私達が生まれてこれたのに、そんな奇跡があったなんて。 何かを失うことは何かを得ることってこういうことを言うんだね。やっぱり命というのはいろいろな奇跡が重なって生まれてきたんだから、大切にしなきゃ、ばちがあたっちゃうね。私、絶対に白血病なんかには負けないから。」
朔は以前より元気な声で話す亜紀を見てほっとしていた。そういえば最近、亜紀の容態は比較的よくなってきている。このまま、病気が治ればどれだけいいだろうと思っていた。早く、早くよくなってほしい。元気になってほしい。朔は亜紀を見つめながらそう思っていた。
亜紀 「朔ちゃん。どうしたの?私の顔見てぼーっとして。さては私に見惚れた?フフフッ」
悪戯っぽく笑う亜紀。すると朔は・・・。
朔  「いや、そうじゃなくて・・・」
亜紀 「そうじゃないんだ。ふーん。」
亜紀がわざとすねたふりをすると朔が急に慌てはじめた。
朔  「ちがうちがう、そうゆう意味じゃなくて・・・。」
亜紀 「それならどういう意味なの。朔ちゃん。」
ますます慌てる朔。そしてそんな朔を可愛くすら思う亜紀。
もうすでに朔は亜紀の尻に敷かれていたのだ。
ちょうどその時、亜紀の母、綾子が入ってきた。
綾子 「こらこら、あんまり朔君をからわないの。」
朔にとってはいいタイミングでやってきた助け舟だ。
亜紀 「はーい。朔ちゃん許してあげる。そのかわり次の日曜も来てね。フフフ」
悪戯っぽく笑う亜紀。朔もそんな亜紀にほほえんでいた。

そして、その後も亜紀は朔の地球科学の話を聞いていた。そしてこのことが亜紀の将来に大きな影響を与えることになるのだ。

 そして7月2日、亜紀は20歳の誕生日を迎えた。この日は月曜日、残念ながら朔は大学である。両親は亜紀に気象や宇宙、地球環境学の本をプレゼントした。しかも10冊も。亜紀は夕方までその本を読んでいた。そして気がつくと夜の7時だった。
亜紀 「朔ちゃん・・・私の誕生日、覚えててくれてるのかな・・・。」
覚えておいてほしいけど、朔は私のために頑張ってくれているのだから、これ以上を望むのは贅沢よね。亜紀はそう思っていた。

だが、夜の9時頃、入り口の扉が開くと、そこには朔の姿があった。
朔  「亜紀。遅くに来てごめん。どうしても手渡したいものがあって。」
そういうと1つの箱を亜紀に手渡す。
亜紀 「なぁに。これ、開けていいの?」
嬉しそうな亜紀に朔は「うん、開けてみて。」と一言。
亜紀が青い箱をゆっくり開けてみると中には誕生日おめでとうと書かれた紙と、銀色のネックレスが入っていた。
そしてネックレスの下には灰色で平べったい得体のしれない物体が付いていた。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。この石みたいなのなに?」
朔は微笑みながら答えはじめた。
朔  「宇宙からの贈り物。隕石のかけら。鉄とニッケルが混ざり合わずに模様をつくっているのがその証拠。」
亜紀は嬉しそうに涙を浮かべる。
亜紀 「ありがとう。朔ちゃん。ちゃんと誕生日覚えててくれたんだね。しかも、普通の人が思いつかないようなステキなプレゼントまで用意してくれて。ありがとう。」
20歳の誕生日。それは亜紀にとってすばらしい誕生日だったに違いない。
そしてそれからも、朔は休日のたびに欠かさず亜紀に会いに来たのだった。

             続く
...2004/12/02(Thu) 18:49 ID:POHUijLI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

執筆、お疲れ様です。 今回も二人のほのぼのとした様子、楽しく読ませていただきました。
やはり亜紀は強いですね(笑)。 いつまでたっても朔は亜紀の手の平の上で遊ばされているようです。

一つ気になるのですが、まさか亜紀ちゃん今度は空を越え、宇宙に手を出すなんてこと無いですよね?
白血病克服編、当初の予定でいけばもう終盤のことと思いますが、体に気をつけがんばって下さい。

亜紀のお祈りが効きました。 私の風邪はかなり良くなりました。(笑)
...2004/12/02(Thu) 22:11 ID:U1HYR5D6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様へ
安心しました。でも完全に治るまで油断禁物ですよ。さてストーリーの方ですが白血病克服編は当初の予定通り残りあと4話です。(予定ですが・・・)楽しみにしていただけたら嬉しいです。
それと、質問にお答えします。さすがの亜紀ちゃんも宇宙には手を伸ばしません。答えは・・・・・。やっぱり秘密です。(ゴメンなさい)『幸せとは・・』編、と『その後』編で取り上げる予定です。お楽しみに!
いつもご感想と激励の言葉をいただきましてありがとうございます。

 おまけです。
亜紀 「こんばんは。廣瀬亜紀です。風邪は治りかけの時が要注意ですよ。早く元気になってくださいね。」
アナザー・ワールドで祈る亜紀でした。
...2004/12/02(Thu) 23:16 ID:POHUijLI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。アナザー・ワールドはいかがでしょうか?最近仕事の都合もありまして以前より執筆ペースが落ちてきました。その点はご了承願います。できるだけ早くアップするように努力いたします。
 現在、第12話の執筆をしています。今日中にアップいたしますので楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2004/12/03(Fri) 20:38 ID:zYX.LPGY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 お待たせいたしました。第12話が完成いたしました。テーマは『ついに・・日本骨髄バンク誕生』です。読んでいただけたら幸いです。

世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

第12話
 1991年。朔は大学3年生になり専門課程に入った。忙しさも格段に上がり、朔は日曜や祝日もレポートや課題に追われていた。それでも時間の許すかぎり亜紀に会いに行っていた。亜紀の白血病の発症から、すでに4年が経過していた。亜紀も朔が心の支えになったこともあり、病状も特に悪化せずにここまで闘い続けていた。そしてついな嬉しい知らせがあった。1991年12月に日本骨髄バンクが設立されることが決まったのだ。

 1991年。12月18日水曜日。日本骨髄バンクが設立された。

 冬休みに入った朔は、亜紀と一緒に病室の中で会話していた。
亜紀 「ねえ朔ちゃん。今まで長かったよね。辛い闘病生活だけど、楽しかったことや嬉しかったこともいっぱいあったね。朔ちゃんのおかげだよ。ありがとう。」
朔  「俺もここまで頑張れたのは亜紀のおかげだと思う。本当にありがとう。」
2人は骨髄バンク設立を心からよろこんだ。亜紀が助かる。元気になる。そんな夢のような日が目前に迫って来ているように思えてならなかった。後はドナーが一刻も早く見つかってほしいと思う朔だった。

 12月24日。亜紀の両親は、佐藤医師と今後の治療方針について話し合っていた。
綾子  「あの、先生。骨髄バンクでドナーが見つかったら、どのような治療を行うのでしょうか。切開手術があるのですか?」
佐藤先生「詳しく説明いたしますと。まず、強めの抗がん剤を数日間大量に投与して、悪い細胞を一気に叩き増殖を防ぎます。そして放射線を当てて完全に殺してしまいます。しかし放射線により正常な細胞も死んでしまうので、ドナーの方からいただいた骨髄細胞を流し込みます。そしてその骨髄細胞が正常に血液を作り出せば、成功です。」
真   「先生。やはり、辛い治療となるのでしょうか。」
佐藤先生「おそらく。相当辛い治療となるでしょう。大量の抗がん剤と放射線を使用いたしますので、激しい動悸、吐き気、睡眠障害などが繰り返し起こるでしょう。ですが1月ほど我慢していただけましたら、無菌室を出ることができるくらいに回復すると思います。」
綾子 「先生。方法は、それしかないのでしょうか。ここ3年、亜紀はどんどん元気になっているみたいですから。今の抗がん剤治療を続けて治ることはないのでしょうか。」
綾子は以前使用されていた副作用の強い抗がん剤で亜紀が心身ともにボロボロになってしまったことを思い出していた。大量の抗がん剤投与のうえにに放射線を使用するとなると・・・体へのダメージも決して軽くはないであろう。。無理をさせずにゆっくりと治療したほうがいいのではと思ったのだ。
しかし、綾子の問いかけに対して佐藤医師から返ってきた答えは2人をどん底まで突き落とした。
佐藤先生「私も、それは考えておりました。亜紀さんは現在使っている抗がん剤で今までいい状態を保っておりました。しかし・・・ここにきてその抗がん剤が徐々に効かなくなってきているのです。一刻も早く骨髄移植をしたほうがよいでしょう。」
その言葉を聞いた綾子は取り乱してしまった。
綾子 「どうして、どうしてなんですか。どうしてあの子があんなに苦しまなければならないのですか。いったい、亜紀が何をしたというんですか。」
真  「やめなさい。綾子。先生は最善の努力をしてくれているんだぞ。」
綾娘が背負う過酷な運命。もし自分が代わってやれたらどんなにいいだろうと思っていた。
真も、冷静を装っていたが、綾子同じ気持ちだった。
佐藤先生「ドナーが一刻も早く見つかることを祈っております。そしてドナーが見つかって移植を行う時、できるだけ苦痛が少なくてすむようにいろいろ調べておきます。」
真  「どうか、亜紀をよろしくお願いします。」
亜紀にとってはおそらくこれが最後の試練だろう。無事に乗り切ってほしい。元気になってほしい。真も綾子もそんな思いで医務室を後にした。

病室にて・・・
朔  「メリークリスマス。亜紀。」
亜紀 「メリークリスマス。朔ちゃん。今日も朝早くから来てくれてありがとう。今年のクリスマス、何か幸せな気分。今年は病室だけど・・・来年のクリスマスは、きっと朔ちゃんとお出かけとかできるよね。」
朔  「ああ。来年こそな。だからドナーが見つかったらすぐに移植できるように今のうちからしっかりと体力を付けておいて。」
亜紀 「うん。最近はご飯も残さず食べているから。大丈夫だよ。」

朔は骨髄移植が辛いものだということを大学の講義で聞いていた。でも、亜紀はその試練を乗り越えることができるだろう。亜紀と僕の幸せな世界へと向けて。

しかし、病魔は再び亜紀に襲い掛かろうとしていた。まるで必死に生きようと頑張る亜紀をあざ笑うかのように・・・。
 
          続く
...2004/12/03(Fri) 21:59 ID:zYX.LPGY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。11話・12話読ませていただきました。11話は、亜紀と朔の病室の出来事と亜紀の誕生日のシーンでしたね。ますます朔は亜紀の尻に敷かれてる感じでしたね。だけど、それがなんかほのぼのして良かったです。あと亜紀の誕生日プレゼント宇宙からの贈り物なんて、とても朔らしいプレゼントで良かったです。
  12話は骨髄バンクの話でしたね。また亜紀の病気が再発するみたいだけど、早くドナーみつかるといいですね。では、話は長くなりましたが、また次の話も期待していますので、体に気をつけて頑張って下さい
...2004/12/03(Fri) 23:09 ID:ScVAqt.U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
たか様へ
ご感想、ありがとうございます。亜紀の尻に敷かれる朔。想像するとほのぼのとして幸せな光景ですね(笑)。私も想像しながら書きました。
アナザー・ワールド、白血病克服編も残りあと3話となりましたが、最後までよんでいただけましたら幸いです。
...2004/12/04(Sat) 19:54 ID:r12E0DWY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
グーテンベルクさん、こんにちは。いつも楽しく、興味深く読ませていただいています。ありがとうございます!
( ^^) _U~~

もう長く執筆していらっしゃるので、なんだかそれが当たり前のように感じてしまい、読者としての感謝の気持ちが薄れてしまっているようで、いかんいかんと思った次第です。脚本を考えるのは楽ではありませんよね。

(゜.゜) 読者の皆さん、あくまで私の意見ですが、グーテンベルクさんが執筆しやすいように、いわゆる「ネタ」を積極的に提供していくというのはどうでしょう?
...2004/12/04(Sat) 21:08 ID:X9cCAKrI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 すばる様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。私にとって読者の方がいることがとても嬉しいことなのです。長く執筆できるのも読者の皆様のおかげだと思います。こちらこそ本当に感謝いたしております。
 脚本を考えるのは楽でなくてもとても楽しいですよ。ここで執筆できることが幸せに感じる毎日です。
 白血病克服編。今日アップする分を入れて残り3話ですが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
...2004/12/04(Sat) 22:02 ID:r12E0DWY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
第13話が完成いたしました。テーマは『君がいるから・・』です。読んでいただけたら幸いです。

世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜


第13話
 1991年12月18日に日本骨髄バンクが設立され、希望への、明るい未来への道が開かれようとしていたかに見えた。だが、忍び寄る黒い影が亜紀に牙をむこうとしていた。

12月31日夜。亜紀は誕生日に親に貰った本を読んでいた。すると、どこからか聞こえる電話の音に気がついた。あの忌まわしい音・・・・
大丈夫。私は負けない。亜紀は不安を打ち払うように自分に言い聞かせる。
しかしそれをあざ笑うかのように電話音は徐々に大きくなる。
亜紀 「私は・・・負けない。わたしは・・・。」
必死に絶える亜紀。不安はどんどん大きくなってゆく。

ちょうどそのころ亜紀との面会を終えて自転車で帰宅途中の朔は妙な胸騒ぎを覚えた。家まであと一歩のところで引き返す朔。朔は全力で自転車をこいだ。亜紀の病室に向けて。

病院では、目に見えない病魔が亜紀を絶望へと引き込もうとしていた。
亜紀 「こわいよ・・・。たすけて・・・。朔・・・。こわいよ・・・。」
モニターを見て異変に気付いた佐藤先生と看護士が亜紀の部屋に駆けつける。
佐藤先生「亜紀ちゃん。亜紀ちゃん。大丈夫だからね。」
そういうとすぐさま生命維持装置を運転させる。
亜紀  「サ・・・ク・・・。」
ついに亜紀は気を失ってしまった。
朔が病院についたのはそれから十数分たってからだった。亜紀の病室へと向かう通路の慌しい様子に、亜紀の身に何かがあったんだと直感した朔は全力で病室に駆け込んだ。
朔   「亜紀!亜紀!おい!亜紀!しっかりしろ。」
だが、亜紀は反応しない。
朔   「亜紀・・・。どうして。なんでだよ。もう少しでドナーが見つかるかもしれないのに。」
また・・・また・・・亜紀に何もしてやれない。また・・・祈ることしか・・・できないのか。
朔はその場に座り込んでしまった。
すると応急処置を終えた佐藤医師が朔に声をかけた。
佐藤先生「朔太郎君。立ちなさい。亜紀ちゃんは、今赤血球不足による酸欠で意識を失ってしまったが、応急処置を行ったから、じきに意識を取り戻すはずだ。君は亜紀ちゃんの側にいてあげなさい。目を覚ました時、亜紀ちゃんはまた耐え難い不安におそわれるだろう。その時、君が側にてあげれば、亜紀ちゃんの不安もかなり治まるはずだよ。
今はちょっとした不安や恐怖心も亜紀ちゃんの体に悪い影響を与えかねないと思うからね。まだ、ドナーが見つからない今、亜紀ちゃんを救えるのは君しかいないんだよ。しっかりしなさい。」
朔は佐藤先生の言葉に徐々に落ち着きを取り戻した。
俺がしっかりしなくてどうするんだ。俺が不安に負けたら誰が亜紀を支えてあげるんだ。朔は自分にそう言い聞かせた。

そして長い夜が明けようとした時、亜紀は意識をとりもどした。
亜紀 「サ・・・ク・・・。朔ちゃん・・・。朔ちゃん・・・。」
弱々しく、そして不安げに声を振り絞る亜紀。その時朔は亜紀の手の届く所にいた。
朔  「亜紀。大丈夫?俺、しばらくここにいるから。安心して。」
亜紀  「朔ちゃん・・・手・・・握って・・・。怖いよ・・・。」
朔は薄いゴム手袋をはめた手で、亜紀の手を握った。まるで闇の中を彷徨う亜紀を希望のある世界へと導くかのように・・・。亜紀の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。

すっかり夜は明け、新年の太陽が昇った。亜紀は朔と手をつないだまま離そうとはしなかった。
亜紀 「朔ちゃんの手・・・あったかい・・・。私の側に・・・側にいてね・・・。」
か弱く心細そうな亜紀の声。今は近くにいる朔だけが亜紀のよりどころだった。
朔  「いつまででも、そばにいるよ。亜紀。」
いつまででも亜紀の側にいよう。亜紀が望む限り・・・。朔はそう思っていた。

                   続く
...2004/12/04(Sat) 22:10 ID:r12E0DWY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルクさん、初めましてゲッツです。アナザー・ストーリーいいですね。
...2004/12/04(Sat) 22:15 ID:7ukIzwOs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

朔が胸騒ぎを感じ病院へ戻るシーン、状況は逆ですが3話のラストシーン(亜紀が転んだ朔へ駆け寄るシーン)が目の前に浮かびました。
白血病克服編ですから、病気はきっと治るんだと判ってはいても前回のラストから今回の掲載分に関してはハラハラしながら読ませていただきました。

克服編、残り2話となりましたが最後には元気になった亜紀の姿が見れる(読める?)ことを期待しています。
...2004/12/04(Sat) 22:32 ID:v0J7l4nQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
あっ、アナザーワールドでした。すみません。1話から13話まで読みました。いいですよ。
...2004/12/04(Sat) 22:54 ID:7ukIzwOs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
初めまして。グーテンベルクです。読んでいただきましてありがとうございます。白血病克服編は残り2話で終了(の予定)ですが、その次の『幸せとは・・』編、『その後』編とともに楽しみにしていただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。

北のおじさん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただいてありがとうございます。そしていつも(第一話から)メッセージをいれてくれて本当に感謝しております。今後も朔と亜紀が紡ぎだしていく物語を楽しみにしていただけましたら幸いです。これからもドラマのシーンをイメージできるような場面をときおり織り交ぜて執筆していこうと思います。
 
...2004/12/04(Sat) 23:22 ID:r12E0DWY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。アナザー・ワールド『白血病克服編』も残り2話となりましたが、今後を楽しみにしていただければ幸いです。
なお、本日は宿直勤務のため執筆活動をお休みさせていただきます。ご了承ください。

おまけのコーナーです。

朔  「君さえいてくれたら、僕は走り続けることができるだろう・・・。」
亜紀  「朔がいてくれるから・・・かすかな希望でもあきらめない。私は、闘い続けることができる。」
...2004/12/05(Sun) 06:41 ID:bReSohi2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。いよいよ白血病克服編も残り2話ですか!今回の話の感じでは、病魔の最後の抵抗みたいな感じですね。最後には、ドナーが見つかって、亜紀と朔の愛の力の勝利かな?ちょっとくさかったけど・・いずれにしても、亜紀がどのように白血病を克服していくのか、楽しみにしていますので体に気をつけて頑張って下さい
...2004/12/05(Sun) 23:52 ID:8ix2ndfI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様。
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただいてありがとうございます。白血病と闘い続けてきた亜紀、そしてそんな亜紀を支え続けた朔。2人の愛の力が白血病に負けない意志力を生み出し、ここまで闘い続けることに成功しております。残り2話となりましたが最後まで読んでいただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。昨日は宿直勤務のため執筆活動をお休みさせていただきましたので第14話『幸せへと続く道』を現在執筆しております。今日中にアップできるようにがんばります。楽しみにしていただければ幸いです。
...2004/12/06(Mon) 17:51 ID:VdF82g66    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。本日アップする予定にしておりました第14話『幸せへと続く道』ですが、執筆がまだ完了しておりません。そのためアップを明日に延期することにいたしました。皆様をお待たせいたしますことをお詫びいたします。

 
...2004/12/06(Mon) 23:21 ID:CgrOzpjo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
ここに来て緊張感が増してきましたね。
助けてください・・・亜紀を助けてください・・・と思わずつぶやく私でした。

明日のアップを楽しみにしております。
...2004/12/06(Mon) 23:37 ID:eBIlQRvw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 SATO様へ
読んでいただきましてありがとうございます。第十四話がもう少しで完成いたします。14話を含めて残り2話。楽しみにしていただければ幸いです。
 それと世界の中心で愛をさけぶ2。すばらしいですね。いつも読ませていただいております。今アップされている分の約半分を読み終わりました。これからも楽しみにしております。お互いに頑張りましょう。
   グーテンベルク
...2004/12/07(Tue) 19:51 ID:ylojgvYE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 おまたせいたしました。第14話が完成いたしました。テーマは『幸せへと続く道』です。よんでいただけましたら幸いです。

世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

第十四話
再び容態が悪化しはじめた亜紀。不安と恐怖に怯える亜紀の手を握る朔。2人はドナーが見つかるという希望を頼りに再び闘いはじめた。そして・・・

1992年1月6日。ついに朗報が朔と亜紀の耳に入った。
 朝、朔は亜紀が朝食をとるのを手伝っていた。その時、佐藤医師が部屋に入ってきたのだ。
佐藤先生「亜紀ちゃん。具合はどうだい?今日はいい知らせがあってね。ついにドナーがみつかったよ。」
朔は亜紀が答えるより早く口を開いた
朔   「本当ですか。これで亜紀は・・・亜紀は・・・助かるのですね。」
亜紀  「先生。私・・・助かるんですね。」
佐藤先生「ああ、亜紀ちゃん。朔君。4年間本当によく頑張ったね。これからいろいろな手続きをするから移植は今月下旬くらいになるからね。それまで決して無理をしたらだめだからね。」
長かった闘いの日々にようやく終わりがくる。亜紀が助かる。この時ほど嬉しい時が過去にはなかったであろう。
亜紀  「ねえ。朔ちゃん。私・・・助かるんだよね。今度こそ。生きることができるんだよね・・・。」
朔   「うん。まちがいないよ。亜紀もよくがんばったな。もう少しの辛抱だな。」
微笑みあう二人。
亜紀  「私・・・、白血病を克服するまで・・・どんな辛い治療でも受けてみせるから・・・。病気なんかに・・・負けないから。」
亜紀は最後の闘いに備え再び自分にそう言い聞かせていた。
失われかけていた闘志が亜紀の体にみなぎってゆくように見えた。
朔は高校時代、まだ亜紀が元気で陸上の短距離走をやっていたときの亜紀を思い出した。走る前にゴール地点を見つめそして闘志をみなぎらせていた亜紀を。朔の心の中でその姿が今よみがえる。

そして1992年1月14日。骨髄提供者となる女性の最終同意書の調印が行われようとしていた。
彼女の名前は・・・小林明希
弁護士 「この調印をもって患者さんは必ず骨髄提供を受けられるものという前提のもとで前準備にかかり、血液をつくる機能を失ってしまいます。この調印以降の撤回は認められませんがよろしいですか。」
小林明希「はい。何があっても撤回はしないと誓います。私が人の命を救う力になれるのなら、よろこんで提供いたします。」
家族の同意も得られ、ついに調印が行われた。

このときから亜紀の最後の闘いがはじまった。

1992年1月16日。病院にて・・・
佐藤先生「もう、朔君から聞いていると思うけど。まず、強めの抗がん剤を10日程度投与して悪い細胞が増殖しないようにして、それから放射線を当てて悪くなった骨髄細胞を完全に殺してしまう。そしてドナーの方からいただいた骨髄液を点滴で注入して、これらが正常に血液を造りはじめたら成功だよ。ただし、骨髄を注入する前の準備段階の時は抗がん剤と放射線の副作用がでて苦しいこともあるだろうけど、それが最後のハードルだからね。頑張ってくれるかい。」
亜紀  「はい。私は白亜紀の亜紀ですから、恐竜並みの負けず嫌いですから、最後までがんばります。」
亜紀は不安を打ち消すように佐藤医師に笑ってみせた。
佐藤先生「それを聞いて安心したよ。でも、不安になることもあるだろうから、朔君に病院で泊ってもらうことにしたからね。まあ朔君の場合私がお願いしなくてもそうするだろうけどね。ただ、朔君も今から大学の単位取得のための試験があるから、昼間会えない日が多いだろうけど、我慢するんだよ。」
亜紀  「朔ちゃんがいてくれたら、心強いです。先生・・・ありがとうございます。」

そしてその次の日から抗がん剤治療が始まった。
強力な薬の投与が始まってしばらくすると・・・亜紀は猛烈な吐き気、動悸、目眩にみまわれた。ここまで猛烈な副作用がくることは想像できなかった。
それでも亜紀は明るい未来を信じて闘う。
私は・・・廣瀬亜紀。名前の由来は・・・白亜紀。私は負けない。
亜紀は自分にそう言い聞かせていた。
そして夕方になって朔がやってきた。亜紀は朔に話しかけようとするが、副作用のためか声もまともに出すことができない。
朔  「亜紀。無理して喋らなくていいよ。亜紀が無事で近くにいてくれたらそれで十分だから。俺はここにいるから無理しないで。」
それを聞いて安心した亜紀は笑顔をみせた。朔が近くにいてくれること、それは亜紀の不安や苦痛を軽減させていた。朔はときおり仮眠を取りながらもビニールカーテンの中の亜紀を見守り続けた。
それからも朔は試験が終わるとすぐに亜紀のもとにやってきた。それで亜紀の苦痛や不安が少しでも和らぐのならば、決して苦ではなかったのだ。
投薬と放射線照射が終わったのは準備開始から2週間後だった。これらが亜紀に与えたダメージや苦痛も決して小さくなかったのだが、亜紀は耐え抜いたのだ。
 亜紀のいる処置室に佐藤医師とともに白衣とマスク、手袋を装着した朔が入ってきた。
朔  「亜紀。本当によく頑張ったね。辛かった?」
亜紀 「朔ちゃん・・・白衣・・・似合うね・・・。将来・・・お医者さんになるんだもんね。私は・・・大丈夫。私は・・廣瀬亜紀だよ・・・。あの程度では・・・負けないもん。」
ボロボロになりながらも笑顔を見せてくれた亜紀。

骨髄移植の準備は整った。そしていよいよ骨髄移植が始まろうとしていた。

     続く
...2004/12/07(Tue) 20:46 ID:ylojgvYE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。
いよいよこの時が来ましたか。私は、白血病克服を細かくは書いていませんので、グーテンベルクさんの作品は、「なるほどな」と思わせてくれます。
続編期待しております。
...2004/12/07(Tue) 21:57 ID:Du3ahNs2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

ここで小林明希さんが出てくるとは思いませんでした。
『明るい希望』の明希さんに明日への希望をもらえる亜紀。
早く元気な姿が見たいものです。
支えあう二人の姿、本当に美しいですね。
お仕事と執筆、大変なことと思いますがこれからも頑張って下さい。
...2004/12/07(Tue) 22:00 ID:AUU4mXZw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たー坊様、北のおじさん様へ
ご感想を書いていただきましてありがとうございます。白血病の克服、辛い世界の中にも点在するかすかな幸せ。そしてそれらを生きる糧として明るい未来へと歩みだそうとする亜紀とそれを支える朔。そして多くの人達の協力がもうすぐ実をつけようとしております。
アナザー・ワールド白血病克服編も最終話を残すのみ(の予定)ですが、続きを楽しみにしていただけましたら幸いです。
 そして、小林明希の事も後々書く予定です。

 読者の皆様へ
皆様のおかげで第十四話が完成いたしました。みなさまに感謝いたしております。さて、白血病克服編も残り一話となりました。最終話『闘いの日々の終わりに・・・』を含めてこれからも楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2004/12/07(Tue) 23:46 ID:xg.7VROw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
現在、世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜白血病克服編の最終話『闘いの日々の終わりに・・・』を執筆しております。明日夜アップする予定です。楽しみにしていただけたら幸いです。

おまけのコーナーです。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。今、骨髄移植に関する問題点ってどんなのがあるの?」
朔  「一つはまだドナーとなってくれる人が足りないことかな。目標は30万人だけど、現在はまだ16万人しか集まっていないんだ。そして・・・患者さんのうち約2割の方にはHLA型適合のドナー候補者が1人も見つかってないんだ。」
亜紀 「そしたら・・・早くドナー登録してくれる人が増えないと、助からない人が出てくるじゃない。」
朔   「うん、問題はそこなんだ。それと、ドナーが増えない理由の一つが、会社勤めしている方たちが骨髄を提供するときは、数日間会社を休まないといけくて、その間の休業補償がないんだ。一部の企業や公官庁では、『骨髄ドナー特別休暇制度』を設けているけれど。まだまだ少数だからな。」
亜紀  「そういったものにもっと税金使ってほしいね。人の命がかかっているのだから。」
朔   「あとは医療技術だな。できるだけ患者さんの苦痛が少なくなるように医療の進歩が必要だね。」
亜紀  「確かに・・・大変だったもん。」
一日も早くすべての骨髄移植を希望する患者さんにHLA型適合のドナー候補者がみつかることを願っております。
...2004/12/08(Wed) 21:03 ID:w8Xev0QI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Marc
グーテンベルク様
ついに、ついに、白血病編の最終話ですね。
毎回、楽しませていただいてます、亜紀の闘いからの生還と
先の機会での明希のことも、期待しています。
私も創作と仕事との両立は大変だと思います、無理をしないで下さいね。
...2004/12/08(Wed) 21:35 ID:m1ccbQrg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。14話読んで、涙がでそうになりました。最終話楽しみにしています。
...2004/12/08(Wed) 22:43 ID:Th4JZHtI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
Marc様、ゲッツ様へ。
こんばんは。楽しみにしていただきましてありがとうございます。それと、励みになるお言葉も感謝しております。小林明希との出会いは、どの段階で実現するか、今の段階ではまだ決めておりませんが、それらも含めて今後も楽しみにしていただけたら幸いです。
 白血病編の最終話ですが、実は先ほど完成いたしました。最終チェック等がありますので予定通り明日夜アップいたします。お楽しみに!
...2004/12/08(Wed) 23:12 ID:McjfdBgk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

第十五話。
ついにHLA適合者がみつかった。4年間の闘病生活に終わりの兆しがみえてきた。2週間にわたる辛い前処置に耐えた亜紀。そして、いよいよ骨髄移植がはじまろうとしていた。

1992年2月2日、日曜日。骨髄移植が行われる日、朔は亜紀の両親とともに佐藤先生の医務室にいた。
佐藤先生「いよいよ骨髄移植の日がきました。亜紀さんは今まで本当によく頑張ってきました。治療方法は、健康な骨髄液を点滴で静脈にいれます。およそ数時間で終わります。その後は経過をみて順調ならばひと月ほどで無菌室から一般病棟に移れます。」
綾子  「先生。退院できるのは・・・いつ頃でしょうか。」
佐藤先生「早ければ4月中ごろでしょうね。ただ、移植後は今以上に安静にしておく必要がありますので、今の段階ではこれ以上のことは申し上げることはできません。」
真   「先生。どうか、娘をお願いします。朔君も今まで本当にありがとう。」
真は佐藤医師と朔に頭を深々と下げた。

それから約2時間後・・・
 骨髄液の入った輸液パックから伸びる点滴管の先端にある針が亜紀の腕の静脈に差し込まれた。ついに健康な骨髄液が亜紀の体内に流れ込みはじめた・・・

 病室の外には朔、真、綾子の3人がいた。
真   「朔君。亜紀が発病して約4年半。亜紀が今まで生きてこれたのはおそらく君のおかげだ。親の私や綾子、そして医療の力だけではおそらく亜紀は耐え抜くことができなかっただろう。ありがとう、そしてこれからも亜紀をよろしくな。」
綾子  「朔太郎君。亜紀ね、あなたが学校に行っている時もあなたのことばかり話していたのよ。そして時間の許すかぎり会いに来てくれたこと、本当に喜んでいたわ。医学生の大変さは、佐藤先生から聞いたわよ。医学部に入るための受験勉強だけでも大変だろうに、毎日毎日レポートや課題に追われながら、それでも亜紀に会いに来てくれたからね。闇の中で彷徨う亜紀に希望の光を照らしてくれたのは、あなたよ。本当に・・・本当にありがとう。」
朔   「お父さんとお母さんの協力があってこそですよ。私が自宅から通えるように、高い交通費を支払ってくれたり、実験が夜中まであって終電に遅れた時には車で迎えにきてくれたり、そして弁当の差し入れしてくれたり。こちらこそ、お父さんとお母さんに感謝しております。」
 亜紀と僕が頑張れた理由。それは・・・たくさんの人たちが僕たちを支えてくれたからであろう。朔は感謝していた。

 一方、町の神社にはボウズ、龍之介、智世、そして谷田部先生が集まっていた。
すっかり一人前の僧侶になったボウズが祈りをささげると、龍之介たちもそれに続く。
ボウズの声はどこか神々しい雰囲気をもっており、祈りは天に届きそうに感じられる。みんな、亜紀の無事を祈った。

 骨髄液を提供した小林明希は、まだ退院していなかったが、どこかにいる名前さえ知らない患者の無事を祈っていた。
明希 「私は小林明希。その名の由来は・・・明日への明るい希望。どうかその希望を受け取ってほしい。名前さえしらないけれど・・・。絶対に助かってほしい。」
大空にその祈りが紡ぎ出されてゆく・・・。
 
 病院にて・・・
 この骨髄液は誰からいただいたものなのか、ここにいる誰もが知らなかったが、貴重な骨髄液は亜紀の体に満たされていった。明日への明るい希望とともに・・・・。
こうして骨髄移植は、無事終了した。

そして・・・それから3ヶ月が過ぎた。
 1992年5月3日午後。亜紀の長かった闘病生活もついに終わりの時がきた。
いただいた骨髄液は亜紀の体の中で正常に血液を造り続け、リハビリも終了した。
佐藤先生「亜紀ちゃん。退院、おめでとう。長い間本当によく頑張ったね。」
亜紀  「先生、それに病院のみなさん。本当にお世話になりました。」
この病院で過ごした日々はおよそ4年9ヵ月。辛いことも多かったが、楽しいこと、嬉しいこともたくさんあった。そして・・・いよいよ再出発の時が来た。
亜紀は父、真の車にのりこんだ。母、綾子そして恋人、朔とともに。
車はゆっくりと駆け出した。病院の外へと出たのは・・・4年半以上ぶりである。
車内にて・・・
亜紀  「ねえ、朔ちゃん。今日はどうやって病院まできたの?」
朔   「ふもとまで自転車だけど。」
亜紀  「ねえ、ふもとから自転車に乗っけてよ。久しぶりに風になりたいし。」
綾子  「こらこら、亜紀。朔太郎君にあんまりわがまま言わないの。」
真   「まあ、外に出るのも久しぶりだしな。朔君、ふもとから亜紀を自転車に乗せてあげてくれないか。」
朔   「はい、よろこんで。」
亜紀  「やった!ありがとう。」
 ふもとに着くと朔は自転車をこぎ出した。亜紀を乗せて・・・。
5月の風が優しく2人を包み込む。2人は金色になった麦畑の中の道をゆっくりと進んでゆく。
亜紀  「ここも、以前と変わってないね。なんか安心した。」
朔   「これから、一緒にあちこち行けるな。」
亜紀  「うん。」
亜紀の目には涙が浮かんでいた。ぬくもり・・・そして生きる喜びを実感していた。
そして朔も亜紀のいる世界の幸せさを実感していた。

あちこち寄り道をしたため、太陽はもうすっかり西に傾いていた。
朔   「亜紀、今日はそろそろ帰ろうか。あんまり無理すると体に悪いからな。」
亜紀  「うん。もっと一緒にいたいけど、また明日あえるからね。」
朔   「ああ。明日はみんなに会いに行こう。」
2人は再び自転車に乗り亜紀の自宅へと向かってゆく。そして、明かりの燈り始めた港町にゆっくりと帰っていった。
            



世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       
        白血病克服編
               
              
         F I N

      
      グーテンベルク・リヒター
 
...2004/12/09(Thu) 20:34 ID:019s.JMk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
世界の中心せ愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜白血病克服編はついに完結いたしました。今まで支えてくれた読者の皆様に感謝いたしております。この物語は『世界の中心で愛をさけぶ2』、『アナザーストーリー』、『続・サイド』を読んだ私が自分もすばらし作品を執筆してみたいと思って書き始め、11月14日に誕生いたしました。
 そして、完結まで1ヶ月近くかかりましたが、執筆できたこと、読者の皆様がこの物語を読んでくれたこと、そして励みになるメッセージをいただいたこと。本当に嬉しかったです。今年最高の思い出になりそうです。本当にありがとうございました。
 そして・・・今後執筆する予定の『幸せとは』編、『その後・・・』編も読んでいただけましたら幸いです。

     グーテンベルク・リヒター
...2004/12/09(Thu) 20:36 ID:019s.JMk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。最終話、これまた涙がでそうになりました。これからも、がんばってください。
...2004/12/09(Thu) 23:17 ID:unzAnmYk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

執筆お疲れ様でした。
この1月ほどの間、白血病と戦う亜紀と朔の姿、そして二人の支えあう姿を楽しみに『次はまだか。次はまだか。』との気持ちで毎日このサイトに訪れました。

これからも続編(?)の『幸せとは』編、『その後…』編を書いて頂けるとの事、楽しみにしています。
すばらしい物語をどうもありがとう。
...2004/12/09(Thu) 23:21 ID:7Z4TQVo2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:clice
グーテンベルク様
白血病克服編の完結お疲れ様でした。今ほっとされてるのでしょうか、それとも次の構想を楽しんでいるのでしょうか、また多くの方が楽しめる物語になればいいですね。
...2004/12/10(Fri) 01:58 ID:z/KIornA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
ゲッツ様、北のおじさん様、clice様、そして読者の皆様へ
 今まで読んでいただいて、そして励みになるメッセージをありがとうございました。読者の皆様が満足していただけたかどうか気になるところですが、精一杯頑張ったつもりです。それだけに完成したことにホッとながらも、次のストーリーを考えて楽しんでおります。これからも、多くの方々が楽しんでいただけるように努力いたします。これからもどうかよろしくお願いします。

おまけのコーナーです。
骨髄移植により白血病を克服した廣瀬亜紀。だが、骨髄を提供してくれた人の名前はわからない。残されているのは提供者からの1通の手紙のみ。
『私の骨髄液に・・・明るい明日への希望を託します。どうか・・・明るい未来をつかんでください。』
 温かな文章にこめられたその思いは、廣瀬亜紀を救った。
 廣瀬亜紀は自宅の窓の外にひろがる夜の空に祈っていた。
 「名前さえしらないあなたへ。あなたの骨髄液にこめられた思いは私に生きる希望と喜び、ぬくもりをくれました。いつか、会える日が来ますように。」
星の空へ祈りが紡ぎ出されていった。
...2004/12/10(Fri) 23:02 ID:f8OeSWdg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 執筆お疲れ様でした。「白血病克服編」14・最終話一気に読ませていただきました。骨髄提供者が、小林明希だとはちょっと意外でしたが、なかなかドラマのテイストを残しながら、物語が進むところはうまいなあーと思いました。
 そして、最終話とても感動しました。まるでドラマを観ているようで、涙が出そうになりました。
 これから、また続編も執筆してもらえるそうで、とても楽しみにしていますので、体に気をつけて頑張って下さい
...2004/12/11(Sat) 00:59 ID:moz4.j4I    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
けん様へ
読んでいただいて、そして励みになるメッセージをありがとうございます。感動していただけたのであれば、私も幸せですよ。そして骨髄提供者を小林明希に設定した理由等おいおい説明いたします。これから先のストーリーも読んでいただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
いつも読んでいただいてありがとうございます。
本日は出張のため執筆活動をお休みさせていただきます。ご了承ねがいます。
...2004/12/11(Sat) 07:01 ID:.84ZaEcA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:yosi
グーテンベルクさん
おはようございます
昨晩、打ち出して再度一気に読ませてもらいました
33ページにおよぶ力作ですね

途中、涙が何度も出て先に進まないシーンも有りました
感動ものです

どの回も感動にあふれていて順番はつけたく有りませんが・・・
私のお気に入りは絶望から希望へ亜紀の心が変わって行く所と6話で真が朔に亜紀を頼むシーンかな?
それと全編にちりばめられた・・朔の亜紀を気遣うシーン

もし亜紀が助かっていれば、きっとドラマでも
同じシーンが有った事だと思います
こまま「世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザーワールド〜 」として使える位に完成度の高いものでした
...2004/12/11(Sat) 07:46 ID:9hSU2Tz6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
yosi様へ
こんばんは。グーテンベルクです。とても励みになるメッセージと感想、そして最後まで読んでいただけたこと。本当に感謝しております。
このアナザー・ワールドを執筆できたことを幸せに思います。そしてこれからも続編を執筆していきますので今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
現在、アナザー・ワールド『幸せとは・・』編の第一話『ただいま・・』を執筆中です。アップの予定は明日夜です。(仕事の都合で変更の可能性あり)これからも頑張って執筆いたしますので楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2004/12/12(Sun) 20:56 ID:ZvHhzaxo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルグ様

白血病克服編完結おめでとうございます。『幸せとは』編、『その後・・・』編のどこかのストーリーでドラマ第5話であった夢島のタイムポストに入れたアキのテープ「サクちゃん、私ねわかったんだ・・・」を盛り込んでいただけたら。と思っておる次第であります。
...2004/12/13(Mon) 13:35 ID:256PT85Y    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
Netta様へ。
こんばんは。グーテンベルクです。白血病克服編を読んでいただきましてありがとうございます。タイムポストの亜紀のテープの話、どこかで盛り込もうと思います。まだ『幸せとは』編、『その後』編ともに大まかな流れしかできておりませんのが、どこかで盛り込むことにいたします。今後もよろしくお願いします。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜『幸せとは』編第一話 『ただいま』が完成いたしました。これからもよろしくおねがいします。
...2004/12/13(Mon) 21:53 ID:h13/ABaA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

      第1話   ただいま
                    
 
 1992年5月3日夕刻。明かりの燈り始めた宮浦町。朔は亜紀の自宅の前で自転車を停めて亜紀を降ろした。
朔   「そしたら亜紀、また明日。絶対に無理するなよ。」
亜紀  「うん。そしたら・・・明日迎えに来てね。バイバイ、朔ちゃん。」
朔は自転車の向きを180°方向転換して自宅へ向かおうとした。その時、背後から声がした。
真   「せっかく亜紀が家に帰って来たと言うのに、うちの夕飯に付き合わんのか?朔君。」
真は僅かに微笑みながら朔を廣瀬家の夕食に誘った。
朔は亜紀、真とともに家に入った。
朔   「おじゃまします。」
亜紀  「ただいま・・・・。」
久しぶりの我が家・・・なつかしい匂い・・・それは亜紀に「おかえり」と優しく声をかけてくるようにも思えた。
 家の台所では綾子が夕飯の支度を終えたところだった。亜紀は香ばしい香りに誘われるように台所にむかった。するとそこには亜紀の大好きなカニクリームコロッケが並んでいた。
亜紀  「やった。これ小さい頃から大好きなんだ。お母さん、ありがとう。」
 綾子は今から4年半前にもカニクリームコロッケを作って病院で亜紀、真と3人で食事をしたことがあった。そう、白血病でもうほとんど助かる見込みのなかった亜紀がオーストラリアのウルルへと旅立つ前日だった。あの時は・・・亜紀との最後の食事だと覚悟していた。真、そして亜紀自身もそうだった。みんなが絶望の闇の中だった。
 でも、今は違う。亜紀の人生の再出発を祝う食事である。新たな希望の中で・・。

亜紀  「おいしい。やっぱり家で食べるご飯が一番おいしいよ。」
亜紀はうれしそうにコロッケをほおばる亜紀。食欲旺盛で元気な様子の亜紀に朔、真、綾子は笑顔をうかべた。
朔   「亜紀、とても幸せそうにみえるね。」
亜紀  「うん。私、今とても幸せだよ。家でご飯を食べられるることがこんなに幸せなことだったなんて知らなかった。それに朔ちゃんもいてくれるからなおさらね。もし病気にならなければ、この幸せにも気付かなかったのかな?」
綾子  「何かを失うことは何かを得ること。亜紀の言葉通りじゃない。失われた時間があったけど、そのおかげで隠れていた幸せに気付くことができたのかもね。」
真   「もしかしたらこれからも今まで見えなかった幸せがいろいろみつかるかもな。」
これからどんな幸せがあるのだろう。もしかしたら、亜紀や亜紀の両親の言うように幸せはすぐ側にあるのかもしれない。ただそれに気付かないだけで。
亜紀  「ねえ、朔ちゃん。ゴールデンウイーク終わったらすぐ大学なんだよね。」
朔   「ああ、そうだけど。今までどおり家から通うよ。」
亜紀  「ねえ。そしたら私がお弁当作るよ。今度は私が朔ちゃんを支えて行きたいな。」
朔   「ありがとう。でも朝が早いから、まだ無理はしないで。」
真   「亜紀。朔君は朝6時10分の列車で大学へ行っているんだ。弁当作るとなるとそれこそ朝5時には起きんとな。まだ退院したばかりだから毎日でなく週に1・2回程度にしなさい。」
亜紀は少し残念そうに納得した。
亜紀は退院したもののまだまだ月に二回の通院が必要である。亜紀が完全に元気になるまでは少しの無理もさせないように気をつけようと思う朔だった。
 これからもたくさんの幸せがあることを願おう。
 明日は龍之介、ボウズ、智世との再会の日である。明日も亜紀に幸せが来るようにと願う朔であった

                             続く
...2004/12/13(Mon) 21:54 ID:h13/ABaA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
グーテンベルクさん、物語の再会おめでとうございます。廣瀬ファミリーの幸せそうな姿が目に浮かぶようです。こういうさりげない幸福をこれからも描き続けて下さい。
...2004/12/13(Mon) 22:09 ID:OXDu0Y3U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。新しい物語の1話読んでみて、幸せそうな亜紀が想像できました。これからも頑張ってください。
...2004/12/13(Mon) 23:11 ID:aci5oLkA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

第2部の開始、首を長〜くして(笑)待っていました。
第1部終了後の数日間がとても長く感じられました。
「何かを失うことは何かを得ること。」、これからは+−が+になるくらい亜紀と朔の幸せな姿を見せていただきたいと思います。
これからも私たち読者を幸せにしてくれる物語をお願いします。
...2004/12/13(Mon) 23:20 ID:63fV8TiY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
第一章は非常に完成度が高く、比較するのも申し訳ないのですが、私の作品など足元にも及ばないものでした。脱帽です。これからますます目が離せません。
第二章も期待しておりますので頑張ってください。
...2004/12/14(Tue) 17:37 ID:YLwxnOg.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 SATO様へ
こんばんは。グーテンベルクです。物語の再出発を祝っていただきましてありがとうございます。これからも精一杯の努力をしていくつもりですので、今後も改めてよろしくお願いいたします。

 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。これからも想像力を刺激できるような作品になるように頑張ります。今後も改めてよろしくお願いいたします。

 北のおじさん様
こんばんは。グーテンベルクです。第一部に引き続いて幸せとは編も読んでいただきまして、そして感想も書いていただきましてありがとうございます。今後の朔と亜紀の幸せな世界を楽しみにしていただけましたら幸いです。今後も改めてよろしくお願いいたします。

 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。お褒めの言葉、ありがとうございます。とても幸せな気分です。ただ、たー坊様の作品が私の作品以下だとは決して思っておりません。たー坊様の作品の素晴らしいところを数えるときりがありませんが、読者の方の想像力を上手く刺激して、その心に温かなものを残すことができる点、そしてその力を与えるたー坊様の文章力。何度読んでも幸せな気分になれるところなんか特に素晴らしいですよ。こちらこそ脱帽です。
 私もたー坊様のようなすばらしい作品をつくれるように頑張りますのでこれからも改めてよろしくお願いいたします。

 
...2004/12/14(Tue) 18:44 ID:iza6Cpjc    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜はおかげ様で開設一ヶ月を迎えました。読者の皆様のおかげです。本当に感謝しております。現在『幸せとは』編第二話(大空のもとで・・・)を執筆しております。明日アップする予定です。これからもよろしくおねがいいたします。
...2004/12/14(Tue) 21:53 ID:iza6Cpjc    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

毎回自分の願望に近い話を書いていただき、感謝しています。
その上で書かせていただいている、好き勝手な感想でも執筆の励みとなっているのならうれしいです。
今日明日と北の大地の大平原へ出張していますが、グーテンベルク様の物語を読みたく、ネット接続が出来るホテルを選んでしまいました。
ろくなコメントは出来ませんが、毎回楽しみにしていますので頑張って下さい。
...2004/12/14(Tue) 23:17 ID:acCd14wY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様
こんばんは。グーテンベルクです。お仕事忙しそうですね。体をこわさないように気を付けてくださいね。それと、いつもご感想ありがとうございます。第一話執筆後のコメントからずっと執筆の励みとなっておりますよ。この物語を楽しみにしてくれていること、本当に感謝しております。これからもよろしくおねがいします。
...2004/12/15(Wed) 22:19 ID:lfLrShRg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

  第2話   大空のもとで・・・(前編)

 
1992年5月4日。この日は朝から雲ひとつない五月晴れである。朔はヒバリの鳴く声がよく聞こえる麦畑の横の道を自転車で亜紀の自宅へ向かっていた。今日は友人の龍之介、ボウズ、智世とともに亜紀の退院を祝う約束の日である。
朔が亜紀の自宅前に着いた時、亜紀は家の前の門の外にいた。
朔   「おはよう。亜紀。もしかしてずっと待っていたの?」
亜紀  「おはよう。朔ちゃん。なんか待ち遠しくてじっとしていられなかったの。」
朔   「無理もないか。みんなに会うのも久しぶりだしな。さあ後ろに乗って。」
亜紀  「うん!」
亜紀は嬉しそうに朔の自転車の後ろに乗った。
朔は亜紀と共にみんなの憩いの場であるたこ焼きパパさんへと向かった。
今日も五月の風がやさしい。すみわたった大空。金色の麦畑。新緑の山や森。
亜紀は朔につかまりながらそれらを心地よく感じ、朔は背中に亜紀のぬくもりを感じていた。
 2人がたこ焼きパパさんに着くと、もうすでに智世、龍之介、ボウズが集まっていた。
亜紀  「みんな。久しぶり。」
亜紀がやってくると智世が駆け出し亜紀に抱きついた
智世  「亜紀!アキー。この日が来るのをずっと待っていったんだよ。ずっと、ずっと。」
亜紀  「ごめんね。智世。でも私、ちゃんと生きて帰ってきたよ。最後まで闘って白血病に勝ったんだよ。心配かけてごめんね。」
智世より少し遅れて龍之介とボウズが亜紀のもとにやってきた。
龍之介 「亜紀ちゃん。久しぶり。本当によく頑張ったな。退院おめでとう。」
ボウズ 「廣瀬。俺もこの日が来るのをずっと待っていたんだ。退院、おめでとう。」
亜紀  「大木君、中川君、心配かけてごめんね。それから、退院を祝福してくれてありがとう。」
亜紀がそう言った直後、ボウズから一言が返ってきた。
ボウズ 「これからボウズと呼んでいいよ。」
亜紀はびっくりした様子でボウズを見た。
亜紀  「でも、怒らない?」
そこにすかさず龍之介のツッコミが入った。
龍之介 「怒るも何も、実際ボウズは坊主だし。」
ちなみにここでの坊主は僧侶という意味だ。
みんながいっせいに笑い出した。もちろんボウズも笑っていた。
亜紀  「ありがとう。これからはボウズと呼ぶね。」
智世  「でも、ボウズもすごく立派になったんだよ。」
朔と亜紀がほぼ同時に「え?ボウズが?」と答えた。すると・・
ボウズ 「それ、どういう意味だよ。」
朔   「すまない。」
亜紀  「ごめんなさい。」
ボウズ 「まったく。で、俺がどんな風に立派なんだ?智世。」
智世  「あんた自身が一番気付いてなかったか。」
龍之介 「亜紀ちゃんが骨髄移植を受けた日。俺達と谷田部先生が神社に集まって亜紀ちゃんの無事を祈っていたんだけど。その時のボウズからは神々しい雰囲気が出ていたよ。これなら俺達の祈りが神様に届くに違いないと思ったよ。」
亜紀  「そんなことがあったんだね。私が今ここにいることができるのはみんなのおかげなんだなって思うよ。本当にありがとう。」
 みんな5年近くに及ぶ亜紀の闘いを影で支えていた。そして亜紀はそんな自分を幸せに感じていた。そして自分の幸せを心から喜んでくれるものの存在に感謝していた。
 たこ焼きパパさんの店主がたこ焼きをたくさん焼いて持ってきた。
パパさん「今日は亜紀ちゃんの退院祝いだ。みんな好きなだけ食べとくれ。」
こうして賑やかな昼食が始まった。

                 続く
...2004/12/15(Wed) 22:26 ID:lfLrShRg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。2話読みました。結構よかったです。
...2004/12/15(Wed) 22:41 ID:0Kj2zKts    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
全員集合、嬉しいですね。ところで、谷田部先生は?(ごめんなさい、突っ込んで)
...2004/12/15(Wed) 23:25 ID:UAqSgb2g    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。仕事の関係で5日間家を空けていました。今日帰って来まして、第2部「幸せとは」編2話分読ませていただきました。最初の1話の朔を交えての廣瀬家の食卓の場面正に幸せを絵に描いたようなシーンで、とてもほのぼのして良かったです。
 そして、2話の智世・龍之介・ボウズの再会のシーンは、なんか場所もたこ焼きパパさんのせいか高校時代を思い起こす感じで良かったです。
 続編期待していますので、頑張って下さい
...2004/12/16(Thu) 03:12 ID:jzLimg6s    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
ゲッツ様、SATO様、けん様へ。
こんばんは。グーテンベルクです。早速読んでいただきましてありがとうございます。やはりみんなの憩いの場はたこ焼きパパさんだと思い再会の場面に採用させていただきました。そして後編では久々に谷田部先生が登場する予定です。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。『大空のもとで・・・』は前編、後編に分かれております。次回も楽しみにしていただけましたら幸いです。なお本日は仕事の都合(宿直勤務)で執筆をお休みさせていただきます。ご了承ください。
...2004/12/16(Thu) 06:38 ID:.eFMAYlw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

全員集合の場所が「たこ焼きパパさん」の店というのがよいですね。なんかほのぼのとした気持ちになりました。
...2004/12/16(Thu) 17:45 ID:ALHedcdY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ。
おはようございます。グーテンベルクです。読んでいただきまして、そしてコメントをありがとうございます。そして返事が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。これからも読者の皆様の心に残る作品になるように努力いたします。風邪がはやておりますのでNetta様も体にお気を付けてください。

 読者の皆様へ
おはようございます。グーテンベルクです。たいへんお待たせいたしました。第3話『大空のもとで・・』(後編)の執筆が完了いたしました。まもなくアップいたします。
...2004/12/18(Sat) 09:21 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
                 
       (幸せとは 編)

  第3話   大空のもとで・・・(後編)
 

 朔たちはパパさんが造ってくれたたこ焼きを囲んで昼食タイムに入った。
亜紀  「ここのたこ焼きを食べるのも久しぶりだな。この味、とてもなつかしい。」
智世  「私達がまだ子供のころからこの味、この値段だもんね。」
龍之介 「そういえば、よくオマケも付けてくれたよな。なあボウズ。」
しかしボウズはたこ焼きを食べるのに夢中でみんなの声が届いていないようだ。一気に二、三個のたこ焼きを口にほおばる。
朔   「パパさんのたこ焼きだけじゃなくて、ボウズも昔と変わってないな。やっぱり。」
亜紀  「でも、ボウズらしくていいじゃない。なんか見ていて心が和むし。」
ボウズ 「まあな。俺は和み系キャラクターだから・・・な・・・ウググ・・の・・・喉につまった・・・。」
智世  「もう、あんたは食べるか喋るかどっちかにしなよ。まったく。」
そのやりとりにみんながいっせいに笑い出した。変わっていないもの、それはこれから4年半の時のブランクを埋めていかなければならない亜紀にとって安らぎと心の励みになっていた。
その時、突然朔と亜紀の背後から声が聞こえた。
谷田部 「あんたたちも、昔から全然変わってないんじゃないの?」
懐かしい声にみんなが谷田部先生の方を注目した。
谷田部 「みんな久しぶり!廣瀬。退院できたのね。おめでとう。」
谷田部先生は明るい笑顔で亜紀に微笑みかけた。
亜紀  「先生!久しぶりです。先生も全然変わっていないですよね。」
谷田部 「そうでしょう。私はいつまでも若いままで変化がないのよ。」
すかさず龍之介が朔とボウズに小さな声でささやく。
龍之介 「嫁にいけないのも相変わらず変わっていないよな。」
ボウズ 「でも、何で嫁に行かないんだ?」
龍之介 「行かないのじゃなくて行けないんだよ、きっと。昔から鬼の谷田部とか言われていたじゃないか。」
朔   「うん、確かに・・・。」
谷田部「聞こえているわよ、あんたたち。第一、私はお嫁に行けないのじゃなくて、まだ行かないの!私にふさわしい人がいないだけなのよ。」
すると珍しく亜紀が谷田部先生に突っ込みを入れた。
亜紀  「先生、まだ諦めてなかたんですか?」
今いるメンバーの仲で唯一谷田部にこういう冗談を言わなかった亜紀からそのようなセリフが出てきたので、谷田部は内心驚いていた。
谷田部 「なーに?廣瀬まであいつらの悪影響受けたわけ?」
亜紀  「すみません。フフフッ。」
亜紀はいたずらっぽく微笑んでいた。
 以前の亜紀はもしかしたら、ありのままの自分を隠して無理をしていたのかもしれない。ありのままの自分を出すことができるようになったのは白血病を通じてみんなが亜紀を支えていったからかもしれない。亜紀はこれから4年半もの時のブランクを埋めてゆかなければならないが、朔や智世、龍之介、ボウズの協力があればきっと乗り越えてゆけるだろう。これからも彼らがそんな仲であってほしいと思う谷田部先生であった。
 夕方前、一足早くみんなと別れた谷田部は廣瀬家へと向かった。亜紀の今後の進路について両親と相談するためである。

            続く
...2004/12/18(Sat) 09:25 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。第3話結構いいですね。これからも、頑張ってください。
...2004/12/18(Sat) 21:22 ID:W4XqCQ9U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
ゲッツ様へ
毎回読んでくれて本当にありがとうございます。現在第四話を執筆中でございます。楽しみにしていただけましたら幸いです。風邪がはやっているようなのでゲッツ様もお体に気を付けてください。

 読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。現在第4話『亜紀の進路』を執筆中でございます。本日中にアップする予定です。楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2004/12/19(Sun) 20:45 ID:.G1PG4Zk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

    第4話   亜紀の進路

 
 谷田部は亜紀の両親と今後の進路について話し始めた。
真  「大検・・・・ですか?」
谷田部「はい。このまま復学した場合、クラスになじむのにも何かと支障があるのも事実です。それに亜紀さんなら今度の大検にも受かるでしょう。その後大学に合格しましたら普通に高校卒業するよりも1年はやく大学の門をくぐることができます。もちろん、亜紀さんの心身ともに無理がなければの話ですけど。」
綾子 「わかりました。今夜亜紀と相談してみます。」
亜紀はこれから自分の将来の夢に向かって再び走り出すことになるが、決して無理をせずに夢に向かって歩んでほしい。真も綾子も、そして谷田部先生も同じ思いだった。

 夕方、朔たち5人は漁港の防波堤に座って海を眺めていた。
智世 「ねえ、亜紀。亜紀は将来なりたいものって絵本の編集者だよね?」
亜紀 「うん。以前はそう思っていたんだけど・・・。今は地球環境を守る仕事につきたいって思うの。」
ボウズ「いつごろからそう思ったのか?」
亜紀 「入院中、朔ちゃんから空や宇宙の話をしてもらってからかな。それから私のお父さんが気象や天文とか、自然科学の本を買ってくれたことがあったの。それらの本の中に地球環境に関する内容があって、このままだと世界各地で温暖化や干ばつや洪水が多発するようになるかもしれないと書かれていたの。そうならないためにも少しでも役に立てる人材になりたいって思ったんだ。実はそういった専門知識学ぶためにも大学に行こうかと思っているの。」
龍之介「亜紀ちゃんらしいね。その分野の専門知識を学ぶには理学部か農学部だな。たしか朔と智世が通っている○○大学の理学部に地球科学科があったよな。」
朔  「確かそこに環境気象学の研究室があったよ。」
智世 「うん。あるある。あそこの研究室はかなり高度な専門知識を学べると思うよよ。」
亜紀 「もし○○大学なら私、朔ちゃんと一緒に通えるね。」
朔  「ああ、そうだな。」
どこか嬉しそうな朔。長い通学時間はそれだけ亜紀との時間になる。その時がくるのが楽しみでしかたないのだ。もちろん亜紀も同じであった。
智世 「私は大学院まで行く予定なんだ。もっと薬学を深く学ぼうと思ってるの。」
亜紀 「智世も本当に努力しているんだね。私も智世に負けないようにしないとね。」
ボウズ「廣瀬は頭いいからな。きっと合格すると思うぞ。」
亜紀 「ありがとう。でも私、数学が苦手だからな。やっぱり不安。」
亜紀は英語や古文など語学系科目は得意だったが数学や物理といった計算を要する科目はあまり得意ではなかった。
朔  「俺がまた教えるよ。俺は高2の後半から数学勉強したからな。結構得意。」
もともと朔はかなりの量の読書をしていたため、文系科目が得意で数学や理科はかなり苦手だった。ところが亜紀が白血病で倒れて医学部を目指すようになり努力の結果得意科目となったのだ。
亜紀 「本当?やった。ありがとう。朔ちゃん。」
龍之介「お、そろそろ日没の時間だな。そろそろ帰りますか?」
亜紀 「ねえ智世も大木君も明日寮に戻るの?」
智世 「うん。明後日から学校だからね。でも夏休みには帰ってくるよ。」
龍之介「俺も明日には戻らないと。明後日から海洋実習だしな。夏休みにまたここに帰ってくるから、その時はまたパパさんに集まるか。」
こうして夏の再会を約束し一同は解散した。
 朔は今日も自転車の後に亜紀を乗せて亜紀の自宅へと送っていった。

                   続く
...2004/12/19(Sun) 21:28 ID:.G1PG4Zk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルクさん、ゲッツです。第4話読んでみて僕も勉強頑張らなきゃなあと思いました。
...2004/12/19(Sun) 22:04 ID:33jBTjGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。ちなみに私自身書いていて勉強しなければと思いました(笑)(社会人なので主に仕事に必要な資格の勉強ですが。)ゲッツ様も勉強の方大変でしょうが無理をせず頑張ってください。
 
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。現在アナザー・ワールド『幸せとは』編第5話を執筆しております。明日アップできるように頑張ります。最近仕事が忙しくアップするペースがダウンしておりますがどうかご了承ください。
...2004/12/20(Mon) 21:51 ID:0oIx5gj2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 おまけのコーナーです。
冬の宮浦漁港の海沿いを歩くボウズと龍之介。
龍之介「なあ、ボウズ。近頃以前に比べて雪が少なくなったよな。」
ボウズ「そうだな、やっぱり異常気象なんだろうな。」
龍之介「そういえば、近年これまで大量にとれる魚がある時から突然取れなくなったりしてな。なんか嫌な予感がするぜ。」
ボウズ「いまある環境をこれ以上悪化させない努力が必要なんだな。これからはできる限り車の使用を控えよう。」
龍之介「そうだな、俺もそうするよ。」
冬の真っ赤な夕焼けが間もなく夜がくることを伝えていた。
...2004/12/20(Mon) 22:38 ID:0oIx5gj2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

第5話の完成、待ち遠しいです。ですが仕事が忙しいのに執筆活動を続けられることに本当に頭が下がります。
...2004/12/21(Tue) 17:17 ID:b.QgonO.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ。
いつも読んでくれてありがとうございます。執筆する時の励みになっております。本当に感謝しております。早速ですが、間もなく第5話をアップいたしますので楽しみにしていただけましたら幸いです。
寒くなってきましたので風邪をひかないようにご注意ください。
...2004/12/21(Tue) 22:03 ID:hoz7O3nI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

       第5話  父と娘

 
 1992年5月4日夜、亜紀は両親と今後の進路について話し合っていた。
亜紀  「ねえ、お父さん、お母さん。私、大学受けたいって思っているの。実は地球環境について専門的に学びたくって。だめかな。」
真   「そうか、それならまず大学の受験資格をもらわないといけないな。実は今日の昼過ぎに谷田部先生が来て、大検の受検をすすめてくれたよ。」
綾子  「亜紀ももうすぐ22歳だし、高校に戻るのにも何かと不具合もあるだろうからね。でも、亜紀が無理して体を壊したりしないかがとても心配なの。」
 たしかに亜紀が来年の4月から大学に通えるための必要条件は大検と大学入試に合格しなくてはならないの。その負担はかなり大きいに違いない。おまけに理系学部の受験となると、これまで亜紀が苦手としていた数学や理科の学習にかなりの時間を費やさなければならないであろう。
亜紀  「それなら、条件付きで認めてくれないかな?もし体に無理がかかっているとお父さんとお母さんが判断したら受験延期するかたちで。」
真   「それだけでは認められないな。」
真のその言葉に亜紀の顔から笑顔が消えた。しかし・・
真   「朔君にも判断してもらおう。おまえのことは、あいつが一番よく知っているだろうからな。」
 朔は医者の卵であり、いまや亜紀のちょっとした体の異変にも気付くはずである。おまけに亜紀のもっとも近くにいる存在ならば、なおさらである。
真は自分にもそう言い聞かせていた。
父親としては・・・複雑な気分であるが・・・
亜紀  「やった。ありがとう。」
亜紀の顔に再び笑顔がもどった。
綾子  「数学や理科の勉強頑張らないとね。」
亜紀  「それなら大丈夫、朔ちゃんが教えてくれるって言ってた。 あ、朔ちゃん学校忙しいから実際は難しいのかな。」
すると真が何かを期待するかのように亜紀に話した。
真   「おまえの身近に理系科目が得意な人はいないのか?」
大学の工学部建築学科を卒業し、理数系の知識に長けた真は亜紀の口から「お父さん」というセリフが出ることを祈っていた。しかし・・・
亜紀  「いない!!」
その瞬間、真はがっかり。内心俺はもう必要ないかと思ってしまった。だが、その直後・・・・
亜紀  「お父さん以外に。もしよかったら、時々でいいから教えてよ。」
真   「ああ。仕方ないな。」
真は内心嬉しくてしかたがないのである。しかし照れくささから上手く言葉で言い表すことができなかったのだ。
亜紀  「お父さん。ありがとう。」
真   「ああ。」
真は嬉しさを隠し切れないのか、亜紀に背を向けていた。そういえば、亜紀の頑固なところはおそらく父親に似たのであろう。

この日、亜紀は早めに眠ることにして自分の部屋に戻った。部屋の明かりを消して窓の外の空を眺めてみると、満天の星空が広がっていた。
そういえば・・・私に貴重な骨髄液を提供してくれた人はどんな人なんだろう。明日への明るい希望・・・。手がかりは手元にある手紙のみで、名前もわからない。でもいつか会ってお礼を言いたい。亜紀はそう思っていた。そして、その人が幸せでありますようにと願っていた。ちょうどその時・・・一筋の流れ星が夜空をすべっていった。

              続く
...2004/12/21(Tue) 22:07 ID:hoz7O3nI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。第5話読んでこれからの進路のこと、僕もきちっと考えなきゃと思いました。
...2004/12/21(Tue) 23:35 ID:tQ6VnPMY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。第5話を読ませていただきました。
真のコントラストが良いですね。思わず「いいなぁ、これ」と呟いてしまいました。このくらいの年の子供を持つ親の気持ちってこんな感じなんでしょうかね?

続編も楽しみにしております。
...2004/12/21(Tue) 23:49 ID:4ddY4GiE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
第四話・五話を続けて読ませていただきました。
照れ隠しをする真の姿が実に良いです。
...2004/12/22(Wed) 00:23 ID:WIkc1Meo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。4・5話読ませていただきました。私もグーテンベルク様と同じく社会人で、資格の勉強していますが、私も朔や亜紀と同じく理数系は苦手な方なんですが、この話を読んで朔や亜紀の頑張りをみならわなければならないなあーと思いました。
 それと5話の真の照れくさい姿はとても好感もててとても良かったです。
...2004/12/22(Wed) 04:07 ID:MVzA89C2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
ゲッツ様、たー坊様、SATO様、けん様、そして読者の皆様へ
おはようございます。グーテンベルクです。早速読んでいただきましてありがとうございます。今回は娘を持つ親の気持ちを中心に書いてみました。今夜もたくさんのメッセージをいただきましたことを感謝しております。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。
 なお、本日は宿直勤務のためアナザー・ワールドの執筆をお休みします。ご了承ください。第6話『霧の中の朔と亜紀』は明後日夜アップする予定です。楽しみにしていただけましたら幸いです。
 
...2004/12/22(Wed) 06:33 ID:mGjqeY1.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

執筆活動お疲れ様です。
19日より出張に出ていたため、今日まとめて読ませていただきました。
娘に頼りにされる父親、良いですね。自分も2人の娘を持つ親としてうらやましいです。
これからも頑張って下さい。

亜紀ちゃん宇宙に飛び出さなくて良かった。(笑)
...2004/12/23(Thu) 01:22 ID:6bPgYd46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
北のおじさん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。出張の方、大変お疲れ様です。発達した温帯低気圧がオホーツク海に停滞しているようですが、天候が相当荒れているのではないかと心配しております。風邪など召されないようにお気をつけください。
 さて、物語の方ですが現在第六話『霧の中の朔と亜紀』を執筆しております。今日中に完成できるように頑張ります。いつも励みになるメッセージをありがとうございます。
...2004/12/23(Thu) 21:56 ID:koeCqrIU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

     第6話  霧の中の朔と亜紀

 5月5日夜、亜紀は朔の家に電話をかけていた。ゴールデンウイークも今日で終わりであり、明日から朔は学校である。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。明日から学校だよね。やっぱり朝早いの?」
朔  「そうだな。朝6時過ぎの電車かな。」
亜紀 「ねえ、明日朝会いたいけど、無理かな?」
朔  「でも、朝早いから、無理するなよ。」
亜紀 「今日早めに寝るから、それならいいでしょう。」
朔  「でも、絶対に無理しないでくれよ。やっと元気になれたんだからな。」
亜紀 「うん。そしたら今日は早めに寝るね。おやすみ。朔ちゃん。」
朔  「ああ、おやすみ。亜紀。」
電話を切った後亜紀はすぐに眠りについた。一方朔はこの日夜遅くまで勉強していた。
 この日の朝から降っていた雨は夜半前にはすっかりあがっていた。勉強の後、朔は庭に出て夜空を見上げたると、雲が切れて星も見えていた。
朔  「もう、俺を置いて行かないでくれよ。亜紀。」
夜空に向かってそうつぶやいた後、朔も眠りについたのだった。

 その後、雨上がりで湿度の高い空気は霧を作り出し、明け方前には視程も30メートル前後しかない位の濃霧となっていた。
 
 翌朝、午前4時頃、亜紀は目を覚ますとまっすぐに台所に向かった。朔の弁当を作るためであった。料理の苦手な亜紀は苦労しながらもおかずを作っていった。
しかし・・・最後の関門はやはり包丁の使用であった。危なっかしい包丁さばきは5年前の夏と変わっていなかったのだ。すると・・・
綾子 「亜紀、それは私がするから、できあがったおかずとご飯を弁当箱に盛り付けて。」
綾子は亜紀が1人で弁当を作り出すのでは?とよんでいたのだった。
亜紀 「あ、お母さん、おはよう。今度包丁の使い方教えて。」
綾子 「いいわよ。そろそろ花嫁修業しないとね。フフフッ」
こうしてなんとか弁当を作り上げることができた。

 朝5時過ぎ、朔は亜紀の家の前にやってきて自転車のベルを2回鳴らした。
すると亜紀が笑顔で玄関からでてきた。
亜紀 「おはよう、朔ちゃん。」
朔  「亜紀、おはよう。体の方は大丈夫?」
亜紀 「うん、いっぱい寝たからとても気分がいいよ。駅まで一緒に行きたいな。」
時間に余裕もあり、そして濃い霧のため2人は歩いて宮浦駅へと行くことにした。
霧は周りの視界を遮りつつも、幻想的な光景を造りだしていた。朔と亜紀はその幻想的な世界を2人で並んで歩いてゆく。
亜紀 「きれいだね。朔ちゃん。」
朔  「ああ。そうだな。亜紀。霧もなかなかいいよな。」
亜紀 「うん。日が昇るとあっと言う間に消えてしまうから不思議だよね。」
通い慣れた駅までの道のりも霧の中に入ってしまうとまるで別世界であった。
朔  「亜紀。寒くない?」
そういうと朔は上着を亜紀に着せてあげた。
亜紀 「あったかい。ありがとう、朔ちゃん。大好きだよ。」
朔  「俺も亜紀のこと大好きだよ。」
早朝の霧の中、2人の手がつながる。
 こうして2人は駅にたどりついた。
亜紀 「あのね、朔ちゃん。今日私弁当作ってきたの。へたくそだけど、貰ってくれるかな?」
朔  「本当に?朝も早いのにありがとう。」
亜紀の作った弁当をこんなに早く食べられると思っていなかった朔は嬉しくてしかたがないのだ。
その時、駅のアナウンスが流れた。
「間もなく、上り電車が到着します。ご注意ください。」
亜紀 「もう、電車きちゃったね。朔ちゃん、学校頑張ってね。」
朔  「うん。亜紀も無理しないで。その上着、着て帰っていいからな。」
亜紀 「ありがとう。いってらっしゃい朔ちゃん。」
朔  「うん。いってきます。それと、弁当本当にありがとう。」
そう言うと朔は電車に乗りこんでいった。
それから間もなく電車はゆっくりと発車した。
そして亜紀は、朔の乗った電車が霧の中に消えるまで見送っていた。
 
                続く

 
...2004/12/23(Thu) 23:24 ID:koeCqrIU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。早速読ませていただきました。霧の中の二人の会話や朔がさりげなく亜紀に上着をかけてあげるところなんて、まるでドラマのシーンをみているようで、良かったですよ。
 次回も楽しみにしていますので、頑張って下さい。
...2004/12/23(Thu) 23:35 ID:xxXz7uVg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
けん様へ
早速読んでいただきましてありがとうございます。霧の中の世界で恋人と過ごす時間・・・経験してみるととてもいいものです。そういった経験をこの物語で使うことといたしました。これからも楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
本日はクリスマスイブということで特別編をアップいたします。間もなくアップいたしますので読んでいただけましたら幸いです。
...2004/12/24(Fri) 22:13 ID:5NKl2FFo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (特 別 編)
      メリー・クリスマス

 1996年12月。朔も亜紀も26歳になっていた。医学部を卒業した朔は来年4月から亜紀の入院していた稲代総合病院に来る予定となっていた。一方、亜紀も来年3月で大学を卒業の予定であった。

1996年12月24日、朔は亜紀とともに稲城総合病院を訪れていた。ここは亜紀が白血病と4年9ヶ月にわたって闘い続け、それを克服した場所であった。だが、亜紀が退院した後もたくさんの白血病患者、再生不良貧血の患者、ガンを患った患者などが訪れた。ここで永い眠りについた者も決して少なくはい。そして・・・もう助かる見込みのない患者がいるのも現実であった。
 朔は病院の医務室で白い袋にある物を詰め込んでいた。
亜紀 「私も手伝うね。」
朔  「うん。ありがとう。亜紀。」
亜紀 「これってプレゼントだよね。入院している人たちにプレゼントするの?」
朔  「うん。患者の病気を治すのは医療技術だけでなく希望を持つことも大きいからな。」
亜紀 「うん。それはよくわかる。」
 以前亜紀が白血病を克服しようとしていた時、側で亜紀を支え続けたのは朔だった。亜紀にとってはそのことが励みになり生きる希望を持ち続けることができたのであった。
朔  「今夜消灯時間後に小児病棟に行くけど、亜紀も配るの手伝う?」
亜紀 「うん。私も配りたい。」
 夜11時頃、朔と亜紀は赤い衣装に着替えていた。サンタクロースの衣装であった。しかし・・・お互いに左手薬指にはめられた指輪だけはそのままであった。
朔  「よし!行こうか。」
亜紀 「うん!」
深夜の病棟はとても静かであった。朔と亜紀は各部屋にプレゼントを持って行く。
亜紀 「ねえ、子供達の寝顔、とても可愛いよね。みんな早く元気になって退院できたらいいのにね。」
朔  「本当にな。さっきの子は今の医療技術では助かる見込みはないけど・・絶対に救い出したい。いや救い出してみせるさ。」
亜紀 「朔ちゃんのそういうところ、変わっていないね。この病院で働き始めたら、私を助けてくれたみたいにあの子も助けてあげて。」
亜紀 「ああ。」

すべてのプレゼントを配り終えて病院をでると・・雪がちらつき始めていた。
朔も亜紀も車を持っていなかったためこの日は病院で眠ることにした。

 だが・・・翌日病院にて予想しなかったことが起こっていた。朔と亜紀が配ったプレゼントは一人に一つずつであったが・・・子供達が朝目覚めると枕元にもう一つのプレゼントがあったのだ。子供たちはとても喜んでいた。

亜紀 「どういうことかな?病院関係者も知らないって。」
朔  「うーん。どうしてかな。まさか・・・本物のサンタクロース・・・」
亜紀 「そいえば昨夜、トイレに行こうと目を覚ましたの。そしたらどこからか鈴のような音が聞こえたの。もしかしたらサンタクロースって本当にいるのかもね。」
朔  「でも、子供達が喜んでくれてよかったよ。」
亜紀 「本当にね。」
とても・・・とても不思議なクリスマスであった。
そして2人は朔の家でささやかにクリスマスを祝った。

             終わり
...2004/12/24(Fri) 22:14 ID:5NKl2FFo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、こんばんはゲッツです。第6話と特別編読みました。どっちも結構よかったです。
...2004/12/24(Fri) 23:49 ID:cTEH7jG.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。特別編読ませいただきました。クリスマスにちなんだ話で、とてもファンタルチックで良かったですよ。続編期待していますので、マイペースで頑張って下さい。
...2004/12/25(Sat) 12:36 ID:lLqMniNo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
毎回欠かさず読んでいただきましてありがとうございます。これからもよりよい作品を作れるようにがんばりますので、今後もよろしくお願いします。

 けん様へ
いつもお忙しい中読んでいただきましてありがとうございます。これからも時々こういった特別版を書いていこうと思っております。本編と並行しながらですが、順次アップしていく予定です。現在特別編が2つ完成しておりますが、タイミングを見計らってアップする予定です。今後もよろしくお願いします。
...2004/12/25(Sat) 22:00 ID:1FBoYe1.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

    第7話  亜紀の体験入学@

 7月2日、この日は亜紀の誕生日である。亜紀にとって22回目であり、朔と出会ってから5回目の誕生日である。ただ・・・この日は木曜日であり朔は学校である。そこで亜紀は早速ある行動にでることにした。

朔はいつものように自転車をこいで宮浦駅へと向かっていた。この日は久々の梅雨の中休みで天気もよかった。そして朝6時、予定通りに宮浦駅に着いた。
心地よい朝の光の中で列車の到着を待つ朔。すると朔は後ろから誰かに肩を叩かれた。びっくりして振り向くと頬に指があたった。そこにはなんと・・・亜紀の姿があったのだ。
亜紀 「フフフッ。おはよう、朔ちゃん。びっくりした?」
朔  「したよ。亜紀、どうしてここに?」
亜紀 「今日は朔ちゃんと一緒に大学に行きたいと思って。こっそり体験入学ってやつかな。」
朔  「そっか。そしたら今日は一緒に行けるね。やった!」
実は数日前、亜紀の両親が亜紀への誕生日プレゼントを考えていた。いろいろ考えた結果、亜紀に大学を見学させることに決定したのだ。もちろんプレゼントということなので朔と一緒に、ということになったのである。両親からプレゼントとして亜紀に手渡された物は、大学前の駅までの乗車券、特別急行券であったのだ。

6時10分、定刻どおりに列車がやってきた。朔と亜紀がその列車にのりこむと、列車は加速をはじめた。2両編成のローカル列車は海岸線に沿ってトコトコと走ってゆく。
車内では亜紀が朔に寄り添いながら海を眺めていた。
亜紀 「朔ちゃん、朝の海ってきれいだね。朔ちゃん、今までこんなきれいな景色を1人占めしてたんだね。」
朔  「来年から亜紀も一緒だな。亜紀ならきっと大学受かると思うし。」
亜紀 「そっか。朔ちゃんと一緒に通えたら嬉しい。」
朔  「俺も。でも無理だけはしないでくれよ。マイペースで頑張ればいいよ。」
亜紀 「うん。」
やがて列車は海岸線から遠ざかり、市街地に入った。車内アナウンスが流れる。
「まもなく朝日ヶ丘。朝日ヶ丘です。上り特急列車ご利用のお客様は次でお乗換えです。」
亜紀 「ねえ、次の駅で乗り換えなの?」
朔  「うん。特急に乗り換えないといけない。」
亜紀は内心少し残念であった。普通列車でもう少しゆっくりのんびり行けたらいいのにと思っていたからである。しかも特急だと乗客も多そうである。
 
 だが、特急列車に乗り換えてみると、幸いなことにそれほど乗客はいなかった。
朔  「亜紀、本音を言うとあのまま普通列車で行きたいと思った?」
亜紀 「うん。朔ちゃんともっとのんびりできたらよかったなって思ったの。」
朔  「それは俺もおんなじだよ。でも、これから時間はいっぱいあるから。焦らずにいこうな。」
亜紀 「うん。」
特急列車は目的地へと向かって大空のもとを疾風のように駆け抜けてゆく。それでも目的地までは1時間半近くはかかる。だが、その時間も2人にとってはあっと言う間であった。
 
 列車がもうすぐ○○大学前に着こうとしていた頃、亜紀は少し緊張していた。
亜紀 「ねえ、大学勝手に入ったりしたら怒られたりしないかな。結構緊張する。」
朔  「絶対にばれないよ。大学は出入りする人が多いから誰が生徒かもわからないし。」
亜紀 「少し安心。それとね、今日お昼一緒に食べれるかな?」
朔  「うん、いいよ。俺も亜紀と食べたいし。」
亜紀 「やった。決まりね。」
 特急列車が○○大学前の駅に停車すると、朔と亜紀は仲睦まじい様子で改札口へと向かっていった。

                               続く
...2004/12/26(Sun) 22:02 ID:XKHC9/oM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルクさん、ゲッツです。朔と亜紀が電車に乗って話しているところが、思い浮かんできました。これからも頑張ってください。
...2004/12/26(Sun) 22:55 ID:ydmDKJJE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

年内の出張予定も昨日やっと終わり、今日23日以降の6話・特別編・7話を読ませていただきました。
二人の仲睦まじい姿が目に浮かび、こちらまで幸せな気持ちになりました。
亜紀の包丁さばき、ドラマのときと変わらないんですね。
読んでいるこちらもハラハラしてしまいます。
でも亜紀が一生懸命作ったお弁当を食べれる朔は幸せ者です。亜紀も受験に向け、朔と一緒に体験入学なんて、いつも一緒にいたい二人には一番良いプレゼントですね。 続きが楽しみです。
年末に向け忙しいことと思いますが、執筆活動頑張って下さい。
...2004/12/26(Sun) 23:53 ID:XF1XxkAk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様、北のおじさん様へ。
毎回忙しい中ご感想書いていただきましてありがとうございます。2人が長年待ち続け、やっと勝ち取った幸せな世界ですので、読者の心に残る作品となるような作品になるようにこれからも努力いたします。
 なお、本日は宿直勤務のため執筆活動をお休みいたします。ご了承ください。

    グーテンベルク
...2004/12/27(Mon) 06:54 ID:Bi1WuxMQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
読者の皆様へ。
こんばんは。グーテンベルクです。本日は第8話『亜紀の体験入学A』をアップする予定ですが本日中の完成が難しくなってきましたので、明日へ延期いたします。読者の皆様にお詫び申し上げます。
 全国的に寒くなってきましたので、体調管理にはお気を付けください。

 おまけのコーナーです。

ある日、亜紀と智世は久々に宮浦漁港の防波堤を2人で歩いていた。天気がよく風もそれほど吹いてはいなかったが波だけはやけに荒い。
智世 「ねえ、亜紀。今日波がすごく高いよね。」
亜紀 「南海上に台風があるからね。」
智世 「でも、まだずいぶんと遠かったよね。台風。」
亜紀 「台風のエネルギーは膨大だから1000キロ以上離れていても海がうねり出すからね。こういった時は海難事故が発生しやすいから気を付けないとね。」
智世 「台風の力ってそんなにすごいの?」
亜紀 「うん。戦時中に広島に落とされた原子爆弾10万個分以上のエネルギー量だからね。自然はその莫大な力を水と太陽のエネルギーだけで作り出すって教授が言ってた。」
智世 「やっぱり自然の力には敵わないね。亜紀が興味持つのも分かる気がする。」
亜紀 「ねえ、智世。あの雲見てみて。」
よく見てみるとうす雲に虹のような色がついていた。
智世 「きれい。何あれ?」
亜紀 「彩雲て名前の雲。雲粒が光を散乱させてあんなふうに見えるの。自然が作り出す芸術だね。」
2人はしばらく空を眺めていた。
智世 「波、高くなってきたよ。早めに退散して、今からタコパパに行かない?」
亜紀 「うん!賛成!!」
こうして2人は防波堤を後にした。


     終わり
...2004/12/28(Tue) 23:25 ID:0Afa8bwA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

     第8話  亜紀の体験入学A

 朔と亜紀が○○大学に到着したのは八時半だった。大学を初めて見る亜紀は、その広さに驚いていた。広大な敷地に20以上の校舎が立ち並び、中には10階建てのものまであった。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。大学ってこんなに広いんだね。びっくりした。」
朔  「うん。この大学は医歯薬理工農学系、文系の学部学科がだいたいそろっているからな。食堂も全部で8箇所あるし、図書館なんかも各学部に一つずつと中央に大きなのが1つあるからな。」
亜紀 「こんなに広かったらどこから見ていいかわからないね。朔ちゃんが授業受けている間に校内で迷子になっちゃうかも。」
朔は中央にあるきれいな校舎に亜紀を連れて行くと、窓口で学内のマップを受け取って亜紀に手渡した。
朔  「今俺達がいるのがここ。そしてここが医学部校舎と大学病院。その横が智世がいる薬学部校舎。その右下の9号館が理学部校舎。なんなら講義受けるといいよ。時間割、部屋割りは校舎前の掲示板に書いてあるし。」
亜紀 「でも、ばれない?」
朔  「ばれても追い出されることはないと思うよ。」
亜紀 「それなら早速受けてみるよ。」
朔  「いっけねえ。もうすぐ講義始まってしまう。そしたら亜紀、午前の講義終わったらあの10階建ての建物の前で待ち合わせしよう。12:20に講義が終わる予定だからまたその時に。」
そういうと朔は医学部校舎の方に走り去って行ってしまった。
亜紀 「そういえば朔ちゃん・・・今日が私の誕生日だってこと忘れてるのかな。」
亜紀はそう呟きながら理学部校舎に向かった。

 理学部校舎にたどり着いた亜紀は掲示版の時間割表を眺めていた。すると・・
???「君は、理学部の生徒かね?」
亜紀が驚いて振り向くと、そこには1人の老人がいた。
亜紀 「えっと、私実はここの生徒じゃありません。来年ここの理学部を受験しようと思いましてどんなところか見に来ました。」
老人 「そうじゃったか。それなら一度行きたい学科の研究室を見たほうがいいかもな。お嬢さんはどこの学科を志望かな。」
亜紀 「私は地球環境学科志望ですけど。」
老人 「なら、うちの研究室を見に来んかね。私の研究室では主に地球温暖化のメカニズムの研究をしておるから。少しは勉強になるじゃろう。」
 こうして亜紀はその老人に付いて行くことにした。
老人 「ここじゃよ。さあお入り。」
亜紀 「はい。お邪魔します。」
亜紀が部屋に入ると見たこともないような物であふれていた。
亜紀 「すごい装置ですね。」
老人 「これは気象観測に使う装置だよ。レーダーを使った装置で雲を解析するのじゃよ。
亜紀はいろいろな装置や資料を見せてもらうことができた。亜紀にとっては知らないことばかりであったが、とても興味沸くものばかりであった。
気がつくともう12時になっていた。もうすぐ朔との待ち合わせ時間である。
亜紀 「先生、今日は勉強になりなした。本当にありがとうございました。」
老人 「ああ。また来るといいよ。受験勉強がんばりなさい。」
亜紀 「はい。」
 
 こうして亜紀は朔との待ち合わせ場所である10階建ての建物へと向かった。
待ち合わせ場所にはすでに朔の姿があった。
亜紀 「朔ちゃんごめん、待った?」
朔  「いや。今来たところ。早速昼飯にする?」
亜紀 「うん。おなかすいちゃった。」
朔  「そしたら10階の食堂に行こう。そこなら見晴らしもいいよ。」
亜紀 「うん、ありがとう。朔ちゃん。」
朔と亜紀はこの大学で一番見晴らしの良い食堂へと向かって行った。

         続く
...2004/12/29(Wed) 21:48 ID:np/rWV/Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルクさん、こんばんはゲッツです。第8話読みました。亜紀の体験入学いい感じですね。
...2004/12/29(Wed) 23:12 ID:2CjhPwqk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。いよいよ今年も終わりですね。お互いに完結するのは来年以降になりそうですね。長丁場になりそうですが、お互い頑張っていきましょう。私も年越し前に一回UPできるように頑張ります。
...2004/12/30(Thu) 00:45 ID:.jy6XzCA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:夕妃
初めまして。夕妃と言います。
いつもグーテンベルクさんのアナザー・ワールドを見させていただいてます。
本当に素晴らしいです。『白血病克服編』の最終話では、涙が出そうになりました。
グーテンベルクさんが描く、朔と亜紀が大好きです。
このままドラマにしてほしいほどです。

応援しています。頑張ってください。
...2004/12/30(Thu) 01:27 ID:e6RtYCnQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。今回の話は、亜紀と謎の老人の出会いがありましたね。今後この老人は亜紀にとってどんなふうに絡んでくるのか楽しみです。
 今年も残り2日になりましたが、来年になっても、続編期待していますので、頑張って下さい
...2004/12/30(Thu) 02:11 ID:UeY2I84.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 こんばんは。グーテンベルクです。朝起きてみるとたくさんのコメントがあってとてもうれしかったです。

 ゲッツ様へ
毎回のようにご感想を書いていただきましてありがとうございます。亜紀の体験入学は@〜Cまで執筆する予定です(変更の可能性もありますが・・)今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。
今年も残り僅かですが、来年はゲッツ様にとって素晴らしい年になるといいですね。

 たー坊様へ
今年の下半期は感動の連続でした。ドラマ版セカチューが終わり、その感動を忘れないうちにたー坊様のアナザーストーリーに出会ってさらに感動いたしました。それがアナザー・ワールドを書くきっかけとなり、その関係で多くの読者の方から励ましのメッセージを頂き、本当に嬉しかったです。そして感謝しております。来年もお互いに頑張っていきましょう。

 夕妃様へ
はじめまして。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでくれていたそうで、とてもうれしいです。これからも応援していただけるように頑張ります。これからも朔と亜紀が紡ぎ出してゆく物語を楽しみにしていただけましたら幸いです。これからもどうかよろしくお願いします。

 けん様へ
こんばんは。いつも読んでいただきましてありがとうございます。亜紀は今回のこっそり体験入学で、謎の老人に続き、もう一つの出会いがある予定です。楽しみにしていただけましたら幸いです。今年も残り僅かとなりましたが、来年以降もどうかよろしくおねがいします。

 読者の皆様へ
皆様、こんばんは。いつも読んでいただきましてありがとうございます。現在第9話『亜紀の体験入学B』を執筆しております。明日夜にアップする予定ですので楽しみにしていただけましたら幸いです。なお、新年1月1日は宿直勤務のため、執筆活動等をお休みする予定となりました。その点どうかご了承ください。

 来年も皆様にとって素晴らしい年になることを心より祈っております。

   


 
...2004/12/30(Thu) 21:27 ID:kfdySFtM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

元旦より宿直勤務との事、お疲れ様です。
9月のドラマ終了後も、グーテンベルク様方の書かれているアナザー系ストーリーでセカチュー・ワールドを楽しませていただき大変に感謝しています。
『幸せとは・・』編の続き、『その後』編、楽しみにしています。 お体に気をつけ、頑張って下さい。

グーテンベルク様にとって、来年が良い1年である事を心よりお祈りいたします。
...2004/12/31(Fri) 19:40 ID:ldOVOgmM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 北のおじさん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただき、そしてとても励みになるメッセージをありがとうございます。『幸せとは』編はこれからも当分の間続く予定ですがこれからも読んでいただけましたら幸いです。北のおじさん様もお体にお気を付けください。
 北のおじさん様にとって、来年がよいお年になることをお祈りいたします。

 読者の皆様へ
皆様のおかげでここまで執筆を続けることができました。本当に感謝しております。そして来年もどうかよろしくお願いします。
 皆様がよいお年をお迎えすることを心より祈っております。
 
 それと・・・第9話のテーマ名を変更いたしました。まもなくアップいたしますので楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2004/12/31(Fri) 21:38 ID:QBQZ1m1k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
        (幸せとは 編)

    第9話  朔と亜紀 〜大学にて〜

 2人が乗ったエレベーターが10階に着き、扉が開くと、そこには雄大な景色が広がっていた。眼下に広がる市街地、川、そして遠くにかすむやまなみ。亜紀はその風景にしばし目を奪われていた。
朔  「亜紀。どうしたの?」
亜紀 「すごくいい景色だね。朔ちゃん。あの遠くに見える山の向こうには何があるのかな。」
朔  「俺の大好きなところ。」
亜紀 「ねえ、どこなの?教えてよ。」
朔  「亜紀と俺の故郷、宮浦町。」
亜紀 「そっか。あんなに遠いんだね。私達の町。でも私にはもっと好きな場所があるの。」
朔  「どこ?夢島?」
亜紀 「朔ちゃんの腕の中。フフフッ。」
 
 以前、亜紀が空港で倒れた時、朔は後ろから亜紀を抱き締めたことがあった。その時、亜紀は自分自身が求めていたのがウルルの空ではなく、朔だったことを知った。朔の腕の中、そこは亜紀にとって世界で一番素晴らしい場所だったのだ。
 
 亜紀のその言葉に、朔は顔を赤くしながらうつむいていた。
亜紀 「朔ちゃん。何顔を赤くしてるの?もう付き合い始めて5年だよ。」
朔  「あ・・・いや・・・その・・・あそこの席にしようか。」
明らかに照れている様子の朔の後ろ姿を眺める亜紀。
 そういえば・・・朔ちゃん、やっぱり忘れているのかな・・・私の誕生日。さみしいな・・・

 亜紀が先にテーブルに座わり、朔がウエイトレスに何かを注文した。
亜紀 「朔ちゃんのばか・・・。いい加減に思い出してよ。」
朔に聞こえない声でつぶやく亜紀。
 十数分が経過し、朔が注文した食べ物がテーブルの上に置かれた。亜紀の好きなオムライス、サラダ、スープのセットだ。そして・・・デザートにケーキが置かれていた。そして・・・ケーキの皿の手前に置かれた一枚のカードがあった。そこには・・・
”ハッピーバースデー亜紀”と書かれていた。
亜紀 「朔ちゃん。私の誕生日覚えててくれたんだね。ありがとう。」
嬉しそうな様子の亜紀。
朔  「亜紀。かばんの中見てみて。」
亜紀がかばんの中を見てみると中にはきれいに包装された箱とカセットテープが入っていた。
 亜紀はそのテープをウォークマンで再生した。

『僕の最愛の亜紀へ。亜紀、誕生日おめでとう。よく考えたら亜紀が退院して初めての誕生日だね。元気な亜紀。それは俺の願いでした。本当は亜紀が幸せになりますようにというもう一つの願いがあったけど、それはやめました。それは神に頼むのではなくて、自分の力で実現させたいと思う。だから、亜紀は無理をしないでほしい。これからもどうか俺と一緒にいてほしい。うまく言えないけど・・・亜紀の幸せこそが俺の幸せ。俺は亜紀が、廣瀬亜紀が大好きです。』
 亜紀が嬉しそうにヘッドホンを外す。
亜紀 「朔ちゃん。私、もうどこにもいかないよ。朔ちゃんの側にいるよ。だから・・・朔ちゃんも無理をしないでね。ありがとう。朔ちゃん。」

 亜紀にとってはそのカセットテープに込められた朔の気持ちが最高のプレゼントになった。
 そして2人は嬉しそうに語り合いながら昼食を食べ始めた。

        続く
...2004/12/31(Fri) 21:41 ID:QBQZ1m1k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

早速第9話を読ませていただきました。新年早々宿直とは大変ですね。第10話で午後の部になりそうですね。

2005年も執筆楽しみに待っております。
...2004/12/31(Fri) 23:51 ID:zWaGL/MY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 明けましておめでとうございます。早速読ませていただきました。亜紀の誕生日・・朔もなかなかうまい演出しましたね。やっぱり朔と亜紀には、カセットテープとウォークマンですね。読んでいてとても幸せな気持ちになりました。
 また今年も続編楽しみにしていますので、執筆活動頑張って下さい。
...2005/01/01(Sat) 06:09 ID:e3x.eytU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
あけましておめでとうございます。ゲッツです。グーテンベルクさん、今年もよろしくお願いします。第9話読みました。結構良かったです。今年も頑張ってください。
...2005/01/01(Sat) 21:44 ID:uGgNw01A    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ
新年明けましておめでとうございます。グーテンベルクです。元旦は宿直勤務でしたが、仕事は忙しくなかったため今後の物語を考えておりました(笑)。今年も執筆活動を続けていく予定ですので今年も改めてよろしくお願いいたします。

 けん様へ
新年明けましておめでとうございます。グーテンベルクです。朔の演出については、考えるのに二日ほどかかりました。でも、この演出に決めてよかったです。これからも読者を幸せにすることができるような内容の作品を作れるように努力いたします。今年もどうかよろしくお願いします。

 ゲッツ様へ
新年あけましておめでとうございます。グーテンベルクです。亜紀の誕生日、出会い、そしてその後の物語りも読んでいただけましたら幸いです。今後もよろしくお願いいたします。

 読者の皆様へ。
新年明けましておめでとうございます。去年は世界の中心で愛をさけぶに出会い、そしてアナザー・ワールドの執筆、そして読者の皆様からいただいた励みになるメッセージと、とても素晴らしい年になりました。世界の中心で愛をさけぶの作者や関係者、出演者の皆様、そして読者の皆様にとても感謝しております。今年も執筆を続けさせていただく予定です。今年もどうかよろしくお願いいたします。
 
...2005/01/02(Sun) 19:40 ID:VwtFb8Ow    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。現在第十話を執筆しておりますが、本日中のアップが難しくなってきました。そのため明日にアップすることにいたしました。読者の皆様をお待たせいたしますことをお詫び申し上げます。
...2005/01/02(Sun) 21:52 ID:VwtFb8Ow    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

     第10話  亜紀の体験入学B

 朔に誕生日を祝福されてとても幸せそうな亜紀。そしてそれを見て心から幸せに思う朔。食事の時間はあっという間に過ぎていった。食堂を出てエレベーターホールへと向かうと、そこには智世の姿があった。智世は現在この大学の薬学部生である。
智世 「亜紀、久しぶり!どうしてここにいるの?」
亜紀 「あ、智世!元気そうね。安心した。私の両親が大学を見学してきなさいって。それで今日は朔ちゃんと一緒に来たの。」
智世 「それならそうと連絡してよ。誕生日プレゼント亜紀の家に送っちゃたよ。」
亜紀 「智世。ありがとう。私の誕生日覚えていてくれて。」
智世も亜紀が難病を克服して初めて迎えた誕生日を忘れてはなかった。
智世 「ところで、朔はちゃんと覚えていたの?今日が亜紀の誕生日だってこと。」
こういった時に鈍かったり、どこか抜けている朔。それが原因で喧嘩になったりしないかと智世は心配していたのだった。
朔  「ああ、覚えているよ。俺と亜紀の大切な記念日なんだからさ。」
自分で言って自分自身で照れる朔、それに亜紀も少し照れているようだ。
亜紀 「朔ちゃん、ちゃんと覚えててくれたよ。それにとっても素晴らしいプレゼントをもらったし。」
プレゼントとはもちろん朔の気持ちがこめられたカセットテープである。
智世 「で、何?その素晴らしいプレゼントとやらは。」
亜紀 「内緒。」
智世 「えー、教えてよー。亜紀。こうなったら・・・朔、何あげたのかなー。」
朔  「秘密。」
だが、朔も亜紀もとても幸せそうな顔をしている。智世はその様子を見て朔が亜紀に何をあげたのか、大体予想がついた。
亜紀 「そういえば、朔ちゃん。午後の授業何時からなの?」
朔  「一時二十分から。うわ、後五分しかない。しかも次実験だった。急いで行かないと。亜紀、ごめん。そろそろ行かないと。実験遅くなるかもしれないから先に帰ってる?」
 大学の実験、それは定時に終わることなどめったになく、実験が終わらないと帰れないものがほとんどであった。終わったら日付が変わっていることもあるのだ。しかし・・・
亜紀 「朔ちゃんが終わるの待ってる。」
亜紀はどうしても朔と一緒にいたいのだ。
朔  「そしたら、終わったらら図書館に来るから、そこで待ち合わせようか。」
亜紀 「うん。実験頑張ってね。朔ちゃん。」
朔は亜紀に笑顔を見せると一目散に大学病院へと走っていった。
智世 「一つのことに熱中すると他の事が見えなくなるところ、昔と全然変わらないね。それに2人とも仲が良くて安心した。あ、そうだ。私今日午後の講義休講なんだ。一緒に学内を見て回らない?」
亜紀 「うん!そうしたい。よかった。一人だとなんか心細いから。」
智世 「それなら決まりだね。行こうか。」
亜紀 「うん!」
こうして智世は亜紀に大学内を案内しはじめた。
智世 「このあたりは理系学部の校舎ばかり。全部オンボロだけどね。あそこの6階建ての建物は農学部の校舎、あそこのレンガ造りの校舎とその向こうが工学部、そしてあの灰色の校舎が私が普段いる薬学部の校舎。そしてその右手前が理学部校舎だよ。」
亜紀 「実は午前中理学部校舎に行ったんだ。そしたらおじいさんの先生が私を研究室に案内してくれたの。研究室に入るのなんて初めてだったからドキドキしちゃった。」
智世 「よかったじゃない。見せてもらえて。それでどうだった?」
亜紀 「うん。すごく勉強になった。いろいろな装置もあるし、資料も豊富だし。志望校、ここに決めたよ。」
智世 「でも、意外だったな。亜紀は絶対に文系だと思ったから。」
亜紀 「私もだよ。自分は文系だと決めていたから。でも、以前入院してた時、朔ちゃんから地球科学の話を聞いたの。それで興味を持ったのが始まりかな。それから誕生日プレゼントに両親から地球科学の本を買ってもらってからこういった学問を学びたいと思ったの。」
智世 「そういうことがあったんだね。そしたら数学や化学も勉強しないとね。」
亜紀 「うん。朔ちゃんとお父さんが理数系科目教えてもらうことになったんだ。あと朔ちゃんが書いててくれた高校の授業のノートもあるし。」
智世 「それなら心強いね。医者の卵と一級建築士なら最強の理系タッグじゃない。あ、もうすぐ文系校舎だよ。あそこのきれいな校舎がそれだよ。あそこに行ってみようか。」
亜紀 「うん。なんか理系校舎とは大違いだね。でもオンボロ校舎も好きだけどな。」
 文系校舎へと向かう亜紀と智世、そこで意外な人物との出会いがあることはこの時の2人は知らなかった。

                 続く
...2005/01/03(Mon) 21:11 ID:zYX.LPGY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

明けましておめでとうございます。
今年も亜紀と朔の心温まる物語、楽しみに読ませていただきます。
仕事と執筆活動、大変な事と思いますが頑張って下さい。
...2005/01/03(Mon) 21:23 ID:kbslqvFQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルクさま

総合大学の雰囲気が良く出ていてとても楽しいです。
エコロジーという現代的なテーマも盛り込まれていて、これからの展開を楽しみにしております。

以下、間違っていたらお許しください。
このキャンパスのモデルは、関東地方の某国立大学の西○葉キャンパスでしょうか?昔ちょっとだけ西○葉にいたので、何となく懐かしい気がしまして(笑)
確かサクの自宅の机の上に○葉大学の赤本があったような気がしたものですから。
...2005/01/03(Mon) 21:37 ID:E/k0Q59E    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、こんばんはゲッツです。第10話は、朔と亜紀もいいけど、智世と亜紀もいいですね。これからも頑張ってください。
...2005/01/03(Mon) 21:43 ID:WDK7X7iE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
グーテンベルク様、あけましておめでとうございます。

智世と亜紀との女同士の友情もいいですね。意外な人物の登場を楽しみにしております。
白血病克服編は緊迫感に満ち溢れていましたが、「幸せとは編」に入ってからはホノボノとしていて安心して読めます(笑)
...2005/01/03(Mon) 21:54 ID:Vd8wGiKg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たか
グーテンベルク様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね。同じ執筆者同士頑張りましょう。

せっかくの素晴しい作品をまだあまり読めていません。これからゆっくり読ませていただきます。

SATO様のおっしゃる通り、克服編以降、凄く暖かい作品となっていますね。これからも期待してますよ。
...2005/01/03(Mon) 21:59 ID:Aa7EVb3c    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
グーテンベルク様、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

元旦からの宿直勤務お疲れ様でした。タイトなスケジュールの中の執筆活動は昨年となんら変わりはないと思いますが、お互いに今年も頑張っていきましょう。

次の作品にも期待しております。
...2005/01/04(Tue) 01:13 ID:x6JmDYbA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。今回の話の最後の意外な人物とは、誰かとても気になります。これからもマイペースで執筆活動頑張って下さい。
...2005/01/04(Tue) 01:47 ID:VILroOPs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
こんばんは。グーテンベルクです。今日仕事から帰ってきてみるとたくさんのメッセージがあり、とても嬉しかったです。みなさん本当にありがとうございます。 
 
 北のおじさん様
新年あけましておめでとうございます。今までアナザー・ワールドを読んでいただいたこと、そしてこれからも楽しみにしてくれること、とても感謝しております。今年もよろしくお願いたします。

 朔五郎様へ。
明けましておめでとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。この場を借りて質問にお答えします。私は数年前地元九州にある総合大学に通っておりました。(今も九州に住んでいますが。)それと受験でいくつか総合大学を受験いたしました。よってアナザー・ワールドの○○大学はそれらをくっつけ合わせたものをイメージしました。よってモデルとなった大学は・・・自分自身でも謎です。(ゴメンなさい。)したがいまして、読者の皆様それぞれが想像するキャンパスが○○大学としてもらう方が一番よいかと思います。よって○葉大学もある意味正解です。
 これからもお互いに頑張りましょう。そして今後もよろしくお願いいたします。

 ゲッツ様へ。
こんばんは。いつもメッセージありがとうございます。仲のよかった亜紀と智世、ドラマでは女同士の会話ができる唯一の親友という設定でしたので、この場で登場してもらうことにしました。他の登場人物についても後に登場する予定です。楽しみにしていただけましたら幸いです。

 SATO様へ
明けましておめでとうございます。智世と亜紀、ドラマでの2人の友情も素晴らしいものがありましたのでここで書かせていただきました。『幸せとは』編では今まで近くにありながら気付かなかった幸せと、自分で掴み取る幸せについて書いていく予定です。これからもよろしくお願いします。

 たか様へ
あけましておめでとうございます。そして今後を期待していただきましてありがとうございます。今年もお互いに素晴らしい作品を書いていけたらいいですね。お互いにがんばりましょう。そして・・・マイペースで読んでいただけましたら幸いです。これからもよろしくお願いします。

 たー坊様へ
あけましておめでとうございます。私もたー坊様の作品のような心温まる素晴らしい作品をめざして頑張ろうと思います。その際、参考にさせていただくこともあるかもしれませんので、こちらこそよろしくお願いします。これからもお互いに頑張っていきましょう。

 けん様へ
こんばんは。いつも読んでいただきましてありがとうございます。そして励みになるメッセージをいただきましたことを感謝しております。今後の展開を楽しみにしていただけました幸いです。
...2005/01/04(Tue) 21:21 ID:GB6EOSwQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
        (幸せとは 編)

      第11話  亜紀の体験入学C

 文系校舎についた亜紀と智世はまず最初にオアシスという名の休憩所に足を運んだ。ここは主に文学部や法学部、経済学部、商学部、教育学部の生徒が休憩やサークルの会議、自習などいろいろな目的で訪れる多目的ホールのような空間である。亜紀と智世は直径1.5mくらいの丸テーブルがいくつも置かれた、少人数グループやカップルが利用する休憩コーナーに向かった。
智世 「亜紀。ここに座ろうか。」
亜紀 「うん!」
こうして亜紀と智世は久しぶりの会話を楽しみはじめた。
智世 「ねえ、亜紀。朔とはどう?とても仲よく見えるけど。」
亜紀 「うん。うまくいってるよ。朔ちゃんは学校が忙しいから会える時間はそんなにないけど、とても幸せだよ。実は週に1回か2回だけど、朔ちゃんにお弁当作っているの。私、料理はどうも苦手で盛り付けもヘタクソだけど、朔ちゃん嫌な顔一つせずに貰ってくれるからとても嬉しいの。」
智世 「なるほど・・・それでだったのか。」
亜紀 「どうかしたの?」
智世 「先月病院実習で朔と一緒にいる機会があったの。その時朔が幸せそうな顔で弁当食べてたの。朔の同級生に『おまえ、弁当の時はいつもニコニコしているけど、その弁当そんなにおいしいのか?』と聞かれたときも、『ああ、最高。』とか言ってたんだよ。亜紀が作った弁当だったからなんだ。謎がとけたよ。」
亜紀 「そうだったんだ。朔ちゃん、本当に喜んでくれてたんだ。それを聞いて安心した。」
智世 「フフフッ。あんたたちは絶対に幸せになれるよ。亜紀の白血病も2人で克服したも同然だからね。骨髄移植のドナーが見つかるまでの数年間、亜紀も朔も本当に頑張ったよね。」
亜紀 「みんなのおかげだよ。私も朔ちゃんも頑張り続けることができたのは。智世とボウズと大木君や谷田部先生に両親や朔ちゃんの両親、病院の人たち、それと私に骨髄液を提供してくれた人。みんなに助けられたんだと思うよ。」
亜紀は闘病生活を思い出していた。とても、とても苦しかったけれど人の温かさを身をもって体験した時でもあった。いい思い出も少なくはなかった。
亜紀と智世が会話をしていると1人の女性が突然声をかけてきた。黒い落ち着いた服を着ており、大人びた綺麗な感じの女性である。
女性 「あの、もしかして以前骨髄移植を受けた方ですか?」
突然の出来事に智世も亜紀も驚いた様子を見せると、
女性 「あ、突然すみません。私は法学部4年生の小林と申します。初めまして。」
亜紀 「初めまして。廣瀬です。あの、私半年ほど前に移植を受けましたが・・・なにかご用でしょうか?」
小林 「そうですか。実は私、以前骨髄バンクにドナー登録して骨髄液を提供したことがありまして。実際に骨髄移植で助かった方に初めてお目にかかれたのでつい声をかけてしまいました。すみません。」
亜紀 「いえ。こちらこそ。小林さん・・でしたね。私もドナーの方に初めてお会いします。あなたのような方々のおかげで私は白血病を克服することができました。本当に感謝しています。」
小林 「元気で本当になによりです。私が提供した骨髄液を受け取ってくださった方も元気になってくれていればいいのですけど。」
骨髄移植を受ける患者と提供するドナーとは手紙のみでの文通は可能だが、名前の公表は禁止されている。理由は個人のHLAデータが流失したりすると人身売買等が行われたり、公平な移植手術が行われなくなる可能性があるからである。
亜紀 「きっと幸せになっていると思いますよ。私もドナーの方から頂いた手紙をみてとても幸せな気分になりました。この手紙は私の宝物です。」
亜紀は鞄の貴重品入れから一枚の手紙を取り出して小林に見せた。

 私の骨髄液に、明るい明日への希望を託します。
  どうか、明るい未来をつかんでください。

 この手紙を見た小林は驚いた。自分が書いた手紙だったからである。つまり目の前にいる女性、亜紀は・・・・
小林の瞳から涙がこぼれ落ちる。
小林 「これは・・・私です・・・あなたが・・・・あなたが助かって幸せです・・・。」
それを聞いて亜紀は目の前の女性こそが骨髄液を提供してくれて自分を救ってくれた人だと理解した。
亜紀 「あなただったのですね。私を助けてくれたのは・・・・本当に感謝しています。私・・・・とても幸せです・・・。」
智世 「よかったね。亜紀。」
亜紀も智世も嬉しくて涙を浮かべていた。人間のもつ優しさとを知ったからである。そして小林も人を救うことができた喜びを知ったのであった。
   
          続く
...2005/01/05(Wed) 22:18 ID:IDvLiBmg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 こんばんは。グーテンベルクです。今回はもう1人のアキ、小林明希の登場です。アナザー・ワールドでは明希をドナーに設定しました。理由は亜紀が助かった世界では朔は亜紀と会う時間を確保するためにサークルに入らなかったという設定となってしまい、朔と明希の出会いがなくなったことからこのような設定といたしました。今後も読んでいただけましたら幸いです。
...2005/01/05(Wed) 22:26 ID:IDvLiBmg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。現在第12話を執筆中です。今日中にアップしますので楽しみにしていただけましたら幸いです。なお明日は宿直勤務のため執筆活動をお休みする予定です。ご了承願います。
...2005/01/06(Thu) 22:00 ID:NJ25bFu6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

      第12話  亜紀と明希

 ○○大学で偶然出会った女性、小林。その人は白血病の亜紀に骨髄液を提供してくれたドナーであった。
亜紀 「あの、小林さん。あなたのお名前をぜひ教えてください。」
小林 「私は・・・小林明希と申します。明かるいと希望の希のアキです。」
亜紀 「私も・・・・アキといいます。廣瀬亜紀です。白亜紀の亜紀です。」
偶然ともいえる元患者とドナーとの出会い、そして字は違うものの同じ名前というもう一つの偶然に亜紀も明希も、その場にいる智世も驚きを隠せなかった。しかしそれよりも勝っていたのは小林明希への感謝の気持ちだった。
亜紀 「小林明希さんが託してくれた・・・明るい明日への希望で、私は・・・廣瀬亜紀は本当に助けられました。おかげで・・・・今幸せな日々をおくっています。本当に・・・本当にありがとうございました。」
智世 「私も本当に感謝しています。親友を救ってくれたこと、なんとお礼を言っていいかわかりません。」
明希 「いえ、私は・・・できることをしただけです。私も・・・あなたが幸せと聞いて安心しました。こんな私が・・・人を救えたこと・・・とてもうれしいです。」
 1人1人ができることは時に人の命を救うことができる。そのことを初めて実感することができた。お互いの出会いによって・・・
 しばらくの間、亜紀と智世と明希は白血病克服するまでの出来事の一部を話していた。もちろん朔のことも・・・。
明希 「せっかくお会いできたからもっとゆっくりお話したかったのですが・・。今からゼミがありますので・・・。申し訳ありませんが失礼します。また・・・お会いしましょう。」
明希は席を立つと静かに頭を下げ、その場を後にした。
亜紀 「あの、本当にありがとうございました。また・・・お会いできますよね?」
亜紀のその言葉を聞いた明希は振り返って笑顔を見せてくれた。
美しい笑顔であった。亜紀を救えた喜び、そして彼女自身の優しさが彼女をより綺麗にみせたのかもしれない。しばし明希の後ろ姿を見つめる亜紀と智世。
智世 「でもまさか、亜紀の命の恩人がこの大学にいたとは思わなかったよ。」
亜紀 「私もびっくりした。でも・・・会えてよかった。一度お礼言いたかったから。」
智世 「よかったね。亜紀。あれ?あのテーブル確か明希さんがここに来る前に座っていたところだよね?」
亜紀 「うん。確か・・・あ、忘れ物してる。」
机の上には2冊の本が置かれていた。
亜紀 「六法全書・・・・と司法試験論文対策問題集って書かれているよ。」
智世 「司法試験うけてるんだ、明希さん。すごいなあ。忘れ物、管理課に届けようか。」
亜紀 「司法試験?」
智世 「弁護士や検察官、裁判官になるための試験のことだよ。数ある国家試験の中でも難しい試験だよ。」
亜紀 「あの人も努力しているんだね。私も勉強頑張らないとな。」
智世 「亜紀。これ届けに行こう。」
亜紀 「ちょっと待って。」
そういうと亜紀は紙に何やらメッセージを書いて明希が置き忘れた本に挟んだ。
亜紀 「お待たせ。行こうか。」
智世 「うん。」
こうして文系校舎にある管理課に忘れ物を届けた後、智世は再び亜紀に学内を案内して回った。

       続く
...2005/01/06(Thu) 22:19 ID:NJ25bFu6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

ハイピッチでの掲載、お疲れ様です。
私も遅ればせながら明日より仕事となりますが、二人の『アキ』の出会いの場面を読む事ができ、嬉しい気持ちで取り組めそうです。

寒い時期の宿直、大変な事と思いますがお体に気をつけて下さい。
...2005/01/06(Thu) 23:11 ID:NaHqKSKI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
「意外な人物」はもしかして・・・と思っていたのですが、小林明希でしたか。
明希の本に亜紀がはさんだメッセージには何が書いてあるのでしょうか?続きを楽しみにしております。
...2005/01/06(Thu) 23:30 ID:vl26DPsw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
小林明希とは展開を予想できませんでした・・・
これから、どんなふうに関わってくるのか楽しみにしております。
...2005/01/07(Fri) 02:22 ID:lDqw8h3k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。意外な人物が、小林明希でしかも亜紀のドナーの提供者とは・・そういえば白血病克服編のところで、一度小林明希がでてきましたよね?それは、今回の出会いの伏線になっていたのですね。とてもこの出会い方は良かったと思います
 これからの展開楽しみにしていますので、頑張って下さい
...2005/01/08(Sat) 01:45 ID:1uK0DwlU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 北のおじさん様、SATO様、朔五郎様、けん様、そして読者の皆様へ
 こんばんは。グーテンベルクです。前回と今回の2話分を使って小林明希との出会いについて書かせていただきました。アナザー・ワールドでは骨髄移殖のドナーとなった小林明希。亜紀と明希の出会う時期をいつにするか本当に迷いました。そして実は『亜紀の体験入学』はもともと特別編として執筆する予定でおおまかな構想はできておりましたので、ここが小林明希との出会いの時に最適だと思いました。そこで『亜紀の体験入学』を『幸せとは』編に加えてさらに明希との出会いへとつなげました。
これからしばらく先に予定している亜紀と明希との関わりについては現在構想中ですが今後を楽しみにしていただけましたら幸いです。そして、亜紀の体験入学はもう少し続きますのでそちらも楽しみにしていただけましたらとても嬉しいです。
 たくさんのメッセージ本当にありがとうございます。

   追記
世界の中心で愛をさけぶ〜アナザー・ワールド〜『白血病克服編』と『幸せとは』の第12話までを読み直したところ、たくさんの誤字脱字が発見されました。読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫びもうしあげます。つきましては編集と訂正をやり直して再びまとめてアップしようかと思っております。予定が立ち次第お知らせいたします。
...2005/01/08(Sat) 20:50 ID:5d82KZFg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
        (幸せとは 編)

     第12話  亜紀の体験入学D
 
 再び亜紀に学校案内をしはじめた智世は、次にグランドを案内することにした。
智世 「ねえ、亜紀。今度はグランド行ってみない?」
亜紀 「行ってみたい!一度大学のグランドみてみたかったんだ。」
亜紀の目が輝いていた。
智世 「そしたら、グランドに決定!こっちよ。」
智世は亜紀を導くようにグランドの方へと向かった。グランドへと続く道はアスファルト舗装されており、その脇のケヤキの木からは早くもクマゼミの元気な声が聞こえてくる。
亜紀 「智世はまだ走りたいと思う?」
智世 「うん。亜紀が完全に元気になったらまた一緒に走りたいと思ってるよ。」
亜紀 「私も・・・また智世と走りたいな・・・。もう・・・あれから5年も経つんだね。」
智世 「本当にね。でもまだ無理したらだめだからね。」
亜紀 「わかってるって。そんなことしたら朔ちゃんに怒られちゃうもん。」
智世 「亜紀。あんたは朔がストップかけないとすぐ無理ばかりするからね。」
亜紀 「だって、私・・・負けず嫌いなんだもん。」
智世 「確かに。フフフッ。」
しばらく歩いた時、目の前にとても広いグランドが見えてきた。そこには一周が400メートルの楕円形のトラックがあった。そして部活の練習をする生徒もいた。
亜紀は静かに目を閉じた。かつて走っていたグランドを思い出す。あの頃の記憶が今よみがえる。そして朔と2人だけのグランド。そこで出した自己ベスト〜12秒91〜
あれから・・・もう5年が過ぎようとしていた。
智世 「亜紀。グランドって懐かしいよね。」
亜紀 「うん。あの頃は練習辛いこともあったけど、今ではいい思い出だよね。それに智世とも仲良くなれたし。なんか、また走りたくなってきちゃったよ。」
智世 「私もよ。亜紀と何でも話し合える仲になれたのもあのグランドでの出会いがきっかけだったもんね。」
2人は高校時代を思い返していた。
智世 「亜紀はすごかったもんね。」
亜紀 「なにが?」
智世 「短距離走。女子陸上部でもトップだったし。それに白血病で倒れても、治るその日まで闘い続けたもんね。あんなにボロボロになっても闘い続けた亜紀、とても美しく見えたよ。」
亜紀 「なんかはずかしいよ。」
智世 「ごめん。ごめん。でも、こんなに元気になって本当によかったよ。」
亜紀 「智世。ありがとう。」
7月の強い日差しは、はるか上空にかかる薄雲によりやわらかな日差しに変わって、グランドの隅にいる2人をやさしく照らしていた。
 夕方までグランドで智世と過ごした亜紀。今度は中央図書館に行くことにした。
図書館に着いた亜紀と智世。智世は図書館の案内のチラシを亜紀に渡した。図書館はとても広く、初めて来た人はどこにどの分野の本があるか分からなくなるからだ。
亜紀は嬉しそうに地球科学分野の本を探しに行った。そして智世は机に座ると薬学の勉強道具を鞄から取り出して準備した。智世は今年薬剤師国家試験を控えているためだ。
 しばらくすると亜紀は地球科学の本を抱えて机にやってきた。2人は向かい合うようにそれぞれの勉強を始めた。
 そして夕方7時頃・・・
実験が終わった朔が亜紀との待ち合わせ場所である中央図書館入り口にやってきた。
智世 「あ、朔が来たよ。そろそろ行こうか。」
亜紀 「あ、うん!」
図書館の入り口に集まる3人。
朔  「お待たせ!」
亜紀 「朔ちゃん。お疲れ様。」
智世 「朔。お疲れ様。そうそう。午後から亜紀を借りてたから。」
朔  「ああ。ありがとう。」
亜紀 「そういえば、智世は今この近くに住んでるの?」
智世 「うん。ここから歩いて5分くらいのところだよ。」
朔  「暗いから家まで送ろうか。一応・・・女なんだし。」
智世 「なによ、それ酷いなぁ。」
亜紀 「アッハッハッハ。見るからに幼馴染って感じだね。」
智世 「昔からこうなんだよ。あ、私もう少し勉強してから帰るから、先に帰ってて。朔。ちゃーんと亜紀を家まで送ってよ。」
朔  「ああ。もちろんだよ。それと、智世も無理しないでくれよ。」
朔は普段ボーっとしてても、こういった思いやりのある言葉をかけてくれる。今も昔も。
亜紀が朔の事を好きになった理由も分かる気がした。
智世 「うん。ありがとう。そしたらまたね。8月は宮浦に帰って来るから。その時みんなで会おうね。」
亜紀 「うん。今日はありがとう。また会おうね。智世。」

 こうして智世と別れた朔と亜紀は駅へと向かった。再び仲睦まじい様子で。

    続く
...2005/01/09(Sun) 20:19 ID:gvGMe9xU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
かくれ智世ファンの私にとって体験入学シリーズで色々亜紀に世話を焼く姿が微笑ましく、嬉しくも思います。

あのー、これは飽くまでも余力があればの話なんですが、智世と介ちゃんのアナザーも見てみたいような思いもあります・・・
...2005/01/09(Sun) 22:44 ID:2ganbMFE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
>智世と介ちゃんのアナザーも見てみたいような思いもあります・・・

 現在,継続している2本のアナザー・ストーリーのうち,たー坊さんの方は2人を婚約者として描いています。グーテンベルクさんの方も,はっきりと結論づけてはおられませんが,今までのところ,2人が破局を迎えるような流れにはなっていません。
 つまり,亜紀が病気を乗り越えたというふうに原作の結末を変更することで,「スケと智世」のドラマの結末(それぞれの17年後を描くラストシーン)もまた変更になっているのです。
 しかし,これは,亜紀が一命を取りとめ,長い闘病生活を送る(骨髄移植まで4〜5年)となれば,当然,その闘病生活を支える仲間として,スケも智世も(ボウズも),泣いたり笑ったりしながら共に毎日を過ごすことになる訳ですから,第4話で入ったヒビも,こうした雰囲気での歳月の流れの中で癒されると考えた方がむしろ自然な感じがします。
 そういう意味では,亜紀の存在がいろんな意味での結集軸になっているような感じがしませんか。

 グーテンベルク様。ほのぼのとしたストーリー(私も楽しみにしています)のスレに割り込んで勝手な論評を書き込んで,失礼いたしました。
...2005/01/10(Mon) 03:41 ID:USWawJrQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
SATO様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回は亜紀と智世が中心の物語となりました。ドラマでの智世はとても面倒見がよくて、朔たちのグループを明るく照らす太陽のような存在でしたので、それを思い出しながら書かせていただきました。智世のアナザーについてですが、現在構想を練っている段階です。特別編としてアップするかメインストーリーの中でアップするかはまだ未定ですが、楽しみにしていただけましたら幸いです。

 にわかマニア様へ
こんばんは。はじめまして。グーテンベルクです。読んでいただいたうえに、論評を書いていただきましてありがとうございます。おっしゃるとおり亜紀が助かることにより、原作の未来は失われて新たな未来が生み出されることになります。そして智世、龍之介、ボウズもドラマの結末とは違った未来を歩みだすことになります。現在私が執筆しておりますアナザー・ワールドでは智世と龍之介は別の大学で過ごしておりますが、2人ははたしてどういった未来を歩むか、今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。亜紀の存在・・・それは確かにみんなの集合軸的存在となっています。自分で考えた物語について深く考えてみるとてもいい機会になりました。本当にありがとうございます。今後も論評やメッセージなど、歓迎いたしますのでどうかよろしくお願いいたします。
...2005/01/10(Mon) 21:18 ID:DvMvJWL2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

12話読みました。いつかアキと智世で走ることができればと思いました。帰りにボウズが出てくる展開にできませんでしょうか?
...2005/01/11(Tue) 17:36 ID:sZaSagn6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ。
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。何を隠そう、実はNetta様のご希望通り帰りにボウズが登場する予定です。(実は体験入学シリーズ執筆の時にすでに決まっておりました。)楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
いつも読んでいただきましてありがとうございます。第十三話が間もなく完成します。チェックが終わり次第アップいたしますのでもうしばらくお待ちください。
 なお、明日は宿直勤務のため執筆活動をお休みします。ご了承願います。
...2005/01/11(Tue) 22:00 ID:.84ZaEcA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
        (幸せとは 編)

    第13話  朔と亜紀 〜列車内にて〜
 キャンパス見学を終えた亜紀は、朔とともに○○大学前駅で列車を待っていた。
朔  「亜紀。大学はどうだった?」
亜紀 「いろいろと勉強になったよ。それに今日は思いがけない人と出会えたの。」
朔  「亜紀の知り合いか誰か?」
亜紀 「実は・・・私に貴重な骨髄液を提供してくれたドナーの方。」
朔  「え?本当に?」
患者とドナーが偶然出会うという奇跡に朔は驚いていた。
その時、下り特急列車がホームに停車したので朔と亜紀はその列車に乗り込んだ。ラッシュ時でそこそこ乗客も多かったが、運良く2人座席が空いており、朔と亜紀は隣同士で座ることができた。そして朔と亜紀は会話を再会した。
朔  「さっき亜紀が言ってたドナーの方、どんな人だった?」
亜紀 「綺麗な女の人。法学部の4年生って言ってたから、たぶん私たちと同じ年だよ。でも、びっくりしたな。まさか朔ちゃんが通っている大学の生徒だとは思わなかったし。」
朔  「でも、どうしてその人がドナーだと分かったの?」
亜紀は文系校舎での出来事の一部始終を朔に話した。
朔  「そっか。そしたらその手紙を持っていたからわかったんだね。俺、一度その人に会ってお礼を言いたい。亜紀とこうして過ごすことができるのもその人のおかげだから。その人の名前とか聞いた?」
亜紀 「小林・・・明希さんっていうの。アキだけど字は明るい希望のアキさん。」
驚きの連続だった。元患者とドナーとの出会い、そしてアキを助けてくれた命の恩人の名前がアキという偶然に・・・。
朔  「法学部の小林明希さんか・・・。なんてお礼を言っていいか・・・わからないな。いくら感謝しても感謝しきれないな。」
 亜紀の存在・・・それは朔のすべてであった。亜紀が笑えるのなら、俺は笑えなくてもいい・・・。亜紀がお腹一杯食べられるのなら、俺は空腹でもいい・・・。亜紀が幸せになれるのなら、俺は不幸になってもいい・・・。亜紀のために死ねと言われたら、俺は喜んで死んでやろう・・・。
その思いは以前も、そして今でも変わっていない。だからなおさらであった。亜紀が助かった喜びがより一層強くなってゆく・・。
朔  「亜紀。生きていていてくれて・・・本当にありがとう。」
亜紀 「どうしたの?朔ちゃん。」
朔は亜紀の頭をやさしく撫でた。
朔  「もう、俺を置いて行かないでくれよ。」
亜紀 「うん・・・。私・・・いつまでも朔ちゃんと一緒だよ。」
亜紀はそういうと朔の肩によりかかった。
亜紀 「朔ちゃんって、あったかいね。」
そして亜紀はキャンパス見学で疲れたのか、ゆっくりと眠りについた。
 特急列車は夜の闇の中を疾風のように駆け抜けてゆく・・。
約一時間後、列車は間もなく朝日ヶ丘駅に到着しようとしていた。
朔  「亜紀。亜紀。もうすぐ乗り換えだよ。」
朔は眠っている亜紀をやさしくゆすってみた。すると、亜紀はびっくりして目を覚ました。
亜紀 「びっくりした・・・。あーあ。せっかくいい夢見ていたのに・・・・。」
朔  「ごめん。でも、次で乗り換えないと。」
亜紀 「うん!でも目を覚ましても近くに朔ちゃんがいるから幸せだよ。」
亜紀が朔の肩に寄りかかって眠った時に見た夢・・・それが正夢になるとは、この時の亜紀は知らなかった。
 特急列車は朝日ヶ丘駅に到着した。宮浦方面はここで乗り換えである。朔と亜紀はこの駅で特急列車を降り、横のホームに停車中の宮浦方面行きの普通列車に乗り換えた。
普通列車に乗り換えた直後、背後から朔と亜紀を呼ぶ声が聞こえた。
朔と亜紀が驚いて振り向くとそこにはボウズの姿があった。


          続く。
...2005/01/11(Tue) 22:14 ID:.84ZaEcA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
  グーテンベルク様
こんばんわ。けんです。12・13話読ませていただきました。12話は、智世と亜紀の陸上の話を中心でしたね。私もいつ智世と亜紀が走るのか楽しみです。私も皆さんと同じように智世と介ちゃんのアナザーを読んでみたいです。余力があればよろしくお願いします。そして、13話で骨髄移植の話を亜紀が朔に話していましたね。私は、この流れで、今後朔が明希と会った時、明希が朔に惚れる事はあるのかな?とちょっと思いました。だけど仮にあっても朔が明希に惚れる事はないと思うけど・・・勝手な妄想をしてすいません。
 次回は、ボウズ登場ですね。どういう展開になるのか楽しみにしていますので、執筆活動頑張って下さい。
 
...2005/01/12(Wed) 03:49 ID:XAvnontI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:不二子
〜グーテンベルク様〜
お久しぶりに、こちらにお邪魔しています。
いかに私が不良主婦と言えども、手を広げるには限界があり、少しづつ打ち出してはいたのですが、昨日ようやく残っていたのを全部打ち出して、読み切りました。

私は勿論、グーテンベルク様にはお会いしたことはないのですが、この物語を読んで一番に思ったのは、全編通して優しさに包まれているなあという事です。そして、それはおそらくグーテンベルク様の気質に基づくものではと感じました。
ドラマでは、二人の幸せな時間はほんの少ししか描かれておらず、実際に付き合い始めてからの時間も僅かなものでした。『アナザー・ワールド』では、「この二人にいつまでも幸せが続きますように」との、著者としてのグーテンベルク様の熱い想い、願い、祈りなどが凝縮していると感じました。それは『世界の中心で、愛をさけぶ』そのものに対しての深い愛情とも言えます。
細かい流れは色々とあるものの、全体として観ると決して悪い方向には行かず、いつも緩やかで穏やかな優しい流れに包まれている、といった印象です。そして、この物語の朔こそがグーテンベルク様ではなかろうかと、勝手に想像しています。

登場人物の台詞について、ここで一つ気付いたことがありました。5人組は大体、注釈なしでも誰が何しゃべってるか分かります。それは、私達がおおよそ登場人物の性格を把握しているからだと思いますし、グーテンベルク様がその様に書いて下さっているからです。その中でも、智世は特別な雰囲気があると思いました。智世のしゃべりは、朔の母・富子に大変似てますよね。智世がおばさんになったら富子の様になるとちょっと想像してしまいましたし、逆に富子さんは高校生の頃、やっぱり智世のように気軽に皆に声を掛ける、明るい性格の女子高生だったのだろうな、などと考えてしまいました。
私は、ドラマでは亜紀と智世の会話がもっとあってもいいかなと思っていましたので、こちらでその様に描いてもらって嬉しいと感じます。男には男同士の話があるように、女には女同士の密談があるのです。

物語は、新しい展開へと広がりを見せています。亜紀がキャンパスで会った老教授も、ドラマより少し若い小林明希も新鮮です。
今日は、大変冷たい風の吹きすさぶ日になってますので、どうぞお身体に気を付けて風邪をお召しにならない様に、頑張って下さいませ。
...2005/01/12(Wed) 16:57 ID:QxyfSKjQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 自分だったらどちらを選んでいたか悩ましいところですが,仲間たちに後事を託して状況する「たー坊版」,病気の恋人と一緒の時間を確保するためあえて遠距離通学に踏み切る「グーテンベルク版」のいずれも,5人の仲間の結びつきが感じられて,いいですね。
 いよいよ,こちらの方にもボウズが登場しましたね。「廣瀬よりいい人を見つける」という1987年7月1日夜の公約が実行できるか,こちらの競作も楽しみに期待しています。
...2005/01/13(Thu) 12:47 ID:2xcyyKsc    

             変換ミス:お詫びと訂正  Name:にわかマニア
 変換ミスに気づかないまま送信してしまいました。
 「状況する」では意味が通らないですね。「上京する」の誤りです。お詫びして訂正いたします。
...2005/01/13(Thu) 12:49 ID:2xcyyKsc    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。亜紀は白血病を克服しましたが、まだまだ定期的な通院が必要で今回智世と一緒に走れなかったのが残念ですね。それから帰りの普通列車で一緒になったボウズ。朔と亜紀にとって2ヶ月ぶりの再会です。今後の展開を楽しみにしていただけましたら幸いです。風邪がはやっております。けん様も十分ご注意ください。

 不二子様へ
こんばんは。お久しぶりです。グーテンベルクです。忙しい中読んでいただきましてありがとうございます。そして・・・とても励みになるメッセージを送っていただきまして本当にありがとうございます。読んでいてとても嬉しい気分になりました。大好きな人といつまでも一緒に過ごしたいという気持ち、そしてその人が幸せなら自分は不幸になってもかまわないという気持ち・・・私自身、その気持ちがよくわかります。そして朔と亜紀にもいつまでも幸せが続いてほしいと思いながら執筆させていただいております。
 智世と富子の意外な共通点は不二子様に教えていただきまして初めて知りました。そして朔の父・潤一郎は若い時、面倒見のいい明るい性格ですぐに感情的になる富子に惹かれたのかなと思いました。
 一方、亜紀と智世についてですが、私ももっと2人の会話があったらよかったと思っておりました。(もちろんボウズや龍之介もですが。)
そしてこれからもいろいろな視点からこの物語を書いていこうと思います。これからもアナザー・ワールドを読んでいただけましたら幸いです。いつでもこのスレッドに遊びに来てください。お待ちしております。それと、不二子様もお体に気を付けてください。
 
 にわかマニア様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。私もいつもたー坊様のアナザーストーリーを読ませていただいておりますが、そちらは遠距離恋愛なので、会えた時の様子はとても幸せそうですね。
 さて、私のアナザー・ワールドにもボウズが登場しますが、今後どのような展開になるか楽しみにしていただけましたら幸いです。にわかマニア様も風邪など召さないようにご注意ください。
...2005/01/13(Thu) 21:09 ID:sETVk9ng    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様。お久しぶりです。11話で、亜紀に骨髄液を提供してくれた、ドナーが登場しましたね。12話、13話もとてもよかったです。これからも頑張ってください。
...2005/01/14(Fri) 00:00 ID:r01/EBS2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:不二子
どうして私は、いっぺんに書いてしまえないんだろう。また、書き落としました。それは、ここです。

[71]また・・また・・・祈ることしか出来ないのか。朔はその場に座り込んでしまった。

『白血病克服編』『幸せとは編』両方を通じて最も亜紀が深刻な状態に陥る場面です。今は二人とも幸せ。亜紀も自分の生活を取り戻そうと、前向きになれるくらい元気になってますが、そんな今でも常に朔を突き動かす力、彼の心の奥底に横たわるある一つの思いが、よく表れていて好きなシーンです。
それから今気が付いたのですが、この話を『克服編』の13話に持って来たのは、もしかして「13」という数字に拘って書かれたのかなと、ちょっとだけ思いました。
そういうわけで、度々失礼いたしました。
...2005/01/14(Fri) 10:08 ID:fgEqJOyg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
お久しぶりです。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。第7話以降、亜紀が白血病克服してから初めての誕生日について書いておりますが、この日の物語はもう少し続きますので、今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。また寒くなってきましたので風邪にはご注意ください。

 不二子様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今日もメッセージをありがとうございます。朔は亜紀が元気になってからも医師への道を走り続けております。その力の源の一つである克服編十三話はアナザー・ワールドに欠かせないポイントになりました。気に入っていただけてとても嬉しい気分です。
 それと、13話にこの深刻な場面が重なったのは偶然でした。アナザー・ワールドは当初、克服編が全部で5話、幸せ編が全部で10話程度で完結する予定でした。しかし書いてみると次から次に書きたいシーンが出てきて予定を大幅に変更し、今に至っております。でも13話と深刻な場面が一致したのは不思議ですね。これからもよろしくおねがいします。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。現在第13話を執筆中です。今日中にアップできるようにがんばります。もうしばらくお待ちください。
...2005/01/14(Fri) 22:36 ID:Vxs0wUnU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

      第13話  ボウズの想い 
普通列車に乗り換えた朔と亜紀は2ヶ月ぶりにボウズと再会した。
ボウズ「朔、廣瀬。久しぶり。デートの帰りか?」
朔  「学校の帰りだよ。亜紀は学校見学だけど。」
亜紀 「中川君、久しぶり。あ、ボウズでよかったんだよね。」
ボウズ「ああ、ボウズでいいよ。廣瀬は体の具合、大丈夫なのか?」
亜紀 「うん!まだ通院は必要だけど、もうすっかり元気になったよ。ボウズの祈りが効いたのかも。」
ボウズ「それを聞いて安心した。健康が一番だからな。」
 そういえば、ボウズは宮浦にいる日は毎日朝早くからお寺でお経をあげている。以前は亜紀の病気の克服をほとんど毎日お祈りしていた。今では朔と亜紀が幸せになれるように祈っている。5年前・・・自分が思いを寄せていた亜紀が朔と付き合い始めた時、とても辛いと思った。なぜ自分ではなくて朔なんだとも思った。だが・・・朔といっしょにいる時の亜紀の笑顔、そして幸せそうな様子を見たとき・・・。これでよかったのだと思うようになった。あの時の自分では亜紀のあの笑顔を生み出すことはできなかったと思う。だからこそ朔と亜紀の幸せを祈るボウズであった。
朔  「そういえば、ボウズはどこかに行ってたの?」
ボウズ「ああ、修行の一環で九州まで行った帰り。」
亜紀 「九州かー。いいなあ。私一度でいいから行って見たいな。」
ボウズ「九州はいいところだったぜ。一度2人で行ってみろよ。」
朔  「ああ。俺も行ってみたい。」
亜紀 「入試が終わったら行ってみようかな。」
ボウズ「それなら、廣瀬が入試に合格するように今夜から神様に祈っておくぜ。」
朔  「いつもありがとうな。ボウズ。」
亜紀 「本当に、ありがとう。入院中からずっとだもんね。高校の時から優しい人だと思っていたけど、今もかわらないね。ボウズに彼女ができたら、その娘、絶対に幸せになれると思うよ。もちろんボウズもね。」
ボウズ「でも、その日はいつくるのやら・・・。」
ボウズはやや意気消沈な様子。だが・・・
亜紀 「いつかステキな彼女ができるよ。絶対に。だってすごく立派になったし、何て言うのかな。優しい雰囲気と温かい雰囲気が伝わってくるよ。ねえ、朔ちゃん。」
朔  「ああ、ボウズのよさは一緒にいればいるほどよく分かるからな。」
朔と亜紀にそう言われて今度は少し照れているボウズ。
 列車はいつのまにか夜の市街地を抜けて海岸線に沿って走っていた。開けてある窓からやさしい風が入ってくる。そして、列車の窓から漏れた明かりは打ち寄せる波をかすかに照らし出していた。
ボウズ「廣瀬。これ、誕生日プレゼント。本当は家に届ける予定だったけど偶然会えたから今のうちに渡しとく。」
ボウズが亜紀に渡したものは九州の大宰府天満宮(福岡県)のお守りであった。そこには学業祈願と書かれている。
ボウズ「大宰府は学問の神様である菅原道真の第二の故郷だから効果抜群だぞ。」
亜紀 「ボウズも覚えていてくれたんだね。ありがとう。私・・・幸せ者だね。」
誕生日を覚えていてくれたこと、そしてこのプレゼントに亜紀はとても嬉しそうだった。
しばらくして車内アナウンスが流れはじめた。
「まもなく宮浦、宮浦です。お忘れ物のないようにご注意ください。」
そして列車は宮浦駅のホームに停車した。ここで朔たち三人は列車を降り、改札口を出た。
ボウズ「朔、ちゃんと廣瀬を家まで送ってやれよ。俺は先に行くから。また会おう。」
そう言うとボウズは暗闇の中へ駆け出した。朔と亜紀が2人だけの時間を確保してほしかったからだ。途中で走るのを一旦やめて振り向くと・・・
ボウズ「お前達の幸せをいつも祈ってるからなー。」
やや大きな声でそういうとボウズは夏の夜の闇の中へと走って行った。
朔は誰にも聞こえない声で「ボウズ、ありがとう。」とつぶやいていた。
亜紀 「帰ろっか。朔ちゃん。」
朔  「ああ。」
だが少し歩いた時、背後から真の声が聞こえてきた。
真  「おかえり。」
真の声に振り向く2人。
亜紀 「あ、お父さん。ただいま。今日はとてもいい一日だった。ありがとう。」
朔  「あの・・・、こんばんは。」
真  「こんばんは。今日も疲れたろう、さあ車に乗りなさい。」
朔と亜紀が真の車に乗り込むと、車は夜の道を朔の家に向かって走りはじめた。


        続く  
...2005/01/14(Fri) 23:40 ID:Vxs0wUnU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
朔はちゃんと真に挨拶出来ましたね。もう「挨拶しなさい」と怒られずにすみますね(笑)
...2005/01/14(Fri) 23:49 ID:j2qYQV86    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
ボウズは「男の中の男」という感じですね。
それにしても、ボウズの彼女を具体的に描写したストーリーはなかなか出ませんね(笑)
...2005/01/15(Sat) 00:46 ID:KVUsmmh.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:hiro
DVDをみるたび、ボウズには男惚れしてしまいます。長く付き合うほど良さがわかる人物ですね。

ボウズの彼女ですが、黒沢千尋さんや池田久美さんは候補に挙がらないでしょうか?(笑)
彼女たちも病気と戦う亜紀と支えるサクをみて、イジワルキャラから応援する側に変わっていったと思いますし、亜紀を意識する分(サクと付き合っていると気付くのも早かったですし)、ボウズや智世のことも気にするようになっていたと思うので、あり得ない話ではないなぁ・・・と思います。
...2005/01/15(Sat) 01:13 ID:2gtMLxNs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
SATO様へ
おはようございます。グーテンベルクです。朔が真にちゃんと挨拶する。ここは今回のポイントの一つです。朔が医学部に行き始めて約3年間半、実験、実習等で遅くなった時は真が車で迎えに来たりしておりました。いつから挨拶するようになったかも含めて特別編で挙げる予定です。今回も読んでいただきましてありがとうございます。お互いに執筆頑張って行きましょう。

 朔五郎様へ
おはようございます。グーテンベルクです。今回はボウズが中心の物語にしました。ボウズはドラマでもいい味出しておりましたね。朔五郎様のおっしゃるとおりまさに男の中の男的存在です。そして・・・ボウズの彼女についてですが、ふさわしい人物を探している段階ですが、登場する場を含めて決まり次第アップいたします。これからの展開を楽しみにしていただけましたら幸いです。執筆者同士お互いに頑張っていきましょう。

 hiro様へ
おはようございます。はじめまして。グーテンベルクです。ボウズの彼女については高校時代のクラスメートを含めましてどういった人にするか現在色々と考えております。(実を申しますと、白血病克服編の途中からずっと考えております。)もう少し先でアップする予定ですので、その時を楽しみにしていただけましたら幸いです。これからもよろしくお願いします。
...2005/01/15(Sat) 10:42 ID:Z1rXlaBQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。13話にボウズが登場しましたね。結構よかったです。PS ボウズが九州に行ったと聞いて、2人とも行きたいと言っていました。そこで、僕のオススメは2人で、福岡ドームに行って、ダイエー戦(ソフトバンク戦)見てもいいなと、思いました。
...2005/01/15(Sat) 20:59 ID:0Kj2zKts    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

ボウズの誕生日P、お坊さんらしいですね。^^;
...2005/01/16(Sun) 10:11 ID:Vaq.LYfg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。ダイエー戦(ソフトバンク戦)、いいですね。実は私、グーテンベルクは福岡に住んでいます。以前はダイエーファンでした(笑) 野球観戦ってのもいいですね。どこかでアップしようかなと思っております。ネタの提供をありがとうございます。
 
 Netta様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。今回ボウズが亜紀に渡したお守りには、亜紀の夢が実現するようにとのボウズの願いが込められています。その御利益も含めまして今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
皆様、こんばんは。グーテンベルクです。現在14話を執筆中ですが、断続的にやってくる雷雲に妨害されております。(2度ほど落雷による停電で執筆を中断させられました。)アップが遅れる可能性もありますがその際はご了承ください。なお明日は宿直勤務のため執筆活動をお休みいたします。ご了承願います。
...2005/01/16(Sun) 20:49 ID:wzXzsl4s    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
ゲッツです。グーテンベルクさんへ、僕は秋田県の大館市に住んでいます。プロ野球では、巨人と西武ファンです。今回の13話で、九州がでてきたので、ダイエー(ソフトバンク)が思い浮かんだので、書き込みました。
...2005/01/16(Sun) 21:41 ID:QIGbipYQ <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

    第14話  サクの家では・・・@

 朔と亜紀を乗せた真の車は朔の家の前に停まった。
真  「さあ、着いたぞ。今日もよくがんばったな。朔君。」
朔  「いえ、お父さんやお母さんと亜紀のおかげです。本当に、ありがとうございます。」
亜紀 「朔ちゃん。今日はありがとう。また会おうね。」
亜紀は車から降りた朔にそう言った 。ところが・・・・
真  「亜紀。お前も降りるんだ。今夜は朔君のご両親がお前を晩飯に招待してくれているんだ。それから花嫁修業もしてきなさい。荷物は置いてあるから。」
突然の展開に驚く朔と亜紀。でも亜紀はすぐに笑顔に変わった。
亜紀 「え?本当?朔ちゃんとご飯食べれるんだ。やった!」
真  「朔君、亜紀をよろしく頼むぞ。くわしい話はご両親から聞いてくれ。」
真は笑顔で朔にそう言った。そして亜紀が車を降りると真は車とともに走り去って行った。
朔  「行こうか。」
亜紀 「うん!」
朔と亜紀は一緒に松本家の玄関へと向かった。亜紀が朔の家に来るのはまだ2回目であった。5年近く前、入院中に外出許可が出た日にやってきて以来であった。
また、ここに来ることが出来たことを幸せに思う亜紀であった。
朔  「ただいま。」
亜紀 「おじゃまします。」
最初に2人を迎えたのは朔の妹、芙美子だった。
芙美子「あ、お兄ちゃんお帰り。亜紀姉ちゃんもいらっしゃい。お母さーん!お兄ちゃんたち帰って来たよー!」
それからすぐに両親がやってきった。
富子 「亜紀ちゃん。いらっしゃい。久しぶりじゃないか。しばらくゆっくりしてくんだよ。」
潤一郎「いらっしゃい。亜紀ちゃん。晩御飯できてるから。ゆっくりしていって。」
こうして亜紀は松本家の夕食に呼ばれることになった。
食卓にて・・・
久しぶりにみんながそろっての夕食になった。それに今日は亜紀もいる。みんなとても幸せそうだ。
富子 「亜紀ちゃんが元気になって本当に嬉しいよ。さあ、どんどん食べるんだよ。」
亜紀 「ありがとうございます。私もまたみんなと夕ご飯食べられてとてもうれしいです。」
富子 「だから言ったろう。絶対に助かるって。あんたは亜紀といういい名前もらってんだからね。絶対に幸せになれるよ。」
富子は笑顔で亜紀にそう言った。
およそ5年前、亜紀はこの場で朔の両親と朔の妹を前に自分が白血病だと克服したことがあった。その時も朔の母、富子はありのままを真正面から受け止めてくれた。
その時から変わらない富子の優しささを感じる亜紀だった。
潤一郎「そうそう、亜紀ちゃん。今日亜紀ちゃんのご両親といろいろ相談したんだけど、今日から日曜日まで、家で過ごしてみないかい。」
亜紀も、そして朔も驚いた様子で潤一郎を見た。
亜紀 「え???」
富子 「せっかくだからうちでゆっくりすごしなよ。これはあんたのご両親からの誕生日プレゼントなんだからね。ついでに朔に数学でも理科でも教わるといいよ。あ、そうそう。お父さんからあずかったあんたの荷物は向こうの部屋に置いてあるからね。」
 
 以前、亜紀の骨髄移植が決まり辛い前準備が始まったころ、亜紀は綾子に自分の夢について話したことがあった。「朔の家で朝ごはんを食べたい。」 大量の抗がん剤で酷く衰弱した亜紀が伝えた自分の夢。それを聞いて以来、綾子は真と相談し、亜紀が元気になったら早速その夢を叶えてあげたいと思っていたのだった。そして、朔の両親にお願いしたところ、快く了承してくれたのだった。もちろん朔の両親にしても亜紀が来ることはとてもうれしいことであったので大歓迎だった。

 食事が終わった後、亜紀は風呂に入った。よその風呂に入るのは初めてであったが湯加減もなかなかよく、さっぱりした気分で風呂をあがった。
そして、風呂をあがった亜紀は朔の部屋にやってきた。

           続く
...2005/01/16(Sun) 22:25 ID:wzXzsl4s    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
グーテンベルクさん、
福岡にお住まいの方でしたか
私は旅行で九州を訪れて以来、お気に入りの土地になりました。中でも唐津がお気に入りです。博多から地下鉄の直通電車に乗って唐津へ向かうと、いつの間にか地上に出て、いつの間にか単線区間になって青い海が見えてくるんです。その風景が素朴で大のお気に入りです。そんなことから野球は九州に移ってからホークスを応援しております。福岡ドームでホークス戦を観るためにわざわざ唐津に宿をとってそこから電車で福岡まで出かけるようになりました。窓を開けると「玄界灘の潮風」が入ってきますよ。

城島〜行かないで〜(泣)
...2005/01/16(Sun) 22:30 ID:yOPoYdzE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
えっグーテンベルクさんは福岡・・・私も福岡ですよ〜。
...2005/01/16(Sun) 23:17 ID:/vhF05tA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 SATO様
 玄界灘の潮風にわざわざ「」をお付けになったのは,ひょっとして,以下「鍛えし翼たくましく,疾風のごとく・・・」と続くホークスの球団歌を意識されてのことでしょうか。系列のスーパーやコンビニでしょっちゅう流しているので,いつの間にか覚えてしまいました。
 ただ,私やもっと前の世代は,ホークスといえば名将鶴岡(旧姓山本・広島商業OB)率いる南海のイメージが強いですね。むしろ,九州・福岡といえば,智将・三原率いる西鉄ですね。
 ちなみに,1960年代,西鉄は福岡と小倉に本拠地を置き,大洋(松竹ロビンスと合併した頃)も川崎の他に下関を本拠地にしていたため,当時,下関に住んでいた私(まだ未就学児童でしたが)は,よく見に行ったものでした。関門トンネルを歩いてくぐって,門司港から路面電車でなんて,遠い昔の思い出です。
...2005/01/17(Mon) 00:01 ID:kolKlces    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

執筆活動、お疲れ様です。
ドラマの7話での亜紀の夢、かなえられそうですね。
読んでいてこちらまで嬉しくなってしまいました。
でも、たー坊さんの物語ではありませんが、朔ちゃんこちらでももう一人の自分との戦いを強いられてしまうのかな? ちょっと心配です。(笑)

グーテンベルク様、福岡の方でしたか。
私大阪よりも西(南?)へは行ったことが無いのですが、良いところのようですね。
うえやまとちさん、ご存知ですか?
『クッキングパパ』全巻読みました。 家の娘たちもファンなんですよ。
...2005/01/17(Mon) 00:09 ID:rCKi/dRo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
にわかマニアさま
図星ですよ(笑)
球団のオーナーがソフトバンクに変わりましたが、応援歌は歌詞の一部が手直しされるものの、今までと同じと考えていいそうです。
ラッキーセブンの時にあの応援歌を歌って風船を飛ばすのはホークスファンにとって至福の時なんですよ。
...2005/01/17(Mon) 00:14 ID:LjQk63n.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 今晩は。13・14話読ませていただきました。13話のボウズとても格好良かったです。高校時代から比べると自信にあふれている感じがしますね。ボウズの彼女になる人はどんな人になるのか楽しみです。14話の話は、亜紀が朔の家族との食卓のシーンですが、このシーンはドラマの7話のシーンと似てるように思いますが、食卓の雰囲気が全然ちがいますね。ドラマの時は亜紀が一時退院して、白血病を告白したシーンですが、今回は、白血病を克服しての食卓のシーンで、正に天国と地獄くらいの差がありますね。それにしても亜紀の両親なかなか意気な計らいをしますね。亜紀を数日間泊めるように朔の両親に頼むなんて、なかなか出来ないですよ。長くなりましたが、次回からの朔の家での亜紀の生活どんな展開になるか楽しみにしていますので、風邪に気をつけて執筆活動頑張って下さい
...2005/01/17(Mon) 03:24 ID:8fSohxos    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
>ちゃんと挨拶出来ましたね。もう「挨拶しなさい」と怒られずにすみますね(笑)

 人間はいつが成長し,卒業するものだとは判っていても,定番のあのセリフが聞けなくなるのは,一抹の寂しさも感じますね。
...2005/01/17(Mon) 08:41 ID:zP.GP1kg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 2つのアナザー・ワールド。アジサイの丘,一緒の朝食など,本編で果たされないままに終わった約束をひとつひとつ実現していくところがいいですね。
...2005/01/17(Mon) 08:42 ID:zP.GP1kg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルクさま

いよいよ、花嫁修業が始まるのでしょうか?また洗濯物のことでケンカとかするのでしょうか?楽しみにしております。
...2005/01/17(Mon) 21:22 ID:2yXcghhM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 洗濯物のたたみ方もですが,イモの皮の剥き方もでしょう。くれぐれも,強制終了されないように・・・
...2005/01/17(Mon) 21:32 ID:kolKlces    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。14話の1番読みました。みんな、幸せそうでしたね。
...2005/01/17(Mon) 23:08 ID:VYBpqErw <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
こんにちは。グーテンベルクです。宿直明けで帰宅してみると、たくさんのメッセージにとてもびっくりしました。みなさんありがとうございます。

 ゲッツ様へ。
秋田県の方だったのですね。秋田に行ったことのある友人が秋田県は自然が豊かでとてもいい所と言っておりました。機会があればぜひ行って見たいです!さて、物語の方はしばらく松本家の場面となります。今後の展開を楽しみにしていただけましたら幸いです。

 SATO様へ
私は唐津へは二回ほど行きました。電車からの景色は最高ですね。今でもはっきりと覚えておりますよ。私もあの海沿いの景色が好きです。あと好きな景色は田園と青空、そして筑紫山地のやまなみのコントラストです。福岡に住んでいてよかったと思います。

 すばる様へ
すばる様も福岡なんですね。ということは、顔も名前も知らないけど、どこかですれ違ったりとかある(あるいは過去にあった。)のかも知れませんね(嬉)

 北のおじさん様へ
いよいよ松本家で朔と亜紀は一緒に過ごす時が来ました。亜紀の夢である朔の家での朝食もいよいよ間近?今後を楽しみにしていただけましたら幸いです。うえやまとちさんは福岡市出身の方ですね。クッキングパパは少しだけですが読んだことがあります。今度最初から読んでみようと思います。

 けん様へ
私がドラマの第七話の松本家の食卓シーンを見たとき、もし亜紀が白血病じゃなかったらどんなに幸せだったのだろうと思っておりました。ここにきてその幸せに触れることができて本当に嬉しいです。そして朔と亜紀の交際から家族ぐるみの付き合いになる過程については特別編であげようかなと思っております。今後も楽しみにしていただいてありがとうございます。

 にわかマニア様へ
今回は真の「人に会ったら挨拶しなさい」というセリフは聞けませんでしたね。基本的に挨拶ができるようになった朔ですが、今後昔の癖がつい出てしまうようなシーンも考えております。その時の真の反応はやっぱり・・・今後を楽しみにしていただけましたら幸いです。そして、朔と亜紀はもう遠くなりつつある夏の日の約束をこれから実現していく予定です。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 朔五郎様へ
洗濯物のシーンは私のお気に入りのシーンの一つでもあります。亜紀が拗ねた様子をみせると朔が焦りだす。やはり朔は亜紀にかないませんね(笑)。今回花嫁修業ということで洗濯物と料理のシーンも執筆する予定です。どのような展開になるか楽しみにしていただけましたら幸いです。

 皆様、たくさんのメッセージを書いていただきまして本当にありがとうございます。今後の執筆の励みになります。そして今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2005/01/18(Tue) 20:43 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。現在第十五話を執筆中ですが、本日中のアップが難しくなりましたので明日に延期いたします。ご了承ください。
...2005/01/18(Tue) 22:26 ID:JRckhldo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

明日、楽しみに待っています。あと、夏休みの全員集合するところが楽しみです〜。
...2005/01/19(Wed) 17:04 ID:AEpToRgg    

             Re:アナザー・ストーリー  Name:亜紀LOVE
楽しみにしてます
...2005/01/19(Wed) 22:17 ID:srQHKkj2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは 編)

    第15話  サクの家では・・・A
 亜紀が朔の部屋にやって来たとき、朔は机に座って本を読んでいた。
亜紀 「朔ちゃん。何の読んでるの?」
朔  「ああ、これ?医学の本だよ。明日の予習。」
亜紀 「あ、ごめんね。邪魔しちゃったね。」
亜紀はそう言うと朔の勉強の邪魔にならないように部屋から出ようとした。すると・・・
朔  「いいよ。予習は昨日のうちにほとんどやったし。」
朔は本を棚に置くと椅子から腰をあげて亜紀に微笑みかけた。
亜紀 「よかった。邪魔にならなくて。フフッ。」
亜紀は朔の部屋を見回してみると、たくさんの医学書や専門書が並べられていた。
亜紀 「ねえ、もしかしてここにある医学書、全部読んだの?」
朔  「うん。医者は人の命を預かる仕事だから、勉強もおろそかにできないからな。」
亜紀 「朔ちゃん、本当に努力家だよね。私も見習わないとな。」
朔  「でも、無理はしないで。無理ばかりしてると取り返しのつかないことになるかもしれないし。」
亜紀は負けず嫌いなところがあるため、すぐに無理をしてしまう。亜紀が無理をしすぎないように、そして無理をしようとした時はブレーキをかけてやろうと思う朔だった。
亜紀 「うん。あんまり無理しないようにするよ。」
それを聞いて安心する朔。亜紀が床に座ると、朔も亜紀の近くに座った。
亜紀 「朔ちゃん。私ね、今すごく幸せだよ。朔ちゃんがいて私もいる。それにお互いに親も元気だし。もちろん芙美子ちゃんもね。当たり前のことが実は幸せなことなんだってよくわかったんだ。」
朔  「俺も思うよ。亜紀が病気で倒れてから当たり前ということがいかに大切で幸せなことかよくわかった。」
2人は肩を寄せ合うように距離を詰めた。肩と肩が触れ合う。
亜紀 「朔ちゃん。私・・・もう、大丈夫なんだよね。朔ちゃんと一緒にいれるんだよね。」
亜紀は少し不安な様子を見せた。白血病が亜紀に与えた心のダメージはまだ完全に癒えていないのだろう。それに・・・体が受けたダメージも完全に治るまでにはまだまだ時間がかかるであろう。
でも・・・
朔  「絶対に、大丈夫だよ。万が一亜紀が病気にかかったりしたら俺が守ってみせるよ。だから、心配しないで。ずっと一緒だよ。」
亜紀は朔の肩によりかかった。すると不思議なことに先ほどの不安もすぐに消えていった。そして朔は亜紀の背中をやさしくさすった。
亜紀 「朔ちゃん。ありがとう。ずっと私の側にいてね。」

 2人はしばらく肩を寄せ合っていた。
朔  「亜紀、もう遅いからそろそろ眠らないと、お父さんとの約束だよね。」
時計を見るともうすぐ夜中の十二時になろうとしていた。実は真は亜記が今度大学受験するにあたって、無理をして体を壊さないように夜中の十二時には寝るように指示をした。そしてそれを亜紀が大学を受験するための条件としたのだった。
亜紀 「朔ちゃん。一緒に眠ってもいいかな。」
こうして2人は一緒に眠ることにした。
2人分の布団を敷くと朔と亜紀はそれぞれ布団に横になった。
夏の夜のやさしい風が窓からはいってくる。
朔  「亜紀、朝は少し冷えるからタオルケット、ちゃんとかけておかないと風邪ひくよ。」
朔はそう言うと亜紀にタオルケットを掛けてあげた。
亜紀 「うん。ありがとう。」
電気を消すと窓の外の星が綺麗にみえた。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん・・・。手・・・握って。」
朔と亜紀の手は布団と布団の間の溝のあたりでつながった。
それだけでよかった・・・。朔は亜紀の温もりを、そして亜紀は朔の温もりを感じながら眠りについた。
1992年7月2日。亜紀の22回目の誕生日はこうして過ぎていった。

        続く
...2005/01/19(Wed) 22:52 ID:yey.tm.k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ
こんばんは。グーテンベルクです。第十五話が完成いたしました。夏休み編も徐々に近づいておりますのでそちらも含めて今後を楽しみにしていただけましたら幸いです。

 亜紀LOVE様へ
こんばんは。はじめまして。グーテンベルクです。アナザー・ワールドを楽しみにしていただきましてありがとうございます。朔の家にてシリーズはまだまだ続きます。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。これからもよろしくお願いします。
...2005/01/19(Wed) 23:00 ID:yey.tm.k    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。15話読みました。朔と亜紀、幸せそうな感じがしました。
...2005/01/19(Wed) 23:24 ID:azoA2sQ. <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルク様
もう二度と帰らない青春の日々を思い出しながら読んでいるオヤジです。
もちろん朔と亜紀には比べようもないですが、あの頃は楽しかったなあ、と懐かしく思い出しながら(笑)
...2005/01/20(Thu) 03:47 ID:juX.pDTM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。亜紀はこれから3日間にわたって朔の家ですごします。朔と亜紀が幸せを感じられるようなネタを考えておきますので今後を楽しみにしていてください。

 朔五郎様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきまして本当にありがとうございます。現在私は20代半ばですが、15歳を過ぎたあたりから時が流れるスピードが早く感じられるようになりました。あっという間に過ぎ去った時間ですが、その十年間の間にいろいろな思い出ができたのも事実です。そして、アナザー・ワールドを執筆している事も、いつかは思い出になってしまう時が来ると思うと・・・少し寂しい気持ちになってしまいました。
でも、その時が来るまでは精一杯頑張るつもりです。今後もアナザー・ワールドをよろしくおねがいします。
...2005/01/20(Thu) 21:39 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。たー坊です。
2人きりの空間での描写、うーん、さわやかですね。私の東京での部屋も考えた末にああいう事にしましたが、グーテンベルク様のようにしても良かったかなと思います。

あと少しすると、私も宮浦が舞台になる予定です。
お互い頑張っていきましょう。
...2005/01/20(Thu) 21:47 ID:U1aVrY46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。アナザーストーリーでの朔と亜紀の空間、とてもよかったですよ。
お互いにいい作品になるように頑張っていきましょう。

 
...2005/01/20(Thu) 23:07 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。現在第十六話を執筆中です。アップの予定は今日でしたが今日中の完成が難しくなりましたので明日に延期いたします。ご了承ねがいます。

 おまけのコーナーです。
亜紀の家にて・・・
亜紀「朔ちゃん。勝負!!」
朔が振り返ると亜紀が机の上でオセロの盤を出していた。
朔 「お、おう。」
朔と亜紀によるオセロゲームがはじまった。
10分後・・・
朔 「まいった。」
亜紀「朔ちゃん、弱すぎ。」
朔 「今度こそ勝てると思ったのに・・。」
亜紀「十年早いぞよ。私が勝ったからサイクリングに連れて行って。」
朔 「ああ。」
夏の日差しの中、朔は亜紀を自転車の後部座席に乗せて走りだした。

          おわり
...2005/01/21(Fri) 22:58 ID:hoz7O3nI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
グーテンベルクさんが唐津の話やホークスの話をしていらっしゃったので、「おや、福岡の方?」と思いきや・・・ちなみに私は筑後地区におります。

つい先日、お昼の「思いっきりテレビ」で、松崎町が紹介されました。このBBSの中にもご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。内容はセカチューとは関係ありませんが、あのアジサイの丘からの松崎町の全景が映し出されていました。町並みに見覚えある場所が映った時は、もう頭の中はセカチューモード。

そして今日スケートをしに行ったのですが、「かたちあるもの」がスピーカーから流れてきた瞬間、ただちに滑るのをやめてじっと聴き入っていました。セカ中毒?

いや、きっと皆さんもそうなるでしょう!
...2005/01/22(Sat) 21:03 ID:Pi7SbK6Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは・・・編)
             
       第16話 朔の家ではB

 1992年7月3日金曜日。亜紀は朔の部屋で目を覚ました。だが、隣に朔の姿は
なかった。時計を見ると6時過ぎになっていた。朔はもう学校に行った後のようだ。
亜紀 「朔ちゃん、一緒に朝ごはん食べたかったな・・・。」
今朝は残念ながら朔との朝食はおあずけになってしまった。
 食卓にて・・・
富子 「亜紀ちゃん。おいしいかい?どんどん食べるんだよ。」
亜紀 「はい。」
富子 「芙美子。それおいしいから食べな。」
芙美子「食べたいけど、これカロリー高いんだもん。太っちゃうよ。」
富子 「そんなこと気にすんじゃないよ。通学で自転車こいでんだからその程度のカロリーあっという間に消費するだろ。」
富子と芙美子の言葉のやりとりに亜紀は微笑んでいた。こんなににぎやかな朝食は亜紀にとって初めてだった。
潤一郎「亜紀ちゃん。やかましくてごめんな。うちはいつも朝から大嵐だからね。」
亜紀 「いえ、とっても暖かい食卓だと思いますよ。」
松本家の食卓・・・それは家族の愛情を感じる暖かい食事となった。
 
 食後、芙美子は高校へ、潤一郎は写真館へと向かった。そして・・・
富子 「後片付け手伝ってくれてありがとうね。亜紀ちゃん、家事は好きなのかい?」
亜紀 「好きですよ。ただ、包丁の使い方がどうしても苦手なんです。夢島のキャンプで私がジャガイモの皮むきしようとしたら全然うまくいかなくて・・・。朔ちゃんに止められちゃいました。」
5年前の記憶を思い出しながら話す亜紀。あの時はジャガイモの皮をむくというより、切り落とすといった方が正しいだろう。
富子 「あっはっはっは。実は私も昔皮むきが苦手でね。そう、たしか私が主人と付き合い始めたころだったかねぇ。皮むきしている時強制終了されたよ。普段はおとなしくてボーっとしてるけど、そういう時はしっかりリードしてくれるからねぇ。」
昔を懐かしむ富子。皮むきの話がいつのまにやら潤一郎の話になっていた。一方亜紀は朔の優しさは潤一郎譲りだということが分かった。
富子 「ごめんよ。皮むきの話だったね。ジャガイモはデコボコしてるから最初はリンゴで練習するといいよ。」
だが・・・今は夏だからリンゴはあまりない。仕方なくできるだけデコボコのないジャガイモで練習を始めた。

 夕方前・・・
芙美子「ただいまー。あー暑い暑い。お母さん。何か食べるものない?お腹減ったよ。」
帰ってくるなり靴下を脱ぎ扇風機の前でくつろぐ芙美子
亜紀 「芙美子ちゃん。おかえり。おやつ出来てるよ。」
芙美子「あ、亜紀姉ちゃん。はずかしいとこ見られちゃったね。」
亜紀 「いいのいいの。人間、ありのままが一番だよ。フフフッ。」
芙美子「おやつってこれ?やったー。ちょうど食べたかったんだ。」
テーブルの上にはたくさんの皮付きフライドポテトがあった。実は・・・皮むき練習の産物であった。さすがに今日の練習だけではきれいに皮をむくことはできなかった。
仲良くフライドポテトをつまむ亜紀と芙美子。さらには富子も一緒にポテトをつまむ。
 いつのまにか外からはヒグラシの声が聞こえていた。もうすぐ・・・夜がくる。
夜八時、潤一郎と朔が一緒に帰ってきた。
潤一郎「ただいま。途中で朔と一緒になってね、自転車で帰ってきた。」
朔  「ただいま。」
亜紀 「おかえり。朔ちゃん。おじさん。晩ご飯できてるよ。」
 今夜も食卓に家族全員が集まることができた。コロッケ、フライドポテト、ポテトサラダ、スイートポテトなど、テーブルの上にあるたくさんのポテト料理は亜紀の皮むき練習の副産物であった。そして調理は亜紀、富子、芙美子の三人で協力しながらおこなったのだった。
今夜もにぎやかな食事になりそうである。
そして・・・明日は土曜日で朔は学校が休みだ。朔との朝ごはんという亜紀の夢も叶いそうである・・・。

             つづく
...2005/01/22(Sat) 22:07 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 すばる様へ
こんばんは。グーテンベルクです。私は福岡地区ですが、筑後地区にでかけることもありますよ。筑後平野と青空のコントラストが大好きです。アナザー・ワールドの2人にも見せてあげたいです(笑)
 かたちあるもののBGMで聞き入ってしまうのは私も同じですよ!
 今夜もメッセージをありがとうございます。
...2005/01/22(Sat) 22:16 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。16話読みました。ちょっと笑えるところがあってよかったです。これからも頑張ってください。
...2005/01/22(Sat) 22:19 ID:alxKlZDc <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。さっそく読んでいただきましてありがとうございます。つづき頑張りますのでこれからもぜひ読んでください。

 読者の皆様へ
読者の皆様、こんばんは。グーテンベルクです。アナザー・ワールドをいつも読んでいただきましてありがとうございます。明日は宿直勤務のため、執筆活動をお休みします。ご了承ねがいます。
...2005/01/22(Sat) 22:55 ID:xSiHuTVM    

             Re: アナザー・ワールド  Name:九州男児
はじめまして
このサイトを最近知り、いろいろ他の物語も読ませていただきました。
けど、私はグーテンベルクさんのこの物語が、一番はまってしまいました。
一晩で一気に読んでしまいました
続編が楽しみでたまりません。
寒い時期ですので、健康には十分留意され、頑張ってください。
...2005/01/25(Tue) 18:51 ID:rFdJli6U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
16話は、まるでホームドラマみたいな雰囲気でとても好きです。亜紀や周囲の人々にとってはこの当たり前のことが大きな幸せなんですね。

※1992年は野球ファンにとっては阪神タイガースがあと一歩のところで優勝を逃した年として記憶に残る年です。松本家の人たちは野球には興味あるのでしょうか?静岡(だと思います)にはフランチャイズにするチームはないし野球中継は巨人戦ばかりでしょうからそんなに熱心ではないかな?
ちなみにこの年は福岡の野球ファンにとっては平和台球場のラストイヤーとして記憶に残る年でもあります。最後の公式戦は新人・若田部投手が野茂投手に投げ勝って完封勝ちしたと記憶しています。(二人とも懐かしい名前ですね)
私は平和台球場で野球を観ることは残念ながらありませんでした。(試合のない日に行ったことはありますが)
...2005/01/25(Tue) 19:46 ID:7.BohKBo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 九州男児様へ
こんばんは。初めまして。グーテンベルクです。アナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。そして私なんかにはもったいないくらいのお褒め言葉に感謝しております。今後も頑張って執筆いたしますので、これからもどうかよろしくお願いいたします。
九州男児様も風邪などひかないようにご注意ください。

 SATO様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。ドラマでは亜紀が松本家に来たのは一回だけでしたので、アナザー・ワールドでは松本家での幸せな様子を書かせていただくことにいたしました。気に入っていただけてとても嬉しいです。
 松本家は野球を見ているのかどうかはドラマからはわかりませんでしたが、もしかしたら潤一郎がビールを飲みながらナイター中継を見たりしているかもしれませんね。
 ちなみに私は確か小学校2年生の夏、父に平和台球場に連れて行ってもらいました。(西部対ロッテ戦でした。)それから時が流れて平和台球場はその役目を終えましたが今でもはっきりと記憶に残っております。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。間もなく第17話が完成いたしますので、もうしばらくお待ちください。
...2005/01/25(Tue) 21:45 ID:1FBoYe1.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
       (幸せとは・・・編)

第17話 朔と亜紀 〜松本家の食卓にて〜

 翌日・・・
亜紀 「朔ちゃん。朔ちゃん。朝だよ。朔ちゃん!」
朔  「うーん。もう少し・・・・。」
亜紀 「朔!!」
亜紀が大きな声で呼ぶと朔はあわてて飛び起きた。
朔  「あ、おはよう、亜紀。」
亜紀 「おはよ。朔ちゃん。もう朝ごはんできてるよ。行こ!!」
朔  「ワッ!亜紀。少し待ってくれよ!」
朔は亜紀に手を引っ張られてリビングへと向かった。朔は亜紀に完全にリードされている。亜紀にとっては長年待ち続けていた夢の一つが実現しようとしているのだからこうなるのも無理はない。
 
 食卓にて・・・
富子 「亜紀ちゃん。ここの朝ごはん、そんなにおいしいかい?」
亜紀は今朝も嬉しそうにごはんを食べている。隣には朔がいるため昨日よりもさらに嬉しそうだ・・・。
亜紀 「はい。とってもおいしいですよ。それに家族みんなが明るくって、幸せそうで、私は松本家の食事が大好きです。」
富子 「亜紀ちゃんに気に入ってもらえてよかったよ。」
亜紀 「あ、朔ちゃん。口にケチャップついてるよ。」
朔  「あ、いけね。」
朔が口を拭こうとした時、それより早く亜紀の手が伸びてきた。そしてティッシュペーパーで朔の口の周りに付いたケチャップをやさしくふき取った。
朔  「あ、ありがとう。」
突然の亜紀の行動に朔は少し顔を赤くして照れている。
亜紀 「フフフッ。」
芙美子「お兄ちゃんも、亜紀姉ちゃんも仲いいよね。このまま結婚しちゃえばいいのに。」
芙美子の思わぬ発言に顔を真っ赤にする2人。さらに芙美子がつっこむ。
芙美子「本当は今すぐ結婚したいんでしょ。ガム太郎お兄ちゃん!」
朔  「そ、そんなことねえよ!」
照れくささからついつい思ってもいないことを口にした朔、そして・・・
亜紀 「そうなんだ。私と結婚したくないんだ。」
亜紀は朔が照れくささからついつい思ってもいないことを口にしたことは理解していたが、思わずからかってみたくなったのだ。わざと拗ねた振りをしてみたのだ。
朔  「い、いや。そうじゃないんだ。」
亜紀の予想通り焦りだす朔。
亜紀 「そうじゃなければどうなの?朔ちゃん。」
朔は蚊の鳴くような小さな声で顔を真っ赤にしながら「け、結婚したいよ。」と言った。
亜紀 「人間は素直が一番だよ。フフフッ」
すっかり亜紀の尻に敷かれている朔。
潤一郎「朔よ。女の人は強いんだぞ。俺も大変だったんだから。」
湯呑みを取りに行った富子に聞こえないように朔に小声で話す潤一郎。だが・・・
富子 「今、何て言ったんだい。あんた。」
潤一郎「いや、何も。」
尻に敷かれているのは朔だけではないようだ。もっとも朔も潤一郎もそれで幸せなのだが・・・。
 
 食後、朔の部屋にて・・・
亜紀 「朔ちゃん、覚えてるかな。前に朔ちゃんの家に来た日、海岸で話した私の夢。」
朔  「うん。俺の家で朝ごはん食べたいってやつだよね。」
亜紀 「うん。実は一昨日帰りの列車で眠ってしまった時、朔ちゃんの家の朝食の夢を見たの。こんなに早く正夢になると思わなくって・・・。」
朔  「亜紀・・・。」
亜紀 「朔ちゃん。私・・・幸せだよ。とても幸せだよ・・・。」
とても嬉しそうな様子の亜紀。
朔  「いつでも・・・うちに来ていいんだよ。亜紀が笑ってくれるなら、幸せなら・・。俺も幸せだし。」
亜紀 「ありがと。朔ちゃ・・・。」
亜紀がそう言いかけたとき。朔は亜紀をやさしく抱き締めていた。
亜紀 「朔ちゃん・・・。もう少しこのままで・・・いてくれる?」
朔  「うん・・・。」
抱き合う2人をやさしい風が包みこんでいた。


         続く
...2005/01/25(Tue) 22:03 ID:1FBoYe1.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:九州男児
今回もとってもいい話で、本当に感動しました。
ぜひこのストーリーでセカチューの続編をTBSで放送して欲しいです。
朔と亜紀の幸せな風景を想像するだけで、心が和んできます・・・
もちろん、キャストはそのままで!
私は、今は九州の長崎に住んでますけど、大学は福岡でしたよ。
(私も平和台球場をリアルで知っている年齢です(笑) 
西鉄→太平洋→クラウンのファンでした。
また続編を期待しています。
グーテンベルクさんの、非常にしっかした文章や構成力にいつも感心しています。
これから頑張って、私たちに幸せな朔と亜紀を感じさせてください。
...2005/01/25(Tue) 22:46 ID:rFdJli6U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

亜紀の夢、かなって本当にうれしそうですね。
朝ご飯をおいしそうな顔をしてモリモリ食べる亜紀の顔が目の前に浮かんできます。
我が家も3世代家族のため、全員で食卓を囲むとにぎやかなものです。
最近は仕事も忙しく、週に1度くらいしかそのような機会はありませんが、そういう時間に家族との団欒を感じます。
亜紀の花嫁修業も中日となりましたが、もっともっと二人に楽しい思いをさせてあげてください。
続きを楽しみにしています。
...2005/01/25(Tue) 22:53 ID:XLqCBmDg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。17話読みました。朔と亜紀、何があっても仲良しですね。
...2005/01/25(Tue) 23:40 ID:ckTUR6IE <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:夕妃
グーテンベルク様。

朔と亜紀の幸せな日々が、とても嬉しいです。
ドラマの中で朝食の席で朔をからかう亜紀の姿が目に浮かびます。それだけで俺も微笑んでしまいます。
個人的なことなんですけど高2の今、俺は家庭の事情ってやつで家族そろって朝飯や晩飯を食べていたのはずっと昔の事で、今は家にいても一人で食べる事が多いです。だれかと食べるのなんて学校で友達と昼飯を食べる時くらいです。
だから今の朔と亜紀を中心に描かれている世界観が、すごい俺の理想に近いです。

好きな人だけにでもいつか隣りにいてほしいって思ってますけど・・・・好きな人が隣りにいるって凄いことで、亜紀が朔のそばにいるだけで幸せを感じさせますね。
...2005/01/26(Wed) 00:26 ID:e10rY766    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
グーテンベルク様、お疲れ様です。完全に尻に敷かれてるにも関わらず、幸せな朔と、一緒に朝食をとれることに幸せを感じる亜紀の姿は微笑ましいですね。そんな幸せがいつまでも続くように祈っております。
...2005/01/26(Wed) 20:06 ID:7mCvsFBE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルクさま
心があたたまるお話、ありがとうございます。
もう、このまま一諸に暮らしちゃうというのは(笑)
...2005/01/27(Thu) 01:59 ID:ZaF3A5rU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 九州男児様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。そして執筆の励みになるメッセージに感謝しております。これからも頑張って執筆いたしますので今後もよろしくお願いいたします。
 私は小学校の修学旅行で長崎を訪れたことがあります。ちょうど雲仙普賢岳が噴火する数日前でした。歴史や平和の尊さを感じることができる素晴らしい都市ですね。

 北のおじさん様へ
今回もお仕事で忙しい中、読んでいただきましてありがとうございます。ついに亜紀にとっての長年の夢が叶いました。松本家でおいしそうな顔をしてごはんをモリモリ食べる亜紀、実写版で見てみたいですね。
 さて、朔と亜紀ですが、これからも幸せを実感していただく予定です。今後を楽しみにしていただけましたら幸いです。
 家族団欒・・・それはお金では買うことのできない究極の幸せなのかもしれませんね。北のおじさん様と、ご家族のみなさまの幸せを心より祈らせていただきます。

 ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んでいただきましてありがとうございます。朔と亜紀は大きな試練を乗り越えたので、おそらく何があっても大丈夫でしょう。喧嘩してもすぐに仲直りですね。(朔がいつも謝ることになりそうですが・・・)

 夕妃様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。実は私も家庭の事情で家族団欒の時は遠い過去となってしまいました。1人だけの食事・・・時には寂しくなりますね。でも、だからこそ大切な人が近くにいることがいかに幸せなことかよくわかりました。
 夕妃様も一日でも早く理想が現実になるといいですね。そうなるように心から祈っております。

 たー坊様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。朔はいつまでたっても亜紀の尻に敷かれていますが、ここぞという時は亜紀をリードする。これが朔と亜紀のベストな付き合い方なのかもしれません。
『幸せとは・・・』編は書き出すとやめられません(笑)。私も自分で書きながら二人の幸せを祈らずにはいられません。

 朔五郎様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回も読んでいただきましてありがとうございます。第17話はずっと前から書きたいシーンでした。ここで書くことができて嬉しい気分です。アナザー・ワールドの亜紀もきっとこのまま一緒に暮らしたいと思っているのでしょう。でも真が寂しがるかもしれませんね。
今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。
 
 
...2005/01/27(Thu) 21:03 ID:4.g15nO2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
      (幸せとは・・・編)

第18話  朔の家ではC

 朔と亜紀はしばらく抱き合った後、朔の部屋で勉強していた。亜紀は今年度 に大検と大学入試の2つの関門に挑む予定であるからだ。
朔  「うん。微分積分はほぼ完璧だな。」
亜紀 「よかった。入院している時から勉強してて。朔ちゃんが高校生時代に取っておいてくれたノートが役にたったよ。」
 高2の夏に亜紀が白血病で倒れた後も、朔は亜紀の分のノートを全科目分作っていたのだった。亜紀が病気を克服することを願いながら・・・。
そして亜紀は比較的副作用の弱い新薬によって徐々に容態が安定してきて以来、誰もいない時に朔のノートでこっそり勉強したのだった。
朔  「負けず嫌いなのはいいけど、無理は厳禁だからな。」
亜紀 「わかってるよ。でも・・・再来週の模擬試験、好成績とって親をびっくりさせるぞよ。」
朔  「亜紀のお父さんには数学教えてもらってる?」
亜紀 「うん。仕方ないな、とかいいながら嬉しそうな顔して教えてくれるよ。」
朔  「亜紀のお父さんらしいね。」
亜紀は5月4日の夕食の時の真(レス127)を思い出しながら、不器用ながらも自分や母親をこよなく愛する父親に感謝していた。
 
 いつの間にか時計は12時を指していた。
朔  「そろそろ昼飯にする?」
亜紀 「うん!お腹すいちゃった。」
朔  「もうすぐ芙美子も帰ってくるから飯つくらないとな。」
そういえば今日は潤一郎も富子も外出している。昼食は3人で食べることになりそうだ。
亜紀 「私も手伝うよ。」
こうして朔と亜紀の料理が始まった。メニューは焼きそばとポテトサラダだ。
野菜を切り始めた朔。そして亜紀はまたもやジャガイモの皮むきに挑戦していた。昨日の練習のおかげか、形の整ったジャガイモの皮をきれいに剥いてゆく。
だが・・・次のはデコボコしたジャガイモだった。以前の危なっかしい手つきでデコボコジャガイモを切り落としてゆく。
朔  「亜紀。危ないからそのデコボコいもは俺がするよ。」
亜紀 「まだまだだね。私・・・。」
朔  「でもかなり上達したよ。」
亜紀 「前は朔ちゃんにストップかけられちゃったからね。」
 この後も2人は仲良く調理し焼きそばとポテトサラダができあがった。
ちょうどそのころ、芙美子が学校から帰ってきた。今日は土曜日だから午前中で授業は終わりだったのだ。こうして食卓に3人がそろった。
 食卓にて・・・
朔がデザートのスイカを取りに台所を出た時・・・
亜紀 「ねえ、芙美子ちゃん。朔ちゃんって昔から料理得意だったの?」
芙美子「うん。おじいちゃんが料理がうまくって、お兄ちゃんもしっかり教わっていたからね。うちのお母さんと同じくらい上手なんだよ。よくいろいろ作ってくれたよ。」
亜紀 「そうだったんだね。優しいお兄ちゃんでよかったね。」
芙美子「うん。ちょっと不器用だけど、いつも優しくしてくれるよ。」
不器用で愛情表現は決して上手ではないが、それでいて優しさは人一倍強い朔について語る2人だった。
 食後、今度は洗濯物を取り入れる朔と亜紀。夏の日差しは洗濯物をあっという間に感想させたのだ。
朔  「これで全部だな。やっとおわった。」
すると亜紀の久しぶりのセリフが返ってきた。
亜紀 「畳まないの?」
朔  「今から畳むよ。」
朔は靴下を丸めるように畳んでゆく。すると・・・
亜紀 「朔ちゃん・・・。やっぱりゴムの方が先に伸びちゃうよ。こうしないと。」
亜紀は2つの靴下を結ぶように畳む。
朔  「やっぱ全体が伸びるから丸めた方がよくないかな。」
5年前は靴下の畳み方でちょっとした喧嘩になったのだが今回は・・・。
亜紀 「それなら、どっちが長持ちするか勝負しない?」
靴下が伸びるまでには1ヶ月以上はかかるであろう。だが、朔と亜紀にはこれから十分に一緒に過ごす時間がある。亜紀は笑顔だった。
 こんな幸せがいつまでも続くように願わずにはおれない朔と亜紀だった。
亜紀 「ねえ、朔ちゃん。今からサイクリングに連れてってよ。」
朔  「いいよ。」
 朔は自転車の後部座席に亜紀を乗せて走り出した。空はうす雲で覆われていたおかげでそれほど暑さはなかった。うす雲が白く輝く大空のもと、2人はある場所へと向かった。
      続く
...2005/01/28(Fri) 21:44 ID:DrevCc4M    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たか
グーテンベルグさん

ご無沙汰しております。たかです。毎回読んでるんですが、なかなか感想を書けずじまいですみません。

これから先、本当に幸せな未来が自分の中にも描かれています。本当に幸せそうで微笑ましいです。

これからも期待しております。お互い頑張りましょう。
...2005/01/28(Fri) 22:10 ID:yA5zs8ho    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
7話のDVDを観たあとだったので、泣いてしまいました(苦笑)
...2005/01/28(Fri) 23:17 ID:K2usRZpU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
SATOさん、それいいですね。7話の後に最近のストーリーを読むといいかも!
...2005/01/29(Sat) 00:12 ID:4rWxXR.6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たか様、SATO様、すばる様、そして読者の皆様へ
おはようございます。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。読んでくれる人がいてくれることが私にとって執筆の励みになっております。なお、本日は宿直勤務のため執筆活動をお休みいたします。それに伴いまして頂きましたメッセージの返事も明日書かせていただきます。今後もアナザー・ワールドをよろしくお願いいたします。
 
...2005/01/29(Sat) 07:17 ID:qsmnKd46    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。18話読みました。途中の夏の日差しは洗濯物をあっという間に感想させるのだの乾燥が感想になっていましたよ。 
...2005/01/29(Sat) 22:12 ID:Q3fAlsys <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
二人はどこに向かったのでしょう。とても楽しみです。
...2005/01/30(Sun) 00:59 ID:cUleQBwU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 こんばんは。グーテンベルクです。現在第十八話を執筆中です。先ほど帰宅したため、本日中のアップが難しくなっております。したがいましてアップの予定を明日に延期いたします。ご了承願います。

 たか様へ
こんばんは。毎回読んで頂きましてありがとうございます。執筆して本当によかったと思う瞬間です。これからも朔と亜紀は幸せな未来を紡ぎ出していく予定です。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 SATO様、すばる様へ
こんばんは。いつも読んでいただいた上にメッセージを書いていただきましてありがとうございます。
私は第十七話を書く前にDVDで第7話をみました。あの時の幸せがいつまでも続くといいなと思いながら執筆に取り掛かりました。気に入っていただけましたら幸いです。

 ゲッツ様へ
誤字のご指摘ありがとうございます。実は今回に限らず過去の執筆分にも変換ミスや誤字脱字が目立っております。お恥ずかしい限りです。今後訂正版としてある程度まとめて再編集し、アップしなおす予定です。今後もアナザーワールドをよろしくお願いいたします。

 朔五郎様へ
こんばんは。いつも読んでいただきましてありがとうございます。亜紀が退院してから、朔の学校が忙しいこともあってそれほど2人の時間を確保できませんでした。そこで2人とっておきの場所へと向かう予定です。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 
...2005/01/30(Sun) 21:39 ID:jPDhVbCs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
グーテンベルク様

第17話読みました。土曜のお昼時の話ですね。私自身、昔土曜の午後がとても大好きでした。明日休みだったからです。よく鼻歌歌いながら通学路を通っていました。
なんだかあの時のやさしい時間に戻ったよーな気持ちになりました。
...2005/01/31(Mon) 09:47 ID:nj4Qek8U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Netta
あ、18話の訂正です。
...2005/01/31(Mon) 13:14 ID:nj4Qek8U    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 Netta様へ
 こんばんは。グーテンベルクです。いつも読んで頂きましてありがとうございます。今は週休2日制が進んだこともあって土曜の昼の下校自体が少なくなっているようですね。私が高校生の時は第2、第4土曜日が休みで、残りの土曜が午前中だけでした。私も土曜の午後の下校の時間が大好きでしたよ。
...2005/01/31(Mon) 21:51 ID:5Lhot17A    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
      (幸せとは・・・編)

第18話  朔と亜紀 〜アジサイの丘にて〜

 朔は亜紀を乗せて自転車を漕いでゆく。そして亜紀の指示する方へと自転車を走らせた。
亜紀 「朔ちゃん。そこ右曲がって。」
亜紀の明るい声を聞くと嬉しく感じる朔。あたりまえのことが嬉しく感じた。
 朔と亜紀は山の麓に自転車を停めた。ここからは徒歩で行くことにした。
この山に亜紀と登るのは・・・久しぶりだ。5年前と同じように・・・あのアジサイは咲いているだろうか。
 山道を登る朔と亜紀。以前は亜紀に引っ張られるように登った道。今回は朔が亜紀の手を引きながら登ってゆく。
朔  「亜紀。きつかったら無理しないで。」
亜紀 「大丈夫。朔ちゃんと約束したからね。朔ちゃんの前では無理しないって。」
朔  「今は誰の前でも無理はしないで。」
亜紀 「わかった。ありがと。」
 その時、どこからかブーン、ブーンという低い羽音が聞こえてきた、その音に混じってカチッ、カチッという音も聞こえる。すると、亜紀が小声で朔に話しかけた。
亜紀 「朔ちゃん、止まって。そして少し顔を下に向けて。動いたり声をあげたりしたらダメだよ。」
2人の周りを飛んでいたのはオオスズメバチだった。朔は恐怖を感じた。無理もない。
今、目の前にいるのはスズメバチ科でも体の大きさが世界最大クラスのオオスズメバチである。これに刺されて死亡する人は毎年いるのだ。だが、亜紀はいたって冷静であった。
亜紀 「朔ちゃん。私にあわせて少しずつ後退して。」
ある程度後退するとハチはどこかへ飛び去っていった。そして亜紀はやさしい目で、巣へと帰ってゆくハチを見送った
朔  「あー。怖かった。亜紀、ありがとう。助かったよ。でも、亜紀はよく冷静でいられたね。」
亜紀 「あのハチ、顎をカチカチ鳴らせていたからね。あれはこの先に巣があるからこれ以上近づくなという合図なんだよ。振り払ったり、巣に近づいたりしなければ大丈夫だよ。そう本に書いてあった。でも内心は怖かったよ。フフフッ。」
朔  「でもこっちは危害加えるわけじゃないのにな。」
亜紀 「なら、もしもだよ。包丁持った人が私に近づいたら朔ちゃんはどうする?」
朔  「そんな物持って亜紀に近づくなと言うよ。」
亜紀 「ほらね。ハチも人間も同じなんだよ。でも、朔ちゃんからそんな言葉が聴けて嬉しいぞよ。」
 亜紀が自然に溶け込んでいるようにみえた。さっきのハチの件にしても、いくら本を読んだからと言っても、普通は恐怖のあまり悲鳴をあげたり、振り払ったりするだろう。もしかしたら亜紀には自然の声が聞こえているのではないかとさえ思えた。
亜紀 「朔ちゃん。こっちから登ろうよ。」
朔  「ああ。」
ハチのことを気遣ってか、別の道から登山を再開した2人。だが、頂上にはすぐにたどり着けた。亜紀は小走りでアジサイのあった所へと向かって行った。
亜紀 「朔ちゃん。こっち、こっち。」
亜紀のいる方へと向かった朔。すると・・・
今年もアジサイは咲いていた。5年前と同じように・・・。だが、一つだけ違うところがあった。以前亜紀と見たピンクのアジサイは1本もなく。すべてが青い色のアジサイだった。
以前の亜紀の言葉がよみがえる。
 
 〜アジサイって不思議な花でね、土壌の酸性度によって色が変わるんだって。青いアジサイは酸性。ピンクはアルカリ性。ちなみに、植物がよく育つのは弱酸性だって。〜

朔  「5年間でここも変わったのかな。」
亜紀 「うん、前に朔ちゃんと来た時はピンクのアジサイだったからね。きっと土壌が酸性に変わってきたのかもね。」
朔  「でも、俺は青いアジサイも好きだよ。」
亜紀 「朔ちゃん・・・。」
朔  「どうしたの?」
亜紀 「あれからもう5年経ってアジサイの色も変わったけど、私のこと、嫌いになってないよね?」
朔  「うん。大好きだよ。亜紀。」
そう言うと同時に朔は亜紀を抱き締めた。
亜紀 「変わらないでね。私のこと・・・。ずっと好きでいてね・・・。」
朔  「うん。亜紀も、俺のこと・・・好きでいて。」
亜紀 「うん・・・。約束するよ。」

僕達は5年前よりもお互いの事を好きになっていた。そしてこれからもずっと好きでいようと思う。アジサイの色が変わっても・・・どんな未来が待っていようとも・・・いつまでも・・・。僕は・・・亜紀が・・・廣瀬亜紀が大好きです。

     続く

 
...2005/01/31(Mon) 21:54 ID:5Lhot17A    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。18話読みました。アジサイの色が変わっても2人の仲は変わらないですね。
...2005/01/31(Mon) 23:38 ID:Asc2ycjA <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
私も山道を歩いていてスズメバチに遭遇したことがあります。怖くて固まってしまいますよね。
...2005/02/01(Tue) 00:21 ID:LeePfvN2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
グーテンベルク様
亜紀は自然科学の知識が豊富なだけでなく、度胸もすごいですね。ひょっとして優秀な研究者になるのかな、などと楽しく想像してしまいます。宮浦(松崎)の情景が目に浮かぶようで、よかったです。

ところで、私がアジサイの丘に行ったときには「ワナ注意」という張り紙がたくさんありました。ワナって・・・いったいどんな動物が出るのでしょう(苦笑)
...2005/02/01(Tue) 03:41 ID:4VUdylr6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:Marc
こんにちは、グーテンベルク様

紫陽花の色がどんなに変わっても、朔と亜紀が一緒にいられる
ことは素晴らしいですね。
...2005/02/01(Tue) 18:53 ID:zMu7n1f2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 ゲッツ様、SATO様、朔五郎様、Marc様、そして読者の皆様へ。
 こんばんは。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。今回のストーリーは人間のみならず他の生物をも大切に思う亜紀、そしてそんな亜紀を思う朔について書かせていただきました。また、一部今後の物語にも絡んでくる予定です。アナザー・ワールドではもうすぐ夏休みになります。ボウズ、龍之介、智世が宮浦に集合する予定です。楽しみにしていただけましたら幸いです。
 今月は仕事の方が忙しく、アップするペースが遅くなることが多くなりそうです。その際はどうかご了承願います。なお、明日は宿直勤務のため執筆活動をお休みさせていただきます。あわせてお詫び申し上げます。
 
 追記
今年は世界が地獄となった第二次世界大戦が終わって60年目です。ですが・・・残念なことに今なお地球上では戦争や紛争が絶えません。憎しみや悲劇を生み出す戦争や紛争などが一日でも早くなくなることを願い、平和を題材にした特別編も執筆する予定です。
...2005/02/01(Tue) 21:57 ID:KHjMnbk2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 お久しぶりです。けんです。今まで、仕事が忙しくてなかなか読む時間がなくて、今日15話から一気に読ませていただきました。朔と亜紀の松本家の家族団らんのシーンとても幸せそうで、読んでいる私まで幸せになりますね。こんな気持ちにさせてくれるのは、グーテンベルク様の文章が素晴らしいからだと思います。これからも朔と亜紀の幸せな姿を見せて下さい。では、執筆活動頑張って下さい
...2005/02/02(Wed) 02:06 ID:6G9gdfus    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様へ
こんばんは。お久しぶりです。グーテンベルクです。お仕事が忙しい中読んでいただきましてありがとうございます。それと、励みになるコメントまで頂いたこともあわせて感謝しております。これからしばらくの間、執筆のペースが下がりそうですが、その際はどうかご了承ください。
...2005/02/03(Thu) 22:22 ID:5eBncfsE    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
      (幸せとは・・・編)

第19話  大好きです・・・。

 7月5日、日曜日。亜紀の松本家での花嫁修業も今日で終わりだ。
昼食後・・・帰宅の準備を終えた亜紀。
芙美子「亜紀姉ちゃん。帰っちゃうんだ。寂しいな。」
亜紀がいた3日間、芙美子は亜紀に普段あまり話せない女同士の会話や恋の悩みなどの相談をしていたのだ。そういったこともあって2人は以前より仲良くなったのだった。
亜紀 「芙美子ちゃん、今度家に遊びにおいでよ。」
芙美子「うん。やったー。」
富子 「亜紀ちゃん。来てくれてありがとね。あんたが来てくれたおかげでうちも楽しかったよ。またいつでもおいで。それと荷物は後で亜紀ちゃんの家まで持ってってあげるから、小さい鞄と貴重品だけ持ってくといいよ。」
潤一郎「またいつでもおいで。体に気を付けて。」
亜紀 「はい。お父さんもお母さん、本当にありがとうございました。」
富子 「朔太郎。亜紀ちゃんをちゃんと家まで送ってあげるんだよ。」
朔  「うん。亜紀、行こうか?」
亜紀 「おじゃましました。」
 朔の家を出た2人はまっすぐ家には帰らずに海へと向かった。
宮浦漁港の防波堤にて・・・
亜紀 「ここ、いろんな思い出があるよね。」
朔  「うん。亜紀と俺が出会ったのもここだったしな。」
亜紀 「好きなものランキングとかやったよね。今思うとちょっと恥ずかしいな。」
朔  「でも、俺は嬉しかったよ。」
2人は海の方を見ながら過去を思い返していた。
 7月の海は真夏の午後の太陽を浴びてキラキラと輝いていた。一方上空では絹雲(すじ雲)が広がり始めていた。
亜紀 「松本朔太郎!!」
突然大きな声で呼ばれて驚く朔。すると・・・亜紀はウォークマンを朔に渡した。
亜紀 「聞いて!」
亜紀に言われたとおりイヤホンを耳にはめる朔。すると・・・・
 
 〜亜紀の声〜
今日は私の好きなものについて説明します。

第五位  5年前のあの日、傘を差しかけてくれた松本朔太郎

第四位  朔を突き飛ばして1人でウルルへ行こうとした私を追いかけてきてくれた松本朔太郎。

第三位  学校が忙しいのに、20歳の誕生日の日の夜、隕石の欠片をプレゼントしてくれた松本朔太郎。

第二位  絶望的な闘病生活をしていた私を最後まで見捨てず支えてくれた松本朔太郎

カセットの音声はここまでだった。そう、あの時のように・・・。そして・・・

亜紀 「第一位  松本朔太郎!私は・・・松本朔太郎のすべてが大好きです!!」

 嬉しさを必死で隠そうとしている朔。だが顔は正直だった。
朔  「こ、こんなところで・・・な、何言ってんだよ。」
亜紀 「フフフッ。あそこの喫茶店まで競争!」
亜紀も照れ隠しのためか海の近くの喫茶店へと振り返らずに走って行った。
朔  「おい、亜紀!あんまり無理するな!!」
 朔は慌てて亜紀を追いかけた。そしてあっという間に亜紀に追いついた。
どうやら亜紀も全力で走ったわけではないようだ。そうでなければかつて短距離ランナーだった亜紀にはそう簡単には追いつけないであろう。
朔  「なんで無理すんだよ。」
亜紀 「小走り程度だから平気だよ。でも、心配してくれてありがとう。」
 
 2人はこの後、喫茶店で憩いのひと時を過ごした。そして夕方・・・

再び亜紀を乗せて自転車をこぐ朔。もうすぐ廣瀬家だ。
亜紀 「朔ちゃん。この数日間とても楽しかったよ。」
朔  「俺も。またいつでも家に来て。」

 僕達が結婚したらこの数日間のように毎日が幸せなのかもしれない。生きている限り決して逃れることのできない不安が消えることはないが・・・。それにも勝る幸せが待っているだろう。

          続く
...2005/02/04(Fri) 21:49 ID:7odUfXqs    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たか
グーテンベルクさん、こんばんは。

早速19話を読ませていただきました。

芙美子が律子的なポジションになってきたと感じます。キャラ?は少し違うと思いますが。

凄く亜紀らしさが出ていていいですねぇ。本当にこういう風になればいいな、っと思います。

最後まで、ゆっくり書き上げてください。最後までしっかりと読ませていただくつもりですので。

では。お体にお気をつけて頑張ってください
...2005/02/04(Fri) 22:16 ID:cEmZYfKA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:北のおじさん
グーテンベルク様。

あんな恥ずかしい事、なんて言いながらまたやっちゃいましたね、好きなものランキング。
でもそんな亜紀がとても可愛く描かれています。
まだまだ寒い日が続きますが、お体にお気をつけ下さい。

白い北の大地で毎回楽しみにしています。
...2005/02/04(Fri) 22:41 ID:v0J7l4nQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
好きなものランキングは、たまにやるのが良いんですよね。やるたびに絆が深まっていくようです。

私の方も、時々ウォークマンを使ってます。次はいつ登場させていこうかなと思案しております。

お忙しいようなので、体調管理をしっかりなさってください。
...2005/02/04(Fri) 23:25 ID:x6JmDYbA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
亜紀が松本家にいた3日間はホームドラマ的でホノボノとしていてよかったです。これで亜紀が帰ってしまうかと思うと、芙美子じゃないけどちょっと寂しい気もします(苦笑)

追伸
4月から始まる「あいくるしい」もこんな感じでホノボノした作風になることを期待しています。サク父ほかセカチューメンバーが多数出演しますね。
...2005/02/05(Sat) 00:02 ID:DNWj9cKY    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。19話読みました。今回の松本家の話は結構良かったです。これからも頑張ってください。
...2005/02/05(Sat) 00:07 ID:egpEcLQc <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
楽しかった後だけに、日曜日の夜は淋しくなりそうですね。ま、結婚するまでの辛抱ですが(笑)
...2005/02/05(Sat) 00:30 ID:7U9Po0TU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たか様、北のおじさん様、たー坊様、SATO様、ゲッツ様、朔五郎様、そして読者の皆様へ
こんばんは、グーテンベルクです。松本家での朔と亜紀の物語はいったんここで終わりですが、読んでいただいた上にたくさんのメッセージを書いていただきましてありがとうございます。ドラマでは叶うことのなかった朔と亜紀の夢のような日々をこの場で書くことができて嬉しい気分です。これも今まで読んでいただいた読者の皆様のおかげです。本当に感謝しております。そして、これからも物語は続きます。皆様が満足していただける作品になるように精一杯頑張りますので今後もよろしくお願いします。


 
  おまけのコーナーです
 1992年7月5日夜、亜紀が帰った後の松本家では、朔がレポートを仕上げていた。
 外ではすでに雨が降り出しており、遠くの方では雷光が暗闇を引き裂いていた。
 
 しばらくすると亜紀から電話がかかってきた。
亜紀 「朔ちゃん、夜中から朝に鳴る雷は集中豪雨の前兆だから、そんな時に川に近づいたら危険だよ。」

 翌日の朝も激しい雷雨に見舞われた宮浦町。朔は亜紀の忠告に従って通学時に川沿いの道を避けて通った。
...2005/02/05(Sat) 19:40 ID:bReSohi2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。物語の続きを執筆したいところですが、明日は宿直勤務のため執筆活動をお休みいたします。ご了承ください。
...2005/02/05(Sat) 22:50 ID:IDvLiBmg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 今晩は。けんです。亜紀の好きなものランキング良かったですよ。やっぱりこの告白方法はセカチューならではですね。また次回も楽しみにしていますので、マイペースで頑張って下さい。
...2005/02/07(Mon) 03:20 ID:ZrelRHK6    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。好きなものランキングは順位と内容でいろいろと迷いました。執筆中、何度もドラマの第1話が頭の中によみがえりました。亜紀の好きなものランキングは時の流れによってどのように変化するのか考えてみるのも面白いかもしれませんね。次回も楽しみにしていただきましてとても嬉しい気分です。まだまだ春は遠いので、けん様もお体に気を付けてください。

 読者の皆様へ
いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。現在特別編を執筆中ですが本日中のアップが難しくなりましたので明日に延期いたします。どうかご了承願います。
...2005/02/07(Mon) 23:15 ID:xg.7VROw    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
                 
(特 別 編)

 智世と龍之介 〜幼馴染から恋人へ〜

 1992年7月10日夜、私は亜紀に一本の電話をかけた。
亜紀 「はい。廣瀬です。」
智世 「あ、亜紀!智世だよ!」
智世の元気な声が受話器を通して亜紀の耳に届いた。
亜紀 「智世!相変わらず元気だね。何かいいことあった?」
智世 「実はね・・・私・・・龍之介と付き合うことになりましたー!」
亜紀 「よかったじゃない!!長年の恋がついに実ったね。私もうれしいよ。」

 私はこの日、親友のありがたさをより一層強く感じた。悲しい時に一緒に泣いてくれる人はいるけど、嬉しい時に、一緒になって喜んでくれる人はそうはいない。亜紀が私の幸せを心から喜んでくれたことがとても嬉しかった。


 7月9日の夜、寮の自分の部屋で勉強をしていた時、一本の電話が私にかかってきた。
館内放送「302号室上田さん!302号室上田さん!電話1番です!」
電話の受話器をとって1番を押す、そして・・・
智世 「はい、お電話代わりました。上田ですけど。」
龍之介「おう、智世か。俺だよ。」
優しそうでなおかつ優しそうな声。この声は龍之介である。
智世 「龍之介!久しぶり。元気にしてた?」
龍之介「ああ。実は昨日、海洋実習が終わってな。明日から夏休みなんだ。」
私と龍之介の会話はしばらく続いた。でも、この寮では長電話が禁止だったことから翌日、○○大学で龍之介と会うことにした。

 翌日、智世は○○大学前駅で列車の到着を待っていた。龍之介の所属する△△大学からここまでは特急列車で3時間ほどの距離だ。

駅内放送「間もなく、2番乗り場に下り特急列車が到着します。ご注意ください。」
ホームに列車が停まった。しかし・・・改札口から出て来た人の中に龍之介の姿はなかった。
智世 「あいつ、もしかして寝坊でもしたのかな・・・。」
次の列車はしばらく来ないので、智世は売店でパンを買うことにした。
売店にはいろいろな種類のパンが並んでいた。その中にコロッケパンもあった。
智世は懐かしい高校生時代を思い出しながらコロッケパンを二つ買った。すると・・・
背後から誰かがコロッケパンをひったくった。
智世 「ちょっと・・・、なにす・・・・・」
智世が振り向くと、そこには龍之介の姿があった。
龍之介「よっ!お待たせ!」
智世 「龍之介!列車に遅れたんじゃなかったの?」
龍之介「時間差攻撃ってやつよ。」

そう、龍之介は列車を降りてからすぐに改札口へといかずに、智世を驚かそうとしたのだ。

この後私たちは大学内の広場のベンチに座った。そして何気ない会話をした後だった。
龍之介「俺、大学に入って思ったことがあってな・・・。」
智世 「なに?」
龍之介「実は俺、大学行って1人暮らし始めて・・・好きな学問を専攻して・・・それなりに充実した毎日を送っていたんだけど。高校時代と違って親友と呼べる人はいなくてな。何て言うか相手を理解できないことが多かったし、もちろん自分を相手に理解してもらうこともできなくてな・・・・。」
智世 「うん・・・」
龍之介「俺、いろんな意味でお前や朔、ボウズ、廣瀬に支えられていたんだなと思ったんだ。」
智世 「そうだね。あんたにはいろいろと手がかかったからね。陸上大会の予選といい。今となってはいい思い出だけど。」
龍之介「特におまえにはずいぶん支えられたと思う。いまさらこんなこと言うの都合が良すぎるんだろうけど・・・もし、よかったら俺と付き合ってほしいと思ってる。お前は俺のことをよく理解してくれたし・・・。これからもずっと一緒にいたいと思う。もしよかったら俺と付き合ってくれないか。」

龍之介の突然の告白にはびっくりした。飛び上がるほど嬉しいのだけど、言葉でうまく言い表せない。しばらく沈黙が続いた。

いい答えが返ってこないと判断した龍之介は智世に背を向けた。
龍之介「ごめん。いきなりこんなこと言って。今のは・・・」
途中まで言いかけた時、智世からの返事が来た。
智世 「私も・・・龍之介と一緒にいたいよ!これからも。だから・・・私と付き合って!」

私にとっての長年の恋が実った瞬間だった。これからもずっと一緒に歩んでいけたらいいと思う。そう、亜紀と朔のように・・・。


     終わり
...2005/02/08(Tue) 21:39 ID:w8Xev0QI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:たー坊
お疲れ様です。たー坊です。
とうとうこの二人がくっつきましたね。スケちゃんは何か感じることがあったのでしょうか?いつも深く考えていますが、ストレートに愛情を表すことが少ない人というイメージがありましたので、智世はさぞ、驚き、喜んだことでしょうね。
...2005/02/08(Tue) 22:20 ID:VJnkOttQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。今回の特別編は智世と龍之介の話ですね。結構良かったです。これからも頑張ってください。
...2005/02/08(Tue) 23:08 ID:0f8GMkH6 <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 たー坊様、ゲッツ様へ
こんばんは。グーテンベルクです。特別編、読んでいただきましてありがとうございます。実は智世の恋人についてはかなり悩みました。龍之介がいいのか、それとも大学の同級生(大林?)にするかどうか。考えた末に龍之介と付き合うという設定にいたしました。これからの展開も楽しみにしていただけましたら幸いです。さて、次はボウズの出会いの場も考えなくては(笑)

 読者の皆様へ
いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。特別編はいかがでしたか?
私の個人的な考え方に偏っているかもしれませんがその点はご了承ください。さて、本日はもう一つ特別編をアップする予定です。読んでいただけましたら幸いです。
...2005/02/09(Wed) 21:02 ID:019s.JMk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
                 
(特 別 編)

戦争が残した傷跡 


 1992年8月1日朝、宮浦漁港に5人の若者たちが集まっていた。朔、亜紀、龍之介、智世、そしてボウズだ。この日、龍之介がみんなを船に乗せて近くの無人島へと案内してくれる予定だ。今回は夢島ではないが・・・
朔  「海原へ出るのも久しぶりだな。」
亜紀 「夢島以来だね。」
ボウズ「俺は中学生の時以来だぜ。」
智世 「私も。ねえ、龍之介。今回はどこまでいくの?」
龍之介「あの水平線の向こうにある魚宝島(ぎょほうとう)。いいとこだぜ、自然が残されてて。」
5人が船に荷物を積み込み終わろうとした時、1人の老人がやってきた。
老人 「なあ、そこの若いもん。魚宝島へ行くならワシも連れてってくれんかの。理由は聞かないでくれ。」
魚宝島周辺はかつてたくさんの魚介類が取れる文字通り宝の島だった。でも今ではそこで漁をする人も少なくなった。それにこの老人は明らかに漁をしにいくわけではなさそうだ。
龍之介「ええ。いいですよ。」
龍之介はどこか悲しそうな目をした老人の願いを断ることができなかった。

宮浦漁港を出航してしばらくたったころ、夏の大空に3本の飛行機雲が現れた。
亜紀 「飛行機雲が3本も出てる。きれい・・・。」
朔  「本当だ。珍しいな。」
智世 「3本も並んでるの初めて見たよ。」
ボウズ「すごい大人数の団体客なのか?どこの国の飛行機なんだ?」
龍之介「どれどれ・・・。」
龍之介は双眼鏡を取り出し大空を優雅に飛ぶ飛行機を見てみた。
 その直後龍之介は静かに双眼鏡を下ろし、大空を見つめた。
智世 「どうしたのよ、龍之介。怖い顔して。」
龍之介「俺、海洋実習の時に一度あの黒い翼をみたことがある・・・。あれは旅客機じゃない・・・。あれは・・・B52・・・戦略爆撃機だ。」
みんな「えっ」
みんな驚いていた。日本は平和な国になったが今でも軍用機が空を飛んでいるという事実に。
そして今なお世界のどこかで戦争が行われ多くの人が巻き込まれ死んでいるという残酷な事実を・・・。
老人 「B52・・・あれが・・・。まだ、罪なき人達を巻き添えにするのか。ちくしょうめ!。私の妻を・・・美奈子を返してくれ!!」
大空に向かって老人がさけんだ。
龍之介「おい、じいさん。どうしたんだ。」
亜紀 「昔・・・何かあったのですか。」
老人はしばらく泣き崩れていたが、しばらくして話しはじめた。そう、かつてここが地獄だったころの話を。
老人 「知っているとは思うが・・・この日本もかつては戦場となっての。太平洋戦争末期には敵国の飛行機が一般市民が住む町にまで爆弾を落としたり、機銃掃射を加えるようになってきたんじゃ。わしの妻も・・・空襲の犠牲になったんじゃよ。わしは妻を、そして市民を守ることができんかった。」

老人の名前は相田隆一。太平洋戦争時は戦闘機に乗り、国民を空襲の犠牲にしないようにという防空任務についていた。

〜1945年、4月〜
隆一 「ついに、サイパン、グアムもアメリカの手に落ちてしまった。もうじきここにもB29がやってくる。美奈子、お前だけでも遠くの親戚の家に非難しろ。」
美奈子「でもあなたはここに残るんでしょう。なら私もここに残るわ。」

〜現 在〜
ワシがあの時無理やりにでも妻を避難させておけば、妻は死なずにすんだのかもしれない。

〜1945年5月〜
それから数週間後、隆一が航空基地にいた時、緊急連絡が入った。
無線 「アメリカの戦略爆撃機B29を発見。数は100機以上。至急迎え撃て。」
隆一 「よし、迎え撃つぞ。みんな、敵は軍人、一般人の区別なく我々を焼き殺しにやってくる。敵の爆撃機を一機たりとも街の上空に侵入させるな。」
隆一とその部下8名は戦場となった空へ飛んだ。
そして・・・しばらく経って空中戦が始まった。だが・・・まるで相手にならなかった。B29の防御用の機関砲で部下達の飛行機は次々と撃墜されてしまい、残された隆一の飛行機も一矢報いることすらできなかった。
ボロボロになった飛行機とともに滑走路に降り立った隆一は帽子を地面に叩きつけた。
隆一 「クソッ!人を守れなくて何が軍隊だ!何が戦闘機パイロットだ!」
しばらくすると整備員が走ってきた。
整備員「相田小隊長!!大変です!!あなたの故郷の街が・・・街が・・・。」

 何があったのか、すぐに理解できた。故郷の街が爆撃を受けたのだ。そう隆一妻や家族が住んでいる街が・・・。隆一は全力で駆け出した。
隆一 「美奈子!今行く!どうか無事でいてくれ・・・。」
隆一が故郷の街へたどり着いた時にはもう夜が明けていた。街はすっかり焼け野原となり、まだ火が燻ぶっていた。そして爆風で倒壊した我が家を見つけた。
妻の姿を探そうとした時だった。
美奈子「あ・・・、あなた・・・。」
瓦礫に下半身を挟まれた妻、美奈子の姿がそこにあった。
隆一 「美奈子!!美奈子!!無事か!?」
だが・・・美奈子の背中からはかなりの血が出ている。爆弾の破片が直撃したのだ・・。
美奈子「あ・・・あなた・・・。最期に・・・あなたに会えて・・・よかった・・・。」
隆一 「美奈子!もうしゃべるな・・・。すぐに医者に・・・・。」
美奈子「あなた・・・・・私の分も・・・・精一杯生きて・・・。あなた・・・愛してるわよ・・・。」
それが美奈子の最期の言葉だった。彼女は二度と目を覚まさなかった。そして・・・周りでも多くの人が死んでいた。
隆一 「なんで・・・なんで美奈子が殺されなければならない!!なぜ武器を持たぬ人が死なねばならないんだ!!殺すなら美奈子じゃなくて私をやれ!!うわー!!!」
隆一の悲しそうなさけびが大空にこだました。

 〜現在〜 
隆一「もう事実上負けが決まっていた大日本帝国。それでも狂ったように徹底抗戦を呼び掛ける軍首脳部。だが、そんな狂った国であっても、守るべき人がいる、故郷がある。それらを守ろうと兵士達も今日も明日も闘い続け、そして戦死していったんじゃ。じゃがそれをあざ笑うかのようにB29戦略爆撃機は毎晩のように編隊を組んでやってきて大都市だけでなく中小都市をも焼け野原に変えて、たくさんの一般市民が犠牲となった。」
隆一「九州では毎日多くの、まだ10代、20代の若者が決して生きて帰れない特攻隊として飛び立ち、死んでいった。沖縄では地獄のような陸上戦となり、武器を持たぬ一般市民までもが戦争に参加させられた。そして1945年8月6日は広島に、1945年8月9日には長崎に原子爆弾が落とされて、多くの人が死んでいったんじゃよ。」

智世 「おじいさん・・・。戦争・・・どうしてなくならないのかな?こんなに悲しむ人がたくさんできてしまうのに・・・・。」
亜紀 「悲しすぎるよ・・・。」
龍之介「人類は・・・どこで道を踏み外したのだろうな・・・・。」
ボウズ「戦争以外で解決する方法ないのかよ。」
朔  「大切な人が死んでしまう戦争・・・一刻も早くなくさないとな。」

龍之介の操縦する船が魚宝島についた。
隆一 「この島はな・・・昔ワシが妻と一緒によく来たんじゃ。8月1日は結婚記念日での・・・毎年来ているんじゃ。」
朔たちが隆一についていくと一つの墓があった。そこには石版も置いてあった。

  ”我が最愛の妻 美奈子 ここに眠る”

墓石の前で祈りをささげる隆一、朔達も手を合わせる。すると・・・
ボウズがお経をあげ始めた。神々しい雰囲気をもつ声で。

隆一 「あんた・・・僧侶なのか?」
龍之介「ああ、こいつは立派な僧侶だぜ。じいさん。」
隆一は泣いていた。
隆一 「ありがとう。美奈子も・・・喜んでいるにちがいない。ありがとう。」

朔たちはこの日、戦争が生み出す悲劇を知った。そして・・・はやくこの地球から戦争がなくなるように祈っていた。

 それから三ヵ月後、隆一は美奈子のいる世界へと旅立っていった。そして・・・ボウズの計らいもあって、彼は美奈子と同じ墓に入ることになったという。

     終わり

   〜追記〜
 戦争は多くの人を不幸にします。早くこの地球上からすべての戦争や紛争がなくなることを祈っております。


   グーテンベルク・リヒター
...2005/02/09(Wed) 21:30 ID:019s.JMk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
特別編二本続けて読みました。
一本目は、私が望んでいた智世・龍之介の「もうひとつ」のアナザーだったので、とても楽しく読ませていただきました。

二本目は打って変わって戦争の理不尽さを描くシリアスな内容で、考えさせられました。いつも犠牲になるのはこういった何の関係もない一般市民なんですよね。現在も世界のあちこちでこの種の紛争があり、このストーリーのような悲劇が繰り返されていると思うとやりきれない気持ちで一杯になります。このような悲しいストーリーが実話にならずにすむような世界はいつ来るのでしょうか?
...2005/02/09(Wed) 22:26 ID:gN56lQv.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:ゲッツ
グーテンベルク様、ゲッツです。2本目の特別編は戦争の事についてふれていますね。早くこの地球上からすべての戦争や紛争がなくなってほしいですね。
...2005/02/09(Wed) 23:04 ID:ALHV2LwM <URL>   

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
 グーテンベルク様
 けんです。二つの特別編読ませていただきました。一つ目は、智世と龍之介の話でしたね。私も希望した通り智世と龍之介は付き合うことになってうれしかったです。智世と龍之介について一つ質問があります。グーテンベルク様もこの物語を執筆するに至って悩んだと言っていますがドラマでは、智世と龍之介は、付き合っていないで他の人と結婚しましたよね。なぜこの二人は付き合えなかったのでしょうか?今更こんな質問をしてすいません。私としては、他の皆様も同じ意見の人もいると思いますが、亜紀が死んだのが直接の原因で朔とボウズに遠慮して付き合えなかったのかなと思っていますが、グーテンベルク様はどう思われましたか?
 二つ目の特別編は戦争の話でしたね。この話を読んで改めて戦争の悲惨さが伝わりました。
 これからもマイペースで執筆活動頑張って下さい
...2005/02/10(Thu) 05:10 ID:cCREla/2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
こんにちは。グーテンベルクです。皆様、今回はシリアスな内容でしたが、読んでいただいてありがとうございます。
 
 SATO様へ
智世と龍之介がついにくっつきましたが、望んだとおりの展開にできたことを嬉しく思っております。今後の2人を楽しみにしていただけましたら幸いです。そして・・・『戦争が残した傷跡』の御感想を書いていただきましてありがとうございます。私もSATO様と同じ気持ちで執筆いたしました。早く戦争の歴史が終わりになるといいですね。

 ゲッツ様へ
特別編『戦争が残した傷跡』を読んでいただきましてありがとうございます。1945年8月14日夜、ゲッツ様がお住まいの秋田県でも空襲があったそうですね。土崎空襲として資料に残っておりました。戦略爆撃機B29による製油所爆撃の際、周辺の住宅地も巻き添えとなって102名(うち一般市民が85名)の尊い命が犠牲になったそうです。しかも、空襲があった時にはポツダム宣言受諾が連合国に通達された後だったそうです・・・。その情報がもう少し早く前線部隊に行き渡っていたら、犠牲者の方々も死なずにすんだと思うと・・・やりきれない気持ちになりました。
 さて、ストーリーの方ですが、次回より本編に戻りますので楽しみにしていただけましたら幸いです。

 けん様へ
特別編、読んでいただきましてありがとうございます。希望通りの展開にできましたことを嬉しく思っております。さて、ドラマではどうして智世と龍之介が付き合わなかったのかという質問ですが、私もけん様と同じ意見です。現実世界でも、たった一人の人間の存在の有無で人の将来は大きく変わるものだと思います。もし亜紀が生きていたらこういうアナザーな展開もあるのではと思いました。そう考えると運命の分岐点をどこに設定するかにより、いろいろなアナザーな世界ができあがりますね。これからも続きを読んでいただけましたら幸いです。
 
...2005/02/11(Fri) 17:22 ID:xc8V1UI2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。現在第20話を執筆中です。明日アップできるように頑張りますので、楽しみにしていただけましたら幸いです。
 なお、2月9日にアップいたしました特別編
『戦争が残した傷跡』を執筆するにあたりまして、
協力してくれた方がいらっしゃいましたので、この場を借りてお礼をさせていただきます。
 空襲体験を語ってくれましたD・T様、S様、本当にありがとうございました。世界が平和になる日が一刻も早くおとずれるように、心からお祈りさせていただきます。読んでくれました皆様も本当にありがとうございました。
...2005/02/11(Fri) 20:26 ID:xc8V1UI2    

             Re: アナザー・ワールド  Name:すばる
こんばんは。すばるです。この「アナザー・〜」はグーテンベルクさんやたー坊さんが主役ですので、私などが話題を挙げるのは失礼かもしれませんが、一つ挙げさせてください。

皆さんの中に、NHKプロジェクト]「決断 命の一滴」をご覧になった方はいらっしゃいませんか?骨髄バンクが設立されるまでのたくさんの人々の苦労を描いたドキュメンタリーです。

その中に、園上さおりさんという一人の可愛らしい少女が登場しました。彼女は白血病と診断され、1984年に15歳で亡くなりました。彼女が生前に書いた作文にはこう書かれていました。

「将来について」
・・・・・・・ふつうの高校生になって、ふつうのお嫁さんになって、ふつうのお母さんになって、ふつうのおばあさんになって、ふつうに死にたい・・・

私はこの文章を、とても涙なしには見ることができませんでした。そしてセカチューを見ていて、廣瀬亜紀を、この実在した少女と重ねて見てしまいました。

このBBSに書き込んでいらっしゃる方々のほとんどは、不自由なく普段の生活を普通に送っていらっしゃることでしょう。ふつうに生きれることは素晴らしいことですね。そして今ある命を大事に、そして全力で駆け抜けたい。
...2005/02/11(Fri) 22:14 ID:t7gHBFc.    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 すばる様、こんにちは。グーテンベルクです。私は残念ながらプロジェクトX『決断 命の一滴』を見ておりません。ですが、『永遠の愛を誓って――二十歳で逝った成美さんの記録』の本を読みました。内容はある1人の女子高生が白血病と診断され、その後の闘病生活について書かれていました。涙なしに読むことができませんでした。そして、この本を読んで、普通に生きれることがどれだけ幸せなことか教えられました。
 私も毎日をこれといって不自由なく生きております。本当に恵まれていると思います。これからどんな未来が待っているのかはわかりませんが、私もこの世を去るその時まで、全力で走り続けていきたいと思います。
 すばる様、このスレットに話題を挙げていただきましてありがとうございます。”命”についてもう一度考えてみる大変いい機会となりました。
 
...2005/02/12(Sat) 16:41 ID:ZvHhzaxo    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 あまり生々しい話題を書き込んだものかどうか躊躇していたのですが,お許しください。
 私の母も原爆で妹(私にとっては叔母)を失いました。空襲がハーグ陸戦規約をはじめとする戦時国際法の禁じた無差別大量殺戮であることは論を待つまでもありませんが,どうも日本では,広島・長崎や東京大空襲のような「被害者」の視点ばかりが強調され,第二次大戦でそうした行為を最初に行ったのが日本軍による重慶大爆撃であることは,あまり知られていないようです。その中国大陸では,731部隊による人体実験も行なわれました。捕虜を「丸太」と呼んで・・・
 広島に原爆が落とされたのも,兵器廠や飛行機工場を抱え,大陸への出征兵士を宇品港から送り出し,西部方面軍の司令部が置かれた軍都だったためです。戦後,朝鮮半島が38度線を境に南北に分断されたのも,関東軍(旧満州)と西部方面軍(広島)の境界という旧日本軍の軍管区編成からきていることも,歴史の授業で取り上げられないこともあって,ほとんど知る人がいなくなりました。
 いずれにしても,人間から人間性を奪ってしまうのが戦争ですが,戦争体験を語り継ぐことを怠って風化させてしまった結果が,与野党を問わず,若い世代ほど「勇ましい」発言が目立つ今日の風潮なのです。
 本題からそれた話で長くなりましたが,特別編とそれに対する書き込みを拝見して,歴史と,そして内外の人々と向き合うということの意味を1人でも多くの皆さんに知って頂きたいと思って,失礼いたしました。
...2005/02/13(Sun) 12:53 ID:6tSJMVAQ    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 にわかマニア様へ
こんばんは。グーテンベルクです。確かに現在の平和教育などではかつて日本が犯した罪については深く触れていない点もあるかと思います。重慶大空襲につきましても大学の一般教養の講義で初めて知りました。また、本土上空で撃墜され、なんとか死なずにすんだB29爆撃機の搭乗員が、九州帝国大学医学部にて生体実験の実験台にされたという痛ましい事件もあったそうです。
今、我々に必要なことは、真実の歴史を知って、あやまちを二度と繰り返さないことだと思います。
にわかマニア様、歴史の真実をこのスレットに書いてくれましたことを感謝しております。
...2005/02/13(Sun) 21:54 ID:h13/ABaA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
      (幸せとは・・・編)

第20話  海風の吹くこの街で・・・ 

 1992年7月下旬、夏休みに入った智世と龍之介が宮浦に帰省した翌日、朔たちはたこ焼きパパさんに集合していた。
ボウズ「おまえたちも付き合いはじめたのかよ!」
朔  「やっと智世の恋が実ったな。」
実はこの日、朔とボウズは龍之介と智世が付き合いはじめたことを知った。亜紀はしばらく前に智世からの電話で知っていたのだが・・・。
智世 「でも、驚いたなー。まさか龍之介のほうから・・・・」
龍之介「バカ、こんなとこで。」
照れくさいのか、龍之介が智世の発言を遮った。
ボウズ「もしかして、スケの方から告白したのか?」
朔  「スケちゃんが?まさか。」
智世 「そのまさかなのよ。」
普段は自分の心に秘めたものをあまり口に出さない龍之介の方から告白したことに驚きの朔とボウズ。
龍之介「頼むからそれ以上詮索しないでくれよ、おまえさん達。ガキの頃3人で石蹴りして車のライト割って一緒に謝りに行った仲じゃないか。」
ボウズ「何言ってるんだ。割ったのはお前だったけど謝ったのは俺と朔だけだったぞ。」
朔  「そういえば、そんなことがあったな。」
亜紀 「アッハッハッハ!そんな過去があったんだ。いいなー。私もみんなと同じ小中学校だったらよかったな。」
この5人のうち亜紀を除く4人が幼馴染で、幼稚園から高校まで一緒だった。朔と智世にいたっては学部は違うものの大学も同じである。一方亜紀だけは中学校が別であり。、おまけに何もかも話し合える幼馴染のいない亜紀にとっては羨ましい過去である。
智世 「これからでも遅くないよ。亜紀。」
亜紀 「智世・・・ありがとう。」
 朔達のグループに亜紀が加わったのは、高2の夏だった。だが・・・それから約1ヶ月で亜紀は白血病と判明され、それ以来病院を出ることもほとんどできなかった。だからこの夏は恋人や仲のいい友達といろんなことを話したり、どこかに行ってみたりできるという意味で、亜紀にとってはとても素晴らしい夏休みになりそうである。

 朔たちのテーブルに新たにたこ焼きが追加された。
パパさん「サービス!」
龍之介「サンキュー!オヤジ。」
パパさん「久しぶりの全員集合だから、どんどん食べてくれ!」
ボウズ「あんまりサービスしすぎて店をつぶさないでくれよ!!」
そういえば高校時代にも話題になっていたのだが、よくサービスでたこ焼きのおまけをしてくれるたこ焼きパパさん、どうやって利益が出ているのか謎である。近所では今世紀最大の謎という冗談まででているのだ。ただ、一つだけ確かなのはたこ焼きを食べているお客の顔を見ると嬉しそうな顔をしているということであった。
 そいった思いやりや、やさしさが存在するこの街を嬉しく思う朔達だった。

 その日の夜、廣瀬家にて・・・。
真  「亜紀、そういえば今日6月に受けた模擬試験の結果が来ていたぞ。お前の机の上に置いておいたぞ。勉強もいいが、無理はするんじゃないぞ。」
亜紀 「どうだったの?結果」
真  「自分で見なさい。」
亜紀は模試の結果を見るため2階の自分の部屋へと向かった。
綾子 「あなた、本当は褒めてあげたいんじゃないですか。」
真  「それが原因で無理でもされたら大変だろう。」
綾子 「もうあの子も22歳よ。いつまでも子ども扱いしてると嫌がられるわよ。」
真  「ああ、わかっているよ。」
子供はいつしか大人になってゆく。だが・・・親から見れば大きくなっても子供は子供なのだろう。

亜紀の部屋にて・・・
亜紀 「よし!この調子でがんばるぞ!!」
模試の結果は思ったよりもよかった。特に真と朔に教えてもらった数学、亜紀が興味を持っている分野を含む地学の成績はずば抜けてよかったのだった。そして・・・
第一志望大学、○○大学理学部地球環境学科の判定はB判定(合格可能性70パーセント)だった。
亜紀 「来年は・・・朔ちゃんと一緒に通学できるかな。」


          続く
...2005/02/13(Sun) 21:57 ID:h13/ABaA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
グーテンベルク様
 こんばんわ。けんです。今回の話久々の5人集合でしたね。しかもたこやきパパさんでの会話は、ドラマのシーンが思い出されてとても良かったです。亜紀の模擬試験も良かったみたいだし、これからどのような展開になるか楽しみにしていますので、体に気をつけて頑張って下さい
...2005/02/13(Sun) 23:35 ID:hSsCF04E    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回のストーリーも読んでいただきましてありがとうございます。亜紀が退院してから初めての夏です。これから大検と大学入試を迎える亜紀にとってこの夏は受験前の貴重なやすらぎのひと時となるでしょう。
 けん様もお忙しい中、いつもメッセージを書いていただきましてありがとうございます。これからも楽しみにしていただけましたら幸いです。
...2005/02/15(Tue) 20:34 ID:lfLrShRg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。現在特別編『もう一つの運命の分岐点』を執筆しております。本日中にアップしたかったのですが、難しくなってましたのでアップ予定を明日に延期します。ご了承ください。今月、来月と仕事が忙しくペースダウンしております。あわせてご了承願います。
...2005/02/15(Tue) 22:46 ID:lfLrShRg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜

(特 別 編)

もう一つの運命の分岐点  (前編)

 1990年5月7日、○○大学法学部にて真剣な眼差しで講義を受講する小林明希。この日の講義が明希を・・・そしてその後、ある女性の運命を変えることになる。

教授 「いいですね、その時もしその人の身近に弁護士や司法書士の方がいて、その人の現状に気付いてあげることができたら、その人は家庭内暴力で命を落とすこともなかったのです。法律家を目指す方はぜひ頑張ってください。」
 講義の後、明希は学内にある書店に向かった。そして・・・早速司法試験用のテキストを何冊か購入した。
友人 「明希、もしかして弁護士目指すの?」
明希 「うん、そうしようと思う。あの講義で教授が言ったように、もしかしたら人を救えるかもしれないからね。」
友人 「でも相当難しい試験だよ。と言ってもあんたは一度言い出すと聞かないからねー。」
 こうして明希は弁護士になるため、この日を境にサークルもやめて司法試験の勉強をはじめた。

 1991年、明希は何気なく中央掲示板を見て見ると一枚の文書が貼られていた。
『今年12月、日本骨髄バンクが設立されます。あなたの勇気と協力が白血病や再生不良性貧血などの血液難病の患者さんの命をも救うこととなります。〜』
明希の脳裏に教授のあの言葉がよぎった。「・・・命を落とすこともなかったのです」
 もしかしたら・・・誰かの命を救えるかもしれない。ここで躊躇していたら助かる命が助からなくなるかもしれない。そう思い明希はさっそくドナー登録をすることにした。

 ドナー登録してからしばらく経ったころ、骨髄バンクから連絡が入った。明希の白血球の型が、ある女性白血病患者のそれと一致したのだ。そして3次検査とよばれる採血で白血球の型の精密な適合度を調べてもらった。
 その結果、明希はドナーある白血病患者の女性のドナーに選ばれることになった。

1992年1月14日。骨髄移植のドナーとなった小林明希は最終同意書の調印を行おうとしていた。
弁護士「この調印をもって患者さんは必ず骨髄提供を受けることができるという前提のもとで前準備にかかり、血液を造る機能を失ってしまいます。この調印以降の撤回は認められませんが、よろしいですか。」
明希 「はい。なにがあっても撤回はしないと誓います。私が人の命を救う力になれるのなら、喜んで提供いたします。」
家族の同意も得られ、調印は終わった。


そして2月2日朝、全身麻酔のかかった状態で明希の健康な骨髄液が採取された。
明日への明るい希望とともに・・・。
その日の昼過ぎ、麻酔が解けた明希はベッドの上で空を眺めていた。採取箇所は痛むが、不思議と辛くはなかった。
明希 「そろそろ、どこかで骨髄移植が始まっているのかしら。」
この日の朝、全天を覆っていた雲はいつの間にか切れて青空に変わっていた。
明希 「私は小林明希。その名の由来は・・・明日への明るい希望。どうかその希望を受け取ってほしい。名前さえ知らないけど・・・。絶対に助かってほしい。」
冬の大空にその祈りが紡ぎ出されていった。

 1992年5月のある日、この日は司法試験の最初の関門である択一試験の日であった。試験会場へ向かう途中、明希はあることを考えていた。
明希 「私の骨髄液を受け取ってくれた方は・・・今どうしているのかな。無事で・・・元気でいてくれたらいいのだけど・・・。」

     後編に続く
...2005/02/16(Wed) 18:26 ID:wzXzsl4s    

             Re: アナザー・ワールド  Name:けん
こんばんわ。けんです。今回の特別編の前編読ませていただきました。今回の話は明希が骨髄バンクに登録する話ですね。明希の骨髄液を受け取った女性はもうあの女性しかいないのですね。次回も楽しみにしていますので、頑張って下さい。
...2005/02/16(Wed) 22:43 ID:jzLimg6s    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 けん様、こんばんは。グーテンベルクです。今回の特別編も読んでいただきましてありがとうございます。いつも執筆の励みになっております。この物語に欠かせない存在の1人である小林明希、彼女もまたドラマとは違った道を歩みはじめました。そこで骨髄バンクに登録するきっかけについてここで執筆することといたしました。空港で倒れた時、なんとか一命をとりとめた亜紀。そして骨髄バンクにドナー登録することになった明希。2つの偶然が奇跡を生み出して誕生した世界『アナザー・ワールド』、今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。早いもので執筆をはじめてもう3ヶ月を過ぎました。ここまで執筆を続けることができたのも読者の皆様のおかげです。心から感謝しております。これからも執筆を続けていく予定ですので今後も読んでいただけましたら幸いです。
 なお、明日より2日間、出張で家を明けることになりましたので明日と明後日は執筆をお休みいたします。どうかご了承ください。

 
...2005/02/17(Thu) 21:39 ID:B4fEdI.Q    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
世界の中心で愛をさけぶ 〜アナザー・ワールド〜
        (特 別 編)
    もう一つの運命の分岐点  (後編)

 試験に臨む明希の表情は真剣そのものであった。もしかしたら自分も何らかの形で人を救うことができるかもしれない。そんな彼女の気持ちがそうさせていた。
試験終了後・・・
明希 「やれることはやった。後は択一試験合格を信じて次の論文試験の対策をしないとな。」
択一試験は科目数が3科目であるが、次の論文試験は科目数が6科目に増えるのだ。今まで以上に勉強に時間を割かなければならないであろう。
 それからも明希は法律の勉強を続けた。

 そして論文試験の2週間ほど前、奇跡とも思える出会いが明希を待っていた。
1992年7月2日午後。明希は大学の休憩所で一休みしていたのだが、勉強をしていない時はどうしても自分の骨髄液を受け取ってくれた患者のことが気になっていた。
明希  「どうしているのかな。もう退院してるかな。」
 ちょうどその時近くのテーブルにいた2人の女性が骨髄移植の話をしていた。会話からどうやら1人は骨髄移植を受けたことがあるようだ。明希は声をかけてみることにした。
明希 「あの、もしかして以前骨髄移植を受けた方ですか?」
2人は突然見知らぬ者から声をかけられて驚いた様子だった。
明希 「あ、突然すみません。私は法学部4年の小林と申します。初めまして。」
女性 「初めまして。廣瀬です。あの、私半年ほど前に移植を受けましたが・・・なにかご用でしょうか?」
明希 「そうですか。実は私、以前骨髄バンクにドナー登録して骨髄液を提供したことがありまして。実際に骨髄移植で助かった方に初めてお目にかかれたのでつい声をかけてしまいました。すみません。」
廣瀬 「いえ。こちらこそ。小林さん・・でしたね。私もドナーの方に初めてお会いします。あなたのような方々のおかげで私は白血病を克服することができました。本当に感謝しています。」
明希 「元気で本当になによりです。私が提供した骨髄液を受け取ってくださった方も元気になってくれていればいいのですけど。」
廣瀬 「きっと幸せになっていると思いますよ。私もドナーの方から頂いた手紙をみてとても幸せな気分になりました。この手紙は私の宝物です。」
廣瀬は鞄の貴重品入れから一枚の手紙を取り出して小林に見せた。

私の骨髄液に、明るい明日への希望を託します。
どうか、明るい未来をつかんでください。

この手紙を見て明希は驚いた。自分が書いた手紙だったからである。つまり目の前にいる女性、廣瀬は・・・・
明希の瞳から涙がこぼれ落ちる。
明希 「これは・・・私です・・・あなたが・・・・あなたが助かって幸せです・・・。」
廣瀬 「あなただったのですね。私を助けてくれたのは・・・・本当に感謝しています。私・・・・とても幸せです・・・。」
自分の骨髄液を受け取ってくれた元白血病患者が元気になっていた。これほど嬉しかったことは今までになかった。そして、彼女の名前が亜紀だったこと。字は違うが明希は何かを感じとっていた。
 明希はもう少しゆっくりと話していたかったのだが、ゼミの時間が迫っていた為、ここで別れる事にした。だがゼミの最中、明希は休憩室に六法とテキストを忘れたことに気付き、ゼミ終了後管理課にそれを受け取りに行った。すると親切にもあの2人は忘れ物を預けていてくれたようだ。六法とテキストは明希の手にもどった。
 ページをめくると一枚の手紙が入っていた。

   
  小林明希さんへ

私の命を救ってくれたこと、本当に感謝しております。明希さんから頂いた骨髄液
には本当に明るい明日への希望が込められていると思います。その証拠に私はい
まとても幸せです。ごはんをおいしく食べられること。緑の中を歩くこと。勉強をすること。友達や恋人、家族と過ごす時間。将来への希望。それまで気付くことがなかった幸せに気付きました。勇気を持ってドナー登録してくれた明希さんは本当に優しい人なんだと思います。明希さんは法律家を目指しているようですね。きっと素晴らしい法律家になると思います。難しい試験だそうですが体を壊さないように頑張ってください。そして試験が終わったらぜひまた会いたいです。私は○○県の宮浦に住んでおります。いつか宮浦の町に遊びにきてください。
   
     ガンバレ!明希さん!

        廣瀬亜紀より

手紙を読んだ明希の顔はとても嬉しそうだった。
明希 「さて、もうすぐ論文試験。がんばらないとな。」
7月下旬の試験に向けて猛勉強に励む明希だった。


        終わり
...2005/02/20(Sun) 09:13 ID:zEdYUaGU    

             Re: アナザー・ワールド  Name:朔五郎
感動的な場面ですね。

それにしても、単独の執筆者で、もうすぐパート2に進むというのは大変なことで、頭が下がります。

これからもすばらしい作品をお届けください。
...2005/02/20(Sun) 18:28 ID:J6cezmXA    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 朔五郎様へ
こんばんは。グーテンベルクです。特別編、読んでいただきましてありがとうございます。もうすぐパート2に進むことができるのも皆様のおかげです。世界の中心で愛をさけぶ2、アナザーストーリー、続・サイドを読んで自分もと思ったのがきっかけでした。そして、自分自身これまでに40話近くの作品を書けたことに驚きです(笑)。朔五郎様もいつも応援してくれましてありがとうございます。これからもこれまで以上の努力で執筆していきたと思います。お互いに頑張っていきましょう。
...2005/02/20(Sun) 22:26 ID:CmTixGPk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:にわかマニア
 物語は今,1992年の夏でしたね。
 ということは,亜紀は毛利さんの宇宙授業を病室からではなく,自宅で見ることができるのですね。受験生だからなんてケチなことは言いっこなしで,あの番組くらいゆっくり見せてあげてくださいね。
 ほのぼのとしたこの物語も,間もなくパート2突入ですね。
 進学を果たした亜紀は,サクと2人一緒に始発電車で遠距離通学(の道中)を「楽しむ」のでしょうか。それとも,実習で宮浦に帰ってくるたー坊さんと舞台を入れ替えて,智世や大木も交えての東京編がスタートするのでしょうか。あれこれ想像しながら,楽しみにしています。
...2005/02/20(Sun) 22:57 ID:P593HsEk    

             Re: アナザー・ワールド  Name:SATO
小林明希の特別編を感動しながら読ませていただきました。人を救うために法律家を目指す彼女もしっかりとした考えをもって生きていくんでしょうね。
明希のアナザーはやり手の弁護士になって、そして、幸せな結婚をしてほしいですね。どうしようもない男に引っ掛からないよう祈っています(笑)
...2005/02/21(Mon) 01:18 ID:nFtUx8pg    

             Re: アナザー・ワールド  Name:say
戦争関連の話題を読み、少しばかりの意見を書きたくなりました。
私は沖縄の出身で、本籍の場所や多感な頃を過ごしたのはひめゆりの塔にほど近い土地です。
そこはニュースや戦争の特集で現在の日本の領土では地上戦が行われた数少ない場所の1つでありまた激戦区だったという事が繰り返し報じられていますが、私は小さい頃からそういった戦争体験を繰り返し聞かされ育ちました。
また親類には非戦闘員でありながら亡くなった人が何人もいます。
そして近くには幾つも防空壕が残っていて、そこにはマシンガンやピストルの実弾が残っていたり、中には爆弾や手榴弾が残っていた事もある、戦争が実際に行われていた事を実感できる土地でした。

ですが、私も含め同級生等にとって戦争体験を聞かされる事は毎年繰り返される普段とは違う変わった授業でしかなく、今振り返ってみると悲惨な出来事を綴ったフイルムや話、演劇等を見てもその余韻に引きずられている人はおらず、悲惨さをリアルに感じられない年齢の子供に対する教育の仕方、多感な頃に教える教育の仕方にもっと工夫が必要だったんだろうなという印象です。
そして私が中学生の頃には戦時中に日本軍から受けた仕打ちから本土の人を蔑み嫌う人、占領下時に米軍からの酷い仕打ちに蔑む人が沢山いたのですが、自分らの年代にとってそれは別世界の事という感覚でしかなく、それは学校教育とは別に他人を思いやる心が乏しい戦後の社会環境とか生活環境に大きな要因があったのではないかと思っています。

実際沖縄にあってもいざとなれば戦争やむなしとする意見は他都道府県に比べれば低いものの、それでも十分高い数字だと思います。
また他の都道府県におけるアンケートで、年齢が高くても、米軍基地の存在にやむを得ない事だと答える人は多く、それが沖縄に集中している事に対しても所詮他人事のような意見が多い事からも今の勇ましい発言が増加している傾向は教育の問題だけでなく国民性にあるのではないかと思っています。
幾つかの諺からも他人を思いやるより関わりを避けたり安易に諦める国民性が伺えると思いますし。
...2005/02/21(Mon) 02:39 ID:B.qX6qMI    

             Re: アナザー・ワールド  Name:グーテンベルク
 にわかマニア様へ
こんばんは。グーテンベルクです。今回の特別編も読んでいただきましてありがとうございます。にわかマニア様のおっしゃるとおり亜紀には毛利さんの宇宙授業、ぜひ受けさせてあげたいですね。それこそ本当の勉強ですし。さて、この物語もパート2に突入しますが、これからも楽しみにしていただけましたら幸いです。

 SATO様へ
こんばんは。グーテンベルクです。明希の特別編も読んでいただきましてありがとうございます。ある講義がきっかけで法律家をめざし、そして骨髄バンク登録から骨髄液を提供する勇気を得た明希ですが、いつか彼女と亜紀との再会についても書く予定です。本当に幸せな結婚をしてほしいものです。今後も楽しみにしていただけましたら幸いです。

 say様へ
こんばんは。はじめまして。グーテンベルクです。ご意見を書いていただきましてありがとうございます。戦争が終わって今年で60年目ですが、その60年の間に他人を思いやる心が乏しくなってきたということはよくわかります。実際、「私には関係ないことだから知ったことじゃない」という言葉も最近多くなってきたと思います。(もしかしたら私の周りだけかもしれませんが)
もしすべての人々が他の人々を思いやる気持ちを持っていたとすれば、きっと幸せな世界になるのでしょうね。say様、このスレッドにご意見を書いていただきましてありがとうございます。そして今後もよろしくおねがいします。

 読者の皆様へ
こんばんは。グーテンベルクです。いつもアナザー・ワールドを読んでいただきましてありがとうございます。このスレッドもこのレスでコンプリートいたしますが、これまで皆様に応援していただきましたことをとても嬉しく思っております。今後はアナザー・ワールド2に作品を投稿いたします。今後も読んでいただけましたら幸いです。

  グーテンベルク・リヒター
...2005/02/21(Mon) 20:12 ID:RTDKBfU6    

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