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過去ログNo1
「世界の中心で、愛をさけぶ 2 Part.6」  Name:朔五郎
(あらすじ)

大林亜紀は宮浦高校の3年生。同じクラスの大木健三郎と付き合っている。
健三郎という名はノーベル賞作家の大江健三郎から取ったらしい。

茶髪という今風の二人だが、意外にもオク手で、キスより先にはなかなか進めない。ケータイのメールを使って交換日記の様なことをしている。
亜紀の母、智世と健三郎の父、龍之介は若い頃付き合っていたが、訳あって別れたらしく、それが原因で子供達の交際には反対だった。

ケンと私は、まるでロミオとジュリエットね。防波堤の上で夕陽を見ながらアキがつぶやく。
アキの絵画の才能は周囲に認められていたが、実家の薬局を継げといわれていた。このままでは、ケンとも引き離され、好きな絵画の道にも進めなくなってしまう。本当はモダンアートの勉強をしたいのに。

ケンはアキの夢を叶えるために逃亡計画を立てる。まず、東京へ行き、そこでアルバイトをして金を作る。そしてニューヨークへ渡る。

どうせ一度の人生なら、世界で一番自由な空気を吸ってみたい。

しかし、現実は甘いものではなく、東京での苦しい生活に疲れ傷ついていく。
ある日、渋谷の街を歩く二人は、不良グループに襲われる。傷を負いながらアキを守ったケン。しかし金や携帯など、すべてを奪われてしまう。
もはや為すすべもなく、渋谷駅のベンチにうずくまるしかなかった。
アキが高熱を出した。ケンは交番から親に連絡しようと言うが、アキは帰りたくないと言い張った。そして遠のいていく意識の中で「ありがとう、好きよ、ケンちゃん」と言いながら目を閉じた。

内科教授・松本朔太郎は救命センターからの連絡を受け、搬送された亜紀の治療に当たる。重症の肺炎で死線を彷徨うが、朔太郎の懸命の治療により命をとりとめた。

やがて駆けつけた智世や龍之介も、二人の思いの強さを知り、理解を示す。
ひとまず、故郷に帰ることになった二人。退院前日に病院の屋上から超高層ビルの上の空を見ている。
少し離れたところでその姿を見守る朔太郎の耳に、優しく、懐かしいあの声が聞こえた・・・。

その後帰郷した二人は、大学受験に臨む。ケンは地元の県立宮浦大学に合格するが、アキは不合格となり浪人生活に入った。二人は、アキが合格するまで交際を禁じられる。ケンはアキの自宅か図書館以外では会わないことを条件に、家庭教師を申し出る。

アキの同級生マサミは、ふとしたことから廣瀬夫妻と知り合いになり、最後まで自分らしく生き抜こうとした廣瀬亜紀の話を聞き感銘を受けた。大沢先生の妻・律子と二人で「かたちあるもの」という歌を創り、廣瀬夫妻に贈る。

元・宮浦高校教師の谷田部がガンと診断される。治療の苦しさを思い手術を拒否する谷田部に対し、元教え子たち、そしてその子供たちや担任教師だった大沢の必死の説得が実を結び、谷田部は手術を受け、一命を取り留めるのだった。

幼かったケンとアキをはじめ、マサミ、ユイ、シンジ、レイコ、それぞれが少年少女から青年へと、花が開くように変わっていく・・・


このスレッドでは随時、原稿、ご意見、ご感想等を募集しております。お気軽にご投稿ください。

【Part.1】
http://www.alived.com/cgi/yyai/yyplus.cgi?mode=past_one&no=4233&pastlog=7

【Part.2】
http://www.alived.com/cgi/yyai/yyplus.cgi?mode=past_one&no=5871&pastlog=8

【Part.3】
http://www.alived.com/cgi/yyai/yyplus.cgi?mode=past_one&no=6538&pastlog=10

【Part.4】
http://www.alived.com/cgi/yyai/yyplus.cgi?mode=past_one&no=7674&pastlog=12

【Part.5】
過去ログに入った時点でお知らせします。
...2005/08/27(Sat) 00:41 ID:CP.qXjno    

             Re: 「世界の中心で愛をさけぶ Part...  Name:朔五郎
読者の皆様、共同執筆者の皆様、これからもよろしくお願いいたします。
...2005/08/27(Sat) 00:43 ID:CP.qXjno    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの汗

 何とか新シリーズでもクビはつながったようだ。
 でも,どうせ,使い走りでいいようにこき使われ,何かおこる度に叱られ役を押し付けられる日々なんだろうな。これって,イジメの世界じゃないか。
 大丈夫か,オレ・・・

 脚本家からも「働いてもらう」って言われたけど,今度はどんな無理難題をふっかけられるんだろう。
 まさか,コロッケパンはコロッケパンでも,イモのコロッケじゃなくって,クリームコロッケの入ったのを用意しろなんてことないよな。そんなの売ってる訳ないし,作れなんて言われたらどうしよう。
 大丈夫か,オレ・・・

 それとも,壇ノ浦まで行って,海底に沈んだ三種の神器を探し出して来いなんて言われるのかな。あの知盛のことだから,それくらい言いかねないよな。でも,そんなの元水泳部の岩丸にやらせりゃいいじゃないか。

 大丈夫か,オレ・・・
 多分,大丈夫だ。
 きっと大丈夫だ。
 ふぅ〜。
...2005/08/27(Sat) 13:45 ID:pCbWj1wo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
べーやんも学生時代は水泳部(シンクロ)でした(^^)
壇ノ浦、ですか(ニヤリ)
ウソです(笑)
...2005/08/27(Sat) 15:12 ID:G7innxo.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
24時間テレビの中で「小さな運転士〜最後の夢」というドラマをやってました。
「拡張型心筋症」という難病の少年が「江ノ電」の運転をしたいという夢を死の四日前に実現させるというお話で、久々に見ごたえのある作品でした。
それにしても父親役は、あの阿部「知盛」氏で、思わず「江ノ電」ではなく「広電(広島電鉄)」のマチガイではないかとツッコミを入れてしまいました(苦笑)
患者がキレて「どうせ良くならない」「お金がいっぱいかかる」と叫ぶシーンなど「世界の〜」を彷彿とさせました。さらに「読み聞かせ」のボランティアを続ける女性が、実は17歳の娘を病気で亡くしていたというシーンでは、思わず綾子さんではないかと見直してしまいました(^^;;;
ご覧にならなかった方、再放送があれば、観ていただくことをお奨めします。
...2005/08/27(Sat) 23:23 ID:G7innxo.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
パート6に突入、本当におめでとうございます。
一読者としてこらからも応援させていただきたいと思います。
それにしても、皆様の一つ一つの投稿がこれほどの長期に渡り維持され、大きなストーリーを構成され続けている事の素晴らしさを感じております。
これからもよろしくお願いいたします。
...2005/08/28(Sun) 01:48 ID:6JeeE84k    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その6)

デスクの上の電話が鳴っている。
大木水産社長・大木龍之介は手を伸ばして受話器を取った。
「社長にお電話です」
秘書の声が告げる。
“Hellow・・・”
シアトルの取引先からの電話だと思い、にこやかに応じた龍之介だったが、相手が戸惑っている気配を感じ、慌てて言い直した。
「は、はい。社長の大木です」
「もしもし、お忙しいところに恐縮です。私、大林アキの父親でございます」
「ああ、大林さん。お久しぶりです。お変わりありませんか。うちの息子は少しは、お役に立っているでしょうか」
「それはもう。健三郎君には感謝の気持ちでいっぱいです。実は私、アキの父親として健三郎君にお話ししたいことがございまして。一度お会いしたいのですが、最近うちの方にはあまり来られませんので・・・」
「アキさんと息子のことですよね?そういうことでしたら、私も同席したほうがよろしいでしょうか?」
龍之介はやや警戒しながら言った。
「いえ、そんなお手間を取らせるようなことでもございません。健三郎君と私、一人の男として、どうしても話したいことがございまして」
「差し支えなければ、そのお話、私にもお聞かせ願えませんでしょうか」
「実は・・・」
「はい・・・はい・・・なるほど。ほう・・・うん・・・ああ、そうですか。それなら早い方が良いかもしれませんね。わかりました、明日行かせましょう。3時に港の広場でよろしいですね。わかりました。ただ、分かっておられるとは思いますが・・・」
「ええ、もちろん。決して手を上げたりはいたしませんから」
「それを聞いて安心しました」

次の日の午後、達明は3時少し前に港に着いた。霞がかかったような海の向こうに、ぽっかりと夢島が浮かんでいる。やがて緊張した顔つきでケンがやって来た。
「呼び出して悪かったな。そちらのお宅まで伺おうかとも思ったんだが、顔も見せないような人間に義理立てすることもないと思ってね・・・まあ、そりゃ冗談だ。君と二人きりで話がしたかった」
「・・・・・」
「最近ちっとも来ないようだが、もう忘れたか、アキのことは」
「いえ、忘れたなんてことは」
「失礼だな、新しい彼女に」
皮肉たっぷりの言葉にケンが叫ぶ。
「新しい彼女なんて!」
「浮気でもして娘を捨てたのなら、もう一度ボコボコにしてやろうかとも思ったが、そういうわけでもなさそうだな。何かあったのか、アキと」
ケンは俯いてしばらく黙っていた。やがて重い口を開く。
「苦しいんです、アキといると・・・」
「苦しい?」
「勉強だってもう教えることなんか何もないし、行ってもしょうがないと思って。将来の設計だってすごく自信を持って、しっかりしたこと言ってるし、なんかオレ、もう居場所がないっていうか・・・アキにふさわしいのは、きっとオレじゃないんだろうなって」
「確かにアキは変わっちまったな」
「あそこの堤防の上とか、アジサイの丘とか、高校のグラウンドとか、オレの知ってるアキを一所懸命捜しました。でもどこにもいないんです。アキなど本当はいなかったと言われてるような気がして」
達明は夢島の方に目をやりながら言った。
「寂しいんだろう?俺もそうだ。クリスマスに廣瀬さんの家に行ってた頃なんか、まだ子供って感じでな・・・ちょっとくらい出来が悪くても、なんとか薬局を継いでくれりゃそれ以上望むことはない、どうしても薬学部に入れなけりゃその時だと思ったりもしたな。子供っぽくても、いつまでも傍にいて欲しいと思ってた・・・」
ほおっと息をついて達明は続けた。
「だけどな、変わりたいでも、変わらないでもなく、人間は変わっていくんだよ。生き続けるためにな。魚にも出世魚ってあるだろう?・・・まあ、お魚の学者様にこんなこと言ってもな・・・」
「・・・・・」
「世話になったな、ケン。貴重な大学生活を一年間犠牲するのは辛かったろう。ありがとう。だけどこれからも娘のことを頼みたいんだ」
頭を下げる達明にケンは慌てた。
「で、でも、もう自信がなくて」
「アキがどうして変わったと思う?あいつは別に深い考えがあったわけでも、高邁な目標があったわけでもないんだよ。ただ、君と同じ大学に入りたい、いつも一緒にいたい、デートがしたい、そのためにあいつなりに必死になった。そのうちに、自分の中の深い深いところに眠っていたものが目覚めたんだんだと思う」
「目覚めた・・・」
「なあ、ケン。世の中にはいろんなヤツがいる。いろんなヤツがいるから人間社会は成り立ってるし面白くもあるんだよ。それでも最近は中途半端に利口なヤツが多くなったな。そんなのに限って人の足を引っ張ったりしてな、自分が甘い汁を吸うことしか考えないんだ。だけど君はどうだ?自分の傍の人間の能力を引き出し、輝かせる。そんなこと誰にでも出来るわけじゃないぞ。すごいことじゃないか。いつか君があの会社を背負って立つ時に、きっとわかる。君は素晴らしいリーダーになれるよ。どうして自信が持てないんだ?」
「・・・・・」
「公園で君と話をした日から、アキは笑わなくなっちまった。それでも悲しみをこらえて頑張ってるよ」
「・・・アキ」
「君でなけりゃ駄目なんだよ。君しかいないんだよ、アキには」
達明は海面に視線を落とした。
「親なんて悲しいものさ。どんなに娘を愛していても、行く末が心配でも、それを見届けることは出来ないんだよ。だから、一番信頼する男に娘を預けたいと思うんだ。ちょっと早すぎる気もするが、アキにとって君以上の男が出て来るとも思えなくてな。もちろん智世もそう思ってる」
「・・・・・」
「だから、もし君にアキが好きだという気持ちが少しでも残っていたら、会いに来てやってくれ。アキは待ってる。じっと耐えてな」
「・・・・・」
「合格したら君たちは自由だ。東京でもディズニーランドでもニューヨークでも、好きなところに連れてってやってくれよ」
「・・・・・」
「頼む・・・」
「はい・・・行きます、アキに会いに」
「そうか・・・良かった・・・それじゃ、アキについて話しておかなけりゃならないことがある。悪いがもう少し話をさせてくれ。アキがどうしてあんなに急激に変化したかということだ。実は、今までが仮の姿でな、今のほうが本来のアキなんだよ」
「本来のアキ・・・」

(続く)
...2005/08/28(Sun) 02:09 ID:1JcnjBQk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま
激励の言葉ありがとうございます。
「宮浦の春」では今までの「行き違い」や「誤解」をすべて解消し、新しいステップに踏み込むまでを描きます。地味でツナギ的な部分ですが、これから先の土台になりますので、しっかり創っておきたいと思います。
たー坊様の物語もホノボノして楽しませていただいております。
お互いに頑張りましょう。
...2005/08/28(Sun) 02:25 ID:1JcnjBQk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
お疲れ様です。ケンに語る達明の言葉は読み応えありました。今後の展開の布石になりそうですね。

「高校時代編」ではアキたちが卒業するストーリーがまだなので、私はそちらを重点的にやらせていただきたいと思います。「ユイ編」「ハルカ編」はちょっと後になります。

※とりあえず試験が終わりました。11月まで結果待ちですが、しばらく開放感に浸りつつ、ストーリーを投稿していきます。
...2005/08/28(Sun) 17:59 ID:dHKP770E    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その7)

達明は昔を懐かしむような口調で話を続けた。
「アキは小さい時から、お絵かきばかりしててな、それでも無邪気でかわいい子だったんで、まあいいやと思ってたんだよ。ところが小学校に上がってから知能テストっていうやつがあってな」
達明は、智世と担任の先生の面談の様子を話して聞かせた。
「もしかしたらこの子には素質があるのかも知れない。それからは俺たちも少し欲が出て、英会話だの算数教室だの通わせようとした。それが長続きしないんだよ、何をやっても。それでも不思議なことに、たぶん素質だけで、中学まではそこそこの成績を取って宮浦高校には入れた。ところが高校に入ったら安心しちまったのか、それまで以上に勉強しなくなって・・・あとは君の知ってる通りさ。すっかり君に頼り切りになってしまった」
「すみません・・・」
「君が悪いんじゃないよ」
達明は笑った。
「前から思ってたんだが、素人の俺から見ても、アキの絵は普通とは違う何かがある。それで俺は高校の大沢先生に相談した。そしたら先生は言うんだ。アキは空間というものをイメージする能力が非常に優れている。普通の人間が紙に書かれた図形を見ても平面的にしか見えない。だけどアキは、まるで3D画像を見るかのように瞬間的に立体的イメージを創り上げてしまうんだろうと。アキの描くあの摩訶不思議な絵がなんとなく生き生きして見えるのは、無理にヒネクリ出したものではなく、自分の感性を素直に表現したからだろうってね」
「大沢先生は見抜いていたんですね」
「そうだ。ところで君も理科系だから経験してると思うけど、数学や物理で一番苦労したのはどんなことだ?」
「やっぱり積分で立体の容積を求める問題です。それがどんな形をしているのか、なかなか思い浮かばなくて・・・あっ」
「そうなんだ。それから、物理でも化学でも物質の立体構造を考えなければならない。ところが本に書いてあるのは平面的な構造式ばかりだ」
「そうか・・・」
「アキは君と同じ大学に入りたいばかりに今度こそ本気で勉強する気になった。モチベーション(動機付け)というのはやはり凄いものだな。そこで初めて人並みはずれた才能が絵を描くこと以外のことに向けられたわけだ。最初は全然分からなかった問題でも、基礎的な公式とかを覚えたときに、簡単に解けるようになったのをアキは感じたんじゃないかな。容積を求める立体の形が、分子の立体構造がそれこそ面白いように浮かんでくる。そりゃ、やる気も出てくるだろう。英語や国語みたいな科目だって劣っていたわけじゃなくて、これまでやる気がなかっただけだから、どんどん成績も上がっていったんだろうな」
「ということは・・・」
「たぶん君が思っている通りだ。アキの、絵を描く才能と成績が上がったことは一見関係ないように思える。でも実は表裏一体のものなんだ。あいつなりに苦労したこともあるだろうけど、別に絵を描く才能を削ったわけでもない。ことさら何かを得たわけでも、何かを失ったわけでもないんだ。最初からアキの中に存在したものが目覚めて、表面に浮かび上がってきただけなんだ。だからどんなに変わったように見えても、アキはやっぱりアキなんだよ。いつか君とでデートできる日を夢見て、宮浦大に入ることだけを目指している。東大や他の大学に行くなんてことは考えたこともないだろうな」
「オレが、オレが間違ってました。アキの本当の気持ちにも気付かないで、表面上のことだけ見て、勝手に思い込んで落ち込んで。何やってたんだろう、オレ」
「仕方ないよ。親の俺でさえ戸惑ったんだから。なにか常識の枠からはずれちまったような気がしてな・・・でも、君たちは凄いな。うまく言葉では表せないけど、とにかく感動したよ。二人で力を合わせれば、運命でさえ撥ね返してしまいそうな迫力を感じてね。智世とも話したんだ。ショッピングセンターの二号店の方は、時期が来たら全部アキに任せようって。俺たちにはない新しい発想でやっていけばいい。アルバイトの店員を使ったっていいし、親戚の薬剤師と共同で経営してもいい。実は俺たちの世界も結構厳しいものがあってな、今の小さな店じゃ、近くに量販店なんかできたら苦しいだろう。あの店は俺と智世が守って、それで終わりだろうな。本当はあの小さな薬局で親子肩を寄せあうように仕事がしてみたかった。でもそれは無理だな。アキには狭すぎるよ、きっと。だから地域に貢献するっていう気持ち、それだけを受け継いでくれればいいんだ」
「・・・・・でも、才能がそれだけ発揮されたってことは・・・」
「そうだな、多分、絵の方でも今まで以上に感覚が研ぎ澄まされていることは十分に考えられるな。それにアトリエの中より普通の生活の中にこそ題材が転がっているってこともあるからね。まあ、そっちは素人だからなんとも言えんがな。君がいっしょに考えてやってくれ」
「ええ」

「こんばんは」
その夜、閉店間際の大林薬局にケンがやって来た。その姿を見た智世は「ああっ」という顔をすると、あわてて二階へ駆け上がって行った。
急ぎ足で階段を降りてきたアキにケンは言いかけた。
「アキ、今のオレに・・・」
「ま、まま、立ち話もなんだから上がって、ね」
智世が促す。
「はい」
二人はアキの部屋で向かい合った。智世が紅茶とお菓子を持ってきたが、すぐに下に降りて行った。
「来てくれたのね」
「うん」
「もう来ないと思ってた」
「ごめん」
「ひどいよ・・・センター試験の結果、いっしょに喜んでくれると思ったのに」
「ごめん、オレが間違ってた」
「もう、あんなことしないで」
「悪かった」
ケンが泣いているアキの肩を抱いた。
「今のオレにたった一つできることを見つけたんだ」
バッグから一枚のMDを取り出した。
「これ聞いてみて」
「なに?」
「宮浦大生からアキへのメッセージ。シンジ、ユイ、レイコ、薬学部のミホ先輩、バスケ部のみんな、絵を描くのが上手な水産学部のサユリ・・・みんなアキを待ってるって。絶対に宮浦大に入ってきて欲しいって」
「ありがとう・・・うれしい」
「良かった」
「でも」
「でも?」
「ケンの声は入ってないの?」
「うん、オレの声は入っていない。オレはアキに直接言うから」
アキがケンを見つめる。
「アキ、オレは待ってる。四月には必ず宮浦大に入って来い」
「・・・うれしい、ありがとう」
アキの腕がケンの首に回った。
「アキ・・・」
「もう一度言って」
「アキ・・・アキ」
「もう一度」
「アキ」
「ね、いいよね。今までどおり寄りかかってても」
「いいよ。アキはそのままでいいんだよ」
「うん」
「でも・・・今までより重く感じる」
「あ、ひどい」
「だから、そういう物質的なことじゃなくてさ」
自分に寄りかかってくるアキの命や未来の重さを、ケンは心地よく感じていた。

(続く)
...2005/08/29(Mon) 01:12 ID:fufpXZYY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
試験お疲れ様でした。いよいよ復帰ですね(^^)
新シリーズのゲストキャラもなかなか味がありそうで楽しみです。

朔五郎は「ヒロシマ」関係の勉強中です。ちょっと違う角度から「ヒロシマ」に迫ってみたいと思っています。
...2005/08/29(Mon) 01:27 ID:fufpXZYY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
これから楽しんで書いていきますので、よろしくお願いします。


四国編・香川の正月編に登場したミライの母と姉ついて、イメージしてみましたが、いかがでしょうか?

母・亜矢子=余○美子さん
「優しい時間」の「北時計」のママや「いま、会いにゆきます」の尚美先生のイメージです。
『マサミさんに何したの!』とミライを問い詰めるセリフがありましたが、余さんの顔がチラつきました。

姉・千恵子=菅野○穂さん
「ちゅらさん」に出ていたときのイメージです。アパートの住人はみんなカップルになるのに、自分だけ置いてけぼりを食って焦り気味のあの女性です。
「ねえ、ミライ、どうやってだましたのよ」と悪態をつくセリフに菅野さんがチラつきました。

※これは私の主観的なイメージであり、執筆された朔五郎さまや他の読者の皆様はそれぞれ別のイメージがあるかもしれません。あくまでも参考意見としてお受け止めいただけたら、と思います。
...2005/08/30(Tue) 23:35 ID:ZbpCyxhU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
亜矢子、千恵子については、朔五郎にしては珍しく既存の女優さんを想定しないで書いております。

ちなみに、映画ではサクの母親は「綾子」、姉は「千恵子」です。
このスレでは既に「廣瀬綾子」が存在したので「亜矢子」にしました(特に沢田亜矢子さんを意識したわけではありません)

余さんも、菅野さんも、イメージには十分合っていると思います(^^)
...2005/09/02(Fri) 00:14 ID:XAPAyNpQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
朔五郎様
ケンの自信回復とアキとの絆を確認できた今回の物語。本当なら、相手との将来に対して不安のほうが強いものなのでしょうが、それを受け止め、心地よいとすら思えるケンには驚かされます。
アキが東大受験をしないで、ケンとの時間を優先させるのも理解できます。
これからのキャンパスライフを楽しみにしております。

SATO様
復帰第一弾を心待ちにしております。
これからもよろしくお願いいたします。
...2005/09/02(Fri) 22:44 ID:dWeE0mrg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さま
激励ありがとうございます。
朔五郎さまがケンとアキの絆を描いていらっしゃいますので、私はその約1年前、アキ・智世母娘の絆、マサミとのわだかまりの解消を中心に書こうと思います。ドラマ版「いま、会いにゆきます」をヒントに、タックンとマリコさんをゲストにお迎えいたします。
...2005/09/03(Sat) 00:37 ID:Brzd7xZw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま
コメントありがとうございます。
「宮浦の春」は入学式の日に終わりますが、引き続いて「広島編」になります。
少しだけネタをばらしますと、入学式の日にアキに話しかけてきた「あいつ」は文学部の新入生で、アキが広島へ行くキッカケとなります。また彼はバスケ部に入部し「大木先輩」を尊敬しながらも心の中では激しいライバル心を燃やします。
「広島編」では、いよいよ「本来のテーマ」というべき絵画あるいは絵本の創作がメインになってきます。達明が「親バカ」ぶりを発揮するかもしれません(苦笑)
GWの連休の頃、アキは広島を訪れますが、娘の一人旅に不安を抱くアキの両親はケンに「ボディガード」を依頼する、というスジです(笑)
ゲストキャラは「筑紫教授」「松野たか子・あい・真希の三姉妹」を予定しております(笑)
...2005/09/03(Sat) 04:30 ID:jjCjSkPQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春 (その8)

【シーン39】

語り「信長の楽市楽座政策により領内は活気に満ち、瓦版や芝居の興行など、大衆向けメディアの発達も著しかった。しかし、繁栄があれば、その旨味を独占しようとする者が現れるのが世の習いである。ここ、信長の領内でも情報産業の大手・富士屋が乗っ取りの危機に瀕していた。その陰謀を暴き富士屋を救ったのが、濃姫主従と、信長に忠誠を尽くす豪商・三浦屋真衛門であった」

濃「今日も海が綺麗だのう。三浦屋、今回の働きまことに見事であった。濃からも礼を申すぞ」
真「ははーっ、勿体無いお言葉。この真衛門、痛み入りまする」
濃「追って信長殿より恩賞の沙汰もあろう」
真「ははーっ、ありがたき幸せ」
濃「話は変わるが・・・濃の目安箱にその方の娘、お亜季からの訴えが入っておったぞ」
真「お亜季の訴え?」
濃「そうじゃ。これによれば、父、真衛門があまりに干渉するので困っておると・・・娘のことが心配なのはわかるが、度が過ぎるのは考えものではないか」
真「恐れながら申し上げます。いくら濃姫様の仰せとはいえ・・・」
朔「えーい、黙れ黙れ、濃姫様のお言葉に逆らうとは何事じゃ。姫が来られたら忠誠の誓いをいたせ。貴様のような無礼者はこの朔次郎が懲らしめてやる」
真「ひえー、ご、ご無体な・・・たすけて、たすけてくださりませー」
介「ま、待て、朔さん。落ち着け。三浦屋に何か恨みでもあるのか?」
(朔、ハッと我に返る)
朔「お、おお。つい取り乱してしまった・・・まるで他の誰かに乗り移られたような・・・」
濃「三浦屋、今後お亜季に届いた恋文を勝手に捨てたりしてはならぬ。よいな」
真「は、ははーっ。恐れ入りましてござりまする」
濃「これにて一件落着。(満足そうに頷いて)では介さん、朔さん、参りましょうか」
(晴れやかに歩いて行く濃姫主従を領民たちが見送っている)

「はいカット!チェック・・・OK・・・今日の撮影終わり」
「ミチルちゃーん、お疲れさまー」
ミチルは重いカツラを外すと、用意された椅子に腰を降ろした。バッグからメーク道具の入ったエルメスのポーチを取り出す。
キラキラ光る海に誘われるように、ミチルは立ち上がり歩いて行った。
「あっ!」
ポチャっという音と共にミチルが叫び声を上げた。
「ミチルちゃーん、どうしたの?」
「メークの道具、落としちゃった」
「ありゃ」
「あのポーチ、気に入ってたのに・・・ああ、ムカつく、もう帰る。そうだ、言ってやりたいことがあるから、あとであいつを私の部屋に来させて!」
ミチルが指差した先にはべーやんがいた。
「え、か、勘弁して下さいよ」
「ほらべーやん、こういう時のために君がいるんだよ」
「メーク用品は女優にとって《三種の神器》も同然。それが海に沈んだんじゃ、そりゃムカつくわな。ほら、さっさと行って来いよ」
「はいはい。ミチルちゃんによろしくね」
これから自分の身に降りかかる苛酷な状況を予感するように、山辺はトボトボと歩いて行った。

ミチルの部屋の前ではマネージャーの中谷が待ち構えていた。
「ミチル、来たわよ」
「中に入れて」
「こいつ一人で?」
中谷は山辺をジロリと眺めた。
「平気平気、そいつに何か出来るわけないでしょ?」
「それもそうね」
鼻の先で笑うと、中谷はドアを開けた。
山辺がおずおずと中に入る。
ドアが閉まるとミチルはドアに近づき、気配を伺った。そして山辺に近づき背中に腕を回すと、耳元で甘くささやいた。
「ごめんね、タカユキ。二人きりになるにはこうするしかなかったの」
「いいんだよ。でも本当にエルメスのポーチ捨てちゃったの?」
「ううん、あれは500円均一コーナーで買った安物よ」
「あ、やっぱり・・・」
山辺はテーブルの上に見慣れない台本が置いてあるのに気が付いた。
「なに?この《GO、選挙》って」
「もうすぐ宮浦町議会議員選挙があるの。そのキャンペーンに協力して欲しいって言われたの。出番待ちの間にちょこちょこっとね」
「だってミチルは宮浦出身ってわけでもないでしょ?」
「うん、広島県三原市出身だよ」
「縁もゆかり無いのに.・・・」
「まあ、断れないのが女優の辛いところよ・・・あ、縁って言えば、この間不思議な話を聞いたの。ほら、お寺のシーンがあったでしょ。撮影の後、住職さんが通りかかったの。そしたらね・・・」
「そしたら?」
「そのお坊さん、私のことをまじまじと見るのよ。その後、静かに合掌してお経を唱え始めたの。その様子が普通じゃなかったから、どうしてそんなことをするのか聞いてみたの。なんでも30年くらい前に、私とそっくりの女の子がいたんだって」
「へえ」
「それでね、その女の子はご住職の好きなひとだったんですか、って聞いたら顔を真っ赤にしてた。でもね・・・」
「でも・・・?」
「そのひとが今どうしてるか聞いても、悲しそうに首を振るばかりで決して答えなかったの」
「なんだか気になるね」
「そうでしょ?」
ミチルはふと思いついて話題を変えた。
「そうそう、あの掲示板に変わった書き込みをする人がいたでしょ?《ぞよ》とか」
「うん」
「あのあと、結構話が合うようになって、メアド交換したの」
「え、知らない人に簡単に教えちゃっていいの?」
「大丈夫よ、あのひとは。そしたらね、結構来るのよメールが。彼女、宮浦にも来たことがあるんだって。いろんな情報をくれたわ・・・あ、また着信した」
「どうしてわかるの?」
「だって着信音が鳴ってるじゃない」
「え、オレには聞こえないんだけど・・・」
「ウソでしょ?ほら」
「ほんとだ・・・着信してる」

こんにちは、ミチルさん。ジュリエットです。またメールしちゃいました。
ミチルさんと話してると、とても楽しくて、なんだか懐かしいような気もする。宮浦はもう春めいて来ましたか?
実は宮浦には友達が住んでるんです。その友達の娘さん、もうすぐ受験なんですけど、大丈夫かな。去年一度ダメだったんで、今年こそ頑張って欲しいんです。
一時、親子の仲がギクシャクしたこともあったみたいだけど、合格こそ一番のクスリ。絶対に合格して欲しいです。
友達に娘がいるなんてオバサンみたいなこと言ってますけど、私、十七歳なんです。いつまでたっても十七歳、不思議ですよね。
わらわは帰りたいぞよ、宮浦に。友達がいて楽しかったから。
それでは、またメールします。撮影頑張ってね、ミチルさん。

「なに?このメール・・・ふざけるてるとしか思えないんだけど」
「私には何となくわかるなあ」
「・・・大丈夫か、ミチル」

(続く)
...2005/09/03(Sat) 20:41 ID:jjCjSkPQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>「ミチルは宮浦出身ってわけでもないでしょ?」
>「うん、広島県三原市出身だよ」

ってことは,あの広島6区ですか。あの「吠えまくっても○○○ちゃん」と「△△エモン君」激突の・・・
(告示期間中のため,伏字にしました)

 選管のポスターと言えば,「陣釜女史」(04参院選)や「皿の割れる喫茶店の従業員」(05静岡知事選)も起用されていますから,そろそろミチルに声がかかってもいい頃かもしれませんね。炎天下での遊説疲れの水分・電解質補給に「ソリタT的飲料」というCMだけでなく・・・

 それにしても,メール着信音がミチルにしか聴こえない訳も何となく判りますが,くれぐれも「あの病気」の症状としての幻聴でないことを祈っています。
...2005/09/03(Sat) 21:06 ID:w3LaUyE6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
そうです。あの「6区」です。しかし、これは全く偶然でして、どうしても「三原市」でなくてはマズイのです(苦笑)

「着信音」は「あの病気」に起因するものではありませんのでご安心を。
ちなみにホラー映画のパクリでもありません(笑)
...2005/09/03(Sat) 22:43 ID:Am.BlgKA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
キズナ〜プロローグ

2017年3月、アキたちは高校卒業を控えていた。残念ながらアキは不合格になり、来年にリベンジを期することになった。そんなある日の出来事です。

図書館の帰り、アキは地元の観光協会にやって来た。

アキ「今日は。」
女性「いらっしゃい、待ってたよ、アキちゃん」

女性の名前は中瀬マリコ(25歳)。宮浦高校OGで、アキの美術部の先輩にあたる。学年は重なっていないが、月1回、コーチ役として部活に顔を出していた。飾らない明るい性格が後輩たちに人気があり、アキもそんなマリコのファンだったのである。

マリコ「どうした、まだ落ち込んでる?」
アキ「そりゃ、落ち込まないと言ったらウソになりますよ・・・みんなは、その話に触れないように気を遣ってくれてるんですけど、ちょっと息苦しいです。」
マリコ「ケンちゃんは?」
アキ「不合格を真っ先に報告したのがケンちゃんだったんです。すごく心配してくれてて、何か出来ることないかって言ってくれるんですけど、何か悪いことしちゃったかな・・・」
マリコ「いいわね、支えてくれる人がいて。うらやましい。さあ、早速観てってよ。」
アキ「大沢先生が絵を出されたんですよね。」

マリコは観光協会の職員をしていた。そして、今日から協会の建物内で展覧会が始まり、大沢先生も絵を出していたのである。

アキ「大沢先生の絵、ちょっと雰囲気変わりましたね。」
マリコ「そう思う?」
アキ「何か、こう、包容力を感じるっていうか・・・」
マリコ「そうだね、絵の中に優しさを感じるようになったよね」
アキ「あ、マリコさんも出してるじゃないですか?」
マリコ「うん、大沢先生に声かけたからね、変なもの出せないから気合入れて頑張っちゃったよ。」

絵を見ながらマリコとアキはしばらく談笑していた。そして・・・

マリコ「成宮クーン、時間よ。」
すると一人の青年が顔を出した。青年の名前は成宮タクミ(25歳)。マリコとは中学時代の同級生である。この町の出身だが、諸事情で東京の高校に進学し、その後地元に戻ってきたのである。

タクミ「アキちゃん、こんなところで会うなんて珍しいね。」
アキ「今日はマリコさんに誘っていただいたんです。」
タクミ「ゆっくりしてってね。中瀬さん、お先に失礼します。」

****************

1時間ほど時間が経って、ここは大林薬局。
タクミが入ってきた。

智世「あら、タックン、いらっしゃい。今日は通院日だった?」
タクミ「はい、これ、処方箋です。」
智世「いつものとおりか、ちょっと待っててね」

そう言うと、智世は薬の処方を始めた。


キズナ〜1


薬の処方をしながら智世が話しかけた。

智世「タックン、雨の季節の頃から色々大変だったね。あまり無理しないでよ。」
タクミ「いろいろご心配いただいて、ありがとうございます。中瀬さんの紹介で仕事も順調ですし、智代おばさんにもいろいろ話を聴いていただいてるので・・・」
智世「あたしでお役に立てるのであれば、いつでもどうぞ。」
タクミ「ただ・・・」

悲しげな表情をタクミは浮かべた。雨の季節が始まる頃、彼の妻はこの世を去った。忘れ形見のように一人息子のユウジを残して。彼の薬をいつも処方していた智世も葬儀に参列している。智世には大切な人を亡くしたタクミの気持ちが痛いほど伝わってきた。

智世「無理に話さなくてもいいよ。」

タクミは無言でカバンから絵本を取り出した。それは彼の妻が残した『わすれないから』という手作りの絵本だった。

タクミ「ちょっと、読んでいただけます?」

絵本を読んでいるうちに、智世の目に涙が浮かんできた。

智世「奥さんの愛情がひしひしと伝わってくるわ。私もこの話、信じてみたい。」
タクミ「ありがとうございます。死んだ人間が、雨の季節になったら戻って来るなんて、現実にはあり得ない。でも、本当に彼女が戻ってきてくれたら・・・その時は彼女にふさわしい、もっといい男になっていたい、そう思うんです。」
智世「ユウジ君にはこの絵本を見せたの?」
タクミ「まだ、見せてないんです。信じたいけど、実際はあり得ない話をユウジに聞かせて、ガッカリさせるようなことはしたくないんです。一番悲しい思いをするのはユウジですから。」
智世「そうだね、おおいに迷うよね。私がタックンの立場でも迷うと思うよ。そうだ、ちょっと付き合わない?わたしもタックンに聞いてほしい話があるの。」

智世は達明に店番を頼み、タクミを連れて出かけて行った。

*************

観光協会に男の子が駆け込んできた。タクミの息子のユウジである。

ユウジ「タックーン」
マリコ「ユウジ君、パパね、今日はお医者様の日なのよ。」
ユウジ「あ、忘れてた。それじゃアキちゃんのところにいるかな?」
アキ「多分ね。でも、お母さんと話し込んでるかもよ。」
マリコ「ユウジ君、今日から展覧会だから、ゆっくり見ていきなよ。」
ユウジ「うん、あ、マリちゃんの絵だ。」
アキ「そうだよ、とっても絵が上手だからね、マリコさんは。」

ユウジは絵に見入っていた。そんなユウジを笑顔で見守るマリコ。

アキ「可愛いですね。あのくらいの年頃の子って。」
マリコ「そうね。でも、あの子、お母さんがいないでしょ。あんな感じで明るく振舞ってるけど、心の中ではどうなんだろうと考えると、不憫に思うわ。」
アキ「そうですよね・・・」
マリコ「私にはなついてくれてるけど、やっぱり赤の他人。母親の代わりなんて出来ないし、そんなこと考えちゃいけないのよ。」
アキ「はい?」
マリコ「だって、あの子の母親、私の親友だから・・・」

***************

智世とタクミは宮浦高校のグランドに来ていた。
ベンチに腰掛けて陸上部の練習を見る二人。

智世「ここはね、私の親友との想い出の場所なの。高校時代、陸上部でね。私と親友はいつも、ああやって走っていた。」

二人の目の前を陸上部員が駆け抜けていく。

タクミ「僕も、学生時代は陸上部でした。あんな感じで走ってて、彼女はいつも僕のことを見ていてくれてて・・・」
智世「奥さんのこと?」
タクミ「ええ・・・」

(続く)
...2005/09/04(Sun) 22:49 ID:i3DmvX4w    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
成宮君の下の名前をどうしたものか迷いましたが、やはり「タクミ」とさせていただきました。
マサミの後輩の会田タクミ君は将来中村サンに似てくると思いますし、アキの知り合いの成宮タクミ君とは別人ということで・・・


朔五郎さま
ミチルが濃姫を演じている時代劇は「水戸黄門」を思わせますね。「この方をどなたと心得る、控えおろー!」のセリフを聞いてみたいですね(^^)
海に沈んだ「三種の神器」はつい先ほど観た「義経」を思わせます。いやー、阿部さんが演じた知盛はカッコよかったですねー。入水する前に例のセリフがでましたよ、にわかマニアさま(^^)
...2005/09/04(Sun) 22:57 ID:i3DmvX4w    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>いやー、阿部さんが演じた知盛はカッコよかったですねー。入水する前に例のセリフがでましたよ

 まったくもって,そのとおり。平家は他に人材がいないのかというような描き方でしたね。
 それにしても,何でもかんでも知盛にかぶせ過ぎというのか,八艘跳びの場面の主役は能登守教経のはずなのに,知盛に代役をやらせるとは・・・
 おかげで,まさか知盛は「あのセリフ」なしに,錨ではなく源氏方の武将2人を両脇に抱えて飛び込むのかと,余計な心配までしてしまいました。坂本竜馬と近藤勇や土方歳三が佐久間象山を介して旧知の仲だったという昨年の新撰組といい,ストーリーを面白くするなら事実まで粉飾するというのは,ちょっと「やり過ぎ」という感じもしました。
 そう言えば,都落ちから一ノ谷に至る場面でも,薩摩守忠度は登場しませんでしたね。俊成に遺作(詠み人知らずとして千載集に掲載)を託すあの名場面が・・・

 それにしても,ベーやんは壇ノ浦に潜らされずに済んでよかった。
...2005/09/05(Mon) 12:39 ID:cNhDRx/k    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
>「水戸黄門」「義経」
ご推察のとおりパクリです(^^;;;

にわかマニアさま
実は最初は「おまえシンクロやってたんだから潜って探して来い」というセリフを考えたのですが、2月の海に潜れというのは(いくら温暖な宮浦でも)あまりに「非人道的」と思い、やめました(苦笑)

さて「大河ドラマ」の話題が出たのでもう少し
来年度の「功名が辻」は賢夫人として名高い「山内一豊の妻」のお話なのですが、なんとその山内一豊氏に「愛人」がいたという「衝撃的な展開」になります。
その愛人は実は敵方の「くノ一」なのですが、それを演じるのがなんと長澤まさみさん(^^;;;
いいんでしょうか、こんな役をやらせて・・・
その他、現在、当スレッドに出演中の方では、長谷川京子さんが「細川ガラシャ夫人」
「タックン」こと成宮さんが「殺生関白・豊臣秀次」など、なかなか興味深いキャストであります(^^)
...2005/09/05(Mon) 21:19 ID:i75Gqpho    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春 (その9)

2018年2月3日。
喫茶店「海の時計」のカウンター席には長谷部ナオミ、テーブル席には大林アキが座り、コーヒーを飲みながら参考書を読んでいた。
「節分だね。明日はもう立春か」
マスターが呟く。
「もう春ですねえ。でも長野のスキー場はまだまだ雪の中ですよね・・・」
レイコは2022年札幌五輪を目指して練習を再開したニノの姿を思い浮かべた。
「ナオミちゃん、特別進学クラスの方はどう?」
「それが・・・」
「もしかして、すごく厳しいとか?」
「いえ。でもクセのある先生が多くて」
「クセのある先生?」
「ええ。日本史の武田先生は坂本竜馬と海援隊の話しかしないし、英語の天海先生は冷酷非情な女王様だし、数学の仲間先生はジャージ着て叫んでるし、ほんとに大丈夫なのかな・・・一般クラスの時の阿部先生や大沢先生が懐かしいです」
「なーんにも良いこと無いわけ?」
「あ、でも担任の福山先生が、暗記することをメロディーでもラップでも良いから、とにかく替え歌にして覚えろって。歌は言葉の印象を強調するために生まれたものだから、歌うことによって意識に刷り込まれるって。そう言われれば、そんな気もします」
「そうかもしれないね」
「でもなあ」
「どうしたの?何か悩みがあるの?」
「私やっぱり心配なんです。お母さん、あんまり体が強いほうじゃなくて、一年に一度は熱を出して寝込むんです。強がり言ってても心細いと思うんです。私、ホントに東大なんか行っていいのかな。そんな自分本位に生きていいのかな・・・」
「ナオミちゃんが東大に行くのが、自分本位かい?」
それまで黙って聞いていたマスターが静かに口を開いた。
「ナオミちゃんは優しいねえ。ぼくがお母さんの店に行くと、お母さんは娘の自慢話ばっかりしてるんだよ。でも、ナオミちゃんを見てるとその理由が良く分かるよ」
ゆったりとした時のリズムに合わせるようにマスターは言葉を続けた。
「たぶん、お母さんも言ってたと思うけど、ナオミちゃんの夢はね、もうナオミちゃんひとりの夢じゃないんだ。ナオミちゃんは、お母さんの娘であると同時に、いずれ社会の一員になるんだよ。世の中にはね、ナオミちゃんが目指しているような頼りになる弁護士を必要としている人がたくさんいる。ああ、そうだ、お母さんが言ってただろう?格好良く生きろって」
「はい」
「格好良いって言うのはね、ただ東大出たとか司法試験にパスしたエリートとか、そういうことじゃないんだよ。格好良い人っていうのは自分にウソをつかず決して諦めない人。家族や友達も大事にして、社会でもきちんと自分を活かせる人。そういうバランスのとれた考え方ができる人のことを言うんだよ。ほら、あそこに良いモデルさんがいる。アキちゃん」
マスターはアキに話しかけた。
「アキちゃんの未来予想図はどんな感じ?」
「親とも話したんですけど、自分を育ててくれたこの町に何か貢献したいので、薬局は続けようと思ってます。ただ、時の流れと共にニーズは変わってくるので、そこらへんも考えたいと思います。量販店にないきめ細かなサービスとか。お店のレベルを上げるためにはよそから人を雇うことも必要かもしれません」
「なるほど、みごとな経営戦略だね」
「それから・・・」
「うん」
「それとは別に私には自分自身の目標があります。私にしか描けないものがある。私にしか伝えられないものがある。高校で大沢先生の少年時代の話を聞き、30年以上前に亡くなった廣瀬亜紀さんという人の絵本に出会ってから、その思いはどんどん強くなりました。いま、この世界は病んでいます。私たちの世代がそれを止めなければ病気はどんどんひどくなって、気が付いた時には手遅れになってしまうでしょう。声を上げることは私たちの責任です。でも、それは、ひとりひとりが自分の一番得意な方法で始めればいいと思うんです。医師や看護師になって病と闘う人、法律を勉強して不正と闘う人、学校で未来を担う子供たちを育てる人、みんなが安らげる場所と時間を作ってあげる人・・・どんなやり方でも構わない。私には絵という武器があります。これから先の世界を生きる子供たちに命の大切さを伝えるような、そんな絵本を創りたいんです」
「そうだねアキちゃん。人間は一人で生きてるんじゃない。家族だけで友達だけで生きてるわけでもない。世界中で生きている人、これからこの世界に生まれて来る人、そのひとりひとりが最後には運命を共にするんだよ」
「廣瀬亜紀さんの夢は絵本の編集者になって世界中を飛び回ることでした。あちらこちらから題材を集めて絵本を創る、すばらしいことだと思います。でも、あの時代に比べて、情報ネットワークの発達で世界中の距離は縮まっています。だから私はこの宮浦という小さくて美しい町から世界中に向けてメッセージを発信する、そんなことも出来ると思うんです」
「アキ、すごいよ。私はアキに何もしてあげられないけど、がんばって」
「ううん、レイコはこのお店で美味しいコーヒーとカレーを作ってよ。ここに来れば仕事でどんなに疲れていても、どんなに悲しいことがあっても元気になれる、そんなお店にして欲しいな」
「ナオミちゃん、先輩の話を聞いてどう思った?」
それから長い間、ナオミは自分自身と向かい合うかのように考え込んでいた。

「へえ、うちの娘、そんなこと言ってましたか」
「うん」
「海の時計」の閉店後、マスターは「きょうこ」にやって来た。
「帰って来るなり二階へ上がって、降りて来ないんですよ。何かあったのかと思って気にしてたんですけど、そういうことなら安心しました」
「ナオミちゃんはお母さんのことが好きで好きでたまらないんだね」
「止してくださいよ、なんか恥ずかしい」
「女手一つで育てるのは大変だったでしょう・・・」
「それなりに苦労はしましたよ。でもそれを苦痛に思ったことはありません。結婚してすぐに夫が亡くなりました。私もまだ仕事してましたから、二人で過ごした時間なんてほんの少しだったんですよ。それなのに、まるで奇跡のようにあの子を授かった。楽しかったなあ、17年間の子育て。あの子が小さいスプーンを持って、口の周りをいっぱい汚してクチャクチャ食べているのを見て、どうして上手に食べられないの、ああどうしてこぼすの、なんて口では怒ってるんですけど、すごく優しい顔になっているのが自分にも分かりましたよ。仕事から帰って、あの子が抱きついてきた時の温かさ。それがなかったら、私の一生は砂をかむような味気ないものだったと思います。あの子がいなかったら、私はもっと華やかな世界に生きていたでしょう。でも今以上に幸せだったとはとても思えないんですよ。あの子は夫を亡くした私を勇気付けるために来てくれた、かぐや姫なんだって今でも思ってますよ」
「かぐや姫ねえ」
「だから私は、ナオミは自分の娘だけど、私有物だとは思ってませんよ。大切に大切に育てて、社会に帰そうと思っているんですよ。でもねえ、母親から見てもビックリするほどきれいな女の子になって、立派な目標も持ってて・・・そんなのを目にすると、ああもうすぐ元の世界に帰って行くんだなあ、って胸に迫ってくるんですよ」
「京子さんは寂しくないの?」
「寂しいですよ、寂しいに決まってるじゃないですか。でも、たとえ親と子でもやっぱり人間同士。必ず別れの時は来るんです。いままであの子にずいぶん元気をもらったから、そうなったらこの店を一人でやって行きますよ。」
「京子さん」
「いったいどんな世界に帰って行くんでしょうね、うちのかぐや姫・・・」
「あなたは美しいひとだね。美しくて、誇り高くて、でも哀しいひとだね・・・」

(続く)
...2005/09/05(Mon) 23:06 ID:khNNV7tM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
京子ママは強がってるんでしょうかね?マスターはそこが言いたいのでしょうか?


「赤い運命」の放送日が公になりました。
10月4・5・6日の3夜連続放送のようです。

http://www.tbs.co.jp/a-unmei/index-j.html

「赤いシリーズ」の話題ついでに・・・
「義経」で上戸彩さんと石原さとみさんがツーショットになる場面がありましたが、二人に共通点なかったっけ・・・と考えていたら、ありました。上戸さんは「古都」、石原さんは「赤い疑惑」で山口百恵さんと同じ役柄を演じていたんですね。
...2005/09/06(Tue) 00:19 ID:FbQOtpCM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
このお母さんは「意地っ張り」なのではなく、ホントにそう思ってます。
「美しくて、誇り高くて、哀しい」というのは(このスレでも何回も出てきた)「孤高」を表現するのが目的でした。
...2005/09/06(Tue) 23:05 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの汗

 宮浦の防波堤というところは,よくよく物を落とすところらしい。以前,ここで撮影開始早々,小道具の携帯用カセットを海に沈めた俳優がいたことは今でも語り草になっている。
 でも,まさか,そんなことが自分の目の前で起きるとは。出演者が三種の神器同然のメーク用品を落とした時には,潜って探して来いと言われるんじゃないかと冷や汗ものだった。日頃が日頃だから,ついつい悪い方へ悪い方へと考えてしまうんだろうな・・・
 大丈夫か,オレ・・・

 クリームコロッケを作れと言われた時のため,作り方を誰かに教えてもらおうと,この辺で評判の廣瀬さんという方を訪ねてみることにした。
 玄関前で呼吸を整えていたら,散歩帰りのオッサンからいきなり「人の家をじろじろのぞきこむとは,いい度胸してるな」と声をかけられた。あまりに突然だったのでフリーズしていたら,「人に会ったら挨拶しなさい」と二の矢が飛んできた。
 もし,将来,オレに彼女ができた時,こんな父親だったらどうしよう。
 大丈夫か,オレ・・・

 この前,ある店に入った時,びっくりした。そこの娘が以前放映されていた「皿の割れる喫茶店」の従業員そっくりだったのだ。今度は「グラスの割れる居酒屋」かと思っていたら,割ったのは母親の方だった。
 でも,みんな,オレに片付けを押し付けた。いくら一番下だと言っても,これでも一応は店の客なのに・・・
 「入社したのは怒られるため。仕事するのは文句言われるため」だと。いつぞやのドラマのキャッチコピーをもじるなら,もっと夢のある言い方にしろよ。

 大丈夫か,オレ・・・
 多分,大丈夫だ。
 きっと大丈夫だ。
 ふぅ〜。
...2005/09/08(Thu) 05:28 ID:qDqkuY1w    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
SATO様
お疲れ様です。
これで本格的に復帰ということですね。おかえりなさい。
さっそく物語を読ませていただきました。
ちょうど1年前の枠で放映されたドラマの合作ということですが、これが違和感なく合成した映像が頭の中に映し出されました。
これからがとても期待できる物語ですね。次回を楽しみにしております。

朔五郎様
さっそく2話分を拝読させていただきました。
アキが合格するまでの生活が詳細に表現されていて、新たな出会いもあることに、これからの展開を楽しみに感じました。
それにしても時代劇とは・・・・・・。
水戸○門の要素に一番笑わせていただきました。
それに、もしかしたら真が朔の冷たく当たったのは、前世からの因縁だったのかもしれませんね。

にわかマニア様
「べーやんの汗」に笑いをこらえることができません。不定期なのがもったいないです。
皆様の作品を良く読んでいないとできないことです。とても感心しております。
次の作品も楽しみにしております。
...2005/09/08(Thu) 22:46 ID:PrmTjimM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
べーやんは、このシリーズの終盤にミチルと二人で「迫真の演技」をすることになり、それをきっかけに大きなチャンスを手に入れます。ただし、それが彼にとって幸せかどうかは別問題なのですが(苦笑)

たー坊さま
今まで「戦国○○隊」とのコラボは無かったと思うので、一度は使いたいキャラだったのですが、やはりこんなシチュエーションしかないかと(苦笑)
「助さん、格さん」に音が似ていたので、やってしまいました(もう一度苦笑)
...2005/09/09(Fri) 02:59 ID:iexND0Qc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さま
コメントありがとうございます。
「世界の中心で、愛をさけぶ」に負けずおとらず、「いま、会いにゆきます」が好きなので、コラボ作品が出来たらいいな・・・と思ったのがキッカケで、ドラマ版の前日談のイメージで書いております。
智世のタクミへの思いやり、マリコのタクミへの想い、それを知ったアキが取った行動を描いていきたいと思います。

※なお、以前の投稿作品でマサミ・ハルカと共演した二人は映画版の高校生時代をイメージしています。
...2005/09/09(Fri) 23:54 ID:HISdi1Sw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 「平家物語」と「濃姫」と言えば,謙太郎が清盛を,重ジイが時忠を演じた翌年の大河が「国盗り物語」で,その時の濃姫が今年は二位の尼でしたね。
 一方,中納言知盛の教え子(富良野でよく皿を割った人)が来年は山内一豊に接近する「くノ一」ですか・・・(^。^)y-.。o○
...2005/09/10(Sat) 17:32 ID:USWawJrQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その10)

「ねえレイコ先輩、先輩の彼氏ってマスターの息子さんなんでしょ?」
ナオミが身を乗り出してレイコに話しかけた。
「ねえねえ、どんなひとなんですか?」
「スキーの選手でね、オリンピックを目指してるのよ」
「ええ、ホント?すっごーい・・・じゃ、レイコ先輩への愛のために頑張ってるんですね。金メダルとか獲って先輩の首に掛けてくれるかも。いいなあ」
「そうね」
レイコは淋しさを押し隠して笑った。ニノが札幌五輪を目指すのは自分のためではない。たとえ金メダルを獲ったとしても、自分がそれを掛けてもらうことはないだろう。それを承知の上で付き合い始めたのである。それでもやはり、ひたひたと押し寄せる悲しさを打ち消すことはできなかった。
「ね、先輩。それで二人はどのへんまで・・・」
「やだ、ナオミちゃん」
「いいじゃないですか、絶対しゃべらないから」
レイコは赤くなって俯くと、消え入りそうな声で言った。
「あのね、一度だけ」
「え、どこでどこで?」
「彼の部屋で」
「うんうん・・・それで?」
「キスをしたの・・・」
「なんだ、キスか」
「あ、なによ、その言い方」
「レイコ先輩はきれいだから、いろいろ経験してると思ったのに」
「ナオミちゃんはどうなの?」
「ヤマシタ君が、二人とも東大に合格したら、二人っきりで卒業旅行に行こうって。だからそれまでは」
「へえ。あ、そうだ。恋愛の話ならアキの方が詳しいわよ」
「え、アキ先輩って何か立派過ぎちゃって、あんまりそういう感じがしませんけど」
「アキがあんな感じになったのは、つい最近のことよ。高校時代なんか彼氏に頼りきりで試験前になると、いつもノート見せてもらってたわ」
「信じられない」
「私だってそう思うわよ」
「でも、いつも颯爽としてて、逆にストレスが溜まらないかな?」
「アキに限って、それは心配ないよ。アキにはね、帰るところがあるのよ」
「帰るところって、家以外にですか?」
「だからそういう物質的なことじゃなくて」
レイコは苦笑いしながら言った。
「アキの彼氏、ケンっていうんだけど、とってもしっかりした男の子でね、高校時代はアキの面倒を良く見てたわ。アキが受験に失敗してからもずっと家庭教師みたいなことしてて・・・でもある時、アキが急に大人びて、ケンは戸惑いを隠せなかった。だけどね、アキはケンを、ケンはアキを大好きだったのよ。だからちょっとした溝ができても、あの二人はそれを埋めることが出来た。アキが言ってたけど、ケンの前では無邪気な子供に帰れるんだって。それでいて、ケンが可愛くて愛しくてしょうがない時もあるんだって。どんなに疲れても、心が傷ついても、ケンに向かい合っているうちに癒されるんだよ、きっと」
「包容力っていうヤツですね」
「そのとおり」
ナオミはちょっと考えてから言った。
「やっぱりそういう男性がいると、女性は楽ですよね」
「そりゃもちろん」
「レイコ先輩、マスターっていくつくらいですか?」
「56とか言ってた」
「ちょっと離れてるけど、まあいいか」
「ま、待ってナオミちゃん。いくらなんでもそれは無理でしょう。マスター、犯罪者に間違えられちゃうよ」
ナオミは一瞬ポカンとしたが、次の瞬間腹を抱えて笑いだした。
「ちょっとレイコ先輩、やめて下さいよ。私じゃありませんよ。私にはヤマシタ君がいます」
「そうだったわね」
「お母さんですよ、私のお母さん」
「そうか」
「お母さん、44歳だからちょうどマスターとは一回り離れてるんだ・・・」
「でも、それだってどうかな・・・」
「レイコ先輩が知らないだけです」
「え・・・」
「あの二人、結構イイ感じですよ」
「へえ・・・マスターは長い間ホテルマンやってたから、割と格好良いんだよね」
「そうなんです。でね、最近マスター良くウチの店に来てるんです」
「こっちが閉店した後行ってるんだ」
「そう。それでね、ウチの店が終わった後、二人っきりで楽しそうに話してるんですよ」
「ふーん」
「最初はカウンター越しだったけど、いつの間にかお母さんが隣に座るようになって・・・今はビールを飲みながらだけど、そのうちワインに変わるな、きっと」
「何話してるんだろ」
「そんな大した話じゃないみたいですよ、二人でニコニコして」
「へえ」
「お母さんは芸能界にも知り合いがいるし、もう少し華やかさのある男の人が好みじゃないかと思ってたんです。でもさっきのアキ先輩の話を聞いて分かったような気がします」
「分かったって・・・」
「きっとマスターには包容力があるんだと思います。だって、お母さん、マスターに甘えてるもん。あの目を見れば分かります。お母さんは娘の私から見ても、すごく誇り高い人です。他人に弱みを見せるのは大嫌い。でもマスターにだけは心を許してる」
「それで、それでよ、もしかして、二人がそういうことになったら・・・」
「私はいいと思いますよ。私ね、きれいなお母さんが大好きなんです。マスターと一緒にいることで美しくなれるなら、そうして欲しい。子育ての苦労だけで一生終わって欲しくないもの」
「ナオミちゃん、寂しくない?」
「ちょっとね。でも、マスターだったら、私のこと邪魔にしたりしないと思うから」
「そりゃないわね、きっと」
「ホントはね、私が東京に行ってる間だけでも、あんなふうに話を聞いてくれる人が、お母さんの傍にいてくれたらいいなって思うの」

智世は店の商品棚の整理をしていた。
ふと人の気配を感じて振り向く。
・・・誰もいない。
首を捻りながら智世は仕事を続ける。
(そろそろケンが来る頃だわ)
ここ数日、ケンは家庭教師をするかわりに、夕方アキのところにきては、30分程話をして行くようになっていた。それは受験間近のアキにとってもちょうどいい息抜きになっていた。
(よかった、あの二人、仲直りできて・・・)
でも・・・
でも?
心の中にかすかに残る恐怖感。
(!)
そんな智世の心の乱れを見抜くかのような視線を感じる。
アキの受験の三日前のことだった。

(続く)
...2005/09/11(Sun) 02:07 ID:TLgiFv1g    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
さっそく拝読させていただきました。
ナオミの母親思いの姿に少し嬉しくなり、レイコの心境に切なさを感じました。
しかし、智世の心の乱れとは・・・・・・?
とても気になります。次回の物語をとても楽しみにしております。
...2005/09/11(Sun) 02:37 ID:bKJxrTME    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま
お読み頂きましてありがとうございます。
智世の心の乱れは、別に「○倫」とかではありませんのでご安心下さい(^^;;;

さて、世の中選挙の方に目が行ってまが、"9.11"といえば、大沢先生の、そしてアキの人生を変えたといってもいい「NY同時多発テロ」から4年目ということになります(時差があるので日本では12日になりますが)
私はあの日、赤坂のTBSのすぐ隣にある劇場で「セツァンの善人」という舞台を観ていました。
ラストシーンの本当の最後で、主演の松たか子さんが「助けて!」と絶叫したちょうど同じ頃、あの事件が起きていたことに、今でも戦慄を覚えます。
犠牲になった方々のご冥福をお祈りいたします。
...2005/09/11(Sun) 20:42 ID:PjOm56Ig    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
キズナ〜2

宮浦高校グランド

タクミ「いまはこんな身体になってしまったけれど、陸上部時代は結構速かったんですよ。彼女、練習中はずっと僕のこと見ていてくれてたのに、僕が練習を終えて引き上げようとしたらいつの間にかいなくなっていて・・・僕たちが進展するのに、周りの人が見ていたら歯がゆいくらいに時間がかかってしまって・・・」
智世「そうか・・・忘れてないんだね。」

タクミはこくりと頷いた。

智世「それでいいんだよ。タックンとユウジ君が忘れない限り、奥さんはずっと君たちの中に生き続ける。だから、忘れる必要なんかないよ。」
タクミ「智世おばさん・・・」
智世「私もそうだから。実はね、一緒に走った親友が高2の秋に病気で亡くなったの。」
タクミ「そうだったんですか?」
智世「うん。彼女がいなくなったことはわかってる。でもね、この学校で彼女と一緒に過ごして、陸上部で一緒に走ったことは私の身体の一部分になってるような気がするの。だから、彼女を忘れないために、私が代理で彼女の卒業証書をもらったし、娘には同じ名前を付けたんだ。」
タクミ「おばさんの親友の方って、アキさんとおっしゃるんですか?」
智世「うん、そうなの。私の親友の亜紀は最後まで自分らしく生きようとした。だから娘のアキにも自分らしく生きていってほしいの。あの子、絵の勉強をしたいって言ってた。でもね、親としては娘が安心して帰ってこれる場所を用意してあげたいの。薬学部へ行けってあの子には口やかましく言ってるけど、薬剤師になればいつでもうちの店で働くことが出来るんだから。私、主人と娘に囲まれた生活がとても幸せなの。親友にもこんな生活をさせてあげたかった・・・やだ、あたし、何言ってるんだろう、一人でしゃべって御免ね。」
タクミ「おばさん、僕も3人で暮らす生活がとても幸せでした。二人の顔を毎日見ているだけで幸せだったんです。でも、彼女は幸せだったんだろうか・・・ふと考えることがあるんです・・・」
智世「十分幸せだったと思うよ。タックンがいて、ユウジ君を授かって、絶対幸せだったよ・・・なんだったら、アーカイブ星まで聞きにいく?幸せだったかどうか。」
タクミ「そうですよね、幸せだったんですよね・・・(涙ぐむ)」
智世「そうそう、ほら、これで拭いて。そんな顔してユウジ君迎えに行くつもり?」

そう言って智世はタクミにハンカチを差し出した。

タクミ「すみません、でも、今日はおばさんと話ができてよかったです。」
智世「うん・・・」

**************

アキ「マリコさん、それって?」
マリコ「大好きな親友のミムラを裏切ることになる。だから、ユウジ君のお母さん代わりになろうなんて、考えちゃいけないのよ。」

アキはマリコの真剣な表情にびっくりしていた。

マリコ「中学生の頃のことだけどね、私はタクミ君が好きだったの。でも、タクミ君は私と話していても、どこか違う方向を見ているような気がした。それがわかったのは卒業式の日。ミムラがタクミ君にサインを頼んだの。その時の二人の顔がとても居心地よさそうで、私は二人の間に入ることが出来ないとわかった。ミムラにもの凄く嫉妬したけど、ミムラが大好きだったから、こんなことで親友を失いたくないと思った。私はタクミ君への恋よりミムラとの友情を選んだの。」

(続く)
...2005/09/12(Mon) 23:11 ID:tFeaOAcQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その11)

「ちょっと、遅いじゃない」
ミチルの部屋の前では中谷がイライラしながら山辺を待っていた。
「ミチル、来たわよ」
「中に入れて」
山辺は救いを求めるように中谷を見たが、彼女は冷たく笑い、顎で「入れ」と命じた。
おずおずと室内に入る山辺。
中谷がドアを閉めるとほぼ同時に「あっ!」という叫びと共に、ビシッという音が聞こえた。
「どうしたの、ミチル」
中谷はあわててドアを開けて中を覗きこむ。
「あ、何でもない。コイツの顔見たら、急にムカついちゃって」
「ねえミチル。暴力だけはまずいよ。女優はイメージが命なんだから。ちょっと、そこのAD、このことは誰にもしゃべるんじゃないよ」
「は、はい」
ジロリと山辺を睨んで中谷が出て行くと、二人は会心の笑みを交わした。
「タカユキも演技力が向上したわね」
「結構痛かったよ」
山辺が赤くなった左腕を見せた。すべては山辺の一人芝居だったのである。
「マネージャーも完全にだまされてたね・・・あ、これリクエストのタコ焼き」
「ありがとう・・・でもごめんね、タカユキ。二人っきりで会うにはこうするしかないの」
「いいんだよ、ミチル。でも、APの瀧澤は妙に鋭いところがあるから気を付けたほうがいいよ」
「うん、わかった」
ミチルはタコ焼きをひとつ口に入れた。その瞬間、ミチルの目から涙がこぼれ落ちる。
「ううっ・・・」
嗚咽を漏らすミチルに山辺は驚いた。
「ど、どうしたの、ミチル」
「・・・なつかしいの」
「なつかしいって・・・だって、これ食べるの初めてでしょ・・・え、ま、まさか、他の誰か乗り移ってる、とかじゃないよね」
「そうじゃないよ」
「じゃ、どうして?」
「私の故郷の三原はね、タコの町として有名なの」
「タコの町?」
「そう、お父さんも漁師で、タコを獲っているの」
「そうだったのか・・・」
初めて聞くミチルの故郷の話に、山辺も身を乗り出した。
「高校二年の時に、学園祭で《ロミオとジュリエット》の劇をやったの」
「へえ、当然ジュリエット役だったんでしょ?それが女優への第一歩だったわけだ」
「違うわ、全然。だいたい、私は乳母の役だったもん」
「それじゃ、ミチルはどうして女優になったの?」
「だまされたの」
「だまされた?」
「お母さんがね、ガンだって診断されたの。これは大学病院で特殊な治療をしなければ助からないって。そのためにはお金がすごく掛かるから、私が女優になって稼ぐしかないって・・・私、彼氏とも別れて泣く泣く女優になった」
「かわいそうに・・・」
「でも、それは誤診だった。お母さんの病気はガンじゃなかったの」
「え?それでお母さんは?」
「今でも高速道路のサービスエリアのレストランで元気に仕事してるわ」
「誤診と分かった時、女優をやめようと思わなかったの?」
「うん、その頃には、すっかり女優にハマってて、これは私の天職だって思うようになってたの」
「そうか・・・」
「それにしても、このタコ焼き美味しいな・・・タカユキも一緒に食べよう」
「じゃ、オレもひとつ。うん、美味い。でも、このドラマの収録ももうすぐ終わりだね」
「そうね・・・実は次の仕事の話も来てるの」
「へえ、また時代劇?」
「ううん、今度は現代劇でね、舞台公演なの」
「そうか、DBSのドラマじゃないんだ・・・オレたちもお別れか」
「寂しいこと言わないでよ・・・」
二人の間を沈黙が流れた。
「あ、これが次の仕事?」
気を取り直したかのように山辺が聞いた。
「そうよ。まだ詳しい台本は出来てなくて、あらすじだけなんだけど」
「ふーん。でも何?この《絵本男》って」

【絵本男・あらすじ】
ある男がふと妄想を抱き、インターネットのBBS上で一人の少女の物語を創り始めた・・・
「勉強もスポーツも得意ではない、ごく普通の少女がいた。ただ、少女は絵を描くことにのみ特異な才能を発揮した。
少女はさまざまな出会いを通じて、人間として、女性として成長を始める。
やがて少女は絵本作家となり、故郷の美しく小さな町から全世界へ向けてメッセージを発信するようになる。少女の創る絵本は感動を呼び、小さな町を訪れる人も増えていった。
ニューヨークの有力紙がこの少女の絵本を特集し、この町を《感動が溢れ出る、まるで世界の中心のようだ》と紹介したことから、その評価はさらに高まった・・・」
男は気付いた。物語の中の少女は既に生命を持ち、自分自身の意思で行動し、未来を自ら決定しているのだ。自分が創造したはずの少女をコントロールすることは、もはや不可能なのだと。
言い知れぬ恐怖を感じた男はBBS上から物語全てを削除しようとする。しかし、そのBBSは既にアクセス不能になっていた。
・・・次の朝、忽然と姿を消した男の部屋に一冊の絵本が落ちていた。
そして男は今も生き続けている。少女が創造する絵本の中の世界で、少女の意思のままに。

「なんだか恐い話だね。ミチルはこの少女の役でしょ?」
「うん」
「じゃ、《絵本男》の配役は?」
「オーディションで決めるんだって。そうだ、タカユキも受けてみたら?」
ミチルに完全にコントロールされている自分の姿を思い浮かべ、山辺はプルプルと首を振った。
「あら、どうして?」
「い、いや・・・」
「残念ねえ・・・ずっと一緒にいられると思ったのに」
「う、うん」
「それじゃ、この役をやってもらおうかな」
「これは?」
「ほら、例のメールの彼女」
「ああ・・・」
「今度はシナリオを送って来たのよ」
「へえ」

「この間お話しした私の友達はいま、娘さんのことで苦しんでいます。その苦しみの原因は実は私にあるんです。だから私は彼女を救ってあげたい。彼女の不安を取り除いてあげたいんです。本当は自分で彼女に話すべきなんですけけど・・・悲しいことに彼女には私の姿は見えません。だから、あなたにお願いしたいんです・・・・・・・」

「っていうことは・・・この人、もしかして・・・30年以上前に・・・」
「うん、たぶんね」
「お、おい、大丈夫か?こんなことに関わって」
「大丈夫だよ。このひとは悪い人じゃないよ」
「・・・それもそうか。悪霊なら手の込んだことはしないだろうな」
「うん」
「それでね、タカユキがサク、私がアキなんだって」
「サクとアキ?なんか変わった感じだね。あれ、このトモヨっていうのは?」
「それが彼女の友達でしょ」
「あれ、トモヨのところは、台詞が全然入ってないじゃない」
「そこはトモヨ本人が実際にしゃべるからだよ、きっと」
「だってそれによって、こっちの台詞だって全然違っちゃうわけだし」
「このシナリオを書いたひとは、多分トモヨという人のことをすごく良く知っているんだよ。だからトモヨがどう言うかは分かってるんじゃないかと思う」
「ふーん」
「それにしても難しい演技になりそうだね」
「大丈夫か、オレ・・・」

(続く)
...2005/09/14(Wed) 00:50 ID:CvYP/y82    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 なぜ三原でないと困るのか,やっと判りました。そう言えば,蛸メシを駅の売店で売っているのは,明石周辺と「広島6区」くらいのものでしたね。これが「広島1区」になると,「あなご飯」か「牡蠣飯」になりますが・・・
 それにしても,今回の「大丈夫か,オレ・・・」は,「難しい演技になりそう」を受けたものですが,「大丈夫か,ベーやん・・・」
 がんばれ,ベーやん!
 
...2005/09/14(Wed) 08:42 ID:EtPIoLbQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
キズナ〜3

マリコ「御免ね。あたし一人でしゃべってしまって。アキちゃんの顔見てたら滝のように言葉があふれてきて話が止まらなくなっちゃった・・・」
アキ「いいえ、マリコさんのお話を聞いて、教えられることがありました。人とお付き合いしていくうえで、思ったことを行動に移してはいけない場合もあるんですね。私、絵の勉強がしたくて、両親に黙って家を飛び出したことがあったんです。東京でお金貯めてそれからNYへ渡ろうかと思って。でも、高校生が働いてお金貯めるなんて無理でした。帰ってきてから、両親や大沢先生、クラスメートみんなが心配していたことを知りました。今思うと、自分のことだけしか考えていなくて、周りのことが全然見えてなかったんですね。」
マリコ「そういうことがあったんだ。」
アキ「はい、学校で白い目で見られたりして、いやな思いもしました。自分のしたことがこんな形で帰って来るんだと思い知らされました。そんな私をクラスメートのユイやマサミが守ってくれました。彼女たちの気遣いや思いやりには本当に感謝しています。だから、私も思いやりを持った人になりたいんです。」
マリコ「そういう気持ちになれただけでもよかったかも。いい経験になったんだね。でも、信用を回復するのは大変だよ。今が頑張り時だからね。」
アキ「はい。」

ユウジ「ねえ、マリちゃん、アキちゃん、僕もね、絵を描いたんだよ。」
ランドセルからユウジが取り出した絵はケーキの上で踊る3人家族が描いてあった。今日の図画の時間に描いたものだったのである。

アキ「面白い絵ね。みんな踊ってるみたいだけどこれなあに?」
ユウジ「くるくるダンス」
アキ「なあに、その『くるくるダンス』って?お姉ちゃんにも教えてよ。」
ユウジ「やだ、恥ずかしいから教えない。」
アキ「ユウジ君の意地悪。教えてよ。」
ユウジ「やーだよ!」
アキ「あ、待って」

ユウジとアキが追いかけっこをしようとしたら・・・

マリコ「こら、二人とも、館内で走っちゃだめだよ。」
アキ「すみませーん」
ユウジ「すみませーん」

アキとユウジはおどけて舌をペロリと出した。
その時である。さっきのマリコとの会話を思い出したアキはピンとくるものを感じた。

アキ「!・・・マリコさん、私、急用を思い出したので、これで失礼します。」
マリコ「あら、そう?もう少しゆっくりしていって欲しかったんだけど。」
アキ「すみません、クラスメートと大事な話をするのを忘れてました。」
マリコ「そうか、じゃ、またね。」
アキ「失礼します」
ユウジ「アキちゃん、バイバイ」
アキ「バイバイ、ユウジ君」

************

アキはプリンセスホテル近くの海岸に来て、携帯でメールを打っていた。待つこと十数分。アキに呼ばれた人物がやって来た。

アキ「ごめんね。急に呼び出したりして。」
そう言って、アキは立ち上がった。

(続く)
...2005/09/15(Thu) 00:10 ID:SddO440o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま

智世の背後に忍び寄る影、ミチルに届く謎の人物からのメール・・・いつも思わせぶりなところで切れるので、次回をソワソワしながら待っています。
...2005/09/15(Thu) 00:13 ID:SddO440o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
(もう、お分かりとは思いますが)「智世の背後に立っていた人影」と「ミチルへのメールの発信者」は同一人物です。

にわかマニアさま
実は三原市内には「宮浦」という地名があります。ところが地図で見ると、海に面した地区ではないのです。埋め立てか何かで、内陸部になってしまったのでしょうか。
...2005/09/16(Fri) 00:06 ID:1uKEAhko    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さんのお宅の近くにも,海がないのに「浦和」というのがありますが,三原の「宮浦」は,元禄年間に新田開発でできた地名のようです。現在では,山陽本線と呉線に挟まれた場所にありますから,海の近くという感じではないのですが。

 元祖ベーやんの「補助者(本人は否定)」だった瀧澤が,こちらの物語ではベーやんから「勘が鋭いから要注意」と見られているのですね。まさか,瀧澤が何らかの形でからんで2人の仲が露見するとか・・・
...2005/09/16(Fri) 02:46 ID:8uSRdwho    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
実は江戸時代あたりまでは「浦和」のあたりまで入江が入り込んでいたようで、それが地名の由来のようです。
瀧澤クリステル、ミチルと山辺にとってはまさに「天敵」というところでしょうね(笑)

さて、読者の皆様にお知らせがあります。長らく応援していただいた「大林アキ」というキャラは現在の「宮浦の春」というシリーズでお別れになると思います。
といっても、彼女が消滅してしまうわけではありません。
今までは「アキ=大林亜紀」「亜紀=廣瀬亜紀」というように名前を使い分けてきたわけですが、アキと亜紀ではイメージ的にかなり差があります。
大学入学後の「広島編」から先は、大林亜紀がいよいよ広い世界に漕ぎ出していく過程を描くわけで、それは彼女の立場が劇的に変化することも意味しています。
そこで時系列的に大学入学後以降の場面では「亜紀=大林亜紀」で進めていこうと思っております。廣瀬亜紀は「廣瀬亜紀」あるいは「亜紀さん」というような表現になると思います。
ケン、マサミ、レイコといった周辺の人々については検討中であります。
...2005/09/17(Sat) 01:47 ID:2yXcghhM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま

ミチルとベーヤンには瀧澤氏の動きにはくれぐれも気をつけてもらいたいです。ワイドショーネタになったら色々大変ですよ(^^)

※いま、高校卒業直前のエピソードを投稿中ですが、大林アキや周辺人物の表記はこれまでどおりでいいですよね?
「キズナ」はアキがある人物と会う場面がヤマであと2回程度続きます。
続いて、ケンとマサミのお別れ場面を中心とした「over・・・」を予定しております。このストーリーで全員無事「卒業」させます。

※「ドラゴン桜」の最終回を観ました。受験会場で問題に取り組む特進メンバーの姿に、つい数週間前、自分がああして国家試験を受けてたんだ、と感慨にふけりました。放送期間が受験の直前期と重なったこともあり、かなり勇気づけられましたよ。
...2005/09/17(Sat) 09:09 ID:3h9lbjKY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
高校時代の人物表記については、従来どおりお願いいたします。この頃は「アキ」はまだまだ子供っぽい女の子でしたので。
大学入学後は「健と亜紀」の他は「ニックネーム」ということでマサミ、シンジ、レイコ、ユイなど、そのまま行こうかと思います。
「健と亜紀」は「二人で一組」という感じなので揃えようと思います。と同時にこの二人は「別格」なので他のキャラとはちょっと差別化を図ろうかと思います。
「マサミ→まさみ」ですと、さすがにリアル過ぎるということもありますが(苦笑)
...2005/09/17(Sat) 17:50 ID:g.rmeD1Y    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 SATOさんもおっしゃっておられるとおり,「いつも思わせぶりなところで切れるので、次回をソワソワしながら待つ」ことの繰り返しです。
 さて,「智世の背後に忍び寄る影」と「ミチルに届く謎の人物からのメール」の主が同一人物とは,またまた解釈を誘導されそうですね。もっとも,そうしてフェイントをかけておいて,思わぬどんでん返しを用意するというのが朔五郎さんの得意技なので,引っかからないようにしなければ・・・
 実は,普通に考えると,この2つの人物は存命中ではないある作中人物という結論になりやすいのですが,医療という最先端の科学技術の現場にいらっしゃる朔五郎さんが物語の結末を「科学で解明できない世界」の中に逃げこむとも考えられないので,前者は達明,後者は岩丸か森下ではないかというのが私の読みでした。しかし,両者が同一人物ということで,この読みはあっさり外されてしまいました。
 さあ,もう一度,振り出しに戻って,謎の人物を解明しなくては。大丈夫か,オレ・・・
 あっ。最後はベーやんになってしまった。
...2005/09/18(Sun) 08:55 ID:4pQ2N8WU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
・・・ごめんなさい、申し訳ない(冷や汗)
実は「謎の人物」については「ものすごくベタで非科学的な」結論になります(平身低頭)
そう「30年以上前に・・・」しかも「悪霊ではない」「いつまでも17歳の」あの少女です。

一応言い訳を入れときますと、原作の小説はアボリジニの思想すなわち一種のアニミズムに沿って描かれています。アニミズムでは人間の見かけの死は肉体の死であり、生命の本質は精霊となって永遠に存在するわけで・・・ああ、苦しい(^^;;;

というわけで今回は一切フェイントはございません(涙目・・・)
...2005/09/18(Sun) 09:28 ID:4Pz1Hyt2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 「30年以上前に・・・」しかも「悪霊ではない」「いつまでも17歳の」あの少女ですか。
 ミチルやベーやんはともかく,智世はどんな反応をするのでしょうか。当然,この話は地元のお寺の住職さんや水産会社の社長さんにも伝わるでしょうから,彼らの反応を想像してみるのも面白いですね。
 特に,救命センターの某ドクターがあのメールを見たら,フリーズすること間違いなしですね。
...2005/09/18(Sun) 09:46 ID:4pQ2N8WU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
今夜最終回を迎える「いま、〜」みたいな展開になってきましたね(^^)
智世が「17歳のままの少女」に出会ったとき、どんな反応をするのでしょう?「いま、〜」の万里子みたいに動揺しながらも冷静に振舞えるでしょうか?最初は「よく似た別人」だと思い込むでしょうが、少女が「間違って歌詞を覚えた歌」を口ずさむのを聞いて本人に間違いないと確信するとか・・・
外野の勝手な想像お許し下さい(ペコリ)
...2005/09/18(Sun) 10:17 ID:eioKExTo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その11)

ゆっくりと、ゆっくりと、時間が流れて行く夜。
静岡県立宮浦大学の入学試験を翌日に控えた夜のことだった。
「ねえ、ケン」
「なに?」
「いよいよ来たね」
「うん。でもアキは自信あるんだろ」
「自信があるとは言い切れないけど、落ち着いてるとは思う」
「そうか、良かった」
「ねえ・・・」
「なに?」
「ねえ、いつか同じことやったよね・・・ケン、目を閉じて」
「うん」
「ケンは大学のキャンパスを歩いている・・・」
「うん、歩いてる」
「ケンは楽しい?」
「楽しいよ、とっても」
「ケンの隣には誰がいるの?」
「言わなくてもわかってるだろ?」
「だめ、言って。お願い」
「アキ・・・アキだ・・・」
言いかけたケンのくちびるにアキのくちびるが重なった。
長いキスの後、静かにアキが言った。
「私、明日頑張る。だからどこかで応援していて」
「わかった。絶対合格しろよ」
「うん」
必ずあの場所に戻ってみせる。世界で一番居心地の良いケンの隣に。

松の木に囲まれた小料理屋「きょうこ」ではDBSのスタッフたちが宴会を開いていた。ロケも順調に進み、岩丸Pも上機嫌だった。
「おい、べーやん」
突然、岩丸から声を掛けられ山辺は縮み上がった。
「す、す、す、す、すみません・・・」
「おまえ、何も言わないうちからなんで謝ってるんだ」
「だ、だ、だ、だ、だって、入社したのは怒られるため、仕事をするのは文句言われるため・・・」
「何言ってんだ、おまえ」
「すみません」
「いやな、ホームページ上で《AD・山辺の涙》っていうのUPしてるだろ、あれが好評でな、アクセス数が急上昇してるんだよ。あの《大丈夫か、オレ》っていうフレーズがブレークしてるようだな」
「そそそうすか・・・そりゃどうも」
「ところでな」
岩丸は急に声を潜めた。
「真島ミチルの次の仕事が舞台だってことは知ってるな」
「は、はい」
「おい、ここから先はまだ誰にも言うなよ」
「・・・え、ええ」
「舞台の次はな、またウチのドラマなんだよ。俺がプロデュースするんだ」
「今度はどんなドラマですか?」
「それがまた時代劇なんだよ」
「もしかして《里美百犬伝》ですか?」
「ははは、そのとおりだ。俺もすっかり時代劇にハマっちまってな。それはともかく、真島ミチルの方から相手役におまえを指名してきたんだよ。おまえ、元々役者志望だったよな?立ち位置のチェックで役者の代わりになった時、ちょっとはセンスあるのかな、と思ってな」
「え、オレ、最初から制作がしたくて・・・」
「いいんだ、いいんだ、ミチルがおまえの本心を聞いたと言ってたぞ」
(オレの本心?ありもしない話をでっち上げたな)
「それでな、おまえの役はミチルが演じる姫を生涯献身的に愛する男だ。どうだ、やりがいがあるだろう?」
「ま、まあ」
その時、APの瀧澤が口を挟んだ。
「でも、どうして真島さんが」
彼女は山辺の方に鋭い視線を送ると問い詰めた。
「山辺君、最近彼女の部屋によく出入りしてるみたいじゃない。まさか」
「そ、そ、そ、そんな・・・」
「分かってると思うけど、我々スタッフと出演者との交際なんて絶対に禁止。週刊誌ネタにでもなったら、向こうの事務所からどんなこと言われるかわかりません。女優さんとお付き合い出来るのはプロデューサーの特権よ」
「お、おい、瀧澤君、余計なこと言わんで良い」
岩丸があわてて制止した
「とにかく、山辺君。行動には十分気を付けること。いいわね」
「は、は、は、はい」
山辺は瀧澤の勘の鋭さに、改めて脅威を感じていた。
その時のことである。空いた皿を下げに来たナオミにスタッフの一人がぶつかってしまった。
「あ・・・」
バランスを崩したナオミの手から十枚近くの皿が落ちて行った。

ガッシャーン・・・

「ああっ、どうしよう・・・」
その音を聞いて京子も顔を出した。
岩丸が言う。
「すみません。うちのスタッフがお嬢さんとぶつかっちゃいまして。弁償させてもらいますから」
「いいんですよ、娘がやったことですから・・・」
「それだとこれから来づらくなってしまうので・・・」
「そうですか、かえってすみませんねえ」
「いえいえ、こちらこそ。ほらべーやん、早く片付けて」
「は、はい」
あわてて床にしゃがみ込もうとする山辺の耳に、悪魔のような岩丸のささやきが聞こえた。
「この皿代は、おまえの給料から差っ引くからな・・・」
「ひ、ひえぇー、本当ですか?」
岩丸はニヤリと笑った。
「冗談だよ」
「もう、イジメないで下さいよぉ」
山辺は涙目になりながら岩丸に哀願した。

(続く)
...2005/09/18(Sun) 20:06 ID:i/DIPMY6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
SATO様
お疲れ様です。
「キズナ」シリーズ(もちろん、その他の物語もですが)には、ほのぼのとしながらも、人として何か大事なことを教わることのできる環境があって羨ましいです。
そして、アキが呼び出した人物が気になります。
それが誰なのかに注目して、次回を楽しみにしております。お互いに頑張って完成させましょう。

朔五郎様
名前の表現が変わるとのことで、この物語が壮大で、イメージに満ち溢れたものであること、特別編の放送から1年という短くも長い時間においても、多くの読者の方からの支持を受け、続いてきたということをあらためて感じました。
実際に、宮浦の春編では、アキの受験とケンや他の仲間との絆とともに、ベーやんやミチルの物語も絡み合って同時進行しています。朔五郎様の緻密な構想、執筆には脱帽です。
だから、支持されるのでしょうね。
これからも期待しております。お互いに長く続けられるよう、頑張りましょう。
...2005/09/18(Sun) 22:47 ID:3CCZSLOA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま
過分なお褒めの言葉を頂き、ありがとうございます。
私はもう中年のオヤジなのですが、若い人たちが、仕事でも、恋愛でも、パフォーマンスでも、勉強でも、とにかくキラキラ輝いている姿が本当に好きでたまらないのですよ。だから、そんなシーンを一つでも多く創りたいと思って、今もこの物語を書き続けています。
と、同時に京子ママとマスターのような「熟年カップルの恋」なんかは、やはり私くらいトシを食わないと書けないところかとも思うので、そちらでも頑張ります(笑)
二十代位の真っ直ぐな恋愛はやはり、たー坊様やグーテンベルク様の得意分野かな、と思うので、自分はまた違う味が出るようしたいと思います。
実は、この物語が始まったのが去年の9月20日。ですから、明日で一週年になるのです。
明日になりましたら、改めて皆様にお礼を申し上げようと思っております。
...2005/09/19(Mon) 22:02 ID:ScFjZyHs    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 冗談とはいえ,他人の割った皿の片付けばかりか弁償まで押し付けられては,ベーやんも立つ瀬がないですね。「ベーやん補」の瀧澤も勘が鋭いというか,出演者からの呼び出しを単なる「クレーム対応」以上のものがあると見ているのですね。ひょっとして,「大丈夫か。ワタシ」とか言いながら,時々ベーやんのコラムを代筆していたりして・・・
 ところで,富良野の喫茶店でも宮浦の居酒屋でも皿を割った登場人物は,今度は瓦でも割って手裏剣がわりに投げるのでしょうか。

 SATO様
 遅くなりましたが,試験お疲れ様でした。いよいよ復帰ですね。
 「きずな」と「宮浦の春」を続けて読むと,リベンジと1年前の回想が交互に展開されているようで,新鮮に感じます。
...2005/09/19(Mon) 22:55 ID:DV0xRJyE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
早いものでストーリー開始から1周年ですか。
このストーリーがきっかけでたー坊さま・グーテンベルク様のアナザーストーリー、clice様のイマ朔を中心としたストーリー、apo様の前日談が生まれたのですね。。
私も参加させていただき、お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。


たー坊さま・にわかマニアさま
コメントいただき、ありがとうございます。「キズナ」シリーズは昨日最終回を迎えた「いま、会いにゆきます」からヒントをもらっています。この話の中の智世は自らも親友・亜紀を亡くした痛みを持ちながらタクミの良き相談相手になりますが、「いま、〜」の尚美先生(TV)や野口先生(映画)のイメージと重ねています。
マリコの心情については、ドラマの回想場面に出てきた志保チャン(「あいくるしい」の奈々)の切なそうな表情がヒントになりました。ドラマで多くは語られませんでしたが、黙って身を引いたのかな、と思いました。
サントラは「いま、〜」「世界〜」どちらも持っていますが、ピアノの旋律が切なくていいですね。

特進クラスの冷酷非情な天海先生はおそらく「女王の教室」がヒントだと思いますが、この方も「世界〜」の映画に出てましたね。
天海さんつながりですが、昨年春に放送された「チアーズ〜天国への応援歌」の録画を久々に観ました。天海さんがチアリーディング部の鬼コーチを演じたスポ根ドラマですが、チアのメンバーが、石原さとみ(義経)、市川由衣(菊次郎とさき)、大塚ちひろ(いま、会いにゆきます)、沢尻エリカ(1リットルの涙)と豪華です。このドラマを観ていて思わず「おおっ『世界〜』と同じじゃん!」と思った場面がありました。メンバーの心のより所になっていた先輩が交通事故で突然亡くなり、葬儀の日、他のメンバーは会場に入って先輩にお別れするのですが、リーダー(石原サン)だけは会場の入り口で引き返してしまうんです。先輩の死を受け入れられない心情を演出したのだと思いますが、朔が亜紀の葬儀会場に入ろうとしなかったのと同じシチュエーションでした。
あと、このドラマの挿入歌は平井堅さんが歌っていました。
ご参考まで。
...2005/09/20(Tue) 00:11 ID:VzhJEgcA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
昨日も申しましたように、私がこのスレッドを立ち上げたのは昨年の9月20日でした。最初は、ほんの数レスで終わるものだと思っておりました。それが一年間にもわたり継続し、レスも1500を超えるような長大な物語となりました。
これも、この場を提供して下さった管理人様、一緒に頑張って下さった共同執筆者の皆様、そして感想や励ましを寄せて下さった読者の皆様のおかげだと思っております。
さて、当スレッドではまだまだご寄稿をお待ちしております。現在“OB”になっていらっしゃる方、復帰をお待ちしております。
皆様、この一年間本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いいたします。
...2005/09/20(Tue) 23:23 ID:juX.pDTM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
それにしても「ポカリスエット」の新CMで綾瀬さんは泣いてますけど、失恋しちゃったんでしょうか(^^;;;
...2005/09/20(Tue) 23:27 ID:juX.pDTM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「黄泉がえり」の放送を観ていました。不思議な余韻が残る映画でしたね。竹内結子さんは「いま、会いにゆきます」「天国の本屋」にも出演していて、死者と現世をつなぐストーリーの映画に何度も出ているのですね。
長澤まさみさん、可愛かったですね。彼女の役名は「ナオミ」で「ドラゴン桜」と同じ、そしてラストでは喫茶店で働き始めて「優しい時間」と同じでしたね。

※CMでは「世界の中心で、愛をさけぶ」の宣伝が『助けてください!』の絶叫とともに繰り返し流れていました。

※新作映画「この胸いっぱいの愛を」の宣伝も繰り返し流れていました。こちらの主演は「海猿」の伊藤英明さんと「いま、会いにゆきます(ドラマ)」のミムラさんで、「黄泉がえり」の逆バージョンのようです。主題歌は柴咲コウさんが歌うそうで「月のしずく」「かたちあるもの」のように聴いただけで名場面がよみがえってくるような曲になることを期待しています。

※「ポカリ」のCMは確かに綾瀬はるかさんが一人で出演してましたね。春に「もーらい!」で彼と付き合い始め、夏の海で二人の思い出を作って、秋には一人寂しく・・・という流れみたいですね。となると冬はスキー場で新たな恋が始まるか、彼とヨリが戻るか・・・・となるのでしょうか?
...2005/09/20(Tue) 23:38 ID:1j2Gc3kY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たか
こんにちは。ご無沙汰です。

もうそろそろ現場復帰できる日に近づいてると言うところですか。はい。随分と世界観も変わって、以前のような作品が書けるか不安です。

更に、皆さんに相当な遅れをとっていまして、ついていけるかどうか微妙ですが頑張ります。
10月初頭に復帰予定です。どこから書いたら良いか教えていただければと思って現れました。

もう1年になるんですか・・・早いものですね。
では、また。復帰前にもう一度現れます
...2005/09/21(Wed) 18:44 ID:QllNSKu6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たか様、お久し振りです。

基本的にどこを書いていただいても結構です。
もし分からなければ、「喫茶店・海の時計のレイコ先輩のところに遊びに来る宮浦高校の後輩達」なんてどうでしょうか。既出のキャラを使っても、新キャラを出してもOKですよ(^^)
...2005/09/22(Thu) 00:57 ID:niZjhlcc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たか様
お久しぶりです。
リハビリも兼ねて朔五郎さんの提案にのってみたらいかがですか?「海の時計」が例の野球部員とマネージャーのたまり場になってるとか・・・
(あだち充氏の漫画を読まれてたらご存知と思いますが、「タッチ」「みゆき」「H2」など、喫茶店が舞台となる場面が結構ありますので、参考になると思います)
※最近のストーりーは「電車男」「ドラゴン桜」「いま、会いにゆきます」「あいくるしい」「ファイト」「赤い疑惑」等にヒントを得て描かれております。ご参考まで


映画の「タッチ」を観ました。実に爽やかな青春映画で、あの長編を2時間にまとめた制作者の手腕に感服しています。ラストシーンは映画の「メジャーリーグ」みたいでとても良かったです。
先日の「ドラゴン桜」もそうでしたが、長澤まさみちゃんは必死に走る表情がいいですね。達也が勝つところを見るために野球場へ駆け込むシーンは、青春映画の王道でしたね(^^)
...2005/09/22(Thu) 18:19 ID:XYK02t4Y    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たか
では、そうさせていただきます。

10月まで練って行こうと思ってますので、ではでは〜
...2005/09/22(Thu) 20:17 ID:fIy/S1FM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
CMネタです。
レーザープリンターの「○ラリオ」のCMに高橋克実さん(朔パパ)が出るようですが、娘役が長澤まさみさんだそうです。
ちなみにおじいちゃん役が藤村俊二さんで、この3人で親子三代のホームドラマみたいな感じになるそうです。
白状しますと「海の時計」のマスターはもちろん「寺○さん」のイメージなのですが、実は藤村俊二さんの要素を隠し味に使っております(^^;;;
おしゃれで暖かみがあって、藤村さん、大好きな俳優さんです。
...2005/09/22(Thu) 23:31 ID:AUZ51T2M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その13)

「あ、大沢せんせーい」
ユイが大沢のもとに走り寄ってきた。
「おお仮屋、久しぶりだな。大野も元気だったか?」
「はい」
シンジも笑顔で答えた。
「先生、おはようございます」
「レイコ、ちょっと雰囲気変わったな。大人っぽくなった」
「え、そうですか」
「みんな、よく集まってくれたな」
「いえいえ。あ、マサミからもメール来てますよ」
「それにしてもあいつはどうしたんだ。一番肝心のヤツ」
「ケンならとっくに来てますよ。じっとしてられなくて、ウロウロと・・・ほら、あそこに」
「ああ、ほんとだ。おい、大木」
「大沢先生」
大沢の周りに同窓生の輪ができた。
「大林はずいぶんイメージが変わったんだって?」
「そりゃ、もう。髪も大胆にショートにしちゃったし」
「ちょっと想像つかんなあ」
「でも先生」
レイコが真剣な表情で大沢に語った。
「一番変わったのは性格かな。落ち着いたっていうか、危なっかしいところが全然なくなって、すごくしっかりしてる感じ」
「おい大木、大林は何かあったのか?」
「オレにも良く分からないんです。でも・・・」
「でも?」
「・・・いや、やめときます」
「なんだよ途中でやめるな、気持ち悪いな」
「おいケン、なに照れてるんだよ」
「うるせえな、シンジ」
「ほら、いいから言ってみろ」
しかたなく、ケンは言った。
「あの、オレ・・・オレ、もう一度アキに恋をしちゃいました」
「うひゃ・・・」
ユイが奇声を上げた。
「あーっ、カユイんだよ、おまえは」
シンジがケンの背中を度突く。
「大木・・・」
大沢も呆れたように笑っている。
「あ、来た」
ゆったりと落ち着いた足取りでアキが近づいてくる。
「アキ・・・」
皆の視線がアキに集まる。そして、一年間開く時を待ち続けた花のように、一種の予感を漂わせながらアキは皆の前にやって来た。
「先生、ユイ、シンジ、レイコ・・・ケン」
「大林、誰からともなくメールが回ってな、みんなでアキを応援しようって」
「ありがとう、みんな。マサミからもメールをもらいました」
「いいとこあるな、あいつも」
「アキ、いよいよだね」
「うん」
「でも、アキを見て逆にこっちの方が安心しちゃった」
レイコの言葉に、皆頷いた。
「大林・・・ずいぶん大きくなったな」
「先生」
「オレには分かるよ。今日の入試なんて今の大林には通過点に過ぎないんだな」
「そんな・・・」
「この一年、無駄じゃなかったようだな」
「・・・はい」
「よし、行って来い」
「はい。ありがとう、みんな」
皆がアキに微笑み、アキも微笑みを返した。もう言葉は必要無かった。

「あなた、コーヒー」
「ああ、ありがとう」
「今日はアキちゃんの入試の日ね」
優子は、ふと微笑んだ。
「この間ね、商店街でアキちゃんを見かけたのよ。ずいぶん感じ変わったわね」
「そうだな、見違えるようになったな」
「もう受験も終わることだし、一度うちに呼んでみようか」
「ああ」
「夕食会なんて良いかもしれないわね」
龍之介はふと苦笑を浮かべた。
「・・・しかし健三郎も油断してると、誰かに連れてかれちまうぞ」
「そりゃ分からないわね。大学に入れば新しい出会いだってあるわけだし」
「まあ・・・どうなるかな」
「あ、そうだ」
優子が話題を変えた
「ショッピングセンターに休憩所があるでしょ?」
「うん」
「あそこ、何となく空気が重いのよね。なんかこう、辛気くさいっていうか」
「はっきり言うねえ」
龍之介は苦笑した。
「何とかならないかしら」
「観葉植物を置いてみたり、一応工夫はしてみたんだけどね」
「私思うんだけど、空気が淀んでる感じがするのよ」
「何か動きのあるものが必要か・・・」
優子はふと思いついた。
「そういえば健三郎の部屋に絵があったわ・・・なんの絵だか全然わからないんだけど、色がすごく綺麗で・・・」
「あれは確かアキちゃんが描いた絵じゃないのか?」
「そうそう、確かそうだったわ・・・でね、あれがあると、その場の空気が動き出すような、不思議な感じがするのよ」
「不思議な感じ?」
「そう、何か良いことが起こりそうな予感がする」
「予感、か・・・でも、こんな時代にはそんなものが一番求められているのかもしれないな」
「そうね」
「でも考えてみりゃ、それはショッピングセンターっていう場所に必要なものと同じだな」
「今度アキちゃんが来たら話をしてみようか」
「そうだな、あの子はちょっと違ったなものを持ってそうな気もするな」

(続く)
...2005/09/23(Fri) 04:44 ID:U41Q0qzc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
キズナ〜4

そして、アキは語りかける。
アキ「マサミ、あたし、あなたのことを大切な友達だと思っている。これからもそうよ。でもね、あたし、あなたの本当の気持ちをわかってあげてなかったような気がする。あたしやケンちゃんといると辛くなかった?」

マサミはコクリとうなずいた。

マサミ「うん・・・正直言うと辛かったよ。あわよくば彼をもう一度、と思ったこともある。でも、アキたちのことは、ユイもシンジもレイコも、そして大沢先生もみんな認めている。だから、もう波風立てるようなことは出来ないと思った。それに、あなたたちがわたしのことを大切に思ってくれているから尚更そう思ったよ・・・」
アキ「マサミ・・・」
マサミ「わたしね、中学2年の時に引っ越して来たでしょう。まわりは知らない人ばかりで、『他の子と違う』とか『ちょっと上の方にいる』とか言われて、本当の友達が出来なかった。だから『孤高のヒロイン』を演じるしかなくなったの。小さいときからずっと一緒にいるあなたたちを見て羨ましかった。」
アキ「そうだったの・・・あたしはキラキラ輝いている感じのマサミがまぶしかった。とても敵わないと思って、すごくコンプレックス感じてたんだよ。」
マサミ「そんなことないよ。わたしだって感情にまかせて手を上げたり、泣きわめいたりする一人の弱い人間だよ。そういう弱い面を見せたのは、アキがはじめてだったんだよ。あの時は・・・ぶって御免ね。」
アキ「ううん・・・あれはあたしが悪かったの。だからぶたれて当然。それより、謹慎が解けてはじめて学校へ行くとき、マサミが迎えに来てくれてうれしかった。どんな顔してみんなに会えばいいかわからなかったから、本当にホットしたよ。」
マサミ「前にも言わなかったっけ?あの時は、ただ、アキが怒ってないか、確かめたかっただけ。だから、わたしもホッとした。謹慎明けのクラスメートを迎えに行くなんて、そんな立派なこと考えてたわけじゃないよ。それに、今のわたしがあるのは、アキのおかげなんだよ。」
アキ「あたしのおかげ?」
マサミ「うん、あれからね、自分は何が出来るんだろう、何をしたいんだろう、と色々考えた。律子さんという素敵な人とも出会えた。律子さんに誘われて老人ホームでボランティア活動をするようになって、福祉関係の仕事に就こうと決めたの。自分の生きる道を見つけることが出来たんだよ。だから、これで良かったの。」
アキ「よかったね・・・ケンちゃんのこと、気にしてたあたしがバカだったよ。今のマサミもすごくキラキラしている。でも、今のマサミは遠い存在じゃない。一緒に歩く仲間のような気がする。」
マサミ「アキ・・・(アキに抱きつく)こうしてると、あったかい・・・・来年は頑張ってね」
アキ「ありがとう、頑張るよ。4月から東京行くんだよね・・・」
マサミ「うん。」
アキ「行ってらっしゃい。」
マサミ「行って参ります。」
アキ「その前にすることない?」
マサミ「することって?」
アキ「ケンちゃんと、ちゃんとお話してから行って。」
マサミ「いいの?」
アキ「うん、思い残すことなく東京に行ってもらいたいから。」
マサミ「ありがとう・・・・」

(続く)

※ということで、アキが呼んだ人物はマサミでした。二人の会話部分は、朔五郎さん、ごろさんのラフ案を参考にアレンジしました。
...2005/09/23(Fri) 08:12 ID:RTqfC4D6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 たかさん,おかえりなさい。
 そして,朔五郎さんはじめ執筆者の皆さん,1周年おめでとうございます。

 スレ主さんも言われるとおり,このスレッドが立ち上がったのは昨年の9月20日でした。その翌日には早くもSATOさんが配役を発表し,朔五郎さんが留守中の22日から23日にかけて,SATOさん,たかさん,ごろさんがリレー形式で書き継ぐということで,今日の形ができあがりました。その意味では,今日23日は,現在パート6に突入したこのスレの第二の誕生日とも言うべき日ということになります。
 その後,10月26日には,たー坊さん,11月14日にはグーテンベルクさんが結末を変えた別伝の執筆を開始。現在,いずれもパート3に突入しています。また,11月18日にスタートした今サクの医局の日々を描いたcliceさんの物語も着実に回数を重ねています。

 映画封切・TVドラマ放映から1年を経てなお,投稿や感想のレスが相次ぐ長大な物語となったのも,元の物語が多くの人の感動を呼び起こしたためといえるでしょう。また,こうした個々人の「思い」をそれぞれの胸の内に秘めているだけではなく,それを持ち寄って交流することを可能としたのが,このBBSという参加型のメディアであり,この場を提供して下さった管理人さんにも感謝いたします。
 これからも宜しくお願いいたします。
...2005/09/23(Fri) 18:09 ID:CCsypI.2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
朔五郎様
1周年、おめでとうございます。
とうとう、アキの入試ですか。
それにしても、ケンのかゆいセリフには、思わず絶句してしまいました。
アキがケンに頼りっぱなしの状態から、全く逆の状態に変わりました。私のストーリーの朔と亜紀の逆みたいですね。
見事、アキは合格するのでしょうが、アキがケン意外の男にさらわれることの無いように、優子の不安が現実にならないことを祈っております。
次回も楽しみにしております。

SATO様
1周年、おめでとうございます。
アキが呼び出したのはマサミでしたか。
この時はマサミも独り身でしたが、この後、ミライという男性にベタ惚れになることなど、自分でも予想していなかったでしょう。ましてや、朔五郎様のストーリーでミライの実家で正月を迎える、SATO様のストーリーではNYへの旅行など、これっぽっちも頭の中には無かったのでしょうね。
そんな幸福が訪れたのも、全てはこの時にアキと話したからかもしれませんね。
それにしても・・・アキとマサミにここまで思われるケン、そして、マサミのこの時以上の想いを寄せてもらえるミライ・・・2人とも、とんでもなくいい男ですね。いや〜凄い!
次回も楽しみにしております。

にわかマニア様
先日は私のストーリーにご感想をいただきましてありがとうございました。
とうとう、このスレも1周年ですね。あっという間でしたが、ずいぶん内容ある物語が出来上がっていると思います。それだけ、支持されている方が多いということですね。私もその一人ですが(笑)
そして、約ひと月後には、私にも1周年を迎えることになりそうですが、その時には皆様にお褒めのお言葉をいただけるように気を引き締めたいと思います。

そして、この場所を提供していただけている管理人様に深く御礼を申し上げるとともに、このスレをご覧の皆様、これからもよろしくお願い致します。

最後になりましたが、執筆者の皆様、本当に1周年、おめでとうございます。
...2005/09/24(Sat) 00:20 ID:Xzg2Act2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATO様
高校時代最後のヤマ場ですね。どうなるか楽しみにしております。

にわかマニア様、たー坊様
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

さて、映画“NANA”を観てきました。最高です。久々に燃えました(「萌え」ではない・笑)自分もこんな物語を創りたいと心から思いました。
この映画の中で大崎ナナの元彼「本城蓮」役の松田龍平さんと「小松奈々」役の宮アあおいさんは、ラジオドラマ「世界の〜」で「朔と亜紀」を演じたコンビです。もちろんこの映画の二人から「朔と亜紀」を感じることはできませんが(笑)
また、小松奈々の彼氏「遠藤章司」役の平岡祐太さんは、もちろんポカリスエットのCMでの綾瀬さんの相手役です。つまり「二人の亜紀」と同時に共演し、その両方を泣かせるという「怪挙(?)」を成し遂げているのです(^^;;;

そこで、次のシリーズ「広島編」に出てくる新キャラを紹介します。

※近藤彰二(平○祐太)
宮浦大学文学部の新入生。バスケ部に入部する。入学式の朝、会場に向かう途中で大林亜紀に出会い恋に落ちる。健三郎を先輩として尊敬しながらも、大林亜紀のことについては激しいライバル心を燃やす。

※小杉菜々(宮○あおい)
彰二の高校時代の同級生。ミーハーで恋愛依存症の女の子。彰二のことを(一方的に)愛しているが、彰二からは恋人だとは思われていない。彰二を追って宮浦にやって来る途中、列車の中で大林亜紀と出会う。ショッピングセンターでアルバイトをしながら美術の専門学校に通う。恋のライバルのはずの大林亜紀に奇妙な親近感を抱き、すっかりなついてしまう。やがて大林薬局の隣のアパートの7号室に住むようになる。
「妙に人懐っこくて従順だがすごく世話がかかる」子犬のような菜々に、ユイは「ハチ」というニックネームをつける。

たー坊様
というわけで「健と亜紀」の間に一人の男が割り込もうとします。まあ、結果はたぶん「予想通り」になるでしょう。
ただし、亜紀に接近するのは「男」だけではないかも知れないのですが(笑)
...2005/09/26(Mon) 00:25 ID:aQQ2WLwo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
>ただし、亜紀に接近するのは「男」だけではないかも知れないのですが(笑)

 その「接近する存在」が死神でないことだけを切に祈っております(笑)
 読者一同になりかわり・・・
...2005/09/26(Mon) 08:26 ID:yslTgtjQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さま
朔五郎さま
コメントありがとうございます。高校時代の最大のヤマ場の一つ目を乗り越えました。「キズナ」はあと1回で終了し、新シリーズ「over・・・」を4回程度で掲載します。こちらはもう一つのヤマ場のケンとマサミのお別れ場面が入ります。
新キャラを迎える広島編の開始が楽しみですね。

※新キャラのモデルとなった平○クン、「月9」での森山クンとの共演が楽しみです。ちなみに、このスレッドに登場するミライのお姉さんが誰に見えるかは先日申し上げたとおりですが、ちょっとエルメスさんには見えませんね・・・(^^)

※これらメインストーりーを書き上げたあと、アキの仲間のユイ・ハルカのサイドストーりー再開予定です。早く再開しないと賞味期限切れになってしまいますね(汗)

3連休+1日休暇を取り、2泊3日で「広島」編の舞台を視察してきました。初日は尾道に宿をとりました。ここは「大林」監督の多数の映画作品のロケ地としても有名です。家の軒先を電車が走っていたりして、観光地なのにそれを感じさせない生活感がある、不思議な魅力を感じさせる街でした。
2日目は広島に移動して、原爆ドームと原爆資料館を見学。道ひとつ挟んだ向かい側は広島市民球場で、戦争の悲惨さを伝える原爆ドームと平和の象徴である野球場のコントラストに感無量でした。試合開始前から盛り上がる野球ファンの声を耳にしたとき、憲法改正によって、これらのファンの喜び・楽しみを奪うことがないように祈るのみでした。
感傷にひたった後は、「広島×阪神」戦を観戦。今岡選手の逆転ホームランに度肝を抜かれました。気になったのは、カープの本拠地でありながら、虎ファンの姿ばかり目立ったことでした。(それも、30〜40代の人が子供と一緒に虎を応援していました。)山本浩二・衣笠が全盛だった頃はカープファンで埋め尽くされていたはずなのにです。FA制度が出来てから、左腕エースの川口、ホームラン王の江藤、3割・30ホーマー・30盗塁の金本ら、チームの顔が次々他チームに移籍していったので、カープファンはやり切れなさとともに愛着が持てなくなってしまったのかもしれません。今年もホームラン王をほぼ手中にした4番・新井、最多勝争いのエース・黒田が頑張っていますが、どうせ数年後にはいなくなる・・・という冷めた気持ちがあるのかもしれません。赤ヘル旋風のころのあの熱狂が市民球場に戻ってほしいと、「六甲おろし」の大合唱を聴きながら思いました。(このあたり、野球にお詳しいと思われるにわかマニア様、どう思われますか?)
以上、広島旅行記でした。
...2005/09/26(Mon) 16:47 ID:uoXYZ8/c    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 SATO様
 広島県人にして阪神ファンの野球オタクです。
 広島球団というのは,広島にとって焦土の中からの復興のシンボルですが,こうした経緯からも明らかなように,戦後生まれです。
 しかし,広島が「野球王国」であったのはそれ以前からのことであり,広島商業や呉港が甲子園で活躍し,多くの名選手を育ててきました。例えば,名将鶴岡(旧姓山本・広商)や物干し竿・藤村(呉港)です。チームの指導よりも金策が仕事だった広島初代監督の石本秀一(元阪神監督)も広島の人でした。
 そんな縁もあって,広島には南海(現ダイエー)や阪神のファンも結構多いのです。
 もっとも,これはどちらかと言えば年配の方々についてあてはまることで,若い人たちのことについては,私も判りません。あるいは,トラを応援するということが一つのファッションになっているのかもしれません。
...2005/09/27(Tue) 01:51 ID:pCbWj1wo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その14)

「アキ先輩、どうしてるかな?」
「もうそろそろ終わる頃ね」
今日もナオミはレイコのところに来ていた。
「試験場に入る時にすごく落ち着いてから、きっと大丈夫だと思うわ」
「さすがアキ先輩」
「ナオミちゃんも来年は東大受験ね」
「・・・ええ」
いくぶん元気のなさそうなナオミの様子にレイコは気付いた。
「どうしたの?何か不安なことでもあるの?」
「実は・・・ちょっと」
「学校のこと?」
「はい」
ナオミは疲れた顔をして話し始めた。
「特別進学クラスの先生って、ホントに変わった人ばっかりで・・・」
「変わってるって、どんなふうに変わってるの?」
「数学の中間先生・・・」
「ああ、あのメガネをかけて、いつもジャージ着てる女の先生でしょ?」
「はい。あの先生、化学の山内先生が好きらしいんです」
「山内先生って、ご先祖がお殿様だったっていう・・・」
「そうです。中間先生ったらものすごい剣幕で、私と山内先生の仲が良すぎるって言うんです」
「何か心当たりでもあるの?」
「たぶん、私の質問に丁寧に答えてくれていたのが気に障ったんだと思います」
「そんなことで怒られてもね・・・」
「でしょ?・・・おまけに私の知らないところで山内先生に会ってないでしょうね、なんて問い詰めるんです」
「なんて答えたの?」
「そんなこと出来るわけありません、くノ一じゃあるまいし・・・そう答えたら、フンと言って行っちゃいました」
「ナオミちゃんも大変ね」
「恋愛がうまくいかないのを私のせいにされちゃたまりません・・・」
心から同情するわ、という表情のレイコにナオミはさらに続けた。
「それに体育の服部先生もメチャクチャなんです。木登りとか綱渡りとか、そんなのばっかり・・・」
「なにそれ?」
「あんまりひどいんで、忍者じゃないんだから、たまには新体操とか陸上とか普通の授業もやってくださいって言ったんです」
ナオミはやりきれない、という顔をする。
「そしたら、君は素質がありそうだから三重県の伊賀トレーニングセンターに行ってみないか、とか訳の分からないことを言い出して・・・」
レイコはただただ唖然とするしかなかった。
「訳分からないって言えば、うちのお母さんも」
「お母さんがどうしたの?」
「突然、私のことをかぐや姫とか言い出すし」
「あら、かぐや姫ならいいじゃない」
「冗談じゃありませんよ、全く」
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」

その夜、松の木に囲まれた小料理屋「きょうこ」では店じまいの後、京子と「海の時計」のマスターがカウンター席に並んで静かな時を過ごしていた。
と、突然ナオミが二階から降りて来て京子に言った。
「お母さん、ちょっと話があるんだけど」
ただならぬ雰囲気に、一瞬にして京子の表情がこわばる。
「じゃ、ぼくはこれで」
立ち上がりかけたマスターにナオミが言った。
「おじさんも一緒に聞いて下さい」
その言葉に、マスターは頷きながら腰を下ろした。
「お母さん、私のこと、かぐや姫って言ったんだって?どこか別の世界に帰って行くって・・・」
「京子さん、ごめん。ぼくが話したんだ・・・」
「いいんですよ、本当にそう思ってるんだから」
「どういうこと?私に出て行けって言うの?」
「そうじゃないよ。でもあんたは東大に行って、もっともっと広い世界に・・・」
「私は大学を出たらここに戻って来るよ」
「ナオミ、私のことはもう心配しなくていいよ」
「どうしてそうやって何時もカッコつけるの?どうしてたった一人の娘にさえ弱いところを見せられないのよ」
「ナオミ・・・」
「プライドばっかり高いとね、幸せになんかなれないよ」
「そんな言い方しなくても・・・」
「ねえ、待っててくれてもいいじゃない、私が東京から戻って来るまで。かぐや姫なんて言わないでよ・・・追い出さないでよ・・・好きな男の人がいるなら一緒に暮らしててもいいから・・・」
「ナオミちゃん」
「私だっていつか好きなひとと結婚して、どこかで自分の家庭を作るんだと思う。でも、いつまでも仲良くしていこうよ。寂しいこと言わないでよ」
「あんたに怒られるとは思わなかった・・・」
京子はナオミを抱き寄せた。
「あんた大きくなったねえ。あんなに小さくて、私の腕の中にすっぽり入ったのに、いつの間にか私を追い越して行くんだね。でも、どんなに大きくなっても、やっぱり私の娘だね。あんたの温もり、それがなければ私は今まで生きて来れなかった。その温かさは今でもちっとも変わってないよ。ごめんね、私が間違ってた。娘がいつまでも小さな子供だなんて、そんなことあるわけないよね。自分の娘なんだから、もう、少しくらい甘えてもいいんだよね」
「お母さん」
「ありがとう、ナオミ。私の娘に生まれて来てくれて、本当にありがとう・・・」
二人は黙って抱き締め合った。しばらくしてナオミが言った。
「おじさん、これからもお母さんの話し相手になってあげて下さい。私がいない間、お母さんの傍にいてあげて下さい・・・」
ぽろぽろ、ぽろぽろ涙をこぼしながらナオミはマスターに頭を下げた。

(続く)
...2005/09/27(Tue) 05:01 ID:G7innxo.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 ついに「山内一豊の妻」の先ヅモですか(^^)v
 これまでにも「赤いシリーズ」「雨鱒」「いま会い」「皿の割れる喫茶店」「白い巨塔」「特進クラスの受験生」「平家物語」「水戸黄門」「(まだ予告編だけですが)八犬伝」等が入り混じって展開されてきて,さながら「宝探し」を楽しむような趣がありましたが,まだ登場していない物語を探す方が難しいくらいになってきましたね。
...2005/09/27(Tue) 12:49 ID:Uc6tVvaA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たか
ご質問ですが、ナオミはヒロ達との年齢差はどうなってるんですかね?

できれば融合させて行きたいなと思うのですが
...2005/09/27(Tue) 19:57 ID:u7FoO2fg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たか様
私の知る範囲でナオミとヒロ達との関係についてお知らせいたします。

2018年1月現在、ナオミとヒロ達は同じ2年生です。(つまり同級生)
正月早々、校長先生の鶴の一声で「特進クラス」が始まりましたが、その前はナオミも一般クラスでした。(大沢先生のことを懐かしがってました)

ヒロ・ハルカ・アツシは2年A組で阿部先生が担任、ナオミは2年B組で担任は誰かわかりません(大沢先生がいいかも)。クラス替えは毎年あるので、1年生のときに同じクラスだったとすれば、ヒロ達(特にアツシかな?)とは何らかの接点があると思われます。

ヒロ達が「海の時計」に来るようになったのは2017年の秋頃(バイトがきっかけ)、ナオミは2018年の年明けから顔を出すようになったので、「海の時計」で会うのもいいかもしれませんね。

ナオミ・ハルカと大林アキとの関係ですが、アキと知り合った時期が違うので、印象は異なると思います。自ら東大を目指すナオミにとっては、受験モードに入り、入試問題を鮮やかに解くアキはまぶしくて尊敬の的でしょう。一方、ハルカにとっては、アキは何でも相談できる優しい姉貴分に見えたと思います。
ケンやレイコはアキの変わっていく様子にびっくりしているようですが、ハルカも驚くかもしれません。
以上、参考にしていただければ幸いです。


朔五郎さま
いよいよ時期大河ドラマも入ってきましたね。広島編では来年の朝ドラヒロインも登場するので楽しみです。
ナオミは中間先生に八つ当たりされてたまりませんね。実は、私も会社でこの種の八つ当たりに遭ったことがあります。なので、ナオミのやり切れない気持ちがよくわかります。こういう場合はスルーしましょう(^^)


にわかマニアさま
野球に関する相変わらず詳しいコメント、ありがとうございます。虎の応援がファッションというのは、そのとおりかもしれませんね。「カープが弱くてどうしようもないから、取り敢えず虎でも応援すっかー」というノリでしょうか(^^)
...2005/09/27(Tue) 21:03 ID:No73SyGU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニア様
>死神
それはありませんのでご安心を。「死神」という刺青を入れた男(ニノ)でもありません(^^;;;
>まだ登場していない物語
「長澤系」では「クロスファイア」「モスラ」「黄泉がえり」「深呼吸の必要」あたりですが、どれも使いにくいものばかりです(苦笑)
友人の「ちひろ」とカラオケに行って、二人で「モスラの歌」を歌うとか(^^;;;

たか様
ナオミは「長澤系キャラ」なのでマサミとのバッティングにはご注意くださいませ(^^)
なお、北条校長の異動により、新年度(4月)以降は「特別進学クラス」は廃止となり、ナオミもめでたく「普通クラス」に復帰する予定ですので、クラス替えの時には、どこかに入れてあげてくださいませ(^^)
なお廃止の理由は「意味が無いから」です(苦笑)
SATO様の説明は非常にわかりやすいので、是非参考にしてください。
...2005/09/28(Wed) 00:24 ID:R6NrMCR.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
お褒めの言葉ありがとうございます。
たかさんをはじめ、新規参入あるいは復帰を試みられていらっしゃる方々のために、このストーりーを時系列的にまとめてみました。参考になれば幸いです。

2016年6月
物語のスタート。あじさいの丘でアキがケンにフェイスペインティングのイタズラをする。

2016年7月
ケンがキャプテンを務めるバスケ部が地区大会で敗退

2016年7月?8月?
進路指導が始まる。ケン・アキが大沢先生の心の痛み(同時多発テロ)に触れる。
二人でNY行きを考え始める。

2016年9月
@ケンがマサミに文化祭欠席を告げる
Aマサミの目の前でケンとアキが東京へ飛び出す
Bアキが病気で倒れ、ケンとともに保護される
Cアキの治療にあたった朔とともにケンとアキが帰郷
D文化祭はシンジが代役にたち、どうにか乗り切ったが・・・
E帰郷したケンとアキは謹慎が解けたあと、学校に復帰

2016年10月〜12月
@マサミを避けるケンをシンジが叱責する
Aマサミは大沢先生のはからいで律子と出会い、ボランティア活動を開始。廣瀬夫妻と知り合う。
Bユイの母が倒れ、ユイが店を切り盛りすることに
Cアキがハルカと知り合い、野球部のために一肌脱ぐ
Dそれぞれクリスマスを楽しむ

2017年1月〜2月
@初詣でアキとハルカが再会。マサミとハルカが知り合う
Aアキたち3年生は受験モードに突入
Bハルカは野球部員と節分の豆まきを楽しむ。ボウズの息子登場
Cマサミが律子とともに、廣瀬夫妻・朔・智世・龍之介・ボウズの前で「かたちあるもの」を披露する。
D入試結果発表。アキだけ不合格になる

2017年3月
@タクミとミオの恋をマサミとハルカが応援
A「涼風ホーム」でマサミが最後のマジックショーを披露。同じ日にハルカは劇で静御前を演じ、マサミから後を託される。
Bアキとマサミの語り合い(「キズナ」で投稿中)
C卒業式
Dケンとマサミの別れ(「over・・・」で投稿予定)
Eマサミの旅立ち
Fアキが「ソラのうた」に感銘を受ける(「花と海」シリーズ)
Gケンがアキの家庭教師を達明・智世に申し出て、了解を得る

2017年4月
@ケンたちが大学進学。ケンはサユリと知り合う。
Aハルカたちが2年生に進級。担任は阿部先生。

2017年7月
ケンがサユリの誘いで札幌へ行く

2017年8月
@マサミが帰郷
A谷田部先生が手術を受ける

2017年10月?
@マサミがミライと付き合い始め、四国のミライの実家を訪ねる
Aマサミの演劇公演。大沢先生夫妻、シンジ、ユイ、レイコが招待される

2017年11月?
@レイコが「海の時計」でアルバイトを始める
A「海の時計」のマスターの息子(ニノ)にレイコが想いを寄せる
Bレイコが北海道旅行。アズサと対面
Cハルカとヒロが「海の時計」でバイトする

2017年12月?
@レイコとニノが大沢先生たちとともにスキー旅行。互いの気持ちを確かめあう。
Aマサミがミライとともに四国へ再び旅行する。道中、様々な人との出会いが・・・

2018年1月
@マサミはミライの家族とともに正月を過ごす
A「海の時計」のマスターと小料理屋「きょうこ」のママが知り合い、いい感じに・・・
Bナオミ(「きょうこ」のママの娘)が「海の時計」の常連になり、そこでアキと知り合う。レイコからは妹のように可愛がられる。
Bアキが受験モードに突入。変わっていくアキにケンは戸惑いを隠せない・・・

とまあ、こんな感じです。
...2005/09/28(Wed) 23:10 ID:1syxlibs    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATO様
いやいや、大変な作業をして頂いて感謝であります(^^)それにしても・・・いろいろなことがありましたね(感無量)

さて、大学入学後の展開ですが「ブラックジャックによろしく」というドラマに似たような感じはどうかな、と考えております。
大林亜紀という人物を軸に、全く違う二つの人間模様が同時に進行するというものです。
「宮浦大〜宮浦高」の方は、昔ながらのシンジ、ユイ、レイコ、マサミ、高校の後輩達、それからバスケ部のメンバーが織りなすいわば「表の世界」
そして週末に通う「美術学校」の方は今度出てくるナナが活躍し、ほんの少しだけダークなテイストも加えた「裏の世界」(別に《非合法》というわけではないのでご安心を)
ここらへん、ご意見・ご要望がありましたらご遠慮なく(^^)
「ブラックジャックによろしく」といえば、このスレでは綾瀬さんの「看護師姿」はまだ出ていませんでしたね(^^)
...2005/09/29(Thu) 00:59 ID:nTxihdgI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの涙(ベーやんの汗から改題)

 深夜のスタッフ・ルーム。
 灯りが消え,ひっそりとして誰もいない。
 どうして・・・
 いつもなら,「大丈夫か,オレ」とつぶやきながら,ベーやんがコラムを書いているのに・・・

 という訳で,今回は,瀧澤が代わりにこのコラムを担当させて頂きます。

 それにしても,ベーやんったら,どこへ消えちゃったんだろう。「三種の神器」同然の持ち物を海に落としてすごい剣幕の出演者から呼び出されたのが昼下がりだったのに,まだ戻ってこないなんて。
 パシリは一番下のベーやんの役目とはいえ,「どうしていつもオレばかり」と落ち込んでいたようだったから,三種の神器の沈んだ防波堤から身投げでもしたんだろうか。でも,元水泳部だから,すぐに浮かんでくるはずだし・・・

 それとも,出演者の剣幕も,ベーやんの落ち込みも演技で,一緒に盛り上がっていたりして・・・
 まさか。
 出演者とスタッフの交際がご法度というのは,ベーやんだって知ってるはずだし。

 何で,こう変なことばかり考えてしまうんだろう。
 大丈夫か。ワ・タ・シ・・・
 あっ。ベーやんのクセが移ってしまった。

 おや。
 こんな時間なのに,何やら外が騒がしくなってきたようです。ベーやんの声みたいだけど・・・
 それにしても,あの調子の外れた歌声は何?
 「闘志溌剌 起つや今
  熱血既に 敵を衝く
  獣王の意気高らかに
  無敵の我らぞ・・・」
 ひょっとして,六甲おろし?
 ベーやんって,いつから阪神ファンになったの?
 東中野の「とら」の支店が宮浦にもできたの?
 それにしても,あんな音痴じゃ,立川清登さんに失礼よ。まあ,中村鋭一よりはマシかな。

 じゃあ,ベーやんに見つからないうちにパソコンを落とさなくちゃいけないので,この辺で失礼いたします。
 また,機会がありましたら,代筆させて頂きますので,ヨロシク。
 いつもの「ベーやん」に代わって「瀧澤の涙」でした。
...2005/09/29(Thu) 17:36 ID:O1GNE53U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たか
「ナオミとレイコ姉さん」

2018年 1月

カランカラン
ヒロ「こんちは〜」

マスター「おぉ、いらっしゃい」

ハルカ「こんにちは。あれ?レイコさんは?」

マスター「今買出し中でねぇ、もうすぐ戻ると思うよ」

ハルカ「そうですか〜」

マスター「何か飲むかい?」

ヒロ「んじゃホットコーヒー」

ハルカ「私もお願いします」

マスター「お、いらっしゃい」

ナオミ「こんにちは、レイコ先輩は?」

ヒロ「買出しだってさ」

ナオミ「あ・・・どうも」

ハルカ「あなた、ウチの学校の人ですよね?」

ナオミ「そうだよ、2−Bのハセベナオミ」

ヒロ「特進ってヤツか」

ハルカ「じゃあ東大に行くんですか?」

ナオミ「わかんないけど・・・たぶん」

ヒロ「ま、がんばんなよ」
少しの間沈黙するヒロ達・・・そこへ

レイコ「ただいま〜」

ナオミ「あ、レイコ先輩」

レイコ「お〜ナオミちゃん」

ハルカ「あの、お知り合いなんですか?」

レイコ「うん。まぁ色々あって」

ハルカ「あ、申し遅れました、私コガハルカと申します」

ヒロ「クニミヒロね」

ナオミ「知ってますよ、1年生の時から。特にヒロ君は。アツシ君の所にいつも来てたから」

ハルカ「そっか〜」

ナオミ「それに、ヒロ君は有名人だし。で、いっつも横にいるからハルカさんも顔も名前も覚えちゃったわけ」

ハルカは少しムッとした感じだった

ナオミ「私、野球大好きなんですよ!だから、是非頑張ってください」

ハルカの顔はすぐに緩んだ

ハルカ「うん!」

ナオミ「ヒロ君も頑張って!」

ヒロ「あ〜い」

レイコ「もうすぐアキも来るんじゃないかな」

ハルカ「ホントですか?」

レイコ「うん。さっきメール入ってたし」

ナオミ「アキって誰ですか?」

レイコ「うーんとね、私と同い年の友達」

ナオミ「そうなんですかぁ〜」

ハルカ「受験生なんだよ」

ナオミ「へ〜って・・・あれ?ってことは・・・」

レイコ「そう、1回大学落ちちゃってんだ」

ナオミ「あ・・・そうなんですか・・・」

ハルカ「私達も来年は受験だね」

ヒロ「俺はプロから指名を受ける予定だから」

ナオミ「はぁ・・・」

レイコ「どうしたの?」

ナオミ「私・・・東大行くのやめる・・・」
アキの話を聞いて急に不安になったナオミ

続く・・・




かなり久しかったのであまりイイ出来ではないと思いますが・・・感想・意見・訂正などがあったら言ってください
...2005/09/29(Thu) 17:54 ID:3c6SAago    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たか様
久し振りの作品、読ませて頂きました。
内容については、たか様らしくて、全く問題はございません。
ただ、ナオミの苗字ですが朔五郎の文では「長谷部」にしてあります。
これは母親の名を「長谷○京子」→「長谷部京子」にしたためです。
一応お知らせしておきます
...2005/09/29(Thu) 20:46 ID:/GCuznag    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
キズナ〜5

宮浦高校の校門から智世とタクミが出てきた。(二人とも自転車を押しながら歩いています)

タクミ「今日はいろいろお話を聞かせてもらって、楽しかったです。走っている陸上部員を見て、僕も懐かしい気分になれました。」
智世「ありがと。やっぱり大切な人の思い出は大事にしなきゃ。タックン見てて急に想い出の場所に行きたくなってさ。付き合ってくれてありがとうね。」
タクミ「それじゃ、失礼します。」
智世「じゃあね。お大事に。」

一方、川沿いの道をマリコとユウジが歩いていた。大林薬局を訪ねたら、学校へ行っていると達明から知らされ、こちらへ向かっていたのである。ユウジが川の向こう岸にタクミを見つけた。

ユウジ「あっ、タックンだ。タックーン!!」
橋を渡ったユウジはものすごい勢いでタクミのところへ駆けてきた。

タクミ「ユウジ、お帰り。ちゃんといい子にしてたか?」
ユウジ「うん!マリちゃんに僕が描いた絵を見てもらったよ。それからここまで送ってもらったんだ。」
タクミ「よかったな。マリコさんにお礼言わなきゃな。」
ユウジ「マリちゃーん、ありがとー」

ユウジはマリコに向かって手を振る。それに答えてマリコも手を振った。

タクミ「さあ、帰ろう。後ろに乗れ、ユウジ。」
親子が二人乗りして走り出した。と思ったら・・・・川向こうのマリコがタクミたちの自転車を追いかけて駆け出した。

マリコ「成宮くーん、待ってー!」

「タックン・・・」向こう岸で自転車を追ってくるマリコにユウジが気付いた。マリコは叫ぶ。

マリコ「あたしねー、ユウジ君の一番いい友達になる!あたしがそう決めたの。だって、ユウジ君のたった一人のお母さんは・・・成宮君のたった一人の愛する人は・・・『ミムラ』だけなんだよ!」

マリコの言葉にタクミとユウジがうなずく。

マリコ「だからねー、成宮くーん、他の女の人、家に入れるんじゃないわよー。そんなことしたら、このわたしが承知しないからねー!!わかった?タクミくーん!!」

マリコの叫びにタクミは両手で○を作って答えた。ユウジもつられて○を作った。
走り去っていくタクミたちを見送りながらマリコは思った。

『タクミ君・・・はじめて面と向かって下の名前で呼べたね。何かうれしいな。ユウジ君のお母さんにはなれないけど、でも、ミムラの次にあなたのことが好きなのは、このわたしだから。タクミ君、いいでしょ?あなたのこと好きでいても・・・』

* ********

智世が自転車に乗って帰路についていた。その前にアキが姿を現す。

アキ「お帰りなさい。お母さん、あたしが運転するよ。」
智世「え?」
アキ「いいから、ほら、後ろに乗って。」

アキは智世を後ろに乗せて自転車を走らせる。

アキ「今日はとっても嬉しいことがあったの。だから、お母さんにも分けてあげたくて。」
智世「ふーん、そうなんだ。」
アキ「お母さん、来年こそ頑張ります。」
智世「今日は妙に神妙ね。期待してるよ、来年は。でもね、これからの1年が無駄になるような生き方はしないで。これからもアキには自分らしく生きていって欲しいから。」
アキ「ありがとう、お母さん・・・」

二人乗りの自転車は走り去っていった・・・・


いま何してるかな 君も見ているかな
雨はやみ 空に架かるアーチ 虹でつながる君とボク

何々を知ったり 何々を知らなかったり
止まったり 前に進んだり 後ろに下がったり
自らコロガル時もあれば 手を借りてコロガル時もある
カラン コロン また広がる
カラン コロン またコロガル

空と海が重なった あの島のような
離れても同じ色に 優しく混ざり合う
ほら寄り添うキズナ

一歩 一歩 ただ前へ 一歩 一歩 歩幅合わせ
転びそうなら そう手をつかめ Say!Wo!Wo! 皆で歌え・・・・

(キズナ by ORANGE RANGE)

FIN


このストーリーはドラマ「いま、会いにゆきます」を参考にさせていただきました。
...2005/09/29(Thu) 23:50 ID:uPT.mH7Y    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たか様
復活第作を楽しませていただきました。
私もナオミとハルカの人間関係はどうなのかな、と関心があったので、続きを楽しみにしています。

※先日「タッチ」を観てきたばかりなので、ナオミとハルカの会話が浅倉南と古賀春華の顔合わせみたいでした(^^)ナオミは野球好きというキャラが加わったので、ハルカとは仲良くなってもらいたいです。

※アキとナオミの関係についてはパート5の281・288「宮浦の春1・2」あたりを参考になさってみて下さい。
http://www.alived.com/cgi/yyai/yyplus.cgi?mode=new_html&no=9509
...2005/09/30(Fri) 00:07 ID:ni0pQ5j.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
朔五郎様、SATO様、たか様

お疲れ様です。
ここにきて、たか様が本格的にカムバックということで、今まで以上に物語に幅ができ、多彩なストーリーになっていくことが期待できます。
アキたちのキャンパスライフとその前のエピソードなど、多大な期待を抱いて次回を楽しみにしております。
...2005/10/01(Sat) 01:26 ID:ezFi.8AQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その15)

「おい、アキ」
達明が呼ぶ声がする。
「はーい」
入試が終わった翌日の朝だった。
「なに?お父さん」
いつもと変わらない娘の様子に達明は安心した。
「受験、ご苦労だったな」
「ううん、いろいろ気を遣ってもらってすみませんでした」
「うむ・・・まあ、何かと疲れたろうから、2、3日ゆっくり休んだらどうだ」
「うん」
「アキ、ゆうべ健三郎君のお母さんから電話があってな」
「え?」
アキは優子が自分のことを必ずしも快く思っていないことを薄々感じていた。それだけに父の口から優子のことを聞いて思わずギクリとした。
「ちょうどアキが風呂に入っている時で、その後疲れた顔ですぐ部屋に入っちまったから言えなかったんだよ」
「そう・・・」
「それでな、アキと健三郎君はこの一年間本当に良く頑張ったから、今夜二人のために夕食会を開いて下さるというんだよ」
「ほんとに?」
「ああ。どうする?」
「うん・・・」
「行って来いよ」
「お父さん」
「健三郎君との未来をほんの少しでも考えているのなら、今のうちから相手のことを理解する努力をしておいたほうがいいよ。それにな」
「それに?」
「詳しいことはわからないんだが、ショッピングセンターのことで、何かアキの意見を聞いてみたいとか」
「え?なんだろう・・・だって、ウチの店以外のことは全然わからないよ、私」
「さあ、俺にも見当がつかんなあ」
「困ったな・・・」
「まあ、そんなに緊張するな。じゃ、行くって返事しとくぞ、いいな」
「・・・うん」

アキは大学の昼休みの時間帯にケンの携帯電話にコールをかけた。
「あ、アキです」
「おお、どうだった?ゆうべ電話したけど出なかったから・・・」
「ごめんね。ちょっと疲れててすぐに寝ちゃったの。試験はね、大体予想通りの出来だったと思うよ」
「そうか、じゃ発表が楽しみだね」
「どうかな」
「自信あるくせに。あ、今夜のこと聞いた?」
「うん」
「来るだろ?」
「・・・いいのかな」
「なにが?」
「なんとなく・・・」
「来てくれよ。ウチの親もアキに会いたがっててさ」
「ほんとに?」
「ホントだよ。じゃあさ、オレ4時頃《海の時計》に行くから、そこで待ってて」
「うん」
「一緒に行ったほうがいいだろ」
「うん」
「じゃあ、また」
「うん、またね」

「海の時計」では今日もナオミがカウンターの端の席を占領していた。ミルの手入れをしているレイコの横顔を、うっとりするような表情で見ていたナオミはイタズラっぽく笑って言った。
「ね、お姉ちゃん」
思わずくすぐったそうな顔をしてレイコが答える。
「やだ、どうしたの急に。そりゃナオミちゃんは妹みたいなものだけど」
「ふふ、ホントの妹になるかもよ」
「え?」
「ウチのお母さんとマスターが結婚して、レイコ先輩と彼氏が結婚すれば・・・」
「あ、そうか」
「ね、ね、こんな妹がいても悪くないでしょ?」
「ま、まあね」
「これからもよろしくね、レイコお姉ちゃん」
「コラ、まだ早い」
「へへっ」
その時、ドアを開けてアキが入って来た。
「いらっしゃい、アキ。入試、お疲れ様でした」
「ありがとう」
「出来た?」
「うん、まあまあ」
「そう、良かった・・・そうか、もう参考書や赤本は持ってないんだね。なんか感じが違うと思った」
「そうなの。自分でもすごく身が軽くなった感じ」
「今日は自分で挽く?」
「あ、今日は待ち合わせなんで、普通に」
「わかった。あれ、待ち合わせって、もしかしてケンと?」
「うん」
「そうか、いよいよ解禁になったんだね。これからは堂々とデートできるね」
「まあ正式には合格発表の後だけどね」
「アキ先輩、こんにちは」
ナオミが挨拶する。
「こんにちは、ナオミちゃん。レイコ、毎日のように来てくれて、いいお客さんだね」
「うん。でもナオミちゃん、ここばっかり来ててヤマシタ君とは全然会ってないんじゃないの?」
「大丈夫です。毎晩TV電話で話をしてますから。竜桜高校は普通の授業が終わった後、個別指導があって、下校するのは毎日七時過ぎなんです」
「さすが超エリート校ね」
ドアが開く音がした。
「いらっしゃい、ケン。アキがお待ちかねよ」
「どうも。あ、オレもコーヒー」
テーブル席に向かい合って座るケンとアキを見てレイコが言った。
「なんか懐かしいなあ。あの二人のツーショットずっと見てなかったからなあ」
「あれがアキ先輩の彼氏ですか・・・」
「そうよ。どう?ナオミちゃん」
「優しくて頼れる、って感じですね。でも私はやっぱりヤマシタ君のほうが」
「誰だって自分の好きなひとが一番だって思うわよ」
そう言いながらレイコは、遠く長野にいるニノの横顔を思い浮かべていた。

(続く)
...2005/10/02(Sun) 18:29 ID:whSn2Anw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
「べーやんの涙」最高です。楽しませていただいてます。
さて、べーやんの行く末ですが
A案:俳優となり、生涯ミチルの相手役を務めるハメになる。
B案:「べーやんの涙」というコラムの好評がキッカケで(某ドラマのように)脚本家への道が開ける。ただし実際はミチルの意向どおりのシナリオを生涯書き続けるハメになる。
C案:A+Bで、ミチルの意のままに、生涯「自作自演」を続けるハメになる。
他にもいい案ありますか(^^)

SATOさま
チンジャオロースを作るシーンですか。懐かしさがこみ上げてきますねえ。
楽しみにしております。

たー坊さま
コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
...2005/10/02(Sun) 18:46 ID:whSn2Anw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
コメントありがとうございます。
今回のクライマックス編では、当初からのレギュラーメンバー(廣瀬夫妻、律子等)が続々登場します。
...2005/10/02(Sun) 20:20 ID:ZHpD.tFI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
先程、アボリジニの伝統についてのドキュメンタリーをやってました「世界の〜」を連想させるようなシーンはありませんでしたが、オーストラリアの自然を見ることが出来たのは良かったと思います。

映画「タッチ」を観て来ましたが、南の「バイバイ」というセリフがあったり、達也の机の上に恐竜のフィギアが置いてあったり、「あの映画」を連想させるものが幾つかあってニヤリとしておりました。それにしても、出演者たちの野球のレベルがなかなか高く「アニメの実写版」の中では最高に近い出来ではないかと思いました。長澤さんもキャッチボールの場面ではマトモな球を投げていて、運動神経の良さを感じさせました
...2005/10/02(Sun) 23:51 ID:XAPAyNpQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
「きょうこ」のママはクリスチャンという設定はいかがでしょうか?
娘のナオミが仲間先生からいわれのない嫉妬を受けたり、忍者まがいの練習をさせられたり・・・ということからフと思いついた次第でして。
もちろん、洗礼名は「ガ○シャ」です(^^)

※外野の勝手な妄想であり、ストーリー展開にはあまり影響はないので、スルーしていただいて結構です。
...2005/10/03(Mon) 20:23 ID:9x4MIy.A    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 べーやんの行く末が俳優にせよ脚本家にせよ,生涯ミチルに振り回されるという結末だけは変わらないようですね。
 まあ,ミライがマサミに出合った時点で運命が決まってしまったように,ベーやんにも運命を受け容れてもらいましょう。
 この物語の原題に登場する先哲も言っているではないですか。めぐりあった人が素敵な人だったら幸福になれるし,そうでなかったとしても哲学者になれるのですから・・・
 と,これは,哲学者の妻を持つ幸福な夫の述懐でした。

 皆様にお詫び
 76番の投稿(ベーやん深夜の六甲おろし放歌高吟編)で致命的なミスを犯してしまいました。
 9月29日という特別な日付でもお判り頂けるように,極度の高揚感の中で書きなぐったため,10年の後までもタイガースという球団が解散も身売りもせず健在であるという極めて脆弱な前提の上に立ったものであることに気づかないままの投稿となってしまいました。
 軽率さを深くお詫びいたします。
...2005/10/03(Mon) 20:47 ID:LevMV./.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
宮浦の春編では、ある意味壮大な計画?がレイコとナオミの間に広がってますね。
それにしても、仲間の前で堂々とデートができるケンとアキには、自由を満喫してもらいたいです(笑)

そして、アキとマサミと律子という夢のような3ショットには、ぜひ実現してくれないかなと思ってしまいました。
...2005/10/04(Tue) 21:35 ID:2S26iUtw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
>ガラシャ
どこかで盛り込んでみましょう(^^)

にわかマニアさま
まさか「村○タイガース」にはなっていないでしょう(^^)

たー坊さま
お読みいただいてありがとうございます。
レイコとナオミを中心とした輪はさらに意外な広がりを見せるかも知れません(^^)
...2005/10/04(Tue) 22:23 ID:bhfrNPYY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さま
こういう組み合わせは年末年始の大型ドラマ等で実現されるといいですね。
「赤い運命」を観ながら吉野いずみ役が長○まさみさんだったら・・・などど想像していましたよ。

朔五郎さま
外野のアイデアを取り入れていただき、ありがとうございます。神父さまの前で懺悔する場面などあれば・・・

にわかマニアさま
タイガースがなくなったりしたら関西はじめ、全国の虎ファンが黙ってないでしょうから、まず大丈夫でしょう。
...2005/10/04(Tue) 23:47 ID:AACRu61A    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
>吉野いずみ役
長○さんなら、ああいう意地悪な役も案外こなすと思います。が、ファンの反発がものすごいでしょうね・・・(苦笑)

「二人で遠いところに行きたい」というセリフに思わずドキリとしました。
「千葉の海岸」というから思わず夢島を探してしまった、というのはウソですが(^^;;;
...2005/10/06(Thu) 04:31 ID:s/A2MNzI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「赤い運命」を観ていました。
初日冒頭の火事のシーンからハイテンションのドラマでグイグイ引き込まれました。法廷・拘置所・調査・尾行と次はどうなるんだ?というサスペンスも楽しめました。(BGMもサスペンス風でしたね)
最後の公判で吉野信人(榎木さん)が証言した内容は、現在そして未来の国家に対するメッセージとも受け取れました。
綾瀬はるかさんはじめ、キャスト・スタッフの皆様、素晴らしいドラマを有難う!

余談ですが、綾瀬さんはこれを機会に2時間もののサスペンスドラマに出演してもらいたいなーと思いました。図書館で資料を捜す場面や尾行する場面の表情がとても良かったので、向いているかもしれません。船越さん、榎木さんという2時間ドラマの常連さんとの共演を再び観てみたいです。
...2005/10/06(Thu) 23:23 ID:EMrn8lZw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
いやあ、良かったです「赤い運命」

ただ非常に気になったことが一つ・・・
あの河野氏の講演会の日、つまり直子が刺された日は「十月二十四日」なってませんでしたか?
十月二十四日って(^^;;;
...2005/10/06(Thu) 23:46 ID:974wI2E6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
ちょっとお遊びです

『DBSサスペンス劇場予告編』

「大学生カップル探偵紀行」

『廣田亜紀子・松山俊朔(シュンサク)の大学生カップルが見たものは何か?』
「キャー、サクちゃん、人が・・・人が・・・」
「アキ、どうした!ああ・・・」
『次々と起こる殺人事件。いったい、誰が、何のために?』
「こんな残酷な手口を使うなんて、何かの恨みにかられているのだろうか?アキ、調べてみよう」
『しかし、カップルの身に危険が迫る・・・』
「運が悪かったな。俺を見てしまって。運命を呪うんだな!」
「サクちゃん、危ない!」
   ブス!!!
「アキ!」
「・・・ここ、天国だもん・・・サクちゃんの腕の中・・・」
「助けてください・・・助けてください・・・」
『果たしてカップルの運命は?尾道・広島・宮島連続殺人!』

出演 真島ミチル 山辺孝之
脚本 森下○子  
監督 堤○彦
プロデューサー 岩丸○○
製作 DBS ポリプロ

ということで、真島ミチルの次回作はサスペンスドラマでいかがでしょう?無理矢理ベーヤンを相手役にして。
大林亜紀が広島旅行中にロケ現場に出くわし、エキストラ出演するのもいいかも(^^)
...2005/10/07(Fri) 00:18 ID:zV0OU4R2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
そのドラマ、ぜひ制作して下さいませ(^^)
...2005/10/07(Fri) 04:13 ID:Ux4/sEOM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その16)

「ただいま」
「お帰り。あら、アキさん、良く来てくれたわね。こっちの部屋で待ってて下さいね」
アキが通されたのは客間ではなく、普段家族がくつろいでいる居間だった。特にお客さん扱いはしませんよ、そんな思いが感じられて、アキの緊張も少し和らいだ。
優子が持って来てくれたお茶を飲みながら、二人は何気ない会話を交わしていたが、突然ケンが驚きの声を上げた。
「あれ、洗濯物が干したままだ」
もう日も暮れようとしている時間だった。そのままにしておけば湿気てしまう。
「あーあ、取り込まなくちゃ」
ケンは、サッシをガラリと開けてテラスに出た。
「あ、私も手伝う」
ケンが取り込む洗濯物を、部屋の中でアキが受け取る。
「はい、これで終わり」
「ご苦労様でした」
「とりあえず、このカゴの中に入れておこう」
「ねえ、畳んじゃおうよ」
「え、いいよ。あとでやるから」
「いいから」
アキはさっさと畳み始める。しかたなくケンも付き合うことになった。
「へえ、ケンはいつもこんな柄のトランクス穿いてるんだ」
物珍しげに両手で広げて見ているアキに、ケンは慌てた。
「あ、いいよ、オレの下着なんか・・・自分でやるから」
「だって、この柄、面白いんだもん。今度、絵の中で使ってみようかな」
「た、頼むから止めてくれ」
「へえ、でもみんなカワイイ色だね」
「・・・なあアキ、そんなに引っ張ったらゴムが伸びちゃうだろ」
「だってシワシワになったら気持ち悪いでしょ」
「いいから」
「ダメだよ、ちゃんとしなきゃ」
「ウチの洗濯物なんだから。アキには関係ないだろ」
急に他人扱いされてアキは膨れ面になりかけた。が、すぐにニヤリと笑って言った。
「今のところはね」
思わぬ逆襲にケンは「うっ」と言葉を詰まらせた。
「とにかくさ」
ケンが哀願する。
「もう恥ずかしいから」
すると、それまでケンの正面に座っていたアキはすっとケンに身を寄せると耳元でささやいた。
「・・・いまさら恥ずかしがるような仲じゃないでしょ」
「え、そ、そ、そりゃそうだけど」
「そこに夢があると信じて二人で逃げた日、私たちは・・・」
「お、おい」
こともなげに言うアキに、ケンは動揺を隠せなかった。
「どうして?事実じゃない」
「なあ、アキ。どうしてそんな冷静に、そんなことが言えるの?」
「相手がケンだからよ。ケンとだからこそ私もそうなることを望んだの。今でも幸せだったと思ってる。だから平気なのよ」
ふと真顔になってアキが言う。
「でも誤解しないで。私はそのことについて責任を取れなんて言わない。ケンが私を好きで、私がケンを好きだっていうその事実だけが大切なの。できればこれからもそのままでいたいと願ってる」
「アキ、オレは一時アキを見失いかけた。アキがあんまり急に大人びちゃったから、どうしてもオレの知ってるアキだとは思えなかったんだ。高校生の頃のアキを探してオレはあちこち歩き回った。アジサイの丘、堤防の上、高校のグラウンド、図書館・・・でもどこにもいなかった。アキはアキなんだ、そのことは頭の中ではわかっている。だけど、それを受け入れることを拒否する自分がいたんだ。自分だけが元のまま取り残されてしまう。それがとても惨めで」
何かを吹っ切るようにケンは続けた。
「オレは決めたんだ。変わっていくアキ、大人になっていくアキ。それがアキなんだ。アキを好きだということは、そういうことも全部含めてアキが好きだということなんだ。だからオレはその瞬間瞬間、新しいアキを何度でも好きになるんだって」
「・・・ケンちゃん」
「オレたちはもう幼かった日には戻れない。だから前へ歩いて行こう」
「うん、でも・・・」
「なに?」
「ここから先はゆっくりゆっくり歩いて行きたいんだ。きちんと周りを見て、いろいろな声を聞いて、みんなの祝福を受けながら。私、足が遅いけどそれでもいい?逃げないで側にいてくれる?」
「だって、それがアキなんだろ?地面を踏みしめて夢に向かって一歩一歩進んで行く、それがアキだろ?」
「うん。一度しかない人生なら、私、美しい大地が見たい。争いや飢餓や貧困がなくて、温かな言葉や歌が溢れる大地を。そのために、私は描く。メッセージを送り続ける」
「オレも一緒に行くよ、アキ」

アキの前に道はない
アキの後ろに道は出来る
そうだろ、アキ?

「ケンちゃん、私、合格したら行ってみたい場所がある」
「どこ?」
「雨の中、私が倒れた場所・・・私たちの時計が止まった場所・・・」
「そうか・・・もう一度あそこからスタートするんだね」
「うん」
「松本先生にお礼もしたいしね」
「そうなの」

優子に頼まれて、ケンは台所で魚を三枚におろしていた。飲み物を買いに出かけた優子に代わって、アキがケンを手伝っている。
「すごい、エルメスのエプロン。さすがケンのお母さんだわ」
優子のエプロンを借りたアキが感心している。
「ケンちゃん、魚を捌くの上手だね」
「漁師の息子だからね。アキ、エビの背腸はこうやって取るんだよ」
「わかった、ありがとう」
「あ、誰か来た」
来客用のチャイムが鳴っている。
宅配便を受け取って戻って来たケンの耳に微かなメロディーが聞こえた。
(久しぶりだな、アキの歌を聞くのも)
野菜を刻みながらアキは歌っていた。歌詞もほとんど聞き取れないほど小さいけれど、とても楽しそうな声で。
(家で独りの時はあんなふうに歌ってるのかな)
中に入って声をかければそれで終わりになってしまう。ケンは台所の入り口にたったまま、いつまでもその歌に耳を傾けていた。

(続く)
...2005/10/07(Fri) 04:17 ID:Ux4/sEOM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの涙

 今日も出演者や他のスタッフのわがままに振り回されて,すっかり疲れてしまった。どこかで一杯やらなきゃとてももたないと思って,飲食店街をウロウロしていたら,後から岩丸が呼ぶ声がした(ような気がした)。そう言えば,さっき,どこかの店から皿の割れる音がしたような気が・・・
 また弁償を押し付けられてはたまらない。オレは一目散に逃げ去った。どうやら,走りながら,夢中で「助けてください!」と叫んでいたらしい。そして,勢い余ってぶつかった通りがかりの2人連れに呼び止められてしまった。
 怖〜いオニイサンだったら,どうしよう・・・
 大丈夫か,オレ・・・

 ところが,事態はまさかの急展開。
 サングラスの男性は,「君。今の「助けてください」だけど,ものすごい迫力だったね」と言うと,連れの女性に「このセリフ,入れようよ」と言い出した。何のことだ,こりゃ・・・
 そうこうしているうちに,岩丸が追いついてきた。またお説教かと観念していたら,オレを無視して,その2人連れと話し始めた。
 「そうか。彼は君の部下か。じゃあ好都合だ。今度のドラマに借してくれないか」
 しばらく事態が飲み込めなかったが,この2人は監督のTと脚本家のMで,2時間サスペンスで犯人に襲われる場面で「助けてください」と叫ぶ人を探していたのだった。という訳で,スタッフのパシリだったオレがスカウトされてしまった。
 でも,セリフと演技のある役なんて,つとまるんだろうか・・・
 大丈夫か,オレ・・・

 しかし,サプライズはこれで終わりではなかった。
 岩丸にその企画を聞かされた時,もう一度の「びっくり」,それも最大級の「びっくり」がオレを待っていた。
 何と,今度の企画というのは,2時間もののサスペンスで,「大学生カップル探偵紀行〜尾道・広島・宮島連続殺人!〜」というのだそうだ。
 「助けてください」と叫ぶ役なら,最初の数分間であっけなく殺され,あとはじっと横たわっているだけの役かと思ったら,何と,主役の相手役なんだそうだ。しかも,その主役というのが,あの真島ミチルとは!
 また「濃姫」に振り回される日々が続くのかと思うと,撮影に入る前から「助けてください!」と叫びたい気持ちだ。
  
 大丈夫か,オレ・・・
 多分,大丈夫だ。
 きっと大丈夫だ。
 ふぅ〜。
...2005/10/07(Fri) 12:50 ID:Hb7rr06U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
↑ 他のシリーズでお忙しいSATOさんの退路を断つようなエピソードを書いてしまいました。申し訳ありません。
...2005/10/07(Fri) 12:57 ID:Hb7rr06U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
にわかマニアさま
いや〜、これは「赤い運命」を観終わってから、少々興奮気味に書いたものなのですが・・・(汗)
朔五郎さまの了解があれば、「広島編」用にワンシーン分くらい作ってみましょうか?旅行中のアキがロケ現場で急遽エキストラを頼まれ、犯人に刺されたミチルを助けるために救急車を呼ぶ役とか(^^)

朔五郎さま
アキが口ずさんでいた歌は
「ポカリのCMソング」あるいは「七つの子」それとも「赤い運命」でしょうか。いろいろ想像をかきたてられますね(^^)
...2005/10/08(Sat) 00:30 ID:fcFwuvP2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
べーやんは、やはり(ムリヤリ)役者への道へと踏み込むわけですね(^^;;;

SATOさま
制作して下さいませ(^^)もし可能ならば、ミチルが刺される場所は「広島駅前」「平和記念公園」「ひろしま美術館」の中から選んで頂けるとありがたいのですが(ペコリ)
>歌
ここはやはりCMでしょうか(^^)
「野菜を刻みながら歌っているのをいつまでも聞いていた」というのは原作の光景を拝借したものです(苦笑)
...2005/10/08(Sat) 12:09 ID:NnqPaH72    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
“over・・・” 1

3月○日、マサミは汗だくになって料理をしていた。

マサミ「アキ、ピーマン切ってくれた?」
アキ「うん、出来てるよ。」
マサミ「じゃ、フライパンに入れて。」

ジャー・・・ジュージュー・・・

マサミ「ありがとう、それじゃ、醤油かして。」
アキ「はい」

テキパキとアキに指示を出すマサミ。いま、マサミは律子直伝のチンジャオロースを料理中。そしてアキが手伝いに精を出していた。

「どう、うまく出来そう?」
そう言ってキッチンに入ってきたのは律子だ。

マサミ「何とか行けそうです。ちょっと、味見していただけます?」
律子「うん・・・これなら充分いけるよ。本当に上手になったね。」
マサミ「ありがとうございます。」
アキ「マサミってやっぱり凄いよ。マジックが上手くて、スポーツ万能、成績優秀なうえに、料理上手・・・東京行ったらモテルよ、きっと。」
マサミ「アキったらお上手。料理といってもレパートリーはこれだけだからね。でも、東京行ったら自炊しなきゃならないから、他の料理も覚えなきゃ・・・」
律子「そういう前向きなところがマサミちゃんのいいところよ。さあ、お弁当箱に分けましょう。」

3人は談笑しながら、出来立てのチンジャオロースを弁当箱に詰めていった。

律子「では、行ってらっしゃい。廣瀬さんによろしく。」
アキ・マサミ「はーい!行ってきます。」

二人は廣瀬家にやってきた。丁度、門の前では綾子が掃除をしているところだったが、すぐに二人に気付いた。

綾子「アキちゃん、マサミちゃん、いらっしゃい。」
アキ「おばさん、今日は。」
マサミ「今日は呼んでいただいて、ありがとうございます。」
綾子「主人が二人に会えるのを楽しみにしてたわよ。さあ、あがって。」
アキ・マサミ「おじゃまします。」

真はガレージで自動車を磨いているところだった。

真「やあ、いらっしゃい、待ってたよ。」
アキ「おじさん、今日は。」
マサミ「廣瀬のおじさん、今日は。」
真「今日はいい天気だし、折角だから、みんなでドライブに行こうと思ってね。」

『聞いてないよ』という表情でアキとマサミは顔を見合わせた。

アキ「おじさん、それだったら、父に運転手頼みましょうか?」
真「いや、大丈夫だよ、そんな遠出するわけじゃないし、行き慣れた場所だからさ。」
アキ「でも・・・」

実は、アキは一抹の不安を感じていたのである。70歳のお年寄りに自動車を運転させたりして大丈夫なのだろうか・・・

綾子「(苦笑しながら)アキちゃん、心配みたいだけど、主人を信用してちょうだい。助手席に乗ってる私が保証するから。」
マサミ「そうだよ、綾子おばさんがそうおっしゃってるんだから。さあ、乗りましょう。」
そう言うと、マサミはさっさと自動車に乗り込んだ。そんなマサミに真と綾子は目を見合わせて笑いあった。

ブォー・・・・真の運転する自動車は小高い丘へ通じる道を走って行く。
着いた場所は「あじさいの丘」であった。
初めてここにやってきたマサミはここから見える景色の美しさに興奮気味である。
マサミ「うわー、すごい綺麗、アキ、ちょっと来て・・・」
綾子「マサミちゃん、先にお食事しましょう。折角のお料理が冷めたら台無しよ。」
マサミ「はーい!」

丘の上の広場でレジャーシートを広げて、マサミが料理したチンジャオロースの『試食会』が始まった。

アキ「おじさん、おはさん今日のお料理はほとんどマサミが一人で作ったんですよ。わたしはマサミのお手伝いをしました。」
真「らしいね。君たちが来るちょっと前に律子さんから電話があったよ。」
マサミ「へへへ!でも本当は律子さんのレシピが有るおかげなんです。」
綾子「レシピが有ってもその通りに作るのは難しいものよ。」
マサミ「今日はお料理作るのが楽しくて仕方ありませんでした。私こんな事始めてなんです。」
真「どれどれこれが噂のチンジャオロースか・・・う!これはいける・・・早く綾子も食べてみなさい。」
真はそう言ってお箸で重箱を指した。
綾子「あなた、行儀が悪いですよ。」
そう言いながらチンジャオロースに手を伸ばす綾子、そんな様子を少し不安げに見ているマサミがいた。
綾子「ほんと!美味しいわ・・・お肉がプルルンとして、ジューシーで、プロが作ったみたいなお味ね。」
二人の反応に安堵の息をもらすマサミ。
マサミ「良かった!綾子おばさんにほめてもらえれば合格ですね。」
真「おいおい、私ではダメかい?」
マサミ「すいません、そんな事ないですよ。」
困っているマサミにアキが助け船を出した。
アキ「今日は下準備から仕上げまでマサミが一人でしたんですよ、ね!」
マサミ「はい!やっとフライパンも振れるようになりました。」
真「そうか、そうか、素人が口をはさんで悪かったね。やっぱり綾子の方が正確に味がわかるよな。」
綾子「みんなが美味しいって言ってくれるんだから、もう充分よね。」
マサミ「はい。」
アキ「おじさんもおばさんも、おしゃべりしてたら冷めちゃいますよ。みんなで頂きましょう。」
真「そうだね。」

そして、4人はチンジャオロースに舌鼓をうった。

食事が終わり、4人は丘の上から宮浦の街を眺めていた。6月になれば、アジサイが咲き乱れる丘であったが、いまは3月、もちろんアジサイの姿はない。しかし、ここから見える宮浦の町のたたずまいは変わることはない。真は感慨深げに語り始めた。

真「ここはね、娘の亜紀がよく来ていた『秘密の場所』だったんだ。後から亜紀の日記を見て知ったことなんだがね。亜紀のことは思い出すのに時間がかかるようになってしまってね、綾子とあの時はどうだったっけ?と語り合うことも多くなった。」

綾子は黙ってうなずいた。

真「人間っていうのは、忘れていくものなんだよ。生きるためにね。でも、私達が亜紀のことを忘れてしまったら、あの子があまりにも可愛そうだ。だから、細かいことは思い出せなくても、この街をあの子が走り回っていたという事実だけは覚えていてやろう、そう思って綾子と一緒にここへ来るようになったんだ。」

アキとマサミは真の話に聞き入っていた。

真「マサミさん、『一期一会』という言葉を知ってるかい?」
マサミ「はい」
真「君と知り合えたのは何かの縁だ。そして、これからも色々な人との出会いがあるだろう。もしかすると、一度限りで、二度と会わない人もいるかも知れない。でも、その出会いの一つ一つがマサミさんの財産になっていくんだ。それを忘れずに、自分らしく生きていってほしい。『一期一会』、これが私から君へ贈る言葉だ。」
マサミ「はい、ありがとうございます。」

真「アキちゃん、君には『臥薪嘗胆』という言葉を贈ろう。君が生きてきた中で、今が一番辛い時期だろう。でも、君には絵を描くという夢がある。その夢を実現するためには、まず、ご両親との約束を果たさなければいけない。これからの一年、辛くて苦しいかも知れないが、頑張って乗り越えてくれ。その時に君の未来が開けるんだ。」
アキ「はい、おじさんから頂いた言葉を胸に、この1年、どんなに苦しくても、辛くても、頑張り抜きます。」
真「うん・・・今の言葉を聞けば、ご両親も安心するだろう。」

真「君たちは亜紀と同じように、この街で生き、走り回ってたんだなぁ・・・」
そう言うと真は眼下に広がる町並みを指差した。


翌日、雨模様の中、マサミはアキと一緒に廣瀬家の菩提寺にやって来た。東京へ旅立つ前にどうしても廣瀬亜紀に挨拶したい、というマサミの願いに、アキが応えたのである。
亜紀の墓前でマサミは思った。
ケンを巡ってアキとの三角関係に敗れたのは運命だったのだろう。そして、律子・廣瀬夫妻と出会い、福祉の道へ進むことを決意させたのは、もしかしたら、悩み苦しむ自分の姿を見て、廣瀬亜紀が導いてくれたのかもしれない・・・
一方、アキは思う。
マサミとの三角関係には勝ったが、そのかわり、大きな代償を支払った。NY行きにも大学受験にも失敗し、両親の信用を失ったのだ。これもやはり運命だったのだろうか。もしかしたら、自分中心の考えでいる自分を見て、廣瀬亜紀が試練を与えたのかもしれない・・・
マサミが亜紀の墓前に「かたちあるもの」の楽譜を供えると、雨があがった。
空には虹がかかっている。
虹を見上げる二人の少女にはそれが、廣瀬亜紀が架けてくれた未来への架け橋のように思えた。

(続く)


※アジサイの丘でみんなで食事する場面はyosi様のアイデア・ラフ案をアレンジし、セリフの一部を引用させていただきました。
※アキとマサミの墓参り場面は、先日放送された「赤い運命」のラストシーンをヒントにしました
...2005/10/08(Sat) 17:45 ID:.uTq9NEk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
1.お言葉にあやかり、劇中劇をワンシーンだけ作ってみます。先日広島へ行ったばかりなので、場所的なイメージはつかめております。
ロケ現場でアキがミチルと人違いされて刺され役を演じたというのはいかが?(アキはてっきりエキストラの刺され役だと思っていたのが、実は主演女優と間違われてビックリ・・・という展開です)
2.大林アキ(亜紀)は大学合格祝い兼広島旅行のお守りでネックレスを達明から買ってもらう・・・というのはいかがでしょうか?

にわかマニアさま
「助けてください!」を叫ぶ役者なら、SM○Pの稲○吾○さんに頼んでもよかったのでは?「Mの悲○」の冒頭でいきなり叫んでましたよ(ガラシャさんに痴漢の濡れ衣を着せられるんですよね)。あ、でも出演料の交渉が大変ですね(^^)


クライマックス編を終えたらサイドストーりーのハルカ編・ユイ編を再開します。

古河ハルカの家族のプロフィールです

父・古河信人
稲代総合病院院長。誠実な人柄で患者から慕われている。一人でも多くの患者を救いたいという強い信念を持ち、難易度の高い手術には自ら執刀することもある。
趣味は絵画で、プロ級の腕前。
探偵・浅見充彦のファンで、テレビ放送は全部録画し、小説は全巻揃えている。

母・古河世津子
和服が似合う清楚な女性。学生時代はミスK○に選ばれたほどの美人。伊豆を襲った台風で被災したところを信人に救われた。被災のショックで一時記憶を失うが、信人の献身的な治療で記憶を取り戻したことがきっかけとなり、彼と結婚した。
自ら被災経験があることから、奉仕活動には熱心で、「涼風ホーム」の理事を務める他、国際協力団体でも活躍し、海外へ出ることも多い。

兄・古河俊介
宮浦高校教諭・野球部監督。父からは医師となるよう言い渡されていたが、「今の病んだ世の中に生まれてきた子供達を守るために教育者になる!」と宣言して父とは違う道を歩んだ。そのため、父・信人とは絶縁状態で、家を出ている。ハルカは父と兄の確執に胸を痛め、1日も早く二人が和解して一緒に暮らせる日がくることを願っている。

古河ファミリーの登場については、「涼風ホーム」でのマサミの評判を聞いた世津子が古河家に招待する形で実現させようと思っております。その他、中断しているハルカ編に書き足すことも考え中です。
...2005/10/08(Sat) 18:43 ID:.uTq9NEk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
「広島編」のおおよその流れをお話ししようと思います。

入学式の日に大林亜紀に出会った近藤彰二(ショウジ)は一目で恋に落ちてしまいます。彼は高校時代バスケ部、当然大学でもバスケ部に入部し、大木健三郎にも出会います。健の人柄に触れ、深い尊敬の念を抱くショウジですが、健が亜紀の彼氏だと知り、それだけは譲れないと宣言します。
一方亜紀は一人で東京まで美術展を観に行き、その帰りの電車の中で小杉菜々(ナナ)という女の子と出会います。実はナナはショウジの高校時代の同級生で、ショウジを追って宮浦に行く途中だったのです・・・
と、前半部は健と亜紀のキャンパスライフ、新たな「四角関係」など「青春系」のお話です。
やがて、亜紀はショウジが読んでいた本の中から、ある不思議な記述を見つけます。この記述こそ亜紀が広島へ行く動機となります。
亜紀から相談を受けた松本朔太郎は、医大の先輩の安芸医科大学・筑紫教授を紹介し、教授のもとへ行って話を聞くことを勧めます。
新幹線で広島へ向かう道中、京都付近で不思議なカップルに出会ったり(^^;;;広島に着いた途端、ドラマのロケに巻き込まれたりしますが、そこから先は、非常にシリアス(?)な展開になる予定です。あの日、ヒロシマで起きた「ある悲劇」を通して、その残酷さを描きたいと思っております。
...2005/10/09(Sun) 21:09 ID:iexND0Qc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
実はどこかで出そうと思っていたのですが、ナオミの父親は稲○さんに似ています(笑)
...2005/10/10(Mon) 02:03 ID:4iybE5qQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
>べーやんは、やはり(ムリヤリ)役者への道へと踏み込むわけですね(^^;;;
 早春の宮浦の「皿の割れる小料理店」で,「ミチルの方から相手役におまえを指名してきたんだよ。おまえ、元々役者志望だったよな」という岩丸の「悪魔のささやき」があった時点で,ベーやんの将来は決まってしまったのです。ハイ(^^;;;
 でも,世の中には,宮藤さんのように「俳優兼脚本家」という方もいらっしゃいますから,ライターになるという選択肢も消滅した訳ではありません。

 今度の広島編では,「こちらデスク氏」は医学部ですか。衆院憲法調査会が昨年3月15日に広島で開いた公聴会では,「最新の医療技術を以てすれば,原爆など恐れるに足りない」なる珍説を披露して失笑を買った「大学院教授・医学博士」もいましたが,ジャーナリストの素養もある筑紫教授なら,そんなことはないでしょう。
 京都付近で出会った不思議な人物とは,太秦(時代劇あれこれ)の人か伏見城(太閤記)の人か,はたまた御所関係(平家物語)の人か気になりますね。まあ,山科(忠臣蔵)や壬生(新撰組)という線は薄いでしょうが・・・


 SATO様
 「Mの悲○」の冒頭でいきなり「助けてください」と叫んだSM○Pの稲○吾○さんですか・・・
 ただ,堤・森下コンビだと,その時間枠はおそらく「第二電電系の某携帯会社」がスポンサーでしょうから,「旧電電公社系各社」のCMに出演中の人は避けたのかもしれません。もちろん,いくら広島がキリンビールの「城下町」(広島駅の隣の駅の近くに工場がありました)であっても,番組に登場するビールは東洋工業(マツダ)と同じ住友系のアサヒビールです。
...2005/10/10(Mon) 05:42 ID:2KgPBHqg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
“over・・・” 2

今日は宮浦高校卒業式の日である。
北条校長から祝辞が述べられ、続いて卒業証書の授与が始まった。担任教師から名前を呼ばれた生徒が一人ずつ壇上に上がり、校長から証書を受け取る。卒業式には欠かせないイベントである。

大沢先生「3年A組・・・・」
「大木健三郎」
「ハイ」

「大野伸二」
「ハイ」

「大林亜紀」
「ハイ」

「仮屋唯」
「ハイ」

「長沢まさみ」
「ハイ」

福山先生「3年B組・・・・」

「山川玲子」
「ハイ」

・・・そして卒業式が終わった。


校門では巣立っていく3年生を見送ろうと、1・2年生たちが待ち構えていた。もちろん、その中にハルカたちもいた。
ヒロ「そろそろ終わる頃だな」
アツシ「そうだね、アキさん泣いてるかな?」
ハルカ「どうでしょうね。でも、アキさんがいなくなると、寂しくなりますね。」
アツシ「でも、遠くへ行くわけじゃないし、この街に住んでるんだから、いつでも会えるよ。」
ハルカ「そりゃそうですけど、やっぱり学校で会えなくなるのは・・・」

卒業生たちが式場から出てきた。

ハルカ「キャー、アキさーん!」
アキ「ハルカちゃん!ヒロ君、アツシ君も」
ヒロ「名捕手をスカウトしてくれて、ありがとうございました。」
アツシ「俺が、また野球出来るようになったのは、アキさんのおかげです。ありがとうございました。」
ハルカ「アキさんがいなかったら、今頃、野球部は無くなってたかも知れません。これからも応援してくださいね。」
アキ「うん、勉強に疲れたら、気分転換に練習見に来るよ。」

・・・一瞬の沈黙。アキの事情を知っているだけに気まずい雰囲気になりかけたが・・・・

ハルカ「記念に写真撮りましょう。アキさんを囲んで、3ショットいきますよ・・・」
パシャ!
ハルカ「わたしもアキさんとのツーショット撮ってください。」
ヒロ「おう、まかしとけ」
パシャ!
アキ「みんなありがとう。甲子園目指して頑張ってね。」
ヒロ「ありがとうございます。」
アツシ「アキさんもお元気で。」


ハルカ「マサミさーん!」
マサミ「あ、ハルカちゃん!」
ハルカ「短い間でしたけど、色々お話しできて楽しかったです。マサミさんのマジックショー、もっともっと見たかったです。」
マサミ「ありがとう。ハルカちゃんの劇も素敵だったよ。わたしもハルカちゃんの劇をもっと見たかったな。皆さんによろしくね。」
ハルカ「はい、伝えておきます。休みで帰ってきたら、またホームでマジックショー見せて下さいね。」
マサミ「喜んで。ハルカちゃんの劇も見せてね。」
ハルカ「お待ちしてます。」

アキ「マサミ、ハルカちゃん、写真撮ってあげるよ。」
マサミ「ありがとう。」
ハルカ「お願いします。」
パシャ!

アキ「ハルカちゃん、あそこにレイコとユイがいるよ。」
マサミ「行っておいで。」
ハルカ「はい、行ってきます。レイコさーん、ユイさーん・・・・」

マサミ「本当に可愛いね、あの子」
アキ「明るいし、素直だし、誰からも好かれるタイプよね。」
マサミ「もう完全にアキの妹分だよね。」
アキ「うん、本当の妹みたいで可愛いの。マサミもそうじゃない?」
マサミ「うーん、妹とはちょっと違うな。わたしにとっては頼りになる後輩ってとこかな?」
アキ「そっか、でもハルカちゃんがいてくれるから、これからも、安心して学校に顔出せるような気がするな。」
マサミ「そうだね。帰省したときにマジックショー見せるって約束しちゃった。」
アキ「ずるい!あたしにも見せてよね。」
マサミ「もちろん!それから、ハルカちゃんの劇を一緒に見ようよ。あなた、まだ見てないでしょ?」
アキ「うん、よろしく。」

ケン「おい、たこパパで打ち上げやろうぜ。」
レイコ「今電話したらね、おじさんが、うんとサービスしてくれるって。」
シンジ「卒業したことだし、ちょっとビールでも・・・」
ユイ「バカ!補導されても知らないからね。」

アキ「いいね、打ち上げ。」
マサミ「行こう、行こう」

こうして、「たこ焼きパパさん」で打ち上げパーティーが行われたのでした。ご機嫌のパパさんは赤字覚悟の大判振る舞い。もちろん、アルコールは一滴も出ませんでしたが・・・・

(続く)



《次回予告》

「ケンちゃん、あなたと出会えて、本当に良かった・・・」

♪諦めるよりも辛いよ
“失くすこと”に慣れちゃ
 何もしない後悔より
 ・・・いっそ打たれてたい・・・

「長沢マサミは、大木健三郎を・・・」

♪明日は強くなれるかな
 今日の僕よりも
 君を いつでも想ってる
 誰かのものでも・・・ずっと・・・
(Lyrics:shungo Music:tetsuhiko
“over・・・”byK)

「バイバーイ!」

ケンとマサミの結末は!?
...2005/10/10(Mon) 18:16 ID:YBMCY2KA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATO様
Part.1で確認したところ、ユイ:唯、シンジ:伸二、マサミ:まさみ、レイコ:玲子でした。
...2005/10/10(Mon) 21:51 ID:ylURmiC6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
皆様お疲れ様です。
ケンとアキのやりとりには笑わせてもらいました。朔と亜紀の時が目に浮かびます。当たり前といえば当たり前ですが・・・。ケンはすでに大人の階段を上がったようですが、アキの言葉には重みがありました。そして、いつまでたってもケンはアキに恋する理由も分かったような気がします。

そして卒業式のシーン。
旅立ちをする皆がこの後向かったタコパパでの光景が目に浮かびます。パパさんもさぞ頑張ってくれたことでしょう。
そして、ケンとマサミはどのような話をしたのか気になります。

次回も楽しみにしております。お互いに頑張りましょう。
...2005/10/10(Mon) 21:58 ID:758dhlZU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
“over・・・” 3

「たこ焼きパパさん」での打ち上げは最高に盛り上がりをみせていた。シンジが持ち前のヒョウキンさを発揮し、宴の音頭をとる。

シンジ「えー、宴たけなわではございますが、そろそろお開きの時間が近づいて参りました。我々6人、それぞれ別の道を行くことになりますが、心は一つです!では、お手を拝借・・・」

パパパン!パパパン!パパパンパン!パパパン!パパパン!パパパンパン!

シンジ「では、これにて解散!」

ユイ「シンジ、ちょっと海見ない?」
シンジ「おお、いいね。」

レイコ「マサミ、お茶しようよ。未来の彼氏をゲットするための作戦会議!」
マサミ「あ、うん・・・先行ってて、後で行くから・・・」
そう言うとマサミは急いでメールを打った。
レイコ「?」

ケン「アキ、ヨット乗ってみないか?」
アキ「ヨット?」
ケン「ああ、うちのヨットがあるんだ。これからヨットハーバー行こう。」
アキ「うん。」
プルルル・・・プルルル・・・(メール着信音)
ケン「マサミからだ。何の用だろう?」
アキ「行ってあげなきゃ、マサミのところへ。」
ケン「アキ、付き合ってくれないか?」
アキ「マサミはケンちゃんに用があるんでしょう?一人で行って。先にヨットハーバーで待ってる。」

****************

ケンが防波堤へやって来ると、もうマサミは来ていた。

ケン「いきなりメールで呼び出すからビックリしたよ。」
マサミ「ゴメンね。」
ケン「謝ることはないよ。何かあったの?」
マサミ「そんなの決まってるじゃない。ケンと話したかったから。」
ケン「そりゃ、そうだ。立ってると疲れるし、座らない?」
マサミ「うん・・・」

しばし沈黙・・・・二人は海を眺めていた。

マサミ「この海ともしばらくお別れだわ。初めて宮浦に来た時、とても海が綺麗で、潮風が気持ち良くて、こんな素朴で素敵な街があるんだって凄く興奮したの覚えてるわ。住んでるうちに、この街が好きで好きでたまらなくなった。」
ケン「そうか、俺は生まれてからずっとこの街に住んでるから、海も町並みも当たり前でさ、マサミみたいに興奮したことってあったかなぁ・・・でも、そんなに好きならわざわざ東京行かなくてもいいんじゃないか?」
マサミ「この街が好きなら、一度離れれば、もっと好きになれると思ってね。この街の人たちはみんないい人。レイコ、ユイ、アキ、シンジ、そしてあなた、それから律子さんに廣瀬さん、ハルカちゃん・・・みんな大好き。これだけ素敵な人たちに囲まれて、幸せだった。その幸せを教えてくれたのは、ケン・・・ううん、ケンちゃん、あなたよ。」
ケン「俺が?お前に?」
マサミ「うん、ケンちゃん・・・あなたと出会えて本当によかった・・・」

そう言うとマサミは立ち上がった。連られてケンも立ち上がる。

フゥー・・・深呼吸したマサミは意を決して口を開く・・・

「・・・長沢マサミは、世界で二番目に、大木健三郎を、愛してます!」

ピョン!ケンに向かって叫んだマサミは防波堤から飛び降りた。

マサミ「わたしにとってはね、ケンちゃんが一緒にいてくれるこの場所が、世界の中心だったの・・・ありがとう、バイバイ!」
そう言い残してマサミは歩き去っていく・・・・

ケン「おい、マサミ、ちょっと待て!」
そう言ってケンも防波堤から飛び降り、追いかけて来た。

ケン「待てよ、マサミ・・・(ハァハァ・・)」
マサミ「ケンちゃん・・・」
ケン「(ハァハァ・・・)お前、言われっ放しじゃ行かせられねえよ・・・」
マサミ「?・・・」
ケン「マサミ・・・俺がお前を選ばなかったことを後悔させるくらい、いい女になれよ。」
マサミ「(コクリ)」
ケン「そして、お前が世界で一番愛する奴を連れて・・・帰って来い。」
マサミ「・・・絶対そうする。ケンちゃんが悔しがるくらい、いい女になる。ケンちゃんよりずっと素敵な彼氏見つけて、自慢してやる。」
ケン「楽しみにしてるぜ・・・元気でな。」
マサミ「じゃ、今度こそ、バイバイ・・・」

♪あの日見た夢の影が
 夕焼けに伸びてる
 ふと君がいるような気がして
 僕は振り返るよ・・・

 いくつもの季節(とき)が
 すべてを虚ろにしてくけど
 記憶の中の君は現在(いま)も
 優しく微笑ってる・・・

 諦めるよりも辛いよ
 “失くすこと”に慣れちゃ
 何もしない後悔より
・・・いっそ打たれてたい
明日は強くなれるかな
 今日の僕よりも
 君も何処かで微笑ってる
 泣きたい時でも・・・きっと♪

海岸ではユイとシンジがラジオを聴きながら海を眺めていた
DJ「いま、流れている曲は、宮浦のM.Nさんからリクエストをいただきました。お聴き下さい。K“over・・・”」
ユイ「ねえ、シンジ、ちょっとあっち向いてて・・・」
シンジ「うん?」
ユイ「・・・・もう、いいよ」
そこには、眼鏡を外したユイがいた。
ユイ「エヘッ、コンタクトにしちゃった。似合う?」
シンジ「ああ、すごい似合ってるよ。」
ユイ「ありがと」

♪傘を忘れたフリした
 雨の帰り道は
 やけに二人無口だったね  
 肩が濡れていたね
 
 何度も触れた君の手を
 握れなかったように
 未来に君をさらわれてた
 サヨナラさえ云えず

 “変わること”を恐れながら
 変わってゆく僕ら
 忘れ去ってしまうのなら
・・・痛み 抱きしめたい
永遠よりもっと永く 
瞬いてた日々
 君に いつかまた逢うため
 あの夢追うから・・・もっと♪
 
喫茶店にマサミが入ってきた
マサミ「レイコ、お待たせ!」
レイコ「遅い!一人でつまんないから、ほら」
ハルカ「エヘ!お邪魔してます。今日は最後までお付き合いしますよ。」
マサミ「大歓迎!」

ヨットハーバーではケンとアキがヨットに乗り込んで、海に出ようとしていた。
龍之介「お前さん、準備はいいか。」
ケン「父さん、悪いね。」
龍之介「何を言う、お前さんとアキちゃんの卒業祝いだ。」
アキ「お願いします」
龍之介「よし、出航!」

♪諦めるよりも辛いよ
 “失くすこと”に慣れちゃ
 何もしない後悔より
・・・いっそ打たれてたい
 明日は強くなれるかな
 今日の僕よりも
 君をいつでも想ってる
 誰かのものでも・・・ずっと♪
 (Lyrics:shungo Music:tetsuhiko
“over・・・”by K)



FIN
...2005/10/10(Mon) 23:56 ID:fO6o52Vk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
みんなそれぞれの船出をして行きましたね。感動的でした。
でもこの時は、その後の「波乱万丈」を誰も予想しなかったでしょうね(特にレイコ)彼女が苦労するのは朔五郎のせいなのですが(苦笑)

さて、朔五郎は松山に来ております。JALのマイレージがたまったので。
(日付が変わったので)昨日はまず広島で原爆資料館などを見学、広島港(宇品)から高速船で松山にやって来ました。5800円はチト高い(^^;;;
今日は伊予長浜に向かい、亜紀(映画)が骨を盗み、彼女自身もそこに眠っている「瑞竜寺(沖浦観音)」にお参りしてきます。その後、別スレの舞台になっている長浜と大洲を歩いてきます。
それにしても、今泊まっている部屋からは愛媛県庁舎(亜紀終焉の場所)、サクとアキが路面電車に乗った電停、律子が車にはねられた横断歩道などが一望できます。朔五郎も「あの少女」に呼ばれたのでしょうか(苦笑)
...2005/10/11(Tue) 01:11 ID:XkE2JS7k    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの涙

 例によって,わがままな出演者から「タコ焼き」の買出しを押し付けられた。「またオレですか」と少しすねてみたが,岩丸に「コラムのネタにすればいいじゃないか」と軽くいなされてしまった。
 大丈夫か,オレ・・・

 その岩丸だが,タコ焼きには一家言あるらしい。何でも,昔,蛭が小島の近くの学校に通っていた頃,放課後は必ず駅との中間にあるスーパーの一角で営業していたタコ焼き屋で寄り道していたそうだ。何でも,その姉妹店が宮浦にもあるとかで,行ってみたら,ここも学生たちの溜り場になっていた。
 それにしても,何という賑やかさ。賑やかを通り越してうるさくすらある。かなりハメを外して盛り上がっているグループもある。でも,何で,みんな筒を持っているんだろう。
 そうか,今日は卒業式か。道理で盛り上がるはずだ。オレも早く,パシリから卒業したいなあ。
 大丈夫か,オレ・・・

 でも,そう言えばオレにも昔,あんな日々があったなあ。前だけを輝いた目で眺めていた日々が。彼らもいつか,壁にぶつかり,ため息をもらしながら,それでも頑張って生きていくという荒波にもまれる日がくるんだろうな。
 みんな負けずに頑張れよ!
 (オレにそんなこと言う資格あるんだろうか)
 今日は何だか感傷的になってしまった。
 
 大丈夫か,オレ・・・
 多分,大丈夫だ。
 きっと大丈夫だ。
 ふぅ〜。
...2005/10/11(Tue) 12:50 ID:9hSU2Tz6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
今日は松山から予讃線(海線)に乗って伊予長浜に行ってきました。
長浜には亜紀(映画)が眠る瑞竜寺があります、無事にお参りを果たして参りました。
ところで、この長浜の商店街、とてもレトロでいい雰囲気なんです。で、ふと思ったのは、ここは「木庭子町」の候補の一つだったのではないか、ということです。お寺でロケしてるくらいですから、当然ロケハンはしているでしょう。ただ、この商店街には「海の見える交差点」が無かった・・・もし、それがあったら・・・
そんな妄想を抱きながら帰宅したのでした。
...2005/10/11(Tue) 23:02 ID:oI8I5ZJY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その17)

アキは今、大木家の食卓に招かれていた。新鮮な海の幸と野菜がたっぷり入った寄せ鍋と、健三郎が豪快に捌いた、活きの良い魚の造りが食卓一杯に並んでいた。
「アキちゃん《はやま》さんのさつまあげもあるわよ」
「わあ、これ美味しいですよね。私大好き」
「そう。じゃ、いっぱい食べてね」
「はい」
「食後のデザートはアキちゃんが持って来てくれた《桜葉もち》にしましょうね」
龍之介も優子も気付いていた。ケンとアキはお互いに、相手の手の届かないところにあるものをさりげなく取ってやっているのだ。まるで相手の心の中がすべて読めるかのように、頼むわけでもなく頼まれるわけでもなく、ただ時々見つめ合って微笑みながら。
(こりゃ本物だね)
(確かに)
龍之介と優子も目と目でそんな会話をした。

その頃、真島ミチルのマネージャー・中谷はイライラしながら山辺を待っていた。そして、息を切らしながらようやくやって来た山辺を、容赦なく怒鳴りつけた。
「遅いじゃない。おかげでミチルったらすっかり膨れちまって・・・まったくマネージャーの苦労も考えてよ」
「す、すみません・・・でも」
「何が、でも、よ」
「だって急に《じゃこ天》買って来いなんて・・・ここは宇和島じゃないんですから」
「ああ、ミチルはね、すっかり役にはまっちゃってるのよ。完全に濃姫になりきってて、何か言えば周りが言いなりになると思っちゃってるの。わかるでしょ、マネージャーの苦労が」
「そりゃ、まあ」
「そういう時、苦しみや悲しみをすべて背負うのが一番下っ端のあんたの役目だよね」
「そ、そんなムチャクチャな」
「はい、ブウブウ言わない・・・ミチル、姫、お待たせ致しました」
「おお、わらわは待ちくたびれたぞよ。早う持ってまいれ」
「じゃ、後は頼んだよ・・・アホらしくてやってらんないよ、まったく」
オドオドとした様子で入って行く山辺に手加減のない怒声が浴びせられるのを見て「哀れなヤツ」とつぶやきながら、中谷はドアを閉じた。
それから2、3秒後、山辺はフッと笑うと手にした包みをミチルに差し出した。
「買ってきたよ、揚げたてのヤツ」
ミチルは山辺の首筋にキスをすると、耳元でささやいた。
「ごめんね、タカユキ・・・二人っきりになるにはこうするしかないの」
「いいよ。それより早く食べたら?」
「うん」
包みを開けると、さつまあげの香ばしいかおりが漂った。
「美味しいんだよね・・・私大好き」
「そう、そりゃ良かった。買ってきたかいがあったよ」
「でもね、私、恐いの」
ミチルは表情を曇らせた。
「恐い?」
「うん・・・こんなワガママばっかり言ってると、いつかタカユキに見捨てられるんじゃないかって」
「だって、周囲の目を欺くためのお芝居だろ?」
「そうなんだけど・・・」
「なら、いいじゃないか」
「ねえ、タカユキ・・・」
ミチルは潤んだ目で山辺を見つめ、彼の胸に顔を埋めた。
「私、いつかきっと、タカユキの心を癒すような優しさを持った女になるから・・・タカユキだけを見つめて、タカユキのために生きる。あなたはたった一人の運命のひとなの」
二人はしばらく抱き合っていた。そして、おもむろに山辺が口を開いた。
「・・・さすが女優、完璧な演技だね。たいていの男はミチルの健気さにひとたまりもなくやられちゃうよ、きっと」
ミチルは一瞬悔しそうな表情をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「フフッ、見抜かれたか」
「そりゃね」」
「ねえ、タカユキ。私たちとっても良いパートナーになれると思うの。ずっと私のそばにいてくれない?」
「だって、ミチルは本当は《虹鱒の池》や《赤い本命》で共演した玉本さんみたいなひとが好みなんでしょ?」
「あれはマスコミ用のリップサービスよ」
「でも、どうしてオレなの?」
「どうしてなんだろう。よくわからないな・・・でもタカユキと出あった時、なぜか懐かしい気がしたんだ・・・」
「へえ」
「あ、そうだ。例のメールの彼女、今度は写真を送ってきたよ。ほら」
「自転車の二人乗りか・・・あれ」
「ね、不思議でしょう」
「・・・似てるな。オレたちと」
「そうなの」
「これは・・・浜辺で寝ている写真だね。誰が撮ったんだろう」
「わからない。多分この二人の友達でしょ」
「つまり、このイメージで芝居をしろっていうこと?」
「そうみたいね。タカユキはまず髪を切って、メガネをコンタクトに替えなきゃね」
「この制服はどうするの?」
「セーラー服だもんね・・・この近所の高校も30年前はこんな制服だったのね、きっと。いいわ、なんとかする」
「なあ、ミチル」
「なに?」
「本当にこんなことしていいのかな?」
「どうして?」
首を傾げてミチルが笑う。
「だって結局はトモヨっていう人を騙すことになるわけだし。だってオレたちはサクとアキじゃないんだから・・・」
「そうだね・・・でも、それでいいんじゃない?」
「え?」
「だって、私、プロの女優だもん」
ミチルの瞳に強い光が宿っていた。
「それを観た人が幸せを感じられるような、そんなウソをつくのが私の仕事なのよ」

龍之介がアキに尋ねた。
「まあ、その、なんだ・・・まだ早いかもしれんけど、ウチのケンに望むことがあるとしたらどんなことかな」
アキは真っ直ぐに龍之介を見ながら答えた。
「健三郎君には尊敬できる男性でいて欲しいと思います」
「ほう」
「最近は友達みたいな親子も多いけど、ウチは昔ながらの父と子なんです。子供の前でお父さんのことをバカにするお母さんっているじゃないですか。ああいうのもどうかと思います」
「なるほどね」
「だから、もし・・・もし、健三郎君と私の間に子供ができたとしたら、健三郎君には、私や子供たちが尊敬できるひとになってもらいたいと思うんです」
龍之介は思わず笑いながらケンを見た。
「だってさ。おいおいおまいさん、今からそんなにプレッシャー感じててどうするんだよ」
「アキちゃん」
優子が言った。
「私ね、今は思うの。アキちゃんと健三郎の二人は、やっぱりここで出会うために生まれて来たんだって。神様や仏様はなかなか粋な計らいをするもんだなって」
「でも、もし、もし結婚するとしたらお互い家族とかあるし、そういうことも考えなくちゃならないし・・・あ、それに」
「それに?」
「苗字が変わると、ウチのお墓に入れなくなっちゃう。それってちょっぴり悲しいかなって・・・エヘ、ちょっと考えすぎですか?」
「かなり考えすぎだね」
あまりに飛躍したアキの発想に、大木家の人々は腹を抱えて笑いころげた。

(続く)
...2005/10/15(Sat) 04:39 ID:KVUsmmh.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
※宮浦の春(その17)の後半部分は、日○スポーツ及び朝○新聞に掲載された、女優H.A.さん(笑)のインタビューを参考にさせて頂きました。

※ちなみに(その16)で「相手がケンだから」という部分は映画「タッチ」の世界であります。ただしもちろん「タッチ」ではファーストキスのお話しですので、念のため(苦笑)
...2005/10/15(Sat) 04:52 ID:KVUsmmh.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
大木家にやってきたアキは龍之介や優子に対してしっかりした受け答えをしながら、ケンがいかに大切な存在かもさりげなくアピールしていて、成長ぶりがうかがえますね。


ケンたちが卒業する場面を書き終えてホッとしております。卒業までの数エピソードは宮浦を去るマサミ中心で描きましたが、朔五郎さまのストーリーでその後が提示されていたので、かえって派手に演出させることが出来ましたよ(^^)
“over・・・”のラストでマサミは「世界で二番目に、大木健三郎を愛してます」と叫び、ケンに対する想いを精一杯伝えました。それに応えてケンは「俺を後悔させるくらいいい女になれ、世界で一番愛する奴を連れて帰って来い」と、マサミに対する精一杯のハナムケをしました。約半年後にマサミはミライと出会いますが、この時点での二人はそんなことは予想だにしていなかったはずです。
※ちなみにこの場面の執筆中、どういうわけかケンが国○比呂、マサミが浅○南に見えて仕方ありませんでした(苦笑)
...2005/10/15(Sat) 09:23 ID:Glr8S.92    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
「宮浦の春」の中に出てくる親子たちについて

朔五郎はアメリカの新聞に50年以上も連載されていた“Peanuts”というコミックが大好きで、作者のチャールズ・M・シュルツという人を大変敬愛しております。
「ピーナッツ」というコミックをご存知なくても、この物語の主人公の飼い犬「スヌーピー」を知らない方は少ないのではないかと思います。
さて、この物語の特徴は、原則的に「大人」が出てこないことなのです。子供たちは、「子供社会」の中で、子供たちだけで考え、子供たちだけでルールを作って生活しています。
実はこの「子供は子供なりに考える」ということが非常に重要なことだと思うわけです。たとえば日本では「サザエさん」という長寿コミックがありますが、最後の締めくくりは波平さんあたりが「深いコトバ」を披露し、一同「さすが年の功だねえ」と感心する、というパターンが多いと思います。もちろん、それはそれでホノボノしていていいのですが、年長者や上の立場の人の言葉を鵜呑みにして、ただ頷くだけの子供や青少年というのも考えものだな、と思うわけです。
たとえば、これはあくまで一般論ですけど(ある程度の年齢に達した子供に対して)親が「〜しなさい、〜してはいけない」と言った時に、そのことについて何の疑問も反論も出てこない小説やドラマがあったとします。えてして日本人は親に従順な子供が「良い子」と考えがちなので、なんと良い物語だろうと思う人も多いでしょう。
でも朔五郎はもし日本中の子供たち、親たち、家庭というものがそんな感じになってしまったら、日本はアブないなと思っております。
親と子といえども所詮人間同士、特に進路を決める時などは、意見や価値観や、時には利害すら衝突することもあるでしょう。ただ、人間同士である以上、どちらかが絶対に正しいということもないはずです。
どちらかの言い分を一方的に押し付けるということではなく、正面から向き合って徹底的に話し合うことが一番大切なのだと思います。たとえ結論が同じでもそのプロセスがあるとないとでは、その後の信頼関係の強さというものに大きな差が出てくるものだと思います。廣瀬真というキャラクターが何故魅力的な人物として記憶されているかといえば、やはり上のようなことに自ら気付いたからでしょう。
「木庭子町のお正月」「宮浦の春」ではできるだけ多くの親子関係(義理の関係も含む)を創り出して、上のようなことを描くのが一番の目的でした。
もちろん一番のメインは「ケンとアキ」なのですが、さて、すべてを断ち切ってウルルに向かおうとした亜紀と、亜紀を失ったショックのあまり故郷を捨ててしまった朔は「ケンとアキ」が描いた「未来予想図」をいったいどう見るのでしょうか。
「宮浦の春」の最後では「朔と亜紀」自身に「ケンとアキ」を評価してもらおうと思っております(非科学的な話ですが・苦笑)
...2005/10/16(Sun) 19:52 ID:rTE3UMpY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
大木家に招かれたアキと大木一家の食事が、とても微笑ましく思えました。最初の一件以来、決して良くはなく、むしろマサミを気に入っていた優子との関係が、いまやアキとケンの仲を認めようとしているのでしょうか?それが嬉しく思えました。
ケンにプレッシャーをかけるアキにも笑えました。
それでは「朔と亜紀」は「ケンとアキ」にどのような評価をするのかを楽しみにしております。
...2005/10/16(Sun) 22:32 ID:e07B6Vb2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
卒業シーン、お疲れ様でした。この時点では、やはり、マサミの心情が切ないですねえ。まさか一年も経たぬうちに「あのような」溺愛状態になるとは(^^;;;

たー坊さま
その家の食卓に招かれるということは、たー坊さまが思われていることを意味していると思います。次回以降、アキと大木家は、より結びつきを深めてゆきます。
...2005/10/16(Sun) 23:26 ID:rTE3UMpY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
卒業シーンではマサミの切なさを感じていただき、ありがとうございます。この場面にはKの歌がピッタリだと思って歌詞も全部載せました。マサミの心情をよく表していると思いましたので。(ラジオ局にリクエストしたのはマ○ミです)
とりあえず高校時代の軸になる部分は書き終えたので、短編のサイドストーりーなどでこれからも顔を出させていただこうと思います。
※真島ミチルのサスペンスがありましたね(^^)



プレーオフが終わりました。テレビには福岡ドームのホークスファンが泣いている姿が映し出され、一緒に泣きました・・・(涙)
※ペナントレースで首位攻防戦・天王山・マジック点灯といったスリルを味わえなくなり、どんなに勝っていてもプレーオフやだなーと思いながら公式戦を見てたというのが正直な感想です(涙)
...2005/10/17(Mon) 22:21 ID:O2xyK/3I    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
1月期ドラマで、まだ不確定情報ですが、綾瀬はるかさん・山田孝之クンが共演するようです。
「白夜行」というミステリーものが原作だそうです。石丸P、脚本・森下さん、監督・堤さんで「セカチュー」スタッフも再集結ですね!
同じく、長澤まさみさんは映画で話題の「NANA」主演との情報があります。どうも主演候補がもう一人いて、その方が何と!石原さとみさんらしいです。いやー、どっちか一人じゃなくて、二人で共演してもらいたいです(^^)

その他、個人的には「スウィングガールズ」「めぞん一刻」が楽しみです。

http://koisuru.cocolog-nifty.com/blog/2005/10/12_7749.html
...2005/10/19(Wed) 19:54 ID:Vi4YlpZA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
>白夜行
同じキャスト、同じスタッフで「前作」の対極みたいな世界を描くというのが面白いというか・・・温かみみたいなものが感じられない作品だと思いますので・・・しかし「雪穂」怖い女ですよ〜(笑)

>NANA
石原さん、長澤さんのどちらかが小松奈々(ハチ)なんでしょうね・・・声質から考えると長澤さんでしょうけど、キャラ的に「男にベッタリ依存する」というのはどうでしょうね・・・
大崎ナナの方は、かなりの歌唱力が要求されるので歌手でないとムリでしょう。
...2005/10/19(Wed) 23:35 ID:ZVH3Qls.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その18)

一つの大皿から刺身をとり、一つの鍋からスープをよそる。そして楽しい時間を一緒に過ごした食事はひとまず終わった。食卓の上はいったん片付けられて、アキが持参した桜葉もちをデザートに、お茶の時間となった。
しばらくは思い出話や世間話に花が咲いていた。そして何気なく龍之介が切り出した。
「アキちゃんはもちろん、ショッピングセンターに行ったことあるよね」
「はい。ウチもお店を出してるんで」
「そうだよね・・・じゃ、聞きたいんだけど、あそこ、どんな感じかな」
「うーん・・・新しくてきれいだと思いますけど」
「うむ」
龍之介は小さく溜息をついた。
「まあ、アキちゃんに隠してもしょうがないだろうから言うけど、思ったほど売り上げが伸びてないんだよ。いまひとつ人の入り込みが少なくてね・・・ちょっと予想外なんだ。あれが不振に終わると、ウチだけじゃなくて出資者たちがかなり大きなダメージを受けることになるんだよ。そうなると地域の活性化どころじゃなくなる・・・」
「あの、そう言われても、私」
「ははは、ごめんごめん。いやね、俺が見たところ、どうもこう空気がじとーっていう感じに淀んでて全体に活力がないんだな。何かあそこに行っても、楽しさとか良い予感とかそんなものがないんだ」
「予感、ですか」
「そうだ。俺はやっぱり吹き抜けの休憩エリアがポイントだと思うんだ。楽しげな雰囲気を創ろうと思って観葉植物を置いてみたりしたんだけど、うまくいかないんだよ」
「それでね」
優子が話を受け継いだ。
「いつか健三郎の部屋に入った時に、壁にアキちゃんが描いた絵が飾ってあるのを見たの。とっても色がきれいで、なにか、その場の雰囲気を変えるような気がしたの。その場のものが動き出しそうな」
「そうですか、ありがとうございます」
「ねえアキちゃん。あれと同じような絵、もうないかしら。休憩エリアの壁に飾ってみたいのよ」
「今はありませんけど、描こうと思えば描けると思います」
「そうか、どうせ新しく描いてもらうなら、飾る場所を見てもらって、大きさとか合わせてもらおうか」
「やってくれる、アキちゃん?」
「では、入試の結果が出て合格していたら、やってみます」
「そう、良かった」
「まあ、そんなに急ぐわけじゃないから・・・」
「はい」
「発表はいつだったかしら?」
「23日です」
「楽しみね」
「それが過ぎたら、アキちゃんのお父さんにも俺のほうから話をしておこう」
「3月23日か。ちょうど桜の花が開き出す頃ね」

松の木に囲まれた小料理屋「きょうこ」は、少し早く店じまいしていた。
「お母さん、ご飯炊けたよ」
家の中からナオミの声がする。
「はーい」
「これから食事?じゃ、ぼくはこれで」
「海の時計」のマスターが立ち上がったところへナオミが顔を出した。
「おじさんおじさん。今日は私がお味噌汁作ったの。ちょっと味見してって下さい」
お願い、というように手を合わせ、ニコっと笑うナオミにマスターの顔もほころんだ。
「寺尾さん、おかずは店の残り物なんですけど、良かったらナオミの炊いたご飯を食べてやってもらえませんか」
京子とナオミの家の中に初めて招かれた瞬間だった。久しぶりの暖かく優しい空気。家庭というもののえもいわれぬ香り。マスターの胸にこみ上げるものがあった。
「おじさん、ここに座ってください」
ナオミが椅子を勧める。
「はい、ありがとう」
ナオミがご飯と味噌汁を持って来て、またニコっとする。ナオミの味噌汁を一口飲んだマスターは胸に湧き上がって来るものを感じながら言った。
「ああ、美味しいねえ。ナオミちゃん、上手だね」
「うちの夕飯はいつもこんな感じなんですよ。ナオミが早く帰って来た時はご飯を炊いてくれたりします。あとはお店で売れ残った煮物とかですね・・・ハンバーグとかスパゲッティとか、今の子が好きそうなものはあんまり作ってやれないんですよ」
「お母さん、今度カニクリームコロッケ作ってあげようか」
「あら、いつ覚えたの、作り方」
「ほら、この間マサミちゃんが帰って来たでしょ?あの時教えてもらったの」
「へえ・・・マサミちゃん、元気でやってるかしら?」
「うん、立京大学演劇部のヒロインだって。レイコ先輩が大絶賛してたわ」
あれ、と思いながら聞いていたマスターも、ついに黙っていられなくなった。
「ねえ、そのマサミちゃんていうのはもしかして、長沢マサミさん?」
「そうです。レイコ先輩の大親友です」
「マサミちゃんは私の姉の娘さんなんですよ」
「そうすると、ナオミちゃんとは従姉妹どうしか。それで似てるわけだ・・・」
「はい。私の実家のほうの家系では女の子はミッション系に行くことが多くて、実は私も立京大学に通ってたんです。一応洗礼も受けて《ガラシャ》っていう名前も持ってるんですよ」
「へえ」
「その頃はもう、モデルのお仕事もしてて、あんまり大学には行けませんでしたけど」
「ねえお母さん。マサミちゃんが教えてくれたカニクリームコロッケ、中がトロっとしてて、とっても美味しいんだよ。お店でも出してみようよ」
「また、そんな大きなこと言って。でも、洋風のメニューを増やしてもいいかも知れないね。じゃ、今度作ってごらん」
「はーい・・・ね、お母さん。おじさん一人増えただけで、随分にぎやかになったような気がするね」
「そうね」
「お母さんは、今まで男の人は絶対に家に入れなかったもんね。私、男のお客さんが家に来たの初めて見た」
「それが母親としてのケジメだと思っていたのよ」
「また、お固いこと言って」
「それに、あんたの父親を心から愛していたしね」
「そうか・・・私は会ったことないけどね」
「でもね、この間あんたに言われてね、母親としてだけでなく、人間としても女性としても考えてみようって思ったんだよ。あんただったら、その位の甘えは許してくれるかなって」
「当たり前だよ・・・ちっとも甘えなんかじゃないよ」
「私も本当はちょっと淋しかったんだ・・・今までのことはちっとも後悔してないよ。だけど、だけどね、あんたがいなくなった後、一人で歩く道のりの長さを考えるとね」
「おじさん、うちの母をよろしくお願いします」
「ナ、ナオミ」
「だって、いっしょにご飯を食べましょうっていうのは、そういうことなんでしょ?」
「うん、そうなんだけど・・・」
「おじさん、どうですか?」
「僕にも息子がいるからね」
「大丈夫。たとえ時間がかかってもレイコ先輩が説得してくれます」

その夜、自分の店に帰ったマスターは、灯りも点けずに座りこんだ。幸せな情景の中には必ず存在していたしのぶの面影が、いま京子に置き換わろうとしている。変わっていく自分自身の心を、もう止めることはできない。その残酷な事実に耐え難い淋しさを覚えて、マスターは涙をこらえることができなかった。そして、窓から差し込む月の光を受けながら、すべてを包み込むような笑みを湛えたしのぶの写真だけが、そんな寺尾の姿を見ていた。

(続く)
...2005/10/21(Fri) 01:54 ID:dGWVb7nI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
ショッピングセンターの活性化にアキの描いた絵を使いたいという大木夫妻の申し出がありましたが、ついにアキが社会にデビューすることになるのですね。こんな大役にもひるまないアキがとても立派に思えました。

ナオミとマサミは従姉妹同士でしたか・・・サプライズな設定でした。

マスターの気持ちが切ないですね。しのぶ→京子へと移り変わる気持ちは朔の亜紀→明希と重なっているように思いました。

「ガラシャ」のリクエストにお応えいただき、ありがとうございます。
...2005/10/21(Fri) 21:40 ID:UXTgoD9M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
ガラシャ→ミッション系→立京大学→マサミ という連想で繋がりました。

アキはまだ「恐いもの知らず」で、どんな大役か分かってないかも知れません(苦笑)

マサミの「カニクリーム」はもちろん「あの家」の味です(^^)
...2005/10/22(Sat) 02:17 ID:niZjhlcc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
意外なところでのカニクリームに、思わず顔がほころんでしまいました。そして次に、ナオミとマサミは従姉妹同士ということでビックリです・・・。
それにしても最後のシーンでは、ドラマの朔の心が亜紀から明希へと変わりゆくところが浮かびました。なぜか、今回の方が悲しげな感じが強く感じられました。この先、アキの恐いもの知らずと共に楽しみにしております。
...2005/10/23(Sun) 01:48 ID:h7tgg8KQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その19)

DBSドラマ制作部のAD・山辺孝之はまたもや突然の呼び出しを受けた。おそるおそる女優・真島ミチルの部屋に入って行くと、異常に緊迫したミチルの声が聞こえて来て、足がすくんだ。

「それから部屋に入って行くと・・・ああ、私が友達と遊んでいないで、あと一時間早く帰っていたら、あんなことにはならなかったかもしれない。ねえお願い、信じてリョウジ・・・やっぱり、やっぱり疑っているのね。私がわざとそうしたんじゃないかって・・・」

山辺に背中を向けてセリフ読みをしていたミチルは、台本を静かに閉じ、そして振り返った。
「ごめんね、タカユキ。例の依頼主から具体的な日時を言って来たの。その日は3月31日だって」
「え、でもその日はもうロケが終わった後じゃ・・・」
「それがね、今度のドラマ、視聴率の平均が30%を超えるものすごい人気だったでしょ?それで急遽2時間スペシャルを撮ることになったのよ」
「そうか」
「髪を切ったのね、タカユキ」
「うん、コンタクトも入れてきた。あ、もちろんSEEDだよ」
「それにしても不思議ね・・・写真のサクにそっくり」
「そういえばそうだね」
「衣装はなんとか間に合いそうよ」
「どうするの、あのセーラー服は」
「いつも服をオーダーしている店に特注で作ってもらうの」
「どこの店?」
「エルメスの代理店よ」
「エ、エルメスにセーラー服を注文しちゃったの?」
「うん。だって身体にフィットしてないと、ラインがきれいに出ないもの」
「す、すげえこだわり・・・さすが女優は違うね」
「まあね。タカユキの分も用意しといたわよ。これは普通の詰襟でいいよね」
「はい、十分です。っていうか、あんまり出番ないし・・・」
二人は顔を見合わせてフフフと笑った。そして山辺はテーブルの上に置いてある台本に眼を向けた。
「これは?」
「うん、まだ制作まで行くかどうか本決まりじゃないんだけど、一応目を通しとけって言われたの」
「ふーん・・・原作は西野圭子の小説だね」
「うん」
「ちょっと、読んでいい?」
「いいよ。でも、その台本のことは誰にも喋っちゃだめよ」
「わかった」
パラパラとページをめくるうちに、山辺の表情が曇っていった。そして遂に堪え切れなくなったように顔を上げた。
「本当にこのユキホっていう役をやるの?」
「そうよ」
「だけど・・・今までのミチルのイメージと全然違うじゃない」
「そうだね」
「これを読んでるとさ、なんか《たすけてください》とか叫びたくなるよ」
「ユキホは心の中でいつもその言葉を叫んでいたと思う。巨きなものに向かってね。だけど、したたかに生き抜いて行くのよ、自分の境遇を逆に利用して」
「なんか、怖くなっちゃうよな」
「なにが?」
「いや、別に理由はないんだけど・・・うん、このリョウジっていう男が自分とかぶってきちゃって」
「私が怖いのね、タカユキ」
ミチルは妖しい笑みを浮かべ山辺に近づいた。そして右手を伸ばすと山辺の左頬から顎にかけてをすうっと撫でた。
「あ・・・」
まるで最高級のソルべのような、肌理の細かい、甘美な、しかし冷たい感触だった。
「冷たいな、ミチルの手は」
「そうよ、昔から言うでしょ、手が冷たい女は心が温かいって」
「そうなんだ」
「そうなのよ」
「なあ、ミチルは本当にミチルなの?」
ミチルはタカユキに背を向けながら答える。
「どうかしら。こんな仕事をしてると、私自身にもわからなくなる時があるの。もしかするとアキなのかもしれない。もしかするとユキホなのかもしれない」
「やっぱりオレたちもこの台本みたいな運命をたどるのかな・・・なんだかそんな気がしてきたよ」
「それはわからないよ・・・もしかしたらア・・・」
その名前を言わせまいとするかのように、山辺はミチルを強く抱きしめた。
「よせよ、それだけはよせ。そんなこと言って現実になったらどうするんだよ」
ミチルは一瞬笑みを浮かべ、そして涙ぐんだ。
「私のこと、愛してもいないくせに」
「たとえ・・・たとえミチルがどんなに恐ろしい女だったとしても、オレはやっぱりミチルに生きていて欲しい」
「そんなこと言われると本気になっちゃうよ・・・」
「ああ、それでもいいよ」
ミチルは涙を一杯に湛えた目で、山辺を見た。
「ゆうべ夢を見たの」
「夢?」
「うん。私は独りで北欧の空港に降り立つの。私、すぐにわかったわ。ああ、ここは私の死後の世界なんだって。深い深いノルウェイの森を彷徨って、やがて視界が開けると、深く切れ込んだ狭い入り江に出たの。氷河の爪あとのような切り立ったフィヨルドの下に、この世の色ではないインクのような海があった。空には真夜中でも沈まない太陽が鈍色(にびいろ)に光っていた・・・あれはきっと白夜(びゃくや)の空だよ。荒涼として淋しいところだけど、とても心が安らぐのを感じたわ」
ミチルの目から、すっと涙が流れた。
「一つだけお願いがあるの。私が先に死んで灰になったら、タカユキ自身の手で、白夜の空の下に撒いて欲しいの」
「わかった、わかったよミチル。もしそうなったら、ミチルの灰を撒いたその場所に、オレもいつか一緒に眠るよ。だから、安らかにその時を待っていてくれ・・・」
瞳の奥に喜びの色を宿して、ミチルはタカユキの目を見つめた。
「うれしい・・・私、もう絶対に離れない」
山辺の背中に回した手に力がこもる。山辺は抱き返しながら言った。
「結局、オレたち二人の行きつく先は、荒れ果てた白夜の世界なんだな」
ミチルが頷くのが感じられる・・・これはやはり演技なのだろうか。オレを自分の世界に引きずり込むための巧妙な罠なのだろうか。山辺の心に、ふとそんなことがよぎった。
それでもいい。たとえそうであってもミチルを失いたくはない。山辺は、自分自身の心が真島ミチルという深い深い渦の中に落ち込んで行くのを、もはや止めることはできなかった。

(続く)
...2005/10/23(Sun) 08:34 ID:SogL8S42    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
ちょっと小ネタを

今期の月9には森山氏(元サク)が出演してますけど、役名が「皆川勇太郎」
しかも、頻繁に焼酎の一升瓶が出てきて「みながわ」という名を映し出しております。
そこで思い出すのは少し前に、同じ局のドラマに出演していた長澤さん(元アキ)の役名が「皆川梓」だったことです。
これって、やはり何かの意図を持ってやっているんでしょうか(^^)
たとえば、某局のドラマでも小栗旬氏の役名が「矢口」だったり、「名前のトリック」って探すと結構あるような気もしますが、単なる偶然なんでしょうかね・・・
...2005/10/23(Sun) 19:30 ID:U41Q0qzc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
今日は廣瀬亜紀の命日ですね(合掌)

ちなみに、この物語の真島ミチルは3月23日、20歳の誕生日を迎えます。
実在する女優H.A.さんと全く同じというのも恐れ多いので、一日早くします(^^)
...2005/10/24(Mon) 21:46 ID:sIpEvxPM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
別スレで雑談してて乗り遅れました。(あっちでも乗り遅れてしまいましたが・・・)

廣瀬亜紀さんに合掌
...2005/10/24(Mon) 22:28 ID:3./ga.xI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
最近、なかなか興味深い本を見つけて読んでおります。関西看護出版から出ている「死別から共存への心理学」という本です。
この本の帯には『「逝く者」と「送る者」との間で、死は両者を別つことではなく、新たな関係性に共存する契機である』という言葉があり、まさに「ズバリ」という感じです。
その中に『「100万回生きたねこ」の心理分析』という章があります。この絵本は、廣瀬亜紀の部屋にもあったものなのですが、ドラマ中の朔と亜紀の心理の原点は、まさにこの絵本の中にあるのではないかと思われるほど一致しております。森下さんという脚本家は、やはりこの絵本を詳細かつ的確に分析していらっしゃるのだろうな、と推測いたしました。
創作に行き詰った時は、この本を読み返して、原点に戻ろうと思います。
...2005/10/28(Fri) 01:00 ID:1JcnjBQk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎様
 そう言えば,過去ログの4番に「絵本について」というスレがあり,サクが亜紀の着替えを取りに行った際に亜紀の部屋に並んでいた絵本について取り上げられていましたね。
  ・エルマーのぼうけん
・おおきな木
・はじめてのおつかい
・おおきなかぶ
・100万回生きたねこ
・星の王子さま
・龍の子太郎
・ぐりとぐら
 これがそのリストでしたが,父親の述懐に登場する,服の代わりに買ってもらった「ぐりとぐら」はともかく,他の本も「適当に並べた」のではなく,それなりの訳があって置かれていたのではないかという議論は当時からありましたね。特に,「100万回生きたねこ」は,それを強く感じます。
 また,さりげなく並んだ小道具に込められた意味という点では,民話採録のために世界を探訪したいと語っていた亜紀の志望校が外語大ということを物語る赤本もなかなかの演出でしたね。
...2005/10/28(Fri) 18:22 ID:AxVuN3Ms    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニア様
おっしゃる通りだと思います。
原作にも映画にも無かった「絵本の編集者志望」という設定は、ひょっとして「100万回」のテイストをこの物語に持ち込むためなのでは、と思わず勘ぐってしまいました。
日本人にはとっつきにくいアボリジニの死生観に対して「100万回生きたねこ」の根底には「輪廻と解脱」という仏教的要素があって、少しはわかりやすいのかな、とも思います。
このあたりは、拙文の中でも少し触れてみようと思います。次々回に出て来ますので、お読みいただければ幸いです。

>外語大
なるほど、そういう理由だったのですか。初めて気付きました(汗)
...2005/10/28(Fri) 21:19 ID:R6NrMCR.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その20)

3月23日、午前10時。
静岡県立宮浦大学薬学部の合格者が発表された。
午前10時6分、達明の携帯電話の着信音が鳴る。アキからの報告を聞いた達明はニッコリ笑って、何度も何度も頷いた。
午前10時9分、開店間もない「海の時計」の電話が鳴った。マスターが電話に出る。話を聞いたマスターは、笑いながらレイコの頼みを快諾した。

アキの周りには、仲間達が集まっていた。シンジ、ユイ、レイコ、薬学部のミホ先輩、そしてもちろんケンも。
どの顔も笑顔で溢れている。誰もがアキの合格を祝福していた。アキがこの輪の中に帰って来たことを。レイコがみんなに告げる。
「夕方6時に《海の時計》に集合して。マスター、貸切にしてくれるって」
「やった」
「楽しみだね・・・」
その時、レイコの携帯電話が鳴った。
「ナオミちゃんだ・・・あ、ナオミちゃん、うん、アキ合格したよ。あ、6時からウチのお店で合格祝いなんだ。良かったらおいでよ。うん、ぜんぜん構わないよ。あとさ、ハルカちゃんとかアキと仲が良かった子たちにも声掛けといてよ。うん、じゃお願い、またね」

午前11時23分。
真島ミチルのパソコンのメール着信音が鳴った。
「・・・合格したんだ、トモヨさんの娘さん。ま、あなたにとっても娘みたいな子なんでしょうね」
再び、メールが届く。
「あなたは何でも知っているのね。今日が私の誕生日だということも。ありがとう、バースデイメール・・・」

午前11時32分。
大林薬局の店内には、笑いながら抱き合う母娘の姿があった。
「おめでとう、アキ」
「ありがとう」
「よく頑張ったね」
智世はアキの髪を撫でた。
「あの・・・」
「なに?」
「あのね、廣瀬のおじさんのところへ行って来ようと思うんだけど・・・」
「そうだね、行っておいで。おじさんやおばさんによろしく言っておいて。亜紀もきっとあんたのことを待っているよ。」
「うん」
「じゃ、ご飯を食べたら行っておいで。電話しといてあげるから」

午後2時26分、アキは廣瀬家の前に立ち、呼び鈴を押した。
「はい」
ドアを開けて出迎えたのは綾子だった。
「こんにちは」
「こんにちは、アキちゃん。合格おめでとう」
「ありがとうございます」
「しばらく見ないうちにずいぶん大人っぽくなったわねえ」
「いえ、そんな」
「さ、入って。おじさんも待ってたのよ」
「おじゃまします」
アキは応接室に案内された。
「おじさん、こんにちは。お久しぶりです」
「おお、良く来たね。おめでとう」
「ありがとうございます」
「うちの亜紀もきっと喜んでいるよ」
真は部屋の隅の方に目を向けながら話を続けた。
「ほら、きっとそこらへんに来ているよ。おめでとうを言うためにね。実は不思議な話を聞いたことがあるんだ・・・亜紀は病気になってから、アボリジニっていう人たちの考え方に共感していてね。その考えによると、我々が目にする人間の死は肉体の死で、生命の本質は精霊になってずっと生き続けるのだそうだ。ちょっと信じられん話だけど、あれだけアボリジニにのめり込んでいた亜紀のことだからな。我々の目には決して見えないけど、やっぱりそのあたりにいるんじゃないかって思うこともあるよ」
「私もそんな気がします。夢を見たんです、高校生の頃」
「ほう、夢ね」
「はい。その夢の中で、私、亜紀さんに出会ったんです」
「亜紀と・・・」
「満月の夜、夢島の浜辺で・・・亜紀さんは涙を流していました。その涙が温かかったんです。亜紀さんは、私は死んだわけじゃない、ずっとあなたの側で生きている、だから冷たくないんだ、体温を持っているんだって言ってました」
「そうか」
「亜紀さんは言いました。この島に泊まってはいけない。今、満月が海の上に白い光の道を作っている。その道を未来に向かって歩いて行きなさいと」
「そうか・・・亜紀は君に、自分とは違う道を歩めと言いたかったんだろうな。夢島で一夜を過ごせば夢への扉は閉ざされてしまう。あそこはそんな恐ろしい場所でもあるんだろう」
「はい・・・」
「実は俺も夢を見るんだ。夢の中で俺はいつも娘に怒られてるんだ」
「怒られる?」
「そうだ。俺も最近気が弱くなってね。夜中に目が覚めた時なんか、ああ、娘が迎えにきてくれないかなあ、なんて思うこともあるんだ」
「そんな、おじさん」
「亜紀は厳しい娘でね・・・そんなこと言ってないで頑張らなくちゃダメだっていうんだよ。おいおい、頑張れ頑張れって、この年でどうしてそんなに頑張らなきゃならないんだ。いったい俺はいつまで頑張らなきゃならないんだって聞くとさ・・・」
真はアキを見つめながら言った。
「君の赤ちゃんの顔を見るまでだってさ」
「私の赤ちゃんって、私、結婚もしてないし・・・」
「そう。だから君の成人式の晴れ着姿、結婚式のドレス、そんなのをすべて見た上で君の赤ちゃんの顔を見てこいって言うんだよ。一体、俺は何歳まで生きりゃいいんだよ」
真が苦笑いをする。
「そういうわけで、なるべく早いうちに頼むよ」
「ええっ、そんな・・・」
「ははは、冗談だよ冗談」
少し伏し目がちに綾子が言った。
「アキちゃん、亜紀に会ってやってくれる?」
「はい。私もお線香をあげさせてもらうつもりで来ました」
「よかった。じゃアキちゃん、二階のほうへ・・・」
「はい」
三人は仏壇のある、亜紀の部屋へと上がっていった。

(続く)
...2005/10/28(Fri) 22:36 ID:R6NrMCR.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
気が付けば浪人生活を送っているうちに、様々なものを吸収し、かなりの急成長を遂げたアキのまわりには、大勢支えてくれている人たちの存在がありますね。羨ましいです。
さて、これからはアキとケンに大学でも有名なカップルになっていただきましょう!
その前に、亜紀と朔にはしっかりと合格報告をさせないといけませんね(笑)
これからも楽しみにしております。
...2005/10/28(Fri) 23:40 ID:ve97YfNc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
祝合格・大林アキ殿
一緒になって喜んでくれる仲間、両親、廣瀬夫妻等々に囲まれてあなたは本当に幸せですね。(たー坊さまに同感)

アキが廣瀬家にやって来るシチュエーションはとても好きです。なので、私もそういう場面を何度も書かせていただきました。自分の名前の由来でもある廣瀬亜紀は、大林アキにとってはやはり特別な存在なのだと思います。(智世から『洗脳』された部分もあるかもしれませんが・・・)

「海の時計」の合格祝いにはもしかしてマ○ミがサプライズでやって来るかな〜、などど勝手に期待してます。従姉妹が午前中に連絡すれば東京からは夕方6時には十分間に合う距離ですけど・・・

余談になりますが、マサミにはいつかミライを宮浦の元クラスメート(特にケン)に紹介して欲しいです。高校卒業時にあれだけケンに強がったマサミなので、きっと見せつけに帰ってくるかな・・・などと(これも)勝手に想像しています。(と言いながら、マサミを強がらせたのは私でした・・・)
...2005/10/29(Sat) 01:03 ID:/AQsvkec    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 春を待つ受験生,喫茶店のマスターと小料理屋の女将の触れ合い,わがままな出演者に振り回されるベーやん。さまざまな人間模様が織り成す「宮浦の春」も大団円が間もなくですね。
 「あの影」の主,そして「不思議なメール」の主は,この物語を最後にどのようにまとめるのか楽しみです。

 では,大林アキ君と1学年下の皆さんへ,ささやかな合格祝を次の書き込みで・・・
...2005/10/29(Sat) 05:04 ID:xaoTDHzE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの涙

 今日は出演者以上にわがままな岩丸から「タコ焼き」の買出しを押し付けられた。それも,「あの店じゃなきゃダメだ」ときた。
 だったら自分で行けよ。どうせ,アップを迎えた出演者に花束を渡す以外に仕事がなくて,ブラブラしているんだから。それより何より,これ以上つまみ食いすると,ますます太ってタコ焼きみたいになるぞ!
 あっ。何言ってるんだろう。
 大丈夫か,オレ・・・

 その岩丸ご指定のタコ焼き屋に行ってみたら,この前と同様,学生たちがハメを外して盛り上がっていた。今日は筒は持っていないが,胴上げを始めたグループもある。
 そうか,今日は合格発表か。進学しても野球部でがんばろうなんて声も聞こえてきたなあ。
 野球と言えば,阪神の胴上げを見たかったなあ。
 あっ。何言ってるんだろう。
 大丈夫か,オレ・・・

 ストレスが溜まるとロクなことがないので,「優しい時間」を取り戻そうと,以前から眼をつけておいたシャレた感じの喫茶店を訪ねたら,今日は貸し切りとのことだった。合格祝なのか,ここでも,受験生風の若者たちがはしゃいでいた。
 みんな,今の感動をずっとだいじにしろよ。
 それにしても,昼間のタコ焼き屋といい,夕方の喫茶店といい,どうして静御前の舞をやっているんだろう。今は21世紀だし,オレたちの番組は信長と道三だし・・・
 眼の錯覚だろうか。
 大丈夫か,オレ・・・
 多分,大丈夫だ。
 きっと大丈夫だ。
 ふぅ〜。
...2005/10/29(Sat) 05:31 ID:xaoTDHzE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
今日、久しぶりに宮浦(松崎)に行って参りました。堤防のところは釣り人でいっぱいで「〜ごっこ」をしている人は見られませんでしたねー。

SATOさま
マサミはもちろんやってきます。ミライのバイクに乗って。今度はミライの方がマサミの家に招待されたようです(^^)

ところで、NH○朝ドラは「風のハルカ」になっていますが、主人公「ハルカ」の幼なじみの彼氏の名前が「マサミ(正巳)」だと知って、ちょっと笑ってしまいました(^^;;;
...2005/10/30(Sun) 21:01 ID:vd68W3e6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま、SATOさま、にわかマニアさま

合格のお祝いをいただき、ありがとうございました。
私は以前、現実の重圧に耐えられず、そこから逃げようとしました。その結果、担任の大沢先生をはじめ、周囲の多くの人々に迷惑をかけてしまいました。
しかし、自分自身を見つめ直すうちに、本当に大切なのは、粘り強く周りの人々と話し合い、理解しあうこと、そして何より自分を大切にすることだということがわかりました。
私は足が遅いので、ゆっくりと、自分に与えられたすべての時間を使って、一歩一歩目標に向かって歩いて行くつもりです。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。  大林亜紀
...2005/10/30(Sun) 21:21 ID:vd68W3e6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
マサミも合格祝いにやって来るのですね。
(もしかするとミライのお披露目も?)
祝賀会の余興として、マサミには「くの一」姿でマジックショーを、ハルカには白拍子姿で「静の舞」を披露してもらいたくなりました(^^)

※しばらくあちこちのストーりーを読み歩いておりましたが、どの作品も登場人物の描写が丁寧で、筆者の皆様の愛情が感じられます。
私はひと息入れた感じでしたが、また「書欲」がわいてきました・・・
...2005/10/30(Sun) 22:09 ID:ZbpCyxhU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その21)

廣瀬亜紀の部屋には柔らかな春の日差しが入り、まるで部屋全体が微笑みで満たされているかのようだった。
「亜紀らしいな」
思わずつぶやいた真に綾子が尋ねた。
「なにがですか」
「いや、この部屋に入った瞬間に亜紀の笑顔を思い出したんだよ。明るい陽が当たっていたからかな」
その部屋には、小物や絵本など、亜紀が生活していた頃のものがそのまま残されていた。
アキは仏壇の前に座り、線香をあげて手を合わせた。
「アキちゃん、この遺影、いい笑顔だろ。これはね、朔と一緒に夢島に行った時の写真なんだよ」
「松本先生と・・・」
「そうだよ」
「あ、この結婚写真・・・」
「うん。ほら、君のお母さんも写っている。まだ君よりも若かった頃の写真だね」
「そうですね」
「ぼくはね、長い間、亜紀のこんな笑顔を見たことがなかったんだよ。ぼくに対しては、いつも萎縮したような、怯えたような顔をしていてね。厳しすぎたんだね、きっと」
真は静かに俯き、首を振った。
「ぼくは亜紀を愛していた。どんな父親にも負けない自信があったんだ。でも、ぼくは間違えたんだな、きっと」
「間違えた?」
「そう、愛情の表現方法をね」
「おじさん・・・」
「亜紀が病気になって、友達がお見舞いに来てくれたり、朔のお父さんがこの写真を持って来てくれたりして、ぼくは愕然としたんだ。これがぼくの娘なのか。これが亜紀の本来の姿なのか。ぼくの娘はあんな顔をして笑うのかってね」
真はふっと溜息をつくと、机の上に置いてあった絵本を手にした。
「アキちゃんは読んだことあるかい?」
「はい」
それは「100万回生きたねこ」という絵本だった。
「この本に出てくるネコは100万回も生まれかわったんですよね」
「そうだよ」
アキは、ハッとして真の顔を見た。
「おじさんは、亜紀さんが何時か何処かで生まれ変わって来ると思ってらっしゃるんですか」
真は静かな笑みを浮かべながら首を振った。
「いや、そうじゃない。亜紀は死んだ。かたちあるものとして、この世界に現れることは決してないだろう。娘が死んでしばらくは、ああ、もう一度会いたい、生き返ることはないだろうか、どこかで生まれ変わってはいないだろうか・・・そんなありもしないことを考えたものだ。そんな時、そこで手を合わせていたら、この本が目に留ったんだ」
「この本に出て来るネコはいろいろなところで生まれ変わり、それぞれの飼い主に可愛がられています」
「そうだ・・・でも残念ながら、それを幸せだと思ってはいない。飼い主なんて《だいっきらい》と思ってるんだ」
真は淋しげに微笑した。
「一見恵まれているように見えても、ネコは自分自身の生を生きているわけじゃない。飼い主の都合に付き合わされているだけなんだ。このネコは100万回生きたけど、100万回死んではいないんだ。自分自身の生をきちんと生きていないから、きちんと死ぬことが出来ない。それで不本意ながら生まれ変わってしまうんだよ」
「それじゃ、おじさんは・・・」
「そうだ。この中に出てくる飼い主のように《勘違いした》支配者だったというわけさ」
「そんなこと・・・」
「ある時、このネコは一緒に生きる白ネコを見つける。それまで自分のことが一番好きで、そのことしか考えられなかったネコは、幸せや不幸せを共有する相手に出会うんだ。そして、飾り気を捨てて自分をさらけ出した。自分の意志で相手のことを愛し、相手に与えようとし、相手の幸せを願うんだな。自分以外の者を大切に思い、自分は独りじゃないことに気付くことで、初めて本当の生を生きるんだよ。そして、きちんとした一生を終えたネコは、もう二度と生き返ることはなかったんだ」
「亜紀さんは松本先生と出会うことで、本当に生きることができた・・・」
「そうだ。亜紀の人生は、それは儚いものだった。お世辞にも幸せだったとは言えないだろう。でも・・・それでも、最後の最後になって朔と出会い、たとえ短い間だけでもきちんと生きることができたのは大きな救いだったんじゃないかな。だって、そのことで亜紀は、きちんと死ぬことが出来たのだから」
「きちんと死ぬことって・・・」
「アキちゃんの意識の中に亜紀が現れる時、どんな感じがする?」
「とても穏やかで、優しい感じです」
「そこに苦しみや迷いはあるかい?」
「いいえ。ただ・・・」
「ただ?」
「亜紀さん自身が経験できなかったことを私には味わって欲しいって・・・頑張ってねって背中を押してくれているような」
「そうだろうな。それこそまさに母親の気持ちなんだろうな。亜紀は自分の子供を産むことはできなかった。だから一番の親友の娘である君のことが本当の娘のように思えるんだよ」
真は遺影を見ながら続けた。
「亜紀はいま、そんな穏やかで温かな存在として、ぼくたちの心の中にいる。それが亜紀がきちんと死ねたということの証だよ。もし、迷いや苦しみがあれば、亜紀はもっと違うかたちで現れるだろうな」
アキは何と言ったらいいのかわからなかった。ただ、亜紀の笑顔を見つめているだけだった。
「君が生まれて、君のお母さんが亜紀という名前を欲しいと言った時、ぼくはひょっとして亜紀が帰って来たんじゃないかとドキリとしてしまった。でも、今日こうして話してみて良くわかったんだ。君はやっぱり亜紀ではない。亜紀の生まれ変わりでもない。君は君以外の何者でもないんだってね。だからこそ亜紀は君のことをこんなにも愛しているんだって・・・ぼくたちがこの部屋に入ってきてから、亜紀は本当にうれしそうな顔をしているよ。もうこの部屋いっぱいに、溢れ出しそうに、喜びが満ちている。ぼくにはわかるんだ。父親だからね。亜紀が君の合格をどんなに祝福しているかということが」
「アキちゃん、今日は亜紀に会いに来てくれてありがとう。あなた・・・」
「うむ・・・アキちゃん、この絵本は君が持っていてくれないかな」
「え、でもこんなに大切なもの・・・」
「いいんだ。きっと亜紀もそう思っているだろう。この絵本には亜紀の短かった人生そのものが綴られているんだ。これから生きていく君が持っていて欲しい。そして時には亜紀のことを思い出してやってもらいたいんだ・・・受け取ってはもらえないだろうか」
アキは小さく頷いた。
「わかりました。お預かりします」
「ありがとう」
「私、将来、絵本作家になりたいと思っています。亜紀さんには私と一緒に編集をしてもらいたいと思います」
その言葉に、綾子はこらえきれなくなり目頭を押さえた。
「良かったね、亜紀・・・」
「亜紀さんの温かさ、優しさを、きっと世界中の子供たちに届けます。私の手で」
静かに言い切ったアキの言葉は力強かった。

(続く)
※参考図書 
死別から共存への心理学(品川博二・赤水誓子著 関西看護出版) 第8章「100万回生きたねこ」の心理分析
...2005/11/03(Thu) 18:41 ID:jjCjSkPQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さま
廣瀬亜紀は、自分が経験したかったけどやれなかったことを大林亜紀(アキ)に追体験してもらえて喜んでいることでしょうね。真・綾子夫妻とアキとのやり取りからその思いが強く伝わってきました。
(朔五郎さまが以前にそのような思いを書き込みされていましたので、朔五郎さまの廣瀬亜紀に対する思いも感じ取れました。「1リットルの涙」をドラマ化するにあたっての亜也さんのお母さんの気持ちもこんな感じだったのだろうな・・・とも思いました。)
大林アキ自身も同じ名前をもらったことで、智世や廣瀬夫妻と接するときに心のどこかで「比べられてる・・・」と感じていたのかもしれません。現に真がそういう目で見ていたこと、そして同時に二人の「亜紀」は全く違う人格だということも理解していたことを打ち明けています。この真の告白を聞いて大林アキは名前の「呪縛」から解き放たれ、大きく羽ばたく第一歩を踏み出したのだと思いました。
...2005/11/03(Thu) 22:00 ID:IJ1CdZzI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさま
この物語は、廣瀬亜紀とはそもそもどんな少女だったのか、という「謎解き」の要素も含んでいて、それを大林アキと対比させて、似てるけど違うという味が出したいと思っていました。
アキの絵本は「母子の共作」という感じで、いつも横に編集者として廣瀬亜紀が寄り添っているというのはどうでしょう・・・

さ、皆さんに提案です。朔五郎のことを「様」付けで呼んで下さる方がいっらっしゃって、それに合わせるうちに、このスレでは「様」付けで呼び合うようになりました。別に悪くはないのですけど、やはりちょっと堅苦しいかな、と思い、新規の方が入りにくいかもしれないので(最初のように)「さん」付けにしませんか?自分でやっておいて、自分勝手だとは思うのですが(^^;;;
ご意見お聞かせください。
...2005/11/06(Sun) 10:07 ID:s/A2MNzI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん 
 ご提案の件については,つい最近,別スレでも出されたことであり,私も基本的には賛成です。
 ただ,ちょっと弁解になりますが,朔五郎さんやSATOさんのように漢字やローマ字の方は問題ないのですが,かな書きの名前の方の場合,冒頭の呼びかけならまだしも,文章中に「○○「さん」は(や・も・に)・・・」とカナ文字が並ぶと,一見しただけではどこで文節が切れているのか読み辛くなってしまうという別の問題が生じるため,ついつい「様」という漢字で「字並びのメリハリ」をつけてしまいました。もっとも,ご指摘の件は大切な視点ですので,できるだけそのように注意します。
 という訳で,漢字・ローマ字名の皆さん。どうか「あいつは「様付け」なのに,何でオレは「さんづけ」なんだ」と怒らないでくださいませ。
...2005/11/06(Sun) 10:31 ID:rfEou48U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
ご意見ありがとうございます。もちろん、その場に合ったことばを使えば良いのだと思います(^^)
...2005/11/06(Sun) 11:07 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
今回は作品の感想の前に、朔五郎さんのご提案についての私の意見ですが、基本的ににわかマニアさんのご意見を基本線でよろしいかとは思います。
私の場合、コメントをいただいている方からは、両方で呼んでいただいてます。そして、私から返事をする場合には”様”で統一しております。
ということで、各スレの雰囲気に合わせて最低限のマナーを守った上でそれぞれの裁量にお任せしようかと私は思っております。
例えば、私がここに書き込む時には”さん”で、私から返事をする時には”様”とういうことでどうでしょうか?
...2005/11/06(Sun) 14:55 ID:/ah7V9/U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
ご意見ありがとうございます。私の提案の主旨は「和気あいあいと、誰でも参加しやすい雰囲気に」ということですので、もちろんそれでよろしいかと思います。これからもよろしくお願いいたします。
...2005/11/06(Sun) 22:33 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
本田美奈子さんのご逝去については、残念でなりません。素晴らしい歌手であり女優でもあった彼女のご冥福をお祈りいたします。
...2005/11/06(Sun) 22:43 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
現在、アキの合格祝いのパーティーの場面を創作中ですが、なかなかまとまらず苦戦中であります。
並行している別スレのほうが先に出るかもしれません。もう少しお待ちくださいませ(ペコリ)
...2005/11/08(Tue) 22:31 ID:NRIVjE0o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
気長に次回作を楽しみにしています。
私もそろそろ「書欲」が出てきましたので、ぼちぼち新作を投稿しようかと思っています。
...2005/11/09(Wed) 06:54 ID:WVCe0Sco    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
新作お願いしますよー
お待ちしています(^^)
...2005/11/10(Thu) 00:09 ID:4iybE5qQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
「里見八犬伝」のHPを見たところ、綾瀬はるかさん演じる「浜路」は、浪人に切り殺されるという原作とは違う運命を辿るようですね。
やれやれ、もう彼女が「死ぬ」シーンは見たくないのでホッとしました(^^)

物語の方、アップ遅れてすみません。別スレのほうが先に出ます(ペコリ)
...2005/11/12(Sat) 14:23 ID:PnM6tu6Q    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
私事ですが、8月に受験した国家試験に合格しました。「ドラゴン桜」の特進クラスのメンバーと一緒に頑張った甲斐がありました。応援いただいた皆様、どうもありがとうございました(^^)
※大林アキと同じ時期に合格できて感無量です・・・
...2005/11/12(Sat) 15:26 ID:82InVJZE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
合格おめでとうございます。心からおよろこび申し上げます。
というわけで、創作の方もよろしくお願いします(^^)
...2005/11/12(Sat) 19:50 ID:PnM6tu6Q    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 SATOさん,おめでとうございます。
 そう言えば,ちょうど,龍山の特進クラスの面々と苦楽を共にし,本スレの大林アキ君と感激と共にされたことになるのですね。まずは,宮浦の「皿の割れる喫茶店」で「静御前の舞」と「山内一豊に接近する忍者の手品」でも見ながら一服してください。
 わが宮浦高の新中納言知盛先生も,受験に部活に,ますます指導に熱が入ってくるのではないかと期待しています。
...2005/11/12(Sat) 20:07 ID:pZkbYklU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん にわかマニアさん
お祝いの言葉をいただき、ありがとうございます。
大林アキは合格したことで、堂々と絵が描けるようになりますね。私も受験のプレッシャーがなくなったので、創作したくなったらいつでも創作できるとても嬉しい環境になりました(^^)

新作の構想中ですが、たかさんがボウズの息子を設定してくれたので、彼を中心にした「もうひとつのセカチュー第二世代物語」をやってみようかと・・・1クールものの青春ドラマのイメージです。

(予定キャスト)
中川顕浩(ナカガワアキヒロ)
ボウズの息子。中学まで野球をやっていたが、高校では修行の為、野球ができない。本心はやりたいようだ。密かに古河ハルカに思いを寄せている。
父親は顕良・母親は絵里花(エリカ)
→キャラ設定byたかさん

池内ほのか(イケウチホノカ)
禅海寺境内の精進料理屋の娘。顕浩とは幼馴染で、将来は彼と一緒にお寺を切り盛りするのが夢。帰宅部になってしまった顕浩を気にかけており、再び野球をやらせてあげたいと思っている。女子バスケ部のホープとして期待されている。
父親は菊次郎・母親はひろ子。
...2005/11/13(Sun) 08:46 ID:AQPFOOt.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
SATOさん
どの種の国家試験かは存じ上げませんが、合格おめでとうございます。
さぞ達成感に浸っておられるのではないでしょうか。それを感じ続けるためにも今度はぜひ作品の方でお願いします(笑)

朔五郎さん
おおいに悩み納得していただいてからUPなさってください。気長にお待ちしております。
...2005/11/13(Sun) 13:53 ID:.rB5vZnw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
お心遣いありがとうございます。もうすぐ出せそうです。

SATOさん
き、菊次郎ですか(爆笑)でも、その精進料理、食べてみたいですね。やっぱりメインは「あの白い食材」ですか(^^)
...2005/11/13(Sun) 17:48 ID:HjyoFwAM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その22)

午後5時37分、喫茶店「海の時計」ではパーティの準備が着々と進んでいた。サンドイッチやオードブルなどの軽食がテーブルに並べられた。マスターが太っ腹のところを見せ、コーヒーとともにカンパしてくれたのである。ただし、一つだけ条件があった。高校生には絶対に酒を飲ませないこと。
今日だけは持ち込みも自由ということで、タコ焼きやビールも運ばれていた。こんな時、先頭に立って動くのがナオミであった。小料理屋の娘だけあって独特の勘が働くのである。
「食べ物の配置は大体こんなもんですね。あ、あとでもう一品届きますから」
「もう一品ってなに?」
「それは見てのお楽しみ。任せてください、レイコお姉さん」
レイコはただただ、苦笑いするしかなかった。

午後5時56分、仲間たちが集まって来た。クラッカーを手に主役の到着を待っている。
「おい、来たぞ」
表に出ていたシンジがそう言いながら入って来た。一同、扉の方に注目する。

パ、パン

アキが入ってくると同時にいっせいにクラッカーが鳴らされた。
「おめでとう」
皆が口々にさけぶ・
「ありがとう」
レイコが、用意しておいた花束をケンに預ける。やはり、この役はケンしかいないだろう。ちょっと照れながら花束を渡そうとするケンを、アキは真っ直ぐに見つめた。そして花束を受け取ったアキは、ケンの頬にスッとキスをした。
「ウ、ウソ・・・」
一気に盛り上がる空気の中で、微笑みながらも平静を保っているアキと、真っ赤になってうろたえるケンが対照的だった。レイコが言う。
「それでは、アキをはじめ、いつもみんなの良き相談役であり、今日はこの場所を貸して下さったマスターに乾杯の音頭を取って頂こうと思います。マスター、お願いします」
パチパチと拍手が起こった。
「え、僕なの?」
「はい、お願いします」
「ほんとにこんなおじさんでいいのかな・・・ええ、もう余計なことは言いません。この一年間、本当に良く頑張ったね。アキちゃんの合格を祝して、乾杯」
「カンパーイ」
大学生はビールの、高校生はジュースのグラスを挙げて叫んだ。そこからはにぎやかな宴会になった。既に一年間の大学生活を送っている仲間たちに比べ、このようなパーティに慣れていないアキは物珍しそうにしていたが、ビールのグラスに口を付け、。口の中に広がる苦味に、今までとは違う世界に踏み込んだのだと実感した。
ユイが話しかけて来た。
「ねえ、アキ。サークルはやっぱり美術部にするの?」
「ううん。私、日曜日に美術学校に通うから。それにそっちの学費はアルバイトで稼がなくちゃならないし」
「そうか。それはそれで大変だね」
「うん。一応ショッピングセンターの中に出てるうちの店を手伝おうと思ってるんだけど」
「確か、今は叔父さんが店にいてくれるんだよね」
「うん」
「あのさ、アキ」
ユイは小声になった。
「ケンとは、その、将来どう思ってるの?やっぱり結婚とか・・・」
「うん・・・今はまだわからないけど・・・お互いの気持ちがこのまま変わらなければ、ね」
「そうするとさ、薬学部に受かったばかりでこんなこと言うのもなんだけど、アキは薬剤師ばかりやってるわけにはいかなくなるよ」
「・・・うん」
「何てったってケンは水産会社本体の方を背負っていかなくちゃならない。そうするとショッピングセンターはどう考えたってアキにかかってくるよ」
「そうよね」
「ああ、跡取り息子と結婚するのも結構大変ね」
「そうかな・・・やっぱり」
「薬局の経営だって考えなきゃならないしね」
「まあ、でもゆっくり考えてみるよ。そのうちきっと良い方法がみつかるよ」
「・・・そうだね。あんたたち、こんなに信じ合っているんだから・・・」

「アキ先輩、おめでとうございます」
ハルカとナオミが近づいて来た。
「ありがとう。今度は二人の番ね。頑張ってね」
「はい」
その時突然、ナオミの目が鋭くなった。
「どうしたの?ナオ・・・」
「シッ・・・」
不思議そうに問いかけるアキを制して、ナオミは音も無くドアに忍びより、耳を付けて外の様子をうかがった。
「誰だ!」
そう言ってドアを開けたその瞬間・・・

ボムッ!

爆発音と共に白い煙が立ち上った。
「うわあ・・・」
一同はいっせいに蒼ざめる。
「な、何奴!」
ナオミが叫ぶ。すると煙の中から笑い声が聞こえた。
「フッフッフッ・・・」
そして、煙が薄れて人影が現れた。
「マサミ参上」
さっと振り上げた右手の指先から、赤い花びらが宙に放たれる。
「あ、もう一人いるぞ・・・」
マサミの背後からもう一つの影が、舞い踊りながら出現する。
「誰だ、おまえは」
「・・・ある時はナースあおい、ある時は病魔と闘う悲劇の美少女、またある時は宮浦高校野球部マネージャー・・・だがその実体は・・・愛の白拍子・静御前さ!」
あまりにムチャクチャな展開に、みんな腰を抜かしたように呆然としていたが、ようやくレイコが口を開いた。
「つ、つまり・・・三人で仕組んだお芝居だったというわけね・・・」
「その通り。みんなごめんね、驚かしちゃって」
「マサミ、帰って来てたのか」
シンジが息を切らしながら言った。
「うん。ちょうど春休みだったの。レイコから聞いて一日早く帰って来たんだ」
マサミはアキに近づいた。
「アキ、合格おめでとう」
「ありがとう、マサミ」
「これでケンも一安心だね」
「あ、ああ・・・」
その時、ナオミが皆に告げた。
「さあ、お料理が届きましたよ」
大きな皿を持って現れたのはなんと大沢先生と律子だった。
「せ、先生・・・」
「おお、大林、合格おめでとう」
マサミとナオミがテーブルの上に置かれた皿に掛かっていたアルミホイルをサッと外した。
「こ、これは・・・」
それは、山盛りになったカニクリームコロッケだった。マサミが説明する。
「今朝レイコから電話があって急いで帰って来たんだけど、ちょっと廣瀬のおじさんのところへ挨拶に行ったのよ。そしたら、コロッケの話が出て、亜紀さんが最後に食べたカニクリームコロッケをアキに食べさせてあげたいって・・・それで作り方を良く教わって、先生の奥さんにも手伝ってもらって、ナオミちゃんちのお店の厨房で作ってたのよ。さっき廣瀬さんのお家にも届けて味見してもらったら、同じ味に出来てるって。亜紀さんの前にもお供えして来たよ」
「ありがとう、マサミ。先生、奥様、ありがとうございました・・・」
思わず涙ぐむアキに律子が優しく言った。
「これは廣瀬さんと亡くなった亜紀さんからの合格祝いよ。さ、冷めないうちに召し上がれ。みなさんもどうぞ。いっぱいありますからね」
「・・・でも、さっき私が行った時は、おばさん、そんな様子は全然見せなかったのに」
マサミが言った。
「廣瀬のおばさんってね、とってもイタズラ好きなんだって。おじさんが言ってた。おばさんと亜紀さんは、そんなところがソックリで、ああ母子だなあっていつも思ってたって」
ああそうだ、と思い出したようにマサミが店の外に向かって言った。
「中に入って、サク」
その声に、照れ笑いして頭を掻きながらミライが入って来た。
「紹介します。私の婚約者の佐久間未来くんです」
「お、おい・・・婚約者って・・・」
「違うの?」
「あ、いえ」
キツネにつままれたような皆の視線の中で、マサミは嬉しそうに腕を組んでみせた。
「春休みの間、私の家で一緒に暮らしまーす。よろしくね」
桜の花がポツポツと開き始めた春の宵のことだった。

(続く)
...2005/11/13(Sun) 19:01 ID:9shNNId2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
朔五郎さん
最後の最後で見事に落としてくれました!
ミライ登場ですね!いきなり婚約者として紹介されたミライに、宮浦のメンバーたちは、亜紀の合格のことなどサッパリ忘れ去ってしまうことのないよう、主役の座を奪うことのないようにお願いしますね(笑)
...2005/11/13(Sun) 19:52 ID:.rB5vZnw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>亜紀の合格のことなどサッパリ忘れ去ってしまうことのないよう、主役の座を奪うことのないように

 どこの世界でも,大なり小なり,パーティーというものは盛り上がっているうちに主役が誰かを忘れてしまうものなのかもしれませんね。
 まあ,「助けてください」の叫びが発せられるのは,主役の座を奪われたケン(アキの代理として)なのか冷やかされっ放しのミライなのか楽しみにしています。
...2005/11/14(Mon) 08:43 ID:EtPIoLbQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
おめでとう、マサミ!

http://www.nikkansports.com/ns/soccer/f-sc-tp0-051113-0029.html

ちなみに「長沢」だと、マジでこの物語のマサミになってしまいますけど(^^;;;
...2005/11/14(Mon) 23:32 ID:tvwn3vyU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さん、にわかマニアさん、朔五郎さん
皆様、お祝いのお言葉をいただき有難うございます。
この一週間、浮かれ気分で遊び呆けておりました(^^)
※国家試験というのは、社会保険労務士です。

「海の時計」のパーティーはサプライズがサプライズを呼んでみんな度肝を抜かれて面白いですね。アキの合格祝いがミライのお披露目で吹っ飛ばないようにお願いします(^^)

※にわかマニアさん流に言えば、今年日本一に輝いたロッテがその前に日本一になったたのは昭和49年でした。この年は長島茂雄の引退が衝撃を呼び、王の三冠王も中日の20年ぶりの優勝も、そして金やんロッテの日本一もいまひとつ印象が薄くなってしまいましたね。
...2005/11/20(Sun) 13:00 ID:fv33UpqE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その23)

マサミの婚約者として紹介され、強い好奇の視線に晒されたミライは、蒼くなって俯いていた。そんなミライを気遣って、マサミが挨拶した。
「皆さん、将来の私の夫を見てくれましたか?見てのとおり、とっても恥ずかしがり屋なんです。今日はちょっと緊張して疲れてるみたいなので帰って休みます。いま、私たち本当にしあわせです。これからも温かく見守って下さいね。アキ、愛してるよ。あなたはあなたの素晴らしい今を生きてね。それじゃみなさん、バイバイ」
そう言うと、ミライの手を引いて風のように去って行った
大沢夫妻は顔を見合わせた。
「ああ、あっという間にいなくなっちまった」
「・・・手品みたい」
「マサミらしいな」
アキが大沢先生に近づいた。
「先生、お世話になりました」
「良かったな、アキ」
「はい。この一年間はもちろん受験勉強もしましたけど、その他にもいろいろ得るものがありました」
「ふむ」
「一人で思い込んでいないで、両親と心を開いて話し合うこと。相手の言葉を良く聞くこと。自分を理解してもらえるように努力すること・・・」
「そうだな。それは家族の中でも大事なことだけれど、大林が社会に出た時に基本になることだ。きっと、ものすごく役に立つ時が来るよ」
「はい」
「実はあそこにいるハルカやナオミからも、アキのことは耳にしていたんだ。後輩達にも良いお手本を見せてくれたな」
「そんな・・・でも、あの子たちも、いよいよ受験ですね」
「そうなんだ」
「特にナオミちゃんは特別進学クラスだから・・・」
大沢はフフッと笑った。
「実はな、あれは廃止になったんだ」
「え・・・」
「あまりに変な授業ばかりやってるんで父兄からも不安の声が上がっていたんだ。そこに北条校長の異動が決まってな、この際、廃止することになったんだよ。阿部先生なんか、もう大賛成でな。ナオミたちも普通クラスに復帰することになった」
「私もそのほうがいいんじゃないかと・・・高校で覚えることは受験のテクニックだけじゃありませんから」
「そのとおりだな」

やがて、お開きの時間が近づき、促されたアキはみんなにお礼の言葉を述べた。
「マスター、大沢先生、そしてみんな、今日は私の合格祝いのために集まってくれて本当にありがとうございました。
私は一年間回り道をして、ほんの少しみんなから遅れちゃいました。それは私が現実に向き合おうとせず、そこから逃げようとしたからです。結局、多くの人に迷惑をかけることにもなりました。でも、この一年間、私は独りで考えました。そして思いました。必要なものは、今あるものの中にすべてある。今ないものは、ここから逃げたとしても、やっぱり無いんだって。だから、夢が叶わないって泣いたりするより、目の前のことを一つ一つ達成していくことが未来への扉を開くことなんだなって。
この一年間、自分なりに淋しかったり、辛かったりしたこともありました。でも、前に向かって進もうとするなら、それはみんな意味のあることで、無駄なことなど一つも無かったと私は思います。
私は健康に恵まれていることを、心から幸せだと思っています。これからも体に気を付けて、一日でも長く元気に仕事ができるようにしたいと思います。
今、世界は病んでいます。そしてその病気はだんだんひどくなっています。私は世界中の子供たちに穏やかで優しい心を持ってもらえるように、この宮浦という小さな美しい町からメッセージを送り続けたいと思っています。
そのために、私は将来、絵本を創るつもりです。そのためには絵の勉強もしなければならないけど、その題材は部屋の中に閉じこもっているより、日常の生活をしているうちに、いろいろな出会いや触れ合いの中に見つかるような気がします。
まだまだ先は長くて、しかも私は足が遅いので、いつになったら目標にたどりつけるかはわかりません。でもきっとその日が来ることを信じて、一歩一歩、歩き続けようと思っています。
みなさん、今日はほんとにありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
最後に、マサミたちほどは進んでいませんが・・・」
ドッと笑いが起こった。
「私にもずっと一緒に歩いて来てくれたひとがいます。ある時は私の手を引っ張ってくれました。ある時は先に進めと背中を押してくれました。それは彼にとって本当に大変なことだったと思います。でも、彼は一度も恩着せがましいことは言わず、それが当たり前のように私の支えになってくれました。私は彼と、どこまでもどこまでも手を繋いで歩いて行きたいと思います。彼は優しく、そして尊敬できるひとだから。
ケン、本当に、本当にありがとう。これからも、いつも側にいてね。海の上に出来る白い光の道を二人の目標に向かって歩いて行こうね・・・
長くなってしまいましたけど、これで終わります。ありがとうございました」

パチパチパチ・・・

拍手の輪が出来た
「さて、みなさん・・・」
シンジが声を掛けた。
「締めはやっぱり、主役の胴上げでしょう」
「そうだな」
「賛成」
「じゃ、外に出よう」
一同は店を出て砂浜に降りていった。
「行くぞ・・・アキ、合格おめでとう、バンザイ、バンザイ、バンザーイ」
まずはアキが、そっと胴上げされた。しかし、もちろんそれだけでは済まなかった。
「よし、次ぎは」
「やっぱりケンだな」
「はいはい。ケン、未来の奥さんの合格おめでとう・・・大丈夫だよ、海に放り込んだりしないから・・・」
「お、おい・・・やめろよ・・・た、たすけて・・・」

宮浦プリンセスホテルの自室で、女優・真島ミチルは二人分のコーヒーカップを洗おうとしていた。
「あ、ダメだよミチル。手が荒れちゃうよ。女優なんだから気を付けなくちゃ」
「大丈夫よ、このくらい」
「ほら、いいから。手を汚すようなことはオレがやるから・・・」
「優しいのね、タカユキ」
うれしそうに笑って背後から抱きつくミチル。
「あ・・・」
「胸、当たる?」
「う、うん・・・ああ、ところでさ、例の依頼主、どうして3月31日を指定して来たのかな」
「私、インターネットで調べたの。2018年3月31日は十五夜、つまり満月なのよ」
「へえ」
「彼女は演出にこだわったのかもね。ちょうど満開になった桜の花が、月明かりに浮かび上がる・・・そんな舞台背景にね」
「なるほど」
その時、浜辺の方から、たすけてくださーい、という声が聞こえて来た。二人はバルコニーに出た。
「なにやってるんだろ」
「合格祝いの飲み会かなにかじゃない?」
「おい、海に放り込む気かよ」
「おどかしてるだけでしょ。ほら、直前でやめたわ」
「楽しそうだな」
「大っぴらに手を繋いで歩いたり出来ないもんね、私たち・・・」
思わず手を繋ぐ二人。
「いつか来るよ。そんな日が」
ミチルは無言で、山辺の肩に寄りかかった。

(続く)
...2005/11/23(Wed) 03:52 ID:U41Q0qzc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
ロッテといえば、こんな話題がありました。
この物語のマサミはボランティア活動をしていますが、女優の長澤さんもボランティアに興味があるそうです(^^)

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1501941/detail
...2005/11/23(Wed) 04:01 ID:U41Q0qzc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
一月期のドラマ「白夜行」のスタッフで、APは「あいくるしい」に引き続き、I辺氏のようですね。
またコラムはオープンするのでしょうか(^^)「○○○○か、オレ」というフレーズのパロディは何箇所かで使われていたようなので、それを凌ぐような「名セリフ」を期待してしまいます(^^)
...2005/11/23(Wed) 23:18 ID:U41Q0qzc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 不定期刊・ベーやんの涙

 どうも。岩丸です。
 えっ。コーナーが違うって?
 それが,ベーやんは例によって買出しに行かされたまま戻ってこないし,「代役」の瀧澤は「納品! 納品!」と叫びながらテープの包みを抱えて本局に飛んでってしまったしで,今,スタッフルームには誰もいないのです。

 ところで,ベーやんの買出しですが,「わらわは蛭が小島のタコ焼きが所望であるぞよ」の一言がきっかけでした。ここから3時間もかかるから,買って戻ってくる間に冷めてしまうと説得したものの,どうしてもそれじゃなきゃ嫌だということで,本当にトホホなベーやんでした。
 
 その濃姫の漫遊紀ですが,おかげさまで順調に進み,まもなくアップを迎えます。引き続きのご声援をよろしくお願いします。その合間に,ミチルとなぜか「助けてください」と叫ぶ役に借り出されたベーやんの2時間ものの収録も順調に進んでいます。
 その後のシリーズは・・・
 近々,S五郎制作局長から発表があるかもしれません。お楽しみに。

 ところでと。今日は○曜日か・・・
 あっ!
 今日はあの店は定休日だ。片道3時間かけて無駄足とは・・・
 大丈夫か。ベーやん。

 結局空振りになった買出行。このタクシーチケットの精算で経理に小言を言われるのはオレじゃないか。
 大丈夫か。オレ・・・
...2005/11/24(Thu) 08:44 ID:FjstThm.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
久しぶりの新作です。かなり大雑把な出来ですが、よろしければお読み下さい。

〜プロローグ〜

カキーン!
「ナイスキャッチ!」
ビシッ!
「ナイスボール!」

グランドでは野球部が練習をしている。ようやくチームの形が出来上がり、来年はいよいよ大会に出られる・・・そんな活気に満ちていた。

「よし、集合!」
部員に声をかけたのは監督の古河俊介。英語教師も兼ねている。そして、古河はるか(ハルカ)の兄でもある。
「明日の練習試合のメンバーを発表する。マネージャー・・・」
「はい、一番・センター木根君・・・・」
俊介は、学校では兄妹ではなく、教師と生徒としてハルカに接している。ハルカもその点は理解していた。兄妹としての馴れ合いがあると、他の生徒に示しがつかないからである。

野球部の練習を見つめている少年がいた。帰宅途中のようである。
「ミヤウラー、ファイト・ファイト・・・・」
ランニング練習中の女子バスケット部の部員が通りかかった。
「ヒロ!」
少年に声をかけたのは女子バスケ部員・池内ほのか(ホノカ)。そして声をかけられた少年は中川顕浩(アキヒロ)である。
「早く帰らないとお父さんに叱られるよ。」
「あぁ・・・」
「気の無い返事。いつまでそうやってウジウジしてるの?そんなに野球したいなら、はっきりお父さんに言えばいいじゃない?」
「言ったよ、でも親父がダメだってさ。」
「ただ野球やりたいって言っても聴いてはもらえないよ。」
「じゃ、どう言えばいいんだよ?」
「例えばさ・・・仏教系で野球も強い大学へ行くとか・・・」
「そんなこと言われても、俺、勉強あまり得意じゃないからな・・・」
「じゃ、お父さんの言うとおりにするしかないじゃない。それより、ヒロ、今度の日曜日頑張ろうね!」
「ホノカ、そのヒロっていうのいい加減やめろよ。得度したら名前変わるんだぜ。」
「いいじゃない、あたしにとっては小さい頃からずっとヒロだったんだから。お坊さんになってもヒロはヒロだよ。」
「そりゃそうだけどさ・・・」
アキヒロはグランドに目をやった。そこでは野球部のエース・久仁見比呂(ヒロ)がピッチング練習をしている。
「久仁見くんか・・・同じ呼び方だから気になるわけね・・・でもあたしにとってのヒロはあなただけだよ。」
「おい、池内!早く体育館へ戻れ!」
「すみません、藤木先生、じゃね、ヒロ!」

日曜日、アキヒロは境内の掃除をしていた。
「ヒロ、おはよう」
「おう」
「今日は凄く大きな法事なんだってね。」
「ああ、院長先生のお父さんの七回忌なんだ。親父、えらく緊張してるよ。」
「へー、そうなんだ。」
「高校時代に同級生が入院してて何度も見舞いに行った病院らしい。」
「ホノカ、仕度を手伝え。」
ホノカを呼んだのは父親の菊次郎だ。禅海寺境内の精進料理屋「いけうち」の主人である。
「はーい。じゃ、行くわ。お互い粗相のないよう頑張ろうね。」
「ああ。頑張ろうな。」

法事の参列者が境内に入ってきた。古河信人・世津子・ハルカをはじめ、古河家の親族、病院関係者の面々だった。
一同が本堂に入り、先代院長・繁(信人の父)の七回忌法要が始まった。
...2005/11/25(Fri) 22:08 ID:ILdTfJhI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
久しぶりの作品、読ませていただきました。
キャストのイメージがすぐに浮かんで面白いですね(^^)
...2005/11/26(Sat) 03:17 ID:aQQ2WLwo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その24)

3月31日の朝、廣瀬真と綾子は家の周りをゆっくりと散歩していた。
「桜が満開になりましたね」
「ああ」
三十数年前、娘が通学していた高校のグラウンドにも咲き誇っているのが、遠目に見えた。
「今年も来るかな」
「え、誰がですか?」
「まあ、言うと笑われるから止めておくよ」
「なんですか、気持ち悪い」
不思議なことに、もう十年以上にわたって、桜が満開になると真の夢の中に亜紀が現れた。亜紀は花吹雪の中、真を抱きしめると、もうこのまま連れて行って欲しいと懇願する真の髪を撫で、まだ早い、もう少し頑張って生きてと優しく言う。父と娘は一晩中、夜桜を見ながら語り合い、夜明けと共に再会を約束して別れる。そこで目が覚めるのだった。
「実は、亜紀がな・・・」
真が白状すると綾子は笑った。
「なんだ、亜紀なら私にも会いに来てますよ。大体、あなたのところに来て、私には会わないなんてあり得ないことでしょ」
「それもそうだな」
「でも、やっぱり亜紀はいるんですね。気のせいとかじゃなくて、亜紀はいる・・・決して目には見えないけど」
「ああ・・・なあ、綾子。俺達がこんなに長い間、喧嘩したりしながらも一緒に生きてこられたのは、亜紀がいた・・・いや、いてくれるおかげなのかもしれないな」
「そうですね。私はあなたの妻になって、亜紀の母親になった。本当に良かったと思っていますよ」
「何だったのだろうね、俺達の人生は。幸福なのか、それとも不幸なのか。俺達は何のために生まれ、何のために生きて来たのかね・・・」
「あなた、世の中のものが存在することには、すべて理由があるのよ。たとえば亜紀という娘が生まれて、儚く逝ってしまった。でも、今も亜紀を忘れずにいてくれる人がいる。亜紀の夢をつなぐと言ってくれる女性がいる。あの子が創る絵本の中に、亜紀はあり続けるのよ。亜紀の思いは大地に沁みこんで、芽生えてくる子供たちの栄養になる。私達は辛く悲しい思いをした。貧乏くじを引いたのかもしれない。でもね、やっぱりそれには意味があったのよ。無駄じゃなかったのよ、私たちの生涯は。そう思わない?」
「ああ、思うよ」

マサミはミライと手を繋いで「なまこ壁通り」を歩いていた。
「ねえ、この道すごいでしょ。陸上部の練習でいつもここを走ってたんだよ」
「へえ」
つきあたりを右に曲がると、松本写真館の前に出た。
「ねえ、記念に写真撮ろうよ」
「あ、ああ・・・」
二人は中に入って行った。
「ウフッ、おじいちゃん、また居眠りしてる・・・おじいちゃん、こんにちは」
マサミの声に潤一郎が薄目を開けた。
「へ?・・・あ、ああ、お客さんかい・・・」
「お久しぶりです」
「お久しぶりって、誰だっけか・・・ええ、まあいいや。で、そっちの色男は彼氏かい?」
「はい、婚約者のサクでーす」
「サ、サ、サ、サクぅ?・・・それじゃ、あんた、まさかア・・・」
潤一郎のリアクションのあまりの大きさに驚く二人。
「あの、私は長沢マサミ、彼は佐久間未来ですけど、何か?」
「あ、ああ・・・そうかい、サクマのサクかい・・・ビックリした。なんだ、よく見たら全然似てねえじゃねえか」
「はあ?」
「ま、まま、こっちの話さ・・・」
「やだな、おじいちゃん。この前、一緒にプリンターを選んでもらったじゃないですか」
「ああ、そうか、あんたゴン隊長の娘さんかい」
「はい」
マサミの父・雅司は元社会人野球の選手で、今は地元の草野球チームの監督を務めていた。現役時代、その勇猛果敢なプレーと、風貌がお笑い番組に出てくるキャラクターに似ていたことから「ゴン」というニックネームで恐れられていたのである。見掛けによらず性格は優しいのだが、春休みの間いっしょに生活するミライにしてみれば身の縮むような毎日であった。
「結局、プリンターはガラリオにしたのかい?」
「ええ、そうなりました」
マサミの家でカラープリンターを買うことになり、ユイの家の店であれこれ迷っていた時のことである。マサミの意見でガラリオに決まりかけたのだが、たまたま親戚の長谷部京子とナオミの母娘が居合わせたことから、話がややこしくなった。
「お母さん、ガラリオのほうが良いに決まってるじゃない・・・」
「ピグザスにするべきだって」
「どうしてよ」
「だってCMに出てくる女優さんが美人だから・・・」
「ええっ、ガラリオの女の子の方がカワイイよ」
部外者の親子ゲンカのとばっちりを受けて困り果てていたマサミは、店内にいた潤一郎に助けを求めた。彼はたまたま遊びに来ていた孫の一樹と買い物をしていたのである。
「おじいちゃんは写真のことは詳しいでしょ?」
「よくわからんが、CMで父親役の俳優が良い味を出しているから、ガラリオの方がいいだろう」
この潤一郎の一言が決め手となって、プリンター論争は終結したのだった。
「あの時はありがとうございました」
「いや、適当なことを言っただけなんで」
「それで十分です・・・あ、今日は写真撮って下さい」
「二人でかい?」
「ええ」
潤一郎は、ある写真をチラリと見ると、しみじみとした口調で言った。
「そうすると、やっぱり結婚写真かい?」
「いいえ」
マサミは笑いながら言った。
「ペア・ヌードで」
「え、ええっ・・・」
ほとんど腰を抜かしているミライに向かってニヤリとしながら続ける。
「と思ったんですけど、さすがに親もビックリすると思うから、普通のスナップ写真にします」
潤一郎もポカンとしていたが、目が覚めたように言った。
「お、おお、そうかい・・・じゃ、衣装はそのままでいいんだね」
「ええ」
明るい色のスカートの裾をフワリと翻してマサミが言う。
「おもいっきり、春っぽく撮って下さいね」
「ああ、まかしときな。よし、じゃ、あんたはその色男の肩に両手を掛けて、寄り掛かるようなポーズをとってごらん。そうそう。右足をちょっと上げて。おお、いい笑顔だね・・・」
今までの眠そうな顔が嘘のように、生き生きと仕事に取り掛かる潤一郎だった。

ウトウトと、まどろみたくなるようなの昼下がり、智世は伝票の整理をしていた。達明は外回り、アキはショッピングセンター内の店の手伝いに出て行き、薬局には智世しかいなかった。
ふと、人の気配を感じると同時に、ある言葉が耳に飛び込んで来た。
「フッ、相変わらず、ちっぽけな店だねえ。客が全然来ないのも、そのまんまだね」
少しムッとしながら智世が顔を上げると、年は幾つくらいであろうか、どことなくみすぼらしい服装で、半分白くなったバサバサした長い髪を揺らしながら、一人の女が立っていた。
「あの・・・なにか・・・」
「あれあれ、高校時代の同級生の顔も忘れちまったのかい?」
女が皮肉な笑みを浮かべる。
「ずいぶん冷たいんだね・・・智世」
(私の名前を知っている・・・でも、誰なの、思い出せない・・・)

(続く)
...2005/11/26(Sat) 18:03 ID:aQQ2WLwo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん

今回のドラマの公式HPでは、P日記の中で「ベーやん」という呼び方は使われていませんね。ネタにされるのを避けるためでしょうか(苦笑)
...2005/11/26(Sat) 18:15 ID:aQQ2WLwo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
今回は同じストーりーの中で3組の人間模様が描かれて楽しかったです。廣瀬夫妻の会話はシンミリしましたが、決して後悔していないようで良かったと思いました。
マサミ・潤一郎・京子母娘の掛け合いは「2つのプリンタ」のCMがあったからこそ生まれた話ですよね。こういうネタを使うのが本当にお上手ですね。しかし、プリンタの性能ではなく、CMに出ている人で決めようとするとは・・・(笑)
智世の前に現われた謎の女は・・・?

私の新作にコメントいただきありがとうございます。たぶんお分かりだと思いますが、「1」「赤」「H」等のテンコ盛りでございます。古河ハルカを漢字で書いたらどうなるか、と考えていたところ、平仮名の「はるか」が思い浮かび、それから両親や兄が思い浮かびました。ただし、彼女の顔は島○直子さんよりも、むしろ大○幸子さんに似ているはずです(^^)
書きかけの「赤」っぽいストーりーは登場人物等に一部手直しを加えて、今回のシリーズの中に組み込む形で再開いたします。
...2005/11/26(Sat) 19:01 ID:KiIbrRV6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その25)

突然現れた怪しい女。智世は胸騒ぎを必死で抑えながら、その女に向かい合った。同級生というからには47、8歳なのだろう。しかし、実際にはそれよりも若く、次の瞬間にはそれよりも老けて見える。
(誰なの・・・わからない)
「あんた、スケとは別れたんだね」
「え・・・」
「いい度胸してるよね。あんたの方から振るなんて」
「べ、別に振ったわけじゃ・・・」
「どうだかね」
「ちょっと」
智世の目に怒りの色が走った。
「どなた様か知りませんけど、失礼じゃありませんか。そんな個人的なこと、あなたには関係ないでしょ?」
「あんた、本当に忘れちまったんだね。親友なんて言ってても、あてにならないもんだね・・・まあ、いいや・・・ああ、そういや谷田部先生、ガンで入院したんだって?」
「ええ、そうよ。でも、幸い手術が成功して助かったわ。今はもう退院して普通の生活をしてるけど」
「そうなんだってね。あんた、お見舞いには行ったんだろ」
「当たり前でしょ?なんでそんなこと聞くのよ・・・」
智世は口許に皮肉な笑いを浮かべた。
「だいたい、本当に私の同級生で谷田部先生の教え子だったら、そっちこそお見舞いには行ったんでしょ?」
その時、女の顔に悲しみの表情が広がるのを見て、智世は愕然とした。しかし次の瞬間、女は気持ちを立て直すようにして言った。
「行けなかったんだよ」
「行けないって、ちょっと会いに行くくらい・・・」
「会えないんだよ・・・」
「なに言ってるの」
女は上目遣いに智世を見てつぶやいた。
「まだ、わかんないのかい・・・」
「え・・・」
智世の胸の内に、ある名前が浮かぶ。しかし、それこそ現実にはありえないことだった。
「まあ、それはともかくとして・・・」
女は少ししんみりとした口調で言った。
「あんた、幸せそうじゃないか。ダンナもちょっとコワモテだけど優しそうだし」
ハッとして女を見る智世の目を、見返すように女は続ける。
「あのアキっていう女の子、なんだかとっても良い子みたいだし・・・」
本能的に、底知れぬ恐怖を感じて智世は哀願する。
「やめて・・・やめてよ・・・アキは、アキのことだけは」
「あんた何を怖がってるんだい?アキがどうしたって?アキがどこか遠くへ・・・」
「やめて・・・お願い・・・お願いします。アキだけは・・・連れて行かないで。たすけてください・・・お願い亜紀、亜紀なんでしょ・・・」
「やっと気付いてくれたんだね、智世。姿かたちが変わっても、智世ならすぐに分かってくれると思ってたんだけど。だって、私たち親友だったんだから」
「亜紀、どうして・・・どうして今頃・・・」
「ねえ、智世。今夜二人だけで同窓会しようよ。そこでいろいろ話そう。話したいことがいっぱいあるのよ」
「話したいことって・・・」
「今夜、高校のグラウンドで。今夜は満月だよ。桜も満開でとっても綺麗だよ」
「そんな・・・」
「じゃ、後で迎えに来るから」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
この世のものとは思えぬ素早さで身を翻して出て行く亜紀を、智世は追いかけようとした。しかし、細い路地に入り込んだのか、その姿は見えなくなっていた。それでも路地のひとつひとつを覗きながら歩いて行くと、一台の車が停まっており、中には若い男女がいた。
「あの・・・」
智世はサングラスを掛けた若い男に尋ねた。
「何か」
男は心もち俯き気味に答えた。
「今、ここを中年の女性が通らなかったでしょうか・・・」
若い男に聞きながら、智世は車内を見た。二十歳くらいであろうか、若い女性が後ろの席に座っている。艶やかな黒い髪と、透き通るような瑞々しい頬が見える。しかし、帽子を目深に被り、グラウンドコートのようなものをすっぽり羽織っているため、それ以上のことは分からなかった。
「中年の女性?さあ、見ませんね」
「そうですか・・・どうもすみません」
若い男は、なおも歩いて行く智世とは反対の方向に、車を発進させた。その場からかなり離れた港の広場に車を停めると、タカユキは言った。
「お疲れ、ミチル。喉が渇いただろ」
ハイ、と言いながらポカリを渡す。
「ありがとう」
ミチルは長いコートを脱ぎ捨て、冷たいポカリを一口飲んだ。
「ああ、おいしい・・・でも、なんだか二人して推理小説の世界に入り込んだみたいだったね」
二人は思わず顔を見合わせて笑った。
「でもさあミチル、なんなの、これ?・・・最初のイメージと全然違うじゃない・・・」
「私、依頼主の女性の担任って古文の先生だったような気がする」
「え、どうして?」
「タカユキ、世阿弥って知ってる?」
「ゼアミ?まあ、名前だけは・・・」
「彼女が送って来たシナリオは世阿弥の作品を意識してるわね。それは夢幻能・・・」
「なに、それ?」
「あのね、能舞台って、ほとんどがオバケの話なのよ。中でも一番多いのが世阿弥が完成させた夢幻能なの。中入りを挟んで前場と後場に分かれてて、主役は前場と後場では違う人物として現れる。前場では老女とか里の女とか、みすぼらしい格好で現れることが多いの」
「それにしたって、さっきの演出には一体どんな意味があるの?あれじゃ単なる意地悪みたいな・・・あのトモヨっていう人はもう恐怖感で一杯になってると思うよ」
「その意地悪でヒネクレたところが世阿弥っぽいんだけど・・・でも、依頼主はきっとトモヨさんの苦しみを取り除くためにやってるんだと思う」
「はあ?・・・全然わからない」
「彼女、メールでよく言ってたわ。親友のトモヨは自分の娘に、私と同じ名前を付けたばかりに苦しんでいる。私と娘さんが重なり合って、私みたいにどこか遠いところに行ってしまうのではないかと恐れている。そして、トモヨさん自身も無意識のうちに、私が娘さんを連れ去ってしまうのではないかと思いこんでいるんだと。そのことで、母子の間がギクシャクするような悪影響が出ている。それをなんとかしてあげたいと・・・」
「つまり、潜在的な恐怖感を表に引き摺りだすために、わざとあんなことをやったわけ?」
「そう。トモヨさん自身が、実は依頼主のことを深く恐れていたことを自覚してもらいたかったのよ。それが、すべての根源だったということをね」
「そうやっておいて、それを一気に解消するわけか」
「そう、ショック療法よね」
「ものすごい荒療治・・・」
タカユキが呆然とする。
「夢幻能の後場では、主役は生前どおりの華麗な姿で登場するのよ。いよいよ今夜、クライマックスを迎えるの」
「ミチル、すごい気合だね」
「ねえタカユキ。世の中の出来事には、すべて理由があるのよ。女優・真島ミチルはこの一場を演じるために、この宮浦に来た。今はそんな気がしてるの」
「そうか・・・でもミチル、能のことなんか・・・」
「うん、高校二年の時の担任が古文の先生でね、その先生がいろいろ教えてくれたの」

(続く)
...2005/11/27(Sun) 20:32 ID:ZaF3A5rU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
顕浩は柄本クンですか?それとも田中クンですか?もっと別の人ですか?(^^)

さて、数日前、何気なくニュースを見ていると「ガラスの仮面」というコミックの話題がありました。
朔五郎はこれを読んでいないので、内容はよく分からないのですが、どうやら女優サンの卵のお話らしいです。
で、その「ガラスの仮面」の中に描かれている「紅天女(くれないてんにょ)」という劇中劇が、新作能として、本当に国立能楽堂で上演されるということです。
「へえ、そんなこともあるんだー」と思わず感動してしまいました。それが、この物語で能舞台を持ち出した理由です(苦笑)
...2005/11/27(Sun) 22:47 ID:ZaF3A5rU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
各作品を一気に拝読させていただきました。

SATOさん
個人的感情が多々入ることになりますが、顕浩には、ぜひ野球をさせてあげて下さい。私が同じ立場なら、同じ行動をしてしまうでしょう・・・・・・。ほのかにもマネージャーをさせて、顕浩にぜひ野球を!
次回も期待しております。

朔五郎さん
マサミといい、ミチルといい・・・。
何と言いますか・・・怖いです(笑)
ここまで来ると、ミライに追い詰められてしおらしくなったマサミを見てみたいですね。
ミチルはタカユキの前で涙を見せる事もあるようですので、ぜひマサミにはミライの前で号泣してみて欲しいものです。次回も楽しみにしております。
...2005/11/27(Sun) 23:02 ID:6najmbUo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん たー坊さん
コメントありがとうございます。
少々、新作の構想・解説をさせていただきます。

ボウズの息子・顕浩はたかさんが考えてくれたキャラなのですが、このまま出番が無いのは勿体ないと思って今回「抜擢」いたしました。事情があって野球が出来ない設定をそのまま使わせていただいております。やっぱり野球はやらせてあげたいですよね。
イメージはやはり柄○佑クンでしょうね。(シンクロやれば、野球も出来ますよ。現にそういう人何人も見てますから・・・)「H2」の柳クンの要素も入ると思いますが。

両親の顕良とエリカは朔五郎さんの別スレのカップルがそのまま親になったとお考えいただければと思います。おそらく人もうらやむようなおしどり夫婦なのではないでしょうか。ところが、法事や法話会の前日はエリカの「特訓」が入り、間違えたりツカエたりしたら何度でもやり直しさせられる・・・という設定も考えております。(以前に顕良が法話会を立派に務めあげる場面を書きましたが、実は「特訓」の成果だったわけです)こうやって夫を「仕事場」へ送り出したあとは決して表に出ない古風な雰囲気も持たせたいですね。イメージとしては顕良に小日○文世さん・エリカに浅○美代子さんがいいかなと勝手に考えております。

相手役・ほのかは、お二人とも推測がついていると思いますが、沢○エリ○さんのイメージです。女子バスケ部のエースとして注目されている美少女で、男子生徒の憧れの的ですが、幼馴染の「顕浩命」で他の男の子には目もくれず・・・といった感じです。はるかが顕浩を野球部に勧誘するのを見てひと悶着あるかも知れません(^^)

古河家のヒストリーについてです。
はるかの父・信人は伊豆出身で、祖父・繁が健在だったころは東京の医大で教鞭をふるっていました。(俊介・はるか兄妹は東京出身です)繁の死去に伴い、信人は単身伊豆に戻り、稲代総合病院の院長になります。(当時、俊介は高校生・はるかは小学生でした)俊介・はるかの卒業後、家族そろって宮浦に住むことになりました。ところが、進路をめぐって信人と俊介に確執が生じます。
俊介には島田直子という高校時代から付き合っている恋人がいましたが、進路問題のゴタゴタで疎遠になってしまいました。ところが突然直子が宮浦に現われ、はるかは驚きます。幼い日のはるかは直子によく遊んでもらっていたからです。はるかが大林亜紀と親しくなったのは、直子と雰囲気が似ていたこともあるかも知れません。


※ユイの進路ですが、宮浦大学教育学部・心理学科に進み、同時に子供たちのソフトボールのコーチを始めます。最初は店を手伝いながらコーチをしようとしますが、母から「人様の子供を預かる仕事を片手間でやってはいけない」とたしなめられ、店の仕事はやらなくなります。その後、ユイが率いるチームが大会にも出るようになり・・・。書きかけのままですが、今後はこんな感じで話が進んでいきます。今後、大学生のユイを出す機会があったらこの設定も使っていただけると幸いです。
...2005/11/28(Mon) 20:43 ID:akcqzk2w    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん

>ユイの進路
はい、承知しました(^^)シンジとユイについてはSATOさんの設定待ちと思っていましたので、助かります。
...2005/11/29(Tue) 03:48 ID:nTxihdgI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
謎の女(ミチルの芝居ですよね)が智世につぶやいた
「親友なんて言ってても、あてにならないもんだね・・・」というセリフ、昨日の「1リットルの涙」で麻生クンがクラスメートや担任に怒りをぶつけたセリフが重なりました。まったくシチュエーションが違うのですが。
智世は娘が心配なあまり、亜紀の記憶にフタをしようとしたところをミチルの芝居でガツン!とやられた感じでしょうか。
...2005/11/30(Wed) 21:33 ID:JnxURxuQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
なんだかホラーものみたいになってしまって申し訳ありません(ペコリ)

たー坊さん
マサミはミライのことを、すっかり操縦しているように見えます。が、本当はミライに甘えているんです。実はミライはすごく器の大きな男なんです・・・
ミチルは怖いです(^^;;;涙を見せても、ひょっとして「ウソ泣き」ではないか、という気もします。そこらへんは、ミチルだけが知っていることで、朔五郎にもわかりません(苦笑)

SATOさん
女の姿と亜紀のイメージは全く違っていた、ということだと思います。
...2005/12/01(Thu) 00:36 ID:9dyuxjxQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん

>なんだかホラーものみたいになってしまって

 いえいえ。「出た〜〜〜!!」と言っても,別に「捕って食おう」という訳でもありませんし。
 それに,最後の最後で,実はメールの主は智世を心配した達明が往時のことをよく知る龍之介に相談し,2人で示し合わせて亜紀の幽霊になりすましていたのだという「どんでん返し」が用意されている可能性だって捨てきれない訳ですから・・・

 それよりも,作中人物が独り歩きして,作者ですらコントロールできなくなるってこともあるんですよね。ベーやんは,どこまでミチルの怖さを知っているんでしょうね。
 本当は,「大丈夫か。オレ」ってセリフは,ミチルの涙を前にしてどう対処すべきか混乱した時にこそ使いたいセリフなのかもしれませんね。もっとも,その述懐をWEBで公開したとたんに,内緒の交際が露見してしまうので,決してベーやんの口から語られることはないのでしょうけれども・・・
...2005/12/01(Thu) 01:08 ID:BnVTc8T6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その26)

窓から差し込む蒼い月の光。まるで人間の心さえ透過してしまうように思える光。
真夜中、眠っていたミライは気配を感じて目を覚ました。隣に擦り寄って来る気配。いつものシャンプーの香りがする。マサミが同じ布団の中に滑り込んで来たのだった。
「どうしたの?」
「うん・・・月の光が綺麗過ぎて、ちょっと怖くなっちゃった」
「確かに。この世のものとは思えないね」
ミライの胸に頬を押し当ててマサミが言う。
「ほんとはね」
「ん?」
「本当は、すごく怖い夢を見て・・・」
「怖い、夢?」
「うん。でも良かった。サクが冷たくなってなくて」
「おいおい、どうしちゃったの」
マサミは無意識のうちに、ミライのパジャマを強く握り締めていた。
「マサミ、あれ、泣いてるの?」
しゃくりあげながら、マサミは必死で話した。
「あのね、私たち、どこか見知らぬ空港で飛行機を待っていたの。とっても楽しかった。でも、でもね・・・ううっ・・・」
「落ち着けよ、マサミ」
「ごめんね・・・時間が来て、私、カウンターに搭乗手続きに行って、帰って来たら・・・帰って来たらサクが倒れてたの」
「ええっ?」
「そして私に言うの。オレがいなくなってもマサミの世界はあり続けるって・・・私、もう何も出来なくて、助けを呼ぶことも出来なくて、嘘つき、サクの嘘つきってつぶやくだけだった」
「嘘つき?」
「だって約束したじゃない。私を独りにしないって。私が眠りにつく最期の瞬間まで手を握っていてくれるって・・・」
マサミの涙を指で拭いながら、ミライは言った。
「泣くなよ」
「だって、怖かったんだもん」
「大丈夫だよ。オレはほら、まだ生きてるよ」
「生きられないよ・・・サクのいない世界になんか、一日だって生きられないよ・・・」
たまらない愛しさを感じて、ミライはマサミを抱きしめた。
「甘えんぼだな、マサミは」
「そうよ・・・甘えんぼじゃだめ?」
「だいたいな、わざとオレを困らせるようなことばかりして・・・」
「サクは大きなひとだから、そうやってこっちを向かせていないと不安なの。誰かに連れて行かれそうで」
マサミが震えている。
「好きなだけ甘えりゃいいよ」
「いいの?」
「いいよ」
「うれしい」
潤んだ目がミライに向けられる。
「だけどサク、どうしてあんな夢を見たのかな」
「あの月の光のせいだよ、きっと」

「じゃ、ママ。また来るよ。今度は若いの連れて来るかも」
「はい、ぜひ。お待ちしてますね」
京子の見送りを受けて、宮浦署の刑事・笹柿は松の木に囲まれた小料理屋を後にした。ほろ酔い気分で宮浦港付近を歩いていると、不審な車両が停まっていた。長年培って来た刑事の嗅覚が、素通りすることを許さなかった。笹柿はその車に近づいて、運転席の窓をコンコンと叩いた。パワーウィンドーが、すっと下がる。
「宮浦署の笹柿だ。こんな夜更けになにやってるのかな」
「いえ、ちょっと話をしていただけです」
運転席の若い男が答えた。
「話って・・・おい、そこの彼女、高校生じゃないのか」
助手席にはセーラー服を着た少女が座っている。
「あれれ、未成年者が夜中に何やってるのかな。親は知ってるのか?まさか少女ナントカじゃないだろうな。この辺じゃ見かけない制服だな。ほれ、生徒手帳出してみろ」
少女は生徒手帳の代わりに、一枚のカードを手渡した。
「なんだ・・・運転免許証じゃないか。氏名、荒瀬はるか。あれ、もう二十歳なんだ。え、じゃ、その服は・・・」
「彼が、彼が、どうしてもって・・・」
笹柿は呆れたように男に言った。
「なんだ、あんたそういう趣味かい。まあ二人とも成人してるんなら、とやかく言うことは出来んがな・・・とにかく、あんまり誤解を受けるような行動はやめてください。それじゃ、お気を付けて」
去って行く笹柿の後ろ姿を見ながら山辺が言った。
「危なかったね」
「ほんと」
「ミチルの本名は、荒瀬はるかって言うんだ」
「そうだよ。でも公開はしてないから、誰にも言っちゃダメだよ」
「わかった・・・それにしてもな、オレがどういう趣味だって?よくもまあ・・・」
「ごめんなさい。とっさに演技しちゃった」
「それが女優の習性ってやつ?」
「うん」
はあ、山辺が溜息をつく。一度逸らした視線をもう一度ミチルに向けた時、表情が変わっているのに気付いた。
(ミ、ミチル・・・)
まるで空気まで入れ替わってしまったかのような緊張感が漂う。蒼い月の光をガラス越しに浴びて、ゆっくりとミチルが山辺の方に顔を向けた。この世のものとは思えないような透き通った瞳を見て、山辺は戦慄すら覚えた。
「さあ、行こう」
(う・・・)
「・・・行くよ、朔ちゃん」

(続く)
...2005/12/01(Thu) 23:14 ID:KMshUONE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 永久封印版:ベーやんの溜め息

 思い返せば,1月のあの日,焼きそばパンを届けに行ったミチルの部屋で見た「謎のメール」が全ての始まりだったのだろうか。「ドラマ男」そのままの展開に浮かれて舞い上がっていたオレが軽率だった。
 恐るべし。ミチル・・・
 あれ以来,脱け出すことのできない深みにはまってしまった。
 大丈夫か。オレ・・・

 その後,タコ焼きを届けに行った時にメールで届いたシナリオも,今から冷静に考えてみると,ホラーっぽい話ではないか。でも,オレにとっては,夏には早すぎる怪談話よりも,「演技するのが役者の天職」とばかりにその役になりきっているミチルの方がもっと怖い時がある。
 でも,いくら「その場のノリ」とはいっても,なんで,相手役を引き受けてしまったんだろう。プロのミチルはともかく,オレの演技が智世さんにバレたらどうしよう・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 結局,断って逃げ出す勇気もないまま,ズルズルと当日を迎えてしまった。セーラー服に着替えたミチルと一緒に約束の場所の近くで待機していたら,職務質問を受けてしまった。
 ミチルの気転で事なきを得たが,まるでオレが変な趣味の持ち主であるかのような誤解を受けてしまったではないか。メディアで働く人間にとって,そういう不祥事は致命傷なんだからな・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 それにしても,一瞬にして役になりきってしまうとは・・・
 恐るべし。ミチル・・・
 「・・・行くよ、朔ちゃん」
 おい。オレをどこまで連れていく気だよ。まさか,地獄までなんて言うんじゃないだろうな。

 助けてください!
 助けてください・・・ 
...2005/12/02(Fri) 22:05 ID:KOmnxUnU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
ミチルは2018年夏頃、二週間ほどオフになりますが、極秘で海外旅行に行くようです。どうやら、べーやんも引き摺って行かれるという情報が入っております。
ちなみに行き先はノルウェイのようです。

北極圏の夏の夜、二人が目にするものとは?そして二人の愛(!?)の結末は?(笑)

さて、ミチルが演じた「濃姫」のイメージですが、こんなのでどうでしょう?リンクはTBS「里見八犬伝」の公式HPですが、その中の「浜路」という役のところをクリックしてみてください。

http://www.tbs.co.jp/satomi8/cast/index-j.html

「戦○○○隊」の時の姿より、こちらのほうが近いと思うのですが・・・
...2005/12/03(Sat) 05:49 ID:jjCjSkPQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(プロローグ1)

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ     
(峠三吉 原爆詩集より)


「やっぱり人生には目標が必要だよね。なんだか亜紀が眩しく見えるよ」

「先輩のことは尊敬してます・・・でも、亜紀のことはあきらめません。絶対に」

「亜紀、やめなよ、あんな連中と付き合うのは」

「詳しく知りたいなら、広島に行ってみるか?」

「健三郎君、亜紀が独りで行くのは何だか心配でな。悪いが一緒に行ってやってくれないかな」

「平和を願い、生命の尊さを訴える絵本を創るのか。でも、そういう根源的なことを考えずにそんなもの創っても、単なる絵空事じゃないのか?それがどれだけの説得力を持つのかな」

「すごいな、50mを7秒5だぞ」

「こんな・・・こんな悲しい晴れ着姿・・・」

「・・・お茶漬けが、食べたい」

「黒、赤、それと金と銀は避けて欲しいんです。黒は原爆、金と銀は閃光、そして赤は血を連想させるから・・・」

「原爆を落としたのはアメリカ人です。でも、被爆した人たちをさらに追い詰め、苦しめたものの中には、日本人も含まれていたんです」

「一瞬にして消滅してしまうのと、40年間も愛し、闘い続けるのは、どちらが辛く、残酷なことなんでしょうか」

「健ちゃん、わからない。もうどうしていいのかわからない・・・」

「誰かが伝えなくちゃ・・・誰かが止めなくちゃ・・・」

くずれぬ平和を
平和をかえせ・・・
...2005/12/04(Sun) 23:26 ID:gsR32xGo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もうひとつのセカチュー第二世代物語

(プロローグその2)

本堂の部屋に顕良が入ってきた。後ろにはアキヒロがついている。二人が古河家の親族らに目礼し、読経が始まった。顕良の読経に合わせて、アキヒロが木魚をたたく。
本堂のふすまの向こうには顕良の妻・エリカがいた。今日も無事に夫を「仕事場」へ送り出すことが出来た・・・エリカは感慨深そうに、ふすまの向こうの本堂に三つ指をつくと、奥へ下がって行った。

読経が佳境に入ったところでアキヒロが参列者に声をかけた。
「それでは皆様、ご焼香をお願いいたします。」
信人、世津子に続き、ハルカが焼香を行う。アキヒロはハルカの顔を見てハッとなった。
『野球部のマネージャー・・・彼女、院長先生のお嬢さんだったのか・・・』
アキヒロは胸騒ぎを覚えたが、さすがは修行中の身である。そんなことはオクビにも出さずに父とともに「仕事」を続けた。

その頃、精進料理「いけうち」では、法要が終わったあとの席の準備に追われていた。
「ホノカ、料理を並べろ!」威勢のいい菊次郎の声が飛ぶ。
「はい!」ホノカは元気よくこたえ、母・ひろ子とともに席に料理を並べていった。
「よし、これで完璧だ。今日は院長先生に食べていただくんだからな、いつにも増して料理する手に力が入ったよ」
「お父さん、いつもは手抜きしてるってこと?それじゃ今まで来たお客様が可愛そうじゃない」
ホノカが悪戯っぽく口答えした。
「ハハハ・・・言ったな、こいつ・・・いつだって手抜きなんかしとらんよ。ただな、今日はお前と同じ学校の生徒さんも来ているそうだ。だから気を使ったんだよ。お前の顔を立てるためにな。」
「ホノカ、お父さんの気持ち、わかるでしょ?ヒロくんだって、お父さんについて一生懸命お務めしてるわよ。だから、あなたもしっかりね。」
「お父さん、ありがとう。でも、同じ学校の生徒さんって、誰かな?楽しみだな・・・」
「ここでは、その生徒さんもお客様なのよ。余計な詮索しちゃダメよ」
「はーい」
「ハハハ・・・」
菊次郎・ひろ子・ホノカは笑い合った。

本堂では法要が終わり、参列者が退席して行った。顕良とアキヒロの「仕事」が終わった・・・
控え室に父と息子が戻ってくるとエリカが三つ指をついて出迎えた。
「お務め、ご苦労さまでした。」
「うん、無事終わったよ。エリカのおかげだ。」
「さ、肩もみましょね。」
顕良がお務めから戻ると必ずエリカが肩をもむ。彼ら夫婦にとって一番ホッとする瞬間である。
「今日はどうなるか、気が気でなかったわ。あなた、ものすごく緊張してたでしょう?昨日の練習の時からお経を間違えたり、法話の言葉も度忘れしたり・・・」
「心配させて悪かった・・・高校生の時に、病気になったクラスメートが入院してね、何度か見舞いに行ったんだ。そこの病院の院長先生だったものだから、つい・・・」
「廣瀬・・・亜紀さん・・・よね」
「すまない、想い出させてしまったようだね。」
「いいえ、そのことを承知であなたとお付き合いを始めて、一緒になったんですよ。気になさらないで。」
「ありがとう、やっぱり君で正解だったよ。」
「今更なに言ってるの。」
そんな父と母の様子を見て、アキヒロはこの両親の子供で良かったと思った。そして思った。父から野球をする許しをもらいたい・・・

「いけうち」で参列者の会席が始まった。ホノカもひろ子や他の従業員と一緒に飲み物・お吸い物の給仕をして回る。席の中にハルカもいたが、ホノカは気付かなかった。そんな余裕が無かったのである。
一通り給仕が終わるとひろ子がホノカに声をかけた。
「ホノカ、疲れたでしょう。休憩していいわよ。」

休憩を取ったホノカが境内に出てくると、本堂に向かって手を合わせる男性がいた。その男性は、ホノカにとって見覚えのある顔だった。
「先生?」
ホノカが声をかけると男性はビックリした様子だった。
「池内・・・池内じゃないか。」
男性は俊介だった。学校ではホノカのクラス担任である。
「そんなビックリなさらないで下さい。あの精進料理屋が私の家なんです。私の着物姿、似合います?」
「ああ・・・学校とは見違えるよ。」
「ありがとうございます。ところで、先生、どうなさったんですか?」
「今日は祖父の七回忌なんだけどね、遅刻しちまってさ・・・カッコ悪いよな。このこと、他の生徒には内緒にしてくれよ。」
「絶対言いません。ここでは先生もお客様ですから。お客様のことは口外してはいけないことになってますので、ご安心下さい。」

そのとき、ハルカの声がした。
「お兄ちゃん!」

(続く)
...2005/12/04(Sun) 23:37 ID:.5yul7no    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん

いよいよ動き出しましたね(^^)
ところで「エリカ」と「ホノカ」は、外見上似ているんでしょうか?
...2005/12/04(Sun) 23:48 ID:gsR32xGo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。

朔五郎様
新シリーズ突入ということですが、最初から重いですね・・・。かつて、聞いたことのある言葉の数々がそれを強調しているようにも思えました。
健三郎と亜紀で行くことになりそうですが、涙を流そうが、何をしようが、しっかりとその人が背負ってきた重みを少しでもいいから絵本に反映できることを祈っております。そして、最後には温泉につかって、切り替えてもらって下さい。

SATO様
この頃になると、ボウズとエリカ、そのままの配役のイメージとは違うのでしょうか?私としては、そのままの配役イメージで、若くして夫婦になった2人というのも面白いかなと思っております。その割には、2人の会話が年取ってるかなという感が否めませんが(苦笑)
次回も楽しみにしております。
...2005/12/05(Mon) 00:02 ID:3NRchgM6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 SATOさん
 久々の顕良上人「ご法話」シーンですね。
 いつも「今日は最後まで話を聞いてくれ」と叫んでいた30年前からは想像もつかない変貌を遂げたボウズ。これも,生涯の伴侶に選んだ「廣瀬よりいい人」のおかげなのでしょうか・・・

 朔五郎さん
 いよいよ,「宮浦の春」編のクライマックスシーンと平行して「広島」編の予告が流れるようになったのですね。

>ミチルは極秘で海外旅行。べーやんも引き摺って行かれる。行き先はノルウェイ。

 まさか・・・
 「白夜」の「ノルウェイの森」で待ち受ける運命やいかに。
 大丈夫か。ベーやん・・・ 
...2005/12/05(Mon) 00:05 ID:sd3Ez7WA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん たー坊さん にわかマニアさん

この時代はボウズは47〜48歳、エリカも同じくらいの年を想定してますので、それなりの大人の姿形になっていると思います。(朔五郎さんの別スレのカップルをヒントにさせていただきましたが、何かあればお知らせ下さいませ)エリカは古風な女性の感じがしますが、愛するボウズのために寺のシキタリを必死で覚えた健気さをもっているということでいかがでしょう?
高校時代のエリカはホノカに似ていたと思いますが、2016年頃は、かつてのアイドルで、最近母親役をやることが多くなった女優さん(例:浅○美代子さん、森○愛子さん、石○真子さんあたり)をイメージしていただければ、と思います。
法話については、前日にエリカが練習相手になって、間違えたりツカエたりしたら、何度でもやり直しするという裏設定を考えています。ボウズは彼女がいるから、立派にお務めを果たすことが出来るのでしょう。これぞ「内助の功」という感じで・・・(^^)

朔五郎さん

宮浦の春編ではベーやんが職務質問を受けてしまいましたね。しかし、ミチルの機転のおかげで刑事からはロ○コンと誤解されてしまうとはお気の毒に・・・
智世は本当に来るのでしょうか。制服姿のミチルをみてどんなリアクションがあるでしょうか。楽しみです。
...2005/12/05(Mon) 00:08 ID:Ox29xMvg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さま
うーん、広島編は今までの中では一番「重く辛い」章になりそうです。お気づきの方もいらっしゃると思いますが、広島に行くキッカケは「サダコ」との出会いということになります。
学校中で一番足が早く、リレーの選手として活躍し、元気いっぱいだった少女・・・奇妙な一致を感じます。
あまり辛くなり過ぎないよう「お遊び」も挿入していきますが、なにしろ題材が「ヒロシマ」ですのでフザケた文章は書けないと緊張しています。
ところで、広島だと温泉はどこがいいでしょうか(笑)
お土産の「もみじ饅頭」は、大林家、大木家、廣瀬家、朔太郎教授のところでいいでしょうか(笑)

にわかマニアさん
小説「ノルウェイの森」が発刊になったのが1987年(!)でした。「世界の〜」に抜かれるまで、ベストセラーの座を守り続けた本ですね。もうひとつ1987年のNHK大河ドラマは「独眼竜政宗」で主演は「あの」渡辺謙さんでした。三浦友和さんも政宗の弟の役で出ていました。

SATOさん
智世は来てくれると思います。
ところで「依頼主」の正体は朔五郎にも分からないのです(苦笑)
皆の意識の中に存在する「あの少女」なのか・・・
智世とアキの和解が故人への供養にもなると考えた顕良が関与しているのか・・・
息子と未来の嫁のために、龍之介と優子がミチルに依頼したのか・・・
ミチルが「催眠術」の本を読んでいたという目撃情報もあります。そこらへんの真相を聞き出そうとしましたが、黙秘されてしまいました(笑)
別スレの「エリカ」についてはご自由にお使いください(^^)
...2005/12/05(Mon) 01:06 ID:i75Gqpho    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
ベーやんとミチルに不審尋問した刑事は誰のことか最初は分からなかったのですが、やっと分かりました。(こういうのをアハ体験というんだそうです。土曜夜8時放送・「世界で一番受けたい授業」より)
ナオミがいた特進クラスで坂本竜馬の話ばかりする先生と顔が似てませんでしょうか?もっと言えば○八先生とか・・・(^^)
...2005/12/05(Mon) 23:32 ID:02goWLTE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
笹柿刑事は確かに金○先生に似ています(^^)
岩、いや石丸Pの日記によれば、金○先生よりずっと恐いということですが(^^;;;
...2005/12/06(Tue) 00:08 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「ウメ子(主演・深田恭子さん)」を観ました。子供が生き生きと街中、森の中を走り回っているちょっと懐かしい感じのするドラマでした。
大林アキさんには是非観てもらいたいドラマでしたね(笑)
実のところ、薬師丸ひろ子さん目当てで観たのですが、幅広い役柄を演じることが出来る魅力的な女優さんですね。明日も「1リットルの涙」で薬師丸さんの演技を堪能したいと思います。
...2005/12/06(Tue) 00:11 ID:RxKDD0xg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その27)

おかしい・・・
アキは智世の様子が気になって仕方がなかった。夕方、アキがショッピングセンターから帰って来ると、智世は店を早じまいし、放心したように座りこんでいた。いかにも疲れているように見えたので、アキが夕飯の支度を引き受けた。
やがて同業者の会合から戻った達明も、智世のほうを見ては首を捻っている。
「うん、味はこれでOK。なかなかの出来だな。ご飯できたよー」
アキの料理が食卓に並んで、夕食が始まった。
「しかしなんだな、アキの料理の腕も上達したな。まあ・・・こうやって三人で食事するのもいつまでかな。アキも健三郎君と家庭を持つだろうしな」
「やだ、お父さん。まだまだ先の話でしょ」
「いや、わからんぞ。学生結婚なんてこともあるしな・・・」
「ないない、そんなこと。会おうと思えば毎日でも会えるんだから」
「おまえ、あれだけは失敗するなよ」
「やだお父さん、娘にセクハラしててどうするのよ」
「いやいや、真面目な話・・・」
二人はそれとなく智世のほうを見る。しかし、智世は話に乗ってこないばかりか、箸で摘んだものを何度も落とし、とうとう「ごめんね、食欲がないから」と言って席を立ってしまった。
アキと達明は顔を見合わせた。
「ねえ、私の作ったおかず、まずかった?」
「いや、そんなことないよ」
「どうしたんだろう。体の具合が悪いのかな」
「それならそうと言うだろう」
「だよねえ」
「何か聞いてないか?」
「ううん。お昼頃、私が出て行くときは元気だったよ」
「昼間、何かあったのかな」
「うーん・・・」
「まさか、俺たちに内緒で借金して、その取立てが来たとか・・・」
「いくらなんでも、それはないでしょ」
「そうだよなあ」
親子は釈然としないまま食事を続けるしかなかった。

夜も遅くなって、自分の部屋に入ろうとしたアキは、洗面所のあかりに気が付いた。
「消しとかなきゃ」
洗面所に近づくと、ぽたっ、ぽたっ、と水滴の音がする。
中を覗くと、そこには智世が立っていた。髪を乱し、洗面台に両手をついてうなだれている。
アキが智世に近づき、その後ろに立った時、気配を感じた智世が顔を上げた。
「・・・!」
鏡の中の自分、その背後に立つアキの姿を見て、智世は大きく目を見開き、ガタガタと震え出した。
「あ、亜紀・・・」
膝から崩れ落ちそうになる智世を、アキは慌てて支える。
「お母さん、どうしたの?何があったの?」
動揺する智世の姿に、アキもまた、強いショックを感じていた。
「ああ、アキ・・・そうだよね、アキだよね・・・」
少しだけ安心したように智世が呟く。
「お母さん、疲れてるみたい。早く寝たほうがいいよ」
「そうはいかないんだよ・・・」
「どうして?」
「人に会わなきゃならないんだよ」
「え、これから?」
「う、うん」
「だって、こんな遅くに・・・誰に会うの?」
「それは、あんたにも言えない」
呼吸を整えるように目を閉じながら、智世は言った。
「このことは、お父さんには言わないで」
「えっ」
「お父さん、心配するから」
「ねえ、お母さん」
「大丈夫だよ・・・命を取られるようなことはないよ、きっと。ずっと前からの友達だから」
智世の目に、少しずつ、少しずつ、強いものが宿り始めた。
「友達だからこそ言っておかなきゃならないこともあるんだ」
そして智世はアキを抱き寄せた。
「あんたは小さい頃、お散歩が好きでねえ。良くあんたの手を引いて港のところまで行ったんだよ」
「うん、覚えてるよ、何となく」
「あんたは不思議な子でね、普段は根気が無いくせに、急にひとつのことに夢中になったりしてね。まだ小さかったあんたは、なんとかあの堤防によじ登ろうとしてね。何度も何度も繰り返して、いつまでたっても止めなかったんだよ」
「へえ・・・」
「まるで、堤防の上で誰かが呼んでいるみたいだった・・・」
「・・・」
「呼んでたんだね、やっぱり」
アキの髪を撫でながら智世は続ける。
「だけど、あんたは私の娘なんだ。アキ、あんたが大好きだよ。今まで言葉がきつかったり、行き過ぎたところがあったりして、あんたのこと、傷つけたかもしれない。でも、表現は下手でも、いつだってあんたのことを愛していたよ。それだけは信じて」
「お母さん・・・」
「許さない・・・あんたを連れ去ることだけは。たとえ誰であっても、たとえ、どんな親友であったとしても・・・今夜こそはっきりしてくるから。アキは私の娘なんだって」
「ねえ、行かないで。怖い・・・なんだか怖いよ」
肩を小刻みに震わせながらも智世は言った。
「大丈夫だよ・・・たぶんね。あんたはついてきちゃ、だめだよ」

その時を待っていた智世は、ふと何かを感じて表の道に出た。
「朔・・・」
少し離れた街灯の下に、学生服を着た、あの頃の朔が立っている。
「迎えに来たんだね」
智世の少し前を、朔は宮浦高校へ向かって歩いて行く。そこかしこにある、満開の桜の木が月の光に浮かび上がり、雲の中を歩いているようだった。
やがて校門を通り、グラウンドへと進むと、ひときわ見事な桜の木の下で立ち止まった。そして、智世の方に振り返り、やがて木の陰に消えて行った。智世の緊張が高まる。
・・・木の陰から静かに歩み出たのは、31年前と同じ姿の亜紀だった。

智世「亜紀・・・」

亜紀、智世の方を向き静かに微笑む。

智世「あ・・・」

背景の校舎が改築される前に戻っている。まるでCG処理を施したように。智世、自分も制服を着て、31年前の姿になっていることに気付く。

亜紀「久しぶりだね、智世」
智世「亜紀・・・」

(続く)
...2005/12/07(Wed) 00:16 ID:IJhv9xqc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん

「ウメ子」観たかったんですけど・・・(涙)
大林アキさんと言えば、紳士服のコナカのCMの設定は「社会に旅立つ大学の先輩を送り出す」ということらしいのですが、なんとこの先輩、美術部員ということらしいです。ということは、女優H.A.さんが演じているこの女の子も美術部員なんでしょうね、きっと。ぜひ、アキさんにも観てもらいたいですね(^^)
...2005/12/07(Wed) 00:26 ID:IJhv9xqc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
今回は、タイムマシンに乗っているような不思議なムードのある話でしたね。(31年前の姿の朔が迎えにきたあたりはちょっと不気味な感じもしましたが・・・)智世は47歳(48歳?)の精神構造のまま女子高生に戻ってしまったのでしょうか???
どこかの忍者が妖術を使っているとしか思えませんが(^^)

「ウメ子」観れなかったんですか・・・それは残念・・・(涙)
このドラマを観たあと、オバサンになって子供たちに絵本を読み聞かせている大林アキ(大木姓になってるでしょうが)の姿が、阿○佐○子さんにカブリました。

「世界の中心で、愛をさけぶ」「いま、会いにゆきます」が2本立てで上映されるようです。劇場で観るのはラストチャンスとの噂も・・・
http://www.h4.dion.ne.jp/~wsdsck/index.htm
...2005/12/08(Thu) 00:04 ID:JCD4uilA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん

せっかくなので、べーやんの出番をなんとか作ってやろうと思ったら、あのような不気味なシーンになってしまいました(苦笑)

31年前にタイムスリップすることは現実にはないことなので、これは智世の心象風景です。一種の催眠状態になっているのですが、

・亜紀が智世の意識の中に入ってきている
・真島ミチルの催眠術
・マ○ミ&ナオ○の妖術(笑)

のどれかによるものです(^^;;;

これから二人は「母」として激突しますので、精神的には47、8歳のままです。
...2005/12/08(Thu) 05:52 ID:.7rFTEWc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>31年前にタイムスリップすることは現実にはないこと・・・

 でも,現代人が四百数十年前にタイムスリップしたら,そこは信長たちのいる世界で,ベーやんの相手役が濃姫を演じていたということもありましたから,これも「何かの縁」ということで・・・
 それにしても,ベーやんは,どこまでミチルに振り回されてしまうのでしょうか。
 大丈夫か。ベーやん。
...2005/12/08(Thu) 06:32 ID:qDqkuY1w    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
長澤まさみさんの新作映画情報です。
あだち充氏の漫画「ラフ」が原作だそうで、「タッチ」に続いてあだち作品への出演ですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051208-00000026-sph-ent

個人的願望ですが、「みゆき」が実写化されて、ふたりの「みゆき」を綾瀬さん(鹿島)と長澤さん(若松)が演じてくれないかなと思っております。


朔五郎さん
今更ながら、「里見八犬伝」のHPを見ました。ミチルが演じた濃姫のイメージがこれだとすると、「介さん、朔さん、こらしめておやり!!」のセリフとともに派手な立ち回りシーンもあったのでしょうか。本能寺の変では薙刀を振り回して応戦したという逸話がありますから、カッコいい立ち回りを期待しています(^^)
...2005/12/08(Thu) 22:55 ID:cSopYvGQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
>べーやんはどこまで・・・
とりあえず、広島に行ってもらいましょう(^^)

SATOさん
はい、濃姫は結構ハードなアクションをこなしていましたよ(^^)
悪代官・安浦に絡まれ、介さん朔さんが救出に駆けつける場面も(笑)
定番の「忍びの者」は、潜水の術を得意とする「海猿」と、くノ一「南風のおりん」が登場しました。
お約束の入浴シーンもありました。ただし「おりん」は高飛び込み用の水着を着用していた模様です(^^;;; (新作映画「ラフ」のイメージで)

>ラフ
あだち充氏の作品ですか。いいですねえ。金子ありささん、もう最高です(嬉)
夏頃公開でしょうか。長澤さんらしい爽やかな作品になるのでしょうね(^^)

もう「バッドエンド」はあんまり・・・(ボソリ)
...2005/12/10(Sat) 17:41 ID:0RS/aYTU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
>みゆき
そういえば鹿島みゆきも「一浪」してしまうのですよね。

「寄り道、まわり道。のんびり行きましょ、長い人生」

そんな感じのセリフがあったような。大林アキと重なりますね(^^)
ただ鹿島みゆきの場合、浪人した理由が「正人にお付き合いした」ということで、しかも後で正人と別れてしまうところが、アキとは違うのですが(^^;;;
...2005/12/11(Sun) 02:39 ID:TLgiFv1g    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語(プロローグ3)

ホノカがふり向いた。ハルカがこちらに向かって走って来る。

「どうして遅れてきたの?せっかくパパと話すチャンスだったのに・・・こんなことじゃ、パパの心証がますます悪くなるだけじゃないの、お兄ちゃんのバカ!」

ホノカはいったい何が起こったのかわからなかった。いきなり出てきて、自分の担任教師に食ってかかるこの娘って・・・?

「ちょっと、あなた、私と同じ学校の生徒さんですよね。古河先生に向かってその口のきき方はなによ!」
「はい?」

ハルカは当惑した。遅刻してきた兄をとがめただけなのに、なぜ怒られなければならないの・・・?

「池内、もういい。妹なんだよ。ハルカ、彼女がいるのが見えなかったのか?他人がいる前でそんな口のきき方してたら、お前の品位が疑われるぞ。」
「だって・・・」
「あの・・・先生の妹さんだったんですね・・・失礼しました・・・古河先生のクラスの池内ホノカです。」
「こちらこそ、お恥ずかしいところをお見せしました。1年A組の古河ハルカです。」
「ということは、私たち、同級生なんですね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「先生、立ち入ったお話のようですし、中に入られては?」
「そうよ、行きましょう、お兄ちゃん。」
「いや、今日のところはこれで帰るよ。親父とのことはみんな知っているだろうから、今、入っていくのはまずいだろう。」
「最初からそのつもりで?」
「ああ、でも、お祖父ちゃんにだけは挨拶したかったんだ。」

そう言って、俊介は境内から出て行った。ハルカが後を追う。

「お兄ちゃん、また遊びに行っていい?」
「放課後に寄り道か?あまりいいとは言えないな。」
「だって、兄妹でいられるのはその時だけなんだもん。学校じゃ『お兄ちゃん』と呼べないじゃない・・・」
「ダメとは言ってないだろ。お袋と一緒にうまい言い訳を考えておけよ。」


(翌日の学校)

放課後になり、ホノカが部活に向かおうとしていた。
廊下にアキヒロが立っている。野球部の部員募集のポスターをじっと眺めていた・・・

『ヒロったらまだ・・・』

ホノカが苦笑いを浮かべたその時である。ハルカがニコニコしながらアキヒロに近づいてきた。

「今日は。野球部でしたら、今でも部員募集中ですよ。」
「いや、入るとかそういうんじゃなくて・・・」
アキヒロの顔を見て、ハルカの顔が輝く。
「前に、お会いしましたよね。」

アキヒロはドキリとした。自分の顔を覚えていてくれたなんて・・・昨日のお務めぶりを見ていてくれたんだ・・・嬉しい気分になった。

「ほら、私たちがお寺で豆まきしたときですよ。」
「あ、そうだったね。(なんだ、昨日のことは覚えてないのか・・・)」

二人のやり取りを見ていたホノカはムッとして、わざと大声を出した。

「ヒロ!早く帰って、修行しなさい。」

アキヒロはスゴスゴと帰っていく。

「池内さん、昨日はどうも。」
「今日は、古河さん。」
「池内さんって、まるで彼のお母さんみたいですね。」
「ヒロとは小さいときからずっと一緒だったから・・・ちょっとハラハラするところもあって、ほっとけないの。」
「へー、うらやましいな。そういう幼馴染がいるのって。」
「古河さんにもいるでしょう?」
「こちらにはいないんです。わたし、ずっと東京にいたんですけど、祖父が亡くなって、父が病院を継ぐことになって家族全員で引っ越して来たんです。」
「そうなんだ。」
「あ、部活の時間ですよね。今度ゆっくりお話しましょうね。」
「ええ。」

ホノカはハルカに対して警戒心を抱いていた。しかし、どこか憎めないものも感じていたのである。

(続く)
...2005/12/13(Tue) 20:34 ID:0xlA4lkw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。

朔五郎さん
達明のセクハラ行為に笑いました。ケンがいたら、赤面するかもしれませんね(笑)
そして、それ以上に芝居のエキスパートには・・・。ある意味犯罪ですね(苦笑)

SATOさん
”女のバトル”ですか!?
今まではそのようなことはケンを巡ってアキとマサミの争いがありましたが・・・今回はそれ以上のことを期待しております(笑)たまにはいいですよね?(笑)
...2005/12/13(Tue) 22:54 ID:.rB5vZnw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
たー坊さん

確かに、ホノカとハルカの知り合い方は「最悪」ですよね。自分の担任の先生に向かってケンカ売るような口のきき方には、「何なのよこいつ」という気持ちになると思います。まして、アキヒロの周りをウロチョロされては、気が気でないでしょう。(担任教師の妹というのもやりにくいでしょうねー。)
でも、今回は、ホノカの一人相撲になりそうです。誰かがホノカにそのことを教えてあげればいいのですが、「適任者」はいませんでしょうか(^^)


ちなみに、以前(もう1年以上前ですが)に投稿したアキとマサミのバトルシーンは石原さとみさんと沢尻エリカさんが共演したドラマからヒントを得ました。二人は仲が悪い役柄で、言い争いする場面では、沢尻さんが石原さんに平手打ちを食らわせたんですよ。「H2」「あいくるしい」で石原さんと沢尻さんを見たときは、あの物凄い剣幕がウソのようでした。演技が上手い女優さんだと改めて思いました。
...2005/12/13(Tue) 23:32 ID:0xlA4lkw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
>ケンがいたら
一度赤面して、次の瞬間に顔面蒼白になるでしょう(笑)
そりゃ、彼女の父親に「失敗するな」と言われりゃねえ、きっと怖いでしょう(^^;;;

SATOさん
ドラマでいえば、第一話の後半あたりでしょうか。設定が大体分かって、いよいよ物語が動き出す、という感じですね(違ってたらごめんなさい ^^;;;
...2005/12/15(Thu) 00:19 ID:rPTfSoLo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
沢尻さんは「天使の卵」という映画に出演するようですね。相手役は「あいくるしい」の時と同じ市原クン。彼が自分のお姉さんに恋をしてしまうという、切ない役のようです。

さてさて、長澤まさみさんが、紅白歌合戦の審査員に決まったようです。まさか、くノ一の衣装ではないと思いますけど(^^;;;
...2005/12/17(Sat) 02:43 ID:0PCWIsSM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>長澤まさみさんが、紅白歌合戦の審査員に決まったようです。まさか、くノ一の衣装ではないと思いますけど(^^;;;

 でも,余興の「大河」ネタは,毎年恒例のパターンですからね・・・
 それと,出場者の中に「皿の割れる喫茶店」の主題歌を歌った人もいるようですから,歌っている最中に何か割らないかと心配です(^^;;;
...2005/12/17(Sat) 17:35 ID:kolKlces    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その28)

ひとひら、またひとひら、花びらが舞い落ちる。
蒼い月の光に亜紀の白い顔と、黒く長い髪が映える。
儚く、透明な風情。しかし、同時に圧倒的な存在感を感じさせる。

亜紀「久しぶりだね、智世」
智世「亜紀・・・」
亜紀「ねえ、そんなに恐い顔をしないで」
智世「だって、そうさせているのは亜紀でしょ」
亜紀「そうかもしれないね」

亜紀の顔に微かに笑みが浮ぶ。

亜紀「私が怖いの?」
智世「怖いよ」
亜紀「どうして?」
智世「わかってるくせに・・・アキを、アキをどこかに連れて行こうとしてるんじゃないの?」
亜紀「そう思うの?」
智世「ええ」
亜紀「だって今までは、介ちゃんの息子さんのせいにしてきたじゃない」
智世「それは・・・」
亜紀「アキちゃんの才能や夢を知っていながら、無理矢理あきらめさせようとした。そうやって自分で溝を作ったんじゃないの?」
智世「だって」
亜紀「それで今度は私のせいにするの?」
智世「違う・・・違うのよ」
亜紀「違う?」
智世「ずっと亜紀が怖かった・・・アキが小さかった頃からずっと」

智世、強い視線を亜紀に向ける。

智世「亜紀、あんたアキが小さい頃から、よくあの子の意識の中に入り込んでいたよね。あの子が必死になって堤防をよじ登ろうとしたのは、亜紀が上から呼んでいたから。私が目を離した隙に、あの子がいつもと違う絵を描くことがあったのも、あんたがあの子の手を動かしていたんだね」
亜紀「そうよ」
智世「どうして」
亜紀「だって友達同士だったら、お互いに赤ちゃんの頭を撫でたり、抱っこしたりすることってあるじゃない。だから、その位はしてもいいと思ったのよ」
智世「勝手なこと言わないでよ。あの子は私の娘なの」
亜紀「わかってるよ。だけど私は自分の子供が産めなかったから・・・」
智世「だからって、していいことと悪いことがあるでしょ」
亜紀「ごめんね、智世。本当にごめん。アキちゃんが可愛かったんだ、私も」

亜紀、俯いていた顔を上げ、智世を見つめる。

亜紀「でも、これでわかったでしょ。悪いのは私なのよ。介ちゃんの息子さんやアキちゃんじゃないの。憎むなら私を憎めばいい。怖れるなら私を怖れればいい。だからアキちゃんの才能やあの男の子を憎むのは止めて。智世が自分の赤ちゃんに私と同じ名前を付けてくれたとき、私、本当に嬉しかった。でも、でもね、その亜紀という名前のために、私の記憶と重なってしまうのだとしたら、そのことで親子の間に溝が出来てしまうのだとしたら、私そんなこと耐えられないよ」
智世「亜紀、あんたやっぱり何も分かってないよ。私はね、あの子の夢も才能も、健ちゃんも、そして亜紀のことだって、一度だって憎んだことはないよ。みんなみんな大好きだよ。だけど・・・だけどね、自分のお腹を痛めた子供のことっていうのはね、話が違うんだよ」

亜紀、哀しげな表情になる。

智世「私だって、あの子が好きな男の子と楽しそうにしているのを邪魔したくはなかった。だけど、健三郎っていう作家と同じ名前の男の子と亜紀・・・どうしても怖くなっちゃうんだよ。あの子に悔いの無い充実した人生を送ってもらいたい。だから資格を取れって言ったりもしたけど。でもあの子が絵本なんかに興味を持ち始めると、どんどん亜紀の方へ行ってしまうみたいで不安になるんだよ。遠くにいるあんたの方へね」
亜紀「智世・・・」
智世「それが、それがね、母親っていうものなんだよ。アキを喪いたくないっていう気持ちと、名前までもらったあんたに申し訳ないっていう気持ちと・・・そんな矛盾で引き裂かれそうになる私の苦しさ、哀しさ・・・きっとだれにも理解できやしないよ」
亜紀「大丈夫だよ、智世。その苦しみは今日で終わるよ」
智世「なに・・・言ってるのよ」
亜紀「ほんとはね、智世。今日はお別れを言いに来たのよ」
智世「え?」
亜紀「私のことはもう忘れてほしいの」
智世「そんな・・・」
亜紀「もう、墓参りに来てくれなくてもいいよ」
智世「だって、だってアキはあんたが大事にしてた絵本を貰ってきて、じっと見てたわよ」
亜紀「それだって私が意識の中に現れなくなれば、すぐに忘れていくよ。不安や恐怖心は全部私に預けて、私の記憶を消し去ればいい。それで智世の苦しみは終わるんだよ。そうして、アキちゃんといつまでも仲良く暮らしてほしい」
智世「亜紀、あんた生きている頃から全然変わってないね・・・冗談じゃない、バカにするのもいい加減にしてよ・・・」

智世、亜紀のことを睨みつける。

(続く)
...2005/12/18(Sun) 21:55 ID:i/DIPMY6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
年末でバタバタしておりまして、久しぶりに掲示板にやって来ました。

朔五郎さん
智世の深層心理を描いているようで、興味深い新作でした。全ての原点はここから始まったのですね。(書き方がミチルに手渡された台本みたいですね。)

ちなみに私のストーリーはそのものズバリ、ドラマで言えば第1話がそろそろ終わるくらいでしょう。
時代背景は2017年3月頃、丁度アキたちが卒業した時期です。俊介・ホノカ・アキヒロ・ハルカを中心にした学園ドラマのイメージで進めていくつもりです。
ホノカの友人としてナオミにも出演依頼をかけたいので、よろしくお願いします。
小料理屋と精進料理屋の娘ということで、昔から付き合いがあり、小さい頃はホノカ・ナオミ・アキヒロの3人で寺の境内でキャッチボールをやっていたということで・・・
続きのネタばれですが、ホノカの頼みでナオミが「スパイ活動」を開始します。
(ホノカとハルカがいがみ合うとアキヒロに野球をやらせにくくなるので、ナオミに入ってもらわないと・・・)

紅白の審査員に長澤まさみさんですか・・・出場歌手の平原綾香さんの曲が「明日」だといいですね。
石原さとみさんが出ていた大河ドラマの後番組に長澤さんが出演、そして、沢尻エリカさん主演ドラマの後番組には石原さんが主演ということで、1月からのテレビも楽しみです。

今夜は「1リットルの涙」の最終回をジックリ味わいたいと思います。ハンカチの用意をしなければ・・・
...2005/12/20(Tue) 19:32 ID:fR/OAiPI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
ナオミの活躍の場ができて、うれしいです(^^)さわやかな物語になりそうなので楽しみにしています。

ミチルの「任務」も間もなく終わります。ミチルは「怖い女」である(^^;;;反面、一円にもならない「依頼」を引き受けるような優しさ(?)も持っています。まあ今回は良く頑張ってくれたので、べーやんと二人で骨休めをさせてあげようと思います。伊豆といえば温泉の本場、二人きりでまったりしてもらいます(べーやんは嬉しくないかもしれませんが・苦笑)
その模様は「特別編・ミチルがゆく」でお届けします(^^)
...2005/12/20(Tue) 23:04 ID:juX.pDTM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん

>べーやんと二人で骨休め・・・(中 略)・・・二人きりでまったりしてもらいます。

 ひょっとしたら,ベーやんにとっては悪夢の時間だったりして・・・
 果たして,伊豆の湯から聞こえてくるのは,「大丈夫か。オレ」というつぶやきか。はたまた「助けてください」という叫びか・・・
 ベーやんの運命やいかに。

 特別編,楽しみにお待ちしております。
 まさか,刃物が胸に刺さったベーやんを置き去りにするミチルなんて展開にはならないですよね。

(12月21日追記)
 SATOさん
>紅白の審査員に長澤まさみさんですか・・・出場歌手の平原綾香さんの曲が「明日」だといいですね。

 今日,出場者の曲目が発表になりましたが,平原さんは,その「明日」に決まったようです。
 チェロ(コントラバスの誤り:龍之介さんからのご指摘により訂正)の優雅な調べが流れ始めたとたんに,審査員席の方から「ガラガラガッシャーン」ってな音がしてこなければいいのですが・・・
...2005/12/20(Tue) 23:40 ID:F6vw4xCw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
なんとレコード大賞の司会は綾瀬はるかさんのようです。
もし、ミスチルがあの曲で大賞になったら、その時の綾瀬さんのアクションは(^^)

「もーらいっ!」
「海にドボン」
「うまれたての、ぼ・・・(ブクブク)」
「グスン(涙)」
...2005/12/21(Wed) 21:55 ID:dGWVb7nI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん にわかマニアさん

長澤まさみさんの前で平原綾香さんが「明日」を歌うのですね(^^)従業員さんのリアクションが楽しみですね。

綾瀬はるかさんと「レコ大」については、昨年の今頃に妄想した内容を別スレに投稿したことがありますので、改めてご紹介させていただきます(^^)

2004年12月31日
日本レコード大賞会場にて

男性司会(マチャアキかな?):今年、人々の心に生きること・人を愛することの大切さを教えてくれたひとつの作品がありました。
女性司会(女優?局アナ?):映画館での上映に続き、7月から9月までテレビ放送された「世界の中心で、愛をさけぶ」。この作品は私たちが忘れていたものを思い出させてくれました。
男性司会:曲の紹介はこの方にお願いいたしましょう!ヒロインを演じた、綾瀬はるかさんです!

はるかちゃん登場。セーラー服にポニーテールで、まさに廣瀬亜紀として登場です。手には「ソラノウタ」を持っています。

はるかちゃん:生きていくあなたへ

(BGM:朔と亜紀)

もしもおまえが 枯葉ってなんの役にたつのってきいたなら、わたしは答えるだろう
病んだ土を肥やすんだと

おまえは聞く 冬はなぜ必要なの?
するとわたしは答えるだろう
新しい葉を生み出すためさ

おまえは聞く 葉っぱはなんであんなに緑なの?
そこでわたしは答える 
なぜって、やつらは命の力にあふれているからだ

おまえはまた聞く 夏が終わらなきゃいけないわけは?

わたしは答える
葉っぱどもがみんな死んで行けるようにさ

おまえは最後に聞く 隣のあの子はどこに行ったの?
するとわたしは答えるだろう
もう見えないよ 
なぜならおまえの中にいるからさ
おまえの脚はあの子の脚だ

がんばれ

(「かたちあるもの」のイントロ)

はるかちゃん:柴咲コウさん「かたちあるもの」

柴咲さんが歌いはじめます。
...2005/12/21(Wed) 23:49 ID:z0C7gnxI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:龍之介
>> チェロの優雅な調べが流れ始めたとたんに

「明日」オブリガートの旋律のことでしたら、実はチェロでなくコントラバスなのです。
NHK交響楽団首席の池松宏さんの演奏です。
私もとても驚きましたので、参考まで。
もし、このことでなかったらごめんなさい。
...2005/12/22(Thu) 21:39 ID:6JDLZc8U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「1リットルの涙」の感動の余韻にひたっておりまして、ストーりー投稿のほうがおろそかになっております(スミマセン・・・)
去年の「世界の中心〜」の放送が終わった時と同じような気持ちですね。
体育館で制服姿の亜也と遥斗がニッコリするラストシーンは、朔と亜紀が手をつないで堤防を歩いていくあのラストシーンと双璧の素晴らしい締めくくりだったと思います(^^)
...2005/12/22(Thu) 22:55 ID:mmiFKTLs    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 龍之介さん
 ご指摘ありがとうございました。早速訂正いたしました。
 それにしても,奏者がN響のトップとは驚きですね。会場がNHKホールですから,本番でも弾いて頂けると嬉しいですね。
 N響は,スウィートナーやサヴァリッシュの頃は通い詰めたものでした。連れ合いとの初デートもスウィートナー指揮・N響の第九でしたが,最近では,シャルル・デュトワやアシュケナージがあまり好みではないため,足が遠のいています。

 朔五郎さん SATOさん
 レコード大賞の司会が綾瀬君で紅白の審査員が長澤君と,年末恒例のイベントにTV版と映画版の亜紀が競演という思いもかけない展開になりましたね。

 さて,朔五郎さんの書き込みに便乗したお遊びで,両亜紀のリアクションをいろいろシュミレーションしてみました。

 (シーン1)
 高橋圭三アナの名調子「さあ。審査結果の発表です。この封筒の中に受賞者の名前が入っています。まだ誰も知りません。この封を切るのは誠に司会者冥利に尽きます・・・」
 と言いながら,紅白のリボンのついたハサミで封を切ろうとすると,横からサッと手が伸びてきて,
 「もーらいっ!」

 (シーン2)
 〜これも同じく高橋圭三アナの名調子に乗せて〜
 「事実は小説よりも奇なりと申しまして・・・」
 画面にタイトルバックが映し出されると,そこは,いつものスタジオのはずが,何故かアジサイの丘。
 「知りたい? 教えてあげようか。私の秘密」

 (シーン3)
 「海にドボン」しようとしたまさにその瞬間。
 犬塚信乃が一瞬にして九郎判官に変身し,「なりませぬ!」と叫ぶ。
 それでも「見るべき程のことは見つ」と,なおも「海にドボン」しようとする新中納言知盛。そこへ「特進クラス」の生徒たちがかけつけてきて・・・
 もちろん,そのうちの1人は忍者のいでたち。

 (あまりのハチャメチャぶりに我ながら呆れています)
...2005/12/22(Thu) 23:37 ID:Fe396cWw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その29)

智世「亜紀、相変わらずカッコ付けてるんだね。30年以上も経ってるのに、まだ優等生のつもり?」
亜紀「そうじゃないよ。私はただ・・・」
智世「はっきり言ってあげる。あんたは間違ってるよ」
亜紀「智世・・・」
智世「自分を飾って、全部背負い込んで。でもそれ、あんまり感じ良くないよ」
亜紀「そうかな」
智世「娘に教わったんだよ・・・自分の気持ちを表現することが、どんなに難しいことか、でもどんなに大切ですばらしいことなのかってね・・・アキはね、この一年間、自分の親に対して、ありのままの自分をぶつけてきたんだ。夢を実現するにはどうしたらいいのか。現実の中で自分自身どう生きていくのか。そして、相手に理解してもらうためにはどういう言葉で伝えればいいのか。そんなことをいつも真剣に考えてた。あの子が大学に合格したこと、もちろんすごく嬉しいよ。だけどね、それ以上に感じたのは、ああ、この子はもう大丈夫だ。将来、社会に出ても、自分の家庭を持っても、きちんとやっていける。人間として女性として立派に生きていけるということだった。失敗したことは無駄じゃなかったんだって」
亜紀「アキちゃんは確かに一度失敗したね。現実から逃れるために飛び出してしまった。それは私も同じ。だけどアキちゃんには回り道することが許された。そのチャンスを逃さなかったね」
智世「ただね、あっという間に成長していくあの子を見て、なんだか別れの日が近づいているような気がして・・・それで」
亜紀「だからいいよ、私のことは忘れても」
智世「あのね、違うって言ってるじゃない。忘れられるくらいなら、とっくに忘れてる。憎めるくらいなら、そうしてるよ」
亜紀「でも、智世が苦しいのなら・・・」
智世「私はもう逃げない。自分の気持ちに嘘はつかない。そんなことしたら娘に笑われちゃう・・・わかったよ・・・ありがとう亜紀。もう十分だよ。その気持ちは痛いほど心に染みたよ。母親として自信が持てなかったことの責任を亜紀に転嫁していたんだね。ひどいことしちゃった。ごめんね、亜紀」

二人の間に、やっと和やかな空気が流れる。

亜紀「ねえ、智世・・・」
智世「なに?」
亜紀「あの・・・もうちょっと智世のそばに寄っていい?」
智世「え?・・・どうしてそんなこと聞くの?」
亜紀「だって、智世が怖がらないかと思って」
智世「バカ・・・なに言ってるのよ」
亜紀「いいの?」
智世「ほら、早くおいでよ・・・いい、こっちから行く」

智世、亜紀の方へ歩み寄る。

智世「ねえ、亜紀。生きてるとね、優しい言葉を掛けてくれる人がいる。なんとなく温かい気持ちにしてくれる人がいる。そういう人たち、すごく大事だと思う」
亜紀「うん」
智世「でも、でもね亜紀」

智世、泣き声になる。

智世「憎まれることも、怖がられることも覚悟の上で私を思ってくれるのは、たぶん亜紀だけだよ」
亜紀「智世・・・」
智世「だから亜紀、忘れろなんて、そんな淋しいことは言わないで」
亜紀「だって・・・」
智世「私の自信不足が全ての原因だったの。でも、もう大丈夫よ。娘が大きくなったのを見て私も思うんだ。今の自分に満足しちゃいけない。あぐらなんかかいてはいられないって。私だってまだまだ変わって行きたいって。だから亜紀も一緒に行こうよ。それに、それにね、亜紀があの子のことを可愛いと思ってくれて、素直にうれしいと、今は思えるよ」
亜紀「いいの?私を身近に感じても」
智世「亜紀、あの子はこれからも、自分の進む道を、迷いながら模索していくと思う。絵本を創ることだって、多くのものに触れて、勉強して、試行錯誤を繰り返すと思うの。だから亜紀、あの子に付いていてやってよ。大きく温かく包んでくれる存在として、絵本の編集者として・・・」
亜紀「本当に?」
智世「うん。自慢の娘なんだから、よろしく頼むね」

亜紀、智世の胸に顔を埋める。

智世「亜紀・・・」
亜紀「ねえ智世、少しの間、こうしていていい?」
智世「もちろん、いいよ・・・でも、ねえ亜紀、泣いてるの?」
亜紀「あのね、智世とアキちゃんの話を聞いてて、羨ましくなっちゃったの。私にもう少し時間があったら・・・回り道する時間があったら・・・私だってきっと変っていたと思う。もう少し両親を喜ばせたり、いろいろ話して分かりあえたり・・・そう思ったら、ちょっと悲しくなって」

智世、微笑んで亜紀をそっと抱きしめる。そして、亜紀の涙を指で拭う。

智世「どうして・・・ねえ、どうして亜紀・・・あんた死んでから30年以上も経つのに、どうしてこんなに温かいの?」

智世、泣き笑いした顔になる。

智世「そうか、そうだよね。当たり前か。亜紀は私たちと、ずっと生き続けてきたんだもんね」
亜紀「そうだよ」

どのくらいの時が経っただろう。東の方の山の稜線が微かに見え始める。
亜紀、静かに顔を上げる。涙は消え、穏やかな微笑を湛えている。

亜紀「ねえ、智世。あの時、谷田部先生の授業でやったね」
智世「春は あけぼの」
亜紀「やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて 紫だちたる雲の 細くたなびきたる」
智世「懐かしいね」
亜紀「うん」
智世「亜紀・・・」
亜紀「私がこの姿で現れるのは、もうこれが最後」
智世「でも亜紀にはいつでも会えるから。亜紀はいつも私の中にいてくれるから」
亜紀「うん」
智世「ねえ、亜紀。いつかまた、ここで一緒に走ろうね」
亜紀「楽しみにしてるよ。でも急がなくていいからね」
智世「わかった」

周りから小鳥が鳴く声が聞こえる。
・・・おかあさーん
遠くから智世を呼ぶ声がする。

亜紀「自慢の娘が迎えに来たね」
智世「うん」
亜紀「さあ・・・もう行くね、智世」
智世「亜紀、さよならは言わないよ。亜紀と私はずっといっしょ。これからもそうだよ」
亜紀「うん。じゃまたね、智世」

亜紀、桜の木の方へゆっくりと歩き出す。

智世「亜紀・・・」

亜紀の姿は見えていても、立ち止まることも振り向くこともない。
まるで時の流れのように。
やがて亜紀は、桜の木陰に消えた。

亜紀が消えると同時に。まばゆい光がグラウンドに射しこんだ。
「お母さん」
智世を見つけたアキは、抱き付いて叫んだ。
「こんなところで何してたのよ、心配するじゃない」
晴れやかに笑いながら智世が言う。
「友達に会ってた。懐かしい、大切な友達・・・楽しかった」
「お母さん・・・」
「アキ、今日はケンちゃんと東京に行くんでしょ。急がなくちゃ・・・朔、ううん松本先生に会ったら、良くお礼を言って来てね」
「うん。終電で帰ってくるから」
「じゃ、それに合わせて駅まで迎えに行ってあげるよ」
「ありがとう」
「ほら見て、アキ」
「きれい・・・」
きらめく朝の風に、咲き誇る満開の桜が揺れている。この情景を一生忘れないだろうと、アキも智世も思った。
まるで絵本の一ページのような、宮浦の春の朝だった。

(続く)
...2005/12/23(Fri) 19:14 ID:SogL8S42    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
智世の母親としての葛藤がうまく表現できている「シナリオ」でした。やはり、親は親としての悩みがあるのですね。いずれ私が親になったときもこんな時期が来るのでしょうね。
(現実に戻った途端にシナリオ風の書き方でなくなったんですね)

ポカリの新CMがオンエアされ始めましたが、相手役が復活しましたね。いたずらっぽく階段を駆け上がっていくはるかさんは廣瀬亜紀のイメージがダブりました。教室の席も同じ位置では?
http://www.otsuka-adview.ne.jp/
...2005/12/24(Sat) 10:52 ID:5HdQDRR6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
亜紀が出ている場面はミチルが演じている「劇中劇」であるということから、このように表現しました。

23日には「世界の〜」の映画を劇場で観てきましたが、やはり「亜紀」は窓際の席が定番のようです(^^)
それにしても「相手役の彼」は広島県生まれということで、実は同郷なのですね。このスレの「広島編」では「仇役」になってもらうのですが(苦笑)
...2005/12/24(Sat) 22:59 ID:VyCvc/.E    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
特別編 〜ミチルがゆく

2018年4月1日。
「はい、カット・・・OKです」

パチパチパチ・・・

最後のシーン撮りが終わり「濃姫がゆく・二時間スペシャル」も無事オールアップになった。
「お疲れ様でーす」
スタッフから花束を渡され、ミチルはニッコリ笑っていた。マネージャーの中谷がゆっくりと近づき、いたわるように話しかける。
「お疲れさん、ミチル。とりあえず、今日明日は何も入ってないから、オフでいいよ。せっかく伊豆に来たんだから、一晩温泉にでも浸かって行ったら?」
「はい、そうさせてもらいます」
「でもミチル、一人で大丈夫?」
「じゃ、DBSのスタッフの人に付き合ってもらおうかな」
「スタッフって・・・音声の女の子?」
「ううん、あの一番下っ端で十分よ」
「え・・・ミチル、さすがに二人で泊まりはまずいよ」
「平気平気。あいつに、私に手を出す勇気なんてあるわけないじゃない。そんな度胸があったら、とっくにアシスタントプロデューサーあたりに出世してるよ」
「それもそうだね・・・ま、あいつならヒマそうだし、岩丸さんもOKするでしょ」

ロケ隊と別れた山辺とミチルは、高級そうな温泉旅館に入って行った。
「それではこちらにご記入をお願いします」
「はい」
ミチルが宿泊カードに必要事項を書き込んでいる。
「ありがとうございます。ヤマベタカユキ様とミチル様ですね。それではお部屋までご案内いたします」
二人を部屋まで案内した仲居はテキパキと部屋の説明をする。
「・・・お食事はここにご用意させて頂きます。あ、お布団はもう次の間に敷いてございますので」
二つ並んだ布団を見て、山辺の緊張が高まる。
「それから、お風呂はこちらになります」
ガラリと戸を開けると、海を望むベランダに、この部屋専用の露天風呂があるのが見えた。
「でも、奥様もお幸せですわね。旦那様もお若いのに、奥様のことを大事にされて。なかなかできることではありませんわよ」
「はい。私、夫のことを心から尊敬しておりますので」
「まあ、今時珍しい、清楚で奥ゆかしい奥様でいらっしゃいますこと・・・あら、ごめんなさい。お邪魔でしたわね。それではごゆっくり」
仲居が出て行くと、ミチルは正座していた足を思い切り投げ出した。
「せ、清楚で奥ゆかしい?」
「あら、私にピッタリじゃない」
「そ、そうかな・・・」
「ま、細かいことは気にしない、気にしない」
「あ、あの・・・部屋が別だって言うから・・・」
「あ、そうだタカユキ。ここに来る途中にプリクラがあったじゃない。あんまり人がいないうちに記念に撮ってこようよ」
「う、うん」
何となく誤魔化されたような気分で山辺は立ち上がった。

「はい、ポーズ」
出来上がったプリントは、二人の顔が超アップになっていた。
「うわ、すごいアップだね」
「ほんと。でもモノクロのプリクラって珍しくない?」
「うーん、なんかドラマの宣伝ポスターみたいだ」

二人は部屋に帰って、まったりとした雰囲気に浸っていた。
「あれタカユキ、髪が伸びてきたね。切ってあげるよ」
「そ、そう?」
後ろの方を少し切り詰めてミチルは言った。
「ほら、できた」
「ど、ども」
「似合うじゃん」
その後、ミチルは手にした鋏をさりげなく山辺に見せた。
「ほら、いい鋏でしょ?」
「うん」
「これ、タカユキが持ってて」
「え・・・」
ミチルはふと、遠くを見る目をした。
「タカユキなら・・・タカユキなら誰にも気付かれずに岩丸に近づくことができるよね」
「どうしてそんなこと・・・」
「ううん、なんでもないの・・・気にしないで」
ミチルは謎めいた微笑を浮かべた。

「さあ、温泉に入ろうか」
「じゃ、オレは大浴場に行って来るから」
「タカユキ、ちょっとここに座って」
「は、はい」
「よく聞くのよ。あのね、タカユキはこれから俳優として生きて行くんでしょ。このくらいでビビっててどうするの?」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って。オレは制作志望なんだけど」
「ほら、いいからいいから」
「あ、たすけて・・・」
数分後、山辺は結局、ミチルと同じ浴槽の中にいた。
「ねえ、どうしてそんなに離れてるのよ。私が怖いの?」
「そ、そういうわけじゃ」
生まれたての、ぼ・・・聞こえていたミチルの歌声が消えた。
「あれ・・・」
姿まで消えたと思うと、突然、山辺のすぐ横にミチルが浮かび上がった。
「プハァ・・・」
「うわあ」
「ちょっと、そんなに顔を引き攣らせないでよ」
「だ、だって」
「ねえ、ちょっと演技実習をしてみようよ」
「え、演技?」
「そうよ、ちょっと待ってね」
ミチルは一旦部屋に戻るとデジカメを取り出し、浴室の隅に置いた。そして、タイマーをセットする
「まず、タカユキは私の左斜め後ろに立つ。そう。そしてお互いの左手と左手をしっかりと握る、指まで絡ませてね。そして、私は肩のちょっと下までお湯に浸かる。タカユキは胸くらいまでよ」
「こ、こんな感じ?」
「そうね・・・私は思い詰めた顔をする。タカユキは陶酔した表情・・・いいわ、感じ出てるわよ・・・そのまま」
カシャリ、とシャッターが切れた。
「ほら、見て」
夕陽で湯面がキラキラ光っている背景の中に、ドップリと深みに嵌っている男女の姿が見事に表現されていた。
「すごい迫力だね。文庫本の帯の写真とかに使えそうな・・・」
「タカユキ、新人さんにしてはスジがいいわよ・・・この表情、なかなかリアルだわ」
「そ、そう?」
「ねえ、タカユキ」
「なに?」
「私たちのこれからの人生を一枚の絵にすると、こんな感じになるんじゃない?」
「ええっ、どうして」
「タカユキは言ったよね。昨夜、亜紀という女性を演じることは、結局は智世というひとを騙すことになるんじゃないかって」
「う、うん」
「つまり、こう言いたいわけよね。《演じることが罪だった》と」
「い、いや、そこまでは・・・」
「あれが罪だというなら、タカユキも立派な共犯者よ」
「そ、そんな」
「罰を受けるのは当然ね」
「ば、ば、ば、ば、罰って?」
「私たちが決して離れられないことよ。私たちは一生演じ続け、罪を重ねていくのよ」
「《逃げ得ぬことが罰だった》っていうこと?」
「そのとおり・・・そうだ安心して。私、忌まわしい過去とかは特に背負ってないから」
「な、何も聞いてないのに・・・」

豪華な食事も終わり、夜は更けていった。
「ねえミチル。ここ結構高いんじゃない?」
「ええ、それなりに。でも今日は付き合ってもらったんだから、私が出すよ。タカユキが出世したら、もっともっといいところに連れてってもらうから」
「やっぱり・・・これからずっと一緒?」
「当たり前じゃない」
「そうか・・・」
ミチルは両手を大きく広げ、タカユキを抱きしめる。
「あたたかい?」
「うん」
「優しい音が聞こえる?」
「うん」
ミチルの腕の中、こんな世界の中で生き続けるのも、それはそれで幸せかも。そう思いながら、タカユキは眠りに落ちていった。

(終わり)
...2005/12/25(Sun) 23:08 ID:lWeXj/C2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん
 ついに,ベーやん「運命の日」がやってきてしまったのですね。「4月1日だからすべて「ウソ」でした」といって勘弁してもらえそうな雰囲気でもないし,このまま「広島」,「ノルウェイ」と「運命の旅路」が待受けているとは・・・
 ああ,大丈夫か。ベーやん。
...2005/12/25(Sun) 23:21 ID:1Q7HIQV.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
親友と娘、それぞれの強い絆をあらためて確認できた心地よい物語でした。その裏では、いちADが多大な犠牲を被っていたのですが・・・・・・(笑)
せっかくの温泉なのに・・・と同情せずにはいられません(笑)
そのかわり、ミチルが内助の功を発揮できることを期待しております。
...2005/12/26(Mon) 17:07 ID:K/7EVxbs    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語

「三人の夢」

その日の夕方、部活を終えたホノカが家路に向かっていた。何か考え事をしていると思ったら・・・・

トン!

「ビックリしたー」
「ビックリしたのはこっちだよ。ホノカったら全然あたしに気付かずにブツカッてくるんだもん。」

ホノカとブツカッたのは長谷部直美(ナオミ)。ホノカの幼馴染であり、現在のクラスメートである。精進料理「いけうち」と小料理屋「きょうこ」は古くから交流があり、本来は精進料理に使う菊次郎特製の食材の一部を「きょうこ」でも使うようになっている。これが縁で、ホノカとナオミ、そしてアキヒロは小さい頃から一緒に遊ぶようになり、寺の境内で3人がキャッチボールをしている姿がよく見受けられた。

「ゴメン、ちょっと考え事してたから・・・。ナオミも今帰るところ?」
「そう、今日から春期講習会が始まったんだ。」
「ナオミも大変だね。春休み全部潰れちゃうんじゃないの?」
「そうだけど・・・一緒に頑張る人がいるから・・・」
ナオミは頬を赤らめた。

「そういうことか、まあ頑張れや。」
ホノカはナオミの肩をポンとたたいた。

「それより、ホノカ、何かあった?考え込んでいるようだったけど。」
「たいしたことじゃないと思うんだけどね・・・明日学校で話すよ。」
「そう、じゃあね。」

(翌日の学校)

休み時間のことである。
「長谷部さん、このcanの用法がわからないんだけど・・・」
そういってナオミのところにやって来たのはアツシだった。
「野田君、そんなの竜桜高校に行ってる双子の弟さんに聞けばいいじゃない。あたしなんかよりずっと出来がいいと思うけど。」
「あいつ東大目指してるから、勉強の邪魔しちゃ悪いかなと思って・・・」
「でも、野田君は甲子園目指してるんでしょ?兄弟そろって目指すものがあるって素晴らしいことだと思うけどな。野田君は野田君で良いもの持ってるんだから、胸はって弟さんに聞いてごらんよ。」
「そういうものかな・・・」

ふと気が付くとナオミの姿が消えていた。ビックリするアツシ。
「まるで忍者だ・・・」

「どうした。狐につままれたような顔して」
アツシに声をかけたのはヒロだった。後ろにはハルカがついている。
「いや、英語でわからないところ聞こうとしたらさ、その子が突然消えちゃったんだ。」
ヒロとハルカはあり得ないという顔でアツシを見つめた。

アツシを巻いたナオミはその頃、屋上にいた。ホノカと何やら話し込んでいる。
「別にこんなところ呼び出さなくても、教室でもいいのに。」
「あまり聞かれたくない話だから。」
「うん・・・」
「実はさ、ヒロ(顕浩)に親しげに話しかけてくる女の子がいるのよ・・・もう心配で・・・」
ホノカは昨日のいきさつを話した。
「アッハハハ・・・そんなこと心配してたの?」
「笑い事じゃないよ。」
「ヒロに声かけてきた古河ハルカさんって子、野球部のマネージャーやってるのよ。今の野球部には本格的にセカンドを守れる選手がいないから、中学時代に天才セカンドといわれたヒロに目をつけて声をかけてきたんじゃないの?」
「それならいいんだけど・・・でも、ナオミはよく知ってるね。」
「野田君から聞いたの。彼女、久仁見君にくっついてよく野田君のところに来てるよ。そんなに心配なら調べてあげようか?誰か好きな人がいるのかどうか。」
「お願い。」
「ホノカはアンテナ低いからね。いっつもあたしがスパイみたいなことやらされて・・・」
「わかったわかった・・・今日の帰りにたこ焼きおごるよ。部活と講習会がおわったら現地待ち合わせということで。」
「了解。でも、ヒロに目をつけるってことは、野球部は本気だね。やっぱりヒロには野球やらせてあげたいな。あたし達3人の代表として甲子園に行ってほしいよ。」
「小さい頃は3人でキャッチボールやったり三角ベースで野球やったもんね。女の子は甲子園に行けないことがわかって、あたしもナオミも野球から遠ざかったけど。」
「おじさん、やっぱり承知してくれないのかな。」
「おじさんは、修行始めたのが遅くてきつかったみたいよ。それで、ヒロには早めに修行させてるみたい。」
「夢は夢で終わっちゃうのかな・・・」

(続く)
...2005/12/26(Mon) 22:58 ID:oHsWeVyw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
今日、帰りに寄った書店の一角に、「あの」文庫本が置いてありました。表紙は白黒の二人の写真のものと黄色いものの2種類がありました。帯の写真はやっぱりこんな感じで撮ったんでしょうか(^^)

ナオミの学園生活はこんな感じでいかがでしょう?ちなみに、ホノカとナオミには顕浩のことを「ヒロ」、久仁見ヒロのことを「久仁見君」と呼ばせることにしました。

今回はM.Nさんの顔をしたキャラとしてナオミが登場しましたが、H.Aさんの顔をしたキャラも出てきます。
...2005/12/26(Mon) 23:21 ID:oHsWeVyw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
三人でキャッチボール、というのは「タッチ」を思い出しました(^^)あちらは双子の兄弟と女の子でしたが。
来年の大河ドラマのガイドブックでは、M.Nさんは特に忍者の姿をしているわけではないようです(^^;;;しかし「若さと生命力で山内一豊を翻弄する」役だそうなので、ナオミよりはむしろマサミに近いイメージでしょうか(笑)
それから、東大の出願者が例年の2割増しだそうで、その原因の一つが「ドラゴン桜」ではないかと囁かれているようです。
受験勉強なんてつまらないものですけど、目標を達成するための手段だと考えれば、そんなにネガティブなものだとは思わないので、前向きな人が増えたのはそれなりに良いことなのでは、と思います。

あと、朔五郎の創作について「二十歳そこそこの二人が高級旅館に泊まるのは不自然では」と思われるかもしれません。実際そのとおりなのですが「その部屋専用の露天風呂」という設定がどうしても欲しかったので、あのようなことになりました。ポリプロからボーナスが出たので今回は特別ということで・・・
...2005/12/27(Tue) 00:28 ID:G7innxo.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『え!宿題?』

「やば!遅刻だ」
話し込んでいる間に次の授業が始まっていた。あわてて教室へ駆け込んできたホノカとナオミだったが・・・・
「こら、池内!長谷部!」
待ち構えていたかのように、俊介のカミナリが落ちる。
「お前達二人のために授業の進行を遅らせるわけにはいかない。このままどんどん進むぞ。早速だが、長谷部、125ページの3行目から訳してみろ。」
「はい」
ナオミはすらすらと訳していく。完璧だ。間違えたりシドロモドロだったら怒るつもりだった俊介もただうなずくしかなかった。
「素晴らしい。パーフェクトだ。」
してやったりの表情のナオミ。斜め後ろの席のホノカと目が合うとニッコリ笑い合った。ところが・・・
「それじゃ、池内」
「はい、続きですか?」
「そうじゃない。今の訳が何故正しいのか、文法的に解説してくれ。」
「え!?」
予想外の質問にシドロモドロになってしまうホノカ。ナオミが助け舟を出そうとしたが・・・
「遅刻してくるから答えられないんだ。お前達が入ってくる前に説明したところだぞ。」
「すみません・・・」
「罰としてお前達二人に宿題を出す。ドリルの30ページと31ページの問題を解いて明日僕に提出しろ。」
「二人ってあたしもですか?」
「長谷部も遅刻したんだから同罪だ。いいか、みんなもよく聞け。遅刻してきたり、授業中に私語を交わしたりする奴には容赦なく宿題を出すからな。そのつもりでいろ。」

そして、授業が終わって昼休み・・・・

弁当をつつきながら、ホノカとナオミが話し込んでいた。
「ねえナオミ、古河先生から出された宿題どうする?」
「どうするって、やるしかないでしょ。たこ焼きは明日に延期でいいよ。」
そこへアキヒロがやって来た。
「ホノカ、ナオミ、今夜うちで晩飯食べないか?お袋が同窓会でいなくてさ、親父がたまには友達呼んできたらどうだって言うんだよ。」
ホノカとナオミは顔を見合わせて・・・
「OK!お言葉に甘えさせていただきます。」
「行ったついでに、ヒロも一緒に宿題やろうよ。」
「何でだよ。お前達が出された宿題だろ?俺には関係ねえよ。」
「だって、ヒロのこと色々話してて遅刻しちゃったんだもん・・・」
「お前らが勝手に話してただけだろう」
「いいからいいから、じゃ、ホノカ、早速調べてくるよ」

「メグ」
そう言ってナオミが声をかけたのは中学時代からの友人・佐藤恵(メグミ)である。ナオミと同じようにメグミもアンテナが高く、二人合わせれば、校内の情報や噂話はほぼ100パーセントカバーできると言われている。
「最近話す機会なかったけど、元気だった?」
「うん、舞台の主役が決まって、毎週東京まで稽古に行くから超忙しいよ。」
「メグにとってはチャンスだもんね。」
「ありがとう。ナオミは、やっぱ東大受けるの?」
「まだ先の話だけど、講習会行ってるとその気にさせられる。」
「大変だけど、頑張って。ところで、何か新しいネタでもあるの?」
「実はあたしの方が知りたいんだ。メグはつい最近まで野球部のマネージャーやってたでしょう?それでね・・・・」


(放課後)

今日は野球部の練習がオフのため、古河ハルカはいつもより早い下校だった。校門から出てくると、すらりとしたショートヘアの女性が立っている。ハルカにとっては見覚えのある女性だった。

(続く)
...2005/12/27(Tue) 23:16 ID:JA/ZHw7E    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
メグ&ナオミ、ナイスな組み合わせですね(^^)
最後に出てきたのはもしかして・・・(^^)
...2005/12/28(Wed) 22:10 ID:1JcnjBQk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
「優しい時間ファンサイト」のBBSには「スペシャル版」のウワサ?が書き込まれていますね。
本当なら楽しみです(嬉)
ナオミは伊豆と富良野の往復で忙しくなってしまいそうですが・・・姉貴分のマサミの方を派遣しましょうか(^^)
それにしても、撮影が延期となった妻扶木聡さんと共演の映画、もうボツになってしまったのでしょうか(悲)

来年2月頃には、綾瀬さんの単館系のショートムービーも公開されるとのこと。楽しみです。
...2005/12/29(Thu) 12:33 ID:nTxihdgI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
宮浦の春(その30)

東京行き特急「西伊豆2号」は軽快に走り続けていた。沿線のいたるところに桜が咲いて、ケンとアキの小さな旅行を祝福しているかのようだった。故郷から逃げ出したあの時とは、なんという違いだろう。二人は晴れやかな気分に包まれていた。
春の陽ざしに、ついウトウトしたケンが目覚めたとき、アキは本を読んでいた。
「・・・ごめん、寝ちゃった」
「気持ち良さそうに寝てたから、起こさなかったよ」
「あれ、本を読んでるの?」
「安心して。ドストエフスキーの《罪と罰》とかじゃないから」
「そ、そんなこと聞いてないのに・・・」
「西野圭子の小説よ」
「え・・・それって、もしかしてあの怖い話?」
「ううん、あれじゃないよ。ほら」
アキが見せた本の表紙には「変身」という題名が書かれていた。
「ヘンシン?」
「うん」
「どんな話なの?」
「あのね、主人公の女の子は、画家を目指してたんだけど、特に勉強やスポーツが得意というわけでもない普通の女の子だったの」
それを聞いたケンの胸中に、イヤな予感が走った。
「その女の子が交通事故に遭ってしまうの。医師たちの必死な治療で奇跡的に命は救われる。そして不思議なことに、その時から勉強がどんどん出来るようになって、性格も明るく積極的になっていくの」
「よ、良かったじゃないか」
「でもね・・・」
「でも?」
「その女の子、すっかり別人のようになってしまって、絵は描かなくなるし、付き合っていた男の子を愛する気持ちも消えてしまうの」
「な、なんだか他人事とは思えないな」
「男の子は変っていく彼女の姿に不安を覚え、必死で引きとめようとするんだけど・・・」
「分かるよ、その気持ち」
「実はね、医師たちは女の子の生命を救うために、ある特殊な手術をしていたの・・・ねえ、どんな手術だと思う?」
「知らないよ、そんなこと」
「それで、とうとう悲劇的な結末が・・・フフッ、知りたい?」
「い、いいよ」
「なによ、小説のことでそんな引き攣った顔をすることないじゃない」
「シャレにならないよ、まったく」
憮然とした顔で呟いた後、ケンはさりげなくアキに尋ねた。
「アキは交通事故に遭ったことなんかないよね?」
「ないよ。どうして?」
「ううん、別に・・・」
「見て、富士山がきれい」
「ほんとだ」
「私たちの未来は明るいね、きっと」
「そうだね」
この時二人は、後に、人間が生きていくこと自体が罪なのではないか、と思えるほどの体験をすることになるとは夢にも思わなかった。

内科教授・松本朔太郎は自室で論文のチェックをしていた。医局の医師たちの成果をまとめた論文だった。
(良くやったな、みんな)
この一歩は小さな一歩だ。しかし、医学の進歩には欠かすことのできない一歩だった。
デスクの上の電話が鳴った。
「はい。あ、入ってもらって」
ドアが開く。訪ねてきたのはケンとアキだった。
「よく来たね、さあ、そこに座って」
「こんにちは、先生、お久しぶりです」
「うん。合格おめでとう、アキちゃん」
「ありがとうございます」
「健三郎君も、アキちゃんのことを良く支えたな。さすがスケちゃんの息子だな」
「あの時はお世話になりました」
「そうだな。でもアキちゃん、生きていて良かったと思うだろ?」
「はい」
朔太郎はほっと息を吐き、言葉を続けた。
「似ているな、君たちは・・・僕たち・・・僕と亜紀に」
「母もそう言ってました」
「そうか。だが君たちは、僕と亜紀とは違う。君たちは僕と亜紀が一番欲しかったものを持っている」
「一番欲しかったもの・・・」
「そう。僕たちが一番欲しかったもの、それは《明日》だった」
「先生・・・」
「君たちは、そのかけがえのない明日を捨ててしまうところだったんだぞ」
「はい・・・」
「だけど、その後は良くやったな。自分の失敗を認めるということは勇気のいることだ。それは自分自身の現実と向き合うということだからね」
「ありがとうございます。でも、それは私が独りじゃなかったから、ケンが傍にいてくれたから出来たことだと思います」
「そ・・・」
朔太郎は一瞬言葉を詰まらせた。
「そのとおりだ・・・しあわせだな、君たちは」
「先生・・・」
「そうだ、これからちょくちょく顔を出せばいい。事前に連絡してくれれば、薬剤部に頼んで見学させてあげることだってできるよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
和やかな会話の後、二人は去って行った。
一人になった朔太郎は窓際に歩み寄り、空を見上げた。
(ごめん、明希)
そして遠く過ぎ去った日を振り返りながら、彼女の名を呼んだ。
「亜紀・・・」

街の灯りが輝きを増す頃、二人は渋谷の通りを歩いていた。
「ああ、楽しかった。付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
「だけど、美術館を三つもハシゴしちゃったから」
「ははは・・・」
二人は立ち止まった。
「・・・来たね、ここに」
「ああ」
あの夜、アキが倒れた場所だった。二人の時間が止まった場所だった。今も行きかう人の波は変わらない。

「もし、今ここに、あの時の弱かった私が倒れていたら・・・今なら助けてあげられる」

※生まれたての僕らの前にはただ
 果てしない未来があって
 それを信じてれば 何も恐れずにいられた

「抱き起こして言ってあげられる。あなたには素晴らしい未来が待っている。だから泣いていないで一緒に歩いて行こうって」

※自分を信じたなら ほら未来が動き出す

アキはショウウィンドーに映る自分自身に微笑んだ。

※ヒッチハイクをしてる 僕を迎えに行こう

「行こう、アキ。終電に乗らなくちゃ。明日は入学式だろ?」
「うん」
未来に向かって走り出そうとしたアキは、もう一度振り返った。
そして、ガラスに映る人影に語りかける・・・

「見てて下さいね、私のこと。亜紀さん・・・廣瀬亜紀さん」

(宮浦の春・完)


※Mr.Children 「未来」より
...2005/12/30(Fri) 03:43 ID:vd68W3e6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『赤い記憶』

ハルカは校門のところに立っている女性に声をかけた。
「直子さん?直子さんですよね。」
「はるかちゃん?」
「はい!お久しぶりです・・・」
ハルカは直子に抱きついた。
「大きくなったね。でも小学生の頃と全然変わってない・・・そうやって甘えてくるところが。」
「だって・・・懐かしいんですもの。」

突然ハルカの前に現われた女性は島田直子(シマダナオコ)。ハルカの兄・俊介とは高校時代から付き合っている恋人だった。しかし、俊介の進路問題のゴタゴタがあって二人の間は疎遠になり、「自然消滅」したかのように思われていた。

「直子さん、兄・・・」
「はるかちゃん、あなたがどんな街に住んでるか見たくなって、寄ってみたの。案内してくれないかな?」
「はい、喜んで。行きましょっ」

ハルカが直子と会うのは7年ぶりのことであった。直子がハルカの家に来たときは遊び相手になってくれた。兄とはいったいどうなっているのだろう・・・気になるハルカだったが、今は直子に久しぶりに会えた嬉しさの方が大きかった。

ハルカは直子を案内して回った。なまこ壁通り、橋、神社、古い邸宅・・・そして写真館では記念に写真を撮った。

「直子さん、海を観ましょうよ。」
二人は海岸にやって来た。すると、いつの間にか追いかけっこが始まった。
「直子さーん、待ってー」
「はるかちゃーん、こっちだよー」

追いかけっこに疲れた二人は海岸に腰を下ろしてトウモロコシをかじり始めた。
「久しぶりに直子さんと会えて、とても楽しかったです。」
「わたしもだよ」
「聞いてもいいですか。本当は、兄に会いに来たんですよね・・・」
「うん・・・でも、俊介さんにどんな顔して会えばいいのか、ずっと考えてた。学校の前で待っているとき、とても恐かったの。先にはるかちゃんに会えたから、少しホッとした。でもこれじゃ駄目ね。」
「御免なさい。父も兄も頑固でお互いに引っ込みがつかなくなっているみたいで・・・直子さんにまで心配かけて・・・そして何よりも、大切な兄を・・・」
「ううん、私がもっと強ければ、よかったのよ。そうでないから、自然消滅みたいになってしまったわ。」
「直子さんと兄は憎み合って別れたわけではないんでしょう?わたし、兄と一緒にいるときの直子さんの笑顔が好きでした。そして直子さんと一緒にいるときの兄の笑顔も。二人の笑顔を見ていると、わたしも幸せでした。だから、もう一度、直子さんと兄の笑顔が見たい・・・その笑顔を見て、私も幸せになりたい・・・」
「出来ればそうしたいわ。でも、俊介さんとはここ3年近く連絡を取っていないの。だから・・・」
「わたし、直子さんのために何か力になりたいです。兄の大切な人ですから、わたしにとっても大切な人ですよ・・・」
「ありがとう、はるかちゃん」
「でも、わたし一人ではどうにも出来ないかもしれない。ちょっと母にも相談してみますね。」
「本当にありがとう・・・・あっもうこんな時間、帰ろう。」
「あっ、本当だ。」
「わたし、あそこのプリンセスホテルに泊まっているから。」
「ホテルまで一緒に行きましょう。」

夕暮れの中、二人は手をつないで、「七つの子」を口ずさみながら帰っていった。

(続く)
...2005/12/30(Fri) 14:01 ID:BnXMEO0o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
「宮浦の春」完結おめでとうございます。
大林アキから廣瀬亜紀へメッセージを発するラストシーンはこの物語の締めくくりに相応しい名場面だと思いました。

私のストーリーの女性は予想が当たりましたでしょうか?ホノカとナオミの語り合う場面は「タッチ」風にしましたが、今回は「赤・運」風にしてみました。

※今回はH.Aさん顔のキャラとして「直子」に登場願いました。M.Nさん顔の「直美」ともどもこれからの活躍をお楽しみに(^^)
...2005/12/30(Fri) 14:07 ID:BnXMEO0o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
「直子」は予想が当たりました(^^)
「宮浦の春」は年内に書き終えることが出来て良かったです。感想、ありがとうございました。

東野圭吾氏の「変身」という作品はなかなか面白いです。主人公は画家を目指す青年で、変わっていく彼と、不安を感じる彼女の物語です。玉木宏さん主演で映画化もされています。

「ドラゴン桜」の再放送をやってました。何度見ても面白いです。朔五郎的には、2005年のベストドラマです。役者さんたちがホントに楽しそうで生き生きしています。何より、若い人たちの夢や目標を一番大切にする、制作サイドの視点が素敵です。2006年もこんな作品がたくさん出てくることを期待します。
コメディ部門が「ドラゴン桜」なら、シリアス部門はやはり「1リットルの涙」でしょうか。
あと個人的には「優しい時間」も捨てがたいですね(^^)
...2005/12/30(Fri) 21:40 ID:cUleQBwU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
いま「金八先生スペシャル」を観ていました。良かったです。感動しました。

「過去は変えられるんだ・・・現在(いま)を変えれば・・・」

罪を犯した教え子へ贈る言葉。素晴らしいですねえ。
ところで「笹垣先生」は「忌まわしい過去を持つ二人」に同じ言葉を贈るのでしょうか(^^;;;
...2005/12/30(Fri) 23:29 ID:cUleQBwU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 今晩は。西村京太郎モドキです。
 「西伊豆2号」が2度目の登場ということで,そのダイヤに挑戦してみました。

 まず,「木庭子町のお正月」編で,三島停車で新大阪止まりの「ひかり」に乗って夕焼け前に木庭子町の宿に着いたとあることから,この「ひかり」は三島9時50分発の405Aと特定されます。405Aの新大阪着が11時59分ですから,657A(新大阪12:15発,岡山13:32着)〜3155M(岡山13:44発,高松14:38着)と乗り継げば,木庭子町のミライの実家に4時前に着き,夕焼け前に宿に入ることは十分可能です。

 さて,三島での在来線ホームから新幹線ホームへの乗り継ぎ時間を考えると,「西伊豆2号」の三島着は9時40分前後ということになります。とすると,静岡発の32M東海2号の三島発の時間(9:36)と重なりますので,三島〜東京間は東海2号に併結というのが妥当なところでしょう。
 その東海は373系(3両1ユニット)6両で運用されていますから,「西伊豆」も同系列の3両編成といったところでしょうか。踊り子の修善寺編成(185系5両)をそのまま延長するよりも,通常は3両で運用し,多客期には6両(東京ー三島間は12両)とする方が合理的でしょう。
 なお,列車番号ですが,32Mとの併結ですので,4032Mということになります。

 ここからが難問です。
 山が海岸際まで迫る急峻な伊豆半島の地形から考えて,西伊豆新線は恐らく国道136号と併走または道路上を高架で通すことになるのでしょうが,勾配や曲線が多く,恐らくは単線で「行き違い待ち」もあるため,あまりスピードは期待できそうもありません。踊り子の修善寺編成の停車時間や行き違い待ち時間も含めた平均速度(ギョーカイ用語で「表定速度」と言いますが)の44キロというのが限度でしょう。
 これで計算すると,修善寺〜「宮浦」間が49.8キロですから,1時間10分弱ということになります。それでも,現在の急行バスの約1時間30分よりは若干短縮されます。

 そこで,以上の条件を踏まえて三島着の時間からスジを逆引きしていくと,「西伊豆2号」のダイヤは,以下のとおりとなります。
 宮  浦 08:00
 堂ヶ島 08:06
 恋人岬 08:26
 土  肥 08:33
 修善寺 09:07
 石  丸 09:20
 三島着 09:33
 三島発 09:36
 熱  海 09:47
 横  浜 10:48
 東  京 11:10

 さて,下りですが,33M東海3号の東京発が16時なので,これを最終とすると,西伊豆方面の人の東京滞在時間が確保できなくなります。静岡行の東海の方は新幹線の補完なので,あまり気にしなくてもいいのですが,代替手段のない西伊豆からの人の便を考え,単独運行の「ホームライナー西伊豆」を新宿発着で運行させましょう。ダイヤは,以下のようなところでしょうか。
 新  宿 20:00
 渋  谷 20:05
 横  浜 20:32
 熱  海 21:24
 三  島 21:39
 修善寺 22:05
 土  肥 22:39
 恋人岬 22:46
 堂ヶ島 23:06
 宮  浦 23:12

 これだと,「宮浦の春」最終回の「街の灯りが輝きを増す頃、二人は渋谷の通りを歩いていた。『行こう、アキ。終電に乗らなくちゃ。明日は入学式だろ?』」にもピッタリでしょう。
 それにしても,改めて思ったのは,「宮浦って遠いなあ」ということでした。
...2005/12/31(Sat) 03:34 ID:bZtqmoD2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 ベーやんの涙・行く年来る年編

 12月29日。
 今,松山に向かう「しおかぜ13号」の車中でこれを書いています。
 そうです。岩丸から急に四国出張を押し付けられたのです。その出張の名目ってのが,宇和島の金剛山大隆寺からの年越し風景の中継の応援だなんて。地元局だけで手に負えないのは判らなくはないが,RCC中国放送やRSK山陽放送に頼みゃいいじゃないか。ましてや,オレは報道局じゃなくって,制作局だぜ。
 オレだってミチルの司会するレコ大や(他局だけど)アズサが審査員を務める紅白が見たかったのに。でも,ミチルに振り回されない年の瀬なんて,ほっとするような,寂しいような・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 岩丸が言うには,かつて流行った自分とよく似た名前の人がプロデュースしたドラマを原作に忠実に描きたいそうだ。その寺も舞台の一つだから,この際,取材とロケハンを兼ねて見てきて欲しい。それと,当時の映画やテレビがカットした動物園もきちんと描きたいので,そちらのロケハンも頼むってことだった。
 という訳で,昨夜,御用納めを9時半頃に抜け出して東京駅に向かい,10時発の瀬戸に飛び乗って,今朝,四国に着いた次第です。まあ,今夜は道後温泉でゆっくりすることにして,動物園の取材は明日にしようっと。
 でも,自分の経費の精算すら忘れて時折,伝票が時効になってしまう岩丸よ。オレの取材費はきちんと精算してくれるんだろうな。
 大丈夫か。オレ・・・

 えっ? 何で朝7時半前に高松に着きながら,午後の列車に乗っているかって?
 そりゃ仕事熱心なオレだもん。岩丸の言うテレビドラマと前後して制作された映画の舞台もバッチリ取材してきたって訳。
 それで,さんざん取材先に名刺を渡したため,特注の写真入りの名刺が底をついてしまい,困っていたら,目の前に写真屋があった。早速,雨平写真館というその店に入ると,入れ歯をかばうように不器用にリンゴをかじりながら何やら訳ありって感じの老人が出てきた。袖口からは刺青がのぞいて見える。
 何者なんだろう。この人は。
 大丈夫か。オレ・・・

 聞けば,ここも昔,その映画の撮影で使われたとのこと。来訪の趣旨を伝えると,その老人が言うには,
「小説を映像にするってえのは,エライこった。
 印象に残ったシーン,感動したセリフはシミのようになって記憶に残る。誰もが,それをどこかで使いたがる。
 でも,全体の流れを離れてそこにしがみついたら,押し付けっぽい後味の悪さだけが目立ってしまう。お前たちにできるのは,本当に伝えたいことに絞り込んで描いて,後は観る人の感性に委ねることだけだよ」
 ああ,制作の道は奥が深いなあ。
 大丈夫か。オレ・・・

 酸いも甘いもかみ分けたであろうその老写真館主にもう一つの人生の悩みを相談しようと思ったら,そっちの方面は伊予大洲でラーメン屋を営んでいる兄弟の方が適任だと言われてしまった。ついでに,時おり皿が割れることさえ辛抱するなら,藏の時計という喫茶店を訪ねてみるといいとも言われた。
 明日,松山から宇和島に向かう途中,伊予大洲で途中下車してみよう。

 それでは皆さん。よいお年を!
...2005/12/31(Sat) 20:17 ID:bZtqmoD2    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
力作を二つ、ありがとうございました。
実際に「宮浦」に行ってみると、札幌に着くほうが早いんじゃない?と思うくらい「遠さ」を感じますね。

べーやんは四国にいるのですか・・・でも束の間の「自由」を満喫しているかも。
道後温泉でノンビリしている時に、彼女が「プハア」とか浮上してこなければいいんですけど(^^;;;

それにしても、紅白では平原綾香さんの出番の時、長澤まさみさんがステージ上に呼ばれましたね。
そして正妻とくノ一のツーショットが(笑)

皆様、今年一年、ありがとうございました。良い新年をお迎えください。
...2005/12/31(Sat) 22:01 ID:BnXPxiMU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
皆様、あけましておめでとうございます。
昨年はとてもお世話になりました。
と言っても、今年も散々お世話になるかと思いますが(苦笑)
お互い、地道に頑張りましょう。
...2006/01/01(Sun) 02:28 ID:gwMt88gg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 ベーやんの涙・行く年来る年編〜その2〜

 宇和島の宿から新年のご挨拶を申し上げます。
 動物園のロケハンも年越しの中継も無事終わってと言いたいところですが,またしてもハプニングに遭ってしまいました。

 29日の午後3時過ぎ。今治を過ぎたあたりだったろうか。前回の日記を車中で書き終え,ウトウトしていたら,どこかから「生まれたての、ぼ・・・」という歌声が・・・
 まさか。声の主は今,東京にいるはずなのに。幻聴だろうか。
 大丈夫か。オレ・・・

 しかし,次の瞬間。誰かが後から肩をたたくではないか。振り返ると,頬に指が突き刺さる。そんな悪戯をするのは・・・
 やっぱりミチルだ。でも,どうして?
 何と,地元出身者がナビゲートするRCC制作の紀行番組で,三原の実家から「しまなみ海道」をたどって道後温泉まで訪ねる企画なのだそうだ。
 でも,こんな旅先で出会ってしまうとは,やっぱり逃げられない宿命なんだろうか・・・
 助けてください!
 
 そんなオレの動揺を知ってか知らずか,ミチルは平然と言い放つ。
 「前にも言ったでしょ。《演じることが罪だった》《逃げ得ぬことが罰だった》と。私たちは決して離れられない。一生演じ続け、罪を重ねていくのよ」と。
 やっぱり,オレは,こんな世界の中で生き続けていくしかないのだろうか。

 助けてください!
 助けてください!!
 
...2006/01/01(Sun) 03:01 ID:BnVTc8T6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
謹賀新年
本年もよろしくお願いいたします。

朔五郎さん
平原綾香さんの出番の時に「長澤まさみさんが出演したドラマの主題歌」と紹介があってうれしかったです。
その他
布施明さんが歌っているバックで仮面ライダー響のアトラクションが行われ、歌い終わりに主演俳優の細川茂樹さんが登場して握手したところ
D−51の出番の前に「ごくせん」に出ていた小池徹平クンが登場し、司会の仲間さんがヤンクミ口調で曲を紹介したところ
が楽しかったです。他局のドラマの主題歌でも話題になったものは紹介するあたり、いい意味で変わったかな・・・と思いました。

にわかマニアさん
ユーモアとシャレっ気たっぷりの「コラム」をいつも楽しく読ませていただいてます。私の作品からも「卒業式」や「静の舞」を取り上げていただき、ありがとうございました。
...2006/01/01(Sun) 12:43 ID:YyjIY2Ow    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(プロローグ2)

「ねえ、サク」
マサミが呼んでいる。
「演劇部の秋の公演、配役が決まったよ」
「ヒロインはマサミ?」
「ふふっ、今までの私のイメージとは全然違う役だよ・・・あ、サクは殺人犯ね」
一瞬呆然とした後、ミライは動揺をあらわにした。
「ちょ、ちょっと待って・・・殺人犯って・・・おい、だいたいオレは演劇部員じゃないって」
「いいから、いいから・・・私の相手役はサクしかいないの」
顔面蒼白になりながら、それでもサクは聞いた。
「それじゃマサミの役は?」
「うん。男の人の相手をしてお金を貰う少女の役」
「は、はあ?それはまた過激な・・・」
「仕方なくそうしてるの。母親が病気になっちゃって、弟や妹もいて、母親に言われて・・・生活費を稼ぐためにそうするしかなかったの。だけど、そんなことしてても、心の美しさだけは失わない、そんな女の子なの」
「で、殺人犯との関係は?」
「彼は愛なんか信じない人だった。自分の夢のために迷うことなく、見ず知らずの通行人を殺し、大金を奪い取る。でも犯行から四日間うなされた後、街で客を探していた少女に出会う。そして、どんな泥川に沈んでも汚れることのない少女の心に触れて、人間の愛がどのようなものかを知るの」
「ふーん」
「彼は、被害者の血が流れたアスファルトの路面にキスをして警察に自首するのよ。そして少女もまた逮捕され、裁判を受けることになる・・・」

裁判官「たとえどんな理由があろうと、君の行為は許されない。君は罰を受けなければならない」
少女「はい」
裁判官「しかし・・・しかし神はきっと、君を赦すだろう。君は愛することにより家族を支え、愛することにより罪を犯した人間の孤独な魂を救った。そして多く愛したが故に、神は君の罪を赦すに違いない・・・当法廷は君を刑務所に送る。罰を受けた後、しあわせになってください」

「感動的だけど、どこかで聞いたような・・・」
「ロシアの超有名作家の小説のパクリよ」
「演出は誰なの?」
「OBの牛丸さん」
「あの人、こういうの好きだからなー」
「あ、ちなみに殺される通行人の役で舞台にも上がるわよ」
「へえ」
「ところでさ、この間、神父さんが話してたじゃない」
二人が通う立京大学はミッション系のため、時々、神父の話を聞くことがあった。
「アダムとイブが神の言葉に背いた《原罪》のおかげで人間は死を免れなくなった・・・」
「ま、隣人を愛せ、という言葉には背き続けてるわけで」
「その罰で、お互い殺し合うようになっちゃったのかな・・・」
「またどうしてそんなこといい出したの?」
「春休みに私の実家に来た時、亜紀っていう子がいたでしょ?」
「ああ、合格パーティの」
「そう。彼女がね、今度、広島に行くんだって」
「あなご飯でも食べに行くの?それとも、あ、牡蠣はもう時期じゃないか」
「そうじゃなくて・・・あの子、将来は絵本作家になりたいみたいなのよ。それで、どういうキッカケかはよくわからないんだけど、広島の歴史を見ておきたいんだって」
「原爆か」
「うん、そうだと思う・・・」
「オレ、四国の出身で、家からわりと近かったから、平和記念公園とか何度か行ったことがある。あそこに行くとショックを受けることばかりだけど、でもあそこで見ることだけがすべてじゃないような気もする」
「ふーん。亜紀は広島でいったい何を見てくるのかな」
「それは行ってみないとわからないと思うけど」
「罪と罰っていうことかな・・・人間の」
「ま、オレたちが憶測してもねえ・・・帰って来たらよく聞いてみれば?」
「そうだね。さ、サク、台詞読みをやるよ」
「だからオレはイヤだって」
マサミはおもむろに携帯電話を取り出した。
「あれ、え、どこに掛けるの?」
「サクの実家。お母さんに言いつけてやる。号泣してやる」
「あ、ちょ、ちょっと待って・・・ああもう・・・やるよ、やるから」
「ホント?」
「だって、しょうがないでしょ」
「ウレシイ」
マサミはミライの頬にキスをする。
「だって、サク以外の人とこのシーンはできないもん」
台本の、マサミが指差す部分を読んだミライは気が遠くなった。
「ま、まさか・・・舞台の上で?みんなが見てる前で?」
「ウン・・・私だって恥ずかしいけど・・・でもサクとなら平気」
「た、たすけて・・・」
自分の左腕にしがみついて来る力の強さに、もはや逃げ得ぬことを知るミライだった。

(終わり)
...2006/01/01(Sun) 18:41 ID:KmMAsiH6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。
恐ろしいですねー・・・(笑)
久々のマサミ・ミライのコンビに、微笑ましい展開を予想した私が甘かったです(苦笑)
ミライに明るい未来が来る事を祈ります。
...2006/01/02(Mon) 01:39 ID:EMblWwyU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
朔五郎は「ピーナッツ」というスヌーピーが出てくるコミックが大好きなのですが、そのせいか、マサミとミライの関係は、スヌーピーと飼い主のチャーリー・ブラウンに似てきたような気がします(苦笑)
チャーリーはとにかくスヌーピーのことを溺愛して、愛することこそすべて。スヌーピーの方は普段はチャーリーの事を翻弄していますけど、たまに放って置かれたりすると不安になり「もう捨てられてしまのではないか」と焦ったりする。
これもまた「究極の純愛」ってヤツではないでしょうか(笑)彼らなりに「とってもしあわせ」な状態だと思います(ホント?)
...2006/01/03(Tue) 03:25 ID:Am.BlgKA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「広島編」が始まりましたね〜
冒頭にマサミとミライが出てくるのは意外だったので、かえって楽しかったです。
新キャラ(特にナナ)はどんな登場のしかたをするのかも楽しみです。
マサミの新しい芝居のネタは「白○行」関係でしょうか?


昨日は私、「里見八犬伝」ではなくて「天下騒乱」の方を見ていました。
重ジイこと山崎努さんが徳川家康役で出演されていて、死を目前にして二代将軍・秀忠と家臣・土井利勝に後を託す場面の演技は迫力がありましたよ。
『秀忠、利勝、国を治めるってのはエライこった』とは言ってませんでしたが・・・


ちょっとひと息いれて、宮浦高校の魅力的な教師陣をまとめてみました。(カッコ内の数字は年度です)

大沢タカオ(孝男?)先生
美術担当。アキ、ケンたちの担任(2016)。生徒一人ひとりと徹底的に話し合い、理解するよう努めている。ケンとアキの家出騒ぎでは両親、他の生徒、校長先生らとの対応に奔走した。マサミには妻・律子を紹介したのがきっかけで進路を決めるヒントを与える。

阿部知盛先生
古典担当。本名ヒロシ。平家物語研究の第一人者。古河ハルカたちの担任(2017)。日本人として何が大切か、古典を通じて伝えたいと静かなる情熱を燃やしている。受験一本やりの教育方針には疑問を持っている。谷田部先生の後任として四国から転任してきた。野球部の顧問を務めている模様。

古河俊介先生
英語担当。野球部監督。ナオミ・ホノカ・アキヒロの担任(2016〜2017)。3年目の若い教師で、情熱ある教育方針で生徒たちを引っ張っていく。古河ハルカの兄であるが、学校では他の生徒への影響を考えて兄妹としての振る舞いを避けている。(私が投稿しているストーリーのメインキャストの一人です)

北条時正校長
世間体を気にし、「特別進学クラス」(2017)を設けたが、2017年度を最後に異動となり、わずか3ヶ月で「特進」は廃止の憂き目に・・・

福山雅春先生
音楽担当。誰もが躊躇した「特別進学クラス」の担任を引き受ける。甘いマスクと歌声は女生徒に人気がある。レイコもファンの一人か?

竹中ナオト先生
ユイたちが所属していた吹奏楽部の顧問を務め、有志でジャズバンドを組んだ。古河ハルカの担任(2016)

中井先生
北条校長の娘婿。「特別進学クラス」の担当をする予定だったが・・・

※「特進クラス」の個性的な先生達は外部講師だったのでしょうか?
...2006/01/03(Tue) 17:40 ID:3fcJZ/xg    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
今更ながらフと思うのですが、マサミが大学で演劇を始めたのは、高校の後輩・古河ハルカの影響もあったのかな、と思いました。
高校を卒業するときに「涼風ホーム」で観たハルカの劇に感動して、自分もやってみようという気になったのでは・・・

(注)「四国編」が始まったときは、まだ古河ハルカの設定はなく、私がこのエピソードを作ったときはそこまで考えていませんでしたが、結果的につながっていますので、上記のような解釈も成立するかな、と思った次第です。
...2006/01/04(Wed) 00:45 ID:.5yul7no    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 SATOさん

>重ジイが徳川家康役で出演されていて、・・・『国を治めるってのはエライこった』とは言ってませんでしたが・・・

 それでも「脳内変換」でそのセリフをかぶせて見てしまうところが「重ジイファン症候群」ということになるのでしょうね。

 八犬伝で,犬塚信乃が他の犬士を率いて出かける場面では,義経が「方々,参ろうぞ」と言う場面を連想してしまいました。そのメンバーの中には新撰組一の巨漢・島田魁(永倉新八とともに20世紀まで生き残った隊士)もいたし,伏姫は山内一豊の妻ということで,図らずも,04年・05年・06年の大河のメンバーの共演が実演しましたね。
 裏番組が「新撰組」で,別の裏番組の現代劇では,沖田総司と佐久間象山が犯人とそれを裏で操る真犯人の役をやっていましたね。もっとも,殺人の時効が15年から25年に延長されていなかったら成立しえないドラマでしたが・・・

 まあ,八犬伝の舞台から「夢島」を連想してしまうあたり,まだまだ「セカチュー症候群」が抜けていないようです。
...2006/01/04(Wed) 12:35 ID:7ep7tCrw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさんへ
演劇部のネタは「白○行」ではありません。ドストエフスキーの「罪と罰」です。
宮浦高校の「ヘンな先生たち」は臨時講師ということで(^^)
マサミが演劇部に入ったキッカケは全くの白紙ですので、楽しいエピソードがあればお願いします。
...2006/01/04(Wed) 21:41 ID:gsR32xGo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
先程まで「古畑任三郎 ファイナル」を観ておりました。
素晴らしかったです。
「あ゛〜・・・ヤラレタ・・・」という感じでしょうか。

実は私、三谷幸喜さんの信奉者でして(^^;;;
今から十年くらい前に、テレビドラマで「王様のレストラン」というのがありました。松本幸四郎さんが、経営難のレストランのギャルソンに扮して、一流の店に成長させていく、というお話しでした。
今でも創作に行き詰ると、古いVHSを引っ張り出して観ています。

さて、今夜の「古畑・ファイナル」は松嶋菜々子さん扮する女性脚本家が殺人を犯す、というお話しでした。
ストーリーの運び、キレ、トリック、ユーモア、哀愁、映像の美しさ・・・どれをとっても文句の付けようがない(と私には思えました)
なにより、主演の松嶋菜々子さんという女優の魅力を最大限に引き出していたことが素晴らしかったと思います。
犯人が「化粧をするのに慣れていない」ことから、疑いを抱くというのは「女性のこと」を良く知らなければ表現できないことでしょうし、殺人に至るまでの哀しい女心の描写もお見事でした(^^)
そして最後、刑事が殺人犯に贈った言葉「人間は生まれかわれます」シビレました、ホントに(^^)
あと、松嶋菜々子さん扮する脚本家の台詞の中に三谷さん本人のホンネがたくさん隠されているのだろうな、というのも興味深かったです(笑)

というわけで、良いモノを観てパワーをもらったので、朔五郎も頑張って創作します(^^)
...2006/01/06(Fri) 00:13 ID:fW13KZ8M    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん
 三谷さんと言えば,一昨年の新撰組もそうでしたね。
 あの中で印象に残っているのが佐久間象山が暗殺されるシーンなのですね。瀕死の傷を負いながら,相手(犯人)に名を尋ねる。犯人というのは犯行の手がかりを残さないようにするものですから,そこで名乗るというのは,およそありえない話なのですが,名乗った相手に対して,それでも満足せずに「それはどういう字を書く」と重ねて訊くという展開に,現実的には考えられない設定であるにもかかわらず,佐久間象山という人物像が象徴的に表現されているような感じがしました。
 それはそうと,三谷さんは,最近は俳優業も開業されたようですね。ベーやんにも三谷さんや宮藤さんを見習って,立派な俳優兼ライターになってもらいましょう。
...2006/01/07(Sat) 02:40 ID:RAVbKdq.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
三谷さんはご自分の劇団で舞台にも上がってますから、俳優としても十分に通用しますよね。事実、大河ドラマでは足利義昭役?で出演します(^^)
べーやんがクドカンさんを目指すとすると、宮浦に帰郷した松本朔太郎に向かって「おまえ、廣瀬亜紀の思い出探しててどうすんだよ」という冷たい?セリフを吐くのでしょうか(^^;;;

三谷さんはやはり、どちらかといえば舞台向きの「芝居がかった」演出が持ち味だと思います。
...2006/01/08(Sun) 00:46 ID:N/vA4dbE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(その1)

「先生、ありがとうございました」
「おお、帰って来たか。まあ、どうぞ」
内科教授・松本朔太郎は大林亜紀に、ソファで休むよう勧めた。
「では・・・おじゃまします」
「で、どうだった?」
「はい、いろいろ見せて頂いて、とても勉強になりました」
「それは良かった・・・」
亜紀は朔太郎の口添えで、病院の中を見学する事が出来たのである。
「ただ・・・」
「ただ?」
「救急部と集中治療室に入ったときにはちょっと・・・」
「そうか・・・そうだろうな」
朔太郎も亜紀の生命を危ういところで救った時のことを思い出し苦笑いを浮かべた。
「まあ、今度は君の方が治療する側に回るわけだ。仲間としてよろしく頼むよ」
「はい、頑張ります」
「そうだ、今日は宮浦に帰るの?」
「ええ、終電で」
「じゃ、まだ時間があるね。実はこの近くに若い看護師さんたちにも人気のある創作料理の店があってね。ちょっと食事に付き合ってくれないかな」
「いいんでしょうか?」
「ああ、君さえよければ、ぜひ」
「・・・実は夕飯は駅弁かな、と思ってたんです。うれしいです」
「ははは、じゃ行こうか」
「はい」
朔太郎は部屋の入り口にいた秘書に、帰ることを告げた。

「君と話してると昔のことを思いだしてね。それも不思議な事に、楽しかったことばかりを」
「先生・・・」
「さあ、ここだよ」
朔太郎は「浜路」と染め抜れた暖簾をかきわけると、ガラリと戸を開けた。
「いらっしゃい」
まだ若い店の主人が顔を上げた。
「こんばんは、犬塚さん」
「ああ、朔先生。あれ、また新しい彼女ですか」
「ははは、冗談キツイよ」
「ああ先生・・・ウチのやつ、あいにく千葉の実家に帰ってましてね」
「あれ、千葉だったの?確か高校の同級生だったよね?」
「そうなんです。房総半島の先っぽの方に安房勝山っていう港町がありましてね」
「へえ、南総の方なんだ」
「港の外に浮島っていう島がありまして、夏になると二人で泳ぎに行きましたよ」
「そう・・・」
犬塚は亜紀の方に笑顔を向けた。
「お嬢さんは、朔先生に可愛がられてるんですね」
「え・・・」
「わかりますよ。先生がこんなに楽しそうになさってるのは初めて見ましたよ・・・はい、タコのカルパッチョです」
「おお、これ美味いんだよな・・・そうだ、鯛の湯葉包み揚げを下さい」
「はい。お嬢さん、なにかお作りしましょうか?」
「じゃ、完熟トマトのサラダで」
「わかりました・・・」

「先生、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「どういたしまして。何かあったらまたおいで」
「はい」
朔太郎と別れた亜紀は新宿駅にやって来た。19時54分、西伊豆線経由下田市行き最終列車が入線してきた。長い列を作って待っていた乗客が我先に車内に駆け込み、すぐにほぼ満席になった。定刻どおり発車した列車が三島駅を出た直後、眠っていた亜紀の耳に女性の声が飛び込んできた。
「あの・・・すみません、ここ空いてますか?」
東京で買い込んだ画材を、隣の、通路側の席に置いたまま寝込んでしまったのだった。亜紀はあわててそれを荷物棚に乗せた。
「ごめんなさい・・・どうぞ」
「すみません・・・」
隣に座ったのは若い女性だった。
「あの・・・この列車、宮浦を通りますよね?」
「ええ、私も宮浦で降りますから」
「良かった。ありがとう」
それからしばらく、二人は言葉を交わすこともなく、思い思いの時間を過ごした。
列車が韮山付近にさしかかった時、不意に列車が停まった。
「お客様にお知らせいたします。ただいま入った連絡によりますと、この先、酔っ払いが線路内に立ち入り、線路上を歩いている模様です。安全が確認されるまでここで停車いたします。列車遅れまして大変ご迷惑をおかけいたしますが、しばらくお待ちください」
乗客たちはあきらめ顔で待つしかなかった。亜紀はふと、隣の女性を見た。彼女は膝の上に置いたバッグを握り締めて不安そうな顔をしていた。

(続く)
...2006/01/08(Sun) 00:50 ID:N/vA4dbE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 夢島のロケ地って某古典の舞台に近いし,もしやと思っていたら,案の定,「犬塚」が包丁を握る「浜路」という店の登場ですね。
 ひょっとして,この店は,ポイントカードの代わりに8種類の玉を集めたら地酒1合サービスだったりして・・・(^^;;;
...2006/01/08(Sun) 01:50 ID:1PDP5DGs    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
広島編が本格的に始まりましたね。
亜紀の隣に座った若い女性が気になりますね。ひょっとして予告で紹介されたあの人物でしょうか?
「浜路」の主人はジャニーズ系の顔をしていると思いますので、若い看護師のファンが多いのでしょうね。あ、奥さんがいらっしゃるんでしたっけ?奥さんの顔はHAさん顔でしょうか、それともSIさん顔でしょうか(^^)

マサミが演劇を始めたキッカケにつきましては、ハルカの影響ということでエピソードを考えてみます。夏休み中にマサミがハルカの家に遊びに来るエピソードを組み込もうと思ってましたので、その中で『秘話』を明かすことにしてみましょうか(^^)



※私の方も「宮浦の春」「広島」を1年遅れで追いかける形で、宮浦高校の現役生徒や担任の古河先生ともども頑張ります。今日・明日で投稿できると思います(ペコリ)
...2006/01/08(Sun) 10:14 ID:/f7o091Y    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
実は「犬塚」にしようか「(原作者から)滝沢」にしようか迷ったのですが「浜路」には犬塚だろう、ということで・・・

SATOさん
2018年、ナオミはめでたく?普通クラスに戻ります。が、宿命のライバル(天敵?)が登場します。
かなり強烈なキャラです(^^)
なお、2018年度のクラス分けはとりあえず白紙にしておきます。朔五郎的にはナオミは阿部先生のクラスに入れてあげたいですが(^^;;;
...2006/01/08(Sun) 15:27 ID:N/vA4dbE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
ナオミは是非とも阿部先生のクラスに入れてあげてください。
実は諸般の事情により、古河先生は2017年度を最後に宮浦高校を去ります。一説では、「特進クラス」に憤慨して、北条校長を殴打してしまい、喧嘩両成敗で二人ともいなくなるとの噂が流れましたが、全くのデマです(^^)
古河先生のプライベートな理由によるものなのですが・・・

※それまでに「予定」されるイベントは以下のとおりです。
・顕浩の野球部入りをめぐる騒動
・野球部の夏
・信人と俊介の葛藤
・俊介と直子の葛藤
・ナオミの「特進クラス」入りをめぐる騒動
・古河先生の送別会でクラス全員が合唱
他にもシークレットなイベントがあります。
...2006/01/08(Sun) 16:42 ID:XBO474YU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『父の想い出』

その日の夕方、部活を終えたホノカと講習会を終えたナオミがアキヒロの家にやって来た。
「やあ、現われたな。」
顕良はご機嫌で二人を出迎えた。
「今晩は、お邪魔します。」
「今日の献立だけど、実はホノカちゃんのお店に頼んで造ってもらった精進料理なんだ。高くはずんでおいたよ。」
「まあ、ありがとうございます。」
「いつもお客様に出すだけだろう。自分でも味わってみるといい。」

そして、4人で精進料理を味わった。

「でも、おじさんとおばさん、本当に仲がいいですよね。」
「本当、うらやましい。私もおじさんみたいに優しい旦那様が欲しいわ」
ホノカはチラチラとアキヒロを見ながら言った。
「そう見えるかい?実はね、本当にいい女房をもらったと思ってるんだ。ハハハ・・・」
「親父、ノロケテルのかよ!」
「悪いか?悔しかったら、ヒロ、お前も早くいい女見つけろ。」
顕良はビールを飲みながら言った。
「おじさんは、いつおばさんと付き合い始めたんですか?」
「高校を卒業する時だったよ。当時のエリカは、ホノカちゃんと雰囲気が似ていてね。イタズラ好きだけどとても思いやりがある子だった。彼女の方から積極的に僕にアタックしてきたんだ。僕も彼女が気になって気になって仕方なかったんだけど、何を話せばいいのかわからなくてね、最後までちゃんと話したことあったかな・・・」
「おじさん、カワイイ・・・」
笑顔でホノカが言う。
「エリカのやつ、2年生の時から僕のことを見ていたらしい。僕がクラスメートの女の子に片想いしていて、幼馴染だった奴に持ってかれたこととかもね・・・」

※卒業を目前にした高校3年生のある日、エリカが顕良に話しかけていた。
『中川君って、廣瀬さんのこと好きだったんでしょう?廣瀬さんが松本君と付き合うようになって、すごく悔しいはずなのに、二人を応援する側に回った。廣瀬さんが病気になったら、彼女の病気が治るようにお祈りして、松本君を励まし続けた。これ、凄いことだと思う。心が広い人でなければ出来ないことだよ。』
『実はさ、廣瀬が俺に言った最期の言葉は《お坊さんが向いてる》だったんだ。』
『そう・・・あたしもそう思う。きっといいお坊さんになれるよ。今の中川君、とっても素敵だもん。』
『エリカ、俺さ・・・』
『亡くなった廣瀬さんの言葉が励みになってるんだね・・・あたしね、廣瀬さんに勝てるかどうかわからない。でも、精一杯努力していい女になる。だから、中川君、ケンちゃん・・・』
『最後まで言わせろよ。俺にとってはエリカが一番さ。だから廣瀬と張り合おうなんて、そんなこと考えるなよ。』
『本当?うれしい・・・あたしも・・・ケンちゃんが一番だよ・・・』

「こうして、僕とエリカは付き合い始めたんだ。ただ、気になったのは、廣瀬と付き合っていた朔が卒業式にも出ないで黙って東京へ行ってしまって、その後17年間帰って来なかったことだった。奴がその間、何を思って生きてきたかは僕にはわからない。僕だけいい思いをしてていいのか、と思った。エリカもかなり気にしていたしね。」

※顕良のことを心配して、龍之介と智世が寺にやって来た。
『ボウズ、朔に遠慮なんかすることないぜ。エリカとのことは、お前自身の問題だろう。それに、仲間が幸せになることを一番願っているのは、廣瀬なんじゃないか?』
『龍之介の言うとおりだよ、あたし達はあたし達で幸せになることを考えようよ。エリカのためにも、あんたがビシッとしなきゃ。』

「二人に励まされて、僕の気持ちは固まった。エリカを一生大切にしようってね。介と智世にはとても感謝しているよ。本当に友達っていいものだな、と思ったね。だから、ヒロ、ホノカちゃん、ナオミちゃん、君たちも友達は大切にするんだぞ。」
「はい、そうします。」
「いいお話ですね。おじさんとおばさんの出会いは運命的なものを感じますね。」
「そんな大袈裟なものではないと思うけどね・・・でも、僕が廣瀬のことを好きにならなかったら、エリカが僕を見ていてくれたかどうかわからないし、廣瀬が病気にならずに、今も元気でいたらどうだったろうと考えることもある。だけどね、過去に起こったことはもう変えることは出来ないんだよ。過去は過去として、今の自分達を懸命に生きる。それが僕らに出来ることじゃないのかな・・・何十年後かに『あの世』へ行ったときに、先に旅立った人たちと胸を張って会いたいしね。もし廣瀬に会えたら『君のおかげで素晴らしい伴侶と巡り会えた』とお礼を言いたいなぁ・・・」
顕良は感慨深そうに語り、その話をうなずきながら聞いている3人だった。

「すまん、すまん、自分ひとりで喋ってしまって・・・みんな食が進んでないな。」
「おじさんのお話が面白いから、食べるの忘れてました。」
「親父の長話はここまで。さあ、食べようぜ。」

(続く)
...2006/01/08(Sun) 17:34 ID:XBO474YU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
顕良の心情、思わずしみじみとしてしまいますね。
息子に「早くいい女見つけろ」なんて、なかなか魅力的な父親ですね(^^)

さて、大河ドラマが始まりましたね。まだ「目玉」の長澤まさみさんは出てきませんが、それでも結構楽しめました。
まず濃姫、顔立ちが変わりましたね(笑)濃姫と言えば、白○行で亮司の母親を演じる麻生祐未さんは1988年の大河ドラマ「武田信玄」で濃姫を演じていました。亮司は濃姫からは逃れられない運命なのでしょうか(笑)
あと、やっぱり「ササガキ刑事」さすがに味のある演技ですねえ。川に落ちてズブ濡れになった千代を前にした場面では、てっきり尋問でも始めるのかと思ったら、結構優しいんですね(^^;;;
この二つの役柄のコントラストは楽しめそうですね。
次回からは仲間さんが出てくるようですが、長澤さんの出番はもうちょっと先でしょうか。待ち遠しいです、ハイ。
...2006/01/08(Sun) 22:23 ID:N/vA4dbE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 ベーやんの涙・「街道を行く」編

 また岩丸から出張を押し付けられた。今度は房総半島だ。それも,江戸という人工的な都市ができる前のルートでときた。旧街道をたどるなんて,何だか司馬遼太郎になったような気分だ。
 岩丸の注文は,石橋山合戦後の頼朝の足取りと,扇谷定正と安房の関係を調べることと,現代劇でのキャンプと海水浴のシーンに適したロケ地探しだ。
 人使いが荒いにも程があるぞ。それに,松山・宇和島出張の精算は,いつまで待たせるつもりだ。オレにだって生活があるのに・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 現代劇の方は,10年ちょっと前に岩丸と似た名前の人がプロデュースしたドラマのリメークなので,頼朝流刑地の蛭が小島を訪ねた後,そのドラマのロケ地まで足を延ばしてみた。
 原作を読むたびに泣けてくるが,ドラマゆかりのお寺の境内にある店で自家製の豆腐を中心とする精進料理を食べながら読んでいたら,なぜか流した涙が1リットルにも達してしまった。
 大丈夫か。オレ・・・

 さて,石橋山で敗れた頼朝一行は真鶴から船で安房へと落ち延びたのだが,今,それと同じ航路はない。そこで,宮浦から陸路,鎌倉に向かい,鎌倉公方の取材を済ませた後,ペリー上陸の地・久里浜から金谷へと向かった。
 金谷の2駅先が勝山。駅の案内板には,頼朝上陸の地との表示があるが,実際には上陸地には諸説あるようだ。それはともかく,沖合1キロ先に浮かぶ浮島という島はキャンプのロケ地に使えそうだ。
 ここから館山にかけては,岩井,那古船形など,里見家や伏姫ゆかりの地が続く。館山にある海水浴場もヘリの離発着時の騒音さえ何とかすれば,ロケ地として使えそうだ。
 その勝山での取材中にある女性に出合って,思わずフリーズしてしまった。あまりにも「あの人」に面影がそっくりだったから・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 その女性から,連れ合いが東京で店をやっているからと名刺を頂いた。帰って早速「浜路」というその店を訪ねたところ,九郎判官によく似た板前が刀ならぬ包丁をふるっていた。
 でも店のテレビで流れていたのは病院が舞台のドラマの再放送ではなく,ニュースで,静御前の代わりに「吠えまくっても静香ちゃん」が怪気炎をあげていた。そう言えば,彼の選挙区はミチルの実家のあたりだったなあ。
 いけない。いけない。どうして,すぐにミチルのことを思い出してしまうのだろう。そういう時に限って,何か不吉なことがおきるというのに・・・
 大丈夫か。オレ・・・

 すっかりいい気持ちになってきた頃,入って来た2人連れの新客を見て,ほろ酔い気分も吹っ飛んでしまった。思わずグラスを落として割るところだった。女性の方があまりにも濃姫そっくりなのだ。おまけに,親子くらいの年齢差の連れの男性は26年前の信長そっくりなのだ。しかも,2人の会話を聞いていると,どうも宮浦の人らしい。
 こんな偶然ってあるんだろうか。
 やはり,オレはミチルから逃れられない宿命なんだろうか。

 助けてください!
 助けてください!!
...2006/01/09(Mon) 02:28 ID:cf7saSP6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
コメントいただき、ありがとうございます。今回は顕良に息子たちへの語り部となってもらいました。
私も昨日の大河ドラマ観ました。面白そうですね。
武田鉄矢さんは1983年大河「徳川家康」で秀吉役だったので、「藤吉郎どの」のセリフに思わず笑ってしまいました。柄本明さんの藤吉郎→秀吉もなかなか味がありそうで楽しみです。寧々がちょっと恐そう・・・

にわかマニアさん
さりげなく私のネタを使っていただき、ありがとうございます。
...2006/01/09(Mon) 18:20 ID:xv77iyhc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『語らい』

夕食が終わってホノカとナオミは英語の宿題を始めた。
「あっ、これは独立分詞構文か・・・」
「そうそう、だから、このwithは付帯状況を表してるわけ。」

二人の宿題に付き合うはめになったアキヒロは黙々と数学の問題集を解いていた。

「よし、出来た。」
「ナオミ、二人でやると速く終わるね。」
「でもさ、二人ともまるっきり同じ答えだと、古河先生から怪しまれないかな?」
「大丈夫よ。宿題だもん、家で参考書や辞書引いて回答しましたって言えばいいんじゃない?」
「それもそうだね。」
「ところでさ、ナオミ、何かわかった?古河さんのこと。」

アキヒロは驚いて顔をあげた。

「個人情報だからね、扱いには気を付けるんだよ。ちょっと、ヒロもだよ。あたし達の家はお客様相手の商売してるから、今更言わなくてもわかるでしょうけど。」
「わかってるよ。」
「まずは基本中の基本だけど、彼女、古河先生の妹さんなのよ。」
「それなら知ってる。」
「なんだ、知ってたのか。でもね、古河先生とは、学校では兄妹であることを忘れる約束してるんだって。他の生徒からは、先生の妹という目で見て欲しくないみたいよ。」
「わかるな、その気持ち。お互いやりにくいもん。でも、そうやって気を配れるんだもの、彼女は偉いね。」
「あたしもそう思うよ。」

ハルカのことを褒められて、アキヒロも嬉しい気持ちになった。だが・・・

「ここから本題。案の定、古河さんには好きな人がいるのよ。」
「えっ、誰?誰なの?」

ホノカは俄かに不安げな表情になった。そして、アキヒロも明らかに動揺している様子である。

「久仁見君だよ。あたしはやっぱりと思ったけどね。今度、野田君のところに来たときに見てごらんよ。久仁見君を見る彼女の目は、明らかに恋をしている乙女の目よ。」
「そうか・・・よかった・・・」

ホノカはホッとした表情を浮かべる。一方、アキヒロは固まってしまった様子で、手からポトリとシャープペンシルが落ちた。ホノカはすかさず、アキヒロに声をかけた。
「どうしたの、ヒロ、大丈夫?」
「いや・・・何でもないよ。」
「これでいいかな?話したこともない人のこと調べるの、あまり気が進まないしさ。」
「ナオミ、本当にありがとう。ちょっと嫌な思いさせちゃったかな?お礼はたっぷりするよ。たこ焼き以外にも。」
「丁度よかった。それじゃ、来週『ロボコン』に付き合って。竜桜高校のトモヒサ君の応援に行くの。」
「ナオミ、それなら、一人で行ったほうがいいんじゃないの?」
「それがね、彼の仲間のリョウ君とハヤト君が、是非ホノカに応援に来て欲しいって言ってるんだって。ほら、竜桜の文化祭に行った時にいろいろ彼らと話したじゃない。」
「思い出した。リョウ君は生き物のウンチクを語りだすと止まらなかったし、ハヤト君はボクシング部員でありながら文化祭では『死後の世界』について研究発表してたよね。」
「じゃあ、付き合ってくれる?」
「うーん・・・」

ホノカはアキヒロの顔をチラチラ見た。アキヒロはムっとした表情をしている。

「リョウ君はジャニーズ系だし、ハヤト君はワイルドな感じだし、悪くないけど・・・」
「あー!!もうカユいんだ、カユいんだよ、お前ら!よその学校の奴らの品定めなんかしやがって・・・」
いきなりアキヒロが声をあげた。それに応えてホノカは・・・
「ヒロ、最後まで話聞きなさいよ。言っとくけど、あたし、三角関係に巻き込まれるのご免だから。ナオミの顔を立てて応援には行くけど、二人のうちどちらかと付き合おうなんて考えてないから。」
ホノカはアキヒロに揺さぶりをかけるように言った。心なしか、アキヒロは安堵の表情を浮かべた。


その頃、古河家では・・・
「ただいま」
ハルカが帰宅すると、世津子が居間で編み物をしていた。
「お帰り、ご飯にしましょうね。」
「あら、何編んでるの?」
「これはね、ケープ。ホームの○○さんに曾孫(ひまご)さんがお産まれになるんですって。それでプレゼントしようと思って。」
「可愛い。小鳥の刺繍だ。」

ハルカの母・世津子は「涼風ホーム」の理事をしている。かつて伊豆を襲った台風で被災した経験を持つ世津子は、奉仕活動に熱心だった。そんな母の影響を受けて、ハルカも素人劇団の一員として、「涼風ホーム」を訪問するようになったのである。

「パパは?」
「会議が延びて、これから病院出るって、ついさっき電話があったわ」
「・・・あのね、ママ、直子さんに会った。」
「何ですって?どこで会ったの?」
「学校の帰りに。お兄ちゃんを待ってたみたいだった。」
「そう・・・」
ハルカの話を聞いて世津子はどうしたものか思案した。
「どうする?お兄ちゃんに会わせる?」
「悪いのは俊介だからね・・・直子さん、わざわざ東京から来て下さったんだもの、このまま帰すわけにもいかないわ。」

(続く)
...2006/01/09(Mon) 18:21 ID:xv77iyhc    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 執筆者の皆さん
 皆さんの労作を勝手につまみ食い的に借用させて頂く失礼をご寛恕の程,お願い申し上げます。
 さて,取材先の勝山でベーやんが会ってフリーズした人物ですが,「HAさん顔でしょうか、それともSIさん顔でしょうか(^^)」という未解決の謎を抱えているため,「あの人」という表現にとどめました。
 また,「線路内の酔っ払い」の一件がベーやんがらみだった場合(なにせ,韮山といえば○丸のホームグラウンドですから)に備えて,ヒロインと入れ違いに店を出て,品川から三島まで新幹線を使って1〜2本前の修善寺方面行きで先回りしたという「逃げ道」も用意しておきました。既に「浜路」ですっかりできあがっていますから,「酔っ払い」という設定とも矛盾しないでしょう。それでも飲ませ足りないようでしたら,新幹線の中でロング缶の2本でも恵んでやって下さいませ(^^)
...2006/01/10(Tue) 01:23 ID:XUN4jGCA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
第6回東宝シンデレラに選ばれた黒瀬真奈美さんという女の子は一部報道で「長澤まさみさんソックリ」とか言われていますね(^^)しかも出身地は「香川県」
ま、まさか「木庭子町の少女」では・・・(苦笑)
東宝のホームページの写真で見る限り「瓜二つ」ではないと思いますが・・・

SATOさん
ホノカは結構やりますね(ニヤリ)どうなるか楽しみです(^^)

にわかマニアさん
「犬塚氏の妻」は、やはり「綾瀬系」でしょう(^^)
...2006/01/10(Tue) 23:05 ID:4iybE5qQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
コメントありがとうございます。
ホノカはシタタカな面と猪突猛進の面がありまして、ちょっとした事件が起こります。
ハルカについては、大島幸子に近いイメージで考えていますが、父と兄に対して感情をあらわにしてブチ切れる場面もやってみたいですね。

※「ナースあおい」は中々面白かったです。石原さとみさんは今回のように気が強い女の子(「WB2」もそんな感じでした)から、いかにもお嬢様風の女の子まで、出演作ごとにイメージが変わるので、楽しみな女優さんです。
明日から「白夜行」放送開始で、楽しみです。
...2006/01/11(Wed) 23:34 ID:6RWziJCk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
「白夜行」観終わりました。

パロディっぽいシーンが多くて、笑えましたね(^^;;;

*ぼくは死にませーん
*骨壷
*細かく切った紙を撒く(砂の器?)
などなど

雪穂はやっぱり怖かった・・・
...2006/01/12(Thu) 23:35 ID:2G..k0tQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
お疲れ様です。

朔五郎さん
広島編のスタートですね。
非常に難しいものをテーマに挑戦、尊敬します。
亜紀がショックを受けて辛い時には健三郎にヘルプをさせてあげてください。それとも、変なところで意地になって1人でなんとかしてしまうのでしょうか(笑)

SATOさん
何か思春期真っ盛りのようなお話ですね非常に微笑ましさが感じられます。軽い三角関係に発展しそうだと考え、詮索に近いようなシーンは、それを表しているのでは?と勝手に思っています(苦笑)
...2006/01/14(Sat) 10:29 ID:6UjPSku6    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
特別編・ミチルがゆくU

「じゃ、本番いきまーす。3、…、…、…」

「はーい、こんばんは。失恋した君、浪人中の君、そして刑事さんに目を付けられてるあなた、聞いてくれてますか?真島ミチルの《あなたにピリオド》・・・今週も、東京・青山のDBSラジオからお送りしまーす。
それでは、今夜の一曲め、今から12年前の2006年の大ヒット曲、綾瀬はるかさんの《ピリオド》です。はるかさんはこの曲をきっかけに歌手としても、女優としても飛躍しましたよね。ミチル、とっても尊敬してまーす。あ、ミチル、はるかさんに似てるって時々言われるんですよ。もうとってもカンゲキです。それでは《ピリオド》を、どうぞ」

♪ ○、○、○○○、○〜

「はい、綾瀬はるかさん《ピリオド》でした。なーんか心に響くような、切ない曲でしたね」
「さて、お待たせしました、お便りのコーナーです。東京都にお住まいの、ラジオネーム、ユキさんから・・・ミチルさん、こんばんは・・・ハイ、こんばんは・・・今日は私の彼氏について話します。彼氏はとっても優しくてカッコいい男の子。私のことを大事にしてくれます・・・ふふっ、うらやましい・・・でも最近心配なことがあるんです。いろんなものプレゼントしてくれるんですけど、このお金どうしてるのかなって。もしかしたら悪い事してるのかな・・・ねえミチルさん、ミチルさんには彼氏はいますか?彼と二人でどんな夢を見てるんですか?もし彼が悪い事してたらどうしますか?教えてください」
「ユキさん、心配ね。でもきっと大丈夫だよ。彼は悪い事なんかしてないと思います。ミチル、こういうこと、カンが鋭いんだ。そのプレゼントはね、きっと彼が一所懸命頑張った結果だと思うよ。例えば、そうだなあ、サンタクロースの格好でティッシュ配りのバイトをするとか、空調のダクトの清掃の仕事をするとか、ラジオの番組にハガキを出しまくって当選するとか・・・そんな感じじゃないのかな。実はね、ミチルにもとっても大事な彼氏がいます。もう大好き。すっごくマメな人で、パソコンが得意で、いつも私のスケジュール表を作ってくれます。それから、切り絵細工をしてくれたり。そんな優しい彼だから、私はどんなことがあってもついて行くと思うな。彼が悪い事してて、それがバレたとしても、その場を立ち去るなんて、ミチルにはできない。どんなことがあっても彼を守ります。ミチル、愛するひとのためなら、どんなことだってできる一途な女の子だもん。本当ですよ、フフフッ・・・」
「ミチルにはね、夢があります・・・将来は独立して、彼と事務所を持ちたいんです。その事務所の名前は“B&M”・・・どんな意味かは、二人だけのヒ・ミ・ツ・・・」

山辺は、DBSドラマ制作部の自分のデスクの上に一枚の切り絵細工が置いてあるのを見つけた。シンと静まり返った深夜のスタッフルーム。明日早朝に出発するロケ隊のために準備をしておくよう、岩丸に命じられたのだった。山辺は切り絵を手に取った。
「雪の結晶か・・・なかなか上手いじゃないか。でも誰が?」
その時、耳元でささやく声がした。
「やったのは、私だよ」
「うわあ」
椅子から飛び上がりそうになりながら後ろを振り返ると、手に鋏を持ったミチルが笑いながら立っていた。
「どどどどどうして、こんなところにいるんだよ」
「さっきラジオの生放送が終わったのよ」
「そ、それにしたって・・・」
「なによ、そんなに怯えた顔しなくたっていいじゃない」
「だ、だってさ」
「ふふっ、こんなことでビビっててどうするのよ。明日の今頃は大変なことになってるよ、きっと」
「え・・・」
「喋っちゃった」
「何を?」
「タカユキと私のこと」
「オレとミチルのことって・・・」
「うん、ラジオの放送で、ぜーんぶ」
「や、やばい・・・編集してもらわなくちゃ」
「そりゃダメだよ。さっきも言ったでしょ、生放送だって」
山辺は、声にならない呻き声を上げながら床に崩れ落ちた。
「ねえ、DBSに居辛くなったらいつでも辞めていいよ。タカユキ一人くらい、私が食べさせてあげるよ。独立して、二人の事務所を作ろう」
「け、結構です。オレはここで頑張ります・・・」
「やせ我慢しちゃって・・・周囲の目が冷たくなるわよ。岩丸に意地悪されるかもよ。ここにいる限り、タカユキの上に太陽なんかないんだよ・・・」
「誰だよ、オレの太陽を奪ったのは」
「タカユキ、人生なんてこんなものよ。人間はいろんなものを失い続ける・・・でもね、何かを失うことは、何かを・・・」
「ああ、もういい。その先は聞きたくない!」
華やかな笑みを浮かべながら、ミチルはタカユキを抱きしめた。
「あ・・・」
山辺の頬を柔らかい感触が包む。
「タカユキ、何かあっても簡単にキレたりしちゃだめよ。最後には、冷静な人間が勝利を収めるのよ」
髪を優しく撫でながらミチルがささやく。
「わ、わかった」
もはやマリオネットのように頷くしかない山辺だった。
「見て、タカユキ」
ミチルは旅行のパンフレットを取り出した。
「七月頃ね、二週間くらい休みがとれそうなの。だからノルウェーに旅行に行こうと思って」
「へえ、羨ましいね」
「あら、タカユキと二人で行くのよ」
「ええっ・・・いくら何でも急過ぎない?」
「だって私たち、もう時間とれないじゃない」
ミチルは潤んだ目で山辺を見た。山辺は溜息をついて言った。
「そっか・・・ノルウェーまで新婚旅行か・・・」
それから「白夜紀行 23万8千円から」と大きく書かれたパンフレットを手に取った。
「それにしても白夜って・・・」
「太陽が一晩中沈まないの・・・明るくはないけど歩くには十分みたいよ」
「ふうん・・・」
ミチルと出会ってから、周りのものが霞んだように見える。自分を照らしていた太陽は、いつのまにか隠れてしまった。もはやミチルだけが山辺の光だった。
「たったひとつの、ニセモノの太陽・・・」
これはミチルの催眠術なのか、それとも妖術か。オレはやっぱりミチルという女優に騙されて、付き合わされている観客の一人に過ぎないのだろうか。

・・・大丈夫か、オレ

そんな疑惑を隠すように、ミチルが唇を重ねてきた。良く冷えた白ワインのような、頭の芯まで麻痺させる甘美な感触・・・
「冷たいね、ミチルのキス」
「ふふっ、唇の冷たい女は心が温かいって言うじゃない」
「そうなんだ・・・」
「そうなのよ」
まさか命まで取られることはないだろう。こうなったら、とことんこの世界で生きてやる。
山辺の目に、ガラスのようなミチルの笑みが映っていた。そして、その笑顔が次第にぼんやりしていくのを感じながら静かに目を閉じた。

(終わり)
...2006/01/14(Sat) 17:49 ID:CvYP/y82    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
コメントありがとうございます。
亜紀が悩んだ時、もちろん健はしっかりと支えてくれるでしょう。
そしてもう一人「敏腕編集者」が亜紀をサポートしてくれるはず?です(笑)
...2006/01/14(Sat) 18:28 ID:CvYP/y82    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 ついに,本家本元・朔五郎さんの作品中にも「・・・大丈夫か、オレ」というセリフの登場ですね。
 このままいくと,ベーやんはリストラされてしまいそうですが,秘密を露見させた張本人がミチルでは,「岩丸さんってベーやんのこと誤解している。すごくいい奴なんだよ」って助け舟(本編第6話)は期待できそうもありませんね。
 ああ,どうする。進退窮ったか。
 大丈夫か。ベーやん・・・

 ところで,
>1.主人公は他者の視点でのみ描かれる。
>2.主人公が二人同時に描かれる場面はない。
>3.表面上の事象を積み上げ、内面を浮き上がらせる。
 これは,伊予大洲編で朔五郎さんが「白夜行」に言及されたことなのですが,証言構成のニュース特集ならいざしらず,ドラマや映画をこの手法で描くには無理がありますよね。その点でも,今回のドラマは原作とは別の物語になりそうですね。
...2006/01/14(Sat) 21:36 ID:25BwjqM.    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
いやー、自分がDJをやってる番組で「熱愛宣言」「独立宣言」するとは、ミチルも大胆というか、恐ろしい女性ですね(冷汗)
「ミチル」と「白」が朔五郎さんの手でどのように描かれるか、これからも楽しみです。
私は「直子」と「赤」で楽しみながら投稿させていただきます。元カレを追ってきた直子の一途さが描ければ・・・(ペコリ)

たー坊さん
昔、自分もこんなことあったな・・・と思い出しながら話を作っています。担任の古河先生も若いので、さわやか系の学園ドラマにしたいですね。
その古河先生ですが、元カノが来ているのを知ってどのような行動に出るでしょうか?こちらは「赤いシリーズ」風に創作していきます。
...2006/01/14(Sat) 23:38 ID:j2qYQV86    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
「白夜行」の原作の小説では、主人公の行動がすべて描かれるわけではなく、事実がぼんやりとしか見えません。つまり読者も「白夜」の世界を彷徨うことになるのです。その事実を「白昼」のもとに晒すことになるのですから、やはり違うものになるでしょうね。

たー坊さん
たー坊さんの言われたとおり「広島編」は私にとって難しく、大スランプに見舞われております(冷や汗)
以前は「困った時のマサミ頼み」でしたが、最近は「ミチル頼み」になっております   (^^;;;

SATOさん
「赤」と「白」といえば、「赤」の中で、直子がいずみに「あんたなんか、お日様の下を歩く資格なんかないのよ」とか「ドブネズミ」とか罵られていましたが、今から考えると微妙にリンクしていたのでしょうか・・・
...2006/01/17(Tue) 01:04 ID:2yXcghhM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:たー坊
”暴走車ミチル”
そんな言葉がピッタリはまるほどにやらかしてくれましたね・・・。
まさに電撃発表。こーなったらとことん山辺には地獄の底まで付き合ってもらいましょう。
最後まで行けば、何か分かるでしょうし。
次回も楽しみにしております。
...2006/01/18(Wed) 21:37 ID:gXWLpNuI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
「白夜行」観ました。
綾瀬はるかさんの雪穂、子役に負けずに迫力ありましたね。亮司=山田クンを操っているようにも見えました。それにしても、亮司が随分頼りなさそうにしゃべるので、「大丈夫か?お前」と声をかけたくなりました。

余談ですが、大塚ちひろさんと綾瀬さんが並んで歩いている姿が、「いま、会い」の澪と廣瀬亜紀のツーショットにも思えてちょっと楽しかったです。澪といえば、続けて観た「ガチバカ」ではテレビ版の澪=黒川智花さんが生徒役で出ていました。
...2006/01/19(Thu) 23:55 ID:Xs37vBMI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 ベーやんの涙:「悪夢? 正夢?」編

「ミチルと出会ってから、周りのものが霞んだように見える。ガラスのようなミチルの笑顔が次第にぼんやりしていくのを感じながら静かに目を閉じた」その夜。

 目が覚めると,なぜか職場だった。
 みんなの視線がオレに集中しているような感じだ。
 早くもミチルの爆弾発言が話題になっているのか。
 大丈夫か。オレ・・・

 おや。
 岩丸がオレの方に寄ってくる。
 「人事課長がお呼びだ」
 えっ!
 いきなりクビ!
 そんな・・・
 大丈夫じゃないよな・・・

 人事課に行くと,そこにいたのは,なぜか筑紫論説主幹。
 「判っていると思うが,われわれ報道人はニュースを伝えるのが仕事であって,ニュースを作るのが仕事ではないんだよ。今回の件は,君が法に反することをした訳ではないが,取材対象や出演者との付き合いにはそれなりの節度が必要だし,社としても何らかのけじめをつけなければならない。
 そこで,君には,報道人としての修業を一から積み直してもらうことにした。制作局から報道局に異動だ。」

 えっ! 報道?
 ドラマが作りたくて,同じマスコミでも新聞じゃなくテレビにしたのに・・・
 まあ,クビじゃないだけマシか・・・

 しかし,辞令を渡した後も訓示が続く。
 「僕も,行く先々でいろんな事件に出くわしてきた。ワシントン特派員の時はウォーターゲート。朝日ジャーナル時代にはロッキードだ。
 君もひょっとしたら,今度の任地で白夜がらみの事件に出会うかもしれんな。スクープを期待しているよ。」

 えっ!
 白夜?
 渡された辞令を見て,ビックリ!
 「ノルウェイ特派員を命ず」
 ミチルが夏に行くと言っていた,あのノルウェイに!

 ああ,クビがつながっても,日本から逃げても,やっぱりオレはミチルからは逃れられない運命なのか・・・

 これは夢なのか現実なのか・・・
 きっと夢に違いない。それにしても,ものすごい悪夢だ。
 でも,世の中には「正夢」ってコトバもあるし・・・

 助けてください!
 助けてください!!
...2006/01/20(Fri) 08:40 ID:XAH3osoA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
正月明けから親不知が痛くなって、とうとう昨日抜きました。友人から色々話を聞いていて(半分脅かされました)心の準備は出来ていたつもりでしたが、恐怖感と不安感でここ数日は執筆どころではありませんでした(汗)
幸いに良い薬をもらったお陰で、痛み・腫れは今のところありません。近々執筆活動を再開できると思います。

不安な日々を過ごす中、皆さんの投稿作品を読んで随分気が紛れました。どうもありがとうございます。
...2006/01/21(Sat) 10:41 ID:LrM.dh0s    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
特別編・ミチルがゆくV

(山辺の独白)ミチルはオレの太陽だった。西から昇って東に沈む、常軌を逸したキケンな太陽・・・

DBSの喫茶室。二人の子供が本を読みながら父親のことを待っている。

そして、もう一組、山辺とミチルの姿が。
「タカユキ、タイムポストがあったら手紙を入れる?MDを入れる?」
「・・・」
「リョウジとユキホ、どっちが好き?」
「・・・」
「泥沼に咲く花って知ってる?」
「・・・ああ。グツグツと煮詰まった人生の泥沼に咲く悪魔の花・・・とっても、とってもキレイだよ、ミチル」
「ねえタカユキ、そんなに怒らないで」
「ちくしょう・・・」
「この前も言ったけど、絶対にキレちゃだめだよ」
「だって、ここに来る途中の駅のトイレにも落書きとかされてるし」
ミチルが生放送で喋ったことは大きな波紋を広げていた。
「タカユキ、これはあなたのためなの・・・あなたの幸せのため・・・」
「オレの幸せ?オレの幸せが何だと思ってるんだよ!」
「よく聞いて。タカユキには才能があるの。俳優としても、もしかしたら脚本家としても」
「ないよ、そんなもの」
「岩丸のところにいれば、生きていくには困らないかも知れない。でもそれじゃだめなの。才能が発揮される環境が必要なのよ。だから・・・だから私と手をつないで歩いていこうよ」
「もういいよ」
「もういいって?」
「オレ、もうこの仕事を続けるのはあきらめた・・・親父の家業を継ぐよ」
「お父さんの仕事って?」
「弁護士事務所の経営だけど」
「え、タカユキって・・・どこの出身なの?」
「・・・東京大学法学部だよ」
「そんな人がどうしてここにいるのよ」
「だってドラマが好きだから」
山辺が採用された時、報道局に配属される予定だった。しかし本人の強い希望により、制作局に入ることになったのである。ただし制作局では、その経緯は伏せられていた。
その時、本を読んでいた二人の子供が山辺に気付いて近寄って来た。
「こんにちは、べー兄ちゃん」
「こんにちは」
「こんにちは、ユウキくん、マユコちゃん」
「タカユキ、知り合いなの?」
「ああ、平田プロデューサーの子供さんだよ」
平田はプロデューサーとして、岩丸の先輩に当たる人物である。その斬新な発想と明るい人柄で人望を集めていた。
「ねえ、君たち、何の本を読んでたの?」
「これだよ」
ユウキが差し出した本を見て、山辺とミチルの顔は思わずほころんだ。
「君たちにピッタリの本だね」
「そう思う?」
「思うよ」
「あのね」
マユコがちょっと恥ずかしそうに言った。
「ユウキは私の太陽なんだ」
「どんな太陽なの?」
ミチルが身を乗り出して聞く。
「真夜中でも沈まない太陽・・・この間テレビでやってたの」
「マユコちゃん、それ白夜っていうんだよ」
「ビャクヤ?」
「そう、白い夜って書いてビャクヤって読むんだよ」
「ふーん、勉強になりました」
「実はね、お姉ちゃんたち、もうすぐ新婚旅行で白夜を見に行くんだ」
「ホント?わあ、いいなあ・・・私たちも行きたーい。ね、ユウキ」
「うん。いつかきっと行こうね。二人で手をつないで」
「仲が良いんだね」
ミチルが微笑んだ。
「お姉ちゃんたちほどでは・・・私たちもお姉ちゃんたちみたいになりたーい」
うそだろ、思わず呟いた山辺をミチルが睨みつけた。
「マユコはぼくが幸せにするって」
「ありがとう、ユウキ」
「あ、お父さん」
「お待たせ・・・ごめんな、打ち合わせ長引いちゃって」
喫茶室に入ってきた平田は山辺とミチルがいるのを見て、思わず苦笑いをした。
「ミチルちゃん、やってくれたねえ」
「はい・・・ご迷惑をおかけしました」
「まあ・・・岩丸は慌ててたけど。でも後悔はしてないんだろ?」
「ええ」
「おい、山辺。岩丸にはちゃんと挨拶していけよ」
「え・・・挨拶って」
「退社の挨拶に決まってるだろ」
「や、やっぱり・・・」
「山辺、おまえもしかしてミチルちゃんを恨んでるのか?」
「い、いえ、別に」
「ま、目に見えてる事実だって真実とは限らんからな」
「え?」
「いつかミチルちゃんの気持ちがわかるときがくるだろう、ってことだよ」
「ミチルの・・・気持ち・・・?」
「いつか大きくなって帰ってこい。その時は《山辺先生》って呼ばなけりゃならないかもな」
「平田さん」
「よし、行くぞ。頑張れよ、二人でな」
去っていく平田の後をユウキとマユコが追いかけて行った。
「ねえタカユキ。子供っていいね。悩みや暗さなんか何にもないみたいで」
「平田さんいつも言ってるよ・・・この子たちのために、平和な未来を作るのは僕たち大人の責任だからね、って」
「ふうん。深い言葉だね。あ、でもあの二人は兄妹なんでしょ?恋人にはなれないじゃない」
「兄妹でも血は繋がっていないんだよ。マユコちゃんは平田さんの亡くなった奥さんの連れ子なんだ」
「あ、だからあの本を読んでたんだ・・・あだち充の《みゆき》」
「そうだよ」
山辺が後にヒット作を連発し「ドラマ界の救世主」と呼ばれる放送作家になるとは、この時、誰も予想していなかった。

(ミチルの独白)タカユキは私の太陽だった。未来へと昇ることを止めない、私のたった一つの夢だった・・・

(終わり)
...2006/01/23(Mon) 00:18 ID:SogL8S42    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
たー坊さん
お読みいただいてありがとうございます。
ミチルの登場回数が多いということは「広島編」が苦戦中ということでして(苦笑)

SATOさん
亮司はある時点で「一皮剥けて」強くなっていくのではないでしょうか。
炎症はおさまりましたか?お大事にしてください(^^)

にわかマニアさん
クビになっちまいました(^^;;;
どんな結末になるのやら・・・朔五郎にもわかりませぬ(^^;;;
...2006/01/23(Mon) 00:33 ID:SogL8S42    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん
 ついに来るべき日が来てしまったのですね。
 まあ,「非自発的失業」ではあっても,ベーやん自身が法令・就業規則に違反した訳ではないので,退職金の出ない懲戒免職ではなく,依願退職の扱いでしょうね。それでも,退職金は独立資金とノルウェイへの旅行資金と挙式費用で消えてしまうのでしょうか。
 それにしても,一人の青年の人生を狂わせてしまうとは,恐るべし。ミチル・・・

 赤門出身の脚本家や演出家と言うと,倉本聰さんや森下佳子さん,「赤いシリーズ」の瀬川昌治さんといった名前が浮かんでくるのですが,いずれも文学部出身で,法科出身は山田洋次さんくらいでしょうか。
 その倉本さんですが,主演の俳優が急病のため途中で交代した大河「勝海舟」の脚本を途中で降りています。どんな事情があったのかは判りませんが,それがもとで北海道に新天地を見出し,今日の富良野塾につながったという意味では,「禍福は糾える縄の如し」ということになるのでしょうね。
 ベーやんも,キレるのは雪穂に任せて,今回の事件を新天地での飛躍のきっかけにして欲しいものです。

 さて,皆さん
 時折お騒がせしてまいりました「ベーやんのコラム」は,本人が退職したため,某放送局の公式サイトからは「自然消滅」となります。もっとも,広島編に登場する某老教授のツテで,たまに「週刊○曜日」あたりでお目にかかる機会があるかもしれません。
 それでは,いつの日か再会の時まで。ごきげんよう。
...2006/01/23(Mon) 12:50 ID:HJ0VKy1E    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさま
捨てる(?)神あれば拾う神あり・・・いつの間にかDBSに復帰しているかも知れませぬ(^^)

それにしても「本筋の」広島編、書けません(涙)
...2006/01/24(Tue) 23:11 ID:VyCvc/.E    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
相変わらず書けません。全体の組み立てが上手くいかず、最初から組み直しです(涙)
どーせ、シロウトのやることなので、そこまで凝ることもないんでしょうけど(自嘲)

さて「白夜行」の第3話、もう一度ビデオを見直しました。今回はとても素晴らしいと思いました。
やっとこのドラマの方向性が見えて来たような気がします。
遠藤周作氏の不朽の名作「沈黙」の現代版というところでしょうか。
あの教会のシーン、雪穂の惚れ惚れするようなキレっぷりばかりが話題になっているような感じで、公式HPにも「教会のシーンは必要ない」とか書かれてましたけれど、実は物凄く深い内容を含んでいるのだと思います。
いくら祈り、信じても沈黙を続けるだけの神・・・遠藤周作氏が自らの信仰に対峙したあの迫力を思い出しました。あれを現代風に映像化するとこうなるのだろうな、と思いました。もちろん「沈黙」は「神はウソつきだ」という結論にはなりませんけど。
最初の予想どおり、原作からは遠く離れた感じですけど、別の視点から切り込んだことには敬意を表します。
もうすぐ「トリノ」ですから、数字的には厳しいかもしれませんが、頑張って頂きたいと思います。

それにしても、「山&綾」のコンビはよくよくオリンピックに縁があるようで・・・次の共演は2008年夏(北京)のころでしょうか(苦笑)
...2006/01/29(Sun) 03:15 ID:/GCuznag    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
>もうすぐ「トリノ」ですから、数字的には厳しいかも
>次の共演は2008年夏(北京)のころでしょうか

 内容的に素晴らしければ,数字に一喜一憂することはないし,この2人に限ったことではありませんが,物語が最高潮に達した時に,盛り上がった気分に水を差すような「オリンピック速報」のテロップを入れるのだけはやめてほしい。
 オリンピックが気になる人は,いつもの番組はビデオに撮りながら最初から中継を見ているのですから,「地震か,ハイジャックか」とドキッとさせた後に興ざめさせるような真似は勘弁願いたいものです。

 (以下,フィクションの世界)
 それとも,いっそのこと,2020年の大会をオスロに誘致して,OBになってしまったベーやんを臨時特派員に委嘱してノルウェイに派遣しましょうか。
 「ノルウェイの森」にピッタリなのはリレハンメルの方なんでしょうが,冬季は,2022年は既に「皿の割れる喫茶店」編で札幌にしてしまったし,2018年には,ベーやんは未だ濃姫のパシリでしたから,ちょっと無理ですかね。
 まあ,夏季大会でも,クロスカントリーあたりなら,それなりに「森」もあるかもしれませんね。ノルウェイは,フィヨルド,滝(fall),魚(生で食べることも行われているようです),森(forest)の「4つのFの国」と呼ばれている国でもありますし・・・
...2006/01/29(Sun) 09:19 ID:uU5sl5Eo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
親不知を抜いてから、まだ口の中に若干の違和感は残っていますが、だいぶ良くなってきました。ということで、週明けからそろそろ投稿を再開したいと思います。
朔五郎さん、慌てずに「広島編」の構想を練り直して下さいね。


NHK土曜ドラマ「氷壁」を観ていますが、面白いです。登山道具の欠陥をめぐって法廷に争いが持ち込まれるのですが、大人の重厚なドラマが展開されて次はどうなるか?と非常に楽しみです。2年前にフジ系列で放送された「白い巨塔」と似た雰囲気を持っているように思いました。(石坂浩二さんと伊武雅刀さんが出演しているからでしょうか・・・)
※「赤い運命」「雨鱒の川」で綾瀬はるかさんの相手役だった玉木宏さん、朔太郎の父親役だった高橋克実さんが出演しています。ご参考まで

http://www.nhk.or.jp/dodra/index.html
...2006/01/29(Sun) 22:34 ID:XnZai6OQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
TVのガイドで見ると、トリノからの生中継は深夜帯が多いようですね。ドラマへの影響は無いとは言えないでしょうが、小さくなりそうですね。
2020年はオスロですか。ではそういうことで(^^)

SATOさん
良くなってきたとのこと、何よりです。大変でしたね。
次のお話を楽しみにしております。
広島編は「かなり重症」です。
書けるまではミチルに頑張ってもらいましょう(苦笑)
...2006/01/29(Sun) 23:34 ID:/GCuznag    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
特別編・ミチルがゆくW

山辺とミチルは教会に来ていた。目を閉じて十字架のキリストに祈りを捧げていたミチルは山辺の方を振り返った。
「タカユキもやって。神様に嫌われたらどうするの?」
「わ、わかった」
山辺もあわてて祈り始めた。やがて、ミチルが一枚の紙を出す。
「タカユキ、ここにサインして。私を幸せにして」
「う、うん」
大丈夫か、ホントに。そう思いながらも逆らえないまま、山辺は署名をし、判を押してしまった。
「ごめんね、やりたくないことさせて」
「そ、そんなことないよ」
「これを役所に出せば、正式に夫婦になるっていう解釈でいいのかな」
その婚姻届を素早く仕舞いこみながら、ミチルが笑った。
「・・・」
「あ・・・」
ミチルが空を見上げながら指を指した。
「どうしたの、ミチル?」
「太陽・・・あんなに輝いている太陽は久しぶりだな・・・」

二人の新婚生活はミチルのマンションで始まった。
「見て、夫婦茶碗だよ」
「めおと・・・」
ミチルが持った夫婦茶碗を見ながら、結婚してしまったことを実感する。
「ほら、特別に焼いてもらったんだよ」
茶碗には“B&M”という文字が入っていた。
「ここに座って、タカユキ」
「は、はい」
「あのね、これからしばらくは私の収入だけで生活しなきゃならないの。すぐに困ることはないけど、タカユキの仕事が決まるまでは倹約しなくちゃ。ほら、このお札の野口英世の顔、折り方によって笑っているようにも泣いているようにも見えるでしょ。おまえの英世が泣いている、って言われないように大切に使わなきゃ」
「うん」
「とにかく、しばらくの間はガマンして頑張ろうね」
「ゴメン・・・」
「いいのよ・・・これは私が神様にお願いしたことだもん」
「ほんとにいいの?あとで後悔しない?」
「後悔って?」
「どうして、あの時終わりにしてくれなかったの、とかさ・・・心の中ではオレのことがお荷物だと思ってるんじゃないの?」
「聞いて、タカユキ」
ミチルは座り直した。
「はっきり言って今は私の方が名前が出てるし、収入も上かもしれない。でもいつかきっと逆になる時が来るから」
「そんなこと・・・」
「私を信じて」
ミチルに抱きしめられて山辺の顔は柔らかい感触に包まれた。
「苦しいよ、ミチル」
窒息しそうになった山辺が声を上げた。
「でもオレのために、なんでそこまでしてくれるの?」
「私が女優だからよ」
「女優だから・・・?」
謎めいた微笑を浮かべるミチルを見ながら、山辺は「肥やし」という言葉をぼんやりと思い浮かべていた。

開業したばかりのホテルのロビーで、ミチルはプロデューサーの平田を待っていた。仕事のことについて話があると、呼び出されたのである。
「お待たせ」
平田がやって来た。
「いやあ、すごい混雑だね」
この「有頂天ホテル」は著名な建築家である二谷幸樹氏がデザインしたということで話題になり、開業初日から客が押し寄せていた。
「独立して、マネージャーさんもいなくなっちゃったの?」
「ええ」
「大変だね。じゃ、せっかくの新婚生活もビューティフルライフとはいかないのかな?」
「いえ、そんなことありません。楽しいですよ」
「でも現実的に、金には困ってるんだろう?」
「まあ・・・」
その時、平田の携帯電話の着信音が鳴った。
「はい、平田でございマウス」
電話の相手は後輩プロデューサーのようだった。
「・・・あのな、そういうのを世の中では赤字って言うんだよ。じゃあな、GOOD LUCK!!・・・まったく金の話ばかりで暗くなっちまうな」
「すみません」
「あ、いや、そういう意味じゃないんだ。そうだミチルちゃん、ソシアルダンスはできる?」
「ええ、前に出演したドラマに、そういうシーンがあったので」
「それじゃ、これから付き合ってくれないか?」

平田がミチルを伴ったのは「チャメ」という名のレストランだった。フロアの一角にダンスができるコーナーがあった。
「俺の兄貴が印刷業やってるんだけど、この店のパンフレットを刷ったのが縁で来るようになったんだ」
「あれ、お兄さんは質屋さんじゃありませんでしたっけ?」
「質屋は上の兄貴で、次の兄貴が印刷業なんだ」
「そうですか」
「とりあえず乾杯しようか」
「はい」
二人はカクテルのグラスを合わせた。
「それでさ、仕事のことなんだけど、風・・・」
「風と共に去りぬ、ですか?」
「いや、風立ちぬ、だ」
「もしかして、あの病気で死んでしまう女性の役ですか?」
「そうだ。相手役には山辺を抜擢しようと思ったんだが・・・」
「病気の役はちょっと・・・」
「そうか、前に一度やったもんなあ」
「すみません、せっかくのお話しを」
「いいんだ。じゃ、連続じゃないけど、二時間ドラマに出てみるか?」
「どういうお話しですか?」
「いや、大学生のカップルが尾道から広島、宮島と旅行するうちに殺人事件に巻き込まれるというミステリーものだよ。刑事役は武田金一さんなんだけどね」
「それでしたら、やらせて頂きます」
「そうか、じゃ共演は山辺でいいね」
「はい」
「よし、岩丸に言っておくよ」
「え、岩丸さんのプロデュースなんですか?」
「そうだけど、何か?」
「い、いえ」
「まあ、山辺にとっちゃ複雑かもしれんがな」
「ええ・・・」
「後のことはゆっくり考えればいいさ。それじゃ、Shall we dance?」
二人はステップを踏み始めた。
「もし俺がプロデューサーの特権で、言うことを聞いたら好きなだけ仕事をやるって言ったらどうする?」
「どういう意味ですか?」
「そういう意味さ」
「・・・平田さんはそんな人じゃないと思ってた」
「おいおい、冗談だよ。その鋏から手を離せよ。ユウキやマユコのためにも刺し殺されるわけにはいかないんでね。それにどんなことがあっても、あの薄明るい太陽のところに帰って行くんだろ」
「はい。彼がコケたら、私も終わり・・・それでいいんです」
ミチルの純愛を包み込むように、夜はゆっくりと更けていった。

(終わり)
...2006/01/29(Sun) 23:36 ID:/GCuznag    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『古河先生と』

次の日の昼休み、ホノカとナオミは宿題を提出した。
解答をチェックした俊介は・・・
俊介「お前ら、まるっきり答えが同じじゃないか。どっちかが丸写ししたんじゃないだろうな。」
案の定という表情を俊介は浮かべる
ナオミ「正直に言います。辞書や参考書を使って、それでもわからないところは二人で教えあいながら解答を作りました。」
ナオミはあっさりと白状した。
俊介「そういうことか。では池内、この答えを導き出した根拠は何だ?」
ホノカ「はい、これは無生物主語ですから・・・」
ホノカはすらすらと質問に答えた。
俊介「まあ、いいだろう。これだけ説明出来ればな。」
ナオミ「これで、よろしいですか?」
俊介「ああ、ご苦労さん。ついでだから、二人にちょっと言っておきたいことがある。」
ホノカ・ナオミ「何でしょうか?」
俊介「結果を出すことはとても大事だ。池内はレギュラーになってインターハイに出たいだろうし、長谷部はいい学業成績をあげて難関大学に合格したいだろう。」
ホノカ「ええ・・・」
ナオミ「勿論そうです。」
俊介「そうだよな。では、そのためにはどうすればいい?池内はどう思う。」
ホノカ「仲間の子が30本シュート練習やってたら、わたしは35本やります。」
俊介「そうか・・・長谷部はどうだ?」
ナオミ「図書館で、隣の人が席を立つまで一問でも多く問題を解きます。」
俊介「そうか・・・それを聞いて安心したよ。」
ホノカ・ナオミ「?」
俊介「これは俺の持論だが、結果を出すことと同じようにそこに至るプロセスもとても大事だと思うんだ。一本でも多くシュート練習をやり、一問でも多く問題を解く。その結果がレギュラー入り・インターハイ出場であり、難関大学合格であればとても素晴らしいことだ。でも、今の世の中、結果を追い求めるあまり、プロセスがおろそかになっていたり、ルールに反した方法をとる人間もいる。このことが大きな問題になって、国会で大論争になっていることはお前達も知っているだろう。」
ホノカ「はい」
ナオミ「毎日ニュースでやってますよね。」
俊介「お前達はそのニュースを観てどう思う?そのような人間になりたいと思うか?」
ナオミ「なんかねー」
ホノカ「お金儲けが全てで、自分だけ良ければいい、という考えはちょっと虚しい気がします。」
俊介「うん・・・俺もそう思っているよ。お前達のように、汗を流して勝利をつかもうとする人間を世の中に送り出したい。そして病んでしまった世の中を少しずつでも治していきたい、そう思って教師になったんだ。」
ナオミ「なんか、お医者様みだいですね。」
俊介「親父が医者だからな。そして、俺は病んだ世の中を治す医者のつもりでいるよ。あ、話が長くなってしまった。引き留めて悪かったな。」
ホノカ「いいえ、先生のお話も聞けて面白かったです。」
ナオミ「先生、わたしたちからも相談があるんですが・・・」
俊介「何だ?」
ナオミ「中川君のことで・・・」

(続く)
...2006/01/31(Tue) 20:55 ID:GMeTkmwE    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
久しぶりに投稿させていただきました。古河先生はまだ3年目の若い先生で、理想に燃えているところなので、生徒への発言内容はこんな感じにしてみました。中堅からベテランの域に差し掛かっている大沢先生や別スレの谷田部先生・緒形先生であれば、もっと違う話し方をしたと思います。
...2006/01/31(Tue) 22:11 ID:YKRqECsk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
古河先生の性格が良く出ていて面白かったです。まあ、何も生産しないで金を儲けるという発想自体がおかしいのですよね(^^;;;
さて、中川君は野球ができるようになるでしょうか・・・
...2006/02/01(Wed) 00:21 ID:9dyuxjxQ    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
古河先生の教育方針は、生徒と議論しながら自分で考える力を伸ばしていく、という感じにしてみました。生徒と年齢が近いから出来るのかもしれませんね。
平田プロデューサーがミチルをダンスに誘う意味がわからなかったのですが、さっき「白」を観て納得いたしました(^^;;
...2006/02/02(Thu) 23:01 ID:hqW86CvY    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
紛らわしいモノを書いて申し訳ありません(^^;;
ちなみに「平成夫婦茶碗」「お前の諭吉が泣いている」は「白夜行」と同じ脚本家の方の作品です。
「ビューティフルライフ」「GOOD LUCK!!」は「平田P」のプロデュースです。
「チャメ」は「輪舞曲」の中に出てくる料理店の名前です。
なお「輪舞曲」のAP日記はメチャ面白いです。AP日記がなぜかPの日記になっています(^^)
...2006/02/02(Thu) 23:40 ID:whSn2Anw    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
間が空いたので、再掲します。

広島編(その1)

「先生、ありがとうございました」
「おお、帰って来たか。まあ、どうぞ」
内科教授・松本朔太郎は大林亜紀に、ソファで休むよう勧めた。
「では・・・おじゃまします」
「で、どうだった?」
「はい、いろいろ見せて頂いて、とても勉強になりました」
「それは良かった・・・」
亜紀は朔太郎の口添えで、病院の中を見学する事が出来たのである。
「ただ・・・」
「ただ?」
「救急部と集中治療室に入ったときにはちょっと・・・」
「そうか・・・そうだろうな」
朔太郎も亜紀の生命を危ういところで救った時のことを思い出し苦笑いを浮かべた。
「まあ、今度は君の方が治療する側に回るわけだ。仲間としてよろしく頼むよ」
「はい、頑張ります」
「そうだ、今日は宮浦に帰るの?」
「ええ、終電で」
「じゃ、まだ時間があるね。実はこの近くに若い看護師さんたちにも人気のある創作料理の店があってね。ちょっと食事に付き合ってくれないかな」
「いいんでしょうか?」
「ああ、君さえよければ、ぜひ」
「・・・実は夕飯は駅弁かな、と思ってたんです。うれしいです」
「ははは、じゃ行こうか」
「はい」
朔太郎は部屋の入り口にいた秘書に、帰ることを告げた。

「君と話してると昔のことを思いだしてね。それも不思議な事に、楽しかったことばかりを」
「先生・・・」
「さあ、ここだよ」
朔太郎は「浜路」と染め抜れた暖簾をかきわけると、ガラリと戸を開けた。
「いらっしゃい」
まだ若い店の主人が顔を上げた。
「こんばんは、犬塚さん」
「ああ、朔先生。あれ、また新しい彼女ですか」
「ははは、冗談キツイよ」
「ああ先生・・・ウチのやつ、あいにく千葉の実家に帰ってましてね」
「あれ、千葉だったの?確か高校の同級生だったよね?」
「そうなんです。房総半島の先っぽの方に安房勝山っていう港町がありましてね」
「へえ、南総の方なんだ」
「港の外に浮島っていう島がありまして、夏になると二人で泳ぎに行きましたよ」
「そう・・・」
犬塚は亜紀の方に笑顔を向けた。
「お嬢さんは、朔先生に可愛がられてるんですね」
「え・・・」
「わかりますよ。先生がこんなに楽しそうになさってるのは初めて見ましたよ・・・はい、タコのカルパッチョです」
「おお、これ美味いんだよな・・・そうだ、鯛の湯葉包み揚げを下さい」
「はい。お嬢さん、なにかお作りしましょうか?」
「じゃ、完熟トマトのサラダで」
「わかりました・・・」

「先生、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「どういたしまして。何かあったらまたおいで」
「はい」
朔太郎と別れた亜紀は新宿駅にやって来た。19時54分、西伊豆線経由下田市行き最終列車が入線してきた。長い列を作って待っていた乗客が我先に車内に駆け込み、すぐにほぼ満席になった。定刻どおり発車した列車が三島駅を出た直後、眠っていた亜紀の耳に女性の声が飛び込んできた。
「あの・・・すみません、ここ空いてますか?」
東京で買い込んだ画材を、隣の、通路側の席に置いたまま寝込んでしまったのだった。亜紀はあわててそれを荷物棚に乗せた。
「ごめんなさい・・・どうぞ」
「すみません・・・」
隣に座ったのは若い女性だった。
「あの・・・この列車、宮浦を通りますよね?」
「ええ、私も宮浦で降りますから」
「良かった。ありがとう」
それからしばらく、二人は言葉を交わすこともなく、思い思いの時間を過ごした。
列車が韮山付近にさしかかった時、不意に列車が停まった。
「お客様にお知らせいたします。ただいま入った連絡によりますと、この先、酔っ払いが線路内に立ち入り、線路上を歩いている模様です。安全が確認されるまでここで停車いたします。列車遅れまして大変ご迷惑をおかけいたしますが、しばらくお待ちください」
乗客たちはあきらめ顔で待つしかなかった。亜紀はふと、隣の女性を見た。彼女は膝の上に置いたバッグを握り締めて不安そうな顔をしていた。

(続く)
...2006/02/03(Fri) 00:00 ID:Am.BlgKA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(その2)

「今日中に着くのかな、宮浦に」
亜紀の隣に座った女の子がポツリと言う。
「困っちゃったね・・・」
亜紀は思わず声を掛けた。
「うん」
「もしかして、宮浦は初めて?」
「うん」
「誰か知り合いでも?」
女の子は俯いて消え入りそうな声で言った。
「あの・・・彼が」
「彼?」
「ええ、今年宮浦大学に入学したの」
「じゃ、高校の先輩とか?」
「ううん、同級生」
「え・・・」
亜紀は驚いた。どう見ても高校生にしか見えないからだった。
「それって、もしかして・・・家出とか」
身に覚えがあるだけに、亜紀は思わず聞いた。
「一応、親には断って来たわ」
「そうなの・・・」
「明日から住む部屋と仕事を探さなきゃ・・・」
「宮浦で仕事を見つけるって言ってもねえ」
「とりあえず、どんなアルバイトでもいいと思ってるんだけど」
「あ、そうだ。ショッピングセンターの掲示板に、アルバイトの募集が出てたかもしれない」
「え、ほんと?ショッピングセンターね。さっそく明日行ってみる。あ、私はナナ。小杉菜々」
「私は大林亜紀。実は私も宮浦大学の一年生なの」
「わあ、じゃ同い年だ」
「それがね、私・・・」
苦笑しながら亜紀が言う。
「一浪しちゃったから一つ年上なの」
「え、じゃお姉さんなんだ・・・」
「そうなの」
「なんかうれしいな。亜紀って、頼りになるお姉さんっていう感じだね」
「私が・・・頼りになる?」
つい一年ほど前、自分に下されていた評価とのギャップの大きさに、内心くすぐったさを感じた。そして亜紀は、ためらいながらも、気になっていたことを聞いてしまった。
「あの、彼氏って・・・」
「うん、彼と私は広島市内の高校の同級生だったの。彼は成績優秀でスポーツも万能だった。バスケ部で全国大会にも出たんだよ」
「すごーい」
「でしょ、でしょ」
彼のことを褒められて、ナナは満面に笑みを浮かべた。
「彼が宮浦大学に入るって聞いた時、目の前が真っ暗になった・・・広島にも大学はあるじゃない、どうしてそこじゃいけないって。そしたら彼は言うのよ。一度故郷を離れて見たいんだって」
「ふーん」
「でも、おかしいじゃない。だって私がいるんだよ。それなのにどうして遠くに行っちゃうの?絶対に間違ってる」
「でもその人の夢とか目標とか・・・」
「それが理解できないのよ。人間にとって恋愛より大事なものがあると思う?」
「もちろん大切よね、恋愛は・・・」
「そうでしょ。だから私、彼を追いかけて来たの」
「彼はどう思ってるの?」
「そ、そりゃ、すっごく喜んでくれてるよ。決まってるじゃない」
「そうか、そうだね」
その時、運転を再開するという車内放送が流れ、ホッとした空気が漂った。
「ねえ、亜紀は絵を描くの?」
「うん。週末には美術学校に通ってるんだ」
「ふうん・・・うらやましい」
「ナナも絵を描くの?」
「うん。本当は私も美術学校に行きたいけど、生活するだけで精一杯だろうな、しばらくは」
「そうか。残念だね」
「でもいつか入りたいな」
「うん」

列車は深夜の宮浦駅に滑り込んだ。ホームに降り立ったのは亜紀とナナの二人だけだった。
まず亜紀が改札を抜ける。そこには健が笑顔で待っていた。
「ごめんね、健。列車が遅れちゃって」
「大変だったね、お疲れさん。荷物持つよ」
「うれしい。あ・・・」
亜紀はナナのことを思い出し、健に紹介しようとした。しかし振り返るとそこにナナの姿はなかった。
「あれ」
「どうしたの?」
「うん、列車の中でずっと話してた女の子がいたんだ・・・どこ行っちゃったんだろう」
「その子ならたぶん、ここをすり抜けて一人で出て行ったよ」
「え・・・彼氏が迎えに来るって言ってたけど・・・」
「車の中で待ってたんじゃない?」
「そうか・・・」
何となく頷いてはみたものの、亜紀は釈然としないものを感じていた。
「じゃ、行こうか亜紀」
「うん」
亜紀は健の左腕につかまり、耳元で言った。
「ありがと、来てくれて」
そして二人は健の車の方へ歩いて行った。

煙草の脂だろうか。壁紙が黄ばんでいる。
「ショウジ・・・」
好きな相手の名前を呼んでみる。もちろん答えは無い。
「どうしよう、これから」
勢いで広島を飛び出し、ここまで来たものの、先の見込みなど何も無かった。
「うれしそうだったな、亜紀」
ナナは彼氏に迎えられる亜紀の幸せそうな姿を思い出した。
「ショウジ・・・」
もう一度、その名を呼ぶ。そこはシングルベッドしかない、ビジネスホテルの一室だった。
ここだけは事前に調べて予約を入れておいたのだった。
「ショウジ・・・ショウジ・・・」
不安に押しつぶされそうになりながら何度も何度も呼んだ。涙が止まらなかった。

(続く)
...2006/02/03(Fri) 00:04 ID:Am.BlgKA    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 朔五郎さん
 森下作品のタイトルや石P日記のパロディに腹を抱えて笑ってしまいました。
 ミチルとベーやんは,実家への「あいさつ」も飛ばして,いきなり新婚生活に突入したのですね。
 ミチルの父親って,どんな人なんでしょうね。ベーやんが「お父さん」と呼ぶと睨みつけるとか,二言目には「まず挨拶をしなさい」とか「その前にやることがあるだろう」といった説教をするのでしょうか。
 ミチルとベーやんが「新婚さんいらっしゃい」に出たら,トークの主導権はミチルが握り,ベーやんは固まりまくって「大丈夫か。オレ」と呟くのが精一杯で,司会の桂三枝から「そんなんで,あんた本当に大丈夫なんか」と突っ込まれるのでしょうね。

 さて,公式サイトによると,「白」の方は原作者が撮影現場に激励に訪れたようですね。
 「役のことを考えても,理解するのが難しい」と話す出演者に対し,原作者は「理解できない人間の世界を描いたのだから,一般の人に理解してもらおうと思ってもダメ。恐怖の世界に皆さんを誘って欲しい」と答えていましたが,どんな恐怖の世界が待ち受けているのでしょうかね。
...2006/02/03(Fri) 04:40 ID:dm.JD0zk    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
早いもので、このパート6も間もなく一杯になりますね。

朔五郎さん
「広島編」が動き始めましたね。続きが楽しみです。
余談ですが、ナナが泊まったビジネスホテルはもしかして去年私が『宮浦』へ行ったときに泊まったホテルと同じかも・・・?あそこは確か『プリン○スホテル』以外に『ホテル』と名の付く宿泊施設はありませんので(^^)


「白」関係では山田クン=亮司が「もうみるのがイヤになってテレビを消したくなるくらいのドラマにしたい。演じている自分がキャラに共感していないので、視聴者が共感できないのは当然」とインタビューに答えていたそうです。随分意味深な発言ですね。
火曜日9時の「N'sあおい」も面白いです。最初は気楽に観ていたのですが、訴えかけてくるものがあってハマッてしまいました。あおい=さとみサンの「ブイブイ!」がとても可愛いです(^^)
※笹垣刑事の元教え子さんも主任看護師として頑張ってますね(笑)
...2006/02/04(Sat) 12:18 ID:0g1G9yTM    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
にわかマニアさん
「ミチル」の父親は広島県三原市で漁師をやってますが、竹○直人さんに似ているという情報も(^^)

SATOさん
ナナが泊まったのは「架空のホテル」で、あんなキレイなホテルではありません   (^^;;;
>テレビを消したくなる
また、プロデューサー泣かせの発言を(苦笑)
...2006/02/04(Sat) 18:46 ID:gsR32xGo    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(その3)

「ナイス、シュー」
桜の季節が終わり、木々の枝には新しい芽が萌えていた。
「さすが大木・・・ポイントガードとしてチームをまとめている。あいつが入ってから、全体の動きが見違えるようになったな」
バスケットボール部キャプテン・仲田英寿(ヒデ)も手ごたえを感じていた。
大林亜紀が宮浦大学に合格するまでは責任を持って面倒を見る。亜紀の父親との約束により、一年間部活動ができなかった大木健三郎(健)は、亜紀の合格と同時にバスケ部に入部した。すぐに実力を発揮した健は、高校時代からの親友で、一足先に入部していた大野伸二と共にレギュラーの地位を獲得しつつあった。
そんな健を、一人の新入部員が食い入るように見つめていた。
(巧い・・・)
文学部一年生の近藤彰二である。チーム内ではショウジと呼ばれていた。彼は高校時代、広島県代表として全国大会にも出場したチームの中心だった。その目から見ても、健のプレーは水際立ったものだった。
(とても一年間のブランクがあったとは思えない・・・すごいな)
健は緊張しがちな新入部員にさりげなく気を遣い、リラックスさせようとしていた。先輩からも後輩からも人望を集めていたのである。ショウジが健を意識していたのには、もう一つ理由があった。
「大木先輩。先輩のことは尊敬してます。選手としても、人間としても。でもオレは亜紀のことを諦めませんから。絶対に」
そこに姿を現したのは監督の片山浩二だった。部員たちは「コージ」をひっくり返して「ジーコ」と呼んでいる。
入部してすぐ、健はヒデに尋ねた。
「ジーコ監督って、どう見ても日本人の顔してますけど。もしかして日系ブラジル人とか?」
「いや、愛媛県の宇和島出身だよ」
そこで、そのニックネームの由来を聞いた健は、ちょっと拍子抜けの気分になった。
「ま、ニックネームなんてそんなもんさ」
全部員を集合させてジーコが口を開いた
「みんな良くやってるな。今年は大木、大野、近藤など、例年になく一、二年生に有望な選手が多いようだ。それは良いことだが、柳沢や稲本たち上級生も負けずに頑張ってくれよ。それじゃ大会まであとわずか、気合を入れて行こう。解散!」
「ハイ」

バスケ部マネージャーで薬学部四年生の城石美帆(ミホ)は、部員たちが休憩時間に飲むポカリスエットを買って体育館に戻ってきた。
「あれ?」
入り口に後姿が見える。
「誰だろう・・・」
その人物は、中で練習している部員の一人を目で追っているようだった。
「栗原さん・・・」
それは文学部四年生の栗原典代(ノリヨ)だった。ノリヨは大手製薬メーカー・栗原薬品の会長の一人娘で華道部の部長を務めている。高貴でありながら、優美さや温和さを失わず、まさに太陽のような女性であった。
「栗原さん」
ミホが声を掛けるとノリヨは驚いて振り返った。
「あ、ああ・・・城石さん」
「誰かに、用?呼んでこようか?」
「え・・・ううん、いいの。ごめんなさい」
逃げるように立ち去って行くノリヨの後姿を見ながら、ミホは呟いた。
「誰を見てたんだろう・・・」

次の日の昼休み、健と亜紀は食堂で食事をしていた。
「へえ、これが水産学部の教科書?」
「うん」
亜紀はその本を手に取ってパラパラとページをめくった。ところどころに魚貝の写真が載っている。
「ねえ、なにこれ?」
「ああ、ハゼとテッポウエビだよ」
「ハゼと・・・テッポウ・・・?」
「テッポウエビ」
「で、そのハゼとエビがどうかしたの?」
「オレにも良くわかんないけど・・・」
「なんだ、専門家なのに・・・」
「しょうがないだろ」
「まあ、いいや。私たちには関係ないもの」
亜紀は本を閉じてテーブルの上に置いた。
「健、新緑がきれいだね」
「うん」
「こういう色を見てると、ほんとにしあわせ。生きてて良かったなあ、って思うわ」
「ああ」
「そうだ、ショッピングセンターに飾った私の絵、見てくれた?」
「見たよ」
「どう思う?」
「そうだな、相変わらず抽象的な絵だけど・・・斜めの直線がこう走ってて、しばらく見てると女性が風の中を走ってるような・・・髪をなびかせて」
「ああ、やっぱりそう思った?描いてるうちに私もそう感じた。とにかく空気を動かすように、風をイメージしたんだけど」
「でも、あの絵、結構評判になってるみたいだよ。親父が言ってたけど、あの前で立ち止まる人が増えてきてるって。あの休憩コーナーは今までガランとして寒々しい感じがしたけど、活気が出てきてるみたいだね」
「良かった・・・」
「親父がまた頼むかもしれないって」
「ほんと?うれしい・・・」
「そうだ、今日講義が終わったらウチに来ない?親父もお袋も亜紀に会いたがってるしさ」
「うん」
「じゃ、終わったら《海の時計》で待ってて」
「わかった」
「アイス食べようか」
「うん」
「じゃ、オレ買って来るから」
「ありがと。私、ストロベリーがいいな」
「ハイハイ・・・」
そんな二人を離れたところから見つめる目があった。
(亜紀・・・)
「あ、あの・・・」
「え、なにか」
「文学部の近藤君ですよね」
「そうだけど」
「あの、私も文学部の・・・」
「ゴメン、急いでるんで」
新入生の中でも目立つ存在のショウジは、女子学生から声を掛けられることも多かった。中には明らかに好意を伝えようとする子もいる。しかし、彼は一切取り合わなかった。視線の先にはいつも亜紀がいた。たとえ尊敬する先輩の彼女であっても、二人の仲の良さそうな様子を目撃しても、どうしても諦めることができなかった。

(続く)
...2006/02/05(Sun) 02:23 ID:i75Gqpho    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
おはようございます。
充電期間を経て一気にアップですね。
バスケ部の練習をじっと見ていた栗原さんはもしや?近藤君もまじえて四角関係になりそうな予感ですが・・・
バスケ部の監督は「ジーコ」ですか・・・ヒデキャプテン他バスケ部員やマサミのお父さんを含めてどこかで聞いたことのあるお名前ですね(^^)
城石美帆先輩は「陣釜さん」ではなくて「オレンジデイズ」のイメージで捉えております(^^)
...2006/02/05(Sun) 09:51 ID:aSlHEc6g    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:にわかマニア
 宇和島出身で「ジーコ」というと,正月に放映された片山さんの初期の作品を思い出しますね。まさか,拒食と過食を繰り返す人を病院から連れ出したら,風に吹かれて飛んでいったなんて,某小説と某短編映画が混ぜ合わさったような展開にはならないでしょうね。
...2006/02/07(Tue) 08:33 ID:Hb7rr06U    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん、にわかマニアさん

新キャラの「出身?」をまとめてみますと(^^;;

ナナ、ショウジ : NANA
ジーコ : 君の知らないところで世界は動く
ノリヨ : 白夜行

となります(^^)

拒食・過食は出しませんのでご安心を(^^;;
...2006/02/08(Wed) 00:26 ID:NRIVjE0o    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
広島編(その4)

喫茶店「海の時計」で待ち合わせた健と亜紀は、健の家にやって来た。
「いらっしゃい、亜紀ちゃん」
優子が笑顔で迎えた。ダイニングでお茶を飲み、しばらく休んだ後、健と亜紀は立ち上がり厨房に入って行った。
「悔しいけど、包丁さばきは健にはかなわないな」
新鮮な地物のアジを鮮やかな手付きでタタキにしていく健を見て、亜紀は羨ましそうな目をした。
「小さい頃から慣れているからだよ。亜紀はジャガイモの皮を剥いて」
「うん、これなら得意だよ」
そんな二人の様子を見て、まかせたわよ、というように微笑んで、優子は出て行った。
「ねえ、もし・・・あ、やっぱりやめとく」
「なんだよ、気持ち悪いな」
「だって恥ずかしいもん」
「いまさら恥ずかしがるような関係?あ、いつかのお返し」
「それはそうだけど・・・」
「だから、なに?」
「あのね、もし結婚したら、お休みの日にこうやって二人で料理して、子供たちに食べさせて、、お互いの親とかも呼んでさ、楽しくおしゃべりとか出来たらいいなって。ちょっとそんなところ想像しちゃった・・・」
「あれ、意外と平凡な夢も持ってるんだね」
「あ、バカにしてる」
「平凡だけど素敵な夢だね。偉大なる平凡・・・」
「人間ってさ、そういう普通なところがなくちゃつまらないじゃない」
「まあね」
「子供たちを見てるとさ、家族の愛情とか足りなくて、傷ついて、それでもなんとか自分を守ろうとして、結局、違う方向に行っちゃう子供っているんじゃないかな。傷ついて、幸せを失くして、周囲の関係ない人たちまで不幸にしちゃう・・・それってやっぱり親の責任だよね」
「うん・・・でも、どうして急に子供のことなんか・・・」
その時、健は見た。亜紀の手がさりげなく、お腹のところに行っていることを。
「え、もしかして亜紀・・・ええっ、そうなの?」
いったん俯いた亜紀は、健のことをチラリと見上げた。
「お、おい・・・どうする?」
「どうするって、どうすれば良いと思う?」
「そりゃ、なるべく早く結婚しなきゃ・・・ああ、でも親になんて言えばいいんだろう・・・また亜紀の親父さんに殴られるのかな。そうだよな、やっぱり」
深刻な顔つきで赤くなったり蒼くなったりする健に亜紀は言った。
「ごめんね、冗談・・・ちょっと健の本心が知りたいな、って思ったから」
「冗談って」
急に怒りの色を浮かべた健を見て、今度は亜紀が慌てる番だった。
「ああ、ごめんなさい・・・ねえ、ああ、そんなに怒るとは思わなかった。だけど、子供が出来たから無理に結婚しようとか思ったの?」
「あのな、オレがなんで怒ってるかわかる?」
「健・・・」
「それは亜紀の軽はずみな冗談が許せないから。そういうウソはよくないと思う。世の中には子供が欲しくて欲しくてたまらなくても恵まれない人や・・・もしかしたら・・・その逆の人だっているんだよ。そういう人の立場になって考えたことあるの?」
「・・・」
「それにさ」
健は続けた。
「オレだって、そういうことは考えてるんだよ。気を付けてはいるけどさ、100%完璧ってことはないわけだろ?だから、なおさら、そういうことを冗談にするのはやめろよ。命なんだぜ、小さくても。大切な命なんだよ。だから、そうなった時には絶対に逃げないから。亜紀のことが本当に大事だからさ」
「ごめんなさい・・・ありがとう、大事に思ってくれて」
「ま、そんなところだね」

健の家族と亜紀との和やかな食事が終わり、コーヒーが出た。
「亜紀ちゃん、これ食べてみて」
優子がプリンを勧めた。
「わあ、おいしそう」
「これね、大阪の方では有名なお菓子屋さんで、ドラマの中でも使われたことがあるんだって」
「へえ・・・」
「今度、堂ヶ島のお店でも売り出したの」
「すごーい。あ、とっても美味しいです」
「そう・・・良かった」
「亜紀ちゃん」
龍之介が口を開いた。
「この間描いてもらった絵、すごく評判が良くてね。立ち止まって見ている人が結構いるんだ」
「うれしいです」
「それでね、もっと描いて欲しいんだ」
「はい」
「そうか、描いてくれるか」
「喜んで」
「そこで相談なんだが・・・」
龍之介は少し身を乗り出した。
「契約を結ばないか?」
「契約?」
亜紀は思わず龍之介の顔を見た。
「そうだ、契約だ」
亜紀は戸惑いを隠せなかった。

(続く)
...2006/02/10(Fri) 01:08 ID:0RS/aYTU    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
朔五郎さん
健から亜紀への「お説教」には、生命の重さを改めて考えさせられました。

龍之介が亜紀に契約を持ちかけましたか・・・
ちょっとシビアな世界になってきましたね。
利害が絡んでトラブルにならないことを願っております。
※ちなみに、2018年4月時点での亜紀は未成年(誕生日は1998年10月23日)なので、親の同意がないと原則として契約は無効になります。ただし、小遣い程度の金銭のやり取りは有効になるようです。ご参考まで。
http://www.city.tomisato.chiba.jp/syozoku/009/syouhi/column06.html

話は変わりますが、大阪で評判のプリンの店は「ハー○ニー」ですよね(^^)
...2006/02/10(Fri) 22:06 ID:tUftuxOI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:SATO
もう一つのセカチュー第二世代物語
『古河先生と2』

俊介「中川がどうした?」
ナオミ「彼、中学までは野球やってました。天才セカンドとまで言われて、将来も期待されてたんです。でも、お坊さんになるための修行が忙しくて、高校に入ってから野球が出来なくなってしまったんです。」
ホノカ「中川君は、帰るときにいつも野球部の練習を見ているんです。彼と話したんですけど、やっぱり野球をやりたいと言ってました。でも、彼は口下手だから、お父さんにうまく話せないんじゃないかと思って・・・」
俊介「それで、俺にどうしろと?」
ホノカ「中川君を野球部に入れてあげてほしいと彼のお父さんにお話していただけませんでしょうか・・・」
俊介「おいおい、中川本人の話を聞いてもいないのに、どうして俺がお父さんと話をしなければならないんだ?」
ホノカ「それは・・・」
ナオミ「私たち3人の夢なんです。私たちは、物心ついた頃から3人でキャッチボールをやってました。そして、小学生になって、一緒にリトルリーグのチームに入ったんです。あの頃は3人で甲子園に行こうと本気で考えてました。でも、中学にあがる頃、女の子を野球部員として受け入れてくれる学校が無いことを知って、わたしとホノカは野球を諦めました。そのときヒロは言ったんです。『お前たちは俺が甲子園に連れて行く。3人分頑張るからな。』と。」
ホノカ「結局、私たちは3人とも野球と縁が切れてしまったんですよね・・・」
俊介「そうか・・・お前達の気持ちはよく分かった。実は、中川が野球部の練習を見ていることは気付いていたんだ。野球部の監督の立場から言わせてもらえれば、是非欲しい選手なんだがな。」
ホノカ「先生・・・それじゃ・・・」
俊介「今度、中川と一緒に来なさい。相談の続きはその時にしようじゃないか。」
ホノカ・ナオミ「ありがとうございます。」

その日、野球部の練習を見守りながら、俊介はアキヒロのことを考えていた。本人が野球をやりたいと言うのなら、是非やらせたい。だが、親の意向に逆らってまで野球をやらせていいものだろうか。自分のことと照らし合わせるにつけ、気が重くなる俊介であった。実は、俊介は医者になって病院を継いで欲しいという父・信人の意に反して、教師という職業を選んだのである。お互いに頑固な父と息子はまともに話し合うこともせず、絶縁状態となってしまったのであった。自分の問題も解決していないのに、生徒の相談に乗ったりして大丈夫だろうか・・・

ハルカ「監督!」
俊介「お、おう?」
やや上の空で俊介は答えた。
ハルカ「そろそろ練習終了の時間ですけど・・・」
俊介「そうだったな、集合!」

練習が終わったあとの野球部室では・・・
ヒロ「今日の監督、ちょっと変だったな。」
アツシ「うん、なんか、上の空だった。」
ヒロ「どうしたんだろう、何かあったのな?監督ってお前のクラス担任だよな?」
アツシ「もしかして、あいつら、監督に何か変なこと言ったんじゃないだろうな・・・」
ヒロ「あいつらって?」
アツシ「いつもツルンでる女の子二人組なんだけど、授業に遅刻した罰で宿題出されてたんだ。今日が提出日だったはずだけど。」
ヒロ「授業に遅刻?いい加減な奴らだな・・・」
アツシ「二人ともそんないい加減には見えないんだけどな。一人は女子バスケ部のエース候補、もう一人は東大現役合格も狙える才媛だぜ。」
ヒロ「へー、お前のクラスにはすげえ奴がいるんだな。」

部員たちが雑談に花を咲かせている頃、俊介は学校を出た。校門で不意に声をかけられた。
ハルカ「お兄ちゃん!」
俊介「何だ、お前か。」
ハルカ「何よ、その言い方は。折角待っててあげたのに。一緒に帰ろっ」
俊介「ま、たまにはいいか・・・」
学校を出た瞬間、俊介とハルカは兄妹に戻るのである。
そして・・・

(続く)
...2006/02/10(Fri) 22:08 ID:tUftuxOI    

             Re: 「世界の中心で、愛をさけぶ 2...  Name:朔五郎
SATOさん
「契約」というのは言葉のあやで、法的なものではありません。もちろん亜紀の両親も同意しますのでご安心を(^^)
プリンはもちろん「ハーモニ○」です(笑)

こちらの物語も、そろそろ本筋に入ってきましたね。楽しみです(^^)

さて、このスレもPart.6の最後までやって来ました。一時は、もう、そろそろかな、と思ったりもしましたけど、最近、気になるブログの書き込みを見つけ、また刺激を受けました。
それは「あのドラマ」の演出を担当された映画監督の日記なのですが、大変興味深い内容でした。

「白夜行」の世界じゃないですけど、
 ※この映画監督の日記
 ※Iプロデューサーの日記
 ※Uプロデューサー(I氏の先輩)の日記
の三つを読んでいますと「ウラのつながり」が想像できる気がして、とても楽しいです(^^)

それでは皆様、いろいろありがとうございました。Part.7でまたお会いしましょう(^^)
...2006/02/11(Sat) 02:00 ID:TLgiFv1g    

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